2009年12月11日

今が仕入れ時

夜まで降り続く雨の中を、今店にたどりついて、まずしたことはレジ締め。覚悟はしていましたが、打ち出された数字には肩を落とさざるを得ません。

照る日曇る日、というのが商人の割りきりでしたが、近頃はその日差しに恵まれない気分が、小店ばかりでなく、業界全体を覆っています。

不公平のないように喩えを変えれば、日照り続きで慈雨に乏しい、ということもできるでしょう。

いずれにせよ、世界経済や景気動向などという自分で解決できない問題にまで、心を煩わせては居られません。出来ることを続け、世に容れられることを願うばかりです。

明治古典会は多目の荷。悪天候にもかかわらず業者の来場も多く、賑やかな市でした。気になったのは良く似た(またしても!)二口の美術、建築関係。

洋書も混じっていたのですが、コンディションに難があるものが多く、強い札を入れられませんでした。結果は、少ない成果。数点が落札できただけ。

全体に落札価は高め。こういうときだからこそ積極的な仕入れを、と考えている業者も多いのだと思います。心強い限りです。

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2009年12月10日

学ぶ楽しみ

住まいと店とを毎日車で往復しています。エコじゃないですけど、荷物があったり、同乗者があったり、そんなことを言い訳にしています。

その行き帰り、たいていラジオをつけて何か聞いています。朝も夜も丁度NHK−FMでクラシック音楽を流している時間帯で、殆どそのまま聞いています。

CDを数十枚、ナビのHDDに入れてあるのですが、滅多に聞くことはありません。

最近になって、新しい楽しみを見つけました。FMで放送大学が受信できるようになっています。ある時、ナビ画面のボタンを押してみると、平家物語の異本について講義されていました。平曲の演奏も聞くことができました。

ある時は政治思想史、ある時は近代文学論。面白そうな講義に当たると、とても得した気分になります。通勤に要する時間は30分弱ですから、一部分だけの聞きかじりになりますが、先生から叱られる心配もありません。

テレビのない時代、ラジオに耳を澄ませたことを思い出しました。何かをしながらではなく、ひたすら聞いていたものです。ひたすら聞くのに値するような番組は、今ではここにしか残っていないのではないでしょうか。

そういえば、時折、放送大学の教材が手元に入るのですが、新しいものなど良く売れていきます。学びたい人は多いのでしょう。

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2009年12月09日

ある職業(?)

留守中に大き目のダンボール一箱を預けていった方がいました。

開けて見ると小学館・古典文学全集版「源氏物語」全6冊、ただし書き入れ多し。河出書房「世界の美術」小型の枡形本で20冊ばかり。あと文庫が10冊ほど。

今日ご本人が現れました。それで得心しました。始めてみる顔ですが、いわゆる「拾い屋さん」です。

「せっかく重いものを運んでもらったけど、これは値段になりませんよ」「駄目かね」「まあ文庫だけいただきます」

「近頃は捨てないねえ、どこも出さない。聞いてみたら良いものは仕舞ってあるらしい」そういうと、僅かなお金を手に、さっさと引き上げました。もちろん、残りの本は置き去り。

資源回収の日には、朝方、本目当てに自転車で回っている人の姿をあちこちで見かけます。身なりも普通、さりげない様子で走っているのですが、大きな箱が荷台に括りつけてあったりして、一目でそれと分かります。

20年ほども前、斎藤茂吉の原稿が誤って大量に捨てられ、回収業者の手から古書店に渡り、それが市場に出て大騒ぎになったことがありました。

彼らのおかげで、貴重な資料が消滅を免れる場合もあるのです。無下に拒絶はできません。

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2009年12月08日

大事な暇つぶし

当番でない月、洋書会にはお昼過ぎに着くように出かけます。着いて、まず一当たり並んでいる本を見てから、昼食に出ます。

連れはいつも決まっていて、場所もほとんど同じ。古書会館裏の珈琲店。お昼のセットメニューがあり、時間をずらして行くせいもありますが、火曜日はゆっくり話ができます。

いつもの相手ですから、改まった話はありません。気楽な四方山話。でも今日は重要な話がありました。忘年会の手配です。

古書組合の理事会は任期二年。前期、店主は理事会の一員でありました。いつもの連れも同じ理事仲間。その退任後二度目の同期会でもあります。

たださえ忙しい年末に、なるべく多くが集まれて、適度な費用で雰囲気の良い店という難しい条件をクリアしなければなりません。決めるのが遅れるほど、困難は増します。

ひょんなことから、お店の候補が上がりました。日程は、年末最後の市場が開かれる28日と決め、まず場所を確保。あとは、これで何人参加できるかです。とても実のある無駄話タイムとなりました。

洋書会の会場に戻ると3時前、ほどなく開札。今日は少しばかり出品したものが、思いのほか良い値になりました。

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2009年12月07日

アーミー文庫

草田男に倣えば「戦後は遠く」というところ。暫くぶりにこのシリーズを見てそう思いました。

ポケットサイズで横本(縦より横が長い本)二欄組という特徴ある姿のこの本を、前回扱ってからどれくらいたつでしょう。

Armed Services Editionという名のとおり、第二次大戦時、米兵に無料提供されたペーパーバックです。米軍全体が対象ですからアーミー文庫という呼称は正確ではありません。そう呼んでいたように記憶しますが、本当はそれも定かではありません。

ともあれ、以前は良く見かけたものです。進駐軍の兵士が残していったものが、何らかのルートで流れ出したのでしょう。もともと発行部数も大量ですから、我が国内でも珍しいものではありませんでした。もちろん価格も安く、大抵は均一本にされました。

その性格上、保存の良いものは少なく、今手元にある約30冊も、ヤケ、イタミ、破れ補修など、あまり商品価値はなさそうです。しかし最近見かけなくなったので、探している人も居られるかもしれません。

一冊ずつは有り触れた本でも、コレクションとなると話は別です。何しろ全部で1322点出版されたらしく、Wikipediaによれば、完全揃いは米国会図書館以外には、個人所有が一組あるだけとのこと。

ちなみにコレクターは結構多く、中には後二冊というコレクターも居るらしいのですが、その「キキメ」がどんなタイトルなのか、興味のあるところです。

armed

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2009年12月06日

古着と古本

朝から日差しが暖か。資格試験のようなものでもあるのか、人出は多い。しかし店には無関係。

昨日の一文が、お客様を非難しているようにとれると、家人らから批判を受けました。もう少し説明したほうがよさそうです。

毎日通う淡島通り沿いに、古着の集積センターがあります。その表に、古書会館で使っているのと同じカーゴテナーが置いてあって、古い衣料を自由に置いていけるようになっています。

要らないものだが役立ててほしい、という人のための、無料回収の仕組みです。しかしそこは店ではなく、古着を売っているわけではありません。

置かれていく衣料の殆どはボロ布としてリサイクルされるはずです。中には服として売り物になるものが混じっていることもあるでしょうが、それは業者さんにとって余禄です。

一方、古着屋さんというものもあります。近頃はブランド品しか扱わないような店が多いのですが、昔ながらの中古衣料店があるとしましょう。

そこへ古着を持ち込むとしたら、たとえどんなものにせよ、まずは服として着られるものでなければならないことは、誰にもわかるはずです。

ところが、こと本となると、こうした判断が難しいようです。集積センターと店の違い。着られる服と着られない服の区別。

ですからそれを非難しているのではありません。昨日の方のように、れっきとした知識人にすら、その区別がつきにくい。時には、古本屋自身にも分からなくなることがあります。

改めて古本という商品のややこしさを思ったのです。


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2009年12月05日

本のお持込み

「本は引き取ってもらえますか」というお電話。「持っていかなくてはだめですか?」と。

「量にもよりますが、その方が有難いですね」と店番のミセスCがお答えしたようです。その電話があって30分とたたないうちに、ご当人がダンボールを抱えていらっしゃいました。

まだ沢山あるというので、手押し台車をお貸ししました。その台車で二往復。段ボール箱にして8箱もあったでしょうか。

最初の一箱で判断すべきでした。後から持ち込まれたものも、倉庫にでも放置されていたような埃の積もり具合。更に乱雑に詰め込まれ、歪んだ本も多い。

問題は中身ですが、法曹関係の方らしい昔の資料、参考書。汚れ、線引きあり。読み物類はことごとくカバーなし。結局、値踏みできる本は三冊。均一にでも使えるものが約30冊。残りは10本に縛ってそのまま資源ごみ行きです。

お電話をして、その旨を申し上げ、申し訳ありませんが全部で千円ですとお伝えしました。今度も数分のうちにご来店。

「お金をいただくなんて、申し訳ないようですね」と、しきりに恐縮されます。

では、いったいどんなつもりで、お持込みになったのでしょう。外は、それまでパラついていたのが、いつのまにか本降りとなっていました。

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2009年12月04日

今日も一日、明治古典会

12月に入って最初の金曜日の夜。渋谷までの地下鉄が空いていたのに対し、渋谷からの井の頭線が妙に混んでいました。

混んでいたといえば、明古の幹事仲間と食事をしたビアホール「ランチョン」は、オーダーストップの時間まで、入れ替わりに席が埋まる繁盛振り。早くも忘年会モードでしょうか。

先月いっぱいで創業百周年の特別サービス期間が終了したので、きっと空いているだろうとの予想は外れ、実際は席が取れただけ幸運だったのでした。

この店はノンアルコールのメニューが少ないので、飲まない人にはちょっと淋しい。それでもしばらくぶりに、独特のボリュームある料理を、十分いただきました。

今日はクリスマス特選市の目録原稿締切日。集まった原稿を早速入力し、順をつけるところまでの共同作業。明日、担当幹事が版下まで作り上げ、出稿してくれる予定です。

集まった原稿の中には、業界でもちょっとした話題を呼びそうな珍しいものがありました。業者だけしか参加できない市ですが、目録が発行されたら、皆様にもその珍しい本について、改めてお知らせしたいと思います。

今年はちょうど25日が金曜日。まさにクリスマスの開催です。

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2009年12月03日

吹き出した記憶

冷たい雨の一日。昼に用事があって古書会館へ出かけました。駅で電車を待つ間、手に冷たさを覚えるほど。

つい最近、車中で本を読んでいて思わず吹き出しかけ、危うく声を飲み込むということがありました。

あとで読み返してみると、それほど面白いところでもないのです。高田文夫が何人かと対談したものを収めた、文庫本だったと思います。相手は確か伊東四朗。

そのやり取りを、ちょうどその場で聞いているように、良い間でとらえ、はまってしまったのですね。読書が、体験であるということの証左ではないでしょうか。

それで古いことを思い出してしまいました。学校を出てしばらく会社勤めをしていた頃、電車で小一時間かけて通勤したのですが、その車中でいしいひさいちのマンガを読み、笑いをこらえるのに苦しい思いをした記憶です。

ひとつはまると、次々に追い討ちが来ます。慌てて本を閉じ、じっと治まるのを待ったのでした。

学校も、出てからの勤めも関西でしたので、彼の描く同時代の世界はとても身近なものでした。今、新聞連載休止中。どうしているのでしょう。

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2009年12月02日

これからの古本屋

『彷書月刊』が新年号の特集として「2010年からの古本屋」(仮題)という企画を立てました。

その一環として、17年前の同誌座談会「93年古書の世界を語る」のメンバーをもう一度集めて、話を聞こうとなったようです。過日、呼ばれて出席しました。

殆ど毎週のように市場で顔を合わせている連中ですから、改めてそんなことで集まってみると、かえって不思議な気がします。

司会者を入れて7人、親戚の店を継いだという一人を除けば、すべて自分で始めた創業店主。年頃もまあ団塊前後。しかし今日まで続いたという以外、それぞれの商売に共通項は殆どありません。

あえて言えば、小店を除く、ほかの店はいずれも目録販売を中心としてきたことでしょうか。

その観点から、インターネットの普及による打撃の大きさが語られました。また高額品を扱うようになった業者からは、昨年来の経済不況の深刻さが繰り返し語られました。

そしていずれも、今のような状況なら、自分は本屋を始めなかったろうというのです。

聞いていて、それはかつて「良い目」を見たものの言い草ではないかと思いました。もうあの頃のように旨くはやれない、と言っているに過ぎません。

今までも、これからも商売の難しさに変わりはないはず。これからの時代を生き抜く、新しい古本屋のかたちが、きっとある筈だと信じたいものです。

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