2009年04月05日

花より古本

今日は一段と暖かさも増して、絶好のお花見日和。この界隈でも朝から、いかにも散策といった風情の家族連れが目立ちます。

そのついでに立ち寄っていただくのは、有り難い限りですが、いろいろと気を使うこともあります。

まず飲み物を持ったまま本をご覧になる方。飲み差しのペットボトルを小脇に抱えるなどは良いほうで、蓋付きのカップから出たストローに口をつけながら、棚に手を伸ばす器用な方もおられます。

これから増えるのは、お隣のコンビニで買ったアイス類を食べながら、というケース。食べ終えてからゆっくりご覧くださいと、気がつき次第声を掛けるようにしています。

今日のようにドアを開放していると、お子達は店内の地球儀へ突進。お犬様を抱いたまま、店内の本を見始めた方には、さすがにご注意を申し上げました。

神田で春の古本まつりとして数年前から始めた「神保町さくらみちフェスティバル」は、そのお花見の人出を見込んだ催しですが、なかなか売り上げにつながらないという嘆きも聞きます。

本日のタイトルは、今年は先週開かれた、その催しのキャッチ。聞きようでは切実です。

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2009年04月04日

伝統商法

置き薬屋さんが薬箱の点検に来て、今日はお花見の人出が、見たことないくらいすごい、と言っていました。

この薬屋さんとの付き合いももう長くなります。今は二ヶ月に一度来て、使った医薬品を補充し、折々に新製品を入れ替えて行きますが、支払う額はいくらでもありません。

富山の薬売り以来の伝統ある商法ですが、今でも成り立っているのが不思議な気もします。

輸入書店なども以前は似たような商いをしていました。専門分野の書籍をまとめて先生の研究室に運び込み、置いてきます。その中から必要が生じたものをお買い上げいただき、年度末などには予算残などを睨みながら、残っている中から、今後の必要を見越して更にお買い上げいただくという寸法です。

最近は公費の使い方にいろいろ厳しい制約がつくようになり、こうした「見計らい」を禁止する学校も多く、さらには輸入書店自体が数を減らしていることもあって、殆ど行われていないようです。

続くもの、消えていくもの、今風に言えば、これはビジネスモデルとしての出来の違いでしょうか。

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2009年04月03日

詠み芝居

旧い友人から、芝居の公演チラシを古書店に置いて貰うよう計らってくれないかと頼まれました。

今日の明治古典会は、先週に続き出品量が多く、仕分けも二口あって午前中は準備に追われましたので、午後になって、入札の合間に、預かったチラシを懇意の同業に少しずつ手渡しました。

それで改めて気づいたことは、明古で盛んに売買をする本屋には、店を開いている業者が、思いのほか少ないことです。店舗を構えていても、店売りの依存度が高くない、もっとはっきり言えばあまりお客の入らないお店も対象から除くと、実際にチラシを渡せる店の数は、10軒程度のものでした。

もちろん今日、手近にいたところではという意味です。月曜日の市会などは、店売り中心の店が多く集まります。南部地区の市でもそうです。

それでも、改めて感じたのは、店を持たない書店の増加と、その健闘ぶりでした。

ところで配ったチラシは演劇倶楽部『座』第23回公演「詠み芝居・お伽草紙」のもの。2009年5月19日(火)〜24日(日)恵比寿・エコー劇場で上演されます。この主催者が店主の旧友。古書会館の新築オープニング記念イベントにも参加してもらいました。

ご興味のある方はhttp://za01.comをご覧ください。

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2009年04月02日

『[駒場]2005』の効用

学生さんの引越し整理で持ち込まれた本の中に、『[駒場]2005』が一冊ありました。教養学部と大学院総合文化研究科の年報です。『1991』からその年度末に隔年で発行され、間の年は補遺として出されてきました。

今年は『2008 Supplement』が出たところのはずですが、まだ実見していません。頒価もついていますが、市販されてはいないようです。

『2005』でみるとその年度の活動報告、組織の説明、カリキュラム、教員紹介、施設案内というのがそのおおよその内容で、多くは必要なところへ配布されているのでしょう。新入生がはずみで買ってしまうことはあっても、古書としては売れそうもありません。

しかし小店にとっては、教員紹介に添えられた小さな顔写真がとても重宝です。しばらくぶりで手にした本書を、パラパラとめくりながら写真を追いました。

殆どはご縁のない先生方ですが、なかに良くお見かけするお顔が出てきます。そうした方々のお名前とご専門が改めて分かることは、商売を抜きにしても、とても興味深いことです。

もちろん分かったからといって、こちらからお声は掛けません。掛けていただいて、初めてお応えするようにしています。

店に来るなり自己紹介をされた先生が、26年の間にお二人いらっしゃいました。どちらも小店にとって、とても大切な方です。



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2009年04月01日

本の値打ち

小口の荷物を送ることは、昔に比べて格段に楽になりました。取り扱いも丁寧になって、段ボール箱にガムテープ止めで、ほとんどの場合損傷なく届きます。

整理したいという本が5箱くらいまでなら、よほど近くでない限り、送っていただく方がお互いに都合がよく、そのようにお願いすることが増えています。

昨日も届いた2箱は、細かな本も入れて70冊ほどありましたが、古びた翻訳小説などが多く、評価としては申し訳ないような額にしかなりませんでした。ひところは探すのも難しく、そこそこの値をつけて売られていたものです。どれも内容的にはつまらない本ではありません。

このお客様は、お序でもあったので、今日店にご来店下さいました。評価額を告げると、さすがにがっかりされたご様子。店主も評価の内訳などを説明し、まあ仕方ないですね、と納得していただきました。

そのあと店内をご覧になり、やがて2冊の本をお買い上げいただきましたが、そのうちの一冊は前からずっと探していた本、と大変なご満悦です。ケストナーの古いペーパーバックで金100円也。

このお客様にとっては価格では測れない、大きな値打ちのある一冊なのでした。


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2009年03月31日

EETS叢書

今日の洋書会は量もまずまず、内容も一口物が何件かあり、なかなか面白いものでした。目立ったものとしては数学書の一口、ジャンルはさまざまながら1900年前後に刊行された本の一口、そして中世文学関係の一口。

小店の本日の収穫は、中世文学の口の中の一点、
Early English Text Society 叢書、約50冊です。

同業で、しかも洋書を扱っているからと言って、誰もが知っているわけではありません、これはどんな本なのかと尋ねられました。英文学を専門にしている仲間が、日本でいえば古典文学大系のようなものだよと、替って答えてくれました。

本屋にはそれで大体分かるのですが、本当はもう少しマイナーなものを丹念に集めたシリーズなので、むしろ古典文庫の方が近いかもしれません。

発行者がグループか個人かという違いはありますが、学者がほぼ無報酬で校訂、編集し、会員制で頒布(一部は市販)というところなど、よく似ています。

ただEETSのほうは上製クロース装、古典文庫は新書判の軽装。前者は1864年に始まり現在475巻(http://users.ox.ac.uk/~eets/)でなお刊行中、後者は1946年に始まり平成14年の第670冊で一旦、完結となっているようです。

なおEETSが店頭に出るのは来週以降になります、ご了承ください。

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2009年03月30日

店売りにこだわる

用有って目黒区役所まで自転車で出かけました。昨日までに比べて朝からずいぶん日差しが暖かく、山手通りは緩い下りで、目的地まで気持ち良く走って15分。帰りは当然上りとなって、よい運動になりました。

桜はまだつぼみが多く、所どころで咲いている程度。景色やら、お店やらを眺めながら改めて思ったのは、東京の人の多さ。車上から少し遠くを眺めると、歩道が人で埋まっているように見えます。

中目黒の駅があるとはいえ、月曜朝10時、どこへ向かう人達なのでしょう、途切れることなく双方向へ歩いています。

何年か前、同業仲間と旅行した折り、山陰の主要都市の駅前で昼食を取りました。その店の窓から眺める駅前の大通りとそれに続く商店街に、ほとんど人影が見えなかったことを思い出します。

こんな人に溢れた東京でさえ、小売業は成り立ちにくくなっています。駒場西口商店会も活動を休止して10年になるでしょうか。本を、店で、売る、もう少しその挑戦を続けようというのが、今日出かけた目的でした。

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2009年03月29日

人さまざま

外国のオークションサイトに出ている古刊本を「代わりに入札していただけませんか」という電話を受けました。

声を聞いているうちに、思い出しました。以前店に来て古い洋書に関心を示し、あれこれ見ているのでこちらから声を掛けた青年です。

神保町の洋書店を覗いているうち西洋古刊本に出会い、その美しさにとらわれてしまったのだと言っていました。語学に堪能なわけでもなく、純粋にものとして惹かれるそうです。「こんな美しいものがあるのか」と思ったと。

話していると素直な良い青年で、介護の勉強中と言っていましたが、今は福祉関係で勤めているそうです。その彼が、クレジットカードを持たないので、お金を預けるから代わりに、という頼みです。

今日来店し、そのサイトを一緒に見ました。希羅対訳ホーマーの小型本、刊年表記はなく16世紀後半の年代を推定表記。5万円ほどの指値で、現在、応札者一名。締め切りまであと丸一日。

この値段で買えれば高いとは思わないが、それは飽くまでその本が欲しい場合のこと。もっと値打ちのものをじっくり待つほうがよいのではと諭し、今回は見送りとなりました。

17世紀以前刊の古典関係がお好みのようなので、テオフラストスでも探してあげようかと思うのです。



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2009年03月28日

他山の石

お客様からご依頼を受けて「日本の古本屋」で本を注文することがあります。ご自身ではネットを利用できない、する気もないという方も、まだ大勢いらっしゃいます。

今日も一点届いて、開けてみて少しがっかりしました。こちらが説明表示から判断していたより状態が悪かったこともありますが、はたけば落ちる程度のヨゴレも落としてありません。

昔から同業同士が本を融通しあう時、お互い様ということで一割程度の値引きをする慣習がありました。これが今も残り、同業からの注文には小店もその程度の値引きをしています。もちろんこれは各店の裁量で、値引きはしない、どころか中には逆に、同業には売りたくない、というお店もあります。

かつて神田などの専門店は、品揃えのために全国を回って同業の店からセドリしました。しかし中にはセドリを専門にする業者もいて、彼らにめぼしいものを根こそぎ抜かれて悔しい思いをした、という話もよく耳にしたものです。そんなトラウマを持ったお店も少なくないでしょう。

今回頼んだお店は、値引きなし。書店からの注文であることをことさら無視するかのように、やりとりのメールから小店の屋号は除外されていました。

値引きがなかったことではありません。事務的なやり取りの中にも血の通ったものを感じれば、届く本についての評価も、いくらか緩くなるのではと、他人事ではなく思った次第です。

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2009年03月27日

みみずく偏書記

先週が祝日でお休みだったため、今日の明治古典会は久々に大量の出品物で溢れ、準備に手間取って開始が遅れるほど。月に一度の特選市でもあり、北海道や関西方面の同業の顔も見受けました。

特別陳列台といって、その日の出品の中でも特に珍しいものや、高額の落札が予想されるものを並べる台があります。ここは最後に開札されるのですが、今日目立ったのは細江英公、森山大道などの写真集。

最後に落札価格を読み上げられた、つまり本日の最高落札価格品は、富本憲吉『製陶余録』限定A版。富本の陶芸作品でも高価な部類のものが買えそうな価格でした。終了は午後6時半。これほど遅くなったのも久々のことです。

店主が今日の明治古典会で気になった一点は、そのような高額品ではなく、由良先生の著作まとめて8冊。冷静な札を入れておいたので、案の定、落札できませんでした。

その中の『みみずく偏書記』あとがきに小店が紹介されています。発行は昭和58年4月30日、小店の開業は同年3月1日。いかにすばやく見つけ、紹介していただいたか、思い返して感慨を新たにしました。

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