2009年11月15日

自分の本(近頃出版事情)

「本を買ってもらえますか」と言った後、恥ずかしそうに「自分の本ですが」。そう言うと同じ本を三冊、机の上に乗せました。

近代史の翻訳書、要するにその翻訳者がご自分であると言うことのようです。ご本人のために、漠然とした言い方にとどめます。

初版部数800部、そのうち80部を現物支給された。ということは印税代わりなのでしょう。仕舞っておいても仕方ない、金よりも、少しでも読んでもらいたい。置いてもらえるだけで有難い。

お気持ちは充分にわかるのですが、古本屋に売ると言うことは、売れる値段にまで、値を下げて売られると言うことです。そのことが理解できているのか、何度も念を押しました。

発行は6年前。版元はまだ通常在庫として持っているはずです。値崩れを招けばそちらにも影響します。

しかし、一人でも多くの人に読んで貰いたいという著(訳)者の心情を無碍にも出来ず、ともかくその三冊をお引き受けしました。

買い切りですので、正直、かなり安い値段です。特価本などを卸から仕入れる程度の価格。それでも、これを売って利益を出すのは結構難しいと思います。

他に引き受けてくれそうなところはと尋ねられましたので、信用の置ける店を二三軒、ご紹介しておきました。

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2009年11月14日

非優先席

昨日からの雨は朝には大方上がったというのに、一日中はっきりしないお天気。

本部会館は大市ですが、地区会館は通常どおり。第二土曜日ということで五反田の南部会館へ入札に。

実は今日は高円寺にある西部会館でも、西部地区の大市会。色々な経緯があって、今回が最後の西部大市会となりますが、それをわざわざ本来の日程から繰り上げてこの日に持ってきたのには、また別に思惑が。

ともかくそちらの方はパス。で、昼前には五反田から店に戻りました。その帰りのJR車中の見聞。

店主の母親くらいの年恰好のご婦人の後について乗り込んだのですが、その方が席を見つけ向かおうとすると、一足早く若い男が席を占めました。車両の端の、ふつう優先席となっているあたりです。たまたまそこには表示はありませんでしたけれど。

彼とその脇の二人、向かい側のシートの三人、いずれも店主の息子か娘ほどの年恰好。立っている自分のお祖母ちゃんほどのご婦人が、杖を手にしていることも見ようとしません。携帯に見入っていたり、あらぬ方を眺めていたり、ヘッドフォンを眼閉じて聞き入っていたり。

晩年の母が、あれば楽なはずの杖を持って出かけるのを嫌がっていたことを思い出し、悲しい気分になりました。

幸い離れた席にいた中年男性が席を譲り、店主の心も少し安らいだのでしたが。

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2009年11月13日

遠近道印

急に古書会館へ行く用が出来、雨にならないうちにと午前中に出かけました。それでついでにと言っては失礼ながら、東京古典会の大入札会を見学。

会場に並べられた約2000点の古典籍は、最低入札価格10万円からという高額品ばかり。落札価格は何百万円、あるいはそれ以上になるかも知れない商品も並んでいます。

取り扱う業者も、お客様も、古書の世界のエリートたち。やはり店主などには敷居が高すぎるようです。

それでも一目見ておきたいものがあったので、会場をぐるり一回り。地階の会場が古地図のコーナーで、そこにありました。遠近道印の『新板江戸大絵図・江戸外絵図』全五舗です。

幻とまで言われたこの地図の原本が、揃って出てきたのは、専門家にとっても大きな驚きだと聞きます。一舗だけ広げられた「南」図を見て、後の四舗には手も触れずに引き上げました。

すべて手に取って見られる、というのがこの催しの一番の売りではあるのですが、素人の野次馬ならともかく、端くれとはいえ同業としては、単なる興味で触れるのはためらわれたのです。

でも見た目はとても地味で、ちょっと肩透かしを食ったよう。「実測図は地味なんだよ」との先輩の一言が勉強になりました。

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2009年11月12日

イノセント

いつ降り出してもおかしくないような曇り空が朝から続いて、しかしまだそれほど寒いということもありません。

ただそう感じるのは店主だけのようで、店番のミセスCは寒い寒いを連発。そこで、午後、人気も少ないようなので(いつだってですが)、自動ドアのスイッチを入れ、閉めておくことにしました。

店内が余りひっそりしているのも気詰まりかと考え、低くCDを流します。今日はチェロソナタの雰囲気。

静かに音が流れ出し、なかなか落ち着いて良い雰囲気などと、悦に入っていたのもつかの間、ハイタッチしてドアを開け、小さな子が走りこんできました。

外から「××ちゃん、だめよー」と声が聞こえます。お母さんがお友達と絵本の棚の前で、本探しに余念ありません。坊やは再びハイタッチして外へ。しばらくしてまた中へ。やむなくスイッチを切り、ドアを開放しました。

「すいませーん」と絵本を見ながらお母さん。坊や今度は店の内外を走り回り、その勢いで表の道路の方へ。その時だけは、さすがのお母さんも探す手を止め、子を制止に向かいます。店内を巡る分には「だめよー」で、自由自在です。

やがて「2週間ほど前に『おおきなかぶ』があったと思うんですが、売れちゃったんですかねー」とお母さん。在庫切れと分かると、ほどなくお帰りになりました。

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2009年11月11日

東京古典会

今日から一週間、市場はお休み。

というのは不正確ですね。今週末は東京古典会の大入札会が開かれます。そのため、通常の交換会は、その準備から片付けまでの間、休会となります。

明治古典会の七夕大入札会と並んで、下見展観を行いますので、下見日の13日、14日には一般の方もご覧になれます。

ただし殆どは古典籍ですから、あまり「一般の方」向きではないかもしれません。それでも昨年は「篤姫」、今年は「直江兼続」に関連する史料など、トピカルな出品もあって、例年マスコミにも取り上げられています。

ご興味のある方は東京古典会HPをご覧下さい。

小店主は、興味がないことはないのですが、この一週間を、日ごろやり残している仕事を片付ける機会としてしまい、つい失礼することになるのです。

何にでも手を出すわけには行かないから、と不勉強の言い訳をしながら、雨の一日が雑用で暮れていきます。



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2009年11月10日

機種変更

携帯を替えました。思えば今の店に移って間もないころに購入したものですから、かなり年数が経っています。近頃、充電の間隔が多少短くなってきた気がしていました。

これまでも時おり、替えようかなと思うことはあったのですが、つい面倒で今まで来ました。

先日、車の定期点検をした際に、店で待つ間に勧められ、潮時かなと踏み切ったのです。機種にこだわりはありません、機能も電話さえできれば大丈夫、最低限の料金プランでと。

案外時間がかかって、昨日ようやく届きました。初めは珍しがって色々な機能をいじってみるのですが、結局は単なる携帯電話として、また寿命近くまで使うことになるのでしょう。

あったら便利、から、なくては困る、ほどになった携帯ですが、その依存も連絡機能としてくらいにとどめておくのが、店主などには性にあった付き合い方のようです。

ちなみになぜA社(もうお分かりでしょうが)なのかというと、それ以前使っていたD社では、店内で受信できないからです。ある時、店内で携帯を使っているお客様がいて、どちらをお使いか尋ね、それに替えました。

この近辺、不思議にD社の電波状態が悪いようなのです。

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2009年11月09日

カレンダー差し上げます

日の暮れるのが、ますます早くなってきました。

今年も「みすずカレンダー」のプレゼントを始めています。

原則として、店頭で3000円以上お買い上げの方に差し上げておりますが、ご常連の方には、お見かけした時に差し上げるようにしております。

「もうそんな季節ですか」というのが、決まって返ってくる言葉。年々切実に感じますね。

昨年から厚紙ケース入りになり、そのケースが柔で、立ててもすぐに倒れてしまうと、いささか不評でした。今年も同じ体裁ですが、紙を厚くし、強度を増したというのが版元の言です。

それを信じて、昨年よりは多めに注文しました。テーマは「パウラ・モーダーゾーン=ベッカーの世界」。まだ貰っていないよというご常連の方、あるいはお買い上げ額が3000円未満であっても、ご希望の方は、一声おかけ下さい。

ただし、例年通りこのサービスは在庫限り、早い者勝ち。品切れ時期の予測は付きません。その節は、なにとぞご容赦下さい。

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2009年11月08日

映画・演劇パンフレット

映画や芝居のパンフレット類がダンボールに3箱、送られてきました。古いものでも70年代、状態は並、といったところです。

特に詳しいわけでもない小店に、なぜ送ってきたかというと、その送り主が店主の古い知り合いであったから。つまり同世代。自腹で観たものでしょうから、時代も限られてきます。

映画パンフはひと頃、古本屋の新しい商材として、随分市場をにぎわせたこともありました。ちょっとした束で何万円、ということも珍しくありませんでした。もう20年も前のことですが。

しかし今では市場(しじょう)が成熟してしまい、よほどレアなものでなければ値がつきません。ブームに踊らされた人たちの熱は冷め、本当のコレクターだけが残っているというわけでしょう。

そんな次第で、せっかく送ってもらったこのパンフレットは、折を見て市場(いちば)に出そうかとは思いますが、以前の「宝塚」の二の舞になりそうな気がします。

ただ、芝居のパンフレットは、どこか倉庫の片隅にでも「塩漬け」しておこうと思います。映パンにくらべれば遥かに部数が少ないはずのものですから、いずれ捜し求める人がいるかもしれない、という甘い読みですが。

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2009年11月07日

お持込み・お持ち帰り

段ボール箱で5、6箱、乗用車に載せてお持込みのお客様がありました。

早速降ろして拝見しますと、ひと箱は40年ほど前のトラベルガイド『日本の旅』。別のひと箱に『梅原猛著作集』(不揃)。次の箱には20年ほど前の児童書。あとの2つの箱には古い洋書と、同じくらい古い和書が数冊。

洋書は英語、ドイツ語の社会科学関係、主に経済書。かなり古びていて手にとって開いてみると、扉に学校印と研究所印が押されています。日本書の方も改めて開くと、やはり印。いずれも戦前のものですが、学校も、その研究所も現存しています。

というわけで、もうひと箱にあった文庫本の中の、比較的状態の良いものを十数冊、児童書で汚れの少なかった2冊、印のなかった古い専門書1冊を引き取らせていただきました。残りは再び車に積んでお帰りになりました。

前もってお電話で、そういうお話でした。要らないものはもって帰りますと。

こちらからお伺いして、拝見した上で活かせるものだけ引き取らせていただくという提案もしました。ご両親のものらしい蔵書はまだ残っていて「また持ってきても良いか」とお尋ねになりますので、「こんな形でよろしければ」とお答えしました。

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2009年11月06日

朝から夜までの明古

朝、出掛けに散々迷った揚句、コーデュロイの上着にしました。結果として、この時間になって店に戻ることになり、正解の選択。といっても夜気の中を歩いたのは、ほんの僅かの距離ですが。

今日の明治古典会は、国文学を中心とした研究書の一口、幅物、短冊など自筆物コレクションの一口が目に付きました。

前者の口では、専門的な錚々たる全集、叢書類が驚くほど安い値で落札され、ため息を誘う一幕もありました。一方で、人気の売れ筋文庫などは、売っても利益が出ないのではと思われるほど高値に。厳しい世界です。

市会終了後、これで三度目となる、月に一度のお勉強会。今回は本当に、お勉強会というに相応しいような会になりました。明古の原点である近現代史を、古本屋の視点からおさらいして見ようというわけです。

しかし本来の正客である経営員諸君にとっては、一日働いてお疲れのところ、ちょっと酷なお勉強モード。約二時間、終わって聞こえてきた感想は「夜学の人はエライ」というものでした。

その後、いつもの仲間と軽く食事。そして今、帰り着いたというわけです。今夜は残務もそこそこに、もう帰ることにいたします。


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