2010年02月16日

四十九日

昨年の暮れも押しつまった大晦日の夕刻、別棟に暮らしていた義父が急逝しました。その日の昼過ぎ苦しさを訴え、救急車で運び込まれてから数時間の事でした。

時期が時期だけにどこにも知らせず、三が日が明けた四日、身内だけで葬儀一切を済ませました。

心の準備が整わないうちに葬儀会社のペースで段取りが進み、一応世間並みの立派なしつらえとなりましたが、多くの参列者が集まる同業の葬儀などに比べ、たった7人の、なんともひっそりとした式でした。

早いもので、間もなく四十九日。今日その法要と納骨をしてきました。葬儀に連絡が取れなかった親類縁者のうち、特に縁の深い方を三名だけお呼びし、一緒に食事をしました。

本人が一人っ子であったことに加え、その娘である家人も一人っ子。さらに退職して二十年余り社会との関わりを持たず暮らしてきたため、お声をかけるような先が多くなかったことも事実です。

しかし高齢化、少子化の時代、このような内輪だけの葬式が多くなるのではないでしょうか。

菩提寺が池之端にあり、食事の場所は上野公園の韻松亭に。窓外の梅のほころびを眺めながら、思い出話のなかに故人を偲びました。

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2010年02月15日

厳しい現実

中央市会大市。昨日、下見をしておくことができませんでしたので、ぶっつけ本番。朝11時からの開札に間に合うよう、店を開けて早々に出かけました。

といっても、一杯入札しようというのではありません。世の常として、行かない時に限って欲しいものが出ていたりするからです。

それに、自分の出品物に札を入れておきませんでしたから、あまりに安く売れてしまっても困ります。急いで見つけて、札を入れておく必要もありました。委託出品の分は、そのまま成り行きに任せるとしても。

朝から降り出した雨は時を追って本降りに。冷たい雨の一日となって、出足にも響いたかもしれません。店に帰り、夕方になってから売買の成果をWEBで確認してみました。

先日の委託品は10点に分けられていました。それに自分の本が4点で合計14点。後者で売れたのは結局1点だけ。しかし売れ残り品を出したわけではありませんから、帰ってくる3点は自分で値をつけて売ろうと思います。

問題は委託出品の国文学書です。不安半分、期待半分でしたが見事に期待外れ。予想以上の厳しい現状を知りました。

店主がひそかに思っていた最低金額があります。それで買えば損はしないが、それではお客様もお売りにならないだろう。そう考えて委託で引き受けたのですが、落札価格の合計は、それよりさらに低いものでした。

手数料をいただくのがお気の毒なほどです。しかしこれが今の相場、しっかりご説明し、ご了承いただかなければなりません。良い勉強になりました。


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2010年02月14日

温泉旅行

有馬温泉に一泊してきました。

還暦祝いを名目に、40年来の友人が9人。この二、三年で次々還暦を迎え、あと一週間で店主が到達すると、晴れて全員オーバーシクスティーズです。

この仲間の特長はペアが多いこと。今回も三組は夫婦。店主のような単身参加をあわせて男性5人女性4人が一晩、昔話に花を咲かせました。

宿は有馬でも一、二を争う大手旅館。サービスを心配したのですが、土曜泊のためか団体客が少なく、静かで落ち着いていて、そのため大きな浴場でゆっくり体を伸ばせたので、まずは満足。部屋も広いところが取れ、内輪だけの食事も楽しめました。

ところで出がけに交通手段をネットで検索してみると、新幹線利用と、飛行機利用がまったく同じ所要時間。金額は飛行機利用の方が2千円以上安いことが分かりました。ただし乗り換え回数が5回と9回で、飛行機の方が倍近い。

結局、新幹線で出かけたのですが、40年前なら考えられない交通事情に驚いたのにあわせ、40年前なら考えられない贅沢な選択をしたことに、時世の移り変わりを改めて感じたのでした。

店に戻ったのは閉店直前。早速店を閉め、その後、店番へのお礼と旅の報告を兼ねて、家族揃っていつものルヴェ・ソン・ヴェールで食事をいたしました。




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2010年02月13日

雪の日の入札会

朝からちらちら粉雪。寒さもひとしお。

今日は五反田の南部入札市ですが、迷った末、見送りました。雪のせいではなく、午後から出かける予定があり、午前中に済ませなければならない荷づくり作業がいくつかあったため。

韓国へ送る船便の荷づくりを終えるとお昼前。やはり入札に出かけなくて正解でした。

雪といえば、もうどれくらい前になるか、やはり南部の入札の日に、道路にも積もるほど雪が降ったことがあります。

当時は開札のお手伝いをしておりましたので、足元を濡らしながら市場に着くと、思っていた以上に多くの業者が入札に来ていました。今も活躍する長老など、しっかり長靴を履いて、落合方面から出てきておられたのを思い出します。

中で忘れられないのは、降りしきる中央高速を八王子の先からチェーンもなしで五反田へむかい、途中スリップ事故を起こした同業の話です。

こんな日は人が少なく、買う側にとってはチャンスだと思ったのだと、後日正直に告解しておりました。

儲けようと思って損ばかりしている、愛すべき同業たち(自分も含めて)を象徴するようなエピソードとして、その日の市の、案外の賑わいとともに、時折思い出すのです。

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2010年02月12日

瞬間湯沸器

店にはガス設備が無く、暖房も給湯も電気を利用しています。流し台には作りつけの電熱コンロが一つあって、お湯を沸かすのはこれを使っています。

しかしこのコンロが、スイッチを入れてもなかなか熱くならず、時間がかかるばかりか、沸いたら沸いたで消した後も長いこと熱いまま。エコ(この場合はエコノミーでしょうか)じゃありません。

それどころか、時には沸かしていることをすっかり忘れ、鉄瓶の底が赤くなっていたこともありました。

それで今度、ちょっとしたきっかけもあって、T-fallという湯沸かしポットを購入してみたのです。評判通りの速さ。スイッチを入れ、見ているうちにお湯が沸くという感じ。しかも沸くや否やスイッチが切れます。

早速お茶を飲みました。しかしどうも「深みがない」というのが家人の意見です。臭いが気になるかもというので、プラスチック製ではなく、ステンレス製を張り込んだにもかかわらず。

自称、我が家で一番気が短いという家人に、もっとも親和性が高いと踏んだのでしたが、スローライフへの思い入れもあり、電熱コンロに鉄瓶の組合せは、まだまだ活躍しそうです。

でも1人で店番の時は「深み」より「安全」。新兵器に期するところ大です。

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2010年02月11日

委託出品

曇天、時折粉糠雨。

去年の暮れ、近くの男子校で国語教師をされていた先生が、久しぶりにご来店になりました。本のご整理の相談です。

退職してもう10年になるそうです。開業以来、良くお寄りいただいていたのに、近年お顔を見なくなったと思っていました。

吉田幸一という名は、国文学の世界で知らぬ人のないほど有名ですが、その直弟子に当たる方で、師の最晩年まで出版のお手伝いをされたといいます。

その「古典文庫」の刊行書、大切に私蔵されてきたものを、処分したいとのお話なのです。代表叢書である「日本古典文庫」が約500冊。そのほかの単行本が約50冊。

いずれ近いうちにとお話しだった蔵書リストが先日送られてきて、今日それを引き取りに和光市まで伺ったのでした。

覚悟はしていると言われるのですが、昔の相場を思うと買値をつけづらい。それで、ちょうど来週の月曜日に開かれる中央市会の大市に委託出品することとしました。

先生宅から古書会館へ直行。荷を預け、帰店。朝10時に出て午後2時。道路が比較的空いていたのが助かりました。

さてしかし帰ってみると道中以上に駒場界隈は閑散。先生のためにも良い値になって欲しいのですが、期待もしぼみそうなお天気です。

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2010年02月10日

乱れる棚

朝から曇り空、昨日の今日で、とても寒く感じます。

自然科学の棚、というのもおこがましいのですが、いわゆる理系の本を集めた棚がごく一部分あります。

数学、物理、化学、生物、はては医学まで、何でもここにまとめて差しておきます。

教科書、参考書は表に棚があって、そちらに差しますから、ここには少し専門度の高いもの、あるいは逆に一般的な科学読み物なども並びます。

わずかばかりのこの棚が、実は店内で一番乱れます。

他には文庫、新書を並べた棚が、同じように乱れますが、たまに背を揃えればよい棚が多い中で、理系棚は毎日整理する必要があるくらい本が動かされています。

考えてみれば当然かもしれません。駒場の学生は文系、理系ほぼ同数。それに比例して研究生、先生方も同様の比率でおられるはずです。

それに対して小店の在庫は、9割9分が文系書籍。二人に一人、とまでは言わなくとも、ご来店者の多くが狭いこの一角に興味を示されることになります。

そうしたお客様のためにも、もう少し理系書籍を増やしたいという思いはずっと持っていますが、覚悟も力も足りず、今日まで来ました。

ただ、棚が乱れるについてはもう一つ別の要素も疑っています。それは本の扱いの問題です。一般に理系生の方が、本の取扱に無頓着ということはないでしょうか。

今度、神田の専門店にでも聞いてみようと思います。

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2010年02月09日

自己責任

天気予報通り、昨日までの服装だと汗ばむほどの陽気でした。

ネット販売の本屋仲間で繰り返し論じ合われる問題があります。本を先に送るべきか、お代を先にいただくべきか。

お客様の反応も様々で、黙っていても先にお支払いになる方もいらっしゃれば、先払いなど聞いたことが無いとお怒りになる場合もあるようです。

「日本の古本屋」では参加古書店に対して先払い方式を推奨しています。これは取りはぐれのトラブルや、中には初めから払う意思がないと思われるケースもあるからです。

そして何よりそうしたトラブルの解決を、「日本の古本屋」を運営するTKIや古書組合に求めてくることが少なくないからです。

推奨はしても先払い方式は規則ではありません。かく言う小店自体、書籍先送り方式を続けています。お客様を信頼しているなどと、綺麗事を言うつもりはありません。色々と理屈は付けられますが、結局は在庫管理上の問題です。

先払いであれ、先送りであれ、店とお客様との信頼関係の中で取引が行われることに変わりはありません。そこから生じる様々なトラブルは、各店の責任で解決せざるを得ないのです。

お互いの顔が見えない分、店よりは余計に気を使うことになりますが、元々それも商売のうちではないでしょうか。


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2010年02月08日

一期一会

スーパーボウルマンデー。家族が気を使ってくれて、午前中、家でTV観戦。

今年の組み合わせは格別贔屓のチームでもなく、是非にというわけでもなかったのですが、恒例の年中行事なのでゆっくり見よとの思し召し。ありがたく従いました。

昼過ぎに店に着いて、先日の雑誌などを片付け始めたのですが、どうも調子が出ません。観戦疲れでしょうか。

ペースが上がらぬまま片づけを進めるうち一冊の本にぶつかりました。表紙にはフランス語のタイトル、扉に邦題があって『スタジオ・アッズーロ 地中海を巡る思い」(mori-yu-gallery、2003年)

10年以上前、彼らが展覧会のため来日した折、日伊会館で講演会があり、懇意にしていただいている先生が講演メンバーでしたので、お招きを受け聞きに出かけたことがあります。

その先生が、本書の日本語版監修者となっています。そういえば、そんな話を伺っていたことを思い出し、しばらくお会いしていない懐かしさもあって、短い序文を読みました。

しかし続いて頁をめくると、さらに懐かしい名前を見ることになりました。店主の恩師です。思いがけない偶然ではありますが、この偶然は、すでにあの日伊会館で一度経験しています。その会場で実に20数年ぶりに師と出会っていたのです。

その恩師は既に故人。その時以降、何度かお便りは交わしたものの、再びお目にかかる機会はありませんでした。


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2010年02月07日

不振打開策

近々旅行の予定があるので、セーターかジャケットでも(いい加減ですね)見てみようと、店番がいるのをいいことに昼過ぎ、デパートへ出かけました。

めったに足を向けません。以前、平日の紳士服売り場に足を踏み入れた時、閑散とした中、一つの売り場を横切るたび、センサーに触れたように「どうぞご覧ください」「よろしかったらご着用に」という声が降りかかり、早々に退散したことがあります。

日曜日の午後なら、少しは人に紛れて目に付かないだろうと踏んだのです。あにはからんや、店員さんも平日より多く配置されているようで、うっかり商品に近づこうものなら、すかさず声掛け。

買い物に不慣れな人間にとっては、気の重いことこの上なく、次第に足も速まります。結局、一回りしただけで階を降り、お三時にいつもの和菓子を調達して店に戻りました。

商売柄、あの手の声掛けは、万引き予防や、立ち読み追い払いなどを連想してしまいます。それで、普通の人が感じる以上に居心地悪さを感じるのかもしれません。

とはいえ同様の感じを受ける方も多いはず。苦戦続きといわれるデパートも、このあたりの改善工夫で、もう少し顧客を取り戻すことができるのではないか、などと余計なおせっかいを言いたくなりました。。

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