2017年03月15日

古本募金ポスト

RIMG1786学生さんらしい若い女性が、少し困ったような表情で「こちらは本の引取りはされてませんよね?」とお尋ねになりました。

「大丈夫ですよ、お持ちになったんですか?」と尋ね返したところ、布製の手提げバッグを帳場の机に載せて「実は大学の古本募金ポストに入れるつもりで持ってきたのですが、学校が閉まってたんです。持ち帰るのも重くて、どうにかならないかと…」

「ともかく拝見しましょう」と、バッグから出していただきました。

出てきたのは有斐閣双書の民法シリーズを初めとした、法律学習書。全部で16冊ありましたが、仮に良い状態であったとしても、今やほとんど値のつかない旧版ばかり。

それがいずれも良い状態とは程遠い、線引き、汚れ、イタミあり。中には水濡れ本まで混じっています。さすがにお代は差し上げられません。

そう申し上げると「いえいえもちろん、引き取っていただけるだけで助かります。これで軽くなりました」そうおっしゃって帰って行かれました。

あらためて本を見ると、一番新しいもの(ただしひどく汚れています)でも2002年の出版。半分ほどはISBNすらついていない本です。ご本人のものとすると、いささか年勘定が合いません。もっとも買取りではないので、年齢確認もしておりませんが。

いずれにせよ、今回はこの「古本募金」を運営されているというVブックスさんの、お手間を省いて差し上げたような形になりました。

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2017年03月14日

古本で資金

KIMG0161まだ、というべきか、いつの間にかというべきか『日本文壇史』の第5巻を読み終えようとしています。

おもに神田への行き帰りの車中読書ですから、はかが行かないのもやむを得ません。それでもゆっくり読むことで、明治の初期から中期、そして後期へと移る、時間の流れに寄り添えるような気もします。

今日もその短い読書の中で、こんな一文を見つけました。

成沢はその頃、生活に困り打開の道を求めて上京し、新宿角筈の内村の家を訪ねた。内村は、あせって上に浮かび出ようとするよりも、一度底まで落ちて見よ、と言った。成沢はそれに力を得て上田に帰り、自分の手もとにある十冊の古本を友人に売り、それを資本にして百合舎という書店を開いた。それは明治三十年で、彼は数え年二十一歳であった。(伊藤整『日本文壇史』第5巻:p.242)

内村は内村鑑三、当時30歳くらいでしょうが、文章や講演で若者に強い影響力を持っていたようです。成沢は成沢玲川(金兵衛)。この青年については「信州文壇」の発行者として紹介されていますが、初めて目にする名でした。

抜き書きした理由はすでにお判りでしょう。「十冊の古本を友人に売り、それを資本にして書店を開いた」という部分に驚愕したからです。

丹緑本やインキュナブラならともかく、10冊で書店を開く資本になるというのは、今からは想像もつかないこと。どんな本をいくらで売ったのか、ぜひ知りたいところです。

今日の洋書会、出品量は少なめでしたが、さいわい150冊ばかりの言語学関係の口を落札することが出来ました。あり得ないことながら、仮に全部が売れても、ひと月分の家賃にもならないと思います。

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2017年03月13日

LPレコード

行きがかりで、LPレコードをお引き取りしました。フランス書を、何度か引き取りに伺ったり、お送りいただいたりした先生から。

本は一段落つきましたが、レコードも処分したいから、送ってよいかとのメールをいただきました。

「どうぞ」と打ち込んで、ふと気になり、どれくらいあるのかをお問合せしたところ、1mほどの「つづら」に立てて入れてあり、一人では持てない重さというご回答。

お言葉通りの状態なら、運送屋さんが運んでくれないかもしれません。一度ご確認くださいとお願いしてお返事をお待ちしたところ、お電話がありました。やはりそのまま運ぶのは難しいとのこと。

取り出して運べば問題ありませんが、レコードの荷造りは結構大変です。そこで店主が伺うことにしたのでした。

着いて「つづら」を見せていただくと、想像と違い、いわゆる衣装ケースに斜めに入っていて、これなら運送屋さんにお願いできたかもしれません。

ともかくお引き取りしてまいりました。枚数はおよそ80枚ほど。クラシック、シャンソン、それとお子さまのものだったらしいYMOとかサザンとか。

期待はしておりませんでしたが、やはり素人目にも、値になるものはなさそうです。いずれにせよ、まとvianめて市場に出して、いくらかにでもなれば、それを先生に。

店主は、ちょっとジャケットが気に入った1、2枚を、手数料代わりに頂戴しようと思います。

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2017年03月12日

南部の落札品

昨日の南部入札会は、好みに合う文庫本の出品がなく、気のない札を入れた1点は、もちろん落札できませんでした。

その代り、目について札を入れた洋書の口2点、これがどちらも落ちていて、今朝引き取ってまいりました。一つは5本口、もう一つは8本口。この嵩物に入札したのは、どちらにも中に少しずつ、欲しい本が入っていたからです。

LIVIVS5本口の方は、してやったりの大満足。リヴィウスの『ローマ建国史』、その羅独対訳版11冊揃いを手に入れることができました。ほかに気づく同業がいなかったのか、下札で落札。

カバーに印刷された背文字はLIVIVSと、原本の巻数を表すローマ数字だけ。順に並んでいなかったので、あちらこちらと目で追って、抜けがないことを確かめたのでした。

これに対して8本口の方は、ちょっと反省です。高いとは言えない札の、それも下札で落ちたのですから文句は言えませんが、安物買いのなんとやら。

背は比較的きれいでしたが、小口側に汚れが目立ち、角も傷んでいる本が多い。目当ての本で状態がまともだったのは、ごく僅かでした。

それより驚いたことがあります。殆んどペーパーバックばかりのこの口には、オンデマンド版が数多く含まれておりました。そのうちの1冊、StracheyのEminent Victorians、これはほぼ未読の状態でしたが、開いて見るとあちこちに線引きがあったのです。

なんとその線引きは、原本に引かれていたもの。入手困難な貴重書ならともかく、元版でも均一にされるほどありふれた本。何もわざわざ線引き本をスキャンしなくともと、呆れました。

しかしスキャンされてみると、あまり線引きが気にならないのも確か。それが何とも不思議です。

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2017年03月11日

ボヘミアンズ・ギャラリー

神保町一丁目奇数番地の裏通りに、築40年以上という4階建ての小ぢんまりしたビルがあります。

その名前も「神保町会館」。オフィシャルな響きはありますが、特に目立たない普通のビルです。

bohemianその3階に同業が新しくギャラリーを開きました。昨日、金曜日の夜、オープニングパーティーが開催され、いつもの会食メンバーで連れ立ってお邪魔してきました。

と申しますのも、その同業もわが会食メンバーも、同じ明治古典会の仲間。パーティーに呼ばれていたのも、多くは明治古典会の会員や経営員です。それで金曜日の夜としたのでしょう。

小ぢんまりとは言ってもワンフロア約150屬1軒で使っていますから、けっこうな広さ。バックヤードをたっぷりとってリニューアルし、建物の古さを感じさせません。

古本屋と画廊とは別の業種ではありますが、案外縁続きです。だからこそこうして、両方を経営する店も現れるのですが、もちろん必要な資力は桁違いで、誰にでも真似ができることではありません。

この同業、古書店も合わせ、これが8軒目の新規開店だといいます。しかし現在あるのは、先々代から受け継いだ古書店を含めて3軒。つまり見切りをつけるのも早い。現にこのギャラリーも2年前に開いた近くの店を閉めて、こちらに移ったもの。

その行動力、バイタリティーには、ただ脱帽するしかないというのが、お招きに預かった仲間一同の、いつわらざる感想でした。

せめてのお祝いにと、ここに記す次第です。

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2017年03月10日

マイナンバーの不合理

例年より早く、昨日、確定申告書ならびに消費税申告書の作成が完了、本日郵送で提出いたしました。

はるか昔には、締切日に税務署まで持参したこともあります。やがて当日消印まで有効と分かってからは、同じく締切日に郵便局に駆け込む年も珍しくありませんでした。

KIMG0155それを思うと、今年は画期的な早さ。30年以上やってきて、手慣れたせいもありますが、やはりPCで処理できるようになったことが大きい。

さらに近年は、国税庁のホームページで書類が作成できますから、計算ミスの心配もありません。案外見過ごせないのが、消耗品類をwebサイトから購入するケースが増えて、領収書の枚数が減ったことでしょうか。

それほど楽になった申告作業ですが、そこに記される数字の方は年々苦しくなる一方です。

先日お伝えしたように少しばかり売り上げが増えたとはいっても、諸経費を差し引けば、相変わらず所得は微々たるもの。それなのに、扶養家族が減った近年は、その微々たる中からもしっかり所得税が差し引かれます。

しかし税への泣き言は申しますまい。それより腹立たしいのは、今年から「個人番号」なるものの記載を求められるようになったことです。記載だけならともかく、それを証明する書類コピーを添付しなければなりません。

還付金でも頂戴しようというならともかく、自主申告で納税しようという行為に、なぜ身元確認が必要なのか。現にこれまでは、そんなものなしでやってきたのですから、理解に苦しみます。

それで思い出しました。古書買受の際、マイナンバーは身元確認証としてもちろん有効とされていますが、それを見せていただいても、番号を控えることは禁じられています。つまり「カードを見た」とすれば、それで良いことになります。

そこらじゅうに不合理を感じるマイナンバー制度です。

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2017年03月09日

全集の蔵書家

RIMG1759数日前、ベビーカーを押して入ってこられた若い女性から「文学全集があるのですが、引き取っていただけますか?」と、ご質問を受けました。

百科事典、美術全集とこの文学全集は、最も多くお声がかかります。大概はお話を伺ったうえで、ご遠慮申し上げることになります。それを予期されたような、遠慮がちな口ぶりです。

そこで一応、どんなものがあるのかお尋ねしてみました。すぐ返ってきた答えは「筑摩の世界文学全集」。と言ってもお話からすると「全集」ではなく「大系」のようです。ただし旧版の。

いささか気落ちして、「他にどんな本がおありですか」と伺いました。すると考え考え、いくつかの個人全集名をあげられました。いずれもメジャーな、つまり評価の付かないものばかり。

しかしそれだけの全集をお持ちなら、他にも何かありそうな気もします。どこにお住まいかをお尋ねすると、歩いても5分ほどのご近所。ならば、ともかく一度拝見に伺いますと、お約束をいたしました。

そうして伺ったのが昨日のこと。大きくはありませんが瀟洒な建物で、ゆったりした室内はお掃除が行き届いています。案内された一部屋の壁際の床に、筑摩の大系などが積まれていました。

反対の壁が作り付けの本棚になっていて、鴎外全集、藤村全集、露伴全集、斎藤茂吉全集などなど、ビッグネームが並んでいます。本はきれいに保存されていますが、お祖父さまのご蔵書とかで、新しい版ではありません。

単行本類は数えるほど。おそらく以前に、処分されてしまったのでしょう。

多少とも需要の見込める全集類が数点ありましたので、日を改めて引き取らせていただくことにいたしました。ですが前記の大きな全集については、ご勘弁願おうと思っております。

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2017年03月08日

とんびに油揚げ

RIMG1762昨日の洋書会のお話し。

月極め当番以外に、半年に1〜2回はスポットでお手伝いに出ることが定められています。昨日が店主にとってはその日に当たっていました。

そこで午前10時、会館に着いたのですが、朝のうち会場にあったのは、荷主さんがご自身で仕分けてこられた出品物ばかり。ただ並べただけで、すぐに仕事が終わりました。

他の当番会員と、コーヒーを飲みながら四方山話をしていると、やがてカーゴ2台ほどのお持ち込みです。実は先週の哲学関係の続きで、予告されていた出品。早速平台の上に降ろして広げ、仕分けに取り掛かりました。

先週落札した中に、Bergson の Ecrits et Paroles が1冊だけあったのですが、これは2冊本。そこでその片割れがないかと、まずはざっと全体に目を通したのですが、ついに見つけられませんでした。

気を取り直して仕分けです。前回は大山を買い込んで、売りものになりそうな本だけ選りだし、残りをツブすという作業をしたため、すっかり疲れてしまいました。今回は仕分け担当ですから、初めから好みの本だけを選り分けておくことができます。

ひそかに20冊ほどの口を作り、封筒をつけ、札を入れ、わがものにしたような気でおりました。

開札前の時間、しばらく席を外していたのが失敗だったでしょうか。いざ開札が始まると、いつの間にやら札を入れていた若い同業に、さらわれてしまうという結果に。

仕分けは荷主さんのために行うもの。そう考えて納得することにいたしました。

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2017年03月07日

意図せざる置き傘

洋書会が終わって古書会館を出ようとすると、雨が降っておりました。

午後3時頃から降り出したのは知っていたのですが、通り雨のようでしたので、帰る頃には上がっているだろうと、たかをくくっておりました。

冷たい雨が、案外しっかり降っています。さてどうしようかと玄関口でしばし佇んでいると、「河野さん、お預かりものが…」と受付席の職員さんから声が掛かりました。

背後から取り出したのは一本のビニール傘。柄に目印の赤いテープが貼ってあり、確かに店主の傘です。

すっかり忘れておりましたが、数か月前、古書会館に向かって駿河台下交差点を渡った時、会館の方から、雨の中を悠然と歩いてくる先輩業者さんをお見かけしました。

降り出して間がなかったのですが、その時分までには今日のようにしっかりした降りになっていて、このまま歩いて行かれると、濡れ鼠になってしまいます。

店主の方は、もう会館まで目と鼻。持っていた傘をその先輩に、お使いくださいとお渡ししました。ボロ傘ですから、お返しいただく必要はありませんと申し添えて。

RIMG1757後日、会館でお会いした時、お礼と共に「受付に預けておいた」と、確かにお知らせいただきました。それをこの時まで、まったく失念していたのです。

有り難くその傘をさして、帰途に就くことが出来ました。店に帰りつくころには、雨も上がっておりましたが。

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2017年03月06日

三兎を追う

RIMG1754今年こそ余裕を持って早めに取りかかろう、などと思っているあいだに3月も1週間過ぎて、確定申告の締め切りまで、もう10日を切りました。

それでも今日までに、まず1年間の売り上げの集計が出せました。トータルで前年比プラス7%。実感とは異なる数字です。細かく見ていくと、その理由が分かりました。

小店の売り上げは大きく3部門に分けて集計しています。,呂發舛蹐鹽稿での日々の売り上げ。△聾座に振り込まれる売り上げ、つまりネットや公費購入、それにディスプレイ納品など。そしてが市場出品の売り上げ。

このうち、,療稿売り上げは前年比マイナス2%。この一年だけで見れば僅かな減少ですが、2008年度から比べるとほぼ半減しています。

△亡悗靴討蓮微減微増を繰り返してほぼ横ばい状態ですが、昨年の場合はやや盛り返して対前年比プラス17%。これによって、店売りと同じような金額になりました。

は大口の買取が1件あるかないかで数字が大きく変わりますので、前年比にあまり意味はありませんが、昨年はプラス10%。つまり△鉢が前年より増えたため、総売り上げが多少伸びたというわけです。

しかし全体で見れば、店売りの落ち込みが、結局そのまま売り上げ減となっていて、△任皚でもカバーできていないことが分かります。

ではこの先、どこに力を入れていけばよいのでしょうか。店売りのマイナス2%を下げ止まりの兆しと見て、反転攻勢に出るか。ネット販売に活路を求めるか。

もしくは買入れ広告でも積極的に打ちますか。

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