2017年07月29日

Summertime

夏には暮らしが楽になる、というあの歌。

それは黒人奴隷たちの、日々の暮らしの辛さの裏返しの表現でもあったわけですが、いろいろなバージョンで聴くたびに心にしみる歌です。

とりわけあの振り絞るようなジャニスの声。大学生の頃、初めて聴いた時はかなり衝撃を受けたものでした。

RIMG2039しかし人の記憶はいい加減なもので、今の今まで、それが店主も持っていたアルバム『パール』に収録されていたと思い込んでいました。

ネットを検索して調べてみて、その間違いに気づいたのです。ではラジオで聴いただけだったのでしょうか。もっと頻繁に耳にした覚えがあるのですが。

まあ、どちらでも良いことです。なぜこの歌の話を始めたか。それは、夏場、暮らしていくのが少しも楽でない、ということを言いたかったからです。

むしろ小店にとって、夏こそは恐怖の季節です。日ごろ、あんなに学生さんが来ないと愚痴を言っているくせに、夏休みを怖れるのはおかしな話かもしれません。

しかし学校が夏季休暇に入るとともに、たださえ少ないご来客が、目立って減りました。何だかだ言っても学校関係者のご利用が、小店を辛うじて支えてくれているのだと、改めて思い知らされます。

暑さ以上に堪えねばならないものがある夏です。

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2017年07月28日

ターナーの日

ターナーはあのJ. M. W. Turner。今日の明治古典会に、ターナーを中心とする英国挿絵本の一口が出品されました。

RIMG2106カーゴにして2台。大判の本が多いので、冊数にすれば200冊程度のものだったでしょうか。それでも全体の半ば以上は、人気の高い時分なら1冊で10万円を超えていたような本ばかり。

蔵書の持ち主は、かなりの金額をつぎ込んで集められたことでしょう。しかし少なくとも我が国においては、バブル崩壊この方、景気の縮小した中で、ターナーにも挿絵本にも、かつてほどの人気が、失われています。

また少し辛口に見ると、今日の一口、なかなかのコレクションではあったのですが、超一級品と呼べるようなものは、残念ながら含まれておりませんでした。

そんな事情も重なって、落札金額の合計は、旧蔵者購入価格の10分の1にも達しなかったと推測されます。それでも、今日一番の口ではありました。

ひとつ残念なのは、仕分けが細かすぎた点です。買い手側にとっては、欲しい本だけ入札できるというメリットもありますが、洋書のように、もともと入札者の少ない本は、よほどのものでないと札が競りません。

それでふと考えました。同じ本を、同じ仕分けで洋書会に出品したら、おそらく出来高は今日より少ないことでしょう。入札者自体が少ないからです。だから洋書会なら、もう少しまとめて、札が競い合うように仕分けたでしょう。

ただ、それで結果はどうなったかというと、そこは神のみぞ知るところですが。

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2017年07月27日

南部支部の総会

今日は午後2時から南部支部総会。南部支部って何?とか古本屋さんがなぜ総会?というご質問はあるでしょうが、その説明は省きます。ご興味のある方は「東京の古本屋」をご覧ください。

KIMG0078さて支部総会。「四万六千日、お暑い盛りでございます」という、あの文楽の一言が思い出されるような炎天を、五反田駅から南部地区会館まで歩くのが毎年のきまりでしたが、今年はちょっと違いました。

昨日から曇りがちの空で、それまでの猛暑が一休み。これなら支部の先輩方も、ご出席し易かろうと、久々の拝顔を楽しみに出かけたのでした。

しかし着いてみると思惑は外れ、店主より年上は数えるほど。もっとも年下も数えるほどで、近年でも出席数の少ない総会となったのです。

そもそも支部員数自体が、昔よりかなり減少しています。ひと頃160名を超えていたのが、今期末では113名だとか。それに対して出席者30名。これは支部役員さんたちも含めての数ですから、一支部員としての出席はさらに少ないことになります。

委任状が52通で総会は成立しましたが、議事終了後、議長自ら出席者の少なさに敢えて苦言を呈されました。いずれ支部機関誌に議事録が収録されますから、それを読んでもらえることを期待して。

支部長からは、2019年の南部支部創立50周年にあたり、何か記念行事を考えるべきかという問いが投げられました。

出席者は一様に前向き。しかしまず支部員の意見を広く聞き、案をまとめて来年の総会に提出するということで承認されました。

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2017年07月26日

戻った定期

駅の改札出口近くで、PASMOを拾ったことがあります。落として間がないようでしたが、それらしい人影は見当たりません。

表側を見ると名前が印字してあります。すぐ近くの窓口におられた駅員さんに渡し、駅を出ました。

滑りやすいパスケースがあります。店主も何度か落としそうになったことがあり、一度などはスルリと落ちたその勢いで、駅構内の床を滑って、どこかに消えてしまったこともありました。

KIMG0074失くすだけなら大きな被害にあうことはありませんが、見つかるに越したことはありません。少しでも早く、落とし主の元に戻ることを祈ります。

というのも、大きな被害でこそありませんでしたが、実害を被った例が、最近、我が家族にあったからです。

上の娘が、定期付SUICAが見当たらないことに気づいたのは、ある週明けの朝。出かける前の支度の最中です。時間がなかったのでその日、家に戻ってからあらためてあちこち探したのですが、やはり見つかりません。

最後に定期を使ったのは週末、バスで帰った時。そこで念のため落し物がなかったか、バス会社に尋ねました。

すると、そこには届いていなかったのでしたが、後日、連絡が入り定期は無事戻りました。しかし、チャージされていたはずの金額はゼロになっていたそうです。使い切って捨てたのでしょう。

油断のならない世の中です。

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2017年07月25日

蔵の本 警告篇

「鎌倉の蔵書話」に乗ってはいけません。

もう少しはっきりと書いておくべきでした。ただ言い訳をすれば、店主自身、日曜日の約束の時間まで、万に一つの可能性は捨てきれなかったのです。

今日、同業のツイッターに「鎌倉まで行ってみたが目指す家は見つからなかった」というようなつぶやきを見つけました。電話もメールも通じなかったとか。おそらく、いや間違いなく小店に来たのと同じ人物でしょう。

出かけて行って空振りだったというだけなら、まだ笑い話で済みます。問題は「志功の手紙」のたぐいを買わされていないかです。紛れもなく贋物ですから。

騙されるのは目が利くかどうかの問題ではありません。オレオレ詐欺でも同じことで、どんな目利きでも、何かのきっかけでふと信じてしまうことがあるのです。

RIMG2035店主が被害を免れたのは、過去に贋物被害に遭った同業たちのおかげです。彼らから、いろいろと話を聞かせてもらっています。どんな手口で、どんなものを持ち込むか、などについて。

皆、店主などより自筆物に詳しい人たちです。それでも騙されました。隠しておきたいような自身の恥を、あえて語ることで、仲間に警戒の心を植え付けてくれたのです。

そこで店主からもひとこと。

まるでその値打ちを知らないような顔で、古本屋が喜びそうな旨い話を持って来たら、まず眉に唾をつけること。一旦冷静になれば、話の不自然な点や、つじつまの合わないところが見えてくるはずです。

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2017年07月24日

蔵の本 その2

「持ち主に宛てて何かいろいろ書いちゃってる本なんかでもいいですか」「もちろん構いませんよ」

すでに疑念のきざしていた店主が適当に相槌を打つと、男性は大型封筒の裏を見せます。そこには鉛筆で、見知った名前が書き込まれていました。

「ざっと書き出してきたんですが」というその蔵書メモは「多く見られる名」などと書かれた後に「文学界の人たち」「島崎藤村」「森鴎外」「夏目金之助」「正岡常規」その他、その他。疑いは殆んど確信となりました。金之助と常規がご愛嬌です。

これまでご当人の口から、具体的な書名や著者名などはまったく出ていません。「なんだか分からないけど古いものがあって、とにかく処分したい」という言い方でした。

それがここへきて「書いたものがある」「いくらくらいのもんでしょう」というような話になってきたのです。それでいて店主に見せた封書については、「志功」のシの字も口にしていません。

「見てみなくちゃわかりません」と答えると「じゃあ、それなんかはどうですか」と初めて尋ねてきました。あくまで名を言うことを避けながら。

「名前が大きすぎて、ちょっと値をつけるのは難しいですね」このあたりで男性も、店主に脈がないことに気づいたように思います。

KIMG0073話は「鎌倉の蔵書」に戻り、どうやったら運べるかという算段になりました。「明日、ついでがあるので姪の車に積めるだけ積んで持ってきます。午後3時頃になりますが」

そして昨日の日曜日。もちろん、3時を過ぎても4時になっても、男性はお出でになりませんでした。万が一という期待が、ないこともなかったのですが。

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2017年07月23日

蔵の本 その1

「古い本でも買っていただけるんですか、明治とか大正とかでも。土蔵を壊さなきゃならなくて、そこに本が沢山あるのですが」

KIMG0063昨日のお昼前に電話をいただきました。病院で透析を受けているところだが、電話では詳しい説明もできないから、済んだら昼過ぎにでも伺ってお話ししたい、とおっしゃいます。

「どうぞ、お待ちしてます」と電話を切って、ご来店をお待ちしました。

やがて現れたのは店主とさして年の違わなさそうな男性。にこやかな笑顔で「円山町に住んでいたので、何度かこの前を通ることがあって知ってました」と話を始めます。

「実はちょっと急いでいて、本当なら今日明日、遅くとも明後日の朝には片付けなければならない」とのこと。量をお尋ねすると壁面の棚を指して「これより多いかな、長持ちが3つだから」。

「それはまた急ですね。どちらですか」とお尋ねすると「鎌倉です」と大型の角封筒を差し出され、中から一通の封書を出されました。表書きには毛筆で、確かに鎌倉の住所と宛名(女性名)が書かれています。

なかなかしっかりした文字だと思いつつ裏返して見ると、そこに書かれていた差出し人の名は「棟方志功」。一瞬ドキリといたしましたが、その大型封筒には別に二枚、色紙のようなものが入っていて、そこにも棟方の名。それらを見ているうちに、落ち着きを取り戻しました。

それとともに「鎌倉の蔵書」についても、おおよその見当がついてきました。なおも男性は話を続けます。

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2017年07月22日

勘違い注文

昨日と今朝、在庫確認のお電話をいただいた別々のお客様が、それぞれご来店くださいました。

暑い中を、わざわざお越しいただけるのは有り難い限りです。手に取って、確かめてから買いたいということもあるのでしょう。今日はどちらもご納得いただけたようで、無事お買い上げ。店主も満足。

お客様の側でも、炎天下出かけるのですから、目指す本が確かにあるのかないのか、先に問い合わせておこうとお考えになるのも当然です。

何をお確かめになるのかはさまざまですが、大別すると、本の状態をお確かめになる場合と、それが本当に自分の探している本かどうかをお確かめになる場合があります。

RIMG2030どちらであっても確かめた結果「要りません」となることがあるのはやむを得ません。そんな時「違ってた」と言われる方がまだ心穏やか。状態が不満で見合わせられると、いささか心が波立つことは否定できません。

先日「日本の古本屋」のお客様から「間違った本を注文してしまった」というメールをいただきました。検索語に応じて現れた本を、よく確認しないまま、ご自身の探しておられた本だと思い込んでしまわれたそうです。

ご注文確認後、すぐ送金いただき、すぐ発送し、届いた本をご覧になって初めてご自身の勘違いに気づかれたのでした。「全く私のミスですが、もし可能であれば返品をさせていただけたらと思い、メールをさせていただきました」

返品は問題なく承ること、ただしご返金できるのは書籍代だけであること、送金料が発生する場合は書籍代から差し引かれること、などを記してご返信いたしました。

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2017年07月21日

暑中の明古

KIMG0070午前10時過ぎに古書会館に着くと、3階の陳列作業はかなり進んでいて、今日はやや出品が少な目に感じました。

もっとも朝の内から3階が混み合うことは、あまり多くありません。案の定、4階に上がってみると、しっかり本が並んでおりました。

明治古典会の場合、3階会場は主として1点もの、黒っぽいもの、つまり明古らしいものを並べ、4階には嵩物、白っぽいものを中心に並べます。

つまり会としては、明古らしさの点でも、出来高を上げる点でも、3階の充実度が鍵となるわけです。

とりわけ生命線は最終台。ここにどんなものが並ぶかで、その日のおおよその出来高が予測できます。店主が会場に着いたころ、その最終台にはまだわずかしか商品が並んでいませんでした。

若い事業部長の表情にも不安の影が兆します。しかし時間が経つにつれ、少しずつ荷も集まり、いつのまにやら最終台も埋まっておりました。

今日の最終発声は、大判の外国宣伝ポスター13枚。広げれば背丈ほどにもなる大きさです。

落札したのは小柄な女性店主で、筒状に丸められたポスターと背比べし「私より大きいかも」と嬉しそうに抱えて行かれました。

会が終わったあと、1時間ほど幹事会。そのあと、いつものメンバーで食事。まさか空いてないだろうと電話した「かねいち」に席が取れ、一足早い土用丑となりました。

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2017年07月20日

SEO最先端

午後2時からのTKI定例会議が、いつもの午後6時を1時間オーバーしてようやく終わりました。

その原因は、ある方からのおススメにより、SEO対策に長けているという会社のプレゼンを受けたからです。それが約1時間、つまりそれを除けばほぼ普段の会議時間でした。

SEOというのは、いまさら店主が説明するまでもありませんが、ご存じない方のために平たく申し上げれば、Googleなどの検索結果で、いかに上位に自分のサイトを持ってくるかという技術です。

そのために「日本の古本屋」が改善すべき点を、いくつかご指摘いただきました。しかしそれらの多くはすでに気づいていたことです。契約すればさらに詳しく分析し、より効果的な対策をご提示いただけるのでしょう。

もちろんお金がかかります。その金額自体は今の「日本の古本屋」が払えないというほどのものではありません。しかし提案を実現するためには、さらに費用と時間がかかることになります。それこれ考え合わせると、現状、そこまで踏み込む余裕はないように思われます。

RIMG2034では今日のプレゼンはまったく無駄であったかというと、そうでもありません。つまりプロが一目見て直ちに(無料で)指摘してくれるような点、それらは我々もすでに気づいていた点ではあるのですが、それを優先的に改善していこうという意思統一ができました。

ほかにも、いくつか有益な情報や、知らなかった知識をいただきました。Googleが行うサイト評価のアルゴリズムは年間500回更新されているそうです。その変化にいかに素早く的確に対応できるかが、SEO対策の決め手とか。

その効果を認めないわけではありませんが、最先端は無理とあれば、それぞれの店が出品内容の充実を図るという基本を、今後も愚直に続けることが肝要でしょう。

konoinfo at 20:23|PermalinkComments(0)
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