2017年07月02日

思わぬいただきもの

お昼にプレミアムモルツを1缶飲みました。

店の裏で昼食時にビールなど飲むのは、まったく初めてのことです。BLTサンドが買ってあったのですが、これにビールが良く合いました。

RIMG2005初めからそのつもりで用意したのではありません。実はこのビール、いただきものです。それも見ず知らずの方からの。

お昼前、30代男性が店に入って来られ「これをもらってくれませんか」と、350ml缶の6本ケースをバッグから取り出しました。

隣のコンビニでくじを引いて当たったそうですが、これから「田舎」に帰るところで「こんな重いものを持ち歩きたくないですから」とおっしゃいます。

「何かと取り替えてもらったらどうですか」と申し上げますと「いそがしそうで話しかけられる雰囲気じゃありません」と、あっという間に出て行かれてしまいました。

有り難く頂戴することにして、小店の小さな冷蔵庫に押し込み、やがてお昼。

いつもパン食の時はカフェオレを作ることにしています。牛乳を買いに家人が隣のコンビニに行くと、見たこともない長蛇の列だとかで、あきらめて戻ってきました。「紅茶にしよう」と申します。

そこで思いついたのがビールでした。試してみるとベッカライのトーストパンにこれがぴったり。とても得した気分になりました。

またお越しになることがあれば、ぜひ何かお返しをしたいところですが、お顔もよく覚えておりません。

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2017年07月01日

古本屋めぐり

RIMG19803時の休憩を終えて帳場に出てくると、一人の男性Aさんがライティングビューロー(飾り半分に置いてある、あまり実用的でない家具です)に向かって椅子に腰かけ、文庫本を読んでおられました。

怪訝な顔をした店主を見て、家人が筆談で書いて寄こしたところによりますと、今店内を見ておられる二人の男女とご一緒に来られ、先に文庫を二冊買われてそれを読みながら待っておられるのだとか。

状況を理解し、そのあと家人と交替して、帳場に座りました。棚を見ておられる筈のお二人からは、物音ひとつ聞こえてきません。時おり、座っているAさんの、椅子をきしませる音がするばかり。

年頃からすると院生さんたちでしょうか。男女は声を交わし合うこともなく、じっくり本をご覧になっています。

そのまま30分以上も経ったころ、まず女性が、さらにしばらくして男性Bさんが静かに出口に向かわれました。座っているAさんに合図するでもなく。

それに気づいたAさんは「ありがとうございました」と店主に声をかけ、表に出ると「何も買わなかったの?」などと尋ねています。

Bさんの答える声は小さく、帳場では聞き取れません。やがて「神保町」などという単語が聞こえてきました。想像するに、男女二人の古本屋めぐりを、Aさんが案内しているという構図。

すでに行ってこられたのか、これからお回りになろうというのか。いずれにせよご案内のAさんにとっては、小店がしばしの休息となったと思われます。

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2017年06月30日

地方荷開梱

今日は明古通常市終了後、七夕大入札会の作業第一弾として地方荷開梱をいたしました。

そう申し上げたところで、同業でさえ、この言葉の意味を理解できる人は必ずしも多くはありません。市場=交換会の仕事に携わった経験がある組合員に限られるでしょう。

RIMG2003相互扶助をたてまえとする協同組合で、その根幹事業に関わる人員が実は少数。そんな現状が、これによっても明らかになるわけですが、今はそのお話しではありません。

要するに東京以外から送られてきた出品物の梱包を解き、すぐ出品(陳列)できるように準備しておく作業――それを本日行ったのでした。

東京以外を地方と呼ぶのに、どうも抵抗を感じてしまうのは、店主自身が「地方」出身者だからでしょうか。日本人以外を外人と呼ぶようなものですが、しかし他に適当な呼び名がないのも事実です。

その地方荷開梱は、午後4時過ぎから初め、8時近くになって終わりました。正確には地方荷だけではなく、大口出品者の荷受けもしたのですが。

いつもの仲間との会食は、店主ともう一人がこの作業を終えてからの参加となったため、揃っての歓談は小1時間ほどのものでした。

七夕は、来週からいよいよ、いそがしい一週間に突入します。朝早くに出かける日、夜遅くに戻る日、朝から夜まで出ずっぱりとなる日。

ネット受注などの対応に、遅れが生じるかもしれません。しかし焦って誤発送などの間違いを起こすよりは、多少遅れる方がよほどまし。そう自戒しております。

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2017年06月29日

並べ方が九割

河出書房の文藝別冊KAWADE夢ムックの一冊として『中井英夫:精神科医のことばと作法』が今年5月に出ています。

RIMG2002ご本人の著作をまともに読んだこともないくせに、手元にあるというだけでこれを時々開いて読んでおります。表紙に「入門決定版」という文字も見えますから、お許しいただくことにしましょう。

この本に転載されている「『治療文化論』あとがき」に、研究室の移動に伴う書籍の扱いについて書かれた部分があります。

……フロイトの著作の隣にはまちがってもユングではなくむろんアードラーでなく必ずアブラハムが来なければ気が狂う私である。引っ越しに際してファイリング・キャビネットの中こそ無事であるが、本の並び方が顧慮されることは決してない。そして私によれば本は並べ方が九割なのである。

続いて少し後に「本稿の校正を終える段階でも私の図書の約二割が整理されたにすぎない」とありますが、前後の文章から判断すると、新しい研究室に入られて3年や4年は経っている勘定です。

本の並べ方へのこだわりと、思うように整理する時間が取れない切なさが伝わってきます。

こんなを引用させていただいたのは、本屋にとっても並べ方の大切さは他人事でないからです。

もちろん研究者とは違った意味合いではありますが、どの書店もこだわりを持って、入荷した本をどの棚のどこに挿すか、毎日のように頭をひねっているのですから。

古本屋の引っ越しに、新旧店舗の棚に番号を振っておき、仲間を頼んで棚ごとに縛って番号絵符を付け、その番号に従って新しい店の棚に並べて行くという方法があります。中井先生にも、その手があったのではないでしょうか。

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2017年06月28日

刷り込み (imprinting)

imprinting店主が古本屋修業を始めたころ、ここに写っているような本は高い値で売り買いされておりました。

それぞれ第一巻の奥付を見ると『同時代史』は1979年の第3刷。『西園寺公と政局』は1982年第5刷。ちょうど五十嵐さんで店員をさせてもらっていた時期です。

どちらも重刷される前までは、市場でも前者が3万円、後者が6万円以上していたような記憶があります。前者の定価合計は1万5千円。後者は3万5千4百円。

ですからこの当時、復刊情報をいかに早くつかむかということは、商売の重要なポイントでもありました。

品切れ絶版で高い専門書が市場に出て、奮発して札を入れたら何故か下札で落ちてきた。喜んでいると、しばらくして重版の広告が出た――などという経験は、学術系を扱っている本屋なら誰にもあるはずです。

それでもこの二点に関しては、その後また品切れで値上がりしたはずです。どちらも近代史の基本文献。そんな思いがありますから、現在いかに値崩れしているかは承知しつつ、置いてくることはできませんでした。

本日は、かねてご依頼を受けていた宅買い。個人全集などを多く揃えられた故人の蔵書で、保存状態は良いのですがほとんどが旧版。

シビアに評価して、何とか売れそうなものだけお引き取りしてきたつもりでしたが、店に戻ってネットで調べると、まだ認識が甘いことを思い知らされました。

なかなか刷り込みからは自由になれないようです。

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2017年06月27日

久々のロエブ叢書

6月最後、ということは今期最後の洋書会。しかし特別な行事があるわけではありません。一年の打ち上げは、先週の飲み会で済ませております。

それでも期末にふさわしく、カーゴ10台以上と、最近としては出品量の多い市会となりました。

店主も何点か欲しいものがあり、それなりの札を入れて、他に用があったため中座。再び会館4階に戻ったのは午後3時半。既に会場は半ば以上片付いておりました。

出先からエクストラネットで、3点の落札は確かめてあります。見渡すと落札品は、会員の誰かが一箇所にまとめてくれていました。

落ちなかった数点は、聞くところ店主の札の倍くらいの落札価格だったようです。想定内ではありましたが。

頑張って落としたのはロエブ(LOEB)叢書約200冊。緑版と赤版、つまりギリシャ語とラテン語が半々。長らく入荷がなく、お目当てのお客様にはがっかりさせ通しでしたが、これで棚も少し賑やかになります。

ただし明日、本が届いても、値付けして棚に並ぶまでにはしばらく時間がかかりそうですのでご注意ください。

RIMG2006さて久々の収穫に、いくらかの満足も感じながら戻ってきたのですが、店の方は閑散としたもの。夜まで店番をして、お客様の数よりも、潰した蚊の方が多いような有様なのでした。

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2017年06月26日

読書百遍

RIMG1979分からないけれど面白い、という本もあるものです。

たまたま木田元さんの『反哲学入門』『ハイデガー拾い読み』という2冊の文庫が手に入り、パラパラと目を通してみました。

『ハイデガー』はちょっと取っつきにくそうに感じましたが『反哲学』は「哲学のことなど何も知らない」人に向けて話したものをまとめたと「まえがき」にあります。それならばと、読んでみることにしました。

同じ本の単行本なら、以前から店の棚にささっています。しかし店主の読書時間はもっぱら市場の行き帰り。文庫本なればこそ、読む気にもなったのです。

読み終えるのにそれほど時間はかかりませんでした。面白かったからです。けれども理解できたかと言えば、ほとんど理解できていないような気がします。

ゴシップ的な話だけは頭に入るのですが、「生得観念」だの「超越論的主観性」だのと出てくると、もうついていけません。若い頃ならもう少し、消化能力があったように思うのですが。

そんな情けない読者のためともいえるエピソードが、紹介されています。

昔東北大学にオイゲン・ヘリゲルという『弓道における禅』という本でドイツに禅を初めて紹介した新カント学派の先生がいたんです。そのヘリゲルさんが『純粋理性批判』を七十二回読んだけれども、分からないから、いま七十三回目を読んでいる……

若き日の木田さんが、カントを読んで分からないとお父上に話されたとき、諭された言葉だそうです。

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2017年06月25日

お忘れ物です

恥ずかしい話ですが、他に解決策も思いつきませんので、ここでお知らせしておこうと思います。

wanted今日、棚を整えていて、ある本が下巻のみであることに気づきました。アンドルー・ゴードン編『歴史としての戦後日本』(みすず書房2001年刊)です。

念のため本を開いてみましたが、値札は挟まれていません。小店は上下本などの場合、上巻に値札を挟んでおります。

どこか別の場所に上巻を戻されたのかと考え、その近くを探してみたのですが見当たりません。

帳場のすぐ隣で良く見通せる位置にある棚ですし、それにすでにご承知の通り、近ごろは鞄類を台に置いてご覧いただいています。

よほどボンヤリ店番をしていたか、あるいは怪盗Xに狙われたか。などと考えているうち、ふと別のケースに思い至りました。

お客様が二冊本と気づかず、上巻だけお持ちになったのかもしれません。もちろんレジを打った者も、それに気づかなかったことになります。

データベースを検索してみると、まさにその通り。先月末に売却済みとなっており、ボンヤリが立証されました。

もう一月近くになるわけですが、お客様からのお問合せはありません。まだ気づかれていないか、あるいは上巻のみの価格だと思われたか(とすると高い本屋だと思われたかもしれません)。

いずれにせよお取り置きして、ご連絡をお待ちすることにいたしました。このブログがお目に留まれば幸いです。

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2017年06月24日

命名に難航

過去ブログを検索してみたところ、初めて「著作者辞典」についてお知らせしたのは、去年3月のことでした。

奇特な研究者が書き溜めた、2万5千件におよぶ手書き資料を、何とか日の目を見させることができないだろうかと、まずチームを作ったのです。

その後、数度の会議を経て、何はともあれ資料をデジタルスキャンしようと決まり、業者を選んで発注したのが昨年末。当初納期2月末という予定が、5月も半ばを過ぎたころ、ようやくPDFファイルとなって組合に届きました。

今月に入り、実際に画面を見ながら、これからの手順を確認するための会議をいたしました。まことに遅々たる歩みですが、このPDF化された資料を、文字データにするというのが次のステップとなります。

その文字データ化は、広くボランティアを募る形にしたいと考えています。費用を掛けないという狙いもありますが、それ以上に、大勢にご参加いただくことで、この事業自体を世間に知っていただくというのが本当の目的です。

データ化したものを活用する点についても計画はあるのですが、その前に、まずは広く告知を図らねばなりません。

そこでもっか一番の難題となっているのが、KIMG0052他でもないこの辞典の名称。思いつくいずれも帯に短したすきに長し。ぴったりしたものが生まれません。

成否が、ここにかかっているような気にさえなってきました。

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2017年06月23日

草稿の価値

スマホを店に置いたまま古書会館に出かけ、到着してからそのことに気が付きました。一日、心もとない思いで過ごすことになり、ますます依存度が高まっていることを思い知らされました。

似たようなものに老眼鏡があります。今やそれなしでは日常生活に大きな不便をきたします。文書類を読むことはほぼ不可能です。

メガネの方は老化に伴う視力の衰えが原因。スマホは機器の進化で便利が増したことが原因。一応そのように、違いを挙げることはできます。

しかし本当にそうでしょうか。機器の進化の一方で、心身に何らかの退化が生じていないとは言い切れません。そう思いつつも、やはり手放せなくなっているのですが。

RIMG1985さて今日の明治古典会は、事情により一週前倒しとなった月末特選市でした。フリ市も行われ、内田百里僚餞福∋暗舁概夫の草稿、堀辰雄の限定本などが目を惹きました。

なかでも三島の草稿は、400字詰原稿用紙たった一枚で結構な落札額になり、根強い人気を伺わせました。

草稿と言えば、先月のフリ市に現れた司馬遼太郎のものが今日、新聞などでニュースに取り上げられています。それによると納まった先は司馬遼太郎記念館だったとか。

いまどき、そんな予算を用意できる機関は無かろうと推測したのは、店主の誤りでした。確かに同館にとっては目玉ともなるべき資料で、よそに取られるわけにはいかなかったのでしょう。

それが安い買い物だったか、高い買い物だったかは、これからの同館の活動が明らかにしてくれるはずです。

konoinfo at 22:39|PermalinkComments(0)TrackBack(0)
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