2022年08月12日

買わない理由

82968貴店の「日露戦争 起源と開戦」について伺います。お写真を拝見すると下巻には帯がついていますが、背ヤケの状況は如何でしょうか。下巻の背ヤケが僅かであれば、購入を考えています。

こんなご質問をいただきました。たまたま店の棚に挿してある本でしたので、すぐ取り出して調べてみました。

一見して、いくらか背の部分が褪色しているように見えます。なるほどこれを気にされているのかと思いつつ、帯を外してみました。

すると不思議なことに、帯の下も同じように褪せています。よくよく見てみると、背の部分とヒラの部分とでは、微妙に色を変えて印刷されているのでした。

つまりヤケではなく、背文字を際立たせるための工夫だったようです。そのことをお伝えし、ほかの点でも問題のない、きれいな本である旨を付け加えて返信いたしました。

二日後に、お返事をいただきました。

ご回答、誠にありがとうございました。今回お問合わせをさせていただいた書籍については、ひと月ほど前に上巻のみ購入し、下巻を探しておりました。そのような中いただいたご回答は大変ありがたかったのですが、実はそれと相前後して、某所で下巻を発見したため、急ぎ購入してしまいました。お問合せしておきながら大変失礼とは思っておりますが、上記の事情により、今回は購入を見合わさせていただきます。

わざわざお知らせいただけただけでも、ありがたいことに思います。

konoinfo at 18:30|PermalinkComments(0)

2022年08月11日

最遠出張記録

もうすぐ40年になろうとする小店ですが、これまでに一番遠くまで出張買い取りに出かけたのはどこかと尋ねられたら、即座に「福岡県北九州市」と答えることができます。

一番遠かったばかりでなく、一番高額となった仕入れでもありましたから、忘れようとしても忘れられるものではありません。

DSC_1028それは不思議な縁によるものでした。ある朝、家の前を掃除していると、二軒先のお宅のご主人が出勤されるところで、ご挨拶をするとふと足を止め、こんなことをおっしゃいました。

「九州の親戚の家に和本がたくさんあるのですが、ご興味ありますか」

ここでキーワードとなったのが「和本」であることは申すまでもありません。ご紹介いただいて、単身出かけることになったのです。

現地で荷造りして、運送屋さんに運んでもらおうという計画。お宅に着いて拝見すると、和本は段ボール10箱ほどと思われました。しかしそのほかの本も一緒に片付けてほしいとのご依頼で、最終的には60箱近くなったはず。

おかげで帰りの新幹線の便はなくなり、飛行機も取れません。博多まで行って駅前のサウナに一泊する羽目となりました。

ただ結果からすると和本はいわゆる「往来物」が中心で、思ったほどの値にならず、むしろ洋本の和算関係などが良い値になったと記憶しています。一泊した甲斐があったわけです。

そんなことはよく覚えているのですが、これが実際に何年前だったか、北九州市のどのあたりだったか、細かなことになると何一つ思い出せないのが情けないところです。

konoinfo at 18:30|PermalinkComments(0)

2022年08月10日

往生こいた

先日、パソコンが故障したというお話をいたしました。

ある時から、まったく電源が入らなくなり、どこをどう押しても何の反応も見られず、すっかり往生してしまったのです。
magie
と書いてから気になって調べると、この「往生する」は名古屋も含め、関西や西日本でよく使われる表現のようです。ちなみに名古屋弁では「往生こく」などと使います。

それはともかく、このパソコンの場合は、本当に「往生」してしまったのかもしれないと、暗澹たる気分にとらわれたことも、すでにお話ししたとおり。

ところが人から聞いたり、ネットで調べたりしているうちに「ハードリセット」という手段を知りました。パソコンのマニュアルをネット上に見つけ、ダウンロードして読んでみると、確かにその手順も書かれております。

やってみる価値はあるかもしれないと、見よう見まねで恐る恐るノートパソコンのベースカバーを取り外し、バッテリーもどうにか外すことができました。

ほとんどおまじないにしか思えませんでしたが、祈るような気持ちで元通りにネジを締め終えて電源を入れます。しばらく待ってからフタを開けると、あなうれしやロゴが現れました。つづいてWindows画面も。

思わず快哉を叫んだのですが、喜ぶのは早すぎました。タッチパッドが反応しません。キーボードは無事のようで、マウスを外付けすれば、取りあえず作業できることが分かりました。

しかしタッチパッドは何度ドライバーを更新、再取得しても、復旧しません。気長に折を見て試すうちに、動くようになるかもしれないと、ほとんど神頼み状態です。

konoinfo at 18:30|PermalinkComments(0)

2022年08月09日

そんな高いんですか

自慢話をしようというのではありません。

また暑さがぶり返した昨日のお昼、駒場キャンパスの研究室に本を引き取りに伺いました。

DSC_1023春には部屋を空けていなければならなかったのが、事情があって今までお目こぼしに預かっていたのだそうで、ようやくすべて荷造りが済み、最後に残ったのが研究室書棚にして4段分。

それが今回のお引き取り依頼でした。数日前にご来店になり、スマホに撮った棚の本を見せていたいたいたところ、店で使えそうな本もあり、なにより小店の車でも簡単に運べそうな量でしたから、気軽に請け合ったのです。

暑さは計算外でしたが、段ボール5箱に詰めてお引き取りしてきて、早速値踏みをしました。

好著、名著の類は多いものの、それほど新しい出版物はなく、ISBNはついていても10桁が中心。バーコードのない本も目立ちます。

つまり店での売値が500円前後という本が大半で、ネットに上げられそうな本はひと握り。あまり高い買値を付けられないことに悩みつつ、できる限りの値に踏みました。

今日になって、お怒り覚悟で電話を入れたところ、返ってきたのが「そんな高いんですか」という驚きの声。「ブック△△へ持っていっても、何百円くらいでしたから」

拍子抜けいたしました。もちろん量が違うのでしょうが、1冊何十円という感覚でおられたようです。

確かに古書の相場は下がっておりますが、先生方の期待値はさらに低くなっているようで、それが果たして良いことなのかどうか、考えこまされてしまいました。

konoinfo at 18:30|PermalinkComments(0)

2022年08月08日

先生の名刺

DSC_1022日本の古本屋メールマガジン第352号が届いたのは8月5日。

あらためてバックナンバーを調べてみたら、創刊は現在の古書会館を建築している最中の2003年1月でした。当初は月刊、途中から月2回刊となって、ここまで号を重ねたわけです。

現編集長がいつから引き継いだのかは、聞いてみないと分かりませんが、もうずいぶん長いこと、それもほぼお一人で、企画、編集を続けてこられたはずです。

はたで見ているよりずっと大変な仕事であることは間違いありません。本業(同じ古本屋です)以上に熱を入れておられるのではないでしょうか。

それはさておき、今号の記事、南陀楼綾繁さんの「シリーズ書庫拝見5 日本近代文学館 後編 蔵書収集と3人の古本屋」は、個人的にも、とても興味深い内容でした。

伝説の古本屋お三方のエピソードはともかく、設立当初の若手委員として挙げられている紅野敏郎、保昌正夫というお名前から、その風貌を思い起こしたのです。

といっても親しくさせていただいたわけではありません。どちらも開業間もない小店に、一度か二度、訪れていただいただけのこと。

紅野先生はまだしも、即売展や七夕大入札会などで、何度もお姿をお見掛けしましたが、保昌先生に至っては、たった一度、ご来店された折にお名刺をいただいただけだと思います。それでもなぜか印象に残る先生でした。

紅野先生からも名刺をいただきました。まだ駆け出しの若造店主に、丁寧に名刺を置いて行かれる先生が、当時はおられたのです。

konoinfo at 18:30|PermalinkComments(0)

2022年08月07日

すでに「古老」かも

金曜日に明治古典会が終わったあと、役員合同会議の時間まで2時間余りを「あれこれ調べもの」などと書きましたが、それ以外のこともしておりました。

その一つが『中央線支部報』を読むことです。

『南部支部報』については以前にご紹介していますが、こちらは不定期刊行。編集後記によれば、前回から10年ほど間が空いたそうです。

午前中に開かれた理事会の席で、各理事に一部ずつお配りいただいておりました。数少ない役得の一つです。

いったんはロッカーにしまったその支部報を出してきて、6階で読み始めたのですが、その大部分を占めるオンライン座談会「中央線支部公開新年会」の記事は、いろいろな点で興味深いものでした。
chuosen
出席メンバー6名のうち、顔見知りは3名。あとのお三方は、もちろんお名前は存じておりますが、お話をしたことがありません。そのそれぞれのお仕事ぶりをうかがって、日ごろ店主が感じている以上に組合員の業態が多彩であると知りました。

さらに、出席者の中で旧会館のことを知っているのは、よみた屋さん一人だと分かり、店主自身がもはや「古老」になったような感じを覚えました。

そのよみた屋さん、旧会館では学生アルバイトが毎週台を運んでいた、と語っておられたのですが、若干記憶違いが含まれています。

目くじらを立てるような話ではありませんが、こういうことが気になるというのは「古老」になりつつある証かもしれません。

konoinfo at 18:30|PermalinkComments(0)

2022年08月06日

最後の合同会議

古書組合は明日から夏期休館に入ります。交換会は昨日の明治古典会までで、来週一週間はお休み。次に市場が開かれるのは8月15日月曜日の中央市会からです。

DSC_1021そのため通常なら毎月8日に開かれる理事会も、10日がお決まりの役員合同会議も、昨日5日に前倒しして、まとめて開かれました。どちらも店主には最後となる定例会議です。

朝10時半からの理事会は正午前に終わりましたから、夕方6時の合同会議までには随分間があります。

明治古典会が開催されている間は、会場の片隅で落札の発声を聴きながら、仲間とよもやま話で過ごすことができましたが、休み前ということもあって出品が少なめで、午後3時半ころには市場が終わってしまいました。

それから2時間以上、あれこれ調べ物などして過ごしているうちに、合同会議の時間になりました。

この午後6時という開始時刻は、かつて事業部会として開かれていた時の名残です。もうひとつ支部長会という会議が別の日に開かれ、それは午後7時からでした。終わったあと、気心の知れた仲間同士で飲みに出かけるのが、楽しみの一つだったようです。

その2つを合同で開くようにしたとき、午後6時としたのですが、近年、とりわけコロナ禍に見舞われて以降、夕方に会議を開く意義はかなり薄れています。これを何とか改革したかったのですが、時間切れとなりました。

ともあれ、夕方の会議からは放免されたわけです。

konoinfo at 18:30|PermalinkComments(0)

2022年08月05日

パソコンが故障

ノートパソコンが、ダウンしてしまいました。

使おうとしてフタを開け、しばらく待ってもロゴが現れません。

不思議に思いながら起動ボタンを押しました。普通ならつくはずのキーボードのバックライトが、つきません。

画面の方も、まったく変化の兆しもなく静まり返っています。なんど押し直しても同じことです。

充電したつもりが、できていなくて空になってしまったのでしょうか。外していたケーブルをつなぎ、しばらく時間を置きました。

頃合いを見て、再び起動させようとしたのですが、やはりウンでもスンでもありません。ようやく故障らしいと気がつきました。

shell買ったのは2年前。これまで何台パソコンを購入したか分かりませんが、こんなに早く不具合が出たのは初めてです。

今までは、安い機種を使って調子が悪くなったら買い替える、というポリシーでやってきて、4年や5年は問題なく使えてきました。

それが前回は若干張り込んで、ひとクラス上の機種にしたのです。こんなことなら、いつものエントリーモデルにしておけばよかった。メンテナンス保証期間は1年のみ、既に期限切れ。

どうすれば、なるべくお金をかけずに修理できるか、もっかあれこれと調べたり、尋ね回ったりしているところですが、とりあえずマニュアルをみながら、カバーを開けて見ようかと思っております。

konoinfo at 18:30|PermalinkComments(0)

2022年08月04日

お向かいさん

小店の向かいに、小ぶりな、いわゆるデザイナーズビルが2軒並んで建っています。

DSC_1019どちらにも、それに相応しいデザイン系のオフィスが入っておりました。

と過去形なのは、一方には今も同じ会社が入っておられるのですが、もう一方は、コロナ禍で最初の緊急事態宣言が出されたころ、移転されてしまったからです。

リモートが増え、地価の高いところに事務所を構えている必要性が低くなったから、と聞きました。

以来、現在まで2年ほどになるでしょうか、1、2階は空いたままです。

しかしこのビルには3、4階があり、そこは住居として、代々事務所とは別の人が借りてこられました。

建った当初はどうだったか記憶がありませんが、そこに人が住んでいると気づいたのは10数年前のこと。巨漢の中東人が、小さく見える原付バイクに乗って出かけるのを見るようになってからです。

じつは彼、見かけによらず国連の機関で働く人だったのでしたが。

その後、3組の入居者があったのですが、親しく言葉を交わしたのは、その国連職員夫妻だけ。あとは顔を合わせても挨拶すらろくにしないまま、転出されていったのです。

先月、3年以上は住んでおられたご夫婦と、ここで生まれて歩けるまでになったお子さん、そして犬1匹が、黙って引っ越して行かれました。

そのため、目下お向いは、無人のビルとなっております。

konoinfo at 18:30|PermalinkComments(0)

2022年08月03日

著作権法の怖さ

一年ばかり前、有名画家の版画を無断で複製し販売したとして、画商と版画作家が逮捕された事件がありました。

古本屋の中には版画を扱う業者もいて、それより半年以上前から、版画商の市に偽物が出回っている、という噂が聞こえておりました。さらにそれが、ある画商の仕業らしいということも。

その後、業界団体の自主的な調査追及もあって、当人たちも事実関係を認め、逮捕起訴の末、画商本人は著作権法違反(複製権侵害、頒布)として、裁判で懲役3年、執行猶予4年、罰金200万円という刑が確定しています。

詳しくは折々の新聞記事をネット上から見ることもできますから、ご興味のある方はそちらをご覧ください。

このニュースで店主が驚いたのは、著作権法の、量刑の重さでした。著作権、出版権、著作隣接権の侵害は、10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金とされています。

ちなみに詐欺罪は10年以下の懲役。罰金刑は定められていません。

この二つを比較してみたのは、古書の市場で贋物を扱った場合、どのような罪に問われるのかと考えたからです。

書画類では贋物というより、まがい物といった手合いがしばしば市場に現れますが、売り手も買い手rainも本気にしていないことが多いので、特に問題になることもなさそうです。

そういえば、かつて帯付きが極めて珍しい初版本の、帯を複製して売ったという話を聞いたことがあります。これはどんな罪でしょう。

文学初版本に極めて高い値が付いた、今は昔の話ですが。

konoinfo at 18:30|PermalinkComments(0)
12月31日から1月3日まで
休業いたします
Profile

河野書店

Archives