2017年08月02日

高級鮨店

RIMG2119髪がだいぶん鬱陶しくなってきたので、散髪に行きました。店から3分の青木理容室。長らく通っていた住まい近くの床屋さんから乗り換えて、もう2、3年になります。

思い立った時に行ける便利さは代えがたく、しかも殆んど待たされることがありません。そういう時間帯を狙っているからでもありますが、親子3代の理容師さんがいるので、まず安心です。

3代というのはお祖母ちゃん、オヤジさん、息子さん。おかみさんも店に出ていますが、こちらはハサミを持つことはないようです。

今朝は先客にオヤジさんが掛かっていて、息子さんが店主を担当してくれました。お祖母ちゃんの姿が見えないのが気になりましたが、おそらくお出かけだったのでしょう。

さてその息子さん(4代目)がハサミを動かしながら「お鮨屋さんが出来たのをご存知ですか?」と店主に問いかけました。もちろん知りません。聞けば、理容室からすぐ2、3軒先らしい。

カウンター7席ほどの小さな店で、予約のみ。早速行ってみた、あるご近所さんの話では、コースになっていて、夫婦二人でお銚子2、3本いただいて、およそ2万円ほどだったとか。驚くほど高くはありませんが、充分高級な鮨店です。

帰りに、その表を通ってきました。新しい建物に連子格子の引き戸があって、おそらくここだろうと思うのですが、何の看板も出ていません。

あくまでひっそりと、予約客だけ相手のご商売。あとで調べてお店の名も分かりましたが、ご迷惑になるといけないので紹介は控えます。

このお店のほぼ真裏が、あの「菱田屋」さん。こちらは予約なし、行列のできる店。食べ物商売もいろいろです。

konoinfo at 19:30|PermalinkComments(0)

2017年08月01日

宝の山を見送る

店から出て表の棚の本を整理し始めると、すぐにじっとりと汗ばんでくる。朝から、そんな不快なお天気でした。

RIMG2126昼になっても蒸し暑さは増すばかり。しかし今日は火曜日、洋書会の日です。良い仕入れが出来ることを期待して、店を出ました。

古書会館4階の会場に着くと、多いとは言えませんが、そこそこ本が並んでおります。何しろ先週が、あまりにも少ない出品量でしたから、まずは一安心。

中に面白い一口物がありました。平台一列を使って、束ねられた大判の本が数束ずつ、4〜5点に分けられています。

現代美術、写真集、写真雑誌などが目立ちますが、荷主さんが仕分けてこられたため、混然として、今ひとつ捉えどころがありません。

それでも、過去にロシア(ソビエト)の映画雑誌が大量に出品された、その同じ流れ、同じ持ち主の旧蔵書だろうと見当がつきました。

細かく見ていくとポップ、キッチュ、グロテスクなどといった、ひと頃の先鋭的な美術関連書が多く含まれていて、なかなか興味をそそられます。

宝の山だと思いますが、それを磨いて玉にするには手間も知識も必要。迷った末、結局入札を見合わせました。

もっとも店主が興味を持った口は、某専門書店が、大きく飛ばして書いた札の一番下札で落札。店主の書こうとした札は、その下札にも遥かに届かなかったのですから、悩むまでもありませんでした。

konoinfo at 19:30|PermalinkComments(0)

2017年07月31日

目録ガンバレ

412頁、5510点。風船舎さんの第13号となる目録は、大変見ごたえのあるものに仕上がりました。

fusen風俗はともかく、芸能、音楽といったジャンルは、店主が駆け出しの頃、一時は専門にしようと目指した分野ですから、羨ましいような、妬ましいような気分にもさせられます。

しかし頁を繰って見ていくうちに、店主にはとても無理な仕事だったことを思い知らされました。

というのも、この5千点を超える商品の内、その多く(あるいは殆んど)は、市場で仕入れたものの筈だからです。いつどこの市で手に入れられたのか、驚くほかありません。

もちろん店主の行かないような市場にも出かけられるのでしょうが、要するに熱心さの相違です。同じ市場に参加していても、店主のように漫然と見ていては見逃すものを、じっくり見つけ出す。

風船舎さんをはじめ、活躍されている目録販売の書店主さんは、どうやら店主に欠けた資質ばかりで出来上がっているようです。

それはさておき、昨今、若い古本屋さんにも、いわゆるクロっぽいものに入札する人が増えてきました。ヤフオクの影響だと言われています。

ネット販売で一番商売になっているのがヤフオク、次がAmazon、日本の古本屋はその次だというのが、神奈川組合が組合員に行ったアンケートの回答結果だそうです。事情は東京組合でも似たようなものでしょう。

ヤフオクなら訳の分からないものを、訳の分からないまま出品しても良い値になることがある。そこで市場のクロっぽいものに目が向くのです。

そういう業者との競争で、ますます目録に向いた商品の入手が難しくなるかもしれません。負けずに頑張ってほしいと思います。

konoinfo at 19:30|PermalinkComments(0)

2017年07月30日

沿線を流す

今月号の『本の雑誌』に、坪内祐三さんが山口昌男さんのことを書いておられます。

見開き2頁の短いものですが、その中に山口さんが駒場で講義を持っていた時のことが書かれていて、次のような箇所がありました。

授業を終えると、二人で昼食をとったのち(駒場のそば屋「満留賀」は異常にボリュムがあってお腹がすいていた二人は大盛りを頼んで目を白黒させたことがある)、井の頭線沿線の古本屋を流した。

この部分は、ご自身が『新潮』1995年7月号に書かれた『敗者の精神史』の書評からの引用になっており、そこで4年前の話とされていますから、講義があったのは1991年ということになります。

実はこの雑誌を買って読んだのは末の娘で、娘から「この古本屋はうちのことか」との質問を受け、一文を読ませてもらったのです。

RIMG2038もちろん河野書店はすでに開業しておりましたから、この「古本屋」に小店も含まれていることは確かでしょう。

しかし「沿線を流した」というのですから、池ノ上のアゴラさんや由縁(ゆかり)さん、下北沢の幻遊社さん、白樺さんなども、当然回られたはず。

淋しいことに、この中でいまも店が残っているのは、由縁さんだけになりました。

その一方、下北沢には近年になって、ほん吉さん、クラリスさん、明日さんが出店。組合非加盟店も入れると店舗数は増えています。「流し」のお客さまが、増えてくれることを願うばかりです。

konoinfo at 18:30|PermalinkComments(0)

2017年07月29日

Summertime

夏には暮らしが楽になる、というあの歌。

それは黒人奴隷たちの、日々の暮らしの辛さの裏返しの表現でもあったわけですが、いろいろなバージョンで聴くたびに心にしみる歌です。

とりわけあの振り絞るようなジャニスの声。大学生の頃、初めて聴いた時はかなり衝撃を受けたものでした。

RIMG2039しかし人の記憶はいい加減なもので、今の今まで、それが店主も持っていたアルバム『パール』に収録されていたと思い込んでいました。

ネットを検索して調べてみて、その間違いに気づいたのです。ではラジオで聴いただけだったのでしょうか。もっと頻繁に耳にした覚えがあるのですが。

まあ、どちらでも良いことです。なぜこの歌の話を始めたか。それは、夏場、暮らしていくのが少しも楽でない、ということを言いたかったからです。

むしろ小店にとって、夏こそは恐怖の季節です。日ごろ、あんなに学生さんが来ないと愚痴を言っているくせに、夏休みを怖れるのはおかしな話かもしれません。

しかし学校が夏季休暇に入るとともに、たださえ少ないご来客が、目立って減りました。何だかだ言っても学校関係者のご利用が、小店を辛うじて支えてくれているのだと、改めて思い知らされます。

暑さ以上に堪えねばならないものがある夏です。

konoinfo at 18:30|PermalinkComments(0)

2017年07月28日

ターナーの日

ターナーはあのJ. M. W. Turner。今日の明治古典会に、ターナーを中心とする英国挿絵本の一口が出品されました。

RIMG2106カーゴにして2台。大判の本が多いので、冊数にすれば200冊程度のものだったでしょうか。それでも全体の半ば以上は、人気の高い時分なら1冊で10万円を超えていたような本ばかり。

蔵書の持ち主は、かなりの金額をつぎ込んで集められたことでしょう。しかし少なくとも我が国においては、バブル崩壊この方、景気の縮小した中で、ターナーにも挿絵本にも、かつてほどの人気が、失われています。

また少し辛口に見ると、今日の一口、なかなかのコレクションではあったのですが、超一級品と呼べるようなものは、残念ながら含まれておりませんでした。

そんな事情も重なって、落札金額の合計は、旧蔵者購入価格の10分の1にも達しなかったと推測されます。それでも、今日一番の口ではありました。

ひとつ残念なのは、仕分けが細かすぎた点です。買い手側にとっては、欲しい本だけ入札できるというメリットもありますが、洋書のように、もともと入札者の少ない本は、よほどのものでないと札が競りません。

それでふと考えました。同じ本を、同じ仕分けで洋書会に出品したら、おそらく出来高は今日より少ないことでしょう。入札者自体が少ないからです。だから洋書会なら、もう少しまとめて、札が競い合うように仕分けたでしょう。

ただ、それで結果はどうなったかというと、そこは神のみぞ知るところですが。

konoinfo at 21:48|PermalinkComments(0)

2017年07月27日

南部支部の総会

今日は午後2時から南部支部総会。南部支部って何?とか古本屋さんがなぜ総会?というご質問はあるでしょうが、その説明は省きます。ご興味のある方は「東京の古本屋」をご覧ください。

KIMG0078さて支部総会。「四万六千日、お暑い盛りでございます」という、あの文楽の一言が思い出されるような炎天を、五反田駅から南部地区会館まで歩くのが毎年のきまりでしたが、今年はちょっと違いました。

昨日から曇りがちの空で、それまでの猛暑が一休み。これなら支部の先輩方も、ご出席し易かろうと、久々の拝顔を楽しみに出かけたのでした。

しかし着いてみると思惑は外れ、店主より年上は数えるほど。もっとも年下も数えるほどで、近年でも出席数の少ない総会となったのです。

そもそも支部員数自体が、昔よりかなり減少しています。ひと頃160名を超えていたのが、今期末では113名だとか。それに対して出席者30名。これは支部役員さんたちも含めての数ですから、一支部員としての出席はさらに少ないことになります。

委任状が52通で総会は成立しましたが、議事終了後、議長自ら出席者の少なさに敢えて苦言を呈されました。いずれ支部機関誌に議事録が収録されますから、それを読んでもらえることを期待して。

支部長からは、2019年の南部支部創立50周年にあたり、何か記念行事を考えるべきかという問いが投げられました。

出席者は一様に前向き。しかしまず支部員の意見を広く聞き、案をまとめて来年の総会に提出するということで承認されました。

konoinfo at 19:30|PermalinkComments(0)

2017年07月26日

戻った定期

駅の改札出口近くで、PASMOを拾ったことがあります。落として間がないようでしたが、それらしい人影は見当たりません。

表側を見ると名前が印字してあります。すぐ近くの窓口におられた駅員さんに渡し、駅を出ました。

滑りやすいパスケースがあります。店主も何度か落としそうになったことがあり、一度などはスルリと落ちたその勢いで、駅構内の床を滑って、どこかに消えてしまったこともありました。

KIMG0074失くすだけなら大きな被害にあうことはありませんが、見つかるに越したことはありません。少しでも早く、落とし主の元に戻ることを祈ります。

というのも、大きな被害でこそありませんでしたが、実害を被った例が、最近、我が家族にあったからです。

上の娘が、定期付SUICAが見当たらないことに気づいたのは、ある週明けの朝。出かける前の支度の最中です。時間がなかったのでその日、家に戻ってからあらためてあちこち探したのですが、やはり見つかりません。

最後に定期を使ったのは週末、バスで帰った時。そこで念のため落し物がなかったか、バス会社に尋ねました。

すると、そこには届いていなかったのでしたが、後日、連絡が入り定期は無事戻りました。しかし、チャージされていたはずの金額はゼロになっていたそうです。使い切って捨てたのでしょう。

油断のならない世の中です。

konoinfo at 19:30|PermalinkComments(0)

2017年07月25日

蔵の本 警告篇

「鎌倉の蔵書話」に乗ってはいけません。

もう少しはっきりと書いておくべきでした。ただ言い訳をすれば、店主自身、日曜日の約束の時間まで、万に一つの可能性は捨てきれなかったのです。

今日、同業のツイッターに「鎌倉まで行ってみたが目指す家は見つからなかった」というようなつぶやきを見つけました。電話もメールも通じなかったとか。おそらく、いや間違いなく小店に来たのと同じ人物でしょう。

出かけて行って空振りだったというだけなら、まだ笑い話で済みます。問題は「志功の手紙」のたぐいを買わされていないかです。紛れもなく贋物ですから。

騙されるのは目が利くかどうかの問題ではありません。オレオレ詐欺でも同じことで、どんな目利きでも、何かのきっかけでふと信じてしまうことがあるのです。

RIMG2035店主が被害を免れたのは、過去に贋物被害に遭った同業たちのおかげです。彼らから、いろいろと話を聞かせてもらっています。どんな手口で、どんなものを持ち込むか、などについて。

皆、店主などより自筆物に詳しい人たちです。それでも騙されました。隠しておきたいような自身の恥を、あえて語ることで、仲間に警戒の心を植え付けてくれたのです。

そこで店主からもひとこと。

まるでその値打ちを知らないような顔で、古本屋が喜びそうな旨い話を持って来たら、まず眉に唾をつけること。一旦冷静になれば、話の不自然な点や、つじつまの合わないところが見えてくるはずです。

konoinfo at 19:30|PermalinkComments(0)

2017年07月24日

蔵の本 その2

「持ち主に宛てて何かいろいろ書いちゃってる本なんかでもいいですか」「もちろん構いませんよ」

すでに疑念のきざしていた店主が適当に相槌を打つと、男性は大型封筒の裏を見せます。そこには鉛筆で、見知った名前が書き込まれていました。

「ざっと書き出してきたんですが」というその蔵書メモは「多く見られる名」などと書かれた後に「文学界の人たち」「島崎藤村」「森鴎外」「夏目金之助」「正岡常規」その他、その他。疑いは殆んど確信となりました。金之助と常規がご愛嬌です。

これまでご当人の口から、具体的な書名や著者名などはまったく出ていません。「なんだか分からないけど古いものがあって、とにかく処分したい」という言い方でした。

それがここへきて「書いたものがある」「いくらくらいのもんでしょう」というような話になってきたのです。それでいて店主に見せた封書については、「志功」のシの字も口にしていません。

「見てみなくちゃわかりません」と答えると「じゃあ、それなんかはどうですか」と初めて尋ねてきました。あくまで名を言うことを避けながら。

「名前が大きすぎて、ちょっと値をつけるのは難しいですね」このあたりで男性も、店主に脈がないことに気づいたように思います。

KIMG0073話は「鎌倉の蔵書」に戻り、どうやったら運べるかという算段になりました。「明日、ついでがあるので姪の車に積めるだけ積んで持ってきます。午後3時頃になりますが」

そして昨日の日曜日。もちろん、3時を過ぎても4時になっても、男性はお出でになりませんでした。万が一という期待が、ないこともなかったのですが。

konoinfo at 19:30|PermalinkComments(0)
Profile