2017年03月26日

引取り先

この年度末は、研究室からの引取りが一つもありません。必ずしも有り難いお話しばかりとは限りませんが、なければないで、淋しい気もいたします。

退職される先生が一人もおられないということはないと思いますから、あるいは「古本募金」が大賑わいにでもなっているのでしょうか。もっとも、彼らの向こうを張ろうという気にはさらさらなれませんが。

先日も、あるご婦人から、ご主人の院生時代の専門書を引き取ってもらえないかというお電話をいただきました。30年ほど前の本だということです。

お断りしておきますが、これは駒場とは無関係の話。30年前の専門書というだけで、まず腰が引けます。さらにお話を伺っていくと、「マル・エン全集が20数冊ある」とか。ご専門は経済学、それもいわゆるマルクス経済学。

KIMG0192そうと聞けば、ほとんどの古本屋は尻込みすることでしょう。やがて、何軒か懇意にしていた古本屋があるというお話をされました。

そこで、そうしたお店に頼まれたらいかがかと申し上げると、かつてある業者が引き取りに来たことがあるとおっしゃいます。どうやら今回処分したいのは、その時に「自店向きではないから」と残して行った本のようです。

丁重にご辞退申し上げますと、どこか紹介してもらえないかとの仰せ。それも控えさせていただきました。

「古本募金」をご紹介すれば良かったでしょうかね。

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2017年03月25日

就活アドバイス

就活の季節なのですね。今がたけなわなのか、もはや終盤なのか、その方面に疎い店主には全く分かりませんが。

KIMG0190我が家の3人の子たちは、事情はそれぞれながら、いずれも就活というようなものをほとんど経験しないまま、社会人の端くれとなりました。ですからその大変さも、世間話に聞く程度の知識しかありません。

店主自身にもまともな就活経験はありませんが、仮にあったとしても、すでに半世紀近くも前の話では、何の比較にもならないことでしょう。要するに、就活知識ゼロという店主であります。

そんな店主が店番をしていた先週の土曜日、一人の女子学生が大きな角封筒を手にして店に入ってきました。

郵便局の場所をお尋ねです。200mほど歩いた先にありますが、今日はお休み。そう伝えると、手に持った採用申込書封筒を送りたいが、重さを量れないので料金が分からない、と困ったご様子。

重さなら量ってあげましょうと、小店のはかりに載せ、ついでに料金も調べて差し上げました。居合わせた家人が気を利かせて、店の切手を料金分お譲りすると、喜んで出て行かれました。

そして今日、同じ女子学生さんが、またも角封筒を抱えて入って来られ、先日のように重さを量って、切手を売っていただけないかとの仰せです。

切手は販売しているわけではないと、ひとこと釘を刺したうえで、ご要望に従いましたが、もし来週また来られるようなことが有ったら、知識ゼロの店主ながら、いろいろとご忠告申し上げたい気分でおります。

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2017年03月24日

反ったヴェラム

今日の明治古典会は、やや少なめの出品量。それでも最終台にケルムスコット・プレス本が数点並んでいたりして、終わってみればまずますの出来高でした。

そのケルムスコット版、市場に出品されていると、必ずと言っていいほど表紙が反っていきます。もちろんヴェラム装の場合に限られますし、ヴェラム装の本であれば、どんな本でも多かれ少なかれ、同じように反るのですが。

一旦反ったヴェラムを元に戻すのは大変ではないか、というのは、店主自身の経験から思うことですが、店主はケルムスコット版を扱った経験がありませんので、ことケルムスに限っては案外簡単に押しのばせるのかもしれないとも思います。

それは余りにも容易に、しかも短時間に反りかえる場合が多いからです。さらにはそうして反った本に対し、入札する人たちがさほど意に介していないように見受けられるからです。

考えてみれば、初めから大きく反った状態で出品されることは殆んどないので、しばらく保管しているうちに湿分が戻って、反りが解消されるのかもしれません。

一度手に入れて、反りを戻せるかどうか自分で試してみたいところですが、簡単に手の届くようなものではありませんから、想像してみるばかり。

RIMG1785ただ、今日も反りかえったケルムスコット版それぞれに、何枚もの札が入って、どれも良い値段で落札されておりました。

いよいよ手に入れて試してみたくなりましたが、しかしどうせ手に入れるなら、反っていない本が良いですね。

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2017年03月23日

年代物ソフト

RIMG1784小店では在庫管理、販売管理などに「The Card」というソフトを利用しておりますが、このことは以前にも何度か書いておりますから、あるいはご存じの方もおいでだと思います。

このソフトはすでに販売およびサポート終了から長い年月が経ちますが、今日まで、数度にわたるOSのバージョンアップにも耐えて、無事に動いている優れものです。

データベース機能自体は「日本の古本屋」に用意されているシステムに、次第に比重が移りつつありますが、宛名ラベルや帳票の印刷といった作業は「The Card」の方が、まだまだ数段便利。というわけで領収書、納品書などはこの「The Card」で作成しております。

ところが、さすがに近ごろ、ちょくちょく不具合が生じるようになりました。先日も複数点の明細をデータ連携で読みこませているうち、エラー表示が出て強制終了。再び開いても新たな入力ができません。

やむなくフォームを再作成し、どうにか回復――と思っておりましたところ、日付のデフォルト値が2016年に戻っているのを見落としていたのです。

気づいたのは昨夕。エラー発生後、昨日までに発行した領収書は16通。

そのすべてを再印刷し、封書にして郵送。それに先立って全16件のお客様に「お詫びとお知らせ」メールを送信。それだけで、今朝の1時間余がつぶれました。

愛すべき「The Card」ではありますが、そろそろ帳票印刷機能を「日本の古本屋」に求めたい気持ちが強くなってきました。

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2017年03月22日

英語の達人

『トム・ジョウンズ』は日本語訳なら岩波文庫で4冊。ウェズレイアン版のフィールディング作品集だと2冊で千頁を超える長編です。

tomjonesと、そんな話を始めるのは、いま手元にその2冊があるから。1975年という刊行年が、標題の下に記されています。

イタミもヤケも少なく、ジャケットには薄いoppが被せられていて、なかなか良い状態。しかしBookFinderで調べると、図書館旧蔵本など、かなり安い価格が付けられているものもあります。

その価格では本が気の毒と思いながら、状態に関する記述を見較べつつ、まあこのあたりだろうと売り値の見当をつけました。

そしてもう一度、何気なく本を開くと、裏見返しの遊び側に薄い鉛筆でERRAT p.38という書き入れ。

興味を惹かれてそのページを開くと、余白に同じ鉛筆で、挿入を指示する校正記号とsの文字。その位置の行を目で追っていくとmispendという単語のsとpの間に挿入記号。つまり正しくはmisspendであろうと、訂正していたのです。

もう一つの巻にも同じような誤植訂正が数箇所なされていました。しかしそれ以外に線引き書入れはほとんどナシ。本のイタミの少なさからして、さほど時間をかけずに読み終えられたはずです。

あらためてこの本の持ち主だったK先生の英語力に、畏敬の念を抱きました。

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2017年03月21日

クレイマー店主

こんなメールを出しました。

今朝、ガレージ前に車を止めて家族が乗るのを待っていると、後ろから「バスが出られないのでもっと前に出してください」とマイクで、強い調子で注意されました。
毎朝この時間帯、頻繁に来るバスの間隙を縫うようにして、出来る限り邪魔にならないよう車庫出しをしているつもりですが、このような警告を受けたのは初めてです。
しかし、他の運転手さんも、日ごろから同じように思っておられたのかもしれません。
だとすると、お互いがストレスを抱えているわけです。
我が家の前にバス停が出来るとき、設置場所について、事前に何の相談も受けませんでした。事後、1度か2度、元からあるガレージへの出入庫に対する配慮を、お願いした記憶があります。
RIMG1783それでも今回のようなことがあると、あらためてバス停移動をお願いせざるを得ません。
この件に関する誠実なご対応を、お願い申し上げる次第です。


即日、こんなお返事をいただきました。

平素○○バスにご高配いただきましてありがとうございます。また弊社ホームページよりご意見をいただきましてありがとうございます。
この度は、弊社バス乗務員の対応について、ご不快な思いをお掛けいたしまして誠に申し訳ございません。
管轄営業所の管理者より、先刻お電話をさせていただき、ご家族様にお詫び、お話しをさせていただいた次第でございます。
今後、ご不快な思いをお掛けしないよう努めてまりますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。


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2017年03月20日

一念発起

小店には、店の部分と同じくらいの広さのバックヤードがあります。しかしながら、せっかくのそのスペースが、ほとんど生かし切れていないのが実情です。

いろいろな計画のもとに設けた場所でした。在庫の保管場所としてだけでなく、ネット受注品の発送など、さまざまな作業もそこで出来るはずでした。

何しろこの店に移った当初は、店を閉めた後、多少窮屈ながら本棚に囲まれた一角で、4、5人がテーブルを囲み、食事までできたものでした。

ところがその一角は、あっという間に本に埋もれ、以降長い間、そこにテーブルがあることさえ分からないような状態になっております。

RIMG1781それがあるきっかけから、この場所を片付けようという機運がにわかに起こってまいりました。今さらではありますが、単なる物置と化していては、そのスペースは家賃を稼いではくれません。

昨日から重い腰を上げて、まず手前の方から本の山を崩しにかかりました。すると早速のご褒美が。

崩した山の中から、以前ご注文を受け、どうしても見つからなくて在庫切れのお返事を出した本が1冊、ひょっこり姿をあらわしたのです。

すぐにメールでお知らせし、ご注文をいただくことが出来ました。お代は3000円。

これに勢いを得て、この先、作業がはかどりますかどうかは、まだまだ予断を許しません。

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2017年03月19日

古いお馴染み客

RIMG1779なつかしい先生がご来店になりました。小店の、かなり初期からのご常連様。それほど頻繁にということではなく、年に何度かといった程度でしたが、来られるとある程度まとめてお買い上げくださいました。

それがいつからか間遠になって、年に1度お顔を拝見するかどうかとなり、今回は3、4年、もしかしたら5年ぶりくらいになるかもしれません。

上智大学に籍を置いていらした、アイルランド生まれの先生です。「久しぶりですね」と話す日本語も、かなり流暢になられました。

それもそのはず「昭和58年に日本に来ました。もう34年になります」。ご自分からそんな話をされ、それに続けて「最初からここに来ました」とおっしゃいます。

やや意味を図りかねるお言葉でしたが、小店の開業年は昭和58年ですから、話は合います。ただ、おそらくは、随分昔から来ていると、おっしゃりたかったのでしょう。

そんなお馴染みの先生なのに、久しぶりだったせいか、お名前が出てきません。お話をしながら焦りました。というのも、いつも領収書をお書きしていたからです。

幸いなことに先生、ゆっくり店内をご覧になり、ある本を椅子に座って読み始めたりもされたおかげで、ふとした瞬間、忽然と思い出すことが出来ました。

さてお会計となり、勇んで「領収書は」と申し上げると、「もう学校も退職しましたから、どこからもお金は出ません」。本だけを受け取って、お帰りになりました。

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2017年03月18日

お持ち込み2件

「買ってもらえますか」とおっしゃって、ビニール袋から洋書を1冊取り出されました。30代くらいでしょうか、若い男性です。

オックスフォード大学出版局から刊行された、古典哲学の研究書。刊行年も比較的新しいハードカバーの本。

「そこらの本屋に売るよりはと思って持ってきました」とおっしゃっていただいたので、市場で買う時のことを考えて、値を申し上げました。

すると呆れたような声で「申し訳ないですが、他に持って行ってみます」。そうおっしゃって、さっさとお帰りに。よほど、想定と開きがあったようです。

RIMG1782良い値で引き取ってくれる店があることを祈りますが、洋書の買取値が日本書に比べて安くなるのは、やむを得ないことですから、今回の経験でそのあたりをご了解いただければ、次からは驚かれることもないと思います。

夕方近くなって、車に美術書を積んで、ご夫婦らしいお客様が来られました。

ワンボックスカーの後部に20束ほどが縛られて、積まれています。そのままの状態で拝見し、中に1冊でもお引き取りできるものがある束を、10束ほど選んで引き取らせていただきました。

お代を申し上げると「いただけるんですか」と驚かれたご様子。小店で処分することになる本が多いことを、恐縮されながらお帰りになられました。

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2017年03月17日

インフルエンサー

インフルエンサー(Influencer)という言葉を、昨日のTKI会議で耳にしました。単語自体の意味は想像が付きます。インフルエンザ(Influenza)と同根の語だろうということも。

ネットの世界では、フォロワーが何千何万といるようなブロガーやツイッタラーのことをそう呼び、マーケティングの対象として注目されているようです。

何を今頃と思われる方もおいででしょうが、そういう人々に、特定の文言をつぶやいてもらうことを目的とした広告が、あるのだそうです。

RIMG1778その文言をつぶやき、それがリツイートされたりすると、その数に応じてインフルエンサーにお金が入ってくるという仕組みで、アフィリエイトの一種といえるでしょうか。

以前「日本の古本屋」のサイト閲覧数が短時日、急増したことがありました。どうやら誰かのツイートが原因らしいと分かりましたが、それがインフルエンサーです。

そういう人々に、もっと取り上げてもらおうというのが広告の目的ですが、たとえ微々たるものとはいえ、そこにお金が絡んでいると分かると、何やら白けてしまうのではないかと、店主などは心配してしまいます。

それでなくとも、そうしたインフルエンサーには、ぜひこれを取り上げてくださいというような依頼が、引きも切らずあることでしょう。

幸か不幸か、店主のところにそうした話は、まだ一つもありません。

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