2017年06月22日

他人になる

6月というのは組合にとっては年度末。他の組織では幹事、役員の交代などもある区切りの月です。

しかしTKIの役員は2年任期で今年は非改選の年。それでなくとも役名だけ変わったところで、果たす役割が大きく変わるわけではありません。

というわけで、今日も淡々と6月の「日本の古本屋」事業部定例会議が行われました。

2020年を目指す次期リニューアルチームは別日程で動いていますから、定例会議は現システムの保守や運用がもっぱらの議題。それに少しばかりの改修と。

今日の議題で最初に取り上げられたのは、不思議なお客様の件。住所もメールアドレスも同じなのに、いつの間にかお名前が変わっていたとか。

入金が遅れていて連絡もつかないと、ある古書店から事務局に問い合わせが入り、調査の結果、その事実が判明しました。改姓改名の理由は不明です。

RIMG1986この古書店さんは、先に本をお送りしたようです。だからこそ連絡が取れないことに困られたわけでしょう。調べてみると、そのお客様は新しいお名前でも、何件かご注文されているようです。

今の時点では、そこまでしか分かりません。それらのご注文に対して、お支払いがあったかどうかも不明。そもそも先送りする本屋さんの方が、現在では少ないはずですから、被害(とまだ決まったわけではないのですが)に至らない場合が多いでしょう。

いずれ詳しい状況が明らかになると思いますが、世の中にはいろいろな方がおられるものだと、改めて関心するやら呆れるやら。

ともあれ、システムで防げる話ではないので今一度注意喚起を、という結論になりました。

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2017年06月21日

『散歩の達人』

sanpo小店の紹介記事も載っている、井の頭線沿線の特集号が発行されました。

最初にお電話をいただいたのは5月12日のことだと、業務日誌(のようなもの)に記録が残っております。

沿線の古本屋を4軒取り上げる、その中の1軒として、取材させてほしいということでした。

小店、先日のPOPEYEもそうですが、雑誌の取材は基本的にお受けしております。その旨お答えすると、17日にご来店になりました。

ライターさんとカメラマンさんのお二人。いろいろご質問いただき、30分ほどはお話した気がします。そのあと店内の写真を何枚か。

6月初めに校正用の原稿がメールで届きました。紹介文は全部で200字程度。もう少し書いていただけるのかと勝手に思い込んでおりましたので、ちょっと拍子抜け。

余計なことをお話しし過ぎて、ライターさんを困らせたのではなかったかと、申し訳なく感じたほどです。

そのなかで『散達』には、以前にも載せていただいたことがある、というお話もしました。するとライターさん「その本を見たのがこの仕事を始めるきっかけでした」。

『東京古本とコーヒー巡り(散歩の達人ブックス 大人の自由時間) 』2003年2月発行のこのムックに載っている小店は、現在の店舗ではありません。せっかく紹介していただいたのに、それからほどなく移転することになったのです。

さて今回は、いつまでこのままで居られるでしょうか。

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2017年06月20日

恒例飲み会

今日の洋書会、出品量としてはそれほど少なくはなかったのですが、店主が入札しようという気になったのはただ一つ。プレイヤード叢書4本口、35冊。

それほどに気合を入れたのですが、結果としては落札者の下札にも届かない惨敗。今後の仕入れ価格を考え直す必要がありそうです。

さて本日は、洋書会恒例となっている期末食事会。かつては一泊旅行などにも出かけたものですが、今は昔の物語となりました。

今回会場に選ばれたのは、たまには気分を変えようという発案から、自由が丘にある中華料理店「謝逢紅(シャーク)」。

そこで店主はいったん店に戻り、さらに車で家に戻って、そこからバスで出かけることにしました。

我が家からはバスで一本。集合の午後6時には余裕で間に合い、目的の店までゆっくり歩いて街並みを眺めたのですが、何年振り、もしかしたら何十年ぶりだったかもしれません。

全員が揃ったのは6時を少し回りました。お店は椅子の数ではまだ少し余裕があったのですが、ほぼ貸し切り状態。

料理については、店名からしてあまり期待はしていなかったのですが、思いのほかまっとうなものでした。

存分に楽しんで解散となったのですが、大先輩の会友に「もう一軒」と声をかけられ、河岸を変えて数名でなおしばらく飲み語り、思いのほか遅くなったという次第です。久々に飲まされて、昔懐かしい一夜となりました。

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2017年06月19日

文庫高価買入

学生さんと言っても通る年恰好。しかし学生さんらしくは見えません。リュックを提げて帳場の前に立ち「本を売りたいのですが」。

「どうぞ、拝見しますよ」と申し上げると、そのリュックの中から白いビニール袋を取り出しました。そして袋から出したのは、カバー付の岩波文庫9冊。

ちょっとお見それしたかなと受け取って、本をあらためました。白帯1冊、緑帯1冊、青帯3冊、赤帯4冊、どれも並み以上の状態です。

「全部で800円ですね」そうお伝えすると「えっ!」というお返事。

思わず「安かったですか?」と伺うと「いえ、そんなになるとは思わなかったので」。「高過ぎますか?」「いやいや、それでお願いします」そう言いながら本の冊数を数えておられます。

「やはり学校の近くなので、難しい本が売れるんですか」どうやら学生さんではなさそうです。ご自身の読まれた本でもなさそう。

RIMG1978買取帳にご記入いただいて、念のため身分証も拝見いたしました。ちなみに職業欄には「フリーランス」とお書きになっています。

しかし、それ以上立ち入った質問はいたしませんでした。これが桁の違う話なら、幾らか慎重に、手に入れられた経緯などを、それとなく伺ったかもしれませんが。

ともあれ小店、文庫高価買入れ中です。

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2017年06月18日

極私的記憶

『ぶらタモリ』で二週続けて名古屋が取り上げられ、特に二週目の昨日は「熱田」編。夕食時の放送は録画しておいて、末娘が帰るのを待って夜10時過ぎ、家族そろって画面に見入りました。

店主にとっては生まれ育った土地。子たちにしても毎年、盆や正月の帰省につき合わされ、今でも年に一度は訪ねている馴染みのある場所です。

どこをどう映されるのだろうかと楽しみに見ておりましたが、熱田神宮界隈、その南門から旧東海道へ出て「宮の渡し」跡へ至るあたり、どれひとつとして思い出のない道はありません。もちろんその光景は、すっかり様変わりしていますが。

そのうち案内者が、古い地形を説明するのに「このあたりは昔、浜だったんです」。何気なく発せられたその言葉に、思わず懐かしさがこみあげてきました。

というのも子供時分、生家の前の細い路地の一方をカミ、もう一方をハマと呼んでいたからです。

カミは神宮の方角。ハマは路地が開けてすぐ前に堀川。その堀川の先は、そう遠くない昔まで海であったと、祖母から聞かされて育ちました。

「秋葉神社」も櫛の目状の路地に一社ずつあって、「あきわさん」と呼びならわし、冬には「どんど焼き」で芋を焼いたものでした。

KIMG0043そんな幼少時の思い出に浸りながら、しかし一緒に視ている家族たちとは、それらの記憶を共有していないのだという当たり前の事実に、今さらのように気づかされてもいたのでした。

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2017年06月17日

『新聞の中の文学』

novelistsお昼過ぎに、駒場キャンパスの東京大学駒場博物館へ行ってまいりました。

現在の特別展の会期は6月25日まで。いつでも行けると、のんびり構えていたら、もう一週間ほどしか残されていません。お天気も良し、意を決して出かけたのでした。

正門あたりは割合人の出入りもあって、タテカンの前でチケットやチラシを持って呼び込みをしている学生さんもいるなど、思いのほか賑やか。

しかし博物館建物の前に来ると、例によって森閑としています。いつもながら小店の閑散ぶりと良い勝負。館内を30分ほど巡る間、他に見かけたのは1人、2人でした。

そんな貸し切り状態にもかかわらず、今回の展示はビジュアル要素も多く、見るだけで充分楽しむことができます。もう少し早くに来て、同業におすすめすれば良かった。

書籍の展示は少ないのですが、絵入新聞が見もの。興味を抱きそうな業者さんが何人か思い浮かびます。あるいは、すでにご覧になったでしょうか。

デュラックの挿絵が一面を飾る新聞や、ヴァルガスの初期の上品な絵柄。「ドリトル先生」の挿絵も、新聞に掲載された大きさで見ると素朴な味わいが増します。

商売柄どうしても気になったのは、全ての展示品に付けられていた「個人所蔵」のプレート。どこのどなたが、大きさの点でも紙質の点でも保存が難しい新聞を、これほど良い状態で保存しておられるのか。もしかすると著名なコレクターなのでしょうか。

今回も解説はパネルのみ。資料がないのが残念でした。

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2017年06月16日

ふづきさん

同業を悼む話が続きます。お赦しください。

今日、古書会館6階の事務フロアにある掲示板に、2枚の訃報が貼り出されているのが眼に入りました。

一枚は一昨日お伝えしたカンパネラ書房・須賀さん。もう一枚が「ふづき書店 鈴木啓之様 享年74」。ちょっと息が止まるような驚きでした。6月3日に逝去されたとか。

奥沢でキリスト教関係の本を扱うお店を開いてこられ、ご本人は無教会のキリスト者。

夏になるとタオルを首に巻いて麦わら帽をかぶり、足元は鼻緒式のサンダル。冬場ならこれに黒足袋、頭のほうは毛糸で編んだ帽子。そんな出で立ちが目に浮かびます。

ほぼ南部会館だけしか利用されない方でしたので、月に一度の入札市でお目にかからなければ、二月三月お会いしないこともザラ。永別はまったく予期していませんでした。

25年前のある夕方、別の本屋さんと二人して突然ご来店になり、閉店を待って近くの居酒屋へ拉致。店主に組合理事を引き受けるよう説得されたのが、昨日のことのように思い出されます。

その数年後には、南部支部の役員を2年間、共に努めさせていただくことにもなりました。現在の南部地区会館が建設された頃のことです。

KIMG0044それ以後、もっぱら本部会館を利用する店主と、南部中心のふづきさんとの、接触の機会は減りましたが、たまに会えば、ご贔屓のタイガースをネタに冗談を交わしたものです。

近年、体調を崩されておられたようでした。それにしても淋しいことです。

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2017年06月15日

遠来のお客様

「こんにちは」と言って店に入ってこられる方は、決して少なくありません。

RIMG1988しかしそのご婦人は、そうおっしゃったまま入口に立ち止まって、しばらく店主を見つめておられます。何か言いたげで、ただどう切り出したものかと逡巡されているご様子。

やがて思い切ったように「シアトルから来ました!」。

なるほどためらいも当然です。お互いのブログを通じて、幾度かエールを交換したこともあるのですが、もちろんこれが初対面。「シアトルの古本屋」さんでした。

横浜の知人宅に滞在されており、今日は民芸館をお目当てに来られたのだとか。たとえその足ででも、よくぞお寄りくださいました。

折よく家人が居合わせましたので、奥に入っていただき、家人相手にお話をしていっていただきました。

実際のところ、家人の方が良いブログ読者で、最近の動静などについても情報を得ております。なにより女性同士。より気楽に話せると思って、お相手を任せたのでした。

案の定、話が弾んだようで、時折笑い声が帳場まで聞こえてきました。

「駅から近いですね」と驚かれていましたが、本当は静かなことにも驚かれたのではなかったでしょうか。何しろシアトルさんが来られてから、お帰りになるまでの数十分、ほかに誰一人ご来店がありませんでしたし。

お帰り際「いつまで続けられることか」と家人が申しますと「やれる限り頑張ってください」と、励ましの言葉をいただいたのでした。

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2017年06月14日

須賀さんを偲ぶ

片づけ物をしていて、9年も前の「古書月報」がひょっこり出てきました。いかに日頃の整理が悪いかが分かろうというものです。

毎号、目を通してきたつもりではありますが、久しぶりに手に取ると、まるで初めて見るよう。その表紙に「特集・東部支部座談会」とあります。その頁を開いたとき、胸をつかれました。

冒頭に、今はない東部古書会館の写真と共に、司会者であるカンパネラ書房・須賀優さんの穏やかな笑顔が載っていたからです。

須賀さんは今年4月に亡くなられました。66歳だったそうです。その報せが今月初めになって、組合から同報メールで送られてきました。

実はその少し前、ある同業からその事実を知らされてはいたのですが、ひっそりと静かに去られたのが、いかにも彼らしい気がします。

この座談会の中でも語っておられますが、彼は南海堂書店の出身でした。店主が使ってくれる古書店を探し歩いている頃、すでに店員として働いておられました。

それでいて独立されたのは店主より3年後。おっとりとした性格は、南海堂出身者の集まりなどで同席した際に、お話しをしていても感じられたものです。

この時分は東部支部長をされていて、それで座談会の司会を任されたのでしょう。そのまとめとして、こんな言葉が残されていました。

RIMG1987うちも本当に厳しいのですが、古本屋で死にたいなあと。(略)十年後も古本屋をやっていられたらいいなあと思っています。

合掌

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2017年06月13日

「僕の好きな本屋」

雑誌の「本屋さん特集」で店を撮影させてもらえるか、というお問合せをいただきました。

シティーボーイのためのファッション/ライフスタイル情報誌というのがうたい文句の、良く知られた雑誌です。

一瞬怪訝に思いましたが「著名人の方にご自身の好きな本屋さんを語っていただく企画」で、ある女性モデルさんが小店の名を挙げられたそうです。

ご近所にお住まいだったことがあるというそのモデルさんが小店を訪れ、その様子を撮影したいとのお話です。

お客様からご指名いただいたとあれば、お断りするわけには参りません。お受けする旨伝えたところ、モデルさんの都合で今日の午後が撮影日となりました。

火曜日ですから洋書会。店主が出かけることは、前もってお断りしてありましたが、予定どおりカメラマン、編集者、そしてモデルさんご一行がご来店になり、撮影は無事終えられたようです。

RIMG1974市場から戻り、家人にその様子を聞いたところ、みなさん店内の本よりも、表のジャンクおもちゃに興味深々だったとか。とりわけカメラマンの方はウルトラマンにご執心だったらしい。

果たして本屋らしく撮っていただいているでしょうか。その点が、いささか心配なところではあります。

しかし良かった点が一つ。少しでも見苦しいところを減らそうと、家人が昨日から頑張って、帳場周りを片付けてくれたのです。その分、気合抜けもしたようですが。

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