2020年01月18日

明古のち新年会

昨日の新年第2回となる明治古典会も、出品量は少なめでした。先週に続いて3階だけでの開催。

しかし今回は明古らしい近代文学関係の口が出ていて、見て回るだけでも楽しい市でした。

とりわけ最終台に置かれていた薄い3冊の雑誌。月刊雑誌『月曜』というのがそのタイトルですが、不勉強な店主にとっては、見るのも聞くのももちろん初めて。しかし表紙に刷られた目次を見るだけで、それが只者ではないことくらいは分かりました。

編集者は尾形亀之助、出版は恵風館。大正15年という刊年が記されています。

執筆陣には島崎藤村・室生犀星・宮沢賢治・佐藤春夫・稲垣足穂・武井武雄など、ビッグネームが目白押し。6号までの発刊が確認されているそうです。1冊50頁弱の薄い雑誌ですが、大正末期の文壇・詩壇の、貴重な資料であることは間違いありません。

昨日は夕方から洋食の『七條』で、長年恒例となっている旧理事会の新年会がありました。年に一度しか会わない仲間もいて、歓談に花が咲いたのですが、石神井書林の内堀さんもメンバーの一員です。

たまたま席が隣り合って、話題は自ずと『月曜』を初めとする、その日の市場のことに。

店主とは違い、彼にとっては専門分野です。先週の宮沢賢治の名刺もふくめ、RIMG4093興味深い話をいろいろと聞かせてもらいました。そして、市場というのは何が出てくるか分からない、本当に面白いところだと、今さらながらに肯き合ったのでした。

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2020年01月17日

四半世紀

少し早めに目が覚めて、TVのスイッチを入れるとニュースをやっていて、神戸からの中継画面が現れました。

25年前のこの日にあった阪神淡路大震災。午前5時46分を期して、ろうそくの明かりだけの中で黙祷が始まります。こんなに暗い時間帯だったのだと、あらためて恐ろしさを感じました。

その日の朝、車を預けていた近くの小さな自動車整備工場へ行き、狭い事務所の中に置かれたブラウン管TVの画面に不思議な光景が写っているのを、ぼんやり眺めたことを覚えています。

RIMG4091横倒しになった高速道路が映し出されていたのですが、とっさにはそれが何を意味するのか、よく理解できませんでした。

もちろん地震があったというニュースはすでに知っていたはずですが、それといま目にしている光景とが、なかなか実感を持って結びつかなかったのです。大災害は常にそうかもしれませんが、その被害の全貌が伝わるまでには、ずいぶん時間がかかったという記憶があります。

今のようにネットが普及していませんから、関西に住む友人知人に安否を問い合わせたのは電話。それも少し日をおいてから。幸い知り合いはみな無事でしたが、ひとつ間違えばという話も聞きました。

それから四半世紀の年が流れたというわけです。

修理や鈑金塗装などもやっていた近所の整備工場は、もうずいぶん前に仕事を止めて、建物も変わりました。

あの時、どんなことで、その工場に車を預けていたのか。それともその日、預けに行ったのだったか。どうでもよいことですが、少しも思い出せません。

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2020年01月16日

本というオブジェ

IMG_20191229_075444ある有名ブランドの本棚に、オブジェとして「かっこよく」本を並べたいのだが、見積もりを出してもらえるか、というメールを、もう一月以上前にいただきました。

あまり唐突でしたので、ご要求を確かめるために何回かやり取りを重ねました。

参考にといってメールに添付して送られてきた、メーカーのホームページに掲載されているらしい商品画像。黒や白の本が横になったり、縦になったりして入っています。

そんな感じで、ということのようですが、似たような見てくれの本を新刊で揃えようとすれば、1冊で1万円以上はするでしょう。

そんな金額は出せないから、小店あたりに頼んでくるのでしょうが、確かにその手の本は、もし市場に出てくればずっと安く手に入ります。ただし何時現れるか分からない上に、店主がその注文を受けたとして、似たような注文を他の本屋さんも受けていないとは限りません。

そんなことより、今回のご依頼で一番驚いたのは、モデルルームとかショウルームに使用するのではなく、実際に本棚をご購入されるお客様のためのものだという点です。本棚に中身をつけて販売するというわけです。

それを聞いた時、思わず「お客様は本に触ったり開いたりされることはないのですか?」と尋ねました。すると即座に「ありません」というお返事。棚を飾るオブジェが足りないので、本も並べておくという発想なのでした。

呆れつつも、今さらお断りもできず、どうやって本を集めようかと考え始めた矢先、「お客様から『著者や分野で選ぶことはできますか?』という質問をいただいた」との連絡が入りました。

どうやらお客様は、オブジェと本とを、別のものとしてお考えいただけそうです。仕切りなおして、ご意向を確認しようと思います。

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2020年01月15日

歳月不待人

坪内祐三さんの訃報を聞いて、なないろ文庫のことを思い出しました。

店主が坪内さんの面識を得たのは、『彷書月刊』の、何かの集まりを通じてだったはずだからです。初めがいつだったかは思い出せません。いずれにせよ飲み会の席でした。

坪内さんについては、店主よりはるかに親しい本屋さんが何人もいますから、今さら店主が言うようなこともありませんが、一番最近お目にかかったのは、昨秋の「洋書まつり」会場でのことでした。

ひと言ふた言、言葉を交わしましたが、その内容も今となっては定かでありません。

RIMG4070ななちゃんを思い出したのには、もう一つ理由がありました。享年61と知って、あるいは田村七痴庵と同じではないかという気がしたのです。

調べてみるとやはりそうで、今から9年前の2011年。彼は店主と同年ですから、その年に61歳になるはずでした。月も同じ1月、新年早々の7日に通夜があって、参列したことをブログに記しております。

同年の朋輩を送る時にも早過ぎると思ったものですが、10歳近くも年下の知人の逝去を知らされると、より一層その気持ちが強く感じられます。そしてその間に9年の月日が流れていたことにも、あらためて驚かされるのでした。

歳月不待人——開業の挨拶にこんな文句を葉書に印刷して知友に配ってから、37年が経とうとしています。

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2020年01月14日

損もできない

洋書会は今日も厳しい出品状況でした。

正直に申しますと、先週と同じく店主が市場に着いた時点で、洋書の出品はゼロ点。こういう事態が予想されたことも、昨日、中央市会にでかけた理由でした。洋書の山でも出ていたら、ともかく札を入れ、落札したら今日に回そうという目論見があったのです。

しかしそう好都合にはまいりません。確かに洋書が出てはいたのですが、中身で売れるような本は少なく、ディスプレイ屋さんが仕入れるような大判のビジュアル書ばかり。これについては、専門業者も入札にきていますので、ここで争っても意味がありません。

RIMG4073店主の狙いは大山の中に、仕分ければ生きるような本が入っている口でしたが、昨日については、そうした出品は見つかりませんでした。

それでも何点かは入札し、落札できたものがありましたので、苦肉の策としてそれを再出品、会場に並べました。

そんな策を講じているうちに一件、ご出品の持ち込みがありました。カーゴに軽く1台。地獄に仏とは、このことです。さっそく仕分けに取り掛かりました。

ただし、とても手ごわい口でした。ほとんどがドイツ語の本で、もっとも目に付く単語がGeograpie。つまり地理学関係の一口というわけです。それも農業地理とか、土地利用とかいった類の専門書。

何とか仕分けたのですが、なかなか札が入りません。半分ほどは店主が買うことになりました。売れればもちろん儲かるのですが、売るのに苦労しそうな本ばかりです。

会員仲間の格言に「買わなきゃ損もできない」というものがあります。なかば戯言ではありますが、反面、深い真理も含んでいます。それをしみじみ感じた一日でした。

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2020年01月13日

犬も歩けば

RIMG4071三連休最後の日、朝の道路の空いていたこと。淡島通りに入って、しばらくは前方に車が見えませんでした。

こんな日に店を開けても、売り上げは知れているのですが、それを言ったら、いつだって知れています。今日も休まず営業したことは、申すまでもありません。

世間は祝日なのですが、中央市会は開催されました。出品量が多い同会は、一回休むとそのシワ寄せで翌週は大変なことになります。そのため祝日・振替休日に重なった月曜日にも、大抵は開催するのです。

その中央市会に、足を運びました。休日開催にもかかわらず、荷物は2階から4階まで溢れています。これでは休むわけにはいかないでしょう。

市場で会った同業は一様に「珍しいね、組合の仕事?」などと尋ねます。「今日はお休みでしょ」と返すと「あ、そうだ」と、さらに不思議そう。「ホンの気まぐれです」と答えておきました。

実際は、土曜日の五反田でも全く手に入らなかった文庫本を、何とか仕入れたいと思ったのが一番の動機でした。そのほかにも目的はありましたが、それを話すと長くなりますので別の折に。

さて久々の中央市会は、さすがに大量の本が積まれて並んでいます。お目当ての文庫についても、入札に迷うほど。軒並み入れて、万が一にも落ちたら処置に困ります。かと言って、何も落とせなければ出向いた甲斐がない。

冷静に普段の基準で、好みのものに絞って入札し、あとは運を天に任せて店に戻りました。

夕刻、エクストラネットで確認すると、文庫関係は3点22本の落札。足を運んだだけのことはあったようです。

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2020年01月12日

思わぬお年玉

昨日は新年第一回目の南部地区入札会。

特別多いというほどではありませんでしたが、今年に入って荷の少ない市が続いていましたから、それに比べればよく集まったと言えます。

会場に入っていきなり、文庫の山が目につきました。一見して、小店向きではなさそう。カバーのないものや、あってもイタミが見られるもの、ヤケているものなど、状態が今一つでした。

しかし中にはきれいな本もあって、タイトルを見るとしっかりした本です。あらためて全体を見ると、どれも読書人好みというか、スジの良い本揃い。どうやら古書店やBookOffなどを回って、こまめに買いあつめられたらしい。

ちくま文庫系の大きな山もありました。同じ口からそれだけを仕分けたようです。これもイタミが目につきましたので、きれいな本の場合の4、5割程度の札を入れてみたのですが、やはり落ちませんでした。

RIMG4072昨日の市では、この文庫を含む文学系の一口が、量としては恐らく一番の大口だったでしょう。近現代の詩集や文学書、評論集などが、数十点に仕分けられて2階会場に並んでいました。

それでも売り上げ高1番は、おそらく別の一口物だったと思われます。家庭用一般書の引き取りと思われるなかに、大正期の珍しい写真雑誌が10冊ばかり混じっていたというのです。

事業部員が気付き、それだけを別に仕分けて、最終台に載せたということですから、処分したお客様はもとより、買い取った業者さんも、本の値打ちには気づいていなかったはずです。

ビッグなお年玉になったことでしょう。

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2020年01月11日

ちうぐらいなり

昨日は明治古典会恒例の新年会。開宴予定は午後7時。

お伝えしたように、市場の出品点数が少なかったこともあり、ふだんよりずいぶん早く終わってしまいましたが、スタートを繰り上げるわけにはいかない事情がありました。

と言いますのは、午後6時から月例の役員合同会議があって、店主を含め数名が、この会議に出席しなければならなかったからです。

その6時までにも、かなり時間はありましたが、幸か不幸か店主には、片付けておくべき仕事がいくつかありましたから、会議の始まるまで、古書会館で作業を続けました。どこか店に入って、軽く一杯やりながら時間を過ごした連中もいたようです。

合同会議のほうは年明け早々のこととて、とくに問題もなく終了。会場の「銀座アスターお茶の水賓館」までゆっくり歩いて、開宴の5分前には到着できました。

同じ明治古典会の新年会で、かれこれ20年ほど前にここを利用した記憶があります。その時のメンバーが何人くらいいるかと会場を見回すと、ざっと3分の1といったところでしょうか。10人に満たない数でした。

といっても当時の記憶はほとんどありません。確か集合写真を撮ったような気はしますが。

料理については、あの頃どんな印象を持ったのか覚えておりませんが、今回は少なくともそれほど感動はしませんでした。紹興酒をいただいたのですが、これも店主の好みとは違いました。

IMG_20191229_075208余興のビンゴゲームで、割合早くにビンゴ。懸賞として貰ったのは3百万円が当たるというスクラッチくじ5枚。さっそく削ってみたところ1枚だけ2百円が当たりました。

まさに めでたさも ちうぐらいなり おらが春

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2020年01月10日

高価な名刺

今日は明治古典会の初市。やはり出品量が少なく、聞くところによれば今週は、どの本部市会も似たり寄ったりで、量的にはさびしいものだったようです。

点数としては年末よりもさらに少なく、3階ワンフロアだけでの開催でしたが、さすがに最終台には面白いものが並んでいて、新年らしい華やかさも感じられました。

古筆や、古写経、浮世絵などは高額品ではあっても、かくべつ明治古典会らしいとはいえませんが、山頭火や、宮沢賢治の関係資料は、明古ならでは。

とりわけ宮沢賢治資料というのは、童話作品の初版本(だったと思います)数冊と、何枚かの写真が広げられていたのですが、賢治の場合、初版本として高価なのは存命中の2作のみで、あとはよほど状態のよいものでない限り、最終台に乗るほどではないと思っていました。

RIMG4057写真はどうかといえば、複製でなければ充分に価値はあるでしょう。しかし見た限り、賢治の写っているものは、生写真のように見えませんでした。複製でも古いものなら、ある程度値になるかもしれない――というのは、今回知りましたが。

それらの賢治関連資料の中で、一番値打ちがあるのではないかと店主が感じたのは、賢治の名刺です。仕事の肩書き付の名刺。

詩人、童話作家としてしか知らない賢治の、生活者としての一面が、リアリティをもって浮かび上がってくるような、小さいけれど説得力のある資料でした。

ところが落札価格は、店主の想像をはるかに超えた金額。名刺一枚にしては、あまりに高すぎます。ほかのもろもろの中に、店主の気づかなかった貴重な資料でも含まれていたのでしょうか。

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2020年01月09日

隠れていた遺産

家人が年末に家の片付けをしていて、一年ほど前に届いていた、母親あての郵便物を見つけました。

家人の母、すなわち店主の義母は7年前に他界しております。未だにDMなどが舞い込むことはありますが、これは近くの信用金庫からの封書。開けてみると、出資配当金の通知書でした。

生前、お付き合いで払い込んだもので、出資金額は1万円に過ぎません。その程度のものですから、亡くなった時にも、見過ごされてしまったわけです。

おそらく銀行口座の残高をゼロにしただけで、解約せずにおいたため、今日まで気づかずに来たのでしょう。

念のため家人が信金まで出向いて問い合わせると、確かに出資は残っており、解約請求すれば戻ってくるお金だと分かりました。

そこで請求手続きを取ることにしたのですが、それからが大変です。まず第一に本人と母親の戸籍謄本、除籍謄本などが必要。印鑑証明も必要。

RIMG4063それぞれ本籍は現在の住所ではなく遠隔地ですので、取り寄せなければなりません。さらに家人は印鑑証明カードを紛失しており、あらためて印鑑登録をしなければならないそうです。

その登録には身分証明書が必要なのですが、免許証を持たないうえに、マイナンバーカードだって持っていない家人は、証明書類をそろえるのが面倒。

最終的に出資金を手にするまでに、果たしていくらの費用と手間が掛かるかを考えると、いっそ放置したほうが合理的かもしれませんが、「ここまで来たら意地でも」と、やり遂げる構えの家人であります。

何億円という割引債とは、大違いの遺産騒動です。

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