2009年04月

2009年04月30日

出品勧誘

好天。連休の谷間で、月末で、忙しいのか暇なのか。朝のうちに支払い関係を済ませ、お昼から一件、ご近所へ宅買い。その後は、ゆっくり店番です。

その宅買いに出かけている間に、南部支部事業部の人たちが、6月に行われる地区大市会への出品勧誘に訪れたと、店番さんから聞きました。

大きな車が店の前を塞ぐように止まったので、睨むように見ていると見るからに古本屋さんらしい(と店番さんはいうのです)三人の男性が降りてきました。(たまたまいた)お客さんのお会計が済むのを待って、南部の者ですがと、このチラシを置いていきました。

大市というのは、前にも書きましたが、年に一度行う、大掛かりな交換会です。以前はどこの交換会も、その時期が近づくと出品促進のために、同業の店を挨拶に回ったのですが、最近でもその伝統を守っているのは、南部地区交換会くらいのものです。現在、本部、地区合わせても、南部が一番活気のある交換会かもしれません。

店の中を手分けして、鋭い眼光で見て回っていた、という店番さんの報告は、かつてはそのついでに、目ぼしいものをセドルこともあった名残りでしょう。昨今、そんな獲物は殆ど望めなくなっているようです。

誰が来てくれたのでしょう。今度、事業部のメンバーにあったら聞いて、留守にしたお詫びを申し上げなければ。

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2009年04月29日

専門店が高いわけ

西洋古典の、特にプラトン、アリストテレスの注釈書をお探しというお客様が、Oxford Classical Textsのホメロスを棚から一冊抜いて、値段をお尋ねになります。

見るとOperaの第5巻、これだけジャケットがなく分かりにくかったのですが、あと4冊とセットで第一巻に値札が入っていました。揃いで6000円。

欲しいのは一冊だけのようでしたが、あまり安くて悔しいからと、まとめてお買い上げくださいました。神田あたりだとびっくりするくらい高いのですよ、と言って。

安いのには訳があります。もちろん本の状態もヤケがあり古びていますが、それ以上に、小店はこの分野を専門としているわけではなく、たまたま市場で安く買えたからです。

一方で専門店は品揃えのためにわざわざ仕入れるわけですし、店の常備として在庫を切らしたくないでしょう。割高になるのもやむをえないところです。

しかし今そうした、特に学術系の専門店は、どこも苦しい状況にあります。大概の本はネット上で探すことができてしまい、かつ専門外の店は、小店がそうであったように、安く入れば安く売るからです。ネット時代の専門書店のあり方を、試行錯誤しながらく築いて行くしかありません。



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2009年04月28日

ういういしい?

飛び込みの営業マンが、地域WEBサイトに広告を出さないかというような話をしています。こちらは棚を直している最中だったので、知らんふりして仕事を続け、店番君とのやり取りを聞いていました。

自分が相手にしているのが、どのような立場の人かを確認する余裕もない所を見ると、新米君でしょう。

うちの店番君はもう五年になるベテランですが、応対にすれっからした様子はなく、おとなしく話を聞き、説明が終わるのを辛抱強く待っています。話の切れ目に「はい、分かりました」と言って打ち切ろうとするのですが、新米君は一通りの説明をどうしてもお終いまでしたいようです。

途中でお客様がレジに来て中断、それでもめげずチラシをおいて「どうかご検討ください」まで完了し、ご退場。

店主だったらどんな応対をしたか、新米君にとってはどちらが良かったか、考えさせられました。

今日は洋書会、出品は少なかったものの、英、独の基本図書を100冊ばかり買うことができました。

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2009年04月27日

provenanceということ

古書の愉しみの一つは、前の持ち主について思いをめぐらせることに有ると書いたことがあります。

今日手にした一冊は、そんな古書の面白さをそのまま本にした本。回りくどい言い方ですが、『ヘンリー・スウィート 音声学提要』(木原研三編・三省堂・1998年)と訳題がつけられた一冊です。

帯の解説文によれば、要するに著者Henry Sweet自身の手沢本で、市河三喜博士がSweetの死後、その蔵書売立てで入手。その後、岩崎民平・佐々木達という二人の学者の手を経て編者に伝わったという来歴のもの。

余白に沢山の書き込みがあり、そのまま影印されていますが、著者および著者が意見を求めたノルウェーの言語学者によるもの、と見られています。

稀覯本とされたこの原著、最近リプリントが出たようです。しかし元版はネットで探しても見つかりません。それ以上に、この翻刻原本は、その履歴によって、もはや新たな異なる本になっていると言えるでしょう。

ちなみに店主の手元にあるこの翻刻版は、編者の旧蔵書で、記名があり、編者が一冊を献本した大英博物館からの礼状が挟まれておりました。

sweet

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2009年04月26日

少年老い易く

晴れて、しかし朝から風が強く、風が吹くと本は売れないと昔から定まっていて、人の出はそこそこあるのに、レジは静まり返っています。

もっとも本屋は売れない理由をいくつも知っていて、暑くても、寒くても、雨でも、あまりお天気が良くてもダメ。今日から大型連休が始まったと聞けば、それは殆ど確実な理由です。

時折り、平置きにした雑誌が飛ばされるほどの風が夕刻になっても吹いています。それでもなんとなく落ち着いた気分の人が多く、店の中でゆっくり本を読んでは帰っていかれます。

一人、長いこと棚を見て回っている若者がいて、その横顔に見覚えがありました。移転間もない頃、中学生になったかならないかの少年が、学校を終えて塾にでも行くのか、その間の時間つぶしに良く立ち読みをしていて、ある時はものを食べながら読んでいたので注意したこともあるのですが、その彼です。

そういえばしばらく見かけませんでした。もう大学生でしょうか。つい声を掛けたくなりましたが、思いとどまりました。覚えていて貰って嬉しいかどうか。せめて何か買うものがあって、レジへやってきたときのことにしようと思います。



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2009年04月25日

静かな雨の土曜日

雨がだんだんひどくなる、という天気予報で、朝方小雨のうちから人通りがありません。

五反田の支部役員会に顔を出し、昼前には店に戻って、その後はゆっくりと片付け仕事。このところ、土日の売り上げの比重が増してきているので、ちょっと痛いお天気ではありますが、気持ちがゆっくりして骨休めの気分です。

役員会では地域を担当する班長さんから、各店の様子などの報告があります。店をやめてネット販売に絞る人、逆に好立地を得て移転する人など、それぞれの動向がうかがえる機会です。

店主は「日本の古本屋」のクレジット決済導入について説明しました。店売りが厳しい中、ネット販売に活路を求める古書店も多く関心は高いようで、熱心に聴いてもらいました。

ブログをやっているんですね、と最近続けて同業の幾人かから声を掛けられました。本当はタイトルどおり店のニュースをお伝えしたいのですが、ネタも乏しく、つい雑感になってしまっていることに忸怩たる思いです。



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2009年04月24日

明古四月最終市

明治古典会は特選市。先週とは変わって出品量も多く、仕事を終えて、打ち合わせも終えると8時近く。今夜は四人の仲間と静かに食事。

新潟の蔵書家のものという、劉生、志功など人気の高い美術関係の一口が、市を賑やかにしていました。

他にも思わぬ珍品が。慶長刊、版本としては日本で最古という囲碁の書物が、一点で百万円をはるかに超える価格に。これも地方からの出品でした。

満州関係の口がやはり良い値になっていて、中でも織田作之助の大連刊の一冊がちょっと驚くような価格。

また変ったところでは大本教関係の資料が何点か出ていて、中でも一番高値を呼んだのは出口王仁三郎作とされる茶碗。そこいらの陶芸作家も及ばぬような価格でした。

少し見慣れたようなものは、名品でも相場を下げていますが、珍しいものは、こんなご時勢でも良い値がつくものだと、改めて知らされました。

ただ今11時、今夜ももう少し店で残務です。

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2009年04月23日

セレンディピティ (serendipity)

ふとこの言葉を思い出しました。面白いものに出くわす能力、というような意味が辞書には載っています。

もう10年以上前のことになりますが、洋書会の仲間とアメリカ西海岸へ買い付け旅行に行ったとき、バークレーの一軒の古書店の名として知りました。同名の映画が作られ、やがて日本でも上映されて、知っている人も増えたことでしょうが、もともとは本の世界に縁の深い言葉だったようです。

その時は不思議な店名だと思って、その由来を訊きました。

尋ねた相手が当の店の人ではなく同業者の一人で、こちらの語学力の不足もあって、その答えからは漠然とした理解を得ただけですが、それでも古本屋の名前に相応しいと、感心した覚えがあります。

懐かしくなってネットで検索してみると、まだその店は健在のようです。さらに、同名の店が他にも幾つかあることも分かりました。思いは同じ、というところでしょうか。

さてしかし、この店のホームページは画像もないシンプルなもので、一日に何軒も、ひたすら本屋をたずねて回った旅行の記憶をたどっても、いったいどの店だったか、いまだに思い出せずにおります。

インターネット前夜、面白いものに出くわすためには、何より、そこまで出向くことが必要でした。

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2009年04月22日

記事への注文

表に出て、仕入れた本の整理をしようとしたら日差しが暑くて、堪らず店の中で仕事を続けることにしました。ついこの間まで、寒くて外で仕事ができなかったのに。

昨日の洋書会の成果は言語学関係。このところ、言語づいてます。ただし今回は英語学者の旧蔵書なので、専門書が多く、ネットに載せるものもありそうです。

二三日前の新聞に、引きこもりの社会復帰に古書店経営を、という記事がありました。仕掛けている人は30歳とか。書いている記者もおそらくは同じような年代の人ではないでしょうか。

彼らの認識にある古書店というのは、いったいどんなものなのでしょう。しかし今はその点について、慨嘆しようとは思いません。どんな店を試みるのであれ、それで救われる人がいるのであれば、喜ばしいことです。

問題にしたいのは、このような記事を書くに際して、現にそれを生業とする多くの人たちがいることについて一顧だにしていないことです。古書を商う苦労、ささやかな誇り、そうした古書業者への目配りを欠いた、つまりは想像力を欠いた、余りにも幼い記事であったと、残念に思うのです。



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2009年04月21日

古書は廻る

「言語オタク」といっては口の悪い言い方になりますが、いくつもの言語の習得に熱心な方たちがいます。

この前の南部入札市で買った9本口は、まさにそんな語学学習書ばかりの口でした。英語による仏語、独語はもとより韓国語、広東語、インドネシア語、スウェーデン語、オランダ語、ラテン語、ギリシア語などの学習書。

殆どペーパーバックで、しかもTeach Yourselfなどのポピュラーなシリーズものも多く、安い値をつけて店頭へ出したところ、早速、何ヶ国語かをまとめて買っていくお客様がいらっしゃいました。

まだ今回のものは序の口で、日本でも大学書林が、驚くほど多様な言語の学習書を出版していますから、それなりの需要はあるのでしょう。

この口を店主が買う気になったのは、そうした需要を当て込んでというよりは、欲しい本を一冊見つけたからです。それがSmyth の Greek Grammar。1920年にハーバード大学で出版され、以来、長い寿命を保っているギリシャ語学習の定番です。

これまでも何冊か売ったことがあり、店に置いておきたい一冊ですから、手に入ったことを喜びつつ本を開くと、見開きに小店のラベルが付いていました。鉛筆で03年に東急古本市で入手した旨、書かれています。

今度はどんな方の手に渡ることになるのでしょうか。

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