2010年01月23日

生かせば資源、ですが

午前中に宅買い。

既に一度下見に伺っています。その折にお話しもしてありました。こちらで引き取れるものだけ引き取らせていただき、あとはそのまま残していきますと。

それで、遠慮なく選ばせていただきました。本を抜き出しながら、これはちょっと石油の掘削に似ているな、と考えていました。。

石油資源はあと何年持つか、などという話がかまびすしかった昔、その鍵は埋蔵量ではなく、経済効率だということを知りました。いくらそこにあっても、それを掘り出すためにかかる費用が、得られる利益より大きければ、ないに等しいと。

本も同様、いくら良い本でも、売れる値段と、掛かる諸々の手間ひまを比べて、やむを得ず置いてくるものもあるのです。

『社会科学大事典』(鹿島研究所出版会、1968-)は全部で20冊。大部なものですから、念のため知り合いの専門書店に問い合わせました。答えはおススメできないとのこと。

実際、後で調べてみると、大きく値崩れし、しかも何組もネット上に出てきました。おそらく市場に出しても買い手がつきません。かといって、店に置いても場所を食うばかり。

同じ理屈で小泉信三全集(不揃)、福沢諭吉全集(不揃)も埋蔵資源として残されることになりました。他にも残してきた本は多量。遅かれ早かれ、廃棄物となる運命でしょう。

心が痛みます。

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2010年01月22日

自筆物の世界

今日は明治古典会がかなり早く終わってしまい、少し多目の10人で食事。店へ戻ってきても、まだ8時半。おかげで注文品の荷造りやら返信やらに、余裕を持って取り掛かることができました。

1月に入って、品薄が続く市場ですが、面白いものは出ていました。ベデカを初めとする外国の旅行ガイドの一口が、店主には魅力でしたが、ちょっと太刀打ちの出来ない価格で落札されていました。

最終台に「内村鑑三草稿、ペン書き24枚」が載せられていて、これには多くの業者の関心が集中。「独立教会」と印刷された黄ばんだ用箋に、やや崩した青いペン字。末尾に1891年の日付と内村の名前が書かれています。

自筆と認められれば、相当高価なものになるはずです。入れ替わり立ち代り何人もの業者が熱心に検分していました。

ある業者は、別の自筆草稿をコピーしたものを持って来ました。それと比較してみると、どうも似たところがありません。そちらは比較的楷書に近い、一字ずつ几帳面に書かれた文字でした。

7、8名の入札がありましたが、開札の結果、さほど高くもない止め値に届く札はなく、ボー(不成立)となりました。

自筆物のように真贋を問われるものは、おおむねハイリスク、ハイリターン。しかし生半可な知識では確実に怪我をします。その怪我を授業料として、専門家に育っていくのでしょうが、度胸と、資力と、少なくともその一方は必要だということになります。

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2010年01月21日

疑心暗鬼

今朝は訳あってバス通勤。店が見えるところまで来ると、表の様子がなんだか変です。いつもと違う。

近づくと、閉店時、道路に面した部分に立てているラティスの位置が、移動しているのが分かりました。転倒防止のため脚に乗せているレンガが散らばっています。しかも四枚あるラティスのうち一枚は、格子の部分が抜けて、外れかかっています。

しばらくは何が起きたのか分かりませんでした。誰かが中へ押し入ったのか、昨日帰る前に見かけた夜間工事の車がぶつけたのか。あれこれ疑いが湧いてきます。

しかし全体の様子をよく見ていくうちに、まずラティスが倒れ、その後で上に何かが乗って、格子が抜けたのだと見当がつきました。

となると何故倒れたのか。もしやと思って家人に電話で問い合わせました。昨日の夜、大風でも吹いただろうかと。

すると、夜中に強い風で目が覚めたといいます。熟睡店主はまったく記憶にないのですが。

他に物が飛んでいる様子がないなど、いくらか疑念は残ったものの、それで倒れた原因はまず決まりました。後は、通りかかった子どもでも上に乗ったのだろう、と思うことにいたしました。

天災であれ人災であれ、ラティス一枚の被害ですめば、安いものです。

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2010年01月20日

雑誌を高く買えない訳

昨日、山のようにお持込みいただいた雑誌を、全部で4000円ですとお客様に電話した時、一瞬絶句されたようでした。

ややあって、「そんなもんですか、あれだけあって」と何度か繰り返されたあと、ご了解がいただけました。

実は、積み上げれば1m以上になるビジュアル雑誌については、殆ど評価していません。一緒にお持ちいただいた、10冊ばかりの単行本で値を付けたのです。

もちろん車で運んでこられたのですが、重い雑誌を積み降ろすだけでも大変だったことでしょう。昨日のうちに代金を取りに来られたので、その時、そう申し上げました。

でもそれはそのまま、この後、小店がしなくてはならない作業の大変さを意味します。

同じタイトルがまとまっていればまだしも、実に雑多な雑誌があり、売れそうなもの、そのまま捨てるものを選り分けるだけでも骨が折れます。しかも売れると言っても店頭の均一。かかる手間を考えたら、何もせずそのまま処分してしまい、他の仕事に手をつけたほうが、経済効率から言えば遥かに良いはずです。

しかしそれが出来ないのが古本屋。面白そうな雑誌は、兎に角一度は並べて見る。売れれば嬉しく、それで損得勘定が合うかどうかは頓着しない。というより計算が出来ないのですね、きっと。

で、昨日の雑誌、もちろんまだ半分も整理できておりません。

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2010年01月19日

市場は空振りでも

今日の洋書会はキリスト教関係研究書の一口がメイン。

教会史や教父の言行録、もちろん聖書の注解書などもあって、結構な分量でしたが、全体とすれば良い値になったとは言えません。ただ、店主やほかの当番会員が仕分けをして集めた口には、それなりに札が入り、まずまずの値がついています。

店主が選んで作った口はギリシア・ラテンの哲学、思想に関わるものや、いわゆる西洋古典史の範疇にはいるもの。仕分けた口には、自分でも札を入れましたが、落札価には全く届かない始末でした。

一方で純粋なキリスト教関係書は誰も手をつけず、大山になって出品されましたました。

何軒かキリスト教関係の専門店もあるのですが、間の悪いことに今日は市場に顔を見せず終い。さらに間の悪いことに、ディスプレイ用に洋書を集めている店も今日は欠席。

しかし公平にみて、もし彼らが来ていたとしても、それでぐっと値が上がったとは思えません。荷主さんには、とくに損を与えたということはないはずです。

というわけで、本日は市場で収穫のなかった小店ですが、店へ戻ると持ち込みの本が山積みにされていました。明日はこれの片づけです。

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2010年01月18日

自営業者の行く末

この数日、朝毎にしっかりと張り詰めていた庭の水槽の氷が、今朝は片隅に小さくなって残っていました。少し寒さが緩むだけで、体も随分と楽なものですね。

毎朝同じ道を、ほぼ同じような時間に車で通っていると、同じ人を自然と良く見かけるようになります。まるで知らない他人ですが、次第にそんな気がしなくなってくる。

そんな一人を今朝もお見かけしました。

すっかり腰が曲がり、杖を突いて歩いている男性です。パン屋さんがかぶるような白い帽子をかぶり、白い前掛けをして、舗道で二三歩毎に立ち止まり、息を整えています。

腰が曲がる以前は、交差点のずっと手前で道路を横切っていました。その帽子と前掛け姿で記憶しています。曲がってからもしばらくは、同じように横断歩道でもないところを渡っていて、危なっかしく思っていました。

何時からか、遠回りでも交差点まで行って、信号を待ち、渡るようになったようです。

今朝、いかにも苦しそうに息を整えていたのは、きっとその信号を渡りきるのに、力を使い果たしたからでしょう。

このご老人が自営業者であることはほぼ間違いありません。自営業は、体が続く限り仕事を続けられます。それが生活のためでなく、生きがいとしてであれば、こんなに幸せなことはないのですが。

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2010年01月17日

続けてこそプロ

そういえば一昨日、昨日とボロ市でした。寒いはずです。

12月と1月の15日、16日。うっかり忘れていると、帰り道が塞がっていて迂回することになるので、気をつけて別ルートで帰るようにしています。

もう長いことボロ市をひやかすこともしていませんが、以前出かけた頃でも元祖フリマの面影はなく、骨董、古着などを売っている店はプロかセミプロばかりでした。

インターネットのオークションサイトも、初めのうちはいかにも「ウブい」ものを見かけましたが、月日が経つうちに、出品者がプロばかりになってきているようです。

はじめからのプロもいれば、やっているうちに本業化してしまった人もいるのでしょう。

だからそんなに恐れることはない、と言いたいのです。

少なくとも古本に関していえば、片手間でやって、儲かるような仕事ではありません。残るのは結局プロだけなのです。

このことを、しかし逆に言えば、生き残れなければプロではないということです。最近、業界の将来への悲観的な意見を良く耳にします。簡単に始められるが、続けるのは決して楽ではない。そのこと自体は以前から変わっていません。

この四月、書籍・出版業界の今後を展望するシンポジウムを古書組合で企画しています。店主も一枚噛む予定。それに向けて、少しずつ考えをまとめて行こうと思います。


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2010年01月16日

南部支部報

イメージ (3)東京古書組合南部支部では年一回、『支部報』を出しています。

本部の『古書月報』は隔月刊で長く続き、組合、業界史料として貴重なものとなっていますが、支部報も負けていません。

かく言う店主も以前、20周年記念号の編集を担当したことがあります。最新号に40年史年表が掲載されているので、それがもう20年も前のことだと分かり、改めて驚いています。

しかし今日はその話ではありません。その表紙に使われた写真。小さな画面では、分かりにくいかもしれません、ぜひクリックしてみてください。

一見してその迫力に圧倒されました。たぶん南米のどこかでしょう。撮影したのは古書店のアルバイトなどをしているうちに、この業界にすっかり縁が深くなった若い女性。一人旅をすると聞いていましたので、おそらく旅先での一枚。

撮影者自身の驚きと、嬉しさがそのまま伝わってくるようです。

ちなみにこの女性、ついには若い古書店主(南部支部ではありませんが)と、このたび目出度く結婚されました。

業界にとって、いろいろな意味で喜ばしいニュースです。

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2010年01月15日

古本屋の「忙しい」

なんとも忙しい一週間でした。まだ土曜日を残しているのですが。

火曜日から今日まで、営業時間には殆ど店に居なかったことになります。

しかし古本屋の「忙しい」は、ビジネス啓発書流に言えば、無駄な時間ばかり費やしていることになるのでしょう。能率よくテキパキと仕事を片付ければ、余った時間をいくらでも有効に生かせそうです。

でも、そういうことが出来るなら、いや、そんな生き方がしたくなくて、この商売をしているのかもしれません。

明治古典会は、今日も荷は少なめ。市会は4時過ぎに終わり、4時半から会員総会。7月に始まった今期の、12月までの半期の事業および経理報告。そのほか幾つかの連絡事項。

終わってから7名で、行きつけのうなぎ屋さんへ。いつもより会食メンバーが多かったこともあって、7時前に店に入り、解散は9時半頃。食べ、飲み、喋り、ひたすら口を動かしていたわけです。

店主を含め7名中3名がノーアルコール。それにしても、食べ切れないほど注文して、満腹になった割には、随分お勉強していただいたようなお勘定でした。

明日の土曜日は、午前中に宅買い。日曜日にも一件。まだ「忙しい」はしばらく続きます。

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2010年01月14日

二つ目の新年会

会議が三つ、そして新年会。

今日も、朝、開店準備を終えるとすぐに出て、一日店を空けることになってしまいました。

二つの会議については別の機会に譲ります。三つ目の会議は月例の合同役員会。そして、そのメンバーをやや拡大した形で、場所を変え組合役員の合同新年会が開かれました。

会場はレストランアラスカパレスサイド店。総勢60名ほどの立食形式です。

このご時勢に豪勢なものだといわれそうですが、昔のことを思えばこれでずいぶんと質素になったのです。

もともとは、組合事業の運営を無給でお手伝いいただく役員さんたちに対し、感謝の意味を込めた年に一度の慰労会として、二月の半期決算報告会議と併せて行っていました。

ですから交換会事業が組合に潤沢な上がりをもたらしていた頃は、熱海だ箱根だ鬼怒川だと、近場の温泉地へ一泊で出かけたりしたものです。

景気の低迷に伴い組合の収入が減少、それと同時に組合員それぞれにも時間的なゆとりがなくなり、いつしか現在の形になってきました。

それでも参加の皆さんは、日ごろの忙しさをひと時忘れ、大いに食べ、飲み、語っておられました。ここに組合の大切な部分があるのだと、改めて感じた次第です。


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