2019年03月24日

静かな町

お出かけ日和の休日とあって、店の前もふだんより人だかりがしています。

しかしドアが閉めてあることもあって、中を覗き込むようにしたあと、自動ドアのガラスに貼られた〈バッグ類はレジ横の台に置いてご覧ください〉を目にして、怯んだように戻っていかれる方も多いようです。

お散歩のついでに立ち寄られるご家族連れは、たいがい表のジャンクおもちゃを見るだけで、しばらくすると姿が見えなくなります。

お昼からは開け放しておいても良いような陽気になってきましたが、閉めておくのは家人の花粉症対策です。

貼り紙に怯まれる方もおられる一方、まるで気がつかず、大きな荷物を提げて奥へ進まれる方もおられます。声をおかけする回数も、いつも以上でした。

一時、荷物の置き場が一杯になるほど店内が混みあいました。どうやらアゴラ劇場からのお帰りのお客様方だったようです。わざわざ足を延ばしていただいたのでしょうか。

人だかりがしたと言い、混みあったと言っても、どちらもその一瞬だけのことで、それが過ぎればまた静かな時間が流れます。

RIMG3501今日あたり、渋谷の混雑は相当なものでしょう。平日より、土日の方が売り上げを期待できるようになってきた小店ですが、相変わらず閑静な地であることに変わりはありません。

駅前一等地の旧公務員宿舎は、もう何年も空き家状態で、広大な土地が放置されたまま。何か気の利いた施設でもできて、一気に町が活性化する――というのが地元商店街の望みとするところでしょうが、店主としては静かな駒場も捨てがたい気がいたします。

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2019年03月23日

お断りした話

RIMG3504一昨日、男女二人連れで入ってこられたお客様、店内をしばらくご覧になったあと、男性の方が「カウンターテーブルなどに置く本を探しているのですが」とおっしゃいます。

店主の聞き違いだったかもしれません。いずれにせよ、飾り本をお探しのようです。「こちらの店を紹介してくださる方がいまして」と、ご来店の経緯をお話になりました。

そこで詳しくご要望をお尋ねしたところ、小口(ハラ)を見せて積み上げる本を、30cm×4。立てて背を見せたり、あるいはヒラを見せたりする、大判のビジュアル系の本を10冊ばかり。

納める先は、とあるホテルだそうで、見せていただいた図面によるとテーブルではなく、大きな格子状の飾り棚に、それぞれを配置したイメージが描かれています。

「インバウンドのお客様も多いので、内容もあまり的外れなものでは」と、これはビジュアル本の話。

積み上げる本は何でも良さそうなものですが、シックな色のハードカバーが望ましいらしい。均一に出しているソフトカバーを何冊かまとめて、「こんな感じでは?」とご覧に入れたのですが、いま一つ反応が良くありません。

さらに納期をうかがうと「今週中(つまり3日以内)にお願いできれば」。店主が目をむくと「最長月曜日でも。揃った時点で、まず画像を送っていただければ、クライアントさんに見てもらいます」。

昨日、明古の最中にメールが入り「ビジュアル本は、できれば船や海に関係したものをおねがいします」。

これを見るに及び、「とても納期までに、ご納得いただけるクオリティのものを揃える自信がありません」と、ご辞退のメールを出しました。もちろん「ご予算内では」という蛇足は省いて。

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2019年03月22日

出品の結末

K先生の研究室蔵書を、今日の明治古典会に出品いたしました。書類用の、つまりやや大きめの段ボール63箱。

仕分けは経営員任せ。本来は一緒に作業すべきところですが、下手な手出し、口出しをするより、お任せしたほうがスムーズに行くと考えました。

そもそも先生が、箱ごとに内容を示すラベルを貼ってくださっていましたので、さほど苦労せず仕分けできるだろうと思われましたし。

RIMG3500他の仕分けの口が前日までに済んでいて、今朝は比較的、経営員の手が空いていたという好都合もありました。結局、最初から最後まで、丸投げしたことになります。

その代わり仕分けられた本は、丹念に見て回りました。そして、自分でも積極的に札を入れたつもりです。しかし日本書は、ほとんど買えませんでした。一方の洋書は、おそらく入れたらほとんど落ちてきたことでしょう。

つまり正直に申しますと、積極的に札を入れたのは日本書だけ。洋書に対しては腰が引けておりました。大きくて重い本ばかりだったからです。

そんなわけで、建築専門店が札を入れるには入れてくれたのですが、大部分が無競争入札となり、最低価格に近い落札値。量にすれば3割程度の日本書が、出来高の7割近くを占める結果となりました。

さてこの結果を、先生にご連絡しなければなりません。達観はされておられるでしょうが、それでも淋しい思いは持たれるかもしれません。

しかし淋しい思いなら、むしろ本屋にこそ強いのです。

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2019年03月21日

力になれない

RIMG3496一昨日、近くにある某附属中学校の、卒業を前にした生徒さんからメールをいただきました。鉄道研究部に属しておられたそうですが、内容は大略は次のようなことです。

OBの保護者から寄贈された鉄道関係の雑誌がたくさんあるのだが、「今後も維持・管理していくには限界もあり」顧問教諭とも協議して売却処分することにした。

しかし鉄道関係の取り扱いショップや古書店など数軒に売却交渉したところ、どこからも芳しい回答が得られず、卒業式を前に途方に暮れている。

そこで通学帰りに訪れたことがある貴店で、鉄道模型などを扱っていことを思い出し、是非ともお力添えいただけないかと思いメールをした。


もちろん実際のメールの文面は、ずっと丁寧。「急で厚かましい話ではございますが、明日昼過ぎに貴店にお邪魔して、ご相談させていただきたいと思っておりますが、如何でしょうか」と結ばれています。

中学生とは思えないしっかりした文章に、家人ともども感心してしまいました。とはいえ、「ご相談」には乗れそうにもありません。家人がその旨、返信したはずですが、昨日のお昼、その生徒さんがお見えになりました。

数百冊の鉄道雑誌を、小店が引き受けたとしても、店に置いて売る手間も、場所もありません。市場に出しても値にならないのは「芳しい回答」がなかったことでも明らか。

応対した家人によれば「売却」にこだわるには、理由もあるらしいのですが、「途方に暮れて」いる生徒さんに対して、「引き取り手を探してみましょう」とお返事するくらいしかできなかったそうです。

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2019年03月20日

線引き書入れ

組合ルート便「コショタン」が、明治古典会と洋書会で落札した本を届けてくれました。

どちらも厳選入札で、それぞれ1点のみ。ただし明古は音楽史関係3本口で約50冊。洋書会はアルバムプレイヤードの2本口で、こちらは約40冊。

2点と言ってもそれだけの冊数なので、値付けするだけでも一仕事です。さっそく音楽書から取りかかりました。

きれいな本ばかりでしたから、油断があったことも確かです。ある本の後見返しに鉛筆で年月日と「読了」の文字があるのに気がつき、本文ページを繰ってみると、ところどころに線引きと書入れがありました。

それからは1冊1冊注意して見ていって、そのあとも何冊かに線引き、書入れを見つけました。

RIMG3498とりわけ落胆したのは、12冊セットの『西洋の音楽と社会』(音楽之友社)、上中下3冊の『新西洋音楽史』(同)それぞれに、1冊ずつ書入れ本が見つかったことです。

全体で6〜7冊にしか線引きはなかったのですが、揃い物の場合は1冊でも全体の付け値に関わりますから、影響は小さくありません。

1週間以内なら値引き要請(受け入れてもらえるかどうかは別として)ができるのですが、しばし考えた後、申告しないことに決めました。

値引きを要請する場合、原則として商品を一旦、市場に戻さなければなりません。なぜなら、出品者は値引きを拒否して、返品を要求することもできるからです。

本来は、入札前に良く調べるのが大前提、本屋のモラルです。昔は落丁など、一見しただけでは分からない欠陥だけが、返品、値引きの対象でした。

取引の量が増大し、本口などいちいち調べきれない場合も増えたため、今では線引きも値引き対象とされるようになったのですが、それにもルールがあります。

落札したあと、運んでもらう前に調べることもできたのです。今回は、自己責任と諦めました。

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2019年03月19日

ツブシ収入

RIMG349240年ほども前の頃、古紙はなかなか良い値段で引き取られていました。チリ紙交換が盛んに街を回っていた時代です。

ゴタと呼ばれる書籍類でも、小型トラック1台に満載してタテ場に持ち込めばン万円になるとかで、古本屋さんの中にも、古紙回収で副収入を得ようとする人さえ現れました。

あわよくば、回収した中に値打ちのある本が見つかるかもしれないと、期待してのことでもあります。ですからその逆に、チリ交さんが古本屋になろうとするケースも、一時期多く見られました。

先年亡くなられた「古書いとう」さんは、ご自身のそんな経験を、本にまでされています。

その後、古紙の価格は暴落し、事業者の場合、処分するのに費用がかかるようになりました。その頃です、処分に困った本を市場に出して、売れなくともそのまま廃棄してもらおうと考える同業まで現れたのは。

大量の廃棄本が市場で目に余るようになり、ついに古書組合でも、廃棄する際には有料チケットを購入する、という仕組みができました。20年以上前のことです。

以来、古紙の相場は上がったり下がったり。その都度、有料チケット制の見直しが話題になりましたが、処理業者確保の原資という考えから、今日まで存続してきました。

それがこの度、廃止されることになりそうです。まずは交換会が処分する場合についてだけ、無料化されます。

背景には、古紙価格が最近安定していて、大量にツブシ(廃棄本)を出すB**kOffや、大手ネット古書店などは、それが相当の収入になっているらしいとの情報があります。

古書組合でもツブシをたくさん集めて、新たな事業収入を得ようという考えです。うまく行きますかどうか。

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2019年03月18日

当たり年

駒場の研究室へ、本を引き取りに伺いました。昔、大変お世話になったY先生の、お弟子さんに当たるK先生です。

お世話になった、などと書いているのをY先生がご覧になれば、叱られるに決まっています。10歳も年下の店主を、まるで友人のように遇してくださったからです。

それはともかく、K先生とも、ですからもう長いお付き合いになります。こちらは店主より少し年下。それで今年が定年退職というわけでした。

研究室の本は、ご自身が持ち帰られる約20箱、W大学で引き取りたいという約40箱、その残りがまだ60箱以上あって、それが今日の、お引き取り分。

RIMG3485金曜日の明治古典会に出品するつもりですが、箱詰めされていて、中を見ておりません。洋書も多いと思いますが、主に建築関係の本のはずですから、仕分けの手間などを考えて、明古にさせてもらいました。

組合御用達の運送屋さんに来てもらい、研究室からトラックまで、二人してカーゴ台車で運びました。エレベータで1台ずつ降ろすこと8回、それでも30分と掛からずに作業は終わりました。

帰り支度の間に、運転手さんから「今年は研究室からの引き取りが多いですか?」と質問を受けました。それは彼の実感でもあるらしく、「去年はあまりなかった気がするのですが、今年はずいぶん呼ばれます」。

言われてみると、小店の場合でも昨年は、お声がかかった記憶がありません。重なる年は重なるようで、忙しかった年もありました。

3月中にもう一件、まだ日程も決まらないお引き取りが残っております。

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2019年03月17日

サンドウィッチの本

sandwiches日本に入ってきているのは珍しくとも、現地ではありふれた本だろうと考えて、ブログネタになればいい、くらいのつもりで、BookFinderを検索してビックリ。

George Routledge & Sons から1932年に出版された本書は、19cm、x,86 p. という小ぶりな本ですが、このサイトで見る限り、最安値でも約5千円という値段が付けられています。しかもジャケットなし、少書入れ、少ヨレという説明。それに比べれば手元の本は、遥かに良い状態です。

ちなみに全部で10件ほどヒットした中で、最高値は4万円を超えていました。もっとも、日本でもAm*z*nなどで良く見られる付け放題パターンですから、それが本書の値打ちだとは思えません。

ただ、Routledgeから2005年にハードカバーが、2017年にはソフトカバーが再刊されています。それなりに需要のある本なのでしょうか。

そのソフトカバーでさえ新刊が4千円以上。ハードカバーの新刊は1万円を超えていました。どちらも古本価格のほうが、それより高い。

この本の内容については、ある出品書店の説明をお借りすれば次のとおり。

Over 200 recipes for sandwiches are included in this invalu-
able book, as well as general instructions for making and
hints for picnics. How about "Atta-Boy" or "Arab Queen"?


レシピは長いものでも8行程度。2〜3行というものも多く、他にピクニック、旅行用のメニューとして、それらのレシピを4〜5種類組み合わせたものを24例紹介しています。

店主としては、見返しに書き込まれた昭和8年10月5日、九州小竹、古河西部鉱業所というペン文字から、その持ち主を想像して楽しむ程度のつもりでしたが、俄然、売り物になってしまいそうです。

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2019年03月16日

新品未開封

ある日、一人のご婦人が小店に来られ、本の処分について折り入って相談があるとおっしゃいます。

どんなご相談かとお尋ねすると「家に英語の百科事典がありまして…」、店主の表情をうかがうようにして言葉を継がれます。

「お金はいいんです。主人が亡くなり、色々整理しているのですが、これはまったく使っていないものですし、どうしても捨てられなくて、何とか生かせないかと」

そこで、現在ではそういう本はディスプレイとしての用途しかないと申し上げたところ、「すごくディスプレイには良いと思います」と、意に介されるどころか、まさに望むところといったごようす。

KIMG0905_02しかしご住所をうかがうと、車で20分は掛かる距離。他に処分する本があるわけではなく、それだけということですので、ディスプレイ専門の同業を紹介することもはばかられました。

それならばと、小店から佐川急便の送り状をお客様宛に郵送し、それを利用して古書会館に送っていただくことにしたのです。「それでは送料がかかりますでしょ?」と大変恐縮されたのですが。

先日の洋書会に出品し、どうにか売れたことは、すでに申し上げたとおり。

市場で目にした2箱の百科事典は、当時、送られてきた箱のまま、一度も開けられていない状態でした。さすがにそのままでは出品できませんから、ふたを開け、中から本を取り出しますと、一冊ずつ紙で包まれていて、まさに極美。

これが文学書の初版本なら、それだけで大変な値打ちでしょう。しかし入札した業者はいずれも冷静で、落札値もふだんとさほど違わない金額でした。

ブリタニカのWhite Edition。裏表紙にエクスポ70のマークが空押しされた本。つまり1970年頃に購入され、そのまましまい込まれていた本だったわけです。

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2019年03月15日

連夜の外食

昨晩は「ラー・エ・ミクニ」、今夜は「松翁」、二晩続けて〈名店〉での外食となりました。

昨晩のことはお伝えしたとおりで、総勢50余名が集まっての立食パーティー。数えきれないほどのオードブルと、三種類のパスタ、自家製フォカッチャ、それにメインが豚肉のハーブロースト。デザートも取りやすく小分けされたものが三種類。

参加者には十分満足してもらったはずですが、残念だったのは多くの食べ残しが出てしまったこと。お店の方針で持ち帰りは不許可。フードロスに心が痛みました。

過去に、この手の会で、用意した料理があっという間になくなってしまうということが一二度あり、それが強烈な印象となって、以降、主催者側としては、つい多めに頼んでしまうのでした。

RIMG3483今夜はいつもの5人組による、金曜夜の食事会。先週ほどではありませんが、早めに明治古典会が終了したため、久々「松翁」にでも行ってみようかと電話を入れてみたところ、うまく席が取れました。

予約した午後6時の少し前に入ったときは、先客は1組だけ。しかし、あっという間に席は埋まり、程なく満卓に。人気は相変わらずのようで、席が取れたのは幸運だったかもしれません。

こうなると、他の席ほど盛大に注文しない我々は、やや肩身の狭い思いもいたします。それでも手のかかったつまみ類をじっくり堪能しながら、左党の3人は何本も熱燗徳利を空けました。

最後のシメは、店主はいつもの「ざるけんちん」。ほかの4人も銘々にお好みのそばを頼み、それでお腹も充分。質素倹約を旨とする我が5人組としては、いつもより少しばかり高価な食事会となったのでした。

しかしちょっと気になったのは、そばのゆで加減。微妙に以前と違うような。言い切る自信はありませんが。

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