2017年03月20日

一念発起

小店には、店の部分と同じくらいの広さのバックヤードがあります。しかしながら、せっかくのそのスペースが、ほとんど生かし切れていないのが実情です。

いろいろな計画のもとに設けた場所でした。在庫の保管場所としてだけでなく、ネット受注品の発送など、さまざまな作業もそこで出来るはずでした。

何しろこの店に移った当初は、店を閉めた後、多少窮屈ながら本棚に囲まれた一角で、4、5人がテーブルを囲み、食事までできたものでした。

ところがその一角は、あっという間に本に埋もれ、以降長い間、そこにテーブルがあることさえ分からないような状態になっております。

RIMG1781それがあるきっかけから、この場所を片付けようという機運がにわかに起こってまいりました。今さらではありますが、単なる物置と化していては、そのスペースは家賃を稼いではくれません。

昨日から重い腰を上げて、まず手前の方から本の山を崩しにかかりました。すると早速のご褒美が。

崩した山の中から、以前ご注文を受け、どうしても見つからなくて在庫切れのお返事を出した本が1冊、ひょっこり姿をあらわしたのです。

すぐにメールでお知らせし、ご注文をいただくことが出来ました。お代は3000円。

これに勢いを得て、この先、作業がはかどりますかどうかは、まだまだ予断を許しません。

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2017年03月19日

古いお馴染み客

RIMG1779なつかしい先生がご来店になりました。小店の、かなり初期からのご常連様。それほど頻繁にということではなく、年に何度かといった程度でしたが、来られるとある程度まとめてお買い上げくださいました。

それがいつからか間遠になって、年に1度お顔を拝見するかどうかとなり、今回は3、4年、もしかしたら5年ぶりくらいになるかもしれません。

上智大学に籍を置いていらした、アイルランド生まれの先生です。「久しぶりですね」と話す日本語も、かなり流暢になられました。

それもそのはず「昭和58年に日本に来ました。もう34年になります」。ご自分からそんな話をされ、それに続けて「最初からここに来ました」とおっしゃいます。

やや意味を図りかねるお言葉でしたが、小店の開業年は昭和58年ですから、話は合います。ただ、おそらくは、随分昔から来ていると、おっしゃりたかったのでしょう。

そんなお馴染みの先生なのに、久しぶりだったせいか、お名前が出てきません。お話をしながら焦りました。というのも、いつも領収書をお書きしていたからです。

幸いなことに先生、ゆっくり店内をご覧になり、ある本を椅子に座って読み始めたりもされたおかげで、ふとした瞬間、忽然と思い出すことが出来ました。

さてお会計となり、勇んで「領収書は」と申し上げると、「もう学校も退職しましたから、どこからもお金は出ません」。本だけを受け取って、お帰りになりました。

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2017年03月18日

お持ち込み2件

「買ってもらえますか」とおっしゃって、ビニール袋から洋書を1冊取り出されました。30代くらいでしょうか、若い男性です。

オックスフォード大学出版局から刊行された、古典哲学の研究書。刊行年も比較的新しいハードカバーの本。

「そこらの本屋に売るよりはと思って持ってきました」とおっしゃっていただいたので、市場で買う時のことを考えて、値を申し上げました。

すると呆れたような声で「申し訳ないですが、他に持って行ってみます」。そうおっしゃって、さっさとお帰りに。よほど、想定と開きがあったようです。

RIMG1782良い値で引き取ってくれる店があることを祈りますが、洋書の買取値が日本書に比べて安くなるのは、やむを得ないことですから、今回の経験でそのあたりをご了解いただければ、次からは驚かれることもないと思います。

夕方近くなって、車に美術書を積んで、ご夫婦らしいお客様が来られました。

ワンボックスカーの後部に20束ほどが縛られて、積まれています。そのままの状態で拝見し、中に1冊でもお引き取りできるものがある束を、10束ほど選んで引き取らせていただきました。

お代を申し上げると「いただけるんですか」と驚かれたご様子。小店で処分することになる本が多いことを、恐縮されながらお帰りになられました。

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2017年03月17日

インフルエンサー

インフルエンサー(Influencer)という言葉を、昨日のTKI会議で耳にしました。単語自体の意味は想像が付きます。インフルエンザ(Influenza)と同根の語だろうということも。

ネットの世界では、フォロワーが何千何万といるようなブロガーやツイッタラーのことをそう呼び、マーケティングの対象として注目されているようです。

何を今頃と思われる方もおいででしょうが、そういう人々に、特定の文言をつぶやいてもらうことを目的とした広告が、あるのだそうです。

RIMG1778その文言をつぶやき、それがリツイートされたりすると、その数に応じてインフルエンサーにお金が入ってくるという仕組みで、アフィリエイトの一種といえるでしょうか。

以前「日本の古本屋」のサイト閲覧数が短時日、急増したことがありました。どうやら誰かのツイートが原因らしいと分かりましたが、それがインフルエンサーです。

そういう人々に、もっと取り上げてもらおうというのが広告の目的ですが、たとえ微々たるものとはいえ、そこにお金が絡んでいると分かると、何やら白けてしまうのではないかと、店主などは心配してしまいます。

それでなくとも、そうしたインフルエンサーには、ぜひこれを取り上げてくださいというような依頼が、引きも切らずあることでしょう。

幸か不幸か、店主のところにそうした話は、まだ一つもありません。

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2017年03月16日

TKI 会議

「日本の古本屋」事業部定例会議。もう一月?と驚きますが、先月は1週間遅れでしたから実際のところはまだ3週間しか経っておりません。それでも今年3回目。あっという間に日々が過ぎて行きます。

今日も午後2時から始まって、終わったのは7時過ぎ。途中2度の短い休憩は挟んだものの、煙草を吸いに出ていくわけでもない店主などは、ほぼ5時間、椅子に座ったまま。

90分の講義を3コマ続けて受けたようなものと言えばよいでしょうか。若いころならともかく、この年になると腰に来て困ります。もっとも若いころ、それほどまじめに授業に出た記憶もありませんが。

さて本日のテーマは大きなところで二つ。まず、今月中にはオープンできるところまでこぎつけた、スマホサイトの最終確認。

もう一つは2020年という目標が定められた、次期「日本の古本屋」リニューアルに向けての意志統一。

その他にもこまごまとした問題が提出され、一つずつ意見を交わしていくのですから、すべて順調に片付いても予定の4時間に収めるのは難しかったかもしれません。

しかし熱心な部員揃いですから、異論反論続出。口角泡を飛ばす激論になることも始終です。そんな過程を経て決まった一つに、今後XPでは「日本の古本屋」が見られなくなるという「お知らせ」を出すことがあります。

RIMG1780新たなセキュリティーソフトを導入するために、やむを得ない措置だといいます。理屈では分かりますし、店主のPCに直接影響はありませんが、どこかに納得できない気分も残ります。

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2017年03月15日

古本募金ポスト

RIMG1786学生さんらしい若い女性が、少し困ったような表情で「こちらは本の引取りはされてませんよね?」とお尋ねになりました。

「大丈夫ですよ、お持ちになったんですか?」と尋ね返したところ、布製の手提げバッグを帳場の机に載せて「実は大学の古本募金ポストに入れるつもりで持ってきたのですが、学校が閉まってたんです。持ち帰るのも重くて、どうにかならないかと…」

「ともかく拝見しましょう」と、バッグから出していただきました。

出てきたのは有斐閣双書の民法シリーズを初めとした、法律学習書。全部で16冊ありましたが、仮に良い状態であったとしても、今やほとんど値のつかない旧版ばかり。

それがいずれも良い状態とは程遠い、線引き、汚れ、イタミあり。中には水濡れ本まで混じっています。さすがにお代は差し上げられません。

そう申し上げると「いえいえもちろん、引き取っていただけるだけで助かります。これで軽くなりました」そうおっしゃって帰って行かれました。

あらためて本を見ると、一番新しいもの(ただしひどく汚れています)でも2002年の出版。半分ほどはISBNすらついていない本です。ご本人のものとすると、いささか年勘定が合いません。もっとも買取りではないので、年齢確認もしておりませんが。

いずれにせよ、今回はこの「古本募金」を運営されているというVブックスさんの、お手間を省いて差し上げたような形になりました。

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2017年03月14日

古本で資金

KIMG0161まだ、というべきか、いつの間にかというべきか『日本文壇史』の第5巻を読み終えようとしています。

おもに神田への行き帰りの車中読書ですから、はかが行かないのもやむを得ません。それでもゆっくり読むことで、明治の初期から中期、そして後期へと移る、時間の流れに寄り添えるような気もします。

今日もその短い読書の中で、こんな一文を見つけました。

成沢はその頃、生活に困り打開の道を求めて上京し、新宿角筈の内村の家を訪ねた。内村は、あせって上に浮かび出ようとするよりも、一度底まで落ちて見よ、と言った。成沢はそれに力を得て上田に帰り、自分の手もとにある十冊の古本を友人に売り、それを資本にして百合舎という書店を開いた。それは明治三十年で、彼は数え年二十一歳であった。(伊藤整『日本文壇史』第5巻:p.242)

内村は内村鑑三、当時30歳くらいでしょうが、文章や講演で若者に強い影響力を持っていたようです。成沢は成沢玲川(金兵衛)。この青年については「信州文壇」の発行者として紹介されていますが、初めて目にする名でした。

抜き書きした理由はすでにお判りでしょう。「十冊の古本を友人に売り、それを資本にして書店を開いた」という部分に驚愕したからです。

丹緑本やインキュナブラならともかく、10冊で書店を開く資本になるというのは、今からは想像もつかないこと。どんな本をいくらで売ったのか、ぜひ知りたいところです。

今日の洋書会、出品量は少なめでしたが、さいわい150冊ばかりの言語学関係の口を落札することが出来ました。あり得ないことながら、仮に全部が売れても、ひと月分の家賃にもならないと思います。

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2017年03月13日

LPレコード

行きがかりで、LPレコードをお引き取りしました。フランス書を、何度か引き取りに伺ったり、お送りいただいたりした先生から。

本は一段落つきましたが、レコードも処分したいから、送ってよいかとのメールをいただきました。

「どうぞ」と打ち込んで、ふと気になり、どれくらいあるのかをお問合せしたところ、1mほどの「つづら」に立てて入れてあり、一人では持てない重さというご回答。

お言葉通りの状態なら、運送屋さんが運んでくれないかもしれません。一度ご確認くださいとお願いしてお返事をお待ちしたところ、お電話がありました。やはりそのまま運ぶのは難しいとのこと。

取り出して運べば問題ありませんが、レコードの荷造りは結構大変です。そこで店主が伺うことにしたのでした。

着いて「つづら」を見せていただくと、想像と違い、いわゆる衣装ケースに斜めに入っていて、これなら運送屋さんにお願いできたかもしれません。

ともかくお引き取りしてまいりました。枚数はおよそ80枚ほど。クラシック、シャンソン、それとお子さまのものだったらしいYMOとかサザンとか。

期待はしておりませんでしたが、やはり素人目にも、値になるものはなさそうです。いずれにせよ、まとvianめて市場に出して、いくらかにでもなれば、それを先生に。

店主は、ちょっとジャケットが気に入った1、2枚を、手数料代わりに頂戴しようと思います。

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2017年03月12日

南部の落札品

昨日の南部入札会は、好みに合う文庫本の出品がなく、気のない札を入れた1点は、もちろん落札できませんでした。

その代り、目について札を入れた洋書の口2点、これがどちらも落ちていて、今朝引き取ってまいりました。一つは5本口、もう一つは8本口。この嵩物に入札したのは、どちらにも中に少しずつ、欲しい本が入っていたからです。

LIVIVS5本口の方は、してやったりの大満足。リヴィウスの『ローマ建国史』、その羅独対訳版11冊揃いを手に入れることができました。ほかに気づく同業がいなかったのか、下札で落札。

カバーに印刷された背文字はLIVIVSと、原本の巻数を表すローマ数字だけ。順に並んでいなかったので、あちらこちらと目で追って、抜けがないことを確かめたのでした。

これに対して8本口の方は、ちょっと反省です。高いとは言えない札の、それも下札で落ちたのですから文句は言えませんが、安物買いのなんとやら。

背は比較的きれいでしたが、小口側に汚れが目立ち、角も傷んでいる本が多い。目当ての本で状態がまともだったのは、ごく僅かでした。

それより驚いたことがあります。殆んどペーパーバックばかりのこの口には、オンデマンド版が数多く含まれておりました。そのうちの1冊、StracheyのEminent Victorians、これはほぼ未読の状態でしたが、開いて見るとあちこちに線引きがあったのです。

なんとその線引きは、原本に引かれていたもの。入手困難な貴重書ならともかく、元版でも均一にされるほどありふれた本。何もわざわざ線引き本をスキャンしなくともと、呆れました。

しかしスキャンされてみると、あまり線引きが気にならないのも確か。それが何とも不思議です。

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2017年03月11日

ボヘミアンズ・ギャラリー

神保町一丁目奇数番地の裏通りに、築40年以上という4階建ての小ぢんまりしたビルがあります。

その名前も「神保町会館」。オフィシャルな響きはありますが、特に目立たない普通のビルです。

bohemianその3階に同業が新しくギャラリーを開きました。昨日、金曜日の夜、オープニングパーティーが開催され、いつもの会食メンバーで連れ立ってお邪魔してきました。

と申しますのも、その同業もわが会食メンバーも、同じ明治古典会の仲間。パーティーに呼ばれていたのも、多くは明治古典会の会員や経営員です。それで金曜日の夜としたのでしょう。

小ぢんまりとは言ってもワンフロア約150屬1軒で使っていますから、けっこうな広さ。バックヤードをたっぷりとってリニューアルし、建物の古さを感じさせません。

古本屋と画廊とは別の業種ではありますが、案外縁続きです。だからこそこうして、両方を経営する店も現れるのですが、もちろん必要な資力は桁違いで、誰にでも真似ができることではありません。

この同業、古書店も合わせ、これが8軒目の新規開店だといいます。しかし現在あるのは、先々代から受け継いだ古書店を含めて3軒。つまり見切りをつけるのも早い。現にこのギャラリーも2年前に開いた近くの店を閉めて、こちらに移ったもの。

その行動力、バイタリティーには、ただ脱帽するしかないというのが、お招きに預かった仲間一同の、いつわらざる感想でした。

せめてのお祝いにと、ここに記す次第です。

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