2009年07月12日

木下大兄へ

昨夜は『美を生きるための26章』出版記念パーティーにお招きいただきありがとうございました。

何年か前、土曜の午後のABCを始めると伺った時点では、こんなに立派な書物に仕上がるとは、失礼ながら予測できませんでした。出来上がったものを手にして、兄の最大の武器である「行動力」と「持続力」に改めて敬服しています。

それにしても、港近くのオープンカフェは、いかにも兄好みの素敵な店でしたし、集まった人々(60名ほども居られたでしょうか)の年齢層も幅広く、とりわけ若い世代を大切にされ、また慕われてもいる様子が分かったのは嬉しいことでした。

兄自ら参加者全員を紹介するという離れ業のおかげで、お互い新たな知遇を得、自分も調子に乗って二次会まで付き合わせて貰い、港湾倉庫を改造した美術館に併設されたカフェで、午後11時の閉店までお喋りは尽きませんでした。

肝心の本については、これからゆっくり読ませて貰うことになりますが、四方田犬彦氏が書評で取り上げるとか、木田元さんから励みになる手紙をいただいたとか、前評判は上々のようですね。

ABCは二期目に入ってなお継続中。ご自愛の上いっそうのご活躍をお祈り申し上げます。

取り急ぎお礼まで

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2009年07月11日

駒場の七不思議

今朝は南部会館へ入札に行ってきました。このところ売れない日が続いているというのに。

昨夜レジを締めながら、ようやく気がついたのは、7月も旬日を過ぎ、学校は疾うに期末モードに入っていたということです。

これからポツリポツリと試験があって、そのまま夏休みへ。そして8、9月はもちろん、10月の半ばまで学生さんたちは自学自習。たださえ静かな駒場から人気が絶える季節になります。

毎年のことなのに、今頃気付くのも迂闊ですが、それだけ売上げの低調さには普段から慣れっこになっているからでしょう。

かつて「古本屋がない」ことが、駒場七不思議のひとつとも言われていたようです。正確には全くなかったわけではありません。そのことについては以前書いたような気もします。

それでも小店が開業した頃、漸く、と受け止めていただいたということも以前書きました。

しかしこの夏の約四ヶ月、年末年始、学年末。一年を通すと大学生はその半分も学校に来ていない勘定になります。その駒場で四半世紀「古本屋が続いている」ことが、今では最大の不思議かもしれません。


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2009年07月10日

耳なし芳一

都議選も終盤、騒がしさが極まっています。

小店の前も細い一方通行なのに、一日に何度も選挙カーが大きな声をスピーカーから流して、ゆっくりと通り過ぎていきます。小なりとはいえ駅前ですからね。

多くの子育てを経験した女性はもとより、世間に連呼型候補に対する強い反感と不信がいかに大きいか、世の政治家は、もっと理解すべきでしょう。

もう一つ閉口しているのは戸別訪問型運動。店を構えている以上入ってくる方を選べません。初めから名刺やビラだけを置いていくのはまだ可愛げがありますが、先日も書いたように、お客様然として均一をお買い上げいただいた後で、候補者の名前を売り込むやり口は、とてもストレスが溜まります。

たまりかねた店番のミセスCが、選挙活動、勧誘お断りと書いたカードをレジ横に置きました。

某政党を批判する新入荷書と重ねるように置いてあったので、さすがにちょっとと店主が取り外して外出したその直後のことだといいます。店頭に車を横付けにし、一人が均一を数冊手にして店内に入り、差し出しながら「何某をよろしく」。

店主の弱腰が非難されたことは言うまでもありません。

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2009年07月09日

前日仕分け

明日から明治古典会の新年度。引き続き幹事の一員として残る羽目になり、その第一回目から前日出勤です。

出品量が多く、当日の午前だけでは準備が間に合いそうにない時は、前日に幹事、経営員が集合、仕分けなどに当たります。本日の仕分けは段ボール箱170個という口、カーゴ4台という口、ほかにも数口。

荷が多いのだから喜ぶべきことではありますが、出る者にとっては、まず半日は潰されますから、辛いところです。自分に興味のある出品物であれば、その辛さも吹き飛ぶところですが。

しかしたとえどんな出品でも、少しでも良い値になるように、つまり買い気をそそるような仕分けをと心がけるため、つい時間もかかります。今日も3時から始めて、終了は7時過ぎになった筈。

筈というのは、店の閉店前に一仕事するために、少しだけ早めに失礼させてもらいましたので。

で、急いで戻ってみると相変らず静かな駒場でした。明日は朝から明古です。


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2009年07月08日

駒場18号館へ

さーっと強い雨が降ったかと思うと、日が差し、時折り停めてある自転車が倒れるほどの風、そしてまた雨。めまぐるしく変るお天気です。

約束していたRossiter先生の研究室へ、午後になってから出かけました。本当は手押し台車を押していくほうが楽なくらいの距離ですが、この天気ではそれも無理。

車の荷室からいろいろなものを降ろし、台車を乗せて、大学へ向かいます。これが、長方形を一筆で描くとして、その最後の角を閉じる手前に学校への入り口があるというような大回りをしなければなりません。

ともかくそうして学内に入ると、今度は建設工事の関係で、いつもの通路が塞がれていたりして、また行ったり来たり。歩いて5分の目的地へ辿り着くのに、要した時間はおよそ15分です。

まずは挨拶。Good afternoon!を、冗談と気付いてくれました。

今回お譲りいただいたのは、棚5段分。初めからそうおっしゃっていましたが、半分近くは語学教科書、残りの半分以上はペーパーバック。それでもきれいな英文学関係のハードカバーが40冊ほどは有りました。

値段を申し上げて、納得いただいて商談成立。Deal!ですね。


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2009年07月07日

新年度の始まり

洋書会は、今日が新年度第一回目の市。七夕大市明けで例年、荷の集まりがあまりよくないのですが、今日は一口ものも入って、それなりに場が埋まりました。

目を惹いたのは、3000冊ほどもあろうかというミステリー関係のペーパーバック。いわゆるパルプノベルズです。

何点かに分けられた、その殆どすべてを、一軒の専門店が買い占めました。残念ながら保存の状態がいま一つで、ヤケたり埃が付いていたりして、これを商品化するには相当の手間暇がかかると思います。

しかし、これだけの量が一度に出ることは、これからもおそらくない筈。多少の労苦は惜しんでいられない、と考えるのが専門店たる所以でしょう。落札品を何十本も、延々と縛って片付けておられました。

さて、役員は交替したのですが、三か月に一度回ってくる市会の運営当番は、これからも続きます。七月は小店の当番月。洋書会ばかりでなく、交換会というすぐれた仕組みは、市会の運営にかかわる多数のボランティア(言葉のかなり正しい意味で)が居ることで成り立っています。

その仕組みが、これだけ長く続いてきたことに、時に感慨を覚えるのです。

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2009年07月06日

七夕市無事に終わりました

昨日で明治古典会七夕大入札会は終了。今日は朝からさすがに疲れが残っていて、店で溜まった仕事を片付けるのも、能率が上がりません。

今年の七夕は、正岡子規の草稿が特に話題となり、主要各紙がこぞって取り上げてくれました。おかげで来場者も、例年よりは多かったような気がします。

ただ、昨秋開かれた東京古典会の入札会で「篤姫」関連資料の出品が紹介された時には、書物、ましてや古典籍類に興味のない方々が大勢来場され、かえって混乱したと聞いています。しかも肝心の商品は成約できませんでした。

それに比べれば、今回は、関心をもたれた方は限られていたと思います。それでも喜ばしいことに、当の商品は予想を大きく上回る金額で落札されました。

しかし、その一点だけで会が成功であったと結論することは、もちろんできません。来年以降さらに良い会にするために、今後も実行委員会を開き、反省会点を検証していくことになります。

とはいえ、今日は、残務整理を終えた後、関係者でささやかな慰労会を開くことになっています。まずはお疲れ様でした、と。

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2009年07月05日

宅買い:源氏鶏太氏宅

建て替えで片付けたいのですが、ロシア語の本でも引き取ってもらえますか?というのが始まりでした。

文学書というので何とかなると思い、お伺いしますと答えました。すると「源氏」の家だとおっしゃいます。

小店から歩いて五分足らず。一時代を画した人気作家の住まいがそこにあることは以前から知ってはいました。その御子息に当たる方がロシア文学者だったというわけです。

外から拝見していたよりずっと広いお宅で、二階へ上がる階段も二ヶ所あり、何度かに分けて片付けに伺ったのですが、その度にまごつくようでした。

源氏さんの旧蔵書らしきものも残っていて、中に僅かながら署名本もあり、嬉しい思いをしました。

最後に見せていただいたのは、源氏さん自身の著作が納められた部屋です。来客などに差し上げるため、自著を数部ずつ揃えてあったようです。埃に埋もれてはいましたが状態は良く、記念のつもりで一部を引き取りました。

実は署名本はもっと沢山あったのですが、ご家族が処分されてしまったといいます。そんな折りに、捨ててしまわれたのでしょうか、ご当人の若い頃の日記が、ある時明古に出品されて、驚いたことがあります。

捨てるくらいならと、残念に思ったことでした。



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2009年07月04日

宅買い:山茶花究氏宅

十年ほど前の話です。直ぐ近所、ということで呼ばれて伺った家は、本当に店から200mくらいの距離。主が不在となってしばらく経つそうで、明かりもまともにつかないような薄暗い部屋でした。

建物を取り壊し立て替えるため、残っていた本を片付けて欲しいと、通された茶の間のようなところに大きめの本棚、別の部屋にも、二つほどの本棚。

最初見たときは、一昔、いや二昔も前の小説類、いわゆる雑本が並んでいるとしか見えず、お断りしようかと思いました。

しばらく見ていくうち、昭和20年から30年代くらいの演劇、映画関係の本が目に付きました。気をつけてみると、芸能関係の本が案外沢山あります。

やがてその本の持ち主自身が芸能人であったことが分かりました。ある本の献呈名に山茶花究様と書かれていたのです。何冊か署名本が見つかりました。

そうなると雑本もおろそかに出来ません。全部きれいに片付けて引き取ってきました。

当時参加していた即売展などで売ったのですが、芸能本より当人が読んでいたらしい、当時の推理小説に珍しいものがあり、お客様に喜ばれました。

以来、TV放映される古い映画にその姿を見かけると、格別の親しみを覚えるのです。

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2009年07月03日

宅買いの思い出

昔は新しく古本屋を出そうとすると、良く売れそうな場所よりも、良い買い物がありそうな場所を探せといわれたものでした。

それは通常、豊富な品揃えなどあるはずもなく、高い家賃を払い続ける資金力も乏しい新規開業者が、小資本で商いを始めるための智慧でもありました。

実際この業界には、そうして小さな店を初め、棚の上から大きな牡丹餅が転がり落ちてくるような買い物に恵まれ続け、次第に財を成したという伝説に事欠きません。

小店は、そうした教えに抗うように、本が売れる場所という点にこだわったためか、残念ながらこれまでに、そのような美味しい買い物はありませんでした。一方、思ったほどに売れるわけでもありませんでした。

しかし、それに不満を言うつもりはありません。そのような成功事例は一部の例外に過ぎないからこそ、伝説のように語られるのでしょうし、この場所で曲がりなりにも今日まで続けてこられたのはお客様方の支えがあったればこそです。

そしてこの26年の間には、小店なりに忘れがたく印象に残る宅買いが幾つかありました。

そんな思い出深い本と人の話を、思いついた時に書くという形でこの先、何回か続けてみようと思います。今日はまず、その前口上まで。


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