2009年03月23日

本日の収穫

以前にもご処分いただいた、I先生。研究室の整理で少し本が出たので、また取りに来ていただけますか、と直々のお出ましです。二つ返事で了承すると、つまらないものばかりで怒らないで下さいね、と念を押して帰られました。

今日がその日。学内へは車だとぐるり遠回りすることになるので、量を確認して大丈夫そうなときは手押し台車で直接出かけます。

空の台車は大きな音を立てるし、時々見知った先生に出会ったりするし、いい年をしてと思うこともありますが、何事も商売。

お出しいただいたのは店に入れてすぐに売れそうな本ばかり。量は思いのほか多くて台車に載せて帰るのに多少苦労しましたが、良い本を得られた喜びが勝り、昨日ひねった手首の痛みもものかわ、意気揚揚と店に戻りました。

他の仕事は後回し、とりあえずこれを棚に入れることにします。

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2009年03月22日

積もる話

懐かしいお客様が訪ねて来られました。

開業時分に大学院生で、何人かのお仲間と共に、良く利用していただいた方です。やがて博士論文をまとめる頃まで、小店も資料集めに幾許かのお手伝いをしました。その後、職を得て東京を離れられてからは、お会いするのも間遠になり、今日の訪問はかれこれ7、8年ぶりでしょうか。

あいにくと店主一人で、ゆっくりと応対も出来ず、店番をしながら30分ほど立ち話し。学会の始まる前に、昼食を済ませなければと、棚を眺める間もなく引き上げられました。

あの頃は、若い常連さんが専門を定めると、その関連の本を心して集めようとしたものです。一人ひとり専門が異なるのは当然ですし、次第に専門性の高いものを求めることになり、一軒の店でカバーできるはずもありません。店自体が行方定まらず、店主も若く身が軽かった、思えば初々しい時代の無謀な試みでした。

今に比べ、常連さんとは仕事を離れたお付き合いもあったそんな時代でも、結婚披露のパーティーにまで呼んでいただいたのは、あとにも先にもこの方だけ。

そのお子様が、今年から大学生だといいます。

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2009年03月21日

売れたと思えば

黒っぽい洋書を並べた一角があります。革の装幀であったり、古いクロス装であったり、ちょっと見ると貴重な本、という感じですが、それほど高額のものは置いていません。古いというだけで一所に集めてあるので、ジャンルもまちまちです。一人の若い外国人が、その棚の本を端から手にとって見ていました。

やがて別の棚へ移り、袋に入れてある一冊を見つけ、テープを剥がして中から取り出し、ためつすがめつしています。ここは日本関係の洋書を集めた棚。ポツポツ売れて、目ぼしいものは無くなってしまいましたが最近は品薄で、売れてしまうと補充の難しいジャンルとなりました。そこにまだ売れずに残っていた一冊です。

やがて、これは初版かと尋ねてきました。
STOPES, Marie C.
A Journal from Japan. London:1910
小店の付け値は4800円。クリーム色のクロスで綺麗な本です。その通りと答えて、念のためにネットで調べて見ました。すると外国の書店では、その付け値は2万円から4万円。その画面をそのまま、お見せしました。

もちろん喜んで買っていかれました。在庫登録は2001年、嬉しい筈ですが、寂しい気持ちも拭えません。

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2009年03月20日

菊地違い

キクチノブヨシと、そう聞こえたのです。
彼が東京大学で教えた時の本が、この辺りにあった
と思うのですが、といって音楽書の並んでいる辺り
の棚をお探しのお客様がおられます。

一瞬、かすかに頭をよぎるものはあったのですが
菊地信義なら、デザインとか書物関連でこちらの
棚に入れます、と別の場所を示し、同著者の本で
今在庫しているものをご覧に入れました。

何か腑に落ちないご様子ながら、しばらく辺りを
探し、結局売れてしまったのだということになり
他の本を一冊買っていっていただきました。

お帰りになってから、最近仕入れた本を整理して
値段付けに取り掛かると、これこそが今お探しに
なっていた本だ、というものが出てきました。

「東京大学のアルバート・アイラー」
著者は菊地成孔、ジャズマンのキクチナルヨシが
東京大学で行った講義録です。確かに店でも最近
売った覚えがあります。しかしナルヨシとは知り
ませんでした。それで、知っている名に聞き違え
てしまったのでしょう。

あのお客様が、またお出でになるかもしれません。
棚に入れるのを少し待ってみようかと思います。


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2009年03月19日

知ってもらう難しさ

前の場所で店を開いてしばらくした頃、駅の中に
看板広告を出さないかと勧誘を受けました。

こちらとしては、駅から見下ろせばすぐ見える
それが大きな利点だと思って目立つテントまで
張ったことでもあり、躊躇していると、人目に
付かなければ、すぐ近くにあっても、あることを
知ってもらうだけで10年かかりますよと、さらに
一押しされました。

確かに小店は西口にあり、東大生の殆どは東口を
利用するので、気づかないまま駒場の二年を過ごし
本郷へ移っていきます。それで一時、僅かな期間
小さな看板広告を出したことがありました。
効果を期待するには大きさも、期間も足りなかった
と思いますが。

それでも時が経つにつれ、小店の存在も少しずつは
知られていったようです。それが確認できたのは
皮肉にも5年前、現在の場所に移転したことによって
です。移転を決めて実際に移るまでいくらも時間が
なかったこともあり、移転表示も貼紙程度でした
ので、とうとうつぶれたかと思われた方が、随分
多くいらっしゃったらしい。

この頃でも「こんな所でやっておられたとは」と
驚きとともに喜んでいただくことがあります。
少なくとも、無くなった事さえ気づかれない、と
いうよりはずっとましですが、この分では未だに
つぶれたと思っている方も多いかもしれません。

しかし、やっぱり大きな看板を出したりするのは
性に合わないのです。






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2009年03月18日

追いつかない

その昔は、仕入れるのが追いつかないほど
本が売れた、という話を良く聞かされました。
いつもそれが昔話であることが不思議ですが。
古い「古書月報」(業界の機関誌です)など
を読み返すと、そのことを強く感じます。
いつの話でも、売れたのは「昔」なのです。

昨今では、溢れる本の処理が追いつかない、と
いうのが多くの店の共通の悩みです。一定の
期間を過ぎた在庫は、機械的に処分していくと
いう、どこかのチェーン店のような割り切りが
出来れば苦労はないのですが。

今日は朝から、店頭の棚を整理しました。
三月は引越しのシーズンでもあり、本を
持ち込む方が増えています。小店もこの所
在庫の整理が滞り気味なので、見切り品を
入れ替えるペースを、早めて行くつもりで
居ります。

せめてこの均一棚だけでも、補充に追われる
ほど売れてくれないものかと思います。

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2009年03月17日

確定申告を終えて

結局今年もぎりぎりの3月15日に、確定申告書を
投函しました。見直す度に訂正箇所が見つかって
3度もプリントアウトする始末です。それでも
どうにか終わってひと安心。

去年一年は、店売り増、ネット売り微減、市場
への売りが増、合計で10%強の売上増という結果
でした。こんな景況下で、我ながら健闘したと
思います。

しかし市場への売りが増加したのは、たまたま
良い買い物があったからで、努力の結果と言う
より、偶然に負うところが大きく、今年はどう
なるか分かりません。むしろ、ネットが伸びて
いなかったのが意外でした。

店売りの増加は、児童書、料理本をはじめ小店
内の別ブランド(?)「COBA」の売り上げが
大きく寄与しています。何よりそれを実感する
のは、かつてと違い、最近では土曜日、日曜日
の売り上げが、平日より良いくらいになってきた
ことです。

いたずらに売れ筋を追うのを潔しとはしませんが
支持を得られない店では仕方がありません。
謙虚にこれからの店の在り方を見つめていこうと
思います。




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2009年03月16日

古本ですか

これも古本ですか?といって、若いお母さんが
ベビーカーを押して店に入って来られました。

ウチにおいてあるものはどんなにきれいでも古本
です、と少し力をこめて答えますと、本を開いて
「ああここに値札がありました」

新刊が欲しくて、そうおっしゃっていると、つい
思ってしまいましたが、ただ単に値札が見つからず
本がきれいなので新刊=定価販売かと、それを
お聞きになりたかったのでした。

全部古本ですかとお聞きになる方も時々おられて
真意を測りかね、答えように困ることもありますが
普段のやり取りも、お互い分かったようなつもりで
随分、頓珍漢なこともあるかもしれません。

昨日に続いて好天。ぐんと春めいてきました。

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2009年03月15日

門出を祝す

若い同業の結婚披露宴に招かれ、出席しました。
1969年生まれというので、世間的には若いという
年齢でもありませんが、仲間内ではこれから
いよいよ活躍が期待される年頃です。

12年前、父上が宿痾に侵されると、教職にあった
同君を呼び返し、店の手伝いを頼みました。それ
の姿を見て安心されたように父上は亡くなられ
若くして跡を継ぐことになりました。

以来、10年余、苦労もあったことでしょう。
この日を迎えるにあたり、リッツ・カールトンを
その会場に選んだのは、そうした当人の思いを
表わすものだったと、今は思います。

高級な会場ではありましたが総勢で80名余。
そして何より、小店主などがメインテーブルに着く
つまり新郎側は殆どが彼の同僚という構成は、今日
ホテルに着くまで思いもしないことでした。
いわゆる派手婚ではなく、落ち着いた感じの宴で
これから業を共にする仲間への、彼なりの精一杯の
アピールだったのでしょう。

しかし一番の話題は、誰かが開宴前お茶を飲みに
行きコーヒー一杯1680円だったということでした。

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2009年03月14日

エフェメラ(ephemera)

昨日の明治古典会で、ふと目にとまったのが
古い演劇の公演チラシ。40年ほど前のものなので
ちょうど店主の学生時代。全部で15、6枚しか
なかったのですが、驚くほど良い保存状態。

自由劇場、菅孝行など、懐かしい名前とともに
その公演場所が京都のものもあったりして
思わず往時をしのぶ気分となりました。
自分がまさに見た公演などが含まれていれば
商売を離れて入札したかもしれません。

こんな刷り物類も、和洋を問わず昔から
古本屋の扱ってきたものです。
映画チラシなどは、熱心なコレクターもいて
びっくりするほど高価な値が付くものもあります。
江戸、明治の引き札と呼ばれる宣伝ビラなどは
博物館も競って集めます。

エフェメラとはすぐ消えてしまう儚いもの
厳密には一枚刷りのものを指す言葉のようですが
古書店の目録などではこのジャンルの中に
パンフレットや小冊子も含まれています。
保存されることを前提としないものであれば
エフェメラの資格はあるかもしれません。

残っていない、というのは古書の価格を決める
大きな要素の一つですが、高い値がついた途端
あちこちから同じものが出てくるというのが
古書の世界の不思議の一つです。




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