2017年09月21日

売れるサイト

アップが遅れたのは「日本の古本屋」事業部定例会議が長引いたからです。

普段、店にいるときは、暇を見つけて書き上げて、ほぼ毎日決まった時間にアップできるようにしております。

暇を見つけてとは申しましたが、店が忙しいわけでないことは申すまでもありません。しなければならない仕事は山のようにあっても、ひと時その手を休めて――というのが正確かもしれません。

いずれにせよ今日は、午前中、ご近所への宅買いもあり、気が付けば出かける時間となっておりました。そうして出かけた古書会館の7階会議室で、午後2時から午後7時半まで、ひたすら話し合うことになったのです。

この時間になると、店に戻っても閉店作業を手伝うだけ。それから書いていたのでは、いつ食事にありつけるか分かりません。まずは帰宅して夕食。それからPCに向かうことにいたしました。

それにしても、何を話し合ってこれほどの時間を費やすのでしょう。煎じ詰めれば、いかにして「日本の古本屋」をもっと売れるサイトにするかを話し合っているわけです。

ITの力で改善できる点もあるでしょう。参加店の意識を高めることも必要でしょう。それらを実現するためには、経営基盤の安定も必要でしょう。

RIMG2286それらを一つ一つ話していると、5時間半はあっという間に過ぎてしまいます。一歩進んだと思える時もあれば、議論の蒸し返しに終わることもあります。それでも事業部員の熱意に、疑いの余地はありません。

そのことに感心しながらも、いささか疲れて店に戻ってみると、皮肉なことに今日一日、一点の注文も「日本の古本屋」から入っておりませんでした。

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2017年09月20日

The Chapbook

チャップブック(Chapbook)といえば、すぐ思い浮かぶのは、西洋版草双紙ともいうべき、小型で紙も粗末な薄手の印刷物。

chapbookなまじ同じタイトルが付いているために、ネットで調べようとしても見つけにくいのですが、昨日の洋書会で店主が手に入れたのは、1919年から23年に掛けて刊行された月刊詩誌。

出版社装丁と思われる合本版で、号数にすると第13号から第38号までが、3巻に仕立てられています。

全部で何号出たのか、調べた限りでは分かりませんでしたが、Ciniiによれば東京大学の文学部図書室に第1号から第40号まで架蔵されているそうです。Worldcatでも、それ以上の情報は得られませんでした。

面白いのはその合冊数がまちまちなことです。手元にある本はそれぞれ、第13-24号の12冊、第25-32号の8冊、第33−38号の6冊という風にまとめられています。

気になって調べてみると、1921年6月の第24号の後、第25号が出たのは1922年2月でした。次の第26号は同年5月。それ以後は再び月刊となっていて、第32号が同年12月の刊。つまりそれで1年分なのでした。

東京大学の本も合本されているようですが、第24号までは6冊ずつ4巻になっている模様。同じく版元装丁なのか、別のものか、ちょっと見てみたい気がします。

店主はこのマーブル表紙に惹かれたこともありますが、手に取って開いたとき、偶然Craigの文字が眼に入り、それでつい、札を入れてしまったのです。

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2017年09月19日

ネット入札

この数週間こそ、例の大量塩漬け在庫がカーゴ2〜4台のペースで出品されて、少しばかり活気が戻ってきましたが、最近長らく洋書会は、出品不足に泣かされております。

そこで何とか同業からの出品を呼び込もうと、今期の役員班がネット入札併用特選市を企画しました。それが今日。

ネット入札というのは、会場に足を運ばなくとも、組合員であればエクストラネットから入札できる仕組みで、定期的に活用している市会もいくつかあります。

しかし現状ではまだ、限られた出品物しかネットからの入札はできません。この対象範囲を広げるには、難しい問題が数々残されています。

RIMG2288その一つは、いくら画像を増やしても、結局手に取らなければ評価のできない本も多いことです。ですから東京古典会や明治古典会では、今のところネット入札を行う気はなさそうです。

逆に、タイトルだけで評価をつけられる本の場合、遠隔地からも入札があれば、より値が上がる可能性があるということで、荷主さんにとっては魅力になります。

洋書のように、そもそも取り扱う業者が少ない商品は、広く全国に入札者を求めるのも一つの方法でしょう。

それに例えば、大阪の書店さんなら往復三万円の交通費を札に廻せる。そう考えれば、思い切った入札もできるのかもしれません。

洋書会では、これまでも大市や歳末市でネット入札を行ってきましたが、その回数をもう少し増やしたいというのが現役員会の考えのようです。

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2017年09月18日

TVの不思議

今朝、目を覚ましていつものようにTVのスイッチを入れると、画面に見知った顔が現れました。古書サンエーの山路ジュニア(フライングブックス)さんです。

寝ぼけマナコをこすって見入っていると、間もなく場面が変わり、登場人物も代わってしまいました。

右上隅に、番組タイトルが出ています。東京ディープとありました。記憶だけで、いい加減に済ませられないのがネット社会の辛いところ。あらためて検索してみますと――

TOKYOディープ!「ハチ公・闇市・カストリ 渋谷・道玄坂」という番組。先週の月曜日(午後7時〜)に放送されたものの、再放送(午前6時〜)だったようです。シニアも登場した様子ですが、見逃してしまいました。

それにしても、こうした偶然が、しばしば起きるのが不思議です。しばらく前に、やはり朝、TVをつけたところ、相馬の野馬追に騎馬武者行列が復活、というニュースをやっておりました。

RIMG2287小高という地名が聞こえて、そこの住民であった先輩のことを思い出していると、なんと画面でインタビューに答えている地元農家の人が、まさにその先輩だったのです。

この時は、本当に驚きました。去年の秋に共通の先輩である木下長宏さんの出版記念会で、ゆっくり話が出来た時、福島に戻るという話は聞いておりましたが、元気そうに笑顔で話す姿を見て、安心もいたしました。

すぐに電話でもしようかと思ったのですが、今度会えた時の話題にしようと、掛けずじまいになっております。

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2017年09月17日

闕腋(けってき)の袍(ほう)

2週前の明治古典会で、日本音楽関係の本を落札しました。

本の状態は全体にあまり良くなかったのですが、それでも昔なら1冊1万円以上していたような本が何冊か入っていて、全部で60冊ほど。それが驚くほどの安値で手に入ったのです。

実際に1冊ずつ見ていくと、古書店の値書きや即売展の値札が残っていて、結構良い値で購入されています。小まめに収集された方の旧蔵書だと分かりました。

もちろん安値で落ちたのにはそれなりの理由があります。現在では、その大部分はネットで簡単に手に入り、値も下がっているからです。加えてその状態。

しかし研究書や啓蒙書としてはともかく、それ自体が邦楽史の資料として読まれることもあるのではないかと、僅かな望みを持って店の在庫に加えることにいたしました。

その中で、ふと気になって序(渡邊均)を読んだのが、この『日本音楽の聴き方』(那智俊宣・大阪毎日新聞社・大正13年)。
ketteki
そうしてこの那智さんという方が「箏曲京極流の創始者として、また奇言奇行の人として」「この上もなく愉快な人」だと知りました。

那智さんは人も知る通り、平安朝時代の大変好きな人で、時々氏一流の闕腋の袍を着て紗冠をかぶるというやうな珍奇な服装をして、あの二十貫もあらうといふ大きな図体でよちよちと歩いてゐられます。

所は京の街中。その珍妙さに子供たちが、ぞろぞろついて歩いたとか。本文を読んでみたくなりました。

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2017年09月16日

新たな疑問

『日本古書通信』の9月号が届きました。

先日、古書会館で編集者の樽見さんに出会った時「今月、岡崎さんが書いておられますよ」と声を掛けられました。

岡崎武志さんが古通に連載を持っておられることは承知していましたが、いつぞやのご来店が、そのためであったというのは、迂闊にも考えつきませんでした。

早速封を切って、目次を確認。記事は写真とイラスト入りで見開き2頁。とりとめのない話を交わしただけのつもりでしたのに、さすがに手際よくまとめられています。

特に初めのところで、店主が昔、何かの集まりでお会いした際に口にした言葉「うちに来られたことないでしょう」というのを、しっかり覚えておられて枕にされていたのには、してやられた感じがいたしました。

RIMG2280しかしそれより驚いたのは、由良先生の亡くなられた年が1990年と書かれていたことで、もちろん、間違いであるはずはないのですが、あらためて目にして、信じられないような思いに駆られたのです。

駒場の研究室を去られる時、部屋に呼んでいただき、使われていた調度類をいくつか、お譲り下さいました。するとあれは1989年のことだったわけです。

そういえばあの時、研究室に本は残っていなかった気がします。一旦お住まいに運ばれたのでしょうか。東洋英和の研究室に運ばれたのでしょうか。後者だとすると、その本の処分はどうなったのでしょうか。

30年近くも経って、新たな疑問が湧いてきました。

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2017年09月15日

詩集『絵本』

本日の明治古典会は、出品量少な目。点数としても少なかったので、午後4時過ぎには開札が終わってしまいました。

それから片づけなどをしても、4時半には手が空きましたので、店主は6階に上がって組合のPCで「近代著作者辞典(かなり怪しくなった仮称)」のテスト作業を開始。

そのうちに会食メンバーもそれぞれ作業を終え、5時前には顔ぶれが揃って、さてどうしようと思案することに。

誰かが「この時間なら松翁でも入れるんじゃないか」と提案。物は試しと電話を入れたところ、あっさり5名分、席が取れました。

RIMG22782か月前に、明古の新旧幹事会をここの2階で開き、会席料理を味わいましたが、やはり松翁は1階で一品料理を頼み、最後にお好みの蕎麦をいただく方がずっと良いと思います。

さて、出品が少な目だった今日の明古ですが、興味深いものは何点もありました。とりわけ木下夕爾の著作、書簡、草稿の数々は、来会者の関心を集めていたようです。決して良く知られているという詩人ではないのにも拘らず。

一方、こちらは良く知られた詩人、谷川俊太郎『絵本』(的場書房、昭和31年)が1冊、最終台に置かれておりました。ベージュ系のキャンバス地で装丁された25cmほどの枡型本。

写真が数枚貼り込まれていて、手作り感の漂う瀟洒な詩集は、本日一二を争う落札価でした。

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2017年09月14日

理解できない

世の中には理解できないことが、いろいろあるものです。

先日、BS1で「“核兵器禁止”夢か実現可能か」という討論番組を見ました。途中からでしたが、議論を聞きながら、暗澹たる気持ちにさせられました。

KIMG0175核抑止論というのは結局のところ、アメリカにおける銃規制反対と同じ理屈に立っているようです。持っているから安全。自分が放棄しても他人が放棄しなければ、無防備になるだけ。

さらに、使ったらおしまいという兵器があることで、使わないように努力するから、戦いが避けられているのだと。

店主などには途方もない論理に思えますが、核保有国が核兵器を放棄できない現状について、理解できないこともない。もちろん同意するわけではありません。

これに対し、理解も同意もできないのが、今朝の新聞にもあった柏崎刈羽原発再稼働容認のニュースです。

原子力規制委員会という名の推進委員会は、なぜそうまでして原発再稼働を進めようとしているのでしょうか。

再稼働容認の条件の一つに「経済性より安全性を優先すること」という項目がありました。これはいわば絶対矛盾というべき条件です。原発が、経済以外の論理で動いてきたとは思われません。安全を言うなら無いのが一番。

もしかしたら、この条件によって再稼働を不可能にしようという深謀遠慮でしょうか。それならば理解できます。

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2017年09月13日

Mein Kampf

そういえば、昨日の塩漬け在庫出品のなかに、もう一冊、単品で入札できると考えて抜き出した本がありました。

Mein Kampf――言わずと知れたヒトラー『我が闘争』です。じっくり見ませんでしたので、はっきりとは記憶しておりませんが、1930年代後半に出版された1部、2部合本版、ジャケット(カバー)付。

タイトル頁には4xx-4xx Ausgabeという表記。xxには実際の数字が入っていたのですが、失念いたしました。日本風に言えば400版以上刷られているというわけです。

1925年の初版からナチス崩壊までに、合計1000万部以上が出版されたと言われる本ですから、決して珍しいものではありません。

それでも戦後長らく(昨年まで)、ドイツで再出版が認められなかったこともあり、またコレクターもおられるらしく、結構良い値段で取引されていました。

洋書会でも過去に何度となく目にしましたが、すでに故人となられたある書店さんが「外国の方が高いんだ」とおっしゃって、その度に、せっせと落札されていたのを記憶しています。

RIMG2281そこで、1冊だけで封筒をつけてみたのですが、早速札が入っていましたから、売れたことは確か。しかし、うっかりしていて落札価格を聞き逃してしまいました。

今日になって、BookfinderやAbebooksなどで検索をかけてみたところ、並以上の状態であれば、普及版でも1〜3万円の値をつけて売られていることが分かりました。今さら分かったところで、どうということはないのですが。

ちなみに、初版2冊のセットは最高で約400万円という値が付けられておりました。

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2017年09月12日

Eventail

今日は洋書会。先週に引き続いて、塩漬け大量在庫の一端が、カーゴ4.5台に積まれて出品されました。

前回でこの口の仕分けのコツを、かなり掴んだつもりの店主は、大きな本や厚い本は仲間に任せて、どちらかというと薄い本、背だけでは、なんだかわからない本を中心に見ていきました。

そうして今日の一冊、ともいうべき本を見つけたのです。

22418897568細身の小さな本(19x11cmとか)。頁数も60頁そこそこ。あれこれ説明するよりも、ネット上に画像が出ておりましたので、お借りしました。

本のタイトルはEventailつまり「扇」。ローランサンのエッチングが10葉入った詩画集です。もちろんこの写真ほどきれいではありません。表紙には多少のヤケシミもありました。しかし肝心な銅版画については、見た限り問題なかった気がします。

なによりこの塩漬け在庫の他の本に比べれば、奇跡的なほど良い状態で残っていたと言えます。

その理由の第一は、この本のサイズにあるでしょう。小さな本だったおかげで、大きな本の間に挟まれて、折れたり痛んだりすることから免れたと思われます。

見つけたのがお昼近くで、すでに組合員向けの出品速報も送信された後。しかし心配するまでもなく封筒は膨らんで、この口の中では一番の落札価格となりました。

教訓:市場には、いつ何が出るか分からない。

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