2010年03月08日

ムダに忙しい

忙しい一日になりました。

まずは本探し。18000円の本に注文が入り、やれ嬉しやと在庫データベースを検索、記されてある場所へ向かったのですが見つかりません。入力間違い、場所の移動などいろいろな可能性を考えて、あちこち探し回ることになりました。

そのうち、段ボールが三箱到着。一昨日、送っても良いかとお電話をいただいた方からです。お話では、せいぜい一箱程度ということでしたが、大きな箱で三つ。とりあえず開梱し、値踏みして、帳場前に積み上げました。

お昼頃、中央市会を覗きに神田へ。頼まれものがあって、まず望み薄とは思いつつ念のため。併せて、こちらはもっと可能性が低いのですが、探している注文書籍が、万一にも会館に借りているロッカーにないだろうかと。もちろん、どちらも空振り。

店に帰って帳場に座ると電話が立て続けに三本。一本目は本のお尋ね。続いて近く退官の先生から引取り日の打ち合わせ。三本目はご近所から、やはりお引取りの要請。こちらはお急ぎの様子。幸い店番の交替要員がいたので、すぐに伺うことにしました。

これも段ボールで三箱。持ち帰って値踏みして、すぐにお電話で了解を取りました。何しろ早く片付けたいですから。

片付け始めたとき、大きな紙袋ひとつお持込み。六箱と一袋の本が、今日新たに積み上がることになりました。

積みあがった本に手をつける前に、見つからなかった本についてお詫びのメール。出したら気落ちして、そこで本日のエネルギーは尽きてしまったようです。

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2010年03月07日

暗い日曜日

今日の天気のように暗い気分です。

確定申告が迫り、いつものことながら間際になって帳簿の整理。去年の売り上げやら、仕入れやらを、厳然たる数字として眼にすると、楽しい気分には、なりようがありません。

売上合計では20%の落ち込みになりそうです。ただし一昨年は大口の仕入れが何回かあり、ディスプレイ関係でも大型の納品がありました。そのため昨年の市場への売りが対前年比50%以上の減。大型納品もなかった分のマイナスと合わせて、数字を押し下げました。

そうしたスポット的な要素を省いてみると、店売りで10%、ネットでもやはり10%の減少です。このご時勢、やむを得ないところでしょうか。景気の影響だなどと言えば笑われそうな零細商いです。働きが足りなかったのだと謙虚に受け止めて、ねじを巻きなおそうと思います。

そう思って店を見つめなおしてみると、随分と手を入れていない棚やら、何ヶ月も積んだままになっている本やら、反省材料には事欠きません。

市場で旺盛に仕入れをしている同業もいます。いくつもの即売展に参加している同業もいます。すばらしい目録をコンスタントに出している同業もいれば、毎日自らにノルマを課してネットに登録しているという同業もいます。

音を上げるのは、やるべきことをやってからですね。

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2010年03月06日

一瞬の嵐

今朝はまた雨もよい。まだ気温は高めですが、これから下がって冬に逆戻りという天気予報が出ています。

我が家近く、通勤路にある小さな梅林。家屋が建て込んで来て、近頃ますます小ぢんまりとしてきました。そこの紅梅がきれい。

昨日の陽気でさえ、店は低調でしたから、今日は何ほどの期待もできません。静かに事務に専念していると、突然賑やかな一団の襲来。今や末っ子たちも走り回るようになった例のトリリンガル家族、全7名勢ぞろいです。

お母さんは本を選び始めると、子どもには無頓着。道路側にでも走り出さない限り、注意をすることもありません。落ち着きはらっています。

一方、お父さんは子どもが気になって、本探しどころではなさそう。それをしちゃダメ、それに触っちゃダメと言っているのでしょう、フランス語で。

子たちはひるむ様子もなく、交替で自動ドアにタッチしては出入りを繰り返します。地球儀で遊ぶ子に、お父さんの声が高くなったので、一応助け舟を出しました。

それはおもちゃなので触っても大丈夫、但し今日は雨だから、本が濡れないように充分気をつけて、と日本語で。

やがてお母さんが数冊、表から本を持ってお会計。その間にお父さんがプレイヤードのジイド集(4800円)を見つけて、お母さんにおねだりしている風、フランス語で。

無事許可が出て、一緒にお会計。「台風みたい」「そう、うちはいつも台風ですよ」「大変ですね」「楽しいですよ」

台風一過、また静かな土曜に戻りました。

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2010年03月05日

献呈名入り署名本

市場が終わって今週も会議。しかし今日は手短に済んで、若手と食事。焼肉店へ17名。

楽しく、たらふく、までは文句なかったのですが、問題は帰りの電車。半蔵門線は幸い空いていました。井の頭線の駅へ来ると、何かトラブルがあったらしくごった返しています。ちょうど出るところの電車は鮨詰め状態。かなり臭うだろうなと身を縮めながらも、二駅のことと割り切って乗って帰りました。

さて市場の方は、先々週の店閉い整理品の続編。同じように大量の続きがあったというだけでも驚きですが、もっと驚いたのは前回より質が良かったこと。どうやら奥へ行くほど古いものが残っていて、要するに塩漬け状態。程よく熟成されていたというわけです。

金子光晴の縁によるところが大きいのでしょう、詩集、文芸書が在庫の中心でした。その点も長期熟成に適していたといえます。

その金子の処女詩集とされる『赤土の家』、山之口獏のこれも処女詩集『思弁の苑』の二冊は緋毛氈の最終台に乗せられましたが、他にも珍しい初版本が散見され、こうしたジャンルを扱う書店主たちは皆、真剣な表情で入札していました。

店主は門外漢で、この熱気の外にいましたが、『広場の孤独』(堀田善衛、中央公論社、1951年)初版帯付の一冊には興味を惹かれました。見返しに献呈署名があり、献呈先が「埴谷雄高」。

両者の没年を調べてみると埴谷が1997年、堀田が1998年。しかし、その本の状態と、出てきた状況からして生前、それもかなり早い時期ではないかと思われるのです。

埴谷がさっさと売り払ったのか、他の本を処分するときに紛れ込んでしまったのか、その辺りは定かではありません。ただ古書店主が塩漬けにするしかなかった事情だけは良く分かるのでした。

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2010年03月04日

カールさん再び

曇り、これから雨になるらしい。

前にも紹介したことがあります。町おこしのNPOを立ち上げるなど、熱心なボランティア活動家。1、2ヶ月に一度くらいの割でご来店でのカールさん。

今日も何冊か洋書を帳場に積み上げると、その一番上の本を開いて丁寧な口調で…

「本の中身とはまったく関係ないのですが、ここにPapago(パパゴ)という文字があるでしょう?去年の12月に行ってきたばかりなのです」

アリゾナ州にある先住民族居留地区だそうです。熱弁が始まりました。要約すると―

多くのアメリカ先住民が西部開拓時代に故地を追われ、やがて同化を余儀なくされていった歴史の中で、奇跡的に自らの土地で伝統生活を守り続けたパパゴ族。

あまりに貧しい土地であったことが逆に幸いしたのだが、そんな厳しい環境に適応することで700年間自活してきた彼らに、20世紀後半、生存の危機が訪れた。近隣の工業化による地下水位の低下で、たださえ乏しい水資源が枯渇してしまったのである。

米国政府は救済策として食糧援助を初めとする保護政策を採った。しかしその結果生じたのは肥満、糖尿病などの健康被害と、経済システムに組み込まれた最貧困地域の出現であった…

カールさんは、ここでも町おこしを考えているようです。日本の太陽電池メーカーに働きかけて、太陽発電の基地を作るのはどうだろうかなどと。

店主には薬にしたくもない、行動的精神の持ち主です。

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2010年03月03日

盗撮

今日はまた日中暖か。三寒四温というより、もっとめまぐるしい春先の天気の移ろい。

帳場の向かいの小さな本棚に、ビジュアル系のどちらかといえば小型の本がまとめてあります。

その前に立って先程来、熱心にページを繰っている若い女性。帳場に背を向ける形になりますから、開いた本の写真図版がこちらからも覗けます。なにやら小物を撮った写真。

そのうち携帯を取り出して、操作を始めました。瞬時に終えてポケットへ。しばらくまたページを繰り、再び携帯を取り出します。メールでもやり取りしているのかと思ったのですが、またすぐポケットに。三度目に操作を始めたとき、声を掛けてみました。

「すいません、ちょっと撮るだけですから」どうやら中身を写していたらしい。悪びれる様子もありません。さすがにそれでおしまいにして、他の本棚をざっと見て回り、帰ろうとします。

「何かの役に立つの?」と聞くと「デザインをやっているんです」。

何故それがすべきでない行為かを根本的に理解していないようです。一番分かりやすい理屈だけ言ってみました。「これじゃうちは一文にもならないよ」

返ってきた言葉は「今度また何か買いますから」。

買ってもらえば確かに小店にとって利益だが、それは買うあなたにとっても利益であるはずで、埋め合わせにすることではない、などと続ける気力もありません。

「頼むよ」とあくまで機嫌よく送り出しました。

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2010年03月02日

本当の本好き?

お昼すぎ洋書会へ。

神保町の駅を上がったところにある温度計のデジタル表示が6.9℃。つい数日前、同じような時間に同じ温度計が18.9℃。

その神保町の駅で、ある男性が鞄から新刊らしい本を取り出し、やにわにカバーをめくり取ってゴミ箱に捨てる姿を見かけました。裸にした本はまた鞄の中に。

そういえば小店のお客様にも、函は要らないからと、置いていかれる方がいらっしゃいます。帯が邪魔という先生もおいでです。

帯はともかく、函やらカバーやらは装丁家の仕事のうちでしょうから、そうと知ると悲しい気分になるかもしれません。

これとは逆に、ネットからの注文で、パラフィンカバーを付けて欲しいと頼まれたことが何度かあります。どの場合も古い本ではなく、新刊でも手に入る、いわゆる一般書でした。

こんな話を始めたのは、今日また電車の中で電子ブックを熱心に読み耽る姿を見かけたからです。

カバーや函の要らない人と、パラフィンカバーで保護する人と、どちらが書物の真の擁護者として残るのだろうか。大して意味のない対照かもしれませんが、そんなことをちょっと考えて見たりしたのでした。

本日の収穫はRilke, Musil の状態の良い作品集。

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2010年03月01日

十五の春

今日から三月。朝のうちは曇って寒々しい様子でしたが、やがて日が差すと、急に春めいた明るさになりました。光の春とはよく言ったものです。

そのまだ朝の曇り空の下、ようやく店開けを終えた頃、表でクックッと笑い声が聞こえた気がしました。見ると一組の母娘が雑誌の棚の前に立って、何かつぶやき合っています。

低声で、しかし話しているのはお母さんだけ。制服姿の娘さんは時折クックッ、しかしそれは笑っているのではなく、しゃくり上げているのでした。

お母さんは雑誌を手に取り、ぱらぱらとめくり、また棚に戻す。そうしながら気持ちは明らかに別のところにある様子。

ふと、今日が都立高校の合格発表の日だと気がつきました。気がついたとたん、とても重い気分になりました。もちろんそうだと決まったわけではありません。チラリと伺い見ただけですが、娘さんはもう少し年嵩のようでもあります。

しかし重い気分はそのまま残りました。たとえ彼女がそうでないとしても、今日、どこかで同じように悲しんでいる子どもたちが必ずいるわけです。

現代の成人儀礼と言って済ませるには、あまりにも残酷な社会の仕組みであると、時折差し込む明るい光にも、しばらくは心が沈みがちでした。

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2010年02月28日

本と値段

一人のお客様が店に入る前に、手に持った本の値段をお確かめになり、はっとしたように元の場所へ戻して、そのままお帰りになりました。

ちょうどその時見ていたのが、昨日申し上げた稀覯本フェアのカタログです。

3500万円の奈良絵本を筆頭に、和本、刷り物、自筆物、西洋古刊本など高価な本が満載。参加各店の気合の入れ方が伝わってきます。

下世話な眼で拾っていくと一千万円以上の本が十数点、百万円以上は数知れず。数十万円台には驚かなくなり、数万円の本はなにかお買い得品のよう。

参加店には日頃、同業としてお付き合いいただいている書店も多いのですが、今更ながらその蓄積の違いに、啄木にならって花でも買って帰りたくなりました。

ただ、本屋としてはとても勉強になる資料です。もちろん一生扱うことのないような本ばかりですが、自分なりの価値体系を持つ上で、ある分野の最高級品の価格情報を得るのは有益です。

本当は、それが売れたかどうかの方がもっと重要ですが、それは実際に扱う人たちのこと。小店あたりには、桁の違いが分かるだけでも充分。

その意味で店主が最も感心したのは、外国から参加している書店が出品する『ピーターラビットのおはなし』(1901年)初版私家版250部の一冊。表示価格は1200万円。これを見るためだけにでも会場へ行ってみたい気がします。

ところで冒頭のお客様の戻していかれた本は一冊200円。100円なら買うおつもりだったのでしょうか。

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2010年02月27日

雨に気づかない

夜来風雨の声、だったらしい。例によって良く眠っていて気がつきませんでした。

雨は昼頃までにはあがり、入れ替わるように気温が下がってきました。この数日が高すぎたので、普通に戻るのでしょう。日差しはないものの、もう雨の方は大丈夫だろうと表の棚を広げました。

穏やかに土曜の午後が過ぎ、デスクワークもはかどり始めた頃、ふと眼を外に向けると傘の影。

そのまま目を凝らしていると、数人が何事もなさそうに通り過ぎて行きます。錯覚だったろうかとなおも見ていると、また傘を差した人が。

慌てて表に出ると、路面が濡れています。急いで本を仕舞おうとした時、それまで外にいらしたお客様が本を数冊手にして、店内に向かわれました。帳場の机に本を置いて、お勘定をお待ちになっています。

すぐに戻ってお会計。お見送りするように後ろについて外へ出て、雨のかかった本を片付けました。

さいわいパラついている程度でしたから、軽く拭いて、特に被害はなし。改めて帳場に戻り、昨日届いた「2010年 国際稀覯本フェア」のカタログを手に取ります。

参加業者のお一人が送ってくださったもので、これからしばし眼の保養をさせていただくつもり。その感想やらなにやらは、明日にでもお伝えしたいと思います。

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