2014年09月27日
宇沢さん
宇沢弘文さんの逝去を、昨日の夕刊で知りました。
お近くにお住まいで、小店が今の場所に移ってからでも、一度か二度、本を持って店に来てくださいました。
手に提げられる程度ですから、一時に10冊前後だったと記憶しています。献呈された本が多かったようです。線引きされている本もありましたが、もちろん買い取り価格については、ご一任いただきました。
そんなわけで、駒場に古本屋があるということは、確かに認識していただいていたようですが、店主を見覚えておられたとは思えません。
こちらからは、特徴のある長い白鬚を駅などでお見かけすれば、すぐにそれと気づきましたが、ついにご挨拶するようなことはありませんでした。
晩年は、あるいはひ孫さんででもあったでしょうか、小さなお子さんを連れて、赤いニット帽をかぶり散歩されていた姿が印象に残っております。
すぐれた学者さんだということは存じておりましたが、経済学というような分野には全く疎いため、その著書も岩波新書の『自動車の社会的費用』を、斜め読みした程度にすぎません。
それもずいぶん昔のことで、といっても出版された1974年よりはずっと後、誰かの文章に必読書として進められていたのが、読むきっかけだったはずです。
あらかたは忘れてしまいましたが、非常に理にかなっていて、なぜ世間にもっとこうした考え方が取り入れられないのかと、不思議に思った覚えがあります。
著名な方が来店されても、むやみに話しかけてはならないというのは常識ですが、本をお持ちいただいたときに、世間話のようなことでもお話出来たらよかったと、今になって少し悔やまれます。
ただ口数少なで、話しかけづらい雰囲気もありました。ご高名に気圧されていただけかもしれませんが。
また一つ、偉大な知能が失われました。
お近くにお住まいで、小店が今の場所に移ってからでも、一度か二度、本を持って店に来てくださいました。
手に提げられる程度ですから、一時に10冊前後だったと記憶しています。献呈された本が多かったようです。線引きされている本もありましたが、もちろん買い取り価格については、ご一任いただきました。
そんなわけで、駒場に古本屋があるということは、確かに認識していただいていたようですが、店主を見覚えておられたとは思えません。
こちらからは、特徴のある長い白鬚を駅などでお見かけすれば、すぐにそれと気づきましたが、ついにご挨拶するようなことはありませんでした。
晩年は、あるいはひ孫さんででもあったでしょうか、小さなお子さんを連れて、赤いニット帽をかぶり散歩されていた姿が印象に残っております。
すぐれた学者さんだということは存じておりましたが、経済学というような分野には全く疎いため、その著書も岩波新書の『自動車の社会的費用』を、斜め読みした程度にすぎません。
それもずいぶん昔のことで、といっても出版された1974年よりはずっと後、誰かの文章に必読書として進められていたのが、読むきっかけだったはずです。
あらかたは忘れてしまいましたが、非常に理にかなっていて、なぜ世間にもっとこうした考え方が取り入れられないのかと、不思議に思った覚えがあります。
著名な方が来店されても、むやみに話しかけてはならないというのは常識ですが、本をお持ちいただいたときに、世間話のようなことでもお話出来たらよかったと、今になって少し悔やまれます。
ただ口数少なで、話しかけづらい雰囲気もありました。ご高名に気圧されていただけかもしれませんが。
また一つ、偉大な知能が失われました。
2014年09月26日
持続可能性
「つぶさないで下さいよ」
今日、お客様からそんな声をかけられました。たまにお寄りいただいて、そのたびにおそらくは支援の気持ちを込めて、数冊の本をお買い上げいただいている方のようです。
口に出さずとも、同じようなお気持ちの方は、他にもいらっしゃることでしょう。不安な思いで小店を、というより古本屋という商売をご案じくださっていらっしゃる方々が。
ただ哀しいことのに、そういう方は殆どが店主と同世代か、それよりも上。せいぜいが一回りくらい下まで。
店主とともに顧客層も老いていくのは、個人商店の宿命かもしれません。しかしさらに若い世代に働きかけることをしないと、将来と言わず、明日の飯の食い上げです。
この8月9月、店の売り上げより、ネットの売り上げの方が多い日が何度もありました。と言っても、ネットが売れたのではなく、店が売れなかった結果です。
そして残念ながら小店の場合、現在のネット売上の状況では、とてもネット専業書店としてやっていくことはできません。
もちろんそれを望んでいるのではありません。ただできれば、家賃の心配をしなくてよい程度には、ネット売りを増やしたいものだと思うです。
するとそれがまた、店売りのさらなる不振を招く、いたちごっことなるのでしょうか。
しかしそこまで心配しても仕方ありません。それとは逆に、楽天的ともいえる希望を持つからこそ、「日本の古本屋」のリニューアルにも参加しているわけです。
ネットで経営基盤を安定させ、それぞれがユニークな店づくりに力を入れる。
考えてみれば、そもそも古書組合が「日本の古本屋」を立ち上げたのも、そうした活路を求めてのことだったのでした。
今日、お客様からそんな声をかけられました。たまにお寄りいただいて、そのたびにおそらくは支援の気持ちを込めて、数冊の本をお買い上げいただいている方のようです。
口に出さずとも、同じようなお気持ちの方は、他にもいらっしゃることでしょう。不安な思いで小店を、というより古本屋という商売をご案じくださっていらっしゃる方々が。
ただ哀しいことのに、そういう方は殆どが店主と同世代か、それよりも上。せいぜいが一回りくらい下まで。
店主とともに顧客層も老いていくのは、個人商店の宿命かもしれません。しかしさらに若い世代に働きかけることをしないと、将来と言わず、明日の飯の食い上げです。
この8月9月、店の売り上げより、ネットの売り上げの方が多い日が何度もありました。と言っても、ネットが売れたのではなく、店が売れなかった結果です。
そして残念ながら小店の場合、現在のネット売上の状況では、とてもネット専業書店としてやっていくことはできません。
もちろんそれを望んでいるのではありません。ただできれば、家賃の心配をしなくてよい程度には、ネット売りを増やしたいものだと思うです。
するとそれがまた、店売りのさらなる不振を招く、いたちごっことなるのでしょうか。
しかしそこまで心配しても仕方ありません。それとは逆に、楽天的ともいえる希望を持つからこそ、「日本の古本屋」のリニューアルにも参加しているわけです。
ネットで経営基盤を安定させ、それぞれがユニークな店づくりに力を入れる。
考えてみれば、そもそも古書組合が「日本の古本屋」を立ち上げたのも、そうした活路を求めてのことだったのでした。
2014年09月25日
一新会大市会
お昼を買いに出るついでに、古書会館に行きました。
というのは、まあ半ば冗談ではありますが、半ば本音のところもあります。
今日は一新会の大市会。最低入札価格は一口一万円から。良い本もたくさん出ている代わりに、懐具合と相談しなければ、迂闊に手を出せないものばかり。
そしてその懐具合は、8月、9月と例年以上の大干ばつを経て、もっか最悪の状態です。
それでも気になって出向いたのは、昨日の午後、ちょっとした打ち合わせがあって会館に出かけ、その昇り降りに階段を使って下見会場を覗いたからでした。
日本書はともかく、洋書の一口ものが何件かあったらしく、会談の壁に沿って大量に積み上げてありました。
さらに地下特選会場には、古い革装の洋書が、一角にひしめいてもいました。
昨日は時間の余裕がなく、それらをさっと眺めるだけで、本のタイトルさえ確かめられなかったのが、やはり心残りとなっていたのです。
もちろん、じっくり見たからと言って、入札しようと思うような本が、ましてや落札できそうな本があるとは思えなかったのですが、それこそ「女房を質に入れてでも」買いたい本が、万が一にもないとは言い切れません。
そんなわけで、昼食の買い出しにかこつけて、午前中に神保町まで往復したわけでした。
結局、洋書にはほとんど札を入れず終い。洋書日本書一緒の一口ものと思われる、その日本書のほうには何点か札を入れてきましたが、とても歯が立たなかったはずです。
ただいつもながら大市会に行って、多種多様な本を目にすると、自身の興味のありかが見えてくる、つまり自分がどんな本屋なのかを見つめなおすことになります。
短い時間でも、それだけは収穫でした。
というのは、まあ半ば冗談ではありますが、半ば本音のところもあります。
今日は一新会の大市会。最低入札価格は一口一万円から。良い本もたくさん出ている代わりに、懐具合と相談しなければ、迂闊に手を出せないものばかり。
そしてその懐具合は、8月、9月と例年以上の大干ばつを経て、もっか最悪の状態です。
それでも気になって出向いたのは、昨日の午後、ちょっとした打ち合わせがあって会館に出かけ、その昇り降りに階段を使って下見会場を覗いたからでした。
日本書はともかく、洋書の一口ものが何件かあったらしく、会談の壁に沿って大量に積み上げてありました。
さらに地下特選会場には、古い革装の洋書が、一角にひしめいてもいました。
昨日は時間の余裕がなく、それらをさっと眺めるだけで、本のタイトルさえ確かめられなかったのが、やはり心残りとなっていたのです。
もちろん、じっくり見たからと言って、入札しようと思うような本が、ましてや落札できそうな本があるとは思えなかったのですが、それこそ「女房を質に入れてでも」買いたい本が、万が一にもないとは言い切れません。
そんなわけで、昼食の買い出しにかこつけて、午前中に神保町まで往復したわけでした。
結局、洋書にはほとんど札を入れず終い。洋書日本書一緒の一口ものと思われる、その日本書のほうには何点か札を入れてきましたが、とても歯が立たなかったはずです。
ただいつもながら大市会に行って、多種多様な本を目にすると、自身の興味のありかが見えてくる、つまり自分がどんな本屋なのかを見つめなおすことになります。
短い時間でも、それだけは収穫でした。
2014年09月24日
カード使えますか?
前に書いたと思いますが、もうふた月ほど前から、小店では店頭購入に際しても、クレジットカードが使えるようになっております。
ひとつは無料端末が設置されて、その代り割高な手数料を支払う、某社のクレジットシステム。もう一つは、それに比べて手数料が安く、入金も早い楽天スマートペイ。その二手段で。
ただし、後者の場合は、店主のスマホと接続するようになっておりますから、店主が店に居る時でないと使えません。
どちらであろうと、お客様にとっては関係のないことです。手数料を支払うのは小店ですから。
それが当たり前だと思っておりましたら、昨日も書きました通り、世の中にはクレジット決済の場合、手数料を上乗せして頂戴する店があるのですね。
しかし今日はその話ではありません。せっかくクレジットシステムを導入したのにもかかわらず、今日までまだ一件も、その利用がないということを申し上げたかった。
そもそも、カードを使うような金額の本が売れない。ここに一番の問題があるのですが。
昨日、少年が100円の文庫を持って帳場まで来ると、「お財布忘れたんですが、カードは使えませんか?」と店番をしていた家人に訊きました。
家人は即座に「使えないんです」と答えました。一瞬「おや?」と思ったのですが、これは家人が正解。カードはカードでも、おそらくスイカとかパスモといった、ペイメントカードのことだったのでしょう。
結局少年は、本を置いたまま帰っていきました。
こんな次第ですから、楽天からはたびたびメールやら、ハガキが届きます。導入後、使用された形跡がないので、もしや使い方が分からないか、何か不具合でもあるのではないかという問い合わせです。
ご親切なことですが、ちょっと鬱陶しい。
ひとつは無料端末が設置されて、その代り割高な手数料を支払う、某社のクレジットシステム。もう一つは、それに比べて手数料が安く、入金も早い楽天スマートペイ。その二手段で。
ただし、後者の場合は、店主のスマホと接続するようになっておりますから、店主が店に居る時でないと使えません。
どちらであろうと、お客様にとっては関係のないことです。手数料を支払うのは小店ですから。
それが当たり前だと思っておりましたら、昨日も書きました通り、世の中にはクレジット決済の場合、手数料を上乗せして頂戴する店があるのですね。
しかし今日はその話ではありません。せっかくクレジットシステムを導入したのにもかかわらず、今日までまだ一件も、その利用がないということを申し上げたかった。
そもそも、カードを使うような金額の本が売れない。ここに一番の問題があるのですが。
昨日、少年が100円の文庫を持って帳場まで来ると、「お財布忘れたんですが、カードは使えませんか?」と店番をしていた家人に訊きました。
家人は即座に「使えないんです」と答えました。一瞬「おや?」と思ったのですが、これは家人が正解。カードはカードでも、おそらくスイカとかパスモといった、ペイメントカードのことだったのでしょう。
結局少年は、本を置いたまま帰っていきました。
こんな次第ですから、楽天からはたびたびメールやら、ハガキが届きます。導入後、使用された形跡がないので、もしや使い方が分からないか、何か不具合でもあるのではないかという問い合わせです。
ご親切なことですが、ちょっと鬱陶しい。
2014年09月23日
ガラパゴス
『日本の古本屋』では、昨年末からクレジット決済が標準システムとして、サイトに装備されています。
などと、いまさら誇らしげに申し上げるようなことではないのですが、現在ではどこのお店の本も、原則としてクレジットカードで購入できるようになっています。
それまでも、クレジット決済システムは装備されていたのですが、これを利用するかどうかは、各店の判断に任されておりました。
それを、全店受入必須としたのは、前期事業部長の決断です。サイトの長期的な戦略において、どこかでクレジット決済の標準化に、踏み切っておく必要があると考えたようです。
「やりたいようにやる」ことに存在意義を感じている自営業者の多い業界で、これをまとめるのは簡単ではありませんでした。
少数とはいえ根強い反対を説得しつつ、一定の妥協もしながら、どうにか実施にこじつけたことは、評価してよいと思います。店主の個人的な賛否は別として。
おかげで、利用者は本を購入するにあたり、クレジット決済を前提として検索することに問題がなくなりました。見つかった本が、クレジット購入可能かどうかを、いちいち確認する必要がなくなったのです。
業者側には、不満も残りました。一番多いのは決済手数料がやや高いことへの不満。つぎに入金期日が遅いことへの不満。しかし、いろいろあっても、決まったこととして受け入れて、その条件下で各自が対応方法を考えています。
ところが最近、その独自対応でトラブルが発生しました。某店では、従来から自店のクレジット決済においては手数料を決済金額に上乗せしており、それをあきらめる気にはならなかったようです。
お客様に自店クレジット利用と手数料の上乗せを要請したところ、お客様はそれを不服とされ、管理チームに連絡が入りました。
そこで管理チームから善処を求めたところ、某店は販売を拒否するという態度を表明し、従うべきルールそのものへの異議を唱え始めたのです。
さてこの結末やいかに。
などと、いまさら誇らしげに申し上げるようなことではないのですが、現在ではどこのお店の本も、原則としてクレジットカードで購入できるようになっています。
それまでも、クレジット決済システムは装備されていたのですが、これを利用するかどうかは、各店の判断に任されておりました。
それを、全店受入必須としたのは、前期事業部長の決断です。サイトの長期的な戦略において、どこかでクレジット決済の標準化に、踏み切っておく必要があると考えたようです。
「やりたいようにやる」ことに存在意義を感じている自営業者の多い業界で、これをまとめるのは簡単ではありませんでした。
少数とはいえ根強い反対を説得しつつ、一定の妥協もしながら、どうにか実施にこじつけたことは、評価してよいと思います。店主の個人的な賛否は別として。
おかげで、利用者は本を購入するにあたり、クレジット決済を前提として検索することに問題がなくなりました。見つかった本が、クレジット購入可能かどうかを、いちいち確認する必要がなくなったのです。
業者側には、不満も残りました。一番多いのは決済手数料がやや高いことへの不満。つぎに入金期日が遅いことへの不満。しかし、いろいろあっても、決まったこととして受け入れて、その条件下で各自が対応方法を考えています。
ところが最近、その独自対応でトラブルが発生しました。某店では、従来から自店のクレジット決済においては手数料を決済金額に上乗せしており、それをあきらめる気にはならなかったようです。
お客様に自店クレジット利用と手数料の上乗せを要請したところ、お客様はそれを不服とされ、管理チームに連絡が入りました。
そこで管理チームから善処を求めたところ、某店は販売を拒否するという態度を表明し、従うべきルールそのものへの異議を唱え始めたのです。
さてこの結末やいかに。
2014年09月22日
念願かなって
Monty Python を見逃したという、店主の嘆きを聞きつけて、洋書会の同僚であるUさんが、「実は録画しました」と、DVDにダビングしてご恵贈くださいました。
ストーンズフリークのUさんがこれを録画したのは、ミックが登場する番組宣伝を見たからのようです。実際、番組の始まりに数分間、パイソン流のナンセンス・スケッチを演じておりました。
然り。金曜日に古書会館まで持ってきていただいたDVDを、早速土曜日と日曜日、二夜をかけて見たのです。放送も、前篇、後篇、二日に分かれておりましたし。
鮮明な映像に、時の流れを感じました。店主の記憶のなかでは、今一つ映りの悪い画面を見ていた記憶が強いからです。
もっとも、その記憶がいかにあてにならないかは、Wikipedia などで情報を追っているうち、改めて明らかになりました。
そもそもは、パイソン世代代表としてNHK版に登場する4人の、その年齢に疑問を感じたのがきっかけです。調べてみると店主より6〜18歳若い。
そこで今度は、日本でモンティ・パイソンが放送されたのは何時であったかを調べると、1976年4月からだとあります。
番組の制作は1969年に始まったと言います。そんな知識は持っていなかったはずの店主ですが、漠然とその頃に、つまり学生時代にこれを見ていたような気がしておりました。
実際は、勤めを辞め、東京に来たばかりの、浪人時代のことになります。それでもテレビの映りは、今に比べてはるかに悪かったことは確かですが。
見終えて、やはり彼らのルーツは60年代なのだろうと思えてきました。記憶違いも、そのせいだったのではなかったかと。
それにしても持つべきものは仲間です。Uさんに感謝。
ストーンズフリークのUさんがこれを録画したのは、ミックが登場する番組宣伝を見たからのようです。実際、番組の始まりに数分間、パイソン流のナンセンス・スケッチを演じておりました。
然り。金曜日に古書会館まで持ってきていただいたDVDを、早速土曜日と日曜日、二夜をかけて見たのです。放送も、前篇、後篇、二日に分かれておりましたし。
鮮明な映像に、時の流れを感じました。店主の記憶のなかでは、今一つ映りの悪い画面を見ていた記憶が強いからです。
もっとも、その記憶がいかにあてにならないかは、Wikipedia などで情報を追っているうち、改めて明らかになりました。
そもそもは、パイソン世代代表としてNHK版に登場する4人の、その年齢に疑問を感じたのがきっかけです。調べてみると店主より6〜18歳若い。
そこで今度は、日本でモンティ・パイソンが放送されたのは何時であったかを調べると、1976年4月からだとあります。
番組の制作は1969年に始まったと言います。そんな知識は持っていなかったはずの店主ですが、漠然とその頃に、つまり学生時代にこれを見ていたような気がしておりました。
実際は、勤めを辞め、東京に来たばかりの、浪人時代のことになります。それでもテレビの映りは、今に比べてはるかに悪かったことは確かですが。
見終えて、やはり彼らのルーツは60年代なのだろうと思えてきました。記憶違いも、そのせいだったのではなかったかと。
それにしても持つべきものは仲間です。Uさんに感謝。
2014年09月21日
写真に惹かれる
その表紙に興味を惹かれました。
本としては、すでに役目が終わっているものでしょう。日本の経済社会を論じたもののようです。
もしやと調べてみたら、やはり翻訳が出ておりました。ダニエル・アベル『ニッポンの総合商社 : 外人がみた怪物企業』(サイマル出版会、1975年)。
例の『ジャパン・アズ・ナンバーワン』に先立つこと4年。黄金期を迎えようとする日本経済の主役としての、総合商社を分析したものらしい。今日となっては、すでに歴史的な研究対象といえるかもしれません。
しかし店主が興味を惹かれたのは、この本の内容ではなく、表紙の写真です。それも初めは、どこだろう?いつ頃だろう?という、もっぱら即物的な興味でした。
しばらく見ているうちに、ようやく浅草ではないだろうかと気付きました。つまり、それほど店主は浅草に疎いのです。おそらく、見る人が見れば直ちに、これが浅草六区だと分かったことでしょう。
では、いつ頃の写真でしょうか。この点は、懸垂幕や看板に見られる、映画のタイトルをネットで検索して調べました。
その結果、1957年より前でないことは分かりました。おそらくは、その一、二年後ではないでしょうか。
それにしても見れば見るほど、確かにあった過去の日々が、彷彿として甦るような写真です。その地を訪れたこともないのに、初夏らしい気候や、道路を歩く足裏の感触まで、感じられるよう。
頁をあちこち開いて探しても、写真のクレジットはなかなか見つかりませんでしたが、ようやく裏表紙の右下隅に、ごく小さな文字で Photo Marc Riboud - MAGNUM. とだけ表記してあるのを見つけました。
マグナムのマルク・リブーの作品。ただのスナップとは、やはり違うものですね。
本としては、すでに役目が終わっているものでしょう。日本の経済社会を論じたもののようです。
もしやと調べてみたら、やはり翻訳が出ておりました。ダニエル・アベル『ニッポンの総合商社 : 外人がみた怪物企業』(サイマル出版会、1975年)。
例の『ジャパン・アズ・ナンバーワン』に先立つこと4年。黄金期を迎えようとする日本経済の主役としての、総合商社を分析したものらしい。今日となっては、すでに歴史的な研究対象といえるかもしれません。
しかし店主が興味を惹かれたのは、この本の内容ではなく、表紙の写真です。それも初めは、どこだろう?いつ頃だろう?という、もっぱら即物的な興味でした。
しばらく見ているうちに、ようやく浅草ではないだろうかと気付きました。つまり、それほど店主は浅草に疎いのです。おそらく、見る人が見れば直ちに、これが浅草六区だと分かったことでしょう。
では、いつ頃の写真でしょうか。この点は、懸垂幕や看板に見られる、映画のタイトルをネットで検索して調べました。
その結果、1957年より前でないことは分かりました。おそらくは、その一、二年後ではないでしょうか。
それにしても見れば見るほど、確かにあった過去の日々が、彷彿として甦るような写真です。その地を訪れたこともないのに、初夏らしい気候や、道路を歩く足裏の感触まで、感じられるよう。
頁をあちこち開いて探しても、写真のクレジットはなかなか見つかりませんでしたが、ようやく裏表紙の右下隅に、ごく小さな文字で Photo Marc Riboud - MAGNUM. とだけ表記してあるのを見つけました。
マグナムのマルク・リブーの作品。ただのスナップとは、やはり違うものですね。
2014年09月20日
支部役員会
二年ぶりの、南部支部役員会。
役員会は毎月継続して開かれていますが、店主が出席するのは二年ぶり、ということです。五反田の南部地区会館で午前10時から、総勢20余名の支部役員、班長さん、それに当該支部所属の理事が集まって開かれました。
今日配られた支部役員名簿によると、支部の役職は、支部長以下、18に上ります。ただし兼務もありますから、18名いるということではありません。
一方の班長さんは、16班16名。ただし、こちらも支部役員と兼務の方もおられて、今数えてみたら、人数にすると28名が、支部行政に関わっておられることになります。
ちなみに南部支部員は現在119名であるとか。4人に1人が、何らかの役割を担っているわけです。
この他、市場を運営する事業部員が別にいますので、南部支部の場合、協同組合の理念である相互扶助という点においては、かなり優等生であると言えるのではないでしょうか。
その優等生にしては、本日班長さんに欠席が目立ちました。16名のうち、5名が欠席。やむを得ぬ事情もあるのでしょうが、ちょっと残念なことです。
月に一度、一時間程度(今日の場合約40分)のことであり、あらかじめ日時も決まっているのですから、出来るかぎり調整を付けて出席していただきたいと、役員さんならずとも、そう思います。
偉そうなことを言っておりますが、店主自身、初めて班長の役目を仰せつかったとき、最初の役員会をすっぽかして、当時の支部長から、お叱りの電話をいただいた記憶があります。もう30年近く前のことですが。
必ず出席しなければならないようなものだとは、全く認識していなかったのですね。
当時も現在も、組合員になりたての支部員は、まず班長候補として目を付けられます。少し商売が落ち着き始めたころを見計らって、お誘いがかかります。
鉄は熱いうちに打て。なかなかすぐれた慣習であると思います。
役員会は毎月継続して開かれていますが、店主が出席するのは二年ぶり、ということです。五反田の南部地区会館で午前10時から、総勢20余名の支部役員、班長さん、それに当該支部所属の理事が集まって開かれました。
今日配られた支部役員名簿によると、支部の役職は、支部長以下、18に上ります。ただし兼務もありますから、18名いるということではありません。
一方の班長さんは、16班16名。ただし、こちらも支部役員と兼務の方もおられて、今数えてみたら、人数にすると28名が、支部行政に関わっておられることになります。
ちなみに南部支部員は現在119名であるとか。4人に1人が、何らかの役割を担っているわけです。
この他、市場を運営する事業部員が別にいますので、南部支部の場合、協同組合の理念である相互扶助という点においては、かなり優等生であると言えるのではないでしょうか。
その優等生にしては、本日班長さんに欠席が目立ちました。16名のうち、5名が欠席。やむを得ぬ事情もあるのでしょうが、ちょっと残念なことです。
月に一度、一時間程度(今日の場合約40分)のことであり、あらかじめ日時も決まっているのですから、出来るかぎり調整を付けて出席していただきたいと、役員さんならずとも、そう思います。
偉そうなことを言っておりますが、店主自身、初めて班長の役目を仰せつかったとき、最初の役員会をすっぽかして、当時の支部長から、お叱りの電話をいただいた記憶があります。もう30年近く前のことですが。
必ず出席しなければならないようなものだとは、全く認識していなかったのですね。
当時も現在も、組合員になりたての支部員は、まず班長候補として目を付けられます。少し商売が落ち着き始めたころを見計らって、お誘いがかかります。
鉄は熱いうちに打て。なかなかすぐれた慣習であると思います。
2014年09月19日
明古特特選市
今期の明治古典会では、会長のたっての希望で、月に一度は、みんなで会食をしよう、ということになっております。
みんなというのは、会員全て、および経営員ということですが、実際には店主たちより上の世代は、ほぼ実動作業にはかかわりませんので、それより下の世代に限られます。
かつての明古なら、こうした食事会への予算付けに苦労することもありませんでしたが、昨今の売上高では、かなりのやりくりが必要です。それでさえ願いどおり、毎月開催できるかどうか、定かではありません。
というわけで、8月に続く第二回の今夜は、価格の低さと量の多さで昔から定評のある『中華茶房 徳萬殿』。
来週が一新会大市会で休会となるため、今日が9月最後の明古でした。毎月恒例特選市、併せてフリ市を行う日です。
たださえ忙しいのに、今月は写真版目録も発行して、いつもの特選市以上に力を入れた市でした。その意気込みが功を奏して、出品点数は最近にない多さ。
それゆえ入札品の開札がすべて終わったのは午後5時過ぎ。そのあとフリを開始して、これが終了したのは午後6時半を回っていたでしょうか。
会場の『徳萬殿』に先発隊が着いた時点で、午後7時を回っておりました。幹事、経営員が会場の後片付けなどを済ませ、出席者がほぼ揃ったのは午後7時半。
そんな具合で、店主が店に戻ったのは午後10時。長い一日になりました。
しかし市の方は、努力の甲斐あって、最近にない出来高。フリもコクトーの自筆識語入り詩集から、二葉亭四迷の草稿まで、なかなかの活況を呈していたと思います。
今が旬(すでに終わったという人もいますが)の「村岡花子草稿」が出品されたときなどは、会場全体が興味津々、落札の行方を見守っておりました。
みんなというのは、会員全て、および経営員ということですが、実際には店主たちより上の世代は、ほぼ実動作業にはかかわりませんので、それより下の世代に限られます。
かつての明古なら、こうした食事会への予算付けに苦労することもありませんでしたが、昨今の売上高では、かなりのやりくりが必要です。それでさえ願いどおり、毎月開催できるかどうか、定かではありません。
というわけで、8月に続く第二回の今夜は、価格の低さと量の多さで昔から定評のある『中華茶房 徳萬殿』。
来週が一新会大市会で休会となるため、今日が9月最後の明古でした。毎月恒例特選市、併せてフリ市を行う日です。
たださえ忙しいのに、今月は写真版目録も発行して、いつもの特選市以上に力を入れた市でした。その意気込みが功を奏して、出品点数は最近にない多さ。
それゆえ入札品の開札がすべて終わったのは午後5時過ぎ。そのあとフリを開始して、これが終了したのは午後6時半を回っていたでしょうか。
会場の『徳萬殿』に先発隊が着いた時点で、午後7時を回っておりました。幹事、経営員が会場の後片付けなどを済ませ、出席者がほぼ揃ったのは午後7時半。
そんな具合で、店主が店に戻ったのは午後10時。長い一日になりました。
しかし市の方は、努力の甲斐あって、最近にない出来高。フリもコクトーの自筆識語入り詩集から、二葉亭四迷の草稿まで、なかなかの活況を呈していたと思います。
今が旬(すでに終わったという人もいますが)の「村岡花子草稿」が出品されたときなどは、会場全体が興味津々、落札の行方を見守っておりました。
2014年09月18日
TKI会議
二転三転して、結局略称は元のままTKIでいいじゃないか、ということに落ち着いた『日本の古本屋』事業部の定例会議。
午前10時からはリニューアル打ち合わせで、システム会社の方たちと、いよいよ間近に迫ったリリースまでのスケジュールを話し合いました。
それまでに、どこまで作り込むかを詰めなければなりませんが、では現状の作業がどの程度まで進んでいるのかという、一番肝心な点について、まだはっきりと提示されていません。
その第一段階のステップ、つまりβ版を、関係者に開放する日が9月23日となっていたのですが、これが一週間ずれ込んで9月30日になる。ということがまず決まりました。
それからひと月で新システムをリリースしようというのですが、果たして可能でしょうか。事業部員の多くは不安を抱いております。もちろん、これからの頑張りにかかっているわけですが。
午後からは、広告会社の方たちと、現在試行的に行っているネット広告の現状と、今後の展開について話し合い、その後、現行システムを管理していただいているシステム会社の方と、定例の打ち合わせ。
それが終わって、最後にいわゆる定例会議。『日本の古本屋』運営に関する様々な事案を話し合いました。
最大のテーマは、新システムへの移行に伴って必要となる諸々の作業を整理して、順に片づけていくことにあるのは言うまでもありません。
しかし今回は、それとは別に一件、些細なと言えば言えるのですが、頭を悩ませるのに十分な事案がありました。
クレジット決済に際し、『日本の古本屋』のシステムを使わず、お客様に対し、自身が従来から契約している会社のクレジットでの決済を求めたのです。
それだけならまだしも、その際、それが自店の方針であるとして、5%の手数料を上乗せして請求したというのです。
問題は、これが確信的で、事業部からの要請に対しても、やり方を変えようとしないという点。粛々と対処するしかないという結論になりました。
午前10時からはリニューアル打ち合わせで、システム会社の方たちと、いよいよ間近に迫ったリリースまでのスケジュールを話し合いました。
それまでに、どこまで作り込むかを詰めなければなりませんが、では現状の作業がどの程度まで進んでいるのかという、一番肝心な点について、まだはっきりと提示されていません。
その第一段階のステップ、つまりβ版を、関係者に開放する日が9月23日となっていたのですが、これが一週間ずれ込んで9月30日になる。ということがまず決まりました。
それからひと月で新システムをリリースしようというのですが、果たして可能でしょうか。事業部員の多くは不安を抱いております。もちろん、これからの頑張りにかかっているわけですが。
午後からは、広告会社の方たちと、現在試行的に行っているネット広告の現状と、今後の展開について話し合い、その後、現行システムを管理していただいているシステム会社の方と、定例の打ち合わせ。
それが終わって、最後にいわゆる定例会議。『日本の古本屋』運営に関する様々な事案を話し合いました。
最大のテーマは、新システムへの移行に伴って必要となる諸々の作業を整理して、順に片づけていくことにあるのは言うまでもありません。
しかし今回は、それとは別に一件、些細なと言えば言えるのですが、頭を悩ませるのに十分な事案がありました。
クレジット決済に際し、『日本の古本屋』のシステムを使わず、お客様に対し、自身が従来から契約している会社のクレジットでの決済を求めたのです。
それだけならまだしも、その際、それが自店の方針であるとして、5%の手数料を上乗せして請求したというのです。
問題は、これが確信的で、事業部からの要請に対しても、やり方を変えようとしないという点。粛々と対処するしかないという結論になりました。