2009年01月

2009年01月11日

古書の愉しみ

本を整理していて、フト手が止まることがあります。
なんと言うこともない本だけど
何か不思議な雰囲気がある―
この一冊もそう思って表紙を開けると
見開きに古いペンの書き入れ。
戦争1






どうやら成瀬正一が久米正雄に贈ったもののようです。
本はクノッフ社1916年刊のアルツィバーシェフ作『戦争』
四幕劇の英文翻訳書。
その後、別の人の手に渡ったらしく
扉にアルフレッド・クノッフの死亡記事が貼り付けてあり
それによると同社の設立は1915年。
この本が、大学を出てすぐ設立したという
若きクノッフ、23歳の出版物と知れました。
成瀬がこれを手に入れたのは1917年のニューヨーク、当時25歳。

小さな一冊からあれこれ思いをめぐらせ
しばし楽しませてもらいました。
戦争2

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2009年01月10日

短日

日差しは明るく風は冷たい。

店を開けてから、南部の入札市に。
こちらも初市、今年初めて顔を合わせる同業に
新年の挨拶で忙しい。
柔道家旧蔵資料一括という珍しいものが出ていたが
小店の興味を惹く分野ではなく
気になったもの二、三点の入札にとどめる。

久しぶりにこの市で一緒になったNさんMさんと
これまた久しぶりにefで昼飯を。
一時期これが月一の例会のようになっていたが。

戻るとお客様から買い取り希望のダンボールが四箱。
土曜日をお願いしているお店番は三時で帰って
そういえば、月曜日まで世間は三連休
これから一人でゆっくり店番できそうなので
荷物の整理などはじめるつもりです。

と書いている間に、別のお持込みがあり
応対などをしているうちに、外が暗くなり始めました。


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2009年01月09日

新年会

明治古典会は今日が初市。
地方荷(東京以外からの出品のことです)の
良い一口ものなどがあって、まずまずの賑わいでした。

片付けを終えて、午後6時半から恒例の新年会。
今年の会場は六本木で中華系、
出席者は20代から80代までの35名。
会員と、現場のお手伝いをしていただく経営員です。
ちなみに男性33名女性2名、
最近業界に女性が増えてきたとはいえ
交換会運営に参加してくれる方は、まだ稀れです。

今夜は車で店から家まで戻る都合があり
もっぱらウーロン茶。
それでも元来、飲んで格別ハイになる質ではなく
飲まなくても十分に楽しむことが出来ました。

冷たい雨のなか、店に帰り着いて
これから今日一日の残務整理です。


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2009年01月08日

ディテール

映画やテレビで本が映る場面があると
つい注意がそちらに向いてしまいます。

苦心していることは分かります。
昔の話だからといって古びた本を並べても
その当時から古びていたわけではないだろう
と突っ込まれるでしょう。
だからといって新刊のような状態で当時の本を揃えるのは
不可能ではないにしても高くつきます。
さらに、きれいな本はタイトルなども読めてしまい
刊行年が時代と合わないこともあります。

以前、偶然見ていたテレビ版「点と線」で
刑事の北野武が本を縛る手元のアップに
筑摩の「現代日本文学全集」が映っていました。
そんなことに気づくものも、気づいたとして
目くじらを立てるものもいないとは思うのですが
ディテールの怖さを感じました。

人はどんなところに目を留めて
何を見ているか分かりません。
店主の付け焼刃も、とっくに見通されていることでしょう。

追記:
書き上げてすぐ、「現日」ではなく
「恍惚の人」だと指摘を受けました。
誰でも気がつく大チョンボだったわけで
目くじらを立ててブログに書いた人もいたらしい。
では「現日」で引っかかったのは、なんだったのか
思い出したらまた書きます。

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2009年01月07日

店番

今年に入って、初めてフルタイムで店番。
さあ片付けるぞと、意気込みばかりで
何も手がつかないまま午後。

これまでにしたこと
均一の補充、ネット注文品の荷造り。
これからやりたいこと
入力品の収納、未入力品の入力
長期在庫の点検整理。
店の床や、裏の棚などに積み上げられた
未整理本の整理。
気がつけば棚のあちこちに隙間
もう幾日も補充をしていない、これの補充。

しかし店番というのも立派な仕事で
たまにおいでのお客様への応対ばかりでなく
何やかやとすることが生じます。
片付け仕事はどうしても
優先順位が低くなってしまうのでした。

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2009年01月06日

自家目録

目録は出してませんか、と時々たずねられます。
自らの集めた古書を個性ある目録に仕立てて出すのは
古本屋のあらまほしき姿ではあります。
かの弘文荘反町さんなどは
目録を出さない本屋は本屋として認めないほどの
お考えの方でした。

小店は開業四半世紀に至るも
自家目録と呼べるようなものを出せずにいます。
良い本を求める意欲
出来た目録を届ける顧客名簿
そのいずれにも不足を感じているからですが
つまりは怠け者なのだということです。

専門と自分で思っているものがないわけではなく
少しずつ集まったものをWEBで公開しています。
ご注文やお問い合わせなどを通じて
小店の専門に興味をもたれるお客様の情報を
少しずつ増やしていくことができれば
いずれ自家目録も、と考えないでもありません。


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2009年01月05日

腰が落ち着く

店の椅子に座ると
何日も店を空けていたことなど
あっという間に忘れて
ここにずっと座っていたような気になります。
だいぶガタついて、動かすとギシギシ音を
立てるようになった椅子ですが
長い付き合いなので、オシリもなじみ
落ち着くのでしょう。

しかし仕事は休んだ分、しっかり溜まっていて
しばらくは忙しいことになりそうです。
明日から市場が始まります。
じき普段のペースに戻れると思います。



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2009年01月04日

数学書

昨年末、最後にまとめて入力したのは
お客様から持ち込まれた数学書数十冊。
数学がご専門だったのですか、と伺うと
今でも専門ですが、とお答えに。
専門が進んで、読むより自分で考えることが
大切になったということでした。

レベルの高い本が多かったので
店に並べるだけでなく、データに入れて
ネットにアップしました。
数学の専門書は理系の本の中では
息の長いものが多く、古本屋向きです。
また独自に勉強を続けている方も多く
店頭の教科書のようなものでも、年配の方や
ご婦人が買っていかれたりします。
ただしどんな専門書でも、筋の良いものでなければ
なかなか売れませんが。

ところでネットでご覧になってご来店いただく場合
お目当ての本は、あらかじめご連絡ください。
すぐに取り出せない場合や、一足違いで売り切れ
ということもあり、ご迷惑をおかけするかもしれません。

のんびりさせていただきましたが
店主、明日は昼から店に出る予定です。


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2009年01月03日

初売り・初詣

昨日は19名もご来店をいただいたとのこと
ありがたく存じます。
またその中のお一人からは、このブログへ
コメントまでお寄せいただきました。
望外の喜びです。
申すまでもないことですが
大切なのは数でもなく金高でもありません。
本との出会いを喜んでいただくことが
この効率の良くない商売の、一番のやりがいです。
とはいえ維持していくためにはどちらも必要ですが。

ところで今年最初に入ったネット注文は1月2日朝
「林達夫セレクション1-3」(平凡社文庫)でした。
売れることで喜びを感じられる本を
今年も売っていきたいと思います。

店主は今朝、熱田神宮に初詣をしました。
願うものではないそうですね。
おかげさまで無事
今年もお参りに来ることができましたと
報告をしました。



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2009年01月02日

仕事始め

正午から開店。
電話で確かめただけですが
静かな駒場の正月が目に浮かびます。

お隣さんはセブンイレブン。
年中無休、24時間営業というコンビニに
隣り合っているので、店の前の人通りが
皆無ということはないでしょう。
しかし全国の、正月二日から営業している店の中でも
来客の少なさなら、小店がトップクラス
であることには確信がもてます。

誰に喜んでもらえるか分かりません。
けれど少なくとも開ける自分達は、今年もまた
店を営む喜びを持ち続けたいと思います。
本年もよろしくお引き立て、お願い申し上げます。




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12月31日から1月3日まで
休業いたします
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河野書店

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