2009年04月25日

静かな雨の土曜日

雨がだんだんひどくなる、という天気予報で、朝方小雨のうちから人通りがありません。

五反田の支部役員会に顔を出し、昼前には店に戻って、その後はゆっくりと片付け仕事。このところ、土日の売り上げの比重が増してきているので、ちょっと痛いお天気ではありますが、気持ちがゆっくりして骨休めの気分です。

役員会では地域を担当する班長さんから、各店の様子などの報告があります。店をやめてネット販売に絞る人、逆に好立地を得て移転する人など、それぞれの動向がうかがえる機会です。

店主は「日本の古本屋」のクレジット決済導入について説明しました。店売りが厳しい中、ネット販売に活路を求める古書店も多く関心は高いようで、熱心に聴いてもらいました。

ブログをやっているんですね、と最近続けて同業の幾人かから声を掛けられました。本当はタイトルどおり店のニュースをお伝えしたいのですが、ネタも乏しく、つい雑感になってしまっていることに忸怩たる思いです。



konoinfo at 17:49|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2009年04月24日

明古四月最終市

明治古典会は特選市。先週とは変わって出品量も多く、仕事を終えて、打ち合わせも終えると8時近く。今夜は四人の仲間と静かに食事。

新潟の蔵書家のものという、劉生、志功など人気の高い美術関係の一口が、市を賑やかにしていました。

他にも思わぬ珍品が。慶長刊、版本としては日本で最古という囲碁の書物が、一点で百万円をはるかに超える価格に。これも地方からの出品でした。

満州関係の口がやはり良い値になっていて、中でも織田作之助の大連刊の一冊がちょっと驚くような価格。

また変ったところでは大本教関係の資料が何点か出ていて、中でも一番高値を呼んだのは出口王仁三郎作とされる茶碗。そこいらの陶芸作家も及ばぬような価格でした。

少し見慣れたようなものは、名品でも相場を下げていますが、珍しいものは、こんなご時勢でも良い値がつくものだと、改めて知らされました。

ただ今11時、今夜ももう少し店で残務です。

konoinfo at 22:59|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2009年04月23日

セレンディピティ (serendipity)

ふとこの言葉を思い出しました。面白いものに出くわす能力、というような意味が辞書には載っています。

もう10年以上前のことになりますが、洋書会の仲間とアメリカ西海岸へ買い付け旅行に行ったとき、バークレーの一軒の古書店の名として知りました。同名の映画が作られ、やがて日本でも上映されて、知っている人も増えたことでしょうが、もともとは本の世界に縁の深い言葉だったようです。

その時は不思議な店名だと思って、その由来を訊きました。

尋ねた相手が当の店の人ではなく同業者の一人で、こちらの語学力の不足もあって、その答えからは漠然とした理解を得ただけですが、それでも古本屋の名前に相応しいと、感心した覚えがあります。

懐かしくなってネットで検索してみると、まだその店は健在のようです。さらに、同名の店が他にも幾つかあることも分かりました。思いは同じ、というところでしょうか。

さてしかし、この店のホームページは画像もないシンプルなもので、一日に何軒も、ひたすら本屋をたずねて回った旅行の記憶をたどっても、いったいどの店だったか、いまだに思い出せずにおります。

インターネット前夜、面白いものに出くわすためには、何より、そこまで出向くことが必要でした。

konoinfo at 17:46|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2009年04月22日

記事への注文

表に出て、仕入れた本の整理をしようとしたら日差しが暑くて、堪らず店の中で仕事を続けることにしました。ついこの間まで、寒くて外で仕事ができなかったのに。

昨日の洋書会の成果は言語学関係。このところ、言語づいてます。ただし今回は英語学者の旧蔵書なので、専門書が多く、ネットに載せるものもありそうです。

二三日前の新聞に、引きこもりの社会復帰に古書店経営を、という記事がありました。仕掛けている人は30歳とか。書いている記者もおそらくは同じような年代の人ではないでしょうか。

彼らの認識にある古書店というのは、いったいどんなものなのでしょう。しかし今はその点について、慨嘆しようとは思いません。どんな店を試みるのであれ、それで救われる人がいるのであれば、喜ばしいことです。

問題にしたいのは、このような記事を書くに際して、現にそれを生業とする多くの人たちがいることについて一顧だにしていないことです。古書を商う苦労、ささやかな誇り、そうした古書業者への目配りを欠いた、つまりは想像力を欠いた、余りにも幼い記事であったと、残念に思うのです。



konoinfo at 17:45|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2009年04月21日

古書は廻る

「言語オタク」といっては口の悪い言い方になりますが、いくつもの言語の習得に熱心な方たちがいます。

この前の南部入札市で買った9本口は、まさにそんな語学学習書ばかりの口でした。英語による仏語、独語はもとより韓国語、広東語、インドネシア語、スウェーデン語、オランダ語、ラテン語、ギリシア語などの学習書。

殆どペーパーバックで、しかもTeach Yourselfなどのポピュラーなシリーズものも多く、安い値をつけて店頭へ出したところ、早速、何ヶ国語かをまとめて買っていくお客様がいらっしゃいました。

まだ今回のものは序の口で、日本でも大学書林が、驚くほど多様な言語の学習書を出版していますから、それなりの需要はあるのでしょう。

この口を店主が買う気になったのは、そうした需要を当て込んでというよりは、欲しい本を一冊見つけたからです。それがSmyth の Greek Grammar。1920年にハーバード大学で出版され、以来、長い寿命を保っているギリシャ語学習の定番です。

これまでも何冊か売ったことがあり、店に置いておきたい一冊ですから、手に入ったことを喜びつつ本を開くと、見開きに小店のラベルが付いていました。鉛筆で03年に東急古本市で入手した旨、書かれています。

今度はどんな方の手に渡ることになるのでしょうか。

konoinfo at 18:36|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2009年04月20日

あらまほしき姿

本の値付けをしようとパラパラとめくって見ているうち、つい読みふけってしまうことがあります。

それでは捗らないので、気になるものは除けて、時間のあるときに回します。しかしそんな時間などある筈もなく、いつの間にか、面白そうな(と店主が思う)本ばかりが、滞留してしまうことになります。

本好きに本屋は向かない、というのはこのことでも分かります。

「現代の文人」は写真集で、ただ眺めるだけですから、それほど時間を取られたわけではありませんが、お終いまでページを追ってしまいました。

角川書店編集部写真室に在籍した斉藤勝久氏が、1950年代から80年代までに撮ったモノクロの写真集で、角川に縁の深い作家、歌人などが中心です。

その中に二点、古書店で撮られたものがあります。大岡昇平の高山書店(高山本店)はすぐに分かりました。中野重治の棚沢書店は、巻末のクレジットを見るまで分かりませんでした。

どちらも実にそれらしい組み合わせ。客と店主との、互いの敬意が伝わってくる、とても雰囲気のある写真です。



konoinfo at 18:19|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2009年04月19日

世界大思想全集

昨日(腰痛を押して)買ってきた本は、ご想像の通り、殆どがシロッポイものですが、少しだけ古いものが混じっていて、世界大思想全集もその中にありました。河出書房ではなく春秋社の昭和2年から刊行された、いわゆる円本の一つとされる方です。

もちろん端本で、10冊ほどあっただけです。函入りで月報付、殆ど読まれた様子もない良い状態ですが、何しろ大量出版の走りとも言える全集ですから、大概はありふれたもので均一本にしかなりません。

とは言っても、この全集の完全な揃いを、未だ見たことはありません。正確に何巻出ていたのかも定かではなく、調べてみても第一期は124巻が最終巻数ですが、途中、刊行されなかった巻もあるようです。

巻によっては発行部数に相当違いがあるはずですし、他に訳書のない文献も含まれ、古書として貴重なものもあります。

今度手に入った10冊は早い配本のもの。つま大抵、部数の多いもの。一点だけ「スペンサー第一原理」は、第一回配本ながら案外手に入れにくい本です。

この巻には二つ折りのチラシのような付録が挟み込まれていて、そこに書かれた「第一回配本に際して/読者諸賢へ」を読むと、時代の熱気がひしひしと伝わってきました。

konoinfo at 17:15|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2009年04月18日

ついに腰が悲鳴

宅買いに伺った先で、床に積まれた本を縛っているうちに、突然腰に鈍い痛みが走りました。

この一、二ヶ月、不安定な感じは抱きながらも、何とか無事にやり過ごしてきましたので、こんな時に、と焦りましたが、作業のペースをぐっと落とし、だましだまし縛り終え、積み終えて帰ってきました。

これまでに何度か伺っているお宅で、今回が最後の片付け。いつもライトバン満載で、これが5回目くらいになるでしょうか。

本好きというのはこういう方のことを言うのでしょう。何かを研究されていたのではなく、蔵書家というのでもなく、純粋に楽しみのために本を読まれた方で、殆どが小説、伝記、随筆といった、いわゆる一般書。

持ち主はすでに亡くなられていてご家族による処分ですが、量に比して低い評価にも、かえって申し訳ながっていただき、それだけに痛む腰を押しても引き取って来ざるを得ませんでした。

今は恐る恐る動かしていると、痛みはありません。しかし油断をするといつでも襲ってきそうな気配があります。

ともあれ小店の均一は、しばらく充実するはずですので乞御期待。



konoinfo at 18:53|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2009年04月17日

専門店も楽じゃない

今日の明古は出品が少なめ。5時頃には市場の仕事は片付きました。現場をお手伝いいただいている皆さんとの月一回の会食を6時から。終わって店へ戻り、幾つか残務を片付けたところです。

市場では囲碁関係の一口ものが、目を惹きました。5〜600冊はあったでしょうか、もちろん何点にも仕分けされていましたが、一軒の専門書店が殆ど買い占めたようです。

そのご当人と言葉を交わしましたが、それだけの量があっても多くはすでに在庫しているもの。それでも専門店である以上は在庫補充は欠かせません。

それ以上に、自分で札を入れなければ、他店に安く買われてしまうことになります。安く売られることになれば本の相場を下げてしまうことになり、結果、自店の在庫の価値も下がる。それを防ぐ、要するに買い支えが必要になります。

専門店にはもう一つ辛いところがあります。それは、そのようにして買い集めた本を、在庫調整などで次に市場に出しても、自分以上に高い評価は望めないということです。

競合相手はあったほうが良い、というのは、こんな時には逆に頼りになるからで、それが本屋の市場の面白さでもあります。

konoinfo at 21:58|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2009年04月16日

「日本の古本屋」講習会

古書会館の地下にある多目的室で、午後四時から100名ほどの同業を前に、約1時間半、話をしました。

このところ安定期に入った、別の言葉で言えば伸びが鈍っている「日本の古本屋」に、一つテコ入れをしようと理事会が企画して、役目柄、お鉢が回ってきた次第です。

近く行われるデザインリニューアルの説明、クレジット決済が利用できるようになるという説明、あわせて新たな利用者を募ることが目的です。

東京組合には現在約650軒が加盟していますが、「日本の古本屋」に出品している書店はそのうちのまだ270軒ほど。まだまだ増やす余地はあります。

ちなみに東京以外も含めると、参加古書店はおよそ850軒。今日の集まりが少しでも参加店増、売り上げ増(それぞれの)につながれば良いのですが。

終わって、声が少し枯れ、立ち通しで足に来ました。学校の先生というのは大変なお仕事だなと、あらためて感じました。

konoinfo at 19:59|PermalinkComments(0)TrackBack(0)
Profile