2017年01月27日

英訳『墓碑銘』

これもまたロッカー整理で出てきた本。とまでいえない小さな冊子。

niimi本紙16葉に表紙をくるんだだけ、頁付けはありませんが、印刷面はブランクを含めて20頁。新書を少し縦に伸ばしたサイズ。こんな片々たる冊子をなぜとっておいたのか不明ですが、あらためて見て、やはり捨てられない気がいたしました。

タイトルに示す通り、新美南吉詩集『墓碑銘』から6編の詩を選び、それを美智子皇太子妃(刊記は1977年)が訳されたものです。

何かの折に配られたものと思われますが、いつ、どんな場所で、どんな人に、と言うことはまったく分かりません。

出版者が Musashino Art College とあるのですが、これがまた謎。武蔵野美術大学(Musashino Art University)と関係があるのかないのか。

Set and bound by The Neptune Press とある、この印刷製本所もネット検索では情報が見つかりません。

そんな謎だらけの冊子ながら、6編の詩とその英訳はゆったり見開きに組まれていて、読んでいくとおだやかな気分になります。

シミ斑が残念ですが、これは早くからあったもののようです。場所を取るわけでもないし、取っておこうか。そんな気持ちで、市場で買った山の中から抜き出して、そのままロッカーにしまいこんであったのでしょう。

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2017年01月26日

猫に小判

昨日に続いて鶉屋さんのはなし。

鶉屋書店の、今に語り継がれる店仕舞いの大売り立てがあったのは、店主が独立する前だとばかり記憶していましたが、『仕事と人』を読み直してみて、それが昭和60年であったと知りました。開業して2年後のことです。

RIMG1622その当時、店主がもっぱら利用していた本部交換会は月曜日の中央市会。洋書会には、ようやく顔を出すようになったくらいでしょうか。

水曜日の資料会や、木曜日の一新会も、たまにこわごわ覗く程度でした。そんな中、金曜日の明治古典会は東京古典会と並んで、とりわけ敷居が高く感じられたものです。

店主が5年間修業した五十嵐さんは国文学系の学術書が専門。コレクターを相手にするような商品とは縁が薄い商売な上、店主自身も元来そうしたものに興味がなかったため、その方面の知識を得る機会はありませんでした。今だにそうですが。

そんなわけで飯田さんの売立市について、当時その噂さえ、耳にした覚えがありません。縁のない世界の出来事でした。

この『仕事と人』には、「飯田コレクション売立目録」と題して、昭和60年秋の売立市に出品された本のリストと、その落札価格、落札者が記されており、とても貴重な記録になっています。

当然限られた人にしか配られていません。しかしこの追悼本が発行された平成2年、すでに明治古典会の経営員となっていた店主は、この時にも間違いなく1冊いただいているはず。どこにしまい込んだか、まさに猫に小判でした。

目録にリストされているのは522点。1千万円を超えるものが1点、5百万円以上が2点、百万円以上は6点ほど数えられ、売立総額は1億円を超えただろうといわれます。

近代文学関係を扱う書店の売り立てとしては、質量ともに空前にして絶後。仮にその市会をこの目で見ていたら、その後の本屋人生が少しは違うものになっていたでしょうか。

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2017年01月25日

良き時代

昨日はお伝えしたような出品量でしたので、洋書会では一点も落札できませんでした。もっとも、入札したのも一点だけで、さして気のない札。当然の結果ではあります。

さて困ったのは、本を送る梱包用の段ボール資材を補充しなければならないことです。いつも組合で購入しているのですが、持ち帰るのには嵩張りすぎますので、ルート便に一緒に載せて運んでもらうようにしています。

そのルート便に積み込む本がないとなると、梱包資材だけになってしまいます。頼めば運んでくれるかもしれませんが、運送賃を考えると、かなり高いものにつくわけです。

そこでロッカーを整理して、店に持ち帰るものを150冊ばかり選り出し、それと一緒に積んでもらうことにしました。いつの間にか雑多なものが溜まっており、いずれは片付けなければならないのですから、よい機会でもありました。

そうして梱包資材と共に積み込んだ本が、今日の午後に到着。早速、整理を始めたところ、一冊の本に手を留めさせられました。

uzurayaそれがこの『鶉屋書店飯田淳次氏の仕事と人』です。なぜこれがロッカーに入っていたのか、思い出すまでにしばらく時間がかかりました。

10年ほど前、明古で勉強会のようなものを何回か開いたことがあり、その中のある回で配られた一冊です。

「古き良き時代」といってしまえばそれまでですが、飯田さんのような方も、もとより反町さんのような方も、この先、現れることはなさそうだと、その勉強会の時にも思ったものでした。

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2017年01月24日

交換会風景

東京組合広報部が「東京の古本屋」HPのリニューアルを考えておられるとかで、その一環として、交換会風景を見せることを企画されたようです。

それも素人のスナップ写真ではなく、プロの写真家に撮っていただくということになり、東京洋書会もその撮影対象の一つに入れていただきました。

その撮影日が今日。

ところが先週とは打って変わって、出品が少ない。陳列用の平台に本日の出品物を並べて見ると、せいぜい3割程度の埋まり具合です。

当番長としては大変焦りましたが、こればかりは、いかんともしようがありません。店主自身のロッカーも先々週に一度整理したところですので、賑やかしの出品も無理。やむなくそのまま成り行きに任せました。

やがて広報部担当理事さんと写真家さんが顔を出され、さすがにちょっとひるんだ様子。

確かに2週間前から伺ってはおりましたが、出品をその日に合わせて集めるのは難しい。とはいえプロにお願いする以上、先方のスケジュールに合わせざるを得ませんから、まあ出たとこ勝負でした。

RIMG1621結果として、いささか淋しい市場の光景となりましたが、あとはプロの腕前を信頼するしかありません。どのような写真が出来上がるにせよ、それもまた洋書会の真実なのですから。

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2017年01月23日

翻訳ソフト

ネットに出品しているある昆虫図鑑に対し、こんなメールをいただきました。

この本は実物の写真を何枚送ってくれますか。

発信者のお名前からすると、外国の方のようです。本の形態や内容がが分かるような写真が、何枚か欲しいということだと理解し、メールに添付して返信いたしました。するとこんなお返事。

kuwagata3本はとても良くて、しかし私達はちょうど春節が休みになって、等の春節後に私は更にあなたに連絡して、ありがとうございます。

これで分かったのは、発信者がどうやら中国の方だということ。しかしその意味するところは判然としません。いずれご注文いただけるかもしれませんが、アテにしないで待つことにいたします。

おそらく翻訳ソフトをお使いになったのだと思いますが、最近店主も、これとちょうど逆の経験をいたしました。

フランスのAmazonで、お客様から頼まれたフランス書を注文したところ、先方の書店からフランス語(当たり前ですが)で問い合わせが来ました。

言っていることは何となく分かりますが、返事をフランス語で書くのは手に余ります。それで英語でメッセージを書いたのですが、ふと思いついて、翻訳ソフトでフランス語に変換して送りました。

その後メールが来ないのは、無事に通じたのか、あるいはこれは無理だと意思疎通をあきらめたのか。商品だけは発送された模様です。

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2017年01月22日

真剣に悩む

3時のお茶を済ませ、家人と交替しようとすると「こちら、ご検討中ですから」と帳場の上に置かれたNゲージのケース(2500円)を指して、裏へ引っ込んでいきました。

高校生が二人、すぐ前に立っていて、時おり小声で何やら言い交していますが、それよりずっと沈黙の時間が長い。

別のお客様がお勘定に来られ、二人は店の隅の方に移動し、そこでまたボソボソとやっています。買うか買うまいか、悩んでいるのは一人で、もう一人はお付き合いらしいのですが、一緒に真剣に悩んでいます。

やがて家人もお茶を済ませて表に出てきたころ、ついに「また来ます」と言って帰って行きました。

ところが、それから幾らもたたないうちに再び二人で戻ってくると、意を決したように「やっぱり買います」。

まあ高校生にとって、2500円は決心が必要な金額なのだろうと目を合わせると、「じつは女性の方が中の1台でも売っていただけると…」。家人を呼んで交渉を任せました。

RIMG1617あとから聞くと、ケースの中には6台の車両が入っていて、1台だけが違う種類。その1台が欲しいと言うので500円ならと答えたところ、それから悩み始めたというのです。

割高に感じたのでしょうか。しかし他の1台売りは500円です。あるいはそれなら、いっそ全部買った方が得だと思ったのでしょうか。

この買い物に少なくとも30分以上は費やしたはずですが、その当人より、付き合った友達の姿に、なにか懐かしいものを感じたのでした。

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2017年01月21日

戦間期出版事情

「この本はおいくらですか」と差し出されたのは、値をつけないまま、机の脇の棚に挿してあった一冊。

Paul Morand, Papiers d'identite. Bernard Grasset, 1931 というのがその本。CiNii には39版という登録もありますから、良く売れた本だったのでしょう。Bookfinder で調べると、500円くらいから何冊も見つかります。

しかしこれはその初版、しかもハードカバー。Acceptable でも2000円台が最安値――と言うことが分かったのは、お客様がお帰りになった後のこと。ご常連のお得意様でもありますし、直感的に500円という価格を申し上げ、お買い上げいただいたのでした。

安く売りすぎたとか、そういうことを申し上げようというのではありません。価格は適正であったと今でも思っております。本の状態はAcceptable もいいところ。ヤケが強く、背の角も割れていて、読むのに支障はないと言う程度でしたから。

その本文用紙は安手のペーパーバックのような紙質で、束がある割に手に持ったとき軽く、まるでゾッキ本のような安っぽい造りに見えました。

RIMG1610それが何とも不可解でしたので、「この頃は大戦後で、ものがなかったのでしょうかね」などと思わず口走ったのですが、言ったすぐあとでその不正確さに気づきました。

31年ともなれば戦後というより、のちに言うところの戦間期。仮にも戦勝国のフランスが、ドイツほど物資不足に悩んでいたかどうか。いつか調べてみたいものです。

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2017年01月20日

ゆうメールのこと

日本郵便には、日ごろ大変お世話になっています。「ゆうメール」「ゆうパック」の発送に関しては、毎日店まで集荷に来ていただき、とても助かっております。

とりわけ「ゆうメール」は、一般に配達記録も保証もつけないまま出しておりますが、ほとんど事故がありません。その安価なことと相まって、大変重宝しています。

というわけで、とても文句を言える筋合いではないのですが、ごく稀に不達事故が起きることがあります。小店でも過去をふりかえると、住所違いや宛先不明をのぞいて、1、2年に1通くらいの頻度で起こっているような気がします。

それだって、突き詰めていくと何かしら原因が分かるもので、大概は出し手、受け手いずれかに問題があります。

今朝、我が家の郵便受けに、何やら大きくはみ出して郵便物が入っておりました。

天部が開閉式のふたになっていて、その下の受け口から投函してもらうタイプのものです。その天部はふだん鍵で止めるようになっているのですが、たまたま(というよりしばしばですが)鍵がかかっておりませんでした。

そこで、そのふたを開けて郵便物を納め、ふたを戻したようですが、もちろん大きくはみ出していますからふたが閉まるわけもありません。しかし配達員さんは、それで投函完了とお考えになったのでしょう。

RIMG1608おそらく昨日の午後のことです。家の者が帰ったのは暗くなってからで、玄関わきの郵便受けがそのような状態であることに、誰も気がつかなかったようです。

今朝になって店主が朝刊を取りに行くまで、そのままの状態だったことになります。郵便物はA4判サイズのゆうメール。中味が絵本であることがすぐわかるような、会社のロゴ入りケースです。その気になれば、持ち去ることは簡単でした。

今朝まで残っていたことは幸いだったと思います。しかし、発送する立場としては、今後に不安を感じさせる出来事でした。

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2017年01月19日

TKI新年初会議

Google アナリティクスというインターネット分析サイトで調べてみると、「日本の古本屋」と言う語がGoogleで検索された回数は、この2年ほどの間、漸減していることが分かりました。

今日の「日本の古本屋」事業部定例会議で、マーケティング会社の方からレポートしていただいたことです。

その緩やかな下り方が、最近の「日本の古本屋」の売り上げ成績の推移と妙に近いところがあったので、部員一同、あれこれと考えさせられました。もちろん、どんな因果関係があるのか、本当のところは分かりません。

ついでにその場で、同じようにして「古本」を検索した回数を調べていただいたところ、2004年から比べると、およそ4分の1にまで下がっておりました。

こちらもいろいろな見方が出来るでしょうが、ネット社会における古本の位置が、相対的に縮小してきたことは確かだと思われます。

ただそれはあくまで相対的な問題で、市場規模自体は必ずしも縮小しているとは思えません。とはいえ、売上増加のための方策を見つけるのは、簡単でないことは確かです。

難しい課題を抱えたまま、会議終了後は恒例の新年会。協力業者さんたちも交え、仕事を離れて歓談――と行きたいところですが、つい話は我らがサイトの問題に戻りがち。

RIMG1605時間とともにようやく座がほぐれたころ、一次会終了となりました。二次会へ向かうメンバーと分かれ、素面の店主は帰途に。何しろ明日もまた、新年会が控えておりますので。

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2017年01月18日

祝100号

shakujii石神井書林の内堀さんから、いつものように目録を送っていただきました。

いつからかは忘れましたが、少なくとも初めて一緒に理事を務めた2000年頃からは、ほぼ欠かさず送っていただいているのではないでしょうか。

その目録が100号に達したとあります。いかにも内堀さんらしく、ごくさりげない口上が巻頭に述べられていました。

そのさりげなさとはうらはらに、二つの特集(「特集練馬区関町」「特集村上一郎」)は、かなり力のこもったものです。店主のような畑違いのものにも、それくらいは分かります。

整理が悪いので、今までいただいた目録は、あちらこちらに紛れ込んでいますが、捨てたことはありませんから全て残っているはずです。

先日の市場で、彼の目録が数十冊まとめて出品されているのを見ました。残念ながら、誰が幾らで落札したか、その結末は聞きそびれました。

しかしいつか小店が店をたたみ、在庫整理をする時になれば、その目録が、小店蔵書中の数少ない値打ち品として仕分けられることになるかもしれません。

目録を見ているだけで楽しいのですが、内堀さんはその実物を扱っているわけです。楽しくないはずはありません。

学術書などという無粋なものを主な扱い分野とする自分が、無粋な唐変木に思えてきました。

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