2009年07月17日

宅買いの余得

宅買いに伺うと、しばしば他のものも一緒に引き取ってくれないかと頼まれることがあります。

書画、美術類は商売の一部ですから、分かる範囲で値踏みして買い受けますが、他に例えば本を収めていた書架、本棚の引取りを頼まれることも案外多いようです。

それと思しきものが市場に現れることも、たまにあります。しばらく前にも洋書会の仲間が、大蔵書と共に何十棹という特別誂えの棚の処分を任され、それはさすがに市場には持ち込まなかったのですが、同業間で捌くことが出来たと聞きます。

店主が一番古い記憶としてあるのは、まだ五十嵐書店に勤めている時分、岩淵悦治氏の旧蔵書を引取りについて行って、その棚を一つ二つ頂いたことです。

自分で使う当てがある時ならともかく、むやみに引き取っても後の処分に困ることも多いので、次第に慎重になり、最近では機会があっても、殆どご辞退しています。

もちろんお金を出しても譲っていただきたいというものの場合は別で、いま使っている両袖机も、以前、そうしてお客様から買い取ったものでした。

考えてみれば、本も同じことかもしれません。

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2009年07月16日

真夏日の会議

こんな日に、外を出歩く人の気が知れない、と思うくらいの暑さ。

朝一番にご近所へ本の引き取り。お昼まで、先日来仕入れた本の整理。一向に片付かないうちに時間が来て、昼食を取り、古書会館へ。月例のTKI会議です。

「日本の古本屋」リニューアル後の経過検証、クレジット決済導入後の推移と問題点、次の計画、そんなことを話し合って、あっという間に午後6時。

月に一度では新しいことを始めるのは中々難しいので、チームを作って個別に進めようという提案があり、今年中にやりたい課題が二つほど上げられました。言いだしっぺ原則が今回も適用されます。

まったくメンバーの皆さんの熱意には頭が下がります。部長などという役目は、その熱意の妨げとならないよう、大人しくしているくらいのことでしょう。

大人しく4時間過ごしたあと、店へ飛んで帰りました。やることは山のようにあるからと。しかしレジを見て、力が抜けました。出歩く人の気が知れない、などと案ずるまでもなかったようです。


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2009年07月15日

頑張れ四代目

溜まった本を端から整理していると、児島喜久雄『填空随筆』(全国書房・昭24)という1冊が出てきました。

表紙を開けると、見開き両面を使って達筆な行草体の識語。あて先は「松村書店御主人」となっています。その刊年からすると二代目龍一氏に贈られたものでしょう。

しかも刊行翌年の昭和25年に亡くなっている著者が「厄介をかけた」というのは、文面から判ずるに初代音松氏。同店の歴史の厚みを感じます。

三代目の栄一氏は、小店主にとって、かつて勤めた五十嵐さんに次いで、大変お世話になった方です。その急な逝去など、さまざま不運な経緯もあって、百年を超えて続いた同店の店舗は、すでに元の地にはありません。

今四代目の剛さんが、すべてを整理して再起にかけているところで、その整理の過程で、この一冊が紛れてこちらの手に入ったのでしょう。

様々な思いが去来する一冊ですが、これを縁として、当分架蔵しておくつもりです。いつか再建が軌道に乗り、その祝いとしてお返しできる日の来ることを待ち望んで。


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2009年07月14日

洋書会の格言

朝から洋書会、終わって総会、そのあと役員のお疲れ様会。それで店に戻ると10時過ぎ。連続記録を途切れさせないために、今日の市会の様子を少しばかり書いておきます。

医学書を中心とした洋書、その医師が蔵していた一般書中心の日本書、これが今日の会場の三分の二は占めました。

特徴的だったのは多くの本のカバーを裏返し、自製ラベルを貼っていたこと。本の量のハンパでない多さもあって、一体、本を読む暇があったのだろうかと訝しくなるほど。その上、文庫や新書には手製と思われる木箱まで、十数函は誂えてありました。

さて日本書に関しては、洋書会では扱う人間が少なく、とりわけ当番自体の人数が限られているので、店主は専らそちらを担当しました。

表紙の裏返っているものは諦めて、全体の一割ほど、もとのまま残されているものを中心に仕分けたのですが、いざ札をあけてみると、その多くを自分で買うことになってしまいました。

仕分けたものへの思い入れが強すぎたかと少し反省。しかし洋書会ではこういう時、決まり文句があって「買わなきゃ損も出来ないよ」と励ましあったりするのです。


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2009年07月13日

閑日閑語

日差しが強く、風も強い。お中元の時節でもあり、届け物を運んで来る宅配の人も汗まみれ。

それより気の毒なのは外回りの銀行員さんです。この暑いのにきちんと上着を着て、しかも小店の取引先の信金では、駐車場法の改正以来、バイクを廃止して全て自転車。

今朝も「日差しは痛いし、上り坂に向かい風を受けると、もう折れそうです」と嘆いていました。

それに較べれば、控えめとはいえ冷房完備の店番は天国、と言いたいところですが、店内に入って来るのはそんな汗して働く人々ばかりで、通りを歩く人影もまばら。表の白い光は、もう完全に夏休みのものです。

東京は今がお盆。30年以上住みついていても、これには一向に慣れません。お昼前、近くの聖徳寺さんに墓参りに来るたびに寄っているというご夫婦客があり、その言葉で、あらためて気付く始末です。

聖徳寺といえば、生家近くに同名の寺があったことを思い出します。古い土地で、他にも小寺や末社が沢山ありました。それらを経巡って遊んだ半世紀も昔の夏の日々が、何やらおぼろに浮かんでくるようです。


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2009年07月12日

木下大兄へ

昨夜は『美を生きるための26章』出版記念パーティーにお招きいただきありがとうございました。

何年か前、土曜の午後のABCを始めると伺った時点では、こんなに立派な書物に仕上がるとは、失礼ながら予測できませんでした。出来上がったものを手にして、兄の最大の武器である「行動力」と「持続力」に改めて敬服しています。

それにしても、港近くのオープンカフェは、いかにも兄好みの素敵な店でしたし、集まった人々(60名ほども居られたでしょうか)の年齢層も幅広く、とりわけ若い世代を大切にされ、また慕われてもいる様子が分かったのは嬉しいことでした。

兄自ら参加者全員を紹介するという離れ業のおかげで、お互い新たな知遇を得、自分も調子に乗って二次会まで付き合わせて貰い、港湾倉庫を改造した美術館に併設されたカフェで、午後11時の閉店までお喋りは尽きませんでした。

肝心の本については、これからゆっくり読ませて貰うことになりますが、四方田犬彦氏が書評で取り上げるとか、木田元さんから励みになる手紙をいただいたとか、前評判は上々のようですね。

ABCは二期目に入ってなお継続中。ご自愛の上いっそうのご活躍をお祈り申し上げます。

取り急ぎお礼まで

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2009年07月11日

駒場の七不思議

今朝は南部会館へ入札に行ってきました。このところ売れない日が続いているというのに。

昨夜レジを締めながら、ようやく気がついたのは、7月も旬日を過ぎ、学校は疾うに期末モードに入っていたということです。

これからポツリポツリと試験があって、そのまま夏休みへ。そして8、9月はもちろん、10月の半ばまで学生さんたちは自学自習。たださえ静かな駒場から人気が絶える季節になります。

毎年のことなのに、今頃気付くのも迂闊ですが、それだけ売上げの低調さには普段から慣れっこになっているからでしょう。

かつて「古本屋がない」ことが、駒場七不思議のひとつとも言われていたようです。正確には全くなかったわけではありません。そのことについては以前書いたような気もします。

それでも小店が開業した頃、漸く、と受け止めていただいたということも以前書きました。

しかしこの夏の約四ヶ月、年末年始、学年末。一年を通すと大学生はその半分も学校に来ていない勘定になります。その駒場で四半世紀「古本屋が続いている」ことが、今では最大の不思議かもしれません。


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2009年07月10日

耳なし芳一

都議選も終盤、騒がしさが極まっています。

小店の前も細い一方通行なのに、一日に何度も選挙カーが大きな声をスピーカーから流して、ゆっくりと通り過ぎていきます。小なりとはいえ駅前ですからね。

多くの子育てを経験した女性はもとより、世間に連呼型候補に対する強い反感と不信がいかに大きいか、世の政治家は、もっと理解すべきでしょう。

もう一つ閉口しているのは戸別訪問型運動。店を構えている以上入ってくる方を選べません。初めから名刺やビラだけを置いていくのはまだ可愛げがありますが、先日も書いたように、お客様然として均一をお買い上げいただいた後で、候補者の名前を売り込むやり口は、とてもストレスが溜まります。

たまりかねた店番のミセスCが、選挙活動、勧誘お断りと書いたカードをレジ横に置きました。

某政党を批判する新入荷書と重ねるように置いてあったので、さすがにちょっとと店主が取り外して外出したその直後のことだといいます。店頭に車を横付けにし、一人が均一を数冊手にして店内に入り、差し出しながら「何某をよろしく」。

店主の弱腰が非難されたことは言うまでもありません。

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2009年07月09日

前日仕分け

明日から明治古典会の新年度。引き続き幹事の一員として残る羽目になり、その第一回目から前日出勤です。

出品量が多く、当日の午前だけでは準備が間に合いそうにない時は、前日に幹事、経営員が集合、仕分けなどに当たります。本日の仕分けは段ボール箱170個という口、カーゴ4台という口、ほかにも数口。

荷が多いのだから喜ぶべきことではありますが、出る者にとっては、まず半日は潰されますから、辛いところです。自分に興味のある出品物であれば、その辛さも吹き飛ぶところですが。

しかしたとえどんな出品でも、少しでも良い値になるように、つまり買い気をそそるような仕分けをと心がけるため、つい時間もかかります。今日も3時から始めて、終了は7時過ぎになった筈。

筈というのは、店の閉店前に一仕事するために、少しだけ早めに失礼させてもらいましたので。

で、急いで戻ってみると相変らず静かな駒場でした。明日は朝から明古です。


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2009年07月08日

駒場18号館へ

さーっと強い雨が降ったかと思うと、日が差し、時折り停めてある自転車が倒れるほどの風、そしてまた雨。めまぐるしく変るお天気です。

約束していたRossiter先生の研究室へ、午後になってから出かけました。本当は手押し台車を押していくほうが楽なくらいの距離ですが、この天気ではそれも無理。

車の荷室からいろいろなものを降ろし、台車を乗せて、大学へ向かいます。これが、長方形を一筆で描くとして、その最後の角を閉じる手前に学校への入り口があるというような大回りをしなければなりません。

ともかくそうして学内に入ると、今度は建設工事の関係で、いつもの通路が塞がれていたりして、また行ったり来たり。歩いて5分の目的地へ辿り着くのに、要した時間はおよそ15分です。

まずは挨拶。Good afternoon!を、冗談と気付いてくれました。

今回お譲りいただいたのは、棚5段分。初めからそうおっしゃっていましたが、半分近くは語学教科書、残りの半分以上はペーパーバック。それでもきれいな英文学関係のハードカバーが40冊ほどは有りました。

値段を申し上げて、納得いただいて商談成立。Deal!ですね。


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新年は4日(木)から
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