2019年10月16日

図書館印

裏の学校の、ある研究室から、本を引き取ってほしいという電話がありました。

個人の研究室ではなく、事務室にいつのまにか溜まった本で、分量はダンボール箱4個くらいとのお話。日を決めて伺いました。

初めからあまり期待してはおりませんでしたが、店売りできそうな本が多少なりとも混じっており、量も予想より多かったので、ともかく引き取ってまいりました。

そのなかに1冊、思いがけず良い本が顔をのぞかせていたからでもあります。もちろんその場で、立ち合いの先生にそれをお示ししたうえで、持ち帰って評価をつけることで了承いただきました。

RIMG4003さて店に戻って荷を開き、まずその本を点検。すると、扉に大きな学校図書館印が。思わずがっくりです。

気をとりなおして、あとの本に目を通し、評価額を決めて研究室に連絡。後日、代金を受け取りに来ていただきました。

それはともかく、困ったのはこの本の処置です。どうしたものか考えました。研究室に返すのでは、元の持ち主の立場を、悪くすることになるかもしれません。

そこで、蔵印の図書館に連絡をしてみました。返すべきものであれば、こちらからお返ししようと思ったわけです。

メールでやり取りができましたので、求められて画像をお送りしました。すると翌日には、お返事が入っていて、次のような文面。

画像をもとに確認したところ、現在では当館の蔵書ではありませんでした。お手数をおかけしますが、蔵書印を×印等で消してから、ご利用もしくは処分してくださいますようお願い申し上げます。

売れたら研究室にも、いくらかお支払いせねば。

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2019年10月15日

被害あり(2)

気を持たせるような終わり方をしたおかげで、今日市場に行って、何人かの方から大丈夫でしたかと、声をかけていただきました。

つまり店主のブログをお読みいただいているご同業なわけで、それはそれで気恥ずかしいことでもあります。

さて、裸積みされた本を見ただけでは分かりませんでしたが、積み上げた段ボール箱をよく見ると、地面から1mあまり、コンテナの床からでも70僂个りの高さに、薄い線が横に走っていました。浸水の跡です。

どれくらいの時間、水につかったか分かりませんが、それからすでに丸一日以上経過していたはずで、しっかり吸い込んでいることでしょう。
RIMG3998
まず頭に浮かんだのは、どうやって片付けようかということでした。濡れた本を始末するためには、上に積まれている大量の本を除けなければなりません。

もともとが「ツブすのはもったいないかな」という程度の本しか、この倉庫には入れておりません。市場に出して値になるようなら、とっくに出しております。冷静に考えれば、倉庫代をかける価値が疑われるほどのもの。

その意味では、思い切りがついて良かったくらいのところです。しかし問題はその作業を行う日程と、人手です。いっそ全部ツブしてしまうなら、処理業者さんを呼ぶだけのことですが、いくらかは生かしたいという未練もあるのが困ったところ。

今週は予定が詰まっていますので、少し時間が出来たらもう一度確認に行き、手順を決めようと考えています。

しかしながらTwitterで見た栃木の吉本書店さんに比べれば、まったくささやかな被害。他にも被害を受けた同業がおられるかもしれません。明日は全古書連の秋季理事会。情報収集を呼びかけようと思います。

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2019年10月14日

被害あり(1)

RIMG4000昼過ぎ。珍しくマナーモードを解除してあった机の上のスマホから、立て続けに着信音が鳴りました。

いたずらメールか、ウィルス感染かと驚いて画面を開くと、ショートメールのアイコンの肩にという数字が表示されています。

アイコンをタップすると、コンテナ倉庫を借りている会社からの着信でした。もう一度タップすると、ずらりと5つのメッセージが表れました。

1つ目には【重要】台風19号によるハローストレージへの影響について、という題目と、簡単な挨拶。2つ目が本題。台風による影響で、ハローストレージ室内へ雨水が浸水した可能性がございますので、お早めに室内をご確認いただきますようお願い申し上げます。

3つ目は、被害を最小限にとどめるためにご一報したとの文面。そして4つ目は、自然災害による被害等は誠に恐縮ながら免責事項とさせていただいております。何卒ご理解を、云々。5つ目は社名と連絡先。

すっかり失念しておりました。

小店が借りているコンテナ倉庫は、世田谷区玉堤2丁目にあります。その名の通り、堤防に沿った低地です。世田谷区のハザードマップで確認するまでもなく、浸水があったとすれば、まず被害は免れません。状況だけでも確認しようと、車で駆け付けました。

すると周りは慌ただしい雰囲気。水はすっかり引いていますが、道路脇に家具類などが積み上げられています。倉庫にも、何やら運び出している人の姿が。観念して自分の倉庫の扉を開けました。

すると地面に立っている店主の、腰より上のあたりまで、水が入った跡がありました。

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2019年10月13日

難を逃れる

前の台風で、我が家などより遥かに頑丈そうな家々が無残に損壊した様子を、連日TVニュースなどで目にしていましたから、それより強力な台風が直撃するとあって、何らかの被害は免れないと、覚悟を決めました。

といえば立派そうですが、なるようにしかならないと観念しただけのことです。

RIMG4001それでも暴風ピークの午後9時前後には、音を立てて吹き付ける風で家が揺れる度に、思わず体に緊張が走りました。

真昼間から不安を増幅させたのは、音量だけ大きいのに、よく聞き取れない世田谷区の緊急放送です。「避難する人は早めに」と言っているようですが、区のホームページがパンク状態で、詳しい情報が得られません。

ようやく避難場所を調べ出したところ、どこへ行くにも歩いて20分はかかりそう。

そのうちスマホに緊急メールが入りはじめ、避難準備(14時45分)から避難勧告(15時45分)、ついには避難指示(18時45分)に至るのですが、今度はその対象地域がどこなのか、肝心な情報を見つけるのに苦労しました。

同じような報せが何度も届くので、対象地域に変更があるのかないのか、その度に心配になります。確かめることのできないうち、当初の予想よりは、かなり早くに雨風の脅威は遠いたのでした。

そんなころになって河川氾濫発生(22時53分)のメール。一方、我が家の周りは冠水を免れた様子。

今朝ざっと見た限りでは倒木もなく、応急処置の引込線も辛うじて持ちこたえ、特に被害なく乗り切ることができたようです。店の方も無事で、通常通り開店、営業することができました。

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2019年10月12日

古書学のすすめ

RIMG4002朝、久しぶりにゆっくり寝て起きました。これで何事もなく過ぎ去れば、まさに災い転じて福というわけですが、こうして書いている今、東京はまだ暴風圏にさえ入っておりません。

体を休めることはできても、心はいっこうに休まらない状態です。

防災情報ばかり追っていると、不安が募る一方ですから、少し気分を変えてタブレット端末から「らじるらじる」を開きました。「聞き逃し」タブを押し、さらに「お気に入り」ボタンを押します。

そこに登録されているひとつに「私の日本語辞典」という番組があり、10月5日から新シリーズで「江戸時代の古書の流通」と題し、誠心堂書店の橋口さんが登場されていることを知っておりました。

知ったのは放送された直後のことでしたが、いつでも聞けると思うと、かえって機を逃してしまうものです。1回30分という比較的短い番組でも、床についてから聞くと、途中で寝てしまうこともよくありますので、聞くからには、きちんと聞きたいという思いでおりました。

その点、今朝は時間がたっぷり。ゆっくり耳を傾けることができました。聞き知った穏やかな声が、アナウンサーの問いに答える形で、古い時代の本屋の暮らしを語ります。

橋口さんの著書のよい読者でない店主にとっては、多くが初めて耳にする話ばかり。こんなところで言い訳けがましいようですが、それでかえって楽しむことができました。

ちなみに橋口さんの肩書きは「古書学者」。いいじゃないですか。あと3回、続きが楽しみです。

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2019年10月11日

臨時休業いたします

河野書店は明日(12日)、臨時休業させていただきます。

当初、午前中くらいは開けようかと考えていたのですが、台風が近づくにつれて世間の対応が真剣になってきて、明日は一日、自宅で籠城——というのが正しい選択に思われてきました。

店の前の片付けや浸水防止策も、明日では遅すぎるというのがニュースなどからの警告です。となると今夜のうちにしておかなければならず、朝、ちょっと開けるというわけにも参りません。

昨夜の組合役員合同会議でも、明日に予定されている南部地区入札会が、一日ないし二日、延期されるという発表がありました。

RIMG3999きょう開催されている古書会館の即売展も、通常2日間の日程を短縮し、今日1日限りの開催になると、これもすでに告知されています。

ちなみにこの即売展というのは、かつて店主も参加した城南古書展。城南展は、あの2011年3月11日の東日本大震災にも遭遇しています。巡り合わせの悪さに、同情を禁じえません。

さて、他人事ではなく我が家の問題に立ち返りますと、今日のお昼前、業者さんをお呼びし、15号台風で折れ曲がった角壁板と、そこから伸びている電気引込線の応急処置をしていただきました。

期待した以上に熱心に作業してくださって、感謝感激の思い。しかし原因はやはり高く繁った庭木の枝らしく、すべては風次第。なんとか断線だけは免れたいところです。

明日は佐川急便の集配業務もお休みだとか。郵便局の集荷も、こちらからお伝えして、休みにしていただきました。

工事の立ち合いで疲れてしまい、明治古典会は結局お休みいたしました。

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2019年10月10日

転んだあとの杖

またぞろ台風に狙いを付けられているようです。15号で被害を受けた方々にとっては、まるで傷口に塩。さぞや不安なことでしょう。

しかし他人のことを案じていられるほど、我が家が安泰なわけではありません、むしろ逆です。

じつは前回の台風で、庭木が倒れたお話はいたしましたが、他にも被害がありました。二階屋の外壁の角板とでもいうのでしょうか、その部分が途中から、大きく外側に折れ曲がってしまったのです。

建物が老朽化していることが最大の理由ですが、直接の原因は、外の電線から家までの引込線が、その上部にフックで止められていたことです。それが風に引っ張られ折れ曲がったものと見られます。

途中にあった庭木の枝も、引込線を引っ張る手伝いをしたかもしれません。

くの字になった角板は、すぐどうにかできるような状態ではなく、どうするべきか思案のうちに、日が経つばかり。そうこうするうちに今度の台風です。

引込線がこれ以上、引っ張られて、切れてしまうようなことがあっては、停電が起きてしまいます。フックから屋内へ引き込む間の線が、一番の不安箇所。

とりあえず業者さんに応急処置を頼もうと、何日か前からネットで探して電話を入れたりしていたのですが、ようやく昨日になって手配が付きました。

それが明日の午前中です。もう雨も降りだしていることでしょう。それでも来てくれるとのことで、今はもうワラにも縋る思い。

RIMG3992明日は明治古典会ですが、そんなことは言っておられません。遅れていくことになります。ともかくも「台風被害、世田谷で停電1件」などと報じられないようにしなくては。

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2019年10月09日

インボイス制度

昨日は定例理事会の日でもありました。

洋書会の出品がさほど多くなかったので、あまり後ろめたい思いもせずに、午前10時半からの会議に出席することができました。

予定された議題には、特に話し合いを必要とするものも少なく、1時間ほどで終了となったのですが、会議後の雑談として、理事長がおもむろに、インボイス制度について話しはじめました。ある新聞記事を引き合いに出して。

10月の消費増税で導入される軽減税率に伴い、4年後に「インボイス」(適格請求書)が完全実施される。これに対し、フリーランスなどの小規模事業者から反対の声が出ている。インボイスを発行できなければ取引先から外されかねないが、消費税が免税されている事業者が発行しようとすると「実質増税」になる仕組みのためだ。(朝日新聞9月25日朝刊)

この記事によれば、ネットでインボイス制度反対の署名を呼び掛けている人がいるようですが、免税業者の少なくない古書業界にとっても、他人事ではないはずだというのが理事長の考え。

RIMG3995免税業者である人にとって実質増税となるインボイス制度は、実施されれば多くの零細な自営業者を、廃業に追い込む可能性もあります。

さらに、現在の交換会という独特な仕組みが、この先のインボイス制度の中で、今後とも発行義務免除の事業として認められるかどうかも、極めて不確かです。

分かりにくいところの多い制度ですが、組合としても研究していく必要がある——というのが、昨日の雑談での結論でした。

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2019年10月08日

広大な倉庫

10月になって、洋書会の当番がまた回ってきました。

先週は資料会大市のため休会でしたので、今日が今月第一回目。しかし今日はまた定例理事会の日でもあります。

そこで理事会開始までの30分だけでも当番の役目を果たそうと、午前10時に古書会館に着きました。

着いてみると思ったより出品が多くありません。といいますのは、資料会の大量出品のお流れが、かなりあるのではないかと想像していたからです。

お流れというのは、例えば札が入らずにボーになったもの、あるいは山を落札して、その中から欲しい本だけ抜いて、再出品しようというものなどです。

それがほとんどなかった理由は、ある地方の業者さんが大山にも軒並み札を入れ、その多くは競争なしで落札され、運送業者を呼んで運び出されたためのようです。

実は店主も、何十点とあった大山のうち、欲しい本が入っていた2点だけに入札いたしました。それでも、もし2点とも落ちてきたら店に入りきらないので、今日の洋書会に再出品するつもりにしていたのです。

幸か不幸か、落札できたのは23本口という1点だけ。それでもカーゴに半分強という量です。しかし今朝は自分で仕分ける時間もないため、出品は控えてコショタンで運んでもらうことにしました。

それでさえ、店に届けばかなり持て余す分量です。この何十倍も一人で買われた地方の業者さんは、よほど広大な倉庫をお持ちなのでしょうか。
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羨ましい限りですが、それにしても日本書と違い、売り捌くのには随分手間と時間がかかることだろうと、余計な心配を申し上げる次第です。

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2019年10月07日

よくあるお話

venice本当に古本が好きな方だったんだなあと、今さらのように思います。

先に明治古典会で手に入れた美術洋書の口を整理していたら、再び小店の札紙が、本に挟まって見つかりました。城南展に参加していた頃の古い帯紙です。

「第35回ヴェニス・ビエンナーレ カタログ」と、店主の仮名釘流はあらためて見るのも恥ずかしい限り。その札紙の上端に「62年」と数字が書き込まれていました。

一冊一冊、どこで、いつ、いくらで買ったかが分かるように、札紙があるものはそれを残し、ないものにはご自身で書入れを、見返しの隅などにされています。

これが昭和62年だとすると、開業してまだ5年目。城南展にも、参加して間がない頃だったはずです。この本については、ほとんど記憶が残っておりませんが、当時のことが色々と懐かしく思い出されました。

この元美術雑誌編集長。当時は某美術館にお勤めだったはずの方は、その頃でも業者間で名を知られた方でした。城南展ばかりか、他の即売展にもご常連として毎回顔を出されていたのです。

そんなわけですから、懇意の古本屋も一軒や二軒ではなかったでしょう。事実、店主も知るY書店さんは、ご存命中に2度ばかり蔵書整理を頼まれたそうです。もうずいぶん前のことだったようですが。

今回、厖大な蔵書が市場に持ち込まれた時、それがその方のものだと気がついた同業は、初めのうち多くありませんでした。

持ち込んだ当の業者さんは、生前その方と、まるで面識がなかったといいます。「そんな知られた方の本が、どうしてウチに来たのでしょう」

しかしこれは、よくある話なのです。

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