2019年05月24日

真贋を見極める

今朝、市場に着くと、近代自筆物をご専門とする先輩会員が、少しばかり困ったような口調で「すごいものが出ているんだ」と声を掛けて来られました。

KIMG1021詳しく伺うと、ある業者さんから夏目漱石、正岡子規の絵入葉書、樋口一葉、岡倉天心の書簡が持ち込まれたのだそうです。

本物であれば、それぞれが最終台に並べられるような品。それだけにまた偽物(贋物)も少なくありません。そこで先輩は、ご自分の店から資料を取り寄せ、真贋の鑑定をしようとされていたのです。

店主も傍で、結果を見届けることにいたしました。

すると4点のうち3点までは、早々に「怪しい」という結論に達しました。漱石と子規と一葉です。

「怪しい」からといって、出品を差し止めたりはいたしません。業者同士の取引ですから、結局は自己責任であるとされています。ただここは難しいところです。そうしたものの流通を、業界として黙認することになるからです。

こんな場合、最終台に置かないことで、明治古典会としての見解を示しております。それでも札は入りました。遊び半分と思われる値段ではありましたが。買われた方がどんな売り方をされるのかが、いささか気になります。

残された1点、岡倉覚三の書簡については、「怪しい」3点と一緒に持ち込まれたというのが一番の懸念でしたが、それ以外は悪くなさそうに見えます。そこで先輩がご自分でも札を入れるからと、最終台に載せました。

結果、本日、二番目の落札価格となったのでした。

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2019年05月23日

行きつ戻りつ

RIMG3625七夕大入札会目録の編集は、昨日でほぼ終わりました。正確に申しますと、会員総出の割り付け作業は終了いたしました。

これで7階会議室をすべて使って行うような作業は、初校の日までありません。しかし例年のことではありますが、今日の木曜日まで会議室は押さえてありました。

昨日のうちに終わるのは、ほぼ毎年のこととして分かってはいるのですが、それでも何が起こるか知れません。保険として予備日を設けておくのも、また例年の決まりです。

というわけで、今日の古書会館7階会議室は、利用する人もなくガランとしていたはずです。

にもかかわらず本日のTKI定例会議は、いつもと違う場所で開かれました。一ヶ月前には日程を決めるのですから、その時点で塞がっている会議室を、たぶん空くからといって当てにするわけには参りません。

古書会館にほど近い、中央大学駿河台記念会館の会議室が、今月の会場となりました。事業部員に同大学のOBがいたお陰で、借りることができたのです。

建物自体はずっと大きいのですが、部屋の広さはいつもとあまり変わりませんでしたので、いつものような雰囲気で会議は進みました。

改善を進めているスマホ用画面で、ある部分にあるボタンをつけるか否か。それだけのことに15分が費やされます。ところがシステム会社の担当者さんによれば、すでに一度は決まっていた話だとのこと。

一時が万事、あるテーマが爼上にのせられるたび、いくつもの意見が出て話が行きつ戻りつし、巻き戻されることも一再ならず生じます。それもこれも熱意の現れだと、店主は思っております。

という次第で、会場が変わっても、いつものごとく長い会議となったのでした。

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2019年05月22日

割り付け完了

月、火、水と毎朝10時に古書会館集合。店主にとっては結構ハードな日々でした。

午前8時半の通行禁止解除を待って店に来ます。出かけるリミットは午前9時15分。その間45分といっても、実際に店に着くのは35分過ぎで、すでに5分削られています。

それからとりあえず店の中の棚を外に出し、開店できる態勢にするだけで10分やそこらはかかります。

その次にネットを開いて、すぐ対応しなければならないことを調べます。注文品の探し出しと返信。決済品の書類作成と発送準備。

家人に頼める仕事は残しておくのですが、店主でなければ分からない在庫品などもあって、見つけ出すのに手間取ったりすると、30分はあっという間です。

今のところ家人は、パソコンによる発送関連書類の作成ができません。そこで、朝から出かけてしまうような日は、あらかじめ店主が、必要になりそうな書類を作ることにしています。

特にクレジット注文品は、いつ決済が来てもいいように、前もって領収書と宛名ラベルを印刷しておきます。ところが、そういうものに限って、なかなか決済が来なかったりします。

RIMG3620今朝の時点でクレジット決済予定は1件だけでしたので、その書類を用意して出かけました。帰って見ると未決済。しばらくするうち、キャンセルのメールが入りました。一方で、作っておけばよかったという書類が何件かありましたのに。

さて七夕大入札会目録は、ほぼ今日で割り付け作業が終わりました。おやつをいただいてから、すぐ退散しましたので、今日入稿できたか、もう一日チェックして明日の入稿かは確かめておりません。

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2019年05月21日

祖父蔵書

大雨注意報が出て、朝から本降り。風も強く、市場に向かう途中、ビニール傘の骨が曲がってしまいました。

洋書会当番で10時集合。今朝は自分の出品、ダンボール10箱の仕分けが仕事です。例の「おじいさんの本」。相当汚れがありそうですので、ロッカーからエプロンと軍手を取り出して作業にかかりました。

RIMG3680いざ箱を開けてみると、出てくるもの出てくるもの、そのほとんどが雑誌。「雑誌が多いですよ」とは聞かされておりましたが、実際のところ全体の8割が雑誌類でした。

哲学雑誌、倫理講和、宗教雑誌といった、明治末から昭和初期にかけての哲学関係バックナンバー。合わせると千冊以上にはなりそうです。ただ、いかんせんヤケと傷みが激しく、本としてはほぼ「終わっている」状態。

結局雑誌は、30冊ほどの1タイトルが2千円で落札されただけ。残りはあえなく処分となりました。

雑誌以外では、古い哲学書が100冊ばかりあったのですが、ここでも処分を免れたのは細かく分けた5点20冊ほど。

そしてベデカ。そもそも道具屋さんが送ってきた写真の1枚に、このベデカ(しかもロシア)が写っていたことで「引き取ってきたら」と促したのでしたが、この8冊は予想に違わず値がつきました。

こうした結果から、残りの蔵書を整理する気になられるかどうかは、道具屋さんが持ち主に伺ってみないことには分かりません。

しかし今回一番驚かされたのは、これら10箱の蔵書すべてに1970年の11月末から12月初めの日付と、遺贈された方のものらしいお名前が記されていたことでした。茶色く変色した雑誌の1冊1冊に至るまで。

一部には「祖父蔵書」という文字も書かれてありました。

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2019年05月20日

階段で降りる

RIMG3679七夕大入札会の目録編集が始まりました。

先週金曜日に締め切って、翌土曜日も一部の作業はあったのですが、全員が集まって編集にあたるのは今日と、水曜日。それで終わらなければ、木曜日が予備日として残されています。

店主の担当は、いつものように地図。長年担当していますが、一向に商品に関する知識は増えません。ただ編集の手際だけは、多少向上してきたと思います。この分野に集まった点数が、昨年より減ったこともあり、お昼を少し回った頃には、今日できる作業はほぼ済ませてしまいました。

事情が許せば、さらに先へ進めて、今日中に割り付けまで終えることさえできそうでしたが、若干の追加原稿を待つ必要があり、店番交替の都合もありましたので、キリの良いところで先に帰らせてもらいました。

作業場所は7階会議室。そこから階段で1階まで降りることにしたのは、途中、中央市会の様子を覗いてみようと思ったからです。

洋書会大市のため先週一回お休みしたこともあって、大量の出品だという話だけは聞いておりましたが、4階、3階の会場は入り口近くまで本の山が壁をつくり、2階の準備室も会場になり、さらに階段は4階から1階まで、余すところなく壁面に本が積まれていました。

今日の市会終了は、果たして何時になるのでしょう。終えてからさらに大量の片づけに、一体どれくらいの時間がかかるでしょう。明日の洋書会までに、どれくらい片づいているのでしょうか。

中央市会の皆さん、本当に「お疲れ様」です。

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2019年05月19日

切羽詰まって

今朝、車で店に着こうかという時、お向かいの母子がお出かけになるところとすれ違いました。二人そろって祭り半纏。ひっつめ髪に豆絞り。

車の中から会釈を交わしたものの、とっさにはその姿の意味するところが分かりませんでした。向かわれていたのは駅の方向。

店の駐車場に車を入れる段になって、ようやく気がつきました。今日は浅草三社祭ではなかっただろうかと。先週が神田祭でしたから、ちょうどその時期。ネットで調べて確認すると間違いありません。

そういえば、以前にも祭り装束のお向かいさんを見かけたことを思い出しました。おそらく毎年、神輿を担ぎに行っておられるのでしょう。

今日はお天気の良い日曜日。町内会がフリーマーケットを開いているようです。店の前は日中、車両通行止めになると、しばらく前からポスターが貼り出してありました。おかげで実に静か。

催しが開かれているのは通りのずっと先。店のあたりは人通りもまばらで、そういえば家族連れもほとんど見かけませんでした。

RIMG3675午前中に若い女性の声で電話がかかってきました。おずおずとした中にも必死さが感じられる口調で、1冊の本を着払い、それもできれば速達で送って貰えないかとおっしゃいます。

売値千円の本です。下手をすると、本の代金と同じくらいの送料になってしまいます。そう申し上げますと「構いません」とのお返事。そこで、振替用紙を入れて先送りして差し上げることにしました。

こういう切羽詰まった注文は決まって学生さんだ、というのが、昨日もお話しした書店勤めの末娘の常日頃の見解です。確かにそのようでした。

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2019年05月18日

うちだけかと

「連休が明けてから店が売れないなあ」と、昨日の明治古典会で一緒に札改めをしていた先輩会員が、前半の開札が終わって休憩に入った時、ぼやきをもらしました。

神保町表通りの大店です。4月29日、30日は開けて、5月1日から6日までお休みされたとか。

RIMG3646「こんなことなら休まずに開けていればよかった。開けてたところは、そこそこ売れたみたいじゃない。うちは令和に入ってさっぱり売れない」

聞いていた同じく神保町の若手が「本当に休み明けから売れないですね」と相槌を打ちますと「特に今週に入ってからまったく売れない」と先輩。

「うちもそうですよ、やはり休みでお金を使い果たしたのですかね」と若手。

「うちだけかと思った」と会話に加わったのは、そばで聞いていた店主。「いやうちもうちだけかと思ったよ」と先輩。ひとしきり店売りの低調を嘆きあったのでした。

小店の場合、店売りばかりか、ネットからの注文もこの数日、パタリと止まってしまったように感じます。昨日など唯一入った注文——これは「日本の古本屋」を通さず、直接某大学図書館からメールが届いたのですが――は、なんと在庫切れ。

今日に入って久々に1件。連休前から連休にかけて、割合好調にご注文が入っていただけに、一層落差が目立ちます。

そういえば、渋谷の大型書店で働いている末娘も、連休以後、あきらかに客足が落ちていると話しておりました。やはりお財布が軽くなっているのでしょうか。

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2019年05月17日

二匹目のドジョウ

火曜日の夜、懇意の若い道具屋さんが小店に持ち込んだのは、ダンボール10箱だけではありませんでした。

それよりはるかにかさ張る何十枚もの額、20本ほどの掛け軸、そのほかさらに数十枚の短冊や色紙。

これには伏線となる話があります。じつは数週間前、彼が一隻の小型屏風を持ってきました。それを預かって市場に出したところ、思わぬ高値になったのです。

屏風には会津八一の葉書が2枚嵌め込まれており、彼としてはそれが値になるのではないかと思ったようです。しかし実際に値がついたのは、別に嵌め込まれていた小さな肉筆絵ゆえでした。

その屏風にはもう一通書簡が嵌め込まれていて、末尾に小村泰助という署名。つまり雪岱こそが、その絵の描き手だったのでした。

それに味を占めたというわけではないでしょうが、もしやという期待は生まれたでしょう、残りの額幅類を全部引き取ってきたようです。

水曜朝、ルート便のカーゴ2台に苦労して詰め込んだ荷を、今日の明治古典会に出品いたしました。幸い出品量が少なめだったこともあり、先輩会員までが丁寧に目を通してくださって、30点ほどに仕分けられました。

RIMG3655それなりに名の通った文人の短冊色紙もありましたが、結果はすべて合わせても、前回の屏風一隻の半額程度の売り上げにとどまりました。

それでも、良く捌けたものだ、というのが店主の偽らざる感想です。

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2019年05月16日

ヤマボウシ

アメリカヤマボウシという別名もあるハナミズキは、とっくに花の季節を終えましたが、本家のヤマボウシは今がちょうど開花時期。
KIMG1028
我が家の庭でもポツリポツリと緑がかった白い花を咲かせていて、派手やかなハナミズキに比べ、その控えめな風情がとても好もしく感じられます。

などと思っていたら、控えめなのは我が家の日当たりの悪さゆえで、ネットで調べるとかなりたくさんの花をつけた写真が出ておりました。

しかも店主が花だと思っていたのは総包片という、葉が変形したもの。花はその中央にある球状の部分だそうです。秋に赤く色づいて、マッチ棒の頭を大きくしたようなものが落ちているのが、つまりその実だったのでした。

ヤマボウシという名から、勝手に鄙びた山里などを想像して共感しておりましたが、じつは十分に目立つ花木なのだと知りました。それでも我が家のポツリポツリも、やはり捨てがたい。いっそう健気に思えてきます。

連休をはさんで、ネット注文のご決済やご入金が遅れるケースが目立ちました。そのうち何件かは、取り置き期間超過でキャンセルとなっています。小店では10日ほどを目安に何のお返事もない場合は、商品を売り場に戻すことにさせていただいているのです。もちろん何回かお問い合わせをした上でですが。

今日もきょうもそんな1件があり、解約させていただく前にと、家人がその方に電話を入れました。するとメールを受け取っていないとのお返事。ではともかくマイページをご覧くださいとお伝えして電話を切ると、すぐあと決済がなされました。

そういうケースもあります。

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2019年05月15日

おじいさんの本

ある同業の先輩がかつて「おじいさんの本買います」というキャッチフレーズを思いつきました。

ご本人が買入広告などを出しておられるところは、あまり見た覚えがありませんが、その思いつきをあちこちで話し、業界内で拡散をされました。

それをいただいて使っている1人がよみた屋さん。ご覧になった方も多いと思います。一方で最近「研究室の本、整理いたします」だったか、そんなようなコピーも使っておられ、買取りに力を入れている様子がうかがえます。

RIMG3669店主のような怠け者とは対極の働き者です。もっともこの業界世間から見るよりずっと働き者の割合が高く、毎日のように買い取りに出かける業者が多くいます。おかげで市場に、尽きることなく本が流れ込んでくるという次第です。

それにくらべ買い取り広告も打たない小店ですが、近頃、若い道具屋さんがいろいろと面白いものを持ち込んでくれます。道具を引き取りに行って、本がたくさんあったりするとLINEで写真を送ってきます。それを見て店主が、モノになりそうかどうか返事をするのです。

先日、ちょっと暗くてよく見えない写真が送られてきました。ドイツ語の哲学書らしいと彼。確かにそれらしい文字が見えますが、読み取るまでは無理でした。ただ何冊か、ベデカらしい本が写っています。そこでとりあえず引き取ってきたらどうかと話しました。

昨夜、ダンボール10箱ほどが運び込まれましたが、まだ大量にあるとのこと。ただし、片付けをしないと出せない状態らしく、この10箱がいくらかにでもなるなら片付ける、というのが持ち主の意向だそうです。

それが店主ほどの年の方で、蔵書はお祖父さんのものだとか。大正期、マルク暴落時に大量に買い込んだものだと言います。広げる場所もないので、今度の火曜日に洋書会に出品することにしました。

鬼が出るか蛇が出るか。

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