2017年08月13日

買取鑑定士

買取屋という商売があって、鑑定士と称する人がいるらしい。先日、TV(Eテレ)で不用品の処分について取り上げた番組を見て、そこで得た知識です。

鑑定士というもっともらしい呼び名は、もちろん何かの資格を意味するのではなく、勝手に付けているのでしょう。

古書業界でも、組合で資格認定をして称号を出したらどうかと提案する同業がいたことを思い出しました。ネットを駆使して買取に力を入れている本屋さんです。

たとえば「古書鑑定士」もっと簡単に「古書士」といったような称号を名刺に刷り込めば、買取の際に信用が高まるというわけです。

しかし何をもってその資格要件とするかなど、真面目に考えると、ほとんど実現は不可能。ご本人も、半ば冗談のようなつもりだったのか、その後は聞かなくなりました。

確かに「鑑定士」と刷り込まれた名刺を見て、これはどんな資格かと不躾けに問う人は、あまりおられないかもしれません。言ったもん勝ち、というところでしょうか。

RIMG2117番組ではタブレット端末を手にして、あらゆるものを査定する様子を映していました。ほとんど何でも買い取りの対象になるようです。ただしゴルフクラブ1本10円〜というように、評価額はシビア。

それでもとにかく処分したい。そんな風潮からか、わが業界の買取専門業者さんの中にも、本以外の買い取りに軸足を移す人が出はじめている、という噂も聞こえてきます。

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2017年08月12日

「資産」か「お荷物」か

お昼過ぎまで、人っ子一人、店に入って来られませんでした。店の前に立ち止まる人かげさえ見えません。このまま今日が過ぎるかもしれないと、半ば覚悟いたしました。

RIMG2134今朝の新聞には、不動産が「負動産」化しているという記事。

バブル期に1300万円で購入した別荘地を手放そうとしたら、評価額が10万円。しかも売却費用が21万円かかったので、差し引き11万円の支払いになったとか。

マンションの場合はもっと悲惨で、管理費、修繕積立金などの何年分かを処分費用として要求されると言います。

かつて土地は、持っているだけで値上がりする大切な「資産」だったが、いまや持っているだけで税金や管理費がのしかかる「お荷物」だと感じる人が増えている――とも書かれていました。

古本屋としては複雑な思いです。いくら相場が下がったとはいえ「マイナス価格」で買い取る(つまりお金をいただいて引き取る)勇気のある本屋は稀でしょう。

その一方で、かつては持っているだけで値上がりする大切な「資産」だったものが、いまや持っているだけで家賃や倉庫代がのしかかる「お荷物」と化している点には変わりがありません。

ただそれでも何万冊と抱える中には、昔より価値の上がったものも稀にあるわけで、それがまた困ったこと。なまじそんなために「お荷物」と見切ることもできないのです。

さて覚悟の店番は、ちょっとしたまとめ買いのお二方で、いささか報われることになりました。

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2017年08月11日

書簡類の一口

RIMG2136祝日ですが、明治古典会が開催されました。明日から古書会館が夏期休館となり、来週の金曜日は休会となるためです。

実のところ、大変心配しておりました。ただでさえ出品の少ない時期、まして祝日開催です。はたして荷が集まるだろうかと。

朝、会場に着くとそれが杞憂であったと分かりました。決して大量というわけではありませんが、4階のフロアにも本が並んでいます。3階だけの1フロアで市を開くことも覚悟していましたから、会としては御の字です。

陳列されたものを確認していくと、すぐに一口ものの存在に気づきました。

出品封筒には、荷主を表す数字が書き込まれるのですが、同じ数字の封筒が沢山あります。しかも本ではなく書簡が中心なので、余計目につきます。その宛名がほとんど同一人物。つまりその宛先の所から出た一口でした。

そのお名前くらいは申し上げても良いでしょう。野上弥生子、あの漱石の弟子として作家生活をスタートさせた、女流文学者です。

ご長命の方でしたから、生涯に交わした書簡が数多いのは肯けます。ただそれを保管しているかどうかは、人によりさまざま。たとえば漱石自身は、来簡の多くを焼却廃棄したことが知られています。

有名無名、実に多くの書簡葉書が、丹念に整理されていました。ただしこれは作家と縁の深い出版社による作業だろうと思われます。

書簡の値打ちは、書き手にあることは言うまでもありません。次に内容、そして宛先。三拍子そろったものは、特に良い値がつき、今日の市場を盛り上げてくれました。

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2017年08月10日

水漏れ診断

ようやくのことで、エアコン修理の人が来てくれました。しかし案じたとおり、今日は何も解決しません。

おそらくは排水にかかわる部品に故障が起きている、という診断です。ただ、室外機を確認しないと、正確な判断ができないとのこと。

その室外機は建物の屋上にあるため、そこへは家主さん立会いで入れていただくしか方法がありません。

RIMG2127ところが肝心の家主さんが、どうやらお留守。そこで、とりあえず部品の手配だけしておくことになりました。

しかし問題は設置後15年以上経つエアコンの、部品が調達できるかどうかです。

「仮に部品がないとなると『交換』になりますが、その場合、室外機の場所が屋上だとすると、その設置にはクレーン車を使うことになります」

なんだか恐ろしい話になってきました。そんな費用をいったい誰が負担できるでしょうか。

とりあえずは天下の三菱(同社のエアコンです)が、部品をしっかり保存してくれていることに期待をかけるしかありません。

いよいよとなったら、家主さんと交渉ですか。

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2017年08月09日

Popeyeの書店特集

Popeyeの9月号が発売されました。思っていたよりずっと大きな特集です。店主が聞いていたのは、この大特集の中の、サブタイトルの一つだったのでした。

確かに、古書会館に取材に来られたのも知っております。ですからある程度、まとまった特集になるのだろうとは予想していたのですが。

誌面を追って行くと、実にたくさんの書店が登場してきます。それらを見ながら思うのは、あのモデルさんのご指名がなければ、小店など決して取り上げられることはなかっただろうということです。

それは記事を読めば明らかですが、小店については、ほぼ何も語られていないに等しい(と店主には思えます)。モデルさんの記憶に残っていた街の古本屋が、たまたま河野書店であったということなのです。

負け惜しみではなく、これで良かったと思います。

多くの頁を割き、個性豊かな書店さんが、綺羅を競うように紹介されております。こうした特集の常連のようなお店も多く見られますが、店主でも初めて知るような店もまた多数。あらためて現在の書店状況を鳥瞰できました。

popeyeそんな中で、小店に個性がないとは少しも思いませんが、Popeye編集部の興味を惹くような個性でないくらいは自覚しております。

なくなって欲しくない街角の本屋の一軒。ただ店頭にジャンクおもちゃを置いていたりする、ちょっと不思議な店。これで十分です。

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2017年08月08日

洋書会に出品

小店のエアコン、水漏れを起こしながらも今日までのところ、冷房機能については特に問題なく稼働しております。

今日のように格別高温、高湿度の日には、それだけで、何ともありがたい限り。表を歩くと、一刻も早く空調の利いた室内に逃げ込みたくなる、そんなお天気でした。

RIMG2115迷走のあげく上陸し、各地に大雨被害をもたらしながらゆっくり北上していった台風5号。それが連れてきた湿度と暑熱でありましょう。

お客様のご来店がないのも無理ありません。店主だって、こんな日には、できれば外へ出たくない。

しかし今朝は、昨日宅買いでお引き取りしてきた本を洋書会に出品。その仕分をするために、朝から会館へ向かわねばなりませんでした。

6段のスチールラック6本分。大半がフランス書。一人で抱え込むには保管場所も、整理する手間も足りません。そんな時のためにこそあるのが市場です。

ただし仕分けたあと、自分で是非とも欲しいもの、人に譲っても良いもの、そこに思い切ったメリハリをつけて入札しないと、欲しいものが売れて、売りたいものが残ってしまいます。

自分が欲しいものは、大抵の場合、他業者も欲しいものであるからです。譲っても良いと思うものが高く売れることは、滅多にありません。

そうした点からして、満足とまではいかないが、さほど後悔もない。本日の出品は、そんな結果でした。

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2017年08月07日

案外気づかない

今朝もひと騒動でした。エアコンの水漏れ三日目。

天井から垂れ下がるスズランテープは更に数を増して、まるで集中治療を受けている患者さんのよう。もっとも患者はエアコンの方ですから、点滴とは逆の流れなのですが。

それにしても今朝、エアコンのスイッチを入れて30分ばかり過ぎた頃、昨日までとはまた別の位置に、幾つもの水滴が膨らみ始め、ポタポタと雨垂れが始まった時は、いささか慌てました。

夜の間に内部に溜まった水が、何かのきっかけで溢れだしたようです。やがて浸みだしてくる場所は絞られてきましたが、下から眺めている限りでは、中の様子はまるで想像もつきません。

フィルターを外して覗いては見ましたが、それくらいではやはり何も見えません。さらなる探索は、取り返しのつかない事態を招きそうで、自重しております。

朝の騒ぎが治まったあとは、比較的平安な一日であったと言えます。本数を増したスズランテープのあちこちを、時折、思い出したように水滴が伝い落ちておりました。

その水滴よりはるかに間遠に、お客様が入って来られ、さらに僅かの方がお帳場に。

RIMG2157その度に「濡れないようにお気をつけください」と声をかけるのですが、不思議なのは、それで初めて気が付かれる方が多いことです。

一瞬驚いたようにして天井を見上げ、すぐ何ごともなかったように勘定を済まされてお帰りになる、そうしたお客様がほとんどでした。

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2017年08月06日

水漏れ二日目

RIMG2151新展開です。昨日は一つの送風口の両端付近に結露が生じ、それがポツリポツリと落ちてくるといった具合でした。落下地点はほぼ一定ですので、そこに容器を置き、水はねを防止するために中にタオルを敷いて一日を凌ぎました。

それが今日になって、また新たな場所から水滴が落ちてきたのです。しかもポタポタポタと結構な勢いで。長くは続きませんが、しばらくするとまた。時間をおいて間歇的に落ちてきます。

試行錯誤の末、スズランテープを水源付近に貼り付け、それを伝わせて水滴を容器まで誘導することに成功いたしました。

こう書くと簡単に聞こえるかもしれませんが、今日一日の半ばは、この作業のために費やされたと言っても過言ではありません。

何年か前に一度、今回のとは別の一台が故障して見てもらったことがあります。その時は水漏れではありませんでしたが、排水パイプが詰まっていて、それが故障の原因だったことを思い出しました。

ところが、その修理をどこに頼んだのかが、どうしても思い出せません。最初に頭に浮かんだ便利屋さんは「うちではない」とのお返事。

近所に古くからの電気屋さんが二軒ありますが、いずれにせよどちらも当主がご高齢のため、現在では修理関係は殆んどされていないご様子です。

やむなく店舗を借りている仲介管理会社に連絡すると業者を紹介してくれまして、近く見積りに来てもらえることにはなりました。

どんな診断と見積になるか、戦々恐々です。

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2017年08月05日

いやな予兆

RIMG2133この数日、涼しい日が続いたので、今日の蒸し暑さは堪えました。

それでも月に一度の南部入札会です。朝、まず店を出してから、早々に五反田へ向かいました。

本来は第二土曜日の開催なのですが、来週土曜日は組合が夏休みに入ります。そこで一週間前倒しの開催となったのでした。

会場は、気持ち出品量が少ないため、いつもよりスッキリとした感じです。二階に上がると、棚のレイアウトが変わっておりました。新しい事業部になり、心機一転というところでしょうか。

人で賑わうのはもう少し遅い時間。まだ開場の9時半から間もないとあって、さほど多くの業者は来ていません。それでも店主同様、早目に入札を済ませようという同業の何人かと挨拶を交わし、早速本を見て回りました。

例によってお目当ては文庫本。ところが、確かに何口も出品されているのですが、食指の動くものがありません。結局、会場中見て回って文庫の口には一枚も札を入れませんでした。

もちろん他には何点か入札しました。しかし殆んど賑やかしの札。案の定、夕刻になってネットで結果を調べると、何も落ちていないことが判りました。

そんなわけで、今日も店に戻ってから、在庫の整理にとりかかりました。明日も一日、専念できるはずです。

ただ心配は、天井のエアコンから突然、漏水が始まったこと。今のところクーラーは効いておりますが、今後の展開は予断を許しません。

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2017年08月04日

札改めの役得

RIMG2130明治古典会。点数こそ少なめ(およそ800点)でしたが、なかなか興味深い一口ものが何種類かあり、明古らしい市会となりました。

たとえば「映画関係者旧蔵 ポスター・資料の一口」とか、大陸関係を含む戦前資料の口とか、60年代の左翼雑誌の口とか。

店主は「札改め」という作業を手伝っています。経営員が開札をすませた封筒が、改め台まで運ばれてくるのですが、封筒の表には落札者と落札金額が記され、中には落札者以外の入札用紙が戻されています。

その封筒から札を抜き出し、落札結果に間違いがないかを点検するのが「札改め」の仕事です。

地味ながら大切な部署ですが、入札者の戦いの跡が窺い知れるという点には、一種の役得のようなものを感じないでもありません。

とくに今日のような一口ものでは、専門書店同士のシビアな戦いが繰り広げられます。とりわけ左翼雑誌の口は、二人の業者の一騎打ちとなりました。

そのほとんどを一方の業者が僅差で勝ち取る結果となったため、敗れた二番札の人には、思わず同情の念を抱きましたが、考えてみれば買い別れるより、お互いにとって良かっただろうと思います。

「画家・役者関係 書簡・葉書の一口」とされていた中に、食満南北宛の書簡類が、数多く見られました。この人物についてどころか、名を読める業者さえ、専門店以外には殆んどいなかったはずです。

しかし今日一日で、この関西劇壇の大物「けまなんぼく」の名は、明古会員たちにとっては、すっかり馴染みのものとなったのでした。

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