2017年05月09日

管理がルーズ

1年ほど前に市場で落札した『ピランデッロ戯曲集1・2』(新水社、2000年)。早速データ登録し、バックヤードの棚に納めました。もちろん「日本の古本屋」にも、すぐさまアップ。

今朝、注文メールが入っておりました。喜び勇んで記録されている棚へ向かったところ、見当たりません。

それなりの厚みのある本が2冊。あれば目に入らないはずはありません、慌てて近くの棚も探し回りました。しかし結局見つからず。

記録が残っていない以上、考えられるケースはただ一つ。直接ご来店いただいてのお買い上げ。そして売切れ処理のし忘れ。

RIMG1926実際にはもう少し複雑なケースもあるのですが、今回はまずそれに違いない。ただ情けないことに、まるで記憶にないのです。お客様には、ひたすらお詫びするしかありませんでした。

それでもこれはまだ、想像のつく範囲。現在、もっと不可解な失せ物を探しております。Grammaire homerique, 1-2. Klincksieck,1963,1973.という2冊。

これも1年近く前に市場で手に入れたもの。ただしこちらは、自店HPカタログにだけ上げてありました。

それがお客様の目に留まり、お問い合わせを受けたのですが、保管場所が未記入。売れてしまったはずはないのに、ありそうな場所をくまなく探しても出てきません。

幸い「気長に待つ」と言っていただきましたので、もっか暇を見つけては、捜索を続けている状況です。

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2017年05月08日

注文代行

RIMG1911連休が明けて町がにぎわいを取り戻した――と申し上げたいところですが、昨日までより、さらにひっそりと静かな駒場の町です。

その静かな午後、店の電話が着信を告げました。受話器を取ると「もしもし」と大きな音量。

2週間ほど前、ほとんど10年ぶりくらいにお電話をいただき、本を一冊探してほしいとのご依頼があったNさんです。

一時期、立てつづけに探求書のご用命を受け、いくらかは市場やネットで探してお納めしたことがあります。その後、長らく音信が途切れておりましたが、ふたたび小店のことを思い出していただいたようでした。

今回ご依頼を受けたのは30年ほど前に出版され、当時は良く売れた本。簡単に見つかるかと思いきや、案に相違してネットでもさほど数が出ていません。それでも「日本の古本屋」を初めとして10点ばかり見つかりました。

しかし困ったのは、それらの価格のばらつきが大きいことです。安いものは千円以下。高いものは1万円以上。状態表記を比較検討しても、お勧めできる本が決まりません。

そこへ今日のお電話でした。それによると、痺れを切らして知り合いである著者に連絡を入れたらしい。するとAmazonで探したらどうかとの返答。そこで娘さんに調べてもらったといいます。

当然店主と同じ情報を得たわけですが、ご自身で注文というお考えはなかったらしく、あらためて「手に入れて欲しい」とお電話をくださったのでした。

「それで、どの程度のものをご希望ですか」とお尋ねしたところ、お答えは「中間くらいのもの」。

早速「日本の古本屋」から、知り合いの書店に注文を入れました。

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2017年05月07日

一攫千金

我が家のTV受像機は1台、それも26インチほどの小さなものが、店主の寝室にあるだけです。ほかの家族は殆んどTVを見ませんから、それでべつだん不満も出ません。

ただし家人は、好みのヴィデオを借りてきては、店主のいない時を見計らって観ております。

先日の夜は珍しくNHKBSの猫番組に見入っておりましたが、なにかを観終えた後だったのでしょう。店主が現れたのをしおに退出しました。

部屋を明け渡された店主は、そのまま猫を見ている気にもなれずチャンネルを変えてみると、薄暗い洞穴を進む男性が画面に現れました。

ナレーションによれば、カリフォルニアの廃坑となった古い炭鉱跡で、坑夫たちが残した衣類を探しているらしい。

ものの2分と経たないうち、何かを見つけた男性が大興奮して叫び始めました。Shit! Holy Shit! Unbelievable! 店主でも分かるような単語を、何度も何度も繰り返します。

見つかったのは1870年代のものという、デニム地のジャケット。1万ドルの値はつくお宝だそうです。くだんの男性、感動さめやらず「これがあるからやめられない」と、これはテロップ。

廃坑などで、売り物になるような状態の衣服が見つかるというのは驚きでした。しかしさらに興味深かったのはヴィンテージジーンズの取引です。
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「格別状態の良い出物」を300万円で日本の業者が購入。店に出すとすぐに売れたという話。古書の世界と引き比べ、あれこれと考え込まされました。

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2017年05月06日

束の間の季節

RIMG1918今日はとりわけ静かな一日でした。昨日のことを思うとなおさらにです。

昨日の夕方、といっても日も高い午後5時前。制服姿の一団が、歓声を上げて店頭のジャンクおもちゃのワゴンの前で立ち止まりました。

どうやら高校生らしい男女それぞれ4名ずつ。大声を競い合うようにして喋り始めます。そのけたたましいこと。

5分もすると話題はいつしかおもちゃから離れ、クラスの誰それの噂話。親の職業がどうだとか、住所がどこそこの高級住宅街だとか。

やがて誰かが「キノコを採ると共謀罪」というと、一人が「ニュース見ないから知らない」と応じ、別の一人が「キノコ嫌い」と言い、また別の一人が「えーっ、キノコおいしいよ」。

聞き耳を立てていたわけではありません。スズメなどが木の枝で一斉に囀るのを聞いたことがおありでしょうか。まさにあれ。そのなかから時おり、意味のある言葉が聞こえてくるといった具合。

甲高い笑い声も混じります。よほど止めてもらおうかと、何度も思いました。仮にも本屋ですから、お客様には静かに本をご覧いただきたい。しかし店内にはまるでお客様がおられないし、あまりに楽しそうでもあります。

結局、店も閉め終え、帰るばかりとなった午後6時半、宵闇の増してきた表で、ついには座り込んで話し始めたのを見るに及び、ようやく退去を促したのでした。

おとなしく引き上げた彼らを見て、途中で追い返さなくてよかったと思いました。青春は束の間です。店頭で楽しく話せるのも束の間。何しろ直に蚊の季節です。

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2017年05月05日

花相似たり

お客様からの段ボールがさらに4箱届き、いよいよ片付け作業との追っかけっこになってきました。

早速開梱して中の本を出していくと、久々に『大森荘蔵著作集』が出現。端本で3冊だけでしたが。

この本については、何年か前にブログで取り上げたことがあります。当時、あまりの高値が付いていたのに驚いて。

いま改めて調べてみると、ずっと落ち着いた価格になっています。あれは何時のことで、いつの間に値下がりしたのだろうと、過去のブログを検索してみました。

すると2013年5月3日、4年前のちょうどこの時期でした。今回送られてきたのは第1、2、7巻。ブログによれば、第7巻に付けられていた価格は29万8千円。

もしその当時、これを手に入れていたら、店主は果たして幾らの売り値をつけたでしょう。それ以前に、お客様に幾らの買い入れ価格をご提示できたでしょうか。

現在は、ほぼ定価で売られているようです。おかげで安心して値踏みすることが出来ました。

ちなみに、2015年12月2日のブログにおいて、すでにこの全集が10万円以下の価格で売られていることをご報告しております。こちらのほうはすっかり忘れておりました。

RIMG1915ところで4年前のブログに載せた写真は、昨日も載せたブルーベリーの花。今日のクレマチスも、おそらくその前後に登場しているはず。

年年歳歳花相似たり。歳歳年年人同じからず。本の価格もまた、同じからずです。

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2017年05月04日

整理に追われる

土曜日の鎌倉は空いていたらしい。火曜日の市場の合間、同業の先輩とお茶をしていて聞いた話。鎌倉文学館から葉山の日影茶屋までの、車の移動が驚くほど楽だったとか。

昨日の鎌倉は混雑していたらしい。江ノ電に行列、乗車に何十分待ちとかだと、同地の同業のツイッター情報。

昨日の渋谷はあまり人出がなかったらしい。夕方、東横百貨店の伊東屋を通り抜けた家人の感想。渋谷の大型書店で働く娘に尋ねても「普通だった」という答え。

空いているとか混んでいるとか言っても、ピンポイントの情報では全体の様子は分かりません。一体この連休、世間の方々はどうお過ごしなのでしょう。

RIMG1901今朝、店に来る前に、地元のパン屋さんに寄ると、お目当てのパンはすでに売り切れ。いつも混雑している人気店ですが、正月とか連休には休まないので、普段以上に売れるようです。

その代り、時期をずらしてたっぷり休みを取るのが、同じく連休関係なしの、小店などとは違うところ。

小店はと言えば、昨日今日どころか、今週に入って連日変わらず静かな駒場の町で、とりわけひっそりと営業中。

ただしお客様からの段ボール4箱、別のお客様のお持ち込み数十冊と、店向きの学術書が続々入荷。暇を持て余すどころか、整理に追いかけられております。

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2017年05月03日

連休を乗り切る

RIMG1907今年の連休は、曜日の並びが良いのか悪いのか、古書会館の市場がお休みになるのは今日からの三日間だけです。

店主の関係する市場としては、金曜日の明治古典会が、次の一回休会となるだけ。洋書会の方は一度の休みもなしで、5月は大市を含め5回開催。

昨日の洋書会では、フランス書と美術書と、それなりの量が出ていたのですが、問題は連休に入るためルート便が動かないことでした。

普通なら昨日までの落札品は、今日運んでもらえるのですが、それが出来ないとなるとロッカーにしまっておける量しか入札できません。

そのロッカー、たださえ満杯なのに、月曜日に整理のつもりで出品した大判4本口が、まさかのボー(入札なし)。廃棄処分にするのも忍びなく、一旦ロッカーに押し込むことにしました。

そのためいよいよ隙間もなくなり、むやみと入札することができません。よほど欲しいものがあれば、それでもなんとかするつもりでしたが、幸か不幸か、どうしても入札したいというものは見つかりませんでした。

というわけで昨日は落札なし。それで良かったかもしれません。毎年連休シーズンは、店内の整理どころか、お客様からの買取が多くなるため、かえって乱雑が増します。

今年はせめて、現状は維持して乗り切りたいものです。

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2017年05月02日

「廃棄」を考える

まだ開業して間もないころに一度、本をお売りいただいたことのあるご近所の男性。

良く記憶していますのは、お父上が東大で数学を教えていらしたと言い、お名前を伺うと、そのころまだ定番であった数学教科書の著者だったからです。

もっともその時お譲りいただいたのは、数学書ではなく、ご本人のものらしい一般書でした。

店主より一回り以上は年上だと思いますから、けっこうご高齢。それ以降、たまにお探しの本を尋ねに来られることはありましたが、今回はずいぶん久しぶりです。

入って来られるなり「大変な話ですね、1万冊廃棄ですか。驚きましたよ」。桑原先生の蔵書のことです。続けて「ここにはどれくらい本があるのですか」とのご質問。

「数えたことはありませんが、2万冊くらいだと思います」「そうですか、管理が大変でしょうな」「いえ、とても管理できているとは言えません」

RIMG1826お話しだけされるとお帰りになりましたが、それで改めて考えさせられました。一口に1万冊廃棄と言いますが、仮に1箱30冊としても、300箱の段ボール箱になります。

もし古書店に払い下げたとすれば、一店で処理できる量ではありません。市場にでも出ていれば、その量だけでも必ず話題になっていたはずです。

となると古紙回収業者か産廃業者。過去にこうした業者によって、貴重な資料が目ざとく見つけ出され、古書市場に現れたケースも少なくありません。

今回はごく誠実な処理業者の手によって、厳正に処分されてしまったのでしょうか。

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2017年05月01日

5月になって

静かな5月の始まりです。駒場の町は、昨日一昨日のようなピクニック風の人出もなく、学生さんの姿も目につかず、朝から鳥のさえずりが聞こえるだけ。

お隣のコンビニとの境にある鉢植えの「羽衣ジャスミン」が、今を盛りと咲き誇り、強烈な匂いを発しています。

RIMG1900芳香で知られる花ですが、噎せ返るような匂いは、表の棚をしばらく整理していると、耐え難くなってきます。過ぎたるはなお及ばざるが如しとは、このことでしょうか。

ジャスミン臭とでもいいたくなるこの香りが、たださえ少ないお客様を、さらに遠ざけてしまうのではと、心配になるほどです。

雷雨も通り抜けた不安定なお天気。それも外出を控えさせた要因の一つでしょう。一旦晴れて、また通り雨。

その二度目の雨の時分、東大生だという3人の若者がやってきて「映画を撮らせ貰っていいですか」と尋ねます。本を盗って逃げるシーンだとのこと。

表で30分ほど撮るだけで、商売の邪魔になるようなことはしないと言いますから許可いたしますと、早速始め、何度か手を叩いて、キューとカットを繰り返していました。

その間、ほかにはお客様の姿すら見えませんでしたから、確かに邪魔にはならなかった。

作品は5月祭で上映するのだそうです。前半は連休、後半は5月祭。そういえば5月は昔から、学生のいない月でした。

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2017年04月30日

「バズる」について

RIMG1894「バズってる」という言葉を初めて聞いたのは、一週間ほど前、娘からです。ツイッターなどで、ひとつの話題をめぐって、何人もの意見が交わされることを言うのだそうです。

いつぞやブログで「古本派」の新聞記事を取り上げた時、「少しバズってた」と報せてくれました。

そのこと自体は店主自身の発信力によるのではなく、たまたまフォロワーの多いインフルエンサーが目に留めて、取り上げてくれた結果でしょう。

こう書いてみるとカタカナつづきなのが、いささか気になりますが「影響力の強い人」などと言い替えても、うまくニュアンスが伝えられない気もします。

そこで「バズってる」ですが、これも日本語に直すとどうなるのだろうと、Googleで検索してみました。その時、つい buzzling と打ってしまったのです。

もちろん普通の辞書に、そんな単語は出てきません。「バズってる」を「バズる」の現在進行形だと考えて、buzzle という語を思い浮かべたためですが、やがてこれはそれぞれ buzz; buzzing であると気が付きました。

しかし「バズる=buzzle」、いかにもありそうで面白いと感じるのは店主だけでしょうか。実際に、Wiktionary英語版によると、To buzz repeatedly or continuously などの意味でつかわれている例もあるようです。

やがて「バズる」は、英語でも buzzle だということになるかもしれません。

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