2017年06月12日

古本屋なら

KIMG0013昨日店を閉めようとするころ、30代と思われる男性が一人で入って来られ「ここは古本屋さんですよね?」。

「そうです」とお答えすると「東京の地図で小型のやつはありませんか?」「いや、置いてません」。

「探したらどこかにあるんじゃないですか?」「ないと思います」「古本屋じゃないんですか?」

あらためて言うまでもなく、必要とされていたのは現在の実用的なもの。この方のおっしゃる「古本屋」とは、どんなお店のことなのか、お帰りになったあと、しばし考えてしまいました。

30年ほど前、つまり小店が開業したころなら、新しい道路地図帳などは町の古本屋にとって「置けば売れる商品」の一つで、特価本として平積販売している店もありました。まさか、その時代のことをご存じとは思われません。

市街地図帳の場合でも、新しいものなら売れるかもしれませんから、今でも手に入れば目につくところに並べるお店もあるでしょう。

しかしスマホの普及で需要が減り、それに伴って出版される数も減り、その結果、古書店に巡ってくる数自体が大きく減っているはずです。

確かにお客様からお引き取りする中に、地図帳が混じっていることはありますが、それが店頭に出せるような、役に立つ地図であること稀です。

あの男性の、古本屋ならあるだろうという確信は、どこで得られたものだったのでしょう。

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2017年06月11日

時にほのぼの

夕方、お祖父ちゃんと5歳くらいのお孫さん。どこかにお出かけの帰り道らしく、お孫さんがミニカーの箱へまっしぐら。「ほおすごいね」と声だけお相手して、ご自身は均一棚を眺めておられます。

そのうちお孫さんは箱を掻き回し、手にとっては投げ捨てたりと、もてあそびが目に余るようになりました。お祖父ちゃんは気にかける様子もありません。

そこで一応、ひとこと注意。するとお祖父ちゃんが代わって店主に詫びましたが、顔は詫びていません。なおしばらくお孫さんの好きにさせてから「さあもう帰ろう。また今度」とお帰りになったのでした。

一方昨日のこと、ほぼ店を閉め終え、最後にラティスを移動させているところへ、4歳くらいの男の子が走り込んできました。続いてもう一人。

ちょくちょく見かける双子さんです。するとその後から、お父さん。さらに遅れてお母さんとお姉ちゃん。ご一家でおいでになったようでした。

RIMG1949「ああ、もうおしまいなんだ」とお父さん。「残念、また明日来よう」そう言って呼びかけるのですが、初めに飛び込んできた一人は、泣き出しそうな顔をしたまま固まっています。

気の毒ではありましたが、お引き取りいただきました。

そのご一家が、今日はまだ日の高いうちにご来店になり、無事、それぞれのお子さんが何かしら選んで買ってもらい、嬉しそうに帰られました。

ジャンクおもちゃを置いて以来、図らずも小児を相手にする次第となりましたが、時にはほのぼのとさせられることもあるのです。

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2017年06月10日

レトロの賞味期限

昨日の明治古典会で、あるいは一番の高額となったかもしれなかったのは、戦前版「講談社の絵本」でした。確認しなかったのですが、100冊以上あったと思います。

ご高齢のため、いつもなら早めにお帰りになる明古の大先輩会員が、昨日に限って最後まで残っておられたのは、この本に入札されていたからでした。

しかし結果は止め高。誰の入札価格も、出品者の止め札(希望価格)に届かなかったわけです。

かつてなら、問題なく売れていた止め値かも知れません。冊数や状態は異なりますが、はるかに高値で落札された場面を、店主も記憶しております。

この本が高値を呼んだのは、懐かしさで求めるコレクターたちと、資料的な価値から収集に乗り出す機関の、両面があってのことでした。

norakuroそのどちらもが一段落した現在、相場が下がるのもやむを得ないというべきでしょう。

先日、小店に「のらくろ」を数冊、お持ち込みのお客様がおられました。といっても戦後の復刻版です。

この復刻版が出たのは昭和44年。その後、増刷を重ね、手元の本の奥付を見ると一番新しいものは1990年の第25刷。子供時代を懐かしんで求める層が、その頃までは重版できるほどおられたことになります。

さて今となってこの本を、どなたが、どんなお気持ちからお求めになるでしょうか。

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2017年06月09日

知はお金なり

今日の明治古典会で店主が気に留めたのは、最終台に乗っていた一冊の本。

なにがし』という表題があり、尾崎紅葉・泉鏡花の名が二つ並んで書かれています。奥付にある著者名は尾崎徳太郎のみ。

KIMG0018聞き覚えがあるのは『日本文壇史』で読んだからに違いない。確か、鏡花が書いたものに紅葉が手を入れたのではなかったか。そこまでは朧気ながら頭に残っていました。

もちろん、だからと言って入札しようというのではありません。まったくの野次馬根性で、開札を待っていただけのことです。

結果は、本日の最終発声。それ以上に高額な商品が、出品されていなかったわけではありませんが、成立したものとしては、今日一番の高値となったのでした。

店に戻ってから、『日本文壇史』をひっくり返してみました。そして分かったのは明治27年、鏡花の「義血侠血」「予備兵」に紅葉が手を入れ、読売新聞に発表した時の筆名が「なにがし」だったということ(第3巻)。

一年後にその筆名を表題とし、尾崎・泉の名で春陽堂から出版されたのが本書で、実質的な鏡花のデビュー作と言うわけです。

傷んでいるとはいえ袋が残っていたおかげで、本体は良い状態で保存されています。そうと知れば、まず納得の落札価格でした。

ところが市会後に聞いた話によると、その一冊は、先日の南部大市会で、ある業者が数束にされた本の中にあるのを見つけ、その落札額の10分の1以下で手に入れたものだったとか。「知は力なり」とは言いますが。

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2017年06月08日

標準語の謎

KIMG0025長い間楽しみに聞いていたNHKラジオアーカイブスが、今年の3月一杯で文学者篇を終えて、4月から昭和史篇ともいうべきものに変わりました。

「声で綴る昭和人物史」とタイトルされて、このところはもっぱら政治家の登場が続いています。

今どきの政治家に比べれば格段に尊敬できる人々が多いとはいえ、やはり何やら拘りなしには聞けない部分もあり、前解説者、大村彦次郎さんのあの独特の語り口が、早くも懐かしくさえ覚えます。

現役時代は辣腕の編集者だったに違いないのですが、ゆっくりとした原稿読み上げ口調は、朴訥な人柄を感じさせるものでした。

語り口ばかりでなく、そのアクセントも独特で、「太宰」を「打開」などのように平板アクセントで発音するのは業界訛りだとしても、「死」が「詩」に聞こえるのは不思議に思われ、どこのご出身かと調べたことがあります。

その結果、日本橋育ちの早大出とわかり、ますます謎が深まりました。

アクセントの謎といえば、最近この番組で近衛秀麿の演説を聞いたのですが、いわゆる標準語でした。

当然といえば当然かもしれません。しかし皇族や公家さんなどは、京都時代、やはり京都訛りで話されていたと思います。一体いつから、どのような経緯で、標準語で話すようになったのか。

そのあたりのことを研究した本があれば、ちょっと読んでみたい気がいたします。

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2017年06月07日

幻の大量蔵書

先日、引っ越しするからと、紙バッグ8袋ほどのお持ち込みがありました。これまでも度々文庫本などをご処分いただいた、ありがたいお客様です。しかし今回は大判の古い本が多く、あまり良い値はつけられませんでした。

そのお持ち込みの際の立ち話。ご当人は自称アラカンのご婦人ですが、その親御さんが長く美術に関わるお仕事に携わられ、ご実家には展覧会図録を主として、大量の蔵書があったそうです。

しかしその蔵書はすでに10年ほど前、貴重な資料類は東京博物館に、その他の大量の図録等も近くの古書店に引き取ってもらったとか。

KIMG0023図録以外に「太宰の初版本」を含む文学書などもあったそうですが、逃した魚を想像しても始まりません。「もう少し早く知っていたらね」と、慰めともつかぬ言葉をいただきました。

そして今日、知り合いの道具屋さんから「人間国宝のお宅の蔵書整理を頼めないか」という電話。「喜んで」と答えると「奥様から電話が行くからよろしく」。

ほどなくお電話をいただきました。お話を伺うと「何百箱とあった蔵書」は、3年ほど前「神田の本屋さん」に引き取ってもらったそうで、今回はその時「もう少し手元に置いておこう」と残した僅かばかりの本とのこと。

そう聞くと、よほど貴重なものかと想像されるかもしれませんが、奥様の挙げられた書名を伺って、やや意気阻喪したというのが正直なところです。

もちろん拝見しない限り、どんな貴重書が残されているかは分かりません。後日、お伺いすることをお約束して受話器を置きました。

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2017年06月06日

忠臣いずこ

「李下の冠、瓜田の履」言い回しはいろいろありますが、誰でも子供時分に、一度は聞かされたことがある故事成語だと思います。

何か紛らわしい振る舞いをして、その結果掛けられた疑いの不当を訴えると、大人たちからそう言ってたしなめられたものでした。

KIMG0265あの方たちには、そんな経験がなかったのでしょうか。店主が申しあげているのは忖度された方の話ではなく、忖度をした関係者ご一同のことです。

権力者肝煎りの事業に、彼に親しい人物が応募した時点で、心ある取り巻(大時代に言えば忠臣)なら、まずそれをハンディと考えて、ほかより厳しい条件を課すことを提言するべきであったでしょう。

必要以上に公明正大を意識して、誰にも疑いを抱かれない選考過程を経る。それが故事の教えるところです。

ところが聞こえてくるニュースによれば、実態はまるで逆。本当の目的は、疑わしさを際立たせることにあったのではないかと思わせるような展開です。忠臣どころか奸臣ばかり?

もちろん忖度される方が自ら「妙な疑いを招かないよう、公正な選考をするように」と「ご意向」を示していれば、こんな醜態に至らずに済んだでしょう。しかしそれは、名君だけに期待できることです。

さてこの先も、どこまでも「臭いものに蓋」で押し通すのでしょうか。

隠すより現る」ということわざもあります。

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2017年06月05日

スマホを替えました

夕立。30分ほどで一度上がったように見えたのに、すぐ雷を伴って再び本格的な夕立。かき入れ時(というのは嘘ですが)にこの降りで、週明けの月曜日、売上はさっぱり。

話は変わりますが、スマホを機種変いたしました。直接のきっかけは、トヨタカローラの営業さんに勧められたからですが、最近調子がおかしくなっていたことも確かです。

なぜトヨタさんかというのは、ずっと昔、docomoからauに鞍替えするに際し、たまたま車を買い替える時期に当たっていたので、一緒に手続きをしてもらって、それ以来のご縁なのです。

なぜauに変えたのかは、もっと簡単な理由。店を移転した当時、店内でdocomoが入らなかったからです。つまり13年ほど前の話。

KIMG0014スマホにしたのは前回からで、2年を超えて機種代金も払い終わった頃を見計らったように、色々不調が起き始めました。

料金プランを見直せば、ほぼ従来通りの月額で新機種に変更できると分かり、決心したのですが、何のことはない、これまで分不相応なプランで料金を払い過ぎていただけのことです。

営業さんは同行すると言ってくださったのですが、一人でカローラ渋谷店にあるauカウンターへ、送られてきた機種を持ちこんで、切り替え手続きをしていただきました。

前回はすべて自分でやり、まともに使えるようになるまで何日もかかりました。それを思えばずっと短かい。とはいうものの、たっぷり1時間以上。本も持たずに行ったので、ショウルームでただ座って待つことになりました。

この間、広いショウルームに誰一人訪れる人はありませんでした。しかし小店の閑散とはワケが違い、これでびくともしないのですね。

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2017年06月04日

疲れ知らず

RIMG1959大市の出品物を引き取りに南部会館へ。片付け作業の邪魔になる恐れもあったのですが、日曜日の午前中は車が空いています。

案の定、すいすい走って午前10時頃には会館に着きました。そしてさらに案の定、朝から地区事業部の人たちが、忙しそうに働いていました。

昨日のうちに落札品は買主ごとにまとめられ、名前を書いたビラが下げられています。今日の作業は、それらの買主が指定した配送手段にしたがって分別し、必要なら梱包まですること。

店主はいつもの通り、自分で引き取ると申告してありましたから、会場のどこか隅っこに置かれているはずです。尋ねると、すぐに教えてくれました。丁度一抱え。

それにしても店主の記憶にある過去の大市翌日のような、疲れ切った様子が事業部員さんたちに見られません。さほど量が多くなかったことが大きな理由でしょうか。

あるいは昔のように、打ち上げで遅くまで鯨飲するという風習がなくなったのかもしれません。

しかし一番の要因は、近年にない好成績だろうと思います。「売れたでしょう?」と一人に声をかけると、早速出来高を教えてくれました。なるほど皆がにこやかな表情になるわけです。

立ち入った質問をする場所でも場合でもありません。「よかったね」とだけ言ってすぐ引き上げましたが、昨日感じたとおり、今が旬の人気商品が多かったので、それらが高値となったのだろうことは想像がつきます。

時間をおいて、もう少し詳しく話を聞いてみたいと思っています。

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2017年06月03日

端くれ支部員

6月は南部地区の大市会。毎月の入札会は第2土曜日なのですが、今月だけは第1土曜日。今朝店を開けてから、早速、五反田に向かいました。

ふだんの入札最低価格は2千円。それに対して大市は1万円。つまり1万円以下で買えるものはありません。その分、全体の物量としてはいつもほど多くありませんでしたが、2階のメイン会場は1点物がぎっしり。点数としては決して少なくなかったと思われます。

とくに今回話題を呼んでいたのは、戦前から戦後にかけての児童書、マンガ本の一口です。あれこれnanbu説明するより、南部支部がこの大市のために作成した出品目録の一部をご覧ください。

こんな写真版があと2頁。もちろんほかにも近代文学の初版、署名本や草稿・書簡類、そして目立ったところでは写真集の口などがありました。良い出来高になったのではないでしょうか。

店主も南部支部員の端くれですから、僅かばかりの出品をさせてもらいましたが、とても胸を張れるようなものではありません。昔なら、労働奉仕という貢献法もあったのですが、今やそれもかえって足手まといかと考え、早々に引き返してまいりました。

肝心な入札については、今回、まったく札を入れるものがありませんでした。まず普段の入札会で一番のお目当てである文庫本の出品が少ないうえに、向きの違うものばかり。普段なら結構出ている洋書も、今日はほとんど見当たりませんでした。

というわけで落札品はないのですが、出品して売れなかった(買い引いた)ものを引き取りに、明日また五反田に行くことになります。

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