2009年08月21日

アルジャーノンに花束を

「戯曲はどの辺りに置いてますか?」という若いお客様に、ミセスCが丁寧に応えています。自分には出来そうにない応対だと感心しながら。

少しばかり並んだ戯曲集の棚で、長いこと探していたお客様がお持ちになったのがこの本。原作と同じく早川書房から出ている戯曲版(菊池准脚色)です。

何か特にお探しだったのかと尋ねると、特にないんですが、現代のもので男が四人、女が六人でやれる戯曲を探しているんですとのお答え。予期していた通りのものでした。去年は『法王庁の避妊法』をやったのですが、というあたりは大学生、もしかしたら文祁狆譴任靴腓Δ。(これについてはいずれご説明)

店主は遥か昔の、地方高校生であった時代を思い出します。未来社の「てすぴす叢書」が並んでいる古書店があって、たまに行くと、端から取り出し、登場人物を数えては棚に戻す自分を、奥から見つめている視線の意味が、その当時は良く分かっていませんでした。

それを思い出しながら、戯曲探しを古本屋でやることの大変さを諭すように話したのですが、その大変さがまた楽しみでもあるのだろうと、薄れた過去の記憶を辿りながら考えてもいました。

さて自分なら最初の応対で、もっと突き放すようにしただろうというのは、過去の自分に向き合う恥ずかしさからでしょうか、それとも、すっかり古本屋の親爺になってしまったということでしょうか。

明日は一日、店にいられるはずです。


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2009年08月20日

あっさり修正します:号外版

僅か三日前に宣言したのですが、朝10時の定時更新というのをやめて、以前のように夕方から夜にかけて更新するようにしたいと思います。

その理由は、「今日の予定・昨日のお話」という流れよりは「今日のお話・明日の予定」のほうが、書くにも、お読みいただくにもライヴ感があると思うからです。予定といってもさほど有りませんし、ある場合は前から分かっていることですし。

もともとご覧いただくのも、昼間より夜の方が多いのではないか、とこれはこちらの勝手な推測ですが。

そんなわけでTKI会議から帰って、さっそく朝令暮改としました。

帰りの半蔵門線が一時ストップ、不通となっているということで、しばし考えた末、都営新宿線に回り、橋本行きの電車がホームに着いたとき、運行再開がアナウンスされました。

そのまま乗ってしまおうかとも思いましたが、改めて半蔵門線ホームまで戻り、帰って来たところです。店番のミセスCが、「木曜日が一番ヒマ」と嘆いておりました。幾らも変らないのですけど。

明日からまた6時〜8時をめどに、随時更新いたします。相済みません。なお、明日は明治古典会。店主一日不在です。

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締め切りの効用

本日は、昼には出かけなければなりません。月に一度のTKI会議です。戻るのはおそらく午後7時。

まだ客足が戻ってきませんが、昨日は嬉しいお客様がお二人。お一方はpleiade叢書の18世紀戯曲集(2冊)をお買い上げ。もうお一方はダンス関係の本などを数冊お買い上げ。

もちろん嬉しいのは金額ではなく、お買い上げいただいた本です。思わず声をお掛けしてしまいました。どちらも密かに(でもないか)小店が専門にしている(つもりの)分野です。舞踊美学のお客様とは、店先であれこれ話が弾み、後に約束も控えていたようでしたから、遅れなかったか気がかりです。

それぞれの方に「ホームページも有りますのでご覧下さい」などと申し上げたのは良いのですが、偉そうに言うほどの品揃えではありません。データにすら入れてないもの、随分前にデータを取ったまま、本の所在が不明になってしまっているもの。それらのほうが遥かに大量です。

昨日のようにお客様から刺激を受けると、その時は、やらなければと張り切るのですが、雑用を片付けているうち、つい機会を失ってしまうのが常のこと。

定期的に目録を出している同業が言っていました。「締め切りを設けて作業するから出来るんだよ」。なるほど。

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2009年08月19日

昨日の洋書会

本日は朝方少し遅れますが、あとは一日店にいる予定です。

さて、昨日の洋書会、久々にわくわくするような市でした。交換会場を埋め尽くす、とまでは行きませんが、ゆったりながら万遍なく本が並べられ、その9割方が一口もの。

数学者の旧蔵書ということで、専門の数学書はもとより、趣味で集めたらしい挿絵本、古刊本まで、かなり質の高いものでした。

中でも白眉はユークリッドとイソップ。前者の16世紀末の刊本は、この日一番の高値となりましたし、後者の状態の良い銅版画を多く含む大型本は、残念なことに美しい革装の表紙が片方取れてしまっていて、補修にはかなり費用がかかりそうでしたが、それでも十分良い値になりました。

挿絵本で目立ったのは、千夜一夜物語、カサノヴァ回想録、デカメロンがそれぞれ数種類。昔風に言えば好色本が多く、特別な画家の挿絵、あるいは意味のあるエディションでなければ、昨今は思うほど高い値は付きません。

わくわくと言うのは店主にとってではなく、会として良い本が出たことへの喜びです。自分で札を入れたのは数点。ちょっと惹かれた数学の原典数冊の口は、専門店にあっさり持っていかれましたし、他も取れず完敗。

しかし午後3時の開札に至るまでの各書店の駆け引き、開札後のうちあけ話や品評会、それらを見、聞けただけで充分な収穫でした。



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2009年08月18日

ちょっと変えてみます

スタイルを変えようと思います。毎朝10時、開店時刻に更新。本日の店主の在、不在、そして(あれば)新入荷情報など。そのあとに、どうでもいい店主の繰言が、これまでどおり。

本日は、午前中は在店。昼過ぎに古書会館へ出かけます。東京洋書会。一週開くと、しばらくぶりのような気がします。夕方5時頃までには店に戻っている予定です。

さて、M先生の古典語学書、すでに「日本の古本屋」にもアップしたのですが、いの一番に注文が入ったは次の一冊でした。

『ラテン語初歩』(関口存男、英語英文学刊行会、昭9)

ドイツ語学の大家が「英語英文学講座」の一冊としてラテン語入門書を書いているという面白さで、わずか62頁の薄い冊子ですが、1000円で出しました。

これほど早く反応があるとは思いませんでしたので、ちょっと嬉しい。値段ではなく、思ったとおりの反応が返ってきたことがです。現実には、このような面白さはなかなか味わえません。普段は新刊割引のような本の受注が多く、しかもそれは安売り競争への道です。

それはそれとして、この本、何をキーワードに検索されたのか、お客様に伺ってみたいですね。

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2009年08月17日

『観世寿夫著作集』で反省

一昨日の話です。本を8冊ばかり売りにいらしたお客様、代金を受け取られてから思い出したように「観世寿夫さんの本は有りませんか?」「その何をお探しですか?」「著作集の第一巻か、『世阿弥を読む』があれば」

そんなやり取りのあと、実は著作集の四巻揃いなら持っていますが、少し高く付けてあるはずですと申し上げると、幾らでしょうかとのお尋ね。データベースで在庫を確認すると1万8千円です。

そのようにお伝えすると、ぜひ欲しいとのお答え。神田の専門店に2万5千円で出ていて、ちょっと悩んでいたとのことでした。そこで「日本の古本屋」を調べて見ると、2万円、2万4千円という二点が検索されたのみ。

小店では入荷時、この売値で「日本の古本屋」に出そうとしたのですが、もっと安く売っておられる店が何件かあったので、諦めて自店のホームページにだけ、載せておりました。

日ごろ、値下げ合戦でどんどん値の下がっていく本ばかり眼にしていたので、今回も調べてみて、他があまり安く出しているようなら、少しお値引きしなければとまで考えたくらいですが、その必要は有りませんでした。

しまいこんであった新本同様の4冊を奥から出してお渡しすると、とてもお喜びいただきました。小店としても不足はないのですが、唯一つ反省すべき点があります。

それは自店HPを、もっと多くの方に見ていただけるよう工夫しなければ、という点です。

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2009年08月16日

カールさん

月に一度くらいお出でになって、何冊かまとめ買いをして下さるカールさん。今度初めてお名前を知りました。一冊の本に眼を留めて「これなんです私のやりたいことは」と熱弁が始まり、その中で分かったのですが。

その本はJapan's Road to Pluralism(古川俊一他、財団法人日本国際交流センター刊、2003年)。

廃校を利用して「コンピュファーム」を立ち上げ、地域おこしにつなげる活動をしているのだそうです。廃校は増えているし、光ファイバーも引いてあるし、と次々に展開される話のなかで、一番の突っ込みどころを逸していたことが、後でわかりました。

「コンピュファーム」というのは実はカールさんの造語。そのままカタカナで検索すると、真っ先にNPO法人会津コンピュファームのHPが現れます。意味としては十分伝わってきたので、普通に使われる略語のようなものだろうと聞き流していて、カールさんも少し張り合いがなかったかもしれません。

「自治体などに掛け合うのでも、私のような《変なガイジン》は有利です」とおっしゃるので「やっぱり《若者、ばか者、よそ者》ですね」と申し上げると、その言葉はご存じなかったらしく、いいことを聞いたと喜んでくれました。

お買い上げは手提げ二袋、帰りがけに「奥さんからまた禁止令が出るから、しばらく来られないかもしれません」と一言残して。


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2009年08月15日

すごい久し振り

静かな店内に、若い女性客がお一人。しばらく前から、ゆっくり文庫本をご覧になっています。

そこへまた一人、若い男性がご来店。別のコーナーへ向かい、一巡して、先客に気がついたご様子。そーっと近づいて、読み耽る女性の横に立ちます。気配で顔を上げる彼女―

「えーっ!どうしてここに居るんですかあ!」

偶然の再会に驚いたのは分かります。でも他に物音もなく、しかも店主はここに座っているというのに「すごーい久し振り!」のテンションで二人の会話は続くのです。

女性の方は、近くに用があって何かの時間つぶし、男性は通りすがりにふと立ち寄って、感激のご対面となったわけで、今何してる?彼、彼女たちはどうしてる?話題は尽きません。

どうやら学生時代の先輩後輩「今でも芝居、続けてられるんですか?」「残念ながら。しかしお前(いつの間にか“お前”になってます)全然変わらないね」「嬉しくないなー」

相変らず他にはお客様が来る気配もありません。永遠に続くかと思われましたがやがて「ちょっとここ出ようか。ところでお前いくつになったの?」「23さい。ほんと久し振りですね」

なんだか、オチがついたようでした。

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2009年08月14日

東急東横店大古本市

今日から渋谷の東急東横店で大古本市が始まりました。

小店は第一回から参加していたのですが、諸般の事情により今回は不参加です。会期中に様子を見に行こうとは思いますが、初日は混雑していて、出店者も忙しいでしょうから、今日のところはひとまず遠慮。

もともと、小店を仲間に入れてくれたのは、地元への配慮だったのでしょう。それまでも伊勢丹のデパート展を長く続けていたのですが、どうも向いていないと感じていました。やるからには積極的に売れ筋を仕入れるという姿勢がないと、売上げが伸びず経費ばかりがかさむことになります。参加店の中でも売上げは下から数えたほうが早い状態でした。

言い訳めくのですが、市場での仕入れは洋書が中心。それも学術系のもの。デパート展などでは殆ど売れません。そこでお客様が売りに来られた日本書の中から、デパート向きと思われるものを取って置いて、出す。この程度では売上げが伸びる筈もありません。

それでも東横展に誘われて参加したのは、とにかく近間だから。ということで力の入れようも半端なまま、ここでも売上げは最下位グループ。もちろんこうした催しに参加するのは、売上げだけではなく、新しいお客様を得ることも大事な目的です。しかしそのためには、店の特長をアピールできる品揃えが不可欠。この点でも不十分でした。

今回の不参加は肩、腰の不調など、体力に不安があったことが直接の理由ですが、今後もし参加するとしたら、そのあたりの覚悟をしっかり固めてからにしたいと思っています。

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2009年08月13日

古書月報

ようやくお天気が続くのでしょうか。お盆に入り、どこの商店街も駒場駅前並みに閑散としています。

組合から機関誌『古書月報・435号』が届きました。

隔月刊で、しかも不定期に刊行された時期もあってこの号数ですから、いかに長く続いているか、ご想像いただけるでしょう。古書会館の応接室には本誌の創刊(「古書籍商組合会報」第1号大正11年)から製本されたものが揃っていて、組合の歴史を一望するかのごとく壮観です。

今日まで刊行を引き継いできたのは、組合の機関誌担当理事たちです。原則二年で交替しますから、多くの組合員が関わってきたことになります。店主自身も15、6年前に一期担当しました。編集者が替わるごとに異なる特長が見られ、それもまた楽しみのひとつです。

業界には達者な書き手も数多く居て、感心したり、笑いこけたり、組合員だけが読むのでは、もったいないような記事も載ります。しかしあくまで組合機関誌。組合と組合員の実態および意見を、記録として残すことが主眼でなければなりません。

組合活動に関する日々の情報は、インターネットを通じて得ることも多くなってきました。しかし古書組合は今、重要な問題を抱えていて、大きな岐路に立っています。こうした問題をじっくり話し合っていくためにも、機関誌の役割は、増しこそすれ、減ずることはなさそうです。


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