2009年08月16日

カールさん

月に一度くらいお出でになって、何冊かまとめ買いをして下さるカールさん。今度初めてお名前を知りました。一冊の本に眼を留めて「これなんです私のやりたいことは」と熱弁が始まり、その中で分かったのですが。

その本はJapan's Road to Pluralism(古川俊一他、財団法人日本国際交流センター刊、2003年)。

廃校を利用して「コンピュファーム」を立ち上げ、地域おこしにつなげる活動をしているのだそうです。廃校は増えているし、光ファイバーも引いてあるし、と次々に展開される話のなかで、一番の突っ込みどころを逸していたことが、後でわかりました。

「コンピュファーム」というのは実はカールさんの造語。そのままカタカナで検索すると、真っ先にNPO法人会津コンピュファームのHPが現れます。意味としては十分伝わってきたので、普通に使われる略語のようなものだろうと聞き流していて、カールさんも少し張り合いがなかったかもしれません。

「自治体などに掛け合うのでも、私のような《変なガイジン》は有利です」とおっしゃるので「やっぱり《若者、ばか者、よそ者》ですね」と申し上げると、その言葉はご存じなかったらしく、いいことを聞いたと喜んでくれました。

お買い上げは手提げ二袋、帰りがけに「奥さんからまた禁止令が出るから、しばらく来られないかもしれません」と一言残して。


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2009年08月15日

すごい久し振り

静かな店内に、若い女性客がお一人。しばらく前から、ゆっくり文庫本をご覧になっています。

そこへまた一人、若い男性がご来店。別のコーナーへ向かい、一巡して、先客に気がついたご様子。そーっと近づいて、読み耽る女性の横に立ちます。気配で顔を上げる彼女―

「えーっ!どうしてここに居るんですかあ!」

偶然の再会に驚いたのは分かります。でも他に物音もなく、しかも店主はここに座っているというのに「すごーい久し振り!」のテンションで二人の会話は続くのです。

女性の方は、近くに用があって何かの時間つぶし、男性は通りすがりにふと立ち寄って、感激のご対面となったわけで、今何してる?彼、彼女たちはどうしてる?話題は尽きません。

どうやら学生時代の先輩後輩「今でも芝居、続けてられるんですか?」「残念ながら。しかしお前(いつの間にか“お前”になってます)全然変わらないね」「嬉しくないなー」

相変らず他にはお客様が来る気配もありません。永遠に続くかと思われましたがやがて「ちょっとここ出ようか。ところでお前いくつになったの?」「23さい。ほんと久し振りですね」

なんだか、オチがついたようでした。

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2009年08月14日

東急東横店大古本市

今日から渋谷の東急東横店で大古本市が始まりました。

小店は第一回から参加していたのですが、諸般の事情により今回は不参加です。会期中に様子を見に行こうとは思いますが、初日は混雑していて、出店者も忙しいでしょうから、今日のところはひとまず遠慮。

もともと、小店を仲間に入れてくれたのは、地元への配慮だったのでしょう。それまでも伊勢丹のデパート展を長く続けていたのですが、どうも向いていないと感じていました。やるからには積極的に売れ筋を仕入れるという姿勢がないと、売上げが伸びず経費ばかりがかさむことになります。参加店の中でも売上げは下から数えたほうが早い状態でした。

言い訳めくのですが、市場での仕入れは洋書が中心。それも学術系のもの。デパート展などでは殆ど売れません。そこでお客様が売りに来られた日本書の中から、デパート向きと思われるものを取って置いて、出す。この程度では売上げが伸びる筈もありません。

それでも東横展に誘われて参加したのは、とにかく近間だから。ということで力の入れようも半端なまま、ここでも売上げは最下位グループ。もちろんこうした催しに参加するのは、売上げだけではなく、新しいお客様を得ることも大事な目的です。しかしそのためには、店の特長をアピールできる品揃えが不可欠。この点でも不十分でした。

今回の不参加は肩、腰の不調など、体力に不安があったことが直接の理由ですが、今後もし参加するとしたら、そのあたりの覚悟をしっかり固めてからにしたいと思っています。

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2009年08月13日

古書月報

ようやくお天気が続くのでしょうか。お盆に入り、どこの商店街も駒場駅前並みに閑散としています。

組合から機関誌『古書月報・435号』が届きました。

隔月刊で、しかも不定期に刊行された時期もあってこの号数ですから、いかに長く続いているか、ご想像いただけるでしょう。古書会館の応接室には本誌の創刊(「古書籍商組合会報」第1号大正11年)から製本されたものが揃っていて、組合の歴史を一望するかのごとく壮観です。

今日まで刊行を引き継いできたのは、組合の機関誌担当理事たちです。原則二年で交替しますから、多くの組合員が関わってきたことになります。店主自身も15、6年前に一期担当しました。編集者が替わるごとに異なる特長が見られ、それもまた楽しみのひとつです。

業界には達者な書き手も数多く居て、感心したり、笑いこけたり、組合員だけが読むのでは、もったいないような記事も載ります。しかしあくまで組合機関誌。組合と組合員の実態および意見を、記録として残すことが主眼でなければなりません。

組合活動に関する日々の情報は、インターネットを通じて得ることも多くなってきました。しかし古書組合は今、重要な問題を抱えていて、大きな岐路に立っています。こうした問題をじっくり話し合っていくためにも、機関誌の役割は、増しこそすれ、減ずることはなさそうです。


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2009年08月12日

玉石混淆

そこまでの経緯は省略しますが、ネットであれこれ検索しているうちに「ダリダ」に行き当たりました。懐かしい名前だと感じる方もおられることでしょう。とても素敵な公式サイト(仏・英語)があるので一度ご覧下さい。

話は別のことで、あるサイトのダリダの紹介(日本語)に「伯母は伝説的な舞台女優エレアノール・ドゥーゼ(Eleanor Duse 1858-1924)」と書かれていました。

おやと思ったのはこの表記です。たしかエレオノーラ(Eleonora)ではなかったかしら。気になって調べてみると、確かにEleanorまたはEleanora Duseでも幾つかのサイトが見つかります。しかしよくよく見ると別人、あるいは小説の題名。

なかにSargentの描いたドゥーゼの肖像画、そのタイトル表記がEleanoraとなっているサイトがありました。しかしそれも説明文の方では、ちゃんとEleonoraになっていて、結局のところ単なる誤植であるとの結論に至りました。

ドゥーゼについても色々と改めて知ることができ、面白かったのですが、今度のことで改めて、玉も多ければ石も多い、ネット情報の精度を疑ってみることの大切さを感じた次第。

考えてみれば、何もネットに限ったことではありませんけれど。

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2009年08月11日

本と闘う人々

台風が南へ逸れて、お天気は回復。

『書斎曼荼羅』(磯田和一、東京創元社、2002年)という本をご存知でしょうか。「本と闘う人々」という副題がついて、34人の蔵書家が二冊に分けて紹介されています。

もとは「IN★POCKET」で1999年から2001年まで連載されたものだそうで、イラストレーターである著者が、絵も文も書いておられます。

各人が、どんな本をお持ちかということより、どのように収納しているかということのほうに主眼があり、細かく書き込まれた書棚、書庫、あるいは積み上げられた本など、イラストならではの味わいで、それぞれの個性が伝わってきます。

商売柄、本の多さには驚きませんから、大きな書庫、巨大な書棚には、羨ましいと思いこそすれ、格別の感慨は湧きません。しかし、ひたすら増え続ける本とまさに闘っている姿には、身につまされる思いがします。

その点で、最初に紹介された文芸評論家・関口苑生氏の引越し前の「古本屋の倉庫」状態、最終回の内藤陳氏の「本の山脈」には、一番の同志的共感を覚えました。

しかし一方で、宅買いを頼まれたら一番腰が引けてしまうのも、このお二人かなと思います。申しわけないのですが。

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2009年08月10日

あってもなくても

生来、寝つきも、寝起きも良いほうだったと思います。

寝つきは今でも良いことは、昨日も申し上げたとおり。ただ、寝起きは年とともに悪くなってきて、体の疲れや、眼のカスミ、要するに老化が進んでいます。

今朝は、強い雨音で眼を覚まし、ウトウトしたあと再度、三度と眼を覚ますたびに雨音が激しく強くなるようでした。朝食を済ませて出かける頃には雨脚が弱まりましたが、車で店へ向かう途中にまた強くなり、バス停に並ぶ方々が、なんともお気の毒でした。

こんな天気にいつも思うのは、本屋商売の気楽さです。ライフラインに関わるような仕事をされている方は、お天気がどうなどと言っていられません。勤め一般を考えても、あるいは毎日仕入れや仕込をしなければならない商売などと較べても、ノンビリしたものです。

それは裏返せば、あってもなくても良いような商売だということです。そのくせある時には、ある人にとって、なくてはならない物を見つけ出す場所ともなれる。

そう考えると、この大不況とも言える時代に、こうして生き延びていられるだけで、有り難いことだといわなければなりません。儲からないなどと言っていては罰が当たりますね。


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2009年08月09日

掘り出し屋

寝そべっての読書が出来なくなって、もう長く経ちます。

その理由は三つ。目が弱くなり、近い距離では読みづらい。そのせいもあって首が直ぐ痛くなる。何より、本を開いたとたん眠ってしまう。

そんなわけで例のミステリーもなかなか読み進めません。それでも少しずつ読むうち、気になる箇所が出てきました。ヒロインの職業が、自称「掘り出し屋」だというのです。われわれが言うところの「せどり屋」というわけです。いまなら「セドラー」。

これが原文ではなんと表記されていたのか、気になったのはその点です。印象に残っていないので、おそらくpick upなどという英語としては普通の言葉だったのでしょう。book hunterという言い方もありますが、掘り出すならやはり前者。

日本語では、こなれが悪くて目に付いてしまう表現になりましたが、「せどり屋」では注釈が必要になるし、きっと訳者も苦心されたことでしょう。

閑話休題。

夏休み最中の日曜日、買いに来られるお客様より、お持込の方の方が多い一日。そう言えば、毎年今頃はそんな具合でした。暑苦しさを少しでも和らげようと、皆さん、部屋の片づけをされるのかもしれません。

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2009年08月08日

夏休み

小店は年中無休ですから、もちろん夏の間もずっと営業いたします。けれど市場、古書組合には夏休みがあって、来週一週間、本部会館での交換会はありません。即売展もお休みです。

お盆の時期に休むというのは比較的新しい決め事で、それ以前は長い間、八月の第一週を休みにしていました。それを移行したのは、たださえ二八といわれる月でも、お盆の週はことさら人も荷も集まりが悪かったからです。

入れ替えて以降、景気の影響もあるのでしょうが、月間の出品量が特に好転したとは思えません。先週の洋書会、明治古典会とも、いつもより荷は少なめ。しかしお盆休館は、なんとなく定着して今に至ります。

制度には必ず長所短所がありますが、お盆の休みで困ることが少なくとも一つあります。それは八月末に開く組合総会の準備、特に資料作りの日程が窮屈なことです。

これは関係する人、したことのある人にしかわからないことで、全体の理解は得にくいかもしれません。しかし組合にとっては、とても重要なことで、こんなことに長く関わってきてしまった店主としては、折あらば改善を提言してみようと思っています。

いずれにせよ、来週は火曜日も金曜日も、店に居る予定です。

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2009年08月07日

『幻の特装本』

もの覚えが悪くて、得をすることもあります。同じ本を何度も楽しめることです。特にミステリー。

限られた読書量なのに、作家の好みが偏っていますから、過去に読んだ本を手に取ることもしばしば。特に、クリスティやウルフなどは、読んでいない作品を探す方が難しいかもしれません。

それでも、10年も経てばかなり、20年以上前のものならほとんど、初めてのように楽しめます。いや、それは正確ではありませんね。初めてでない、知っている話のはずだと思いながら、しかも十分サスペンスに操られてしまうのです。

それでまた手にしたのが『幻の特装本』(ジョン・ダニング、ハヤカワ文庫、1997年)。実はこの本、英文でしか読んでいません。と言うと偉そうですが、近年読み通した(眺め通したというべきでしょうか)おそらく唯一の洋書です。

同業の友人に教えられて前作を読み(もちろん翻訳です)、本作の翻訳が出る前にペーパーバックが手に入り、興味に駆られて読み始めました。すると始まってすぐ雨のシアトル。まだ当地を訪れた記憶も鮮明な頃で、しかも本が主役ですから、どうにかおしまいのページまで辿り着きました。

さて、これから読んでみれば、どれほど覚えていないか分かります。でも、それは記憶力より、語学力の問題かもしれませんね。

konoinfo at 21:13|PermalinkComments(0)TrackBack(0)
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