2018年09月25日

店を伸ばす商売

散水栓に蛇口がついて、店の前の植栽に水をやるのが格段に楽になった――などとこのブログに記したのは、調べてみたら9月5日のことでした。

その後、ネットで水まき用のホースを取り寄せたものの、実際にそれを使って水を撒いたのは、今日までにただ1回だけ。つまりこの20日近くの間、ほとんど連日のように雨が降っていたことになります。

もしかしたら丸1日、雨が降らなかった日もあったかもしれません。しかし、鉢に水をやる必要を感じた朝が、なかったことは確かです。

今日も1日降ったりやんだり。予報では、こんな天気が、まだしばらく続くとのこと。気がつけば9月も終盤で、今月も店売りはきびしい数字になりそうです。

さて今日の洋書会は、月末でネット入札併用特選市。店主も役員として、毎回数点ずつ出品しているのですが、ありがたいことに何点かは売れてくれます。

店主などが言えたセリフではないのですが、やはり市場は交換会。売りと買い、双方に利用できるところにこそ、その値打ちがあります。

RIMG3212今日の場合は3点が売れて、2点を落札。差し引きで、若干の売り越しとなりました。しかも売ったのは3点で6冊。買った2点は全部でおよそ80冊。冊数で比べると、ずいぶん増えたことになります。

一見、とても得したようですが、店主としては80冊を売って6冊買うような商売をしたい。店を伸ばしていくというのは、そういうことだという思いが、今も強いのです。

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2018年09月24日

ハイネは遠く

表の洋書棚のところで、本を手にして、楽しそうに言葉を交わしている男性2人に女性1人の3人組。男性の1人はヨーロッパ系外国人ですが、いずれも若い、まだ20代前半といった年恰好。

話されているのは日本語でしたが、どうやら興味がおありなのはドイツ語の本。ただ外国の方も含めてお三方とも、あまり本屋には、慣れていなさそう。

立ち居ふるまいから、それはすぐに察しられます。もちろん古本屋に慣れていない人は、いくらでもおいででしょうから、不思議ではありません。

RIMG3180やがて店内に入って来られ、そこにも外国書があるのに驚かれたらしく、さらにしばらく棚をご覧になられました。

おそらく日本人のお二人はドイツ語を習っておられ、お連れの外国人はその先生、というのが店主の勝手な見立て。

そのうち女性の「ハイネって何の人だっけ」と囁くように尋ねる声が、店主の耳まで届きました。続いて何かを読み上げるような男性の声。ふと見ると、スマホの画面を指で送っておられます。

後から帳場にお持ちくださいましたので、ご覧になっていた本が、レクラム文庫のハイネ詩集だと分かりましたが、お買い上げを決断されるまでに、しばらく時間を要しました。「19世紀の詩人」と聞いて、まずその古さが、ためらいの原因だったようです。

ハイネ研究者の嘆きが聞こえてきそうですが、ドイツ語を学ぶのは、必ずしもドイツ文学を学ぶためとは限りませんからね。

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2018年09月23日

秋分の日

KIMG0680彼岸花とはよく言ったもので、毎年この時期になると、忽然としてその姿を現すのが曼珠沙華の花です。

昨日まで何もなかったところに、ある日赤いものが目についたと思うと、いつの間にかそこにもここにも緑色の茎が立ち上がり、ことごとく天辺に赤い(時に白い)花を咲かせているのでした。

毎朝、車で通る道、それも家を出るとすぐのところに、この群生地があるのですが、毎年のことと分かっていても不意を突かれます。そしてお彼岸の季節となったことに、気づかされるのです。

今年のように記録的な酷暑が続いたあとでも、ほとんど日をたがえずスイッチが入るというのは、いったいどんな仕組みなのかと、不思議を覚えずにはおられません。

不思議と言えば、まだ酷暑の盛りのある夜、家に戻って車から出ると、頭上から降るように虫の声が聞こえました。蝉にも負けないくらいの音量ですが、明らかに蝉とは違います。

しばらくは何の鳴き声か分からなかったのですが、ある日のこと、偶然つけたTVで、コオロギは羽をすり合わせて音を出すのだが、気温が高いときほど大きく高い音を出す、という話をしておりました。

なるほど、そう言われればコオロギの声です。あまりに力強い音なので気がつかなかったのですが、その音色は確かにコロコロと聞こえました。この虫も、自前の暦を持っているのでしょう。自らの出番を、指折り数えていたかのようです。

やがて秋の深まりとともに、これが寂しげな音に変わっていき、「炉辺のこおろぎ」ともなるわけです。

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2018年09月22日

英国ドラマの光景

ご縁があって、いただいた本を、少しずつ読み進めています。これが案外(と言っては失礼ですが)面白い。

スキャン_20180922『英国を視る 1930年代の英国事情』(松浦嘉一、講談社学術文庫)というのがその本。この文庫が出版されたのは昭和59年と奥付にありますが、底本となっているのは、同じタイトルで第一書房から1940年に出版されたもの。

そのあたりの事情は、著者のご子息に当たる松浦高嶺さんによる「『学術文庫』のためのまえがき」と、外山滋比古さんによる巻末の「解説」に、詳しく書かれております。

なにより裏表紙に、その内容が端的に紹介されていますので、それを引用いたしましょう。

本書は、幻の名著と謳われてその復刊が待たれた英国見聞録で、西洋文化が生んだ理想国家イギリスの全貌を、1930年代の中流階層を中心にいきいきと描いている。わが国で初めて現れた一般向きのイギリス研究の書といわれ、初版が出てからすでに半世紀近い歳月が流れているが、いまなおきわめて新鮮であり、著者の静かな情熱が自ずと伝わってくる。確かな日本人の目がとらえた現代史の貴重な史料としても必読の書といえよう。

案外面白いと申し上げましたのは、もちろん著者の筆力にもよるのでしょうが、描かれている1930年代英国風景が、まざまざと目に浮かぶからです。

ただしそれは、単に描写力によるだけではなく、読者である店主の側が、すでにそうした光景の多くを見知っているからでもあります。どういうことか。

刑事フォイルや、ポアロ、ミスマープルもの、さらにはダウントンアビー、こうした英国TVドラマによって、20世紀前半の英国の社会、風俗そして景色などについて、多くの視覚情報を得ているからです。

だからですね。この本を読んでいて、もう一度それらのドラマを見たくなってきました。

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2018年09月21日

早く終わった市会

鉄道切符、いわゆる硬券というやつのなかには、1枚で何10万円というプレミアのつくものもある、と聞きました。

しかし今日の明治古典会に出ていたのは、質より量。菓子袋ほどの大きさのビニール袋に詰められた、おそらくは百を超える数の袋が平台に山積みされていましたが、落札価格は数千円だったようです。

1枚1円にも満たない価格とはいえ、それでも買い手がつくということのほうが、店主には不思議。ここにも「砂金採り」の生息する余地があるということでしょうか。

全体としては出品点数が少なく、早目に市場が終わりました。こんな時なら入れるかもしれないと、へぎそばの「金剛庵」に仲間が電話を入れたところ、奥の座敷席なら空いているという返事。

足が痛くなるので躊躇ったのですが、食べさせる料理のレベルは高い。不承不承ながら予約を入れておいて、夕方5時半に店に入りました。

まだほとんどの席は空いていましたが、一足先に着いていた仲間の話によると、何組か断られて帰っていったとのこと。店主らの予約で、満卓となったようで、相変わらずの人気店です。

早々とスタートして約2時間、足腰も限界となってきましたので、午後7時半にはお開き。席を立つと、足の付け根に痛みが走り、しばらくはヨタヨタと歩くはめに。

RIMG3176「どれくらい前に予約すれば、テーブル席が取れるのだろう」「座敷を掘りごたつ式にする気はないのだろうか」などと口にしつつ、ほかのメンバーも店主同様、足腰をさすりながら家路についたのでした。

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2018年09月20日

夜はすっかり秋

RIMG3197着ていくには暑いし、持って歩くのも荷物だし、そう思って上着(と言っても薄手のカーディガンですが)は店に置き、半袖ポロシャツで店を出ました。午後2時から始まる「日本の古本屋」事業部月例会議のために、古書会館へ。

今日の会議は通常メニュー。まずはネット広告をお願いしているマーケティング会社さんから、月間レポート。そしてこの先の戦略についての提案。テーマは一つです。限られた予算で、いかに最大の効果を引き出すか。

30分程度が予定時間なのですが、熱が入って約50分。案外多いスモーカーのために、ここでまず10分の休憩。

続いてはシステム管理会社さんから、それぞれの担当分野についての報告。稼働状況、SEO施策、WEB画面改修、スマホ対応、ZIZAI(在庫管理システム)改修などなど。これらを、途中に10分程度の休憩を挟みおよそ2時間半。

そこから先は、ようやくTKI部員だけの会議となり、いわゆる経営戦略会議といった様相となります。

組合事業ですから、収益を上げることが主目的ではありません。組合員の利益となる事業であることが第一。それは取りも直さず、売れるサイトであることです。

売れるサイトであり続けるためには、改善、改修が不可欠です。そのために必要なのは資金ですが、それは組合員からの利用収入に頼るしかありません。

「日本の古本屋」は、販売に対して課金する仕組みではなく、言うならば場所貸、登録データ量に応じて、利用料をいただく方式です。そこで、一軒でも多くの組合員に、少しでも多くのデータを登録してもらうためにはどうすればよいか。

堂々巡りのようなことですが、それを話し合って今日も解散は午後6時45分。急いで店に戻ろうと会館を出ると、半袖では涼しいを通り越し、寒さを感じるほどの雨の夜となっておりました。

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2018年09月19日

『出版トップからの伝言』

topsタイトルが気になって、中を開いて拾い読みしているうちに、半分ほど読んでしまったでしょうか。

『インタビュー集 出版トップからの伝言』(小学館、1992年)という本。インタビュアーは小林二郎氏。煥乎堂の代表取締役(当時)であり「歯に衣を着せぬその発言は、業界のご意見番にふさわしい」と巻頭の人物紹介にあります。

同じページにある説明によれば、書店新風会の会報『新風』・昭和62年1月号〜平成3年10月号に連載された、「ジローは行く」に、加筆、訂正をほどこしたものとか。40の出版社(および取次会社)社長、あわせて45名との対談が収録されています。

目次を眺め、馴染みのある出版社から順繰りに読んでいったのですが、数多ある出版社のなかで、何故この40社なのかが、気になりました。売上高の大きいところ、ということでしょうか。

同様に、会報に取り上げられた順番などにも興味が湧きますが、本書では、社名の五十音順に配列しなおされています。いちいち調べれてみれば、分かるのですが、そこまでの熱意はありません。

時期がまた微妙です。昭和が終わり平成が始まる。つまりバブルが起こり、それがはじける、まさにそんな時期。出版の将来を憂うる会話は散見されても、さほど切迫感がないのも、まさにその時代ゆえでしょうか。

発表誌面の都合上、短くまとめられたのでしょうし、危機意識が表面化していないこともあって、いささか食い足りない感はありますが、いろいろな出版人の姿を知ることができた気がします。

改めて、現在のトップのお話も聞いてみたいところです。

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2018年09月18日

引かれ者の小唄

お昼に洋書会へ。会場、それほど本の量は多くないのですが、古そうな革装の本など、比較的小さな口(少ない冊数でまとめられたもの)が多く、出品点数とすれば、先週や先々週よりも多かったかもしれません。

RIMG3179しかし、ひと回り見た限りでは食指を動かされるものがなく、すぐ6階に上がって雑用を済ませ、仲間と昼食に外へ出てそこで話し込み、戻ったときには開札の3時を回っておりました。

すると、ちょうど聞こえてきたのが「ゴードン・クレイグほか○冊、××円、△△書店さん」という発声。

いったい何が出ていたのだろうかと、気になって落札品を見に行くと、確かにGordon Craigの、もっか小店で在庫していない2冊と、Inigo Jonesの函入り大判本。

思わず唸ってしまいました。落札者も「河野さん、入れたかと思ってました」と、意外そうにおっしゃいます。いつもながらの、単純な見落とし。

もちろん、すぐ売れるあてがあるわけではありませんが、その値段なら、いやその倍以上の値段でも、自分で持っていてもいいと思える本です。

当方が悔しいだけでなく、荷主さんにも申し訳ない。せめて一声かけておいて下されば、などと恨みがましい気分にさえなりました。

おそらく荷主さんにしてみれば、無理に押し付けることになるようで、店主に知らせるのを憚られたのでしょう。確かに、告げられて困る場合もあります。そのあたりの呼吸が難しい。

結局は、自分の目でしっかりと見る。それが市場のAでありZなのです。

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2018年09月17日

店主のオバハン

みたび、いや四度目でしょうか『素敵な活字中毒者』を取り上げます。

大岡昇平の「冬眠日記」と、殿山泰司「1978年(1月〜6月分)」という文章が続いていて、まるで対照的な内容ながら、それぞれに興味深く読みました。

対照的というのは、大岡さんはその題名のごとく、書斎に閉じこもりがちな生活のなか、好奇心のアンテナを張り巡らしての執筆。一方の殿山さんは、仕事柄もあって、移動先のエピソードも多い。

しかし、当時71歳の大岡さんが「中島みゆき悪くなし」と書かれ、「アバ」のLPを買ったりされているのに比べると、店主の方が老化の進みが早いような気がします。

殿山さんに至っては、ふたこと目には自らをジイチャンだとか、老残役者だとか蔑称するのですが、執筆当時63歳。そのエネルギッシュな生活ぶりは、ひとつも枯れたところが見られません。

などと、ついつい自分の年齢に引き比べて読んでしまう店主でありました。

RIMG3201その殿山さんに「伝法院通りの古本屋で見つけたハヤカワ・ミステリ」という字句がでてきます。すぐには気づかなかったのですが、この店はT堂さんに違いありません。

昭和30年刊定価2百円のものが8百円とありました。タカイじゃねえか、と店主のオバハンに文句をいったら、この本はなかなか出ないの、少ないからタカイのよ、と経済学の初歩みたいなことを教えてくれた、おおきにィ!!

悪態をついているように見えますが、早くにご主人をなくされた未亡人が店主であることを知っているほど、お馴染みだったということでしょう。オバハンというような年ではなかったはずですが、そこが殿山流ですか。

その息子さんとは、20年以上も前に、明治古典会で一緒に経営員をした仲です。店主よりはずっと若いのですが、いまでは立派に店主のオッチャンとなっております。

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2018年09月16日

広報誌を広報する

そのかみ「猫は繋いで飼うのが一般的」だったそうです。

tansei教えてくれたのは東京大学広報誌『淡青』の特集「猫と東大。」。何を目的に何部くらい発行されているのか、まるで存じませんが、無料の配布物で、送料(180円)さえ負担すればテレメールでも取り寄せることができるとか。

広報誌なのだから、広報が目的に決まっているだろう、とお叱りを受けそうですが、誰を読者に想定しているのかが、店主にはイマイチ不分明。

だからと言って、面白くないというのではありません。特に今回の猫特集は、並の雑誌では真似のできない、多彩な記事が揃っています。

そのひとつが冒頭の知識を得た「東大所蔵史料からみる鼠を捕る益獣としての猫」。著者は、史料編纂所准教授の藤原重雄先生。

猫も、昔から自由の身分、というわけではなかったようで「16世紀ごろまで、猫を繋いで大事に飼う習慣が根付いていた」とのことです。それを放し飼いにするようになったのは、もっぱら鼠害対策であったらしい。

慶長七年八月中旬に京都に立てられた高札が話の発端である。「洛中の猫の綱を解き、放ち飼いにすべし。同じく猫の売買を停止すべし」。

この先、猫の盗み取り、他所から離れてきた猫の捕獲、猫の売買を禁止する、といった法令が見られるようになるそうで、つまりはそうした行為が横行していたということでしょう。

興味深い飼い猫の歴史、もっと詳しく知りたいかたのために、著者の本も紹介されています。ちなみに、本広報誌のテレメール資料請求番号は953600。この仕組みも初めて知りました。

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