2021年01月18日

懐かしいハガキ

一目見ただけで分かる独特の字体。懐かしいY先生からハガキが届きました。

毎年暮れにお送りしているカレンダーの礼状という体裁ですが、これまでにない珍しいことです。この前お便りをいただいたのは、もう何年も前のこと。

こちらがもっとマメに手紙をお出ししていれば、音信も続いたのでしょうが、年に2度、七夕大入札会の目録と、みすずのカレンダーをお送りする際に、短信を添えるだけでは、お返事がいただけなくてもしかたないことです。

ただ昨年は七夕大入札会が中止となり、目録をお送りできませんでしたので、先生もお案じくださったのかもしれません。暮れにカレンダーが届いて、無事だったかと安心されたのでしょう。

店主の方はお弟子さん筋などから、時おり近況を伺っておりましたので、お元気なことは承知しておりました。

RIMG4682Y先生が東京大学を定年退官されたのは、もう20年も前のことになります。当時の定年は60歳、店主より10歳ほど年長。そうして逆算していくと、店主が開業した当時、先生はまだ40代前半だったわけです。

イタリア留学から帰られた年、駒場に出来たばかりの古本屋があることに喜ばれ、以来、毎日のように顔を出してくださいました。多い時は日に2度3度とお立ち寄りいただくことも。

店主が個人的に酒席を共にした、唯一の先生です。今ならまさに濃厚接触者。そんな先生とも、こうして稀に便りを交わすばかりのお付き合いとなっています。

ハガキにはコロナが落ちついたら相談に行く、という一文がありました。怖いような嬉しいような、です。

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2021年01月17日

一瞬の四半世紀

昨日と打って変わり、曇り空で寒い一日。共通テストの日らしいお天気です。外を歩く人も少ない。

朝方、受験生のお母さんと思しき方が入ってこられ、しばらく店内をご覧になって「今度子どもと来ます。本が好きな子ですから」と言葉を残して出て行かれました。

あとは一日、ポツリポツリのご来客。しかしその分、見るからに冷やかしというお客様もおられず、皆さんじっくり本を選んでおられる様子でした。

ところで今朝起きて、デジタル時計の日付をみたとき、何か予定があるのに、それを忘れているような思いに捉われました。

KIMG1551あとになって考えると、1月17日という日付に心が反応していたようです。何か特別の日、忘れてはいけない日。26年前に阪神淡路大震災の起きた日だと、朝刊を見て気がつきました。

さいわいなことに関西方面に暮らす店主の友人知人たちは皆無事で、住いを失うというほどの大きな被害にも遭いませんでした。しかし一つ間違えばという状況にあった友人がいたことを、のちに聞きました。

2011年に起きた東日本大震災が、阪神淡路をやや遠景に押しやった感がありますが、あの大津波の映像に比しても、当時延々とTVに映し出された大火災の惨禍は、未だ印象深く記憶に残っています。

それにしても26年とは。時の流れの速さにも驚くしかありません。その前の26年間というと、店主は学生として京都に住むようになり、卒業後は大阪で勤め、やがて東京に移って古本屋になるという大きな変化がありました。

しかしこの26年といえば、ただひたすら古本屋です。よけいに、あっという間の感が強いわけです。

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2021年01月16日

通りゃんせ

何度も名称を変えて、それはつまり仕組みもいろいろと変えてきたからですが、今日は「大学共通テスト」の日。

例年この日は、あまり好天だった印象がありません。寒く曇りがちか、冷たい雨や雪が降っていたり。そして店の前は道を歩く人の影さえないといった印象。

ところが緊急事態宣言下にあるというのに、暖かな日和に誘われたのか、今日の駒場はふだん以上に多くの人が出歩いておりました。

そんな中には小店の棚に目を向け、立ち止まってご覧になる方もおられて、いっときなど店内と表とを合わせると10名以上のお客様の数。思わず入場制限をしようかと思うほどでした。

しかしほどなく潮が引くようにお帰りになると、また静けさが戻ってきます。その有様に、つい不要不急という言葉を思い浮かべてしまいました。

そうした方々が小店を目的に来られたのでないことは明確ですが、そもそも何か用があって外出されたようにすら見えない方もおられます。

ある男性はご近所にお住まいなのか、ジャージスウェット姿。隣のコンビニにでも来られて、そのついでに覗かれたのでしょう。ビジュアル書を何冊か手に取り、パラパラ開いてみて、お帰りになりました。

RIMG4703目くじら立てるつもりはなく、店を開けている限りは、不要不急をも招き寄せることになるのだと、あらためて考えさせられたのです。

だからといって「ご用のない方お断わり」などと、貼り紙するわけにもまいりません。悩ましい限りです。

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2021年01月15日

明古の苦戦

今日の明治古典会は、いつものように3階4階の2フロアを使って開催されました。

しかし出品点数は1フロア開催の先週に比べても約半分。思わず耳を疑ったような、少ない点数でした。

それでも2フロアを使ったのは、額入りの版画や絵画の一口が、広い場所を必要としたためです。逆に言うと、この一口がなければ今日の明古は、かなり悲惨な状況となったことでしょう。

その殆どは、美術品とすれば高額のものではありませんでしたが、本に比べれば単価が高いので、点数の割に出来高は上がったようです。ただし絶対数が少ないため、喜べるほどの成績ではなかったことは間違いありません。

それにしてもコロナ以降の明治古典会は、他の交換会以上に大きな影響を受けているように感じられます。何故だろうと、今日も仲間うちで話しました。

全体にお客様からの買取りが減っていることは間違いありませんが、これは、どの会でも同様な状況です。しかし明古の特徴は、自筆ものをはじめとして、1点で入札対象となるような商品が多く出品されるところにあります。

そうした本や資料をお持ちの方々が、あえて今のような時期に処分しようとはお考えにならないのではないか。また業者の側も、あまり積極的に蔵書家にアプローチできないのではないか。

そんなところが、皆であれこれ話しているうちにまとまった意見です。

KIMG1552確かに今は、耐えるしかない時期のようです。ただコロナ禍以前から、明古向き商品の枯渇傾向は懸念されていたわけで、アフターコロナの時代となっても、大きな課題は残ります。

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2021年01月14日

天台府中

ある日市場から戻ると、留守の間に1件のお持ち込みがあったようで、小さな本の山にメモが置かれていました。

小さいも何も、洋書が9冊。そのうちの3冊はペーパーバック小説らしく、あとはビジネス書と語学書。あまり気の進まない口に見えます。

tendai場合によっては、このままお返ししようかと思いながら、1冊ずつ見ていくと、小説のうち2冊は同じ著者で、しかも不思議な名前です。もちろんこれまでに聞いたことはありません。だいいち何と読むのか。

本の前付けにあった著者紹介によると、ジンバブエ出身で英国在住の作家。出版社もメジャーではなく、それほど日本に入っているとも思えません。いくばくかでも値をつけて、お引き取りすることにしました。

翌日の夕刻、閉店の準備に取りかかった頃、一人のアフリカ系外国人がご来店になり、「本を預けたものですが」と、おっしゃいます。

そこで買取り価格を申し上げると「問題ないです」とのお返事。ついでに尋ねてみました。「この本、面白そうですが、どうでした?」

すると「僕の好みじゃないですけど、結構人気があるようですよ」。なんとも達者な日本語です。

ともあれ出品してみようとネットで調べると、Wikiなどでもこの2作しか挙げられていません。そして作者の名前。Google検索で調べるとWikipediaを「英語から翻訳」したものが載っていたのですが、思わず吹き出しました。

天台府中はジンバブエの作家であり、小説「ハラレの美容師」と「マエストロ」、「治安判事&数学者」で有名です。

店主も一瞥して天台を連想したのですが、府中までは思いつきませんでした。恐るべしGoogle翻訳。

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2021年01月13日

半藤さん

学者や文筆家の中にも、古本屋に入ったことがないという方は、もちろん大勢おられるでしょう。しかし好んで店を覗く方もおられます。

そんな中にも、古本屋のオヤジというものに、とりわけ親近感を持って接してくださる方々がいらっしゃいます。

今朝、新聞で訃報に接した、半藤一利さんもそのお一人でした。数度ご来店いただいたに過ぎない、その折の印象だけで言うのですから、無責任な感想に過ぎませんが。

KIMG1551しかし店主の記憶には、まるでご常連のように、気安く言葉を交わして帰られたお姿が残っております。

思い返してみれば、名乗られたことは、なかったような気がします。近代文学館の帰りだというようなことは、おっしゃっていましたが。

ご自身がどこの誰と、知られているかどうかは、こちらの態度で分かるのかもしれません。あるいはそんなことは気にもされなかったかも。

もう5、6年前のことですが、夏目漱石の自筆ものを鑑定する機関を設けられないかと、古書組合で画策したことがあります。その時、相談先として候補に挙がったお一人が半藤さんでした。

結局は別の方のところへお邪魔して、いろいろと参考意見を伺ったのですが、半藤さんには打診もしなかったはずです。仮にお声をかけても、あっさり辞退されたことでしょう。その後、実現に向けての動きは生じておりません。

今朝、目につくようにしておいた半藤さんの新書と単行本各1冊、夕方までに売れました。

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2021年01月12日

7割削減の困難

午後6時から始まった役員合同会議を終えて、神保町駅から半蔵門線に乗ったのは、午後7時を少しばかり回った時刻でした。

連休明けということもあるのでしょうか、勤め帰りらしい乗客で座席はほぼ埋まっています。立っている人も各車両に数名ずつ。神保町あたりでこの状態というのは、ふだんでも混んでいる方に入るでしょう。

よほど席が空いている時でない限り、座らない店主です。今日もドア脇に立ったまま、駅ごとに人が増えてくる様子を眺めておりました。

やがて渋谷駅。店主はここで降りて井の頭線に乗り換えるわけですが、駅に近づくにつれ、ホームの混雑状況が見えてきました。

狭いホームの上は、行儀よく整列した乗客で埋め尽くされています。この後車内は一挙に密になるはず。いったい都の要請している出勤者数の7割削減は、どの程度応えられているのでしょう。

この要請はあまねく事業者に対して出されているようですから、古書組合も対応を迫られているわけです。しかし組合では、この要請を受け入れることは困難です。7割どころか、3割の削減も難しいと思います。

それは組合職員の業務は、組合員に対するサービスがメインだからです。純然たるデスクワークの割合は、2割もあるかどうか。机に向かっているだけで済む仕事は、さほど多くはありません。

RIMG4616どうしても出勤を減らそうとすれば、市場の開催を減らすしかない。しかしそれは一番取りたくない方法です。

大勢の帰宅者の姿を見て、同じ悩みを持つ事業者が少なくないのだろうと思いました。

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2021年01月11日

あの頃と今

RIMG4683世間でも、ようやく大変なことだと思い始めたのか、三連休に入って三日目の今朝は、じつに静かな朝でした。

午前中、まるでお客様の姿がありません。表を通る人の数も、昨日までに比べてずっと少なく感じられました。

その少ない人通りの中で目立つのは、ご近所の方らしいお子さん連れ。とりわけお父さんとのペア。

そんな人たちが、開いている小店を見て、誘われるように中に入って来られる。この様子に、前回の緊急事態で、休業に入る前の一時期のことを思い出しました。

続けるべきか、閉めるべきか迷うなかで、休業へと判断が傾いたのは、いつもと違う方々のご来店が目立つようになったことでした。

それだけ聞くと、良いことのようにも思われるかもしれません。しかし何を商っている店かを理解せずに入って来られるような方が増えるのは、平時ならともかく、緊急時には、ありがたいとは言えません。

あの時は、それもあって休業に踏み切ったのでした。もちろん給付金がそれを可能にしたのです。直前の状況からして、そのまま開けていても、給付金ほどの売上が見込める保証はありませんでしたから。

つまり小店にとっては、休業に見合う給付金だったわけです。店売りだけに頼っていたのだったら、とても受け入れがたい金額でしたが。

いま飲食店に要請されている時短。どれだけの店が従うかは、結局それが折り合いのつく金額かどうかにかかっているのでしょう。

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2021年01月10日

気持が三連休

宅買いにしろ、お持ち込みにしろ、いささか困るタイプの買取りがあります。

儲けが出ない買取り、などという下世話な答えではありません。値付けをしているうち、店に並べるまえに、自分で読みたくなるような本が多く含まれている買取りです。

booklover店主の場合、根がしみったれているのでしょう、良い値ですぐ売れそうな本は、あまり読みたくなりません。大抵の場合、表の均一か、せいぜいラベルを貼って棚に挿すような安価な本。

もっと言えば昔一度は目を通したことがあるか、読もうと思っていた本です。

幸か不幸か、小店で仕入れる本は、市場ならほぼ和洋の学術書が中心。お客様からでも、その比率が高く、気軽に読もうという本はさほど入ってきません。

もちろんご近所の方が今どきの小説や実用書、児童書などをお持ちくださることもありますが、ふつうの町場の古本屋に比べれば微々たる量ですし、店主の読書欲をそそることもありません。

その中で去年の暮れにお引き取りしてきた、店主と同年配の読書好きの方の蔵書は、小説にしろ随筆にしろ、ちょっと興味をそそられる読み物が多い。などというと、まるで店主自身も読書好きであるかのようですが、その端くれにも数えられないでしょう。

読書人好み(どんな本かはそれぞれご想像ください)の本に、つい仕事の手を止められ、拾い読みばかりしていて仕事が一向に捗らない。それが困る理由ですが、なぜか営業時間の短い土曜日、日曜日(さらに祝日)のほうが、そうした事態に陥るケースが多いようです。

やはり休日ということで、どこかノンビリした気分になっているのかもしれません。平日がそれほど忙しいわけでもないのに。

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2021年01月09日

メガネの使い分け

昨日に続いて今日は、五反田の南部地区初入札市。家人より命を受け、文庫本の仕入れのために、不便になった渋谷駅乗り換えも厭わず、午前10時半頃、店を出ました。

市場に着いてみると、いつもの入札市に比べ、かなり少なめの出品。寒さのせいか、緊急事態宣言のせいか、来場者も少なめです。

居合わせた支部長や事業部員のみなさんと挨拶を交わしただけで、札も入れず、早々に引き上げることにしました。目当ての文庫本も意に叶うものがなく、ほかの出品物についても店主の出る幕はなさそうでしたので。

家人からもう一つ頼まれていたことがあり、五反田駅隣のビルにある100円ショップを覗きました。

探していたものは、すぐ見つかりました。ふと思いついて老眼鏡を探してみると、これもありました。2点お買い上げで220円、PASMOを使って支払いました。

RIMG4701眼鏡はふだんかけているより、少し度数の弱いものが欲しかったのです。ふだんは+2.5で、今日買ったのは+2.0。

いわゆるリーディング・グラスとしては+2.5がちょうどいいのですが、帳場で作業しているデスクトップパソコンのモニターは少し離れています。この距離だと+2.0くらいが見やすいのです。

老眼になりかけの頃は、よく100円ショップを利用していました。やがて必需品となるにつれ、かけやすく疲れにくいものを求めて、ネットで探すようになりました。しかし次第に一種類では、間に合わないようになってきたのです。

あとになって、+1.5とか+1.0とかも買っておけばよかったと悔やみました。市場で並んでいる本を見るのに適した度数を調べるためにです。

さまざまな距離に応じて使い分ける。なんとも不便なことではありますが。

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