2009年01月15日

線を消す

古本という以上、誰かの手を経たもので
大抵は読むために買ったのですから、目を通している。
その時、本に線を引いたり、書入れをしたりする人も
少なからずいます。

それもまた、古本を読む楽しみのひとつだと
あの懐かしい由良君美先生などはおっしゃりもし
書き残してもおられます。
しかしなかなかそこまでは悟れず、いきおい線のある本は
格安の値をつけざるを得ません。

そこで古本屋は値の張る専門書などに線引きが見つかると
なんとかきれいに消して、商品価値を高めようと努力します。
そこまでして売るほどの値がつく本が減ったこともあり
いかにも生産性の低いこの作業は、昔より随分減りました。

それでもきちんと評価した本が、よく見ると線引き
などという時は、つい貧乏根性から消しゴムを手にします。
やり始めると案外はまるんですね、この作業。
こんなことをしている場合ではない、と思いながら
ついページを追ってしまいます。
いい加減きれいに消し進んだところで、ボールペンの線に
ぶつかったりすると、それまでの費やした時間が
ほぼ無駄だったことになります。
泣く泣く「線引き有り」で店頭均一棚へ。
そんな店番の日もあります。

今日は夕方から古書会館で会議。
そのあと新年会が予定されていますが、失礼して店に戻ります。


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2009年01月14日

リテラシー

「機嫌良く」というのを
店番のときのモットーにしています。
なかなか出来ないからこそですが。

お客様だって、店主の機嫌を損ねることを目的として
ご来店されるわけではないのですから
こちらからにこやかに応対すれば
大抵の場合、機嫌良く応じていただけます。

メールのやり取りでも同じこと―
なのですが、ここで難しいのはお互いの顔が見えないこと。
マクルーハンを引き合いに出すまでもなく
声や、顔色がいかに多くの情報を含んでいるか
痛切に感じることがあります。

こちらの機嫌をうまく伝えられない、相手の機嫌だって
なかなか見えてこない。
僅かな言葉の受取りようで妙に話がこじれる
そんな体験を最近もしました。

読む力、書く力をもっと高めなければと思います。
時間をかけて推敲するという性質のものでないだけに
余計、日ごろの修練がものを云うような気がします。

何だかブログを書く言い訳のよう。

寒い日、店番の一日でした。


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2009年01月13日

リニューアル

朝、店を開けてから市場へ。
今日は東京洋書会。
フランス文学の一口と、英語学の一口その他。
残念ながら心惹かれるものはなく、獲物なし。

古書会館ではもうひとつ用事が。
「日本の古本屋」のトップページを本日リニューアル。
そのための、直前の案内などを手配。
今回の模様替えは、これから始めようとする
本格的なリニューアルの第一歩。
すべてが整ってからというと、いつまで待っても始まらない
というので、
いわば、場面転換の様子もお客様にご覧いただこうという趣向。

なにぶん組合員、つまりは古書店主たちの運営によるサイト。
この先どう進んでいくものやら、当人たちが一番ヒヤヒヤです。

店に戻って、これから受注メールへの返信、送本荷造りなど、地味な仕事にかかります。


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2009年01月12日

棚差し

昼過ぎ曇って、時雨。
今日も昨日に続いて店で本の整理。
少しばかり棚に本を差す。

店売りをしている以上、常に新しい本を追加することが
売り上げを伸ばすために、
とても大切なことは言うまでもありません。
しかしまず、棚に差したいような本を仕入れることが先決。

よく売れて棚が空いているならばともかく
きっちりと詰まったまま動かない棚に
新たに本を差すためには、何かを抜かなくてはなりません。
並んでいる本を抜いてまで入れるとなると、
今あるものより、質の高いものを入れたいのが本屋の性です。

そんな本は、店で待っているだけでは
おいそれとは入ってきません。
市場で仕入れるか、セドリに回るか。
いずれも厳しい競争の世界。

差す本がない時は棚の入れ替えをしろ、と言われたものです。
棚を耕す、と称していた本屋さんもいました。
とにかく、こまめに良く働け、ということですね。

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2009年01月11日

古書の愉しみ

本を整理していて、フト手が止まることがあります。
なんと言うこともない本だけど
何か不思議な雰囲気がある―
この一冊もそう思って表紙を開けると
見開きに古いペンの書き入れ。
戦争1






どうやら成瀬正一が久米正雄に贈ったもののようです。
本はクノッフ社1916年刊のアルツィバーシェフ作『戦争』
四幕劇の英文翻訳書。
その後、別の人の手に渡ったらしく
扉にアルフレッド・クノッフの死亡記事が貼り付けてあり
それによると同社の設立は1915年。
この本が、大学を出てすぐ設立したという
若きクノッフ、23歳の出版物と知れました。
成瀬がこれを手に入れたのは1917年のニューヨーク、当時25歳。

小さな一冊からあれこれ思いをめぐらせ
しばし楽しませてもらいました。
戦争2

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2009年01月10日

短日

日差しは明るく風は冷たい。

店を開けてから、南部の入札市に。
こちらも初市、今年初めて顔を合わせる同業に
新年の挨拶で忙しい。
柔道家旧蔵資料一括という珍しいものが出ていたが
小店の興味を惹く分野ではなく
気になったもの二、三点の入札にとどめる。

久しぶりにこの市で一緒になったNさんMさんと
これまた久しぶりにefで昼飯を。
一時期これが月一の例会のようになっていたが。

戻るとお客様から買い取り希望のダンボールが四箱。
土曜日をお願いしているお店番は三時で帰って
そういえば、月曜日まで世間は三連休
これから一人でゆっくり店番できそうなので
荷物の整理などはじめるつもりです。

と書いている間に、別のお持込みがあり
応対などをしているうちに、外が暗くなり始めました。


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2009年01月09日

新年会

明治古典会は今日が初市。
地方荷(東京以外からの出品のことです)の
良い一口ものなどがあって、まずまずの賑わいでした。

片付けを終えて、午後6時半から恒例の新年会。
今年の会場は六本木で中華系、
出席者は20代から80代までの35名。
会員と、現場のお手伝いをしていただく経営員です。
ちなみに男性33名女性2名、
最近業界に女性が増えてきたとはいえ
交換会運営に参加してくれる方は、まだ稀れです。

今夜は車で店から家まで戻る都合があり
もっぱらウーロン茶。
それでも元来、飲んで格別ハイになる質ではなく
飲まなくても十分に楽しむことが出来ました。

冷たい雨のなか、店に帰り着いて
これから今日一日の残務整理です。


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2009年01月08日

ディテール

映画やテレビで本が映る場面があると
つい注意がそちらに向いてしまいます。

苦心していることは分かります。
昔の話だからといって古びた本を並べても
その当時から古びていたわけではないだろう
と突っ込まれるでしょう。
だからといって新刊のような状態で当時の本を揃えるのは
不可能ではないにしても高くつきます。
さらに、きれいな本はタイトルなども読めてしまい
刊行年が時代と合わないこともあります。

以前、偶然見ていたテレビ版「点と線」で
刑事の北野武が本を縛る手元のアップに
筑摩の「現代日本文学全集」が映っていました。
そんなことに気づくものも、気づいたとして
目くじらを立てるものもいないとは思うのですが
ディテールの怖さを感じました。

人はどんなところに目を留めて
何を見ているか分かりません。
店主の付け焼刃も、とっくに見通されていることでしょう。

追記:
書き上げてすぐ、「現日」ではなく
「恍惚の人」だと指摘を受けました。
誰でも気がつく大チョンボだったわけで
目くじらを立ててブログに書いた人もいたらしい。
では「現日」で引っかかったのは、なんだったのか
思い出したらまた書きます。

konoinfo at 11:49|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2009年01月07日

店番

今年に入って、初めてフルタイムで店番。
さあ片付けるぞと、意気込みばかりで
何も手がつかないまま午後。

これまでにしたこと
均一の補充、ネット注文品の荷造り。
これからやりたいこと
入力品の収納、未入力品の入力
長期在庫の点検整理。
店の床や、裏の棚などに積み上げられた
未整理本の整理。
気がつけば棚のあちこちに隙間
もう幾日も補充をしていない、これの補充。

しかし店番というのも立派な仕事で
たまにおいでのお客様への応対ばかりでなく
何やかやとすることが生じます。
片付け仕事はどうしても
優先順位が低くなってしまうのでした。

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2009年01月06日

自家目録

目録は出してませんか、と時々たずねられます。
自らの集めた古書を個性ある目録に仕立てて出すのは
古本屋のあらまほしき姿ではあります。
かの弘文荘反町さんなどは
目録を出さない本屋は本屋として認めないほどの
お考えの方でした。

小店は開業四半世紀に至るも
自家目録と呼べるようなものを出せずにいます。
良い本を求める意欲
出来た目録を届ける顧客名簿
そのいずれにも不足を感じているからですが
つまりは怠け者なのだということです。

専門と自分で思っているものがないわけではなく
少しずつ集まったものをWEBで公開しています。
ご注文やお問い合わせなどを通じて
小店の専門に興味をもたれるお客様の情報を
少しずつ増やしていくことができれば
いずれ自家目録も、と考えないでもありません。


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