2017年09月12日

Eventail

今日は洋書会。先週に引き続いて、塩漬け大量在庫の一端が、カーゴ4.5台に積まれて出品されました。

前回でこの口の仕分けのコツを、かなり掴んだつもりの店主は、大きな本や厚い本は仲間に任せて、どちらかというと薄い本、背だけでは、なんだかわからない本を中心に見ていきました。

そうして今日の一冊、ともいうべき本を見つけたのです。

22418897568細身の小さな本(19x11cmとか)。頁数も60頁そこそこ。あれこれ説明するよりも、ネット上に画像が出ておりましたので、お借りしました。

本のタイトルはEventailつまり「扇」。ローランサンのエッチングが10葉入った詩画集です。もちろんこの写真ほどきれいではありません。表紙には多少のヤケシミもありました。しかし肝心な銅版画については、見た限り問題なかった気がします。

なによりこの塩漬け在庫の他の本に比べれば、奇跡的なほど良い状態で残っていたと言えます。

その理由の第一は、この本のサイズにあるでしょう。小さな本だったおかげで、大きな本の間に挟まれて、折れたり痛んだりすることから免れたと思われます。

見つけたのがお昼近くで、すでに組合員向けの出品速報も送信された後。しかし心配するまでもなく封筒は膨らんで、この口の中では一番の落札価格となりました。

教訓:市場には、いつ何が出るか分からない。

konoinfo at 19:35|PermalinkComments(0)

2017年09月11日

明治の超訳

しばらく前に市場で買って、そのまま店の奥にしまってあった明治本10冊ばかりを、思い立って手に取り、改めて調べ始めました。

もちろん一度はざっと目を通しております。落丁など、本に欠陥を見つけても、返品できるのは落札後一週間以内という決まりがあるからです。

ですから見た目や、本の状態について確認しようとしたのではありません。それぞれの本自体について、良く調べて見たかったのです。

一番気になるのは、それが完本かどうかです。案の定、2冊ばかりの本に、後に続編が出ていることが分かりました。これは店主の勉強不足。何ともいたし方なく、正編のみで売るしかありません。

rofutsuそうして見ていくうちに1冊、国会図書館サーチでも、CiNiiでも、検索に当たらない本が出てきました。『悲壮演劇/魯佛の戦争』(秋水武人訳述 有則軒 明治33年)というのがそれ。高さ14.5cm、厚さ約7mm、本文147頁という袖珍版。

緒言を引用させてもらいます。

本書ハ壹千八百六十七年ノ頃驍勇ナル佛将マセナガ墺魯連合軍ニ抗シ百難ヲ凌ギ萬艱ヲ甞メ遂ニ魯軍ヲアルブス山ノ嶮ニ擊ツテ凱歌ヲ奏シタル実況ヲ佛國有名ナル著作家エルク マーレ、シャトリヤン氏ガ演劇ニ仕組ミタルモノニシテ(後略)

分からないことだらけ。まず魯佛の戦いというのが何を指すのか分からない。普仏戦争かと思えば、コサック兵が登場し、文中にも魯西亜と書かれています。

難渋の末、手掛かりらしきものに行き当たりました。それはシャトリアンでGoogle検索して現れたエルクマン=シャトリアンなる作家名。

換骨奪胎の甚だしいことは想像がつきます。原作を突き止めることが出来れば、興味深い比較研究が出来るのではないでしょうか。

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2017年09月10日

著作者辞典

RIMG2252前回この問題に触れたのは、6月24日のことです。あっという間に2か月半。

この間に、PDF化された手書き資料をデータベース化するための、Wikipedia方式の入力フォーマットが出来ました。

「日本の古本屋」をサポートしていただいている一人のSEさんが、ほとんど手弁当で作ってくださったものです。もちろんまだ完成版ではありません。しかし一通りの作業は出来ます。

現在は店主を含め、10名に満たないメンバーで検証を進めているところ。もう一段階、参加者を増やすために、不具合を出来る限り減らしておかなければなりません。

しかし何しろ、メンバーの多くは同業、つまり自営業者。やりくりしようと思わない限り、決して時間が取れないことは、いずこも同じです。

店主にしても、今日、久しぶりにサイトを開きました。そうして何件か入力して行くうち、こまごまとしたいくつもの問題を見つけました。

けれども、その多くは入力の際のルールに関することで、それは今後もその都度、話し合って決めていくしかなさそうです。となれば、もう次の段階に進んでも良いのではないかと、店主は思いました。

ところがここに一つ、決定しておかなければならない大きな問題があります。それは前回でも申し上げた、このサイトのタイトルです。

店主としては、ほぼ「近代著作者辞典」で決まりだろうと考えておりました。しかし今日、入力しようとした中に、著作物がなく、関連文献だけが取られている人名データがあったのです。

もう一度、考え直さなければならなくなりました。

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2017年09月09日

書店旧蔵書

さる6月に逝去された、ふづき書店鈴木啓之さんの蔵書が、2回に分けて南部入札会に出品されます。

今日がその一回目。他にも何件か、まとまった口物が出品されていたため、会場は大混雑。通路幅をギリギリ狭くして、何とか並べ切ったような状況でした。

無教会主義のキリスト者として、関心のある書籍をせっせと集められたふづきさんは、あまり売ることに熱心であったとはお見受けできませんでした。その結果としてまさに、在庫と言うより、蔵書と言った方がふさわしいコレクションとなったと思われます。

神学といえば、学問の中では最も由緒あるものですから、その書籍が膨大に出版されていることに不思議はありませんが、ほとんど日本書に限られ、しかもカトリック系のものはほぼ含まれていないことを考えると、やはりその数の多さに驚かざるをえません。

それはそれとして、いったいどんな本屋さんが、こうしたキリスト教関係書に入札するのだろうかと、いささかの懸念もありました。

しかし100冊前後の山に切られた数10点の出品物を見ていくと、すでに8割方に札が入っており、事業部の皆さんもひとまずほっとした様子。それ以降、開札時間までに、さらに札が入ったことでしょう。

この分野の専門店も2、3軒はあるのですが、今日、入札されたのは、それ以外の書店さんのようでKIMG0172す。あらためて交換会という仕組みの、頼もしさを感じました。

店主はと言えば、お目当ての文庫本の出品が今日はまったくなく、冷やかしの札を何枚か入れただけで、成果のない市でした。

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2017年09月08日

知らない名

RIMG2259今日も明古で「札改め」の手伝い。開札の済んだ封筒が、次々に廻されてきます。改め作業を続けるうち「平井功書簡1通」と表記された封筒が目に留まりました。

1通の書簡としては結構良い落札価格だったからです。しかも店主には聞き覚えのない名。

落札者から想像するに、文学関係者と思われます。そこでたまたま近くにいた石神井書林の内堀さんに、いったい何者であるかを尋ねました。

さすがに専門店。すぐさまそれが、昭和の初めに夭折した詩人であると教えてくれました。まさにQue sais-je?この商売をしておりますと、日々、そんな思いにさせられることばかり。

ちなみに、あとからネットで検索すると、西荻窪の盛林堂書店さんが、この詩人の未刊行詩集を独自に編集刊行されていたことも分かりました。決して知られざる詩人ではなかったのです。

ただし生前に一冊だけ刊行されたという彼の詩集は、その内堀さんも旧会館の市場で一度見かけたきりだとか。少なくとも15年以上前のことになります。

門外漢の店主が、名を知らなかったのも仕方ないと、自らを慰めたのでした。

夜はいつもの仲間と会食。久々の三幸園。終わって会計を頼むと、いくらリーズナブルな店とはいえ、出てきた計算書の数字がどう見ても少なすぎます。

皆で点検した結果、付け落ちを発見。店の人に伝えて修正してもらい、気持ちよく支払って帰りました。次から行きにくくなっても困りますからね。

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2017年09月07日

すっかり失念

家に戻って、晩飯を済ませ、おもむろにPCに向かっております。普段より、遅い時間となりました。

RIMG2116いつもは店にいる間に暇を見つけて書き上げ、毎日ほぼ決まった時間に公開するようにしています。ただし金曜日は別。さらに平日と、土日では少し時間をずらしております。

こんなことは読まれる方にとって関係のないことですが、以前、アップが遅れた日の翌日、市場でお目にかかったある同業から「心配した」と言われたことがありました。

こんなブログでも、気にかけてくださる方がおられるのは、有り難いことでもあり、恐ろしいことでもあります。

さて「暇を見つけて」などと申しましたが、仕事に追い立てられているわけではありません。やることは際限なくあるのですが、いくらでも一寸伸ばしにできます。それが自営業というもの。

しかし一寸伸ばしのツケは自分に回ってくるわけで、のんきに構えていると今度は、暮らしに追い立てられることになります。

という次第で今日は、店に居て別段、仕事に忙殺されていたのでもなく、どうしても片付けなければならないことがあったわけでもない。普段の作業を普通に続けているうちに、気が付いたら閉店時刻となっていたのです。

最初に気が付いたのは家人の方で、店主が帰り支度をしているときに「まだ上がってない」とLINEが入りました。

その時まで完全に失念していたのですが、失念できることにホッとしたのでもありました。

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2017年09月06日

昨日の成果

引き続き、昨日の洋書会の話題。

塩漬け在庫を仕分けしていて、店主が見つけたのはヤケてイタミも激しいDer Strum数冊。美術書に強い仲間に渡すと、他の数冊と併せて封筒が付けられました。結果的には、これがこの口で一番の落札額。

他にもBretonLe surrealisme et la peinture (1928) を見つけましたが、これは更にひどい状態。表紙が補修されていて、綴じは緩み、図版はバラバラ。

それでも大山に残しておくのは気の毒で、美術系の本がまとめられていた口に加えました。落札者がこの本を評価したかどうかは不明ですが、何人もの入札がありました。

作業を終えようというころになって、Gordon Craig : On the art of the theatre (1911)が見つかり、やはり山に残しておくに偲びず、他3冊と併せて1点に。こちらは他に入札する業者がいなかったため、店主が落札。

RIMG2123などなど、手間も話題も独り占めした感のあった、コンテナ在庫の口でした。

一方、買い取り業者が持ち込んだカーゴ3台。2軒分だとかで、そのうちのカーゴ半分ほどがフランス現代思想関係。

この部分を店主が担当して3点に仕分けたのですが、結局、3点とも店主が買い取る結果となりました。いずれも上札でしたから、まあ責任を果たしたといったところ。

以上が昨日の出来事で、今日、落札品がルート便(コショタン)で届きました。早速、整理を始めております。

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2017年09月05日

塩漬け在庫

今月はまた、洋書会当番。午前10時出勤。

出がけに済ませなければならない荷造りがあって、店を出るのが9時半になり、それでも途中の連絡が良く、10時を少し過ぎたくらいに会館に着くことが出来ました。

主な仕分けが2口。ひとつは毎週のように出品していただく、買取り主力の業者さんの口で、今日はフランス現代思想関係が中心でした。
KIMG0169
もうひとつは、先年亡くなられた書店主さんの残された膨大な在庫を、その息子さんが順次整理しておられるという口。

その在庫量については前にも書いたことがありますが、4百坪の土地に大型コンテナ20台。その中の4台が洋書とのことで、今日の出品はカーゴ約4台。

大雑把に重量で計算してみると、ざっとコンテナ1/3台分というところでしょうか。これくらいの量が、あと10回分は残っていることになります。

ただし、その質は、正直なところ決して高いとは言えません。まず第一に本の状態が良くない。汚れや傷みも多い。次に、揃いものは滅多に揃ったものがない。

とはいえ何十年か塩漬けされていた中には、思わぬ貴重な本が混じっていたりします。今日もお昼過ぎまでかかって、念入りに仕分けをして、何点か面白いものを見つけ出しました。

買い手が付かずに残った量の方が、売れた量よりずっと多かったのは事実ですが、それなりの売上にはなりました。会員たちの仕分けの成果だと、言わせていただきます。

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2017年09月04日

チラシの制作

毎年、反省ばかりしている「洋書まつり」の前宣伝。今年は少し早めに、チラシを印刷しようと思っています。

いつもなぜ間際になるのかと言えば、参加メンバーが確定しないから。そこで今回は、メンバーを入れないでチラシを作ってしまおうと考えました。

こうなると情報は、いつ、どこで、というだけのことになりますが、考えてみれば別段それで不足はありません。基本的にこのチラシを撒くのは、ほぼ参加店なのですから。

bargainというわけで、昨年までのチラシから参加店名だけを除いて、あとはフォントを変えて、地図を大きくして。これで版下は出来上がりです。

さて印刷ですが、これまで毎年引き受けてくれていた参加メンバーの索文社図書さんが、今年は万止むを得ない事情で不参加。

そこでネットを検索してみると、簡単に頼めそうなところが見つかりました。しかも値段も安い。

なるほどと思わされたのは、その価格体系です。サイズや紙の種類で異なるのは当然ですが、納期でも大分違う。少部数の場合など、受け付け日から1営業日後と、5営業日後とでは、倍以上の開きがありました。

こうなると、わが「洋書まつり」のチラシも、一日でも早く発注して経費を節約したいところです。明日の洋書会で手の空いた時間を利用して、仲間と印刷部数などを相談した上で、注文してしまうつもりでおります。

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2017年09月03日

駒場の自然

RIMG2230店の前のハナミズキに、いつの間にかヒヨドリ(たぶん)が巣を作っていて、ヒナが孵ったらしく子育てに忙しそうです。

気が付いてみると、目の上せいぜい2〜3メートルの高さで、こんなところで大丈夫なのかと心配になるほど。そっと見守ることにいたします。

そういえばひと月ほど前の夕刻には、スズメが店の中に入ってきたことがありました。今日くらいの気温で、ドアが開け放してあったと思われます。

珍しく店内にお客様もおられ、その動きが眼に入ったか、慌てて飛び立ったものの出口を見失って右往左往。しかしすぐに体勢を立て直して、飛び出していきました。

闖入者といえば、毎年恒例なのがニホントカゲ。今年もまだ体の小さなトカゲが一匹、店内に入り込んだことがありました。7月の半ばだったと思います。

元気なうちは捕まえるのが難しく、どんどん奥に入って行きます。ある年など、干からびて見つかったこともありましたが、今年はその数日後、まだ生きているうちに捕捉することが出来ました。

かなりスピードは落ちておりましたが、お向かいの庭先に離すと、緑の中に隠れ去りました。

大きなクロアゲハが舞い込むこともありますが、今年はどうも小型のシジミチョウの年。本の上で、羽を休めるのが好きなのかもしれません。

先日来、何度かご覧いただいた写真もその一コマ。かなり長い間、ひとつ所に留まっておりました。

虫や鳥たちには優しい駒場の自然ですが、本屋にとっては極地のような環境です。

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