2017年04月28日

二週連続

今日も賑やかな市会でした。4月も最終金曜日となり、明治古典会は特選市。

その冠のおかげでしょうか、ふだんよりワンランク質の高いものが集まっていた――ような気がします。

RIMG1888量で圧倒していたのは、某有名デザイン事務所から出たという、大判の美術・デザイン系書籍カーゴ4台。聞くところによると、エレベーターなしの4階から搬出したそうです。

仕分けられ、並べられているのを見ただけで、店主など腰が痛くなってきました。運びだしは4人、運び込み、仕分けして陳列するという作業はほぼ2人で行ったという話です。

その熱意か品物の質か、大型本不人気の昨今にあって、まずまず良い値になっていました。

店主が気になったのは明治期ボール表紙本の口。荷主さんの仕分けが細かすぎた気はしますが、この時代の本としては比較的保存状態の良好なものが多く、どれも多くの札が入っておりました。

店主も何点かに札を入れてみましたが、幸いにして一点、手に入れることが出来ました。

しかし今日の一番の話題は、なんといっても先週に続いて恩地孝四郎の『飛行官能』が出品されたことです。何年も市場で見かけなかったような本が、二週続けて現れるというのも不思議な偶然です。

しかも今週の本も美本。特選市恒例のフリに掛けられましたが、落札価格が先週の入札による落札価格とほとんど同じという、味な結果に終わりました。

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2017年04月27日

腑に落ちない

森友学園問題で例の財務省高官は、書類はすべて破棄して記録は残っていない、終わってしまった話だから1年経てば捨てるのだと、ずっと言い張って来られました。

それに対して昨日か一昨日だかの新聞で、別の役所の人の談として、貸しているものならその期間中は書類を残しておくのが普通だ、というような記事が載っていました。

思わず膝を打ちました。店主もそれが普通のように思います。しかしそれに対しても、きちんと払うという約束で契約書が出来ているから、交渉記録は残っていないと答えておられるようです。

店主は12年前、東京古書会館を建て替える際、公的融資を受けるために面倒な書類を作成し、お役所と折衝するメンバーの一人でした。

組合の場合はお金を借りたのだから、話は別かも知れません。しかし15年にわたり毎年借金を返済するということも、10年契約で借りた土地の地代を毎年払うのも、国(組合の場合は国と都)の財産を借りている点では似たようなものではないでしょうか。

組合は返済開始から9年、一度たりとも滞ったことはありません。けれどもその間、毎年のように都の担当者が経営状況の視察に来ておられます。

また会館竣工から何年か経って、当時の国側の担当者とお目にかかる機会がありましたが、何度か開いたヒアリング会議のことを、よくご記憶で、さすがは国家公務員と驚いた覚えがあります。

RIMG1825きちんと約束したからといって、記録を破棄するというのは腑に落ちない。百歩譲ってそうだとしても、関係者の誰もが何も記憶していないということは、まずありえない。

責任をもって担当した事案であれば、覚えていて当然。忘れたとしたら、ごく都合の悪いことだったのでしょう。

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2017年04月26日

良くご存知ですね

花田清輝の本を探している――という外国人留学生と、少しばかりお喋りをしました。

時々お見かけしていた男性です。「外人さん」の年齢は分かりにくいのですが、30歳前後でしょうか、駒場の「表象」で学んでおられるらしい。聞くところによると、研究対象としているのは飯沢匡だとか。

あの飯沢さん(といってももちろん面識はありません)が研究の対象になるのかと、いささか感慨を覚えて、しばしの立ち話となったのでした。

彼の喜劇論に興味があって、少しばかり著作を読んだこともあります。「刺青擁護派の人ですね」と言うと目を丸くして、「たいていの人は飯沢と言っても、誰それ?と聞き返されます。良くご存知ですね」。

外国の青年に驚かれるのも不思議なものです。店主より上の世代なら、まだ「ヤン坊ニン坊トン坊」の作者といえば、覚えている人も多いでしょう。

しかし確かに、今どきの学生仲間に話せば、そんな反応が返ってくるのは間違いありません。

RIMG1822それにしてもなぜ、と直截に尋ねるのも憚られましたので「そのテーマはご自身で見つけられたのですか」と伺うと、「そうです」と答えた後、「初めは井上ひさしをやろうかと思ったのですが」。

さしもの表象でも、まだ材料が新しすぎると指導を受けたのかもしれません。

考えてみれば飯沢は花田と同世代のはず。調べてみると同年生まれでした。「飯沢匡論」があっても不思議ではありません。楽しみに待ちたいと思います。

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2017年04月25日

おまけ付き

RIMG1881夕暮れ時、店の前のハナミズキの枝に、スズメが2羽とまって何かをついばんでいました。

のどかな駒場。そういえば、昔に比べてカラスの数が減った気がします。小鳥たちには住みよい街かも知れません。

今日は月当番最後となる洋書会。4週続いた火曜日朝の慌ただしさも、一旦は本日で終了です。

出品量は少な目ながら、最近としてはまだ量があるほうでした。ただ、今回もほとんどの出品が仕分け済みでしたから、並べ終えたら当番の仕事はありません。

その時間をじっくり入札にあてました。

並べるときから一番気になっていたのは、プレイヤード叢書が20冊ほど入った口。いずれも比較的新しい版で、状態も良い。ただ端本も目立ちます。

端本と言っても、続き物ではありませんから、独立した巻として売れるはずです。

それより問題は、このほかに、ポケットブックが200冊以上おまけに付いていること。こちらは必ずしも良い状態ではありません。

もしそうだったら、プレイヤード版だけ別にさせてもらったところです。しかしこの状態では分けると札が入らないかもしれない。やむなくそのまま出品。そして入札。

一番の下札で落札出来ました。ありがたいと言えばありがたいのですが、ポケットブックの整理が、明日また一仕事になりそうです。

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2017年04月24日

あるディスプレイ納本

さる美術館に出来る喫茶店に、ディスプレイとして並べる洋書が欲しいというご注文をいただきました。

お話しを聞いてまずご提案申し上げたのは、単に飾りとして見た目の良い本ではなく、場所柄にふさわしい本を並べたらどうかということ。

ご異存ないとおっしゃいます。さらに必要な冊数、ご予算を伺うと、何とかなりそうな額でしたから、お受けすることにいたしました。

そこで美術書の棚から、ある程度見栄えがしてヤケシミの目立たない本を、およその一冊単価で見当をつけながら抜き出して見ました。

もちろん、棚に挿してから一定期間以上経ったものを選びました。その中でも常備すべき本の場合は、複数在庫があるものに限りました。

所詮は限られた在庫の中から選び出すのですから、おのずと限度があります。それでも、それなりに恰好がつくよう苦心いたしました。

RIMG1880とまあ熱心に本を選んで見たものの、結局のところディスプレイであることに変わりはないのではないか。そんな思いもないではありません。

今回は数十冊のことですが、かつて大学図書館新設ラッシュのころは、この何倍もまとめて納めた古本屋さんもあったという話は良く聞きます。

しかし、そうして納めた本だって、半ばディスプレイだったかも知れないとも思うのです。

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2017年04月23日

スマホ対応

RIMG1878キャリア決済という言葉をご存知でしょうか。

クレジット決済がクレジットカードで支払う方式なのに対して、キャリア決済はスマホなどの契約先を通じて支払う方式。

つまり月々の通話料と一緒に引き落とされるわけで、結局はクレジットで支払うことに変わりはないのですが、これが現在、大変な勢いで増えているようです。

どこが違うのかというと、スマホなどで買い物をするときの簡便さが違うらしい。要するに画面遷移の回数が、いくらか少なくなる程度と思われますが、それだけでも大違いなのでしょう。

さきにスマホ対応を始めた「日本の古本屋」では、次なるスマホユーザー対策として、このキャリア決済にも取り組もうと考えています。機会損失を防ごうというやつです。

その話し合いの中で、誰かが「店で買ってもらう時に、スマホで決済してもらえるかも」と言いましたところ、すかさず別の誰かが「それより現金の方がいい」。

店頭での買い物はともかく、スマホで検索してスマホで決済という人には、便利になることは間違いありません。ただ実際は、そのためには書店の側も送料明示など、それなりの対応が迫られます。

売上増にどこまで貢献するかは未知数ながら、クレジット決済画面の改修を迫られている今、併せてやっておこうということのようです。

しかし小店などでは依然として「日本の古本屋」で見たとおっしゃって、電話、ファックス、さらには葉書をいただくことも多く、スマホ対策の効果が感じられるのは、まだまだ先のことになりそうです。

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2017年04月22日

内税外税

最近、お客様から「税込ですか?」というお尋ねを受けることが多くなった気がします。

とりわけ表に並べている100円、300円というジャンクおもちゃや、100円均一の文庫本をお買い上げくださるお客様から。まれに、黙って小銭を別に出される方もおられます。

消費税導入以来、その表示方法については国の指針に振り回されてきました。総額表示を義務化して推し進めていたのは、ついこの間のような気がします。

しかし税率変更が続くうち、小売り側の圧力に負けたのか、その義務が次第に緩やかになり、本体価格プラス税額表示が支配的になってきました。

値ごろ感を出したい気持ちは分かります。しかし支払う段になって、騙されたような気分になるのも確かです。しかし消費者も、それに慣らされてきたからこそ、冒頭のようなご質問となるのでしょう。

RIMG1871こうした世間の風潮に合わせ、古書即売展でも外税表示にしたいという同人会が現れました。過日の即売展日程会議で熱弁をふるって、その必要を説いたものです。

良く聞くと妙な理屈も混じっておりましたが、まあその気持ちも分からないではない。しかし、多くの即売展が同じ会場で開催されるのに、会によって外税、内税に違いがあるのは混乱のもとです。

そこで次に開かれる会議までに、各即売展の意見を集約することになり、先日その会議がありました。結果は言いだした会以外は、全て内税方式、つまり現状のままを希望。

大山鳴動という結果に終わりました。「洋書まつり」としてもホッとしております。

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2017年04月21日

明古の熱気

なかなか明治古典会らしい市でした。いわゆる黒っぽい本が多く、さらに紙もの(地図・版画・資料類)も、たくさん出品されていました。

特に最終台(一番最後に開札される陳列台で、ここに載せるものを特陳品といいます)には、稀覯初版本から戦前児童雑誌の組立付録といったようなものまで、それぞれ珍しいものが、選りすぐって並べられておりました。

とりわけ関心を集めたのは『飛行官能』という、版画家として著名な恩地孝四郎による写真集。本書については、国立国会図書館デジタルコレクションで中身も参照することができます。ご興味のある方はどうぞ。なるほど現在、こういう本の人気が高いのかと分かります。

RIMG1874実際、今日一番の、驚くような高値で落札されたのですが、開札時間ぎりぎりまで、何度も札を書き改めては入札する業者も多く、はたで見ていても熱気が伝わってきました。

胸おどらせて入札し、固唾をのんで開札を待つという心境を、店主は絶えて久しく味わったことがありません。うらやましく眺めるばかりでした。

落札者と落札額が発声され、驚きと落胆の輪が広がる中、ただ一人の勝者は勝者で、喜びとはうらはらに多少の不安も頭をもたげたことでしょう。しかし近頃では、すでに注文を取っている場合もありますから、店主などが余計な心配をするまでもないのかもしれません。

それにしても、いつもながら気になるのは、こうした人気商品には、数多くの手が伸びることです。秘蔵されていたような美本も、この一日で何十人もの手に触れられ、場合によっては傷んでしまうことさえあります。

業者なら誰でも手に取って見られるという良き慣習にも、改善が必要な時期が来ている気がします。

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2017年04月20日

4月定例会議

午後2時から7時まで、4月のTKI定例会議は、5時間の会議となりました。

振り返ってみると、格別紛糾した問題があったわけではなく、ただ話し合うべき議題が多かったということに尽きます。それでもいくつか、時間を要した件があって、その一つにセキュリティ対策がありました。

いたちごっこのように巧妙化するサイト攻撃に対抗するため、「日本の古本屋」でも新しいセキュリティソフトの採用を決め、すでに数か月前に一旦は導入しました。

しかしそれによって、一部のパソコンでは「日本の古本屋」が見られなくなる、管理画面が使えなくなる、という事態が生じました。

ご利用客もさることながら、これを命綱ともしている古本屋にとっては、まさに死活問題です。急きょ利用を停止し、以前のソフトに戻して、原因と解決法を探りました。

RIMG1837その結果明らかになったのは、Windowsの古いバージョン(XPなど)に起きる現象であり、これを解決するには、そのバージョンをあきらめるしかない、つまり新しいOSのパソコンに買い替えてもらうしか、ほぼ術がないことが分かったのです。

要するに、古いOSのセキュリティーホールは、現在手に入る対策ソフトの防衛対象外だということ。業界人にはほぼ常識らしいのですが、われらが同業にこれを納得させるには、なかなか骨が折れます。

言葉を尽くして了解してもらおうと、その文面を作り、通達を出すまでに長い期間がかかりました。そしてその文案の仕上げをしたのですが、短いその文を確定させるためだけで、ゆうに30分はかかったはずです。

一事が万事、こんな具合で、気が付けば午後7時というわけでした。

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2017年04月19日

『古書の道』

sara思いがけなく同業の大先輩、沙羅書房さんから、記念誌をご恵贈いただきました。創業五十年の節目として出版されたものだそうです。

A5判上製布装カバー付251頁の立派な造本。ご本人のお仕事ぶりそのままに、本格正統の体裁となっています。

おもな内容は「沙羅書房五十年の歩み」と「沙羅書房古書目録掲載善本集」。まさに読んで字のごとく、沙羅書房半世紀の記録です。

そこから明らかになるのは、ご自身の絶大な努力と、いくつかの幸運なめぐりあわせ。

店主など伝説としてしか知らない、オイルショック前後の本が飛ぶように売れた話などを読むと、つい遅れてきた身の不運を嘆きたくなります。

しかし同時代の古本屋さんが、全て沙羅さんのように成功されたわけではないことを思えば、やはり幸運をつかむのも努力の結果。当たり前のことですが。

店主にとっては、立派な目録もさることながら、話に聞いていた様々な業界エピソードを、あらためて文字で確かめられたのが喜びでした。

それにしても、日ごろはご挨拶するだけで、お話しする機会もあまりない店主あたりにまで、なぜお送りくださったのでしょう。

以前一度ビニール傘をお貸しした、そのお礼だとすれば果報に過ぎます。あるいは、いつまでもうだつの上がらぬ後輩に対する、励ましなのでしょうか。

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