2009年05月

2009年05月21日

ご機嫌なお客様

「入っていいですか、まだ閉店じゃないですね」と入り口で大きな声。どうぞとお答えすると「月に一度の楽しみなんですよ」とおっしゃって、入ってこられます。

俳句の会があるのだそうで、それが終わってから小店へお寄りいただくのですが、やや足元が覚束ないのは、昭和2年生まれだというそのお年のせいではなく、赤いお顔からプンと匂ってくるアルコールのなせる業でしょう。

缶を片手のご入店でしたので、それは帳場の机に置いていただきました。「一回りしますよ」と店内を見て回られ、「いつもこれを買うんだ」と木版画、今回は「駒場みやげ」セットをお買い上げいただきました。

「一度表も見てきます」と外へ出て、戸川幸夫動物文学全集に眼を留め、あれはいくらかとご下問。函もヤケてクスミもあり、セットで2000円の大特価。「買うけど重いなあ」「お送りしますよ」「じゃお願いしよう」となって、送り状を書いていただき、お支払いいただいて「なんかおまけはないの?」となりました。

「何でもいいんだ、気は心だから」「送料を少し返金しましょう」「金は要らない、あるから」。結局木版画一枚(¥300)おまけにつけました。

お一人住まいだそうで、こんなやり取りも楽しみの一部なのだと、甘んじて受け止めることにいたしました。

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2009年05月20日

蝶のひやかし

朝から明るい日差しで初夏の陽気。日向は汗ばむほどでも、店の中は暑くもなし、寒くもなし。せっかくのお天気なのでもちろんドアは開け放し。

するとお昼前、大きなクロアゲハが一匹(正確には一頭)店内に迷い込んできました。

ヒラヒラ舞いながら蛍光灯にぶつかったり、グリーンにとまろうとしたり、店内をひやかして、なかなか出て行く様子はありません。というよりは、出たくとも出られないのか、幸い店内にお客様もおられず、電気を消してみました。

一、二度硝子にぶつかった後、戸口を見つけてサッと抜け出し、空が開けたほうへ向かって、あっという間に姿を消しました。

蝶などはまだ優雅ですが、蜂が入ってきたこともあります。やはり出ていただく時は電気を消す一手。

それでひとつ思い出しました。以前、早稲田のある店(今は有りません、念のため)の奥さんは、店番をしていてイヤなお客様が来ると、電気を消して「すいません、出かけますので」といって追い返していたというのです。

きっと蝶ではなく、蜂だったのでしょうね。

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2009年05月19日

ディアギレフのロシアバレエ

洋書会大市、無事終了いたしました。自分自身出品もし、新たな本を買い入れ、まさにそれが交換会たる所以ですが、今日のお話は会員としての裏方話。

先日のドイツ語の口は、結局目玉のワイマール版ゲーテ全集に一冊の欠があることが分かり、苦労もむなしく、全体としてもあまり満足の行く結果にはなりませんでした。

それに対して別口の、知り合いの業者から任された300冊程度の古いフランス書の口は、一見、あまりに古びて、ムレ、シミなども激しい、なんともならない口のようでした。しかし仕分けに取り掛かってみると、その中から1920年代のロシアバレエのパンフレットなどが出てきたのです。

本は傾向別に数点に分け、そうしたパンフレット類をひとまとめにして出品することにしました。

ディアギレフの関わる、ピカソのデッサンの入ったパンフレットなどを含む一点は、思惑通り人気を呼び沢山の札が入りました。

結果は、非常識と非常識のぶつかり合い、と我々が揶揄(もちろん尊敬をこめて)する札の噛み合いで、予想の倍をはるかに超える高値に突き上がりました。

荷主さんへの面目も立ちましたが、良くしたもので、こうして買った商品は、確かに儲けは薄くなっても、まず必ず売れるといいます。つまり、誰も損はしないという仕組みになっているのです。

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2009年05月18日

売れる本はスグ売れる

洋書会の前日準備が思ったより時間がかかって、午後7時まで殆ど働き通し。立ち詰めで足が痛くなっているのをこらえて、5キロの本を下げ、一刻も早く店に帰ろうと急ぎ足で階段を降りて電車に乗って、エスカレーターも踏み上って、ようやく井の頭線の駅に着くと電車が出て行くところ。

次の電車までは6分間待ち。こんな時の6分はすごく損した気分です。普段なら、ただぼんやりしているだけで過ぎてしまう時間なのに。

5キロの本というのは、先日市場で落札して、そのまま会館に借りているロッカーに入れておいた本で、すぐにも売れそうな気がしてネットに上げました。今日、店から電話で注文が入ったと聞き、持ち帰ることにしたわけです。

売れて嬉しいのは当たり前ですが、今日でなければもっと良かったなどと、贅沢なことを思ったりした次第。

店にたどり着いて、これを書き始めるうちに、もう店を閉める時間です。まずはこれまで、今夜は良く眠れそうです。

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2009年05月17日

ワイマール版ゲーテ全集

朝のうちに雨は上がったのに、どんよりと曇って、表のハナミズキが幹ごと撓うほどの強い風が時折り吹く、そんなお天気がもう夕刻になろうという現在まで続いています。

その風の音のほかは静かな日曜日、明日からの洋書会に備えてのんびりと店番。小一時間ほど、お昼寝もさせてもらいました。

昨日、手をつけたドイツ文学者旧蔵書の仕分けの、明日は続きをやらなければなりません。雑誌なども合わせると3000冊ほどは有りそうです。一人で作業を始めたので、三台のカーゴにしっかり詰め込まれたものを、平台に広げるまでが精一杯でした。

その中にワイマール版ゲーテ全集が有りました。全143冊。個人の全集としてはこれ以上の巻数のものを知りません。ゲーテにはこれ以外にも無数の全集、著作集があり、ドイツのみならず西洋の知の世界に占める存在の大きさが分かります。

かつては揃えるのさえ困難であったこのワイマール版、復刻版が出てセットで手に入るようになりました。日本の出版社(三修社)も1975年に復刻版を出し、その全巻セット価格は100万円近くだったように記憶しています。

今度あったのも、その三修社版ですが裸本の上、背に個人研究費のラベルが貼られていて、商品価値はどの程度になるか。その前に全冊揃っているか、まず数えなければなりません。

調べてみると現在ではCD-ROM版が出ていて、ずっと安価に入手できるようです。

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2009年05月16日

クレジット騒動

「日本の古本屋」でクレジットが使えるようになりました。

といっても、書店によって対応が違いますので、全品が対象ではありません。さらに、在庫確認やら送料の計算やらがありますので、ワンクリックというわけにも行きません。

それでも待ちかねていたお客様もおいでのようで、小店にも、早速クレジットによる注文が入ってきています。

開始早々ということもあって、いろいろと手違いもおきています。書店側に入る受注メールが、クレジットの場合と、そうでない従来どおりのものとで違いが分かりにくく、つい見逃してしまうというケースなどが典型例です。

先日の会議でも、この点の指摘があって、早急に改善することにしました。

ところが、他人事のように聞いていたのですが、後になって小店も同じ誤りを犯していたことが分かりました。大慌てでお詫びのメールをお送りし、対処した次第です。

メール受信ボックスの仕分けも行いましたので、もう同じミスは起こしません。どうぞ安心して、クレジットによるご注文をお願いいたします。

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2009年05月15日

明古と洋書会と

明治古典会、今日は7月の七夕大入札会の目録原稿の締切日。七夕は入札最低価格が一点5万円以上、という特選品を集めて開く、年に一度のイベントです。

普段身の回りに、一点で5万円を超えるような価格の本はなかなか見かけません。それでもこうしたイベントになると、全国から2000点を超える優品が集まります。小店もわずかながら原稿を出しました。

もちろん本に限らず、自筆原稿、書簡、色紙といった自筆もの、錦絵や現代版画、古地図、古文書など、本以外の方が多いかもしれません。

今日、締め切ったところですから今年の全体像はまだ見えてきません。こんな景況ですから、どんな入札会になるか、楽しみ、不安、相半ばするといったところです。

一方、明日から洋書会の大市会が始まります。洋書会も大市会となると珍しい本、貴重な本が数多く集まりますが、これは業者だけの交換会。残念ながら一般の方に見ていただく訳にはいきません。

明日はまだ会場設営の準備のための作業日。自分の出品物を持って行き、事前に準備を済ませておく予定。月曜日に実際に会場を作り、火曜日が入札会の当日となります。

そんな具合で、これから来週の水曜日(洋書会の後片付けと明古目録編集)まで、ちょっと忙しい日々が続きます。

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2009年05月14日

大きな動き

今日は午後からTKIの会議。リニューアル直後なので、主にその点検作業。特に12日から始まったクレジット決済に関して、多くの時間を割きましたが、まだ2日間ほどの稼動で、しばらくは推移を眺めようという所に落ち着きました。

その帰りの電車の中で、名前だけは聞いていた電子ブック端末、アマゾン・キンドルを、外国人が読んでいるのを見かけました。幸か不幸か、電子ブックの普及は日本ではなかなか進む様子が見られませんが、アメリカでは相当普及している、と聞いたことがあります。

いやそれほどではない、という意見もあって、実際のところは分かりませんが、遠目に見る画面はそれなりに見やすそうではありました。しかし手の大きな外人さんならともかく、日本人にはやや扱いにくいサイズではないかとも思いました。

もう一つ、昨日だったかブック・オフの株式を大日本印刷、講談社、小学館、集英社が取得するというニュースがありました。出版業界全体に大きな地殻変動がありそうな予感もします。

とりわけ大日本印刷は、かつて「日本の古本屋」立ち上げにも参加したことがありますが、当時から、出版産業はコンテンツビジネスであると見定めていたようで、昨今の企業買収など一連の動きには、そのコンテンツをどう管理し、商品化するかについての大きな戦略が隠されていそうです。

あらためて、本の未来について考えさせられました。

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2009年05月13日

カーナビとグーグルマップ

近くに宅買いがあって、車で出かけました。

住所をgoogle mapで確かめると、前にもそのあたりに行ったことがありますが、道幅の狭いところだったと記憶しています。眼一杯拡大(逆かな?)してストリートビューも見て、およその当たりをつけました。

お宅へ直接車を着けるのは無理なようですが、段ボール三箱というので、近くで停め、持って運べそうです。

ナビに住所を入れて出発。目的地はL字型の路地の角から、さらに細い路地の行き止まりです。この最後の路地は諦めていましたが、L字路には入れるだろうと、長辺側の入り口まで来ると、これが以前、無理に入って腹を擦った道でした。

ナビは初めから短辺側からの進入を指示しています。言うことを聞いておけば良かった。複雑に迂回してそちらへ回り込み、やっと角近くまで進入。動きが取れなくなる前に一旦、車から降りてお宅へ向かいました。

お宅までの路地は狭い駐車場といった幅。しかしダンボールが思ったより大きなものだったので、少しでも楽をしようと角を利用してバックにし、路地の中ほどまで車庫入れの要領で入り込みました。ドアの開けられる位置で停めて、降りてみると垣根の植木が張り出していて、もう少しで擦るところ。

そんな苦労の顛末はともかく、改めて不思議に思うのはストリートビューです。はじめL字路の長辺から入ろうとしたのも、しっかりそこが写っていたからでした。あの細い路地へどうやって入り、撮って行ったのでしょう。

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2009年05月12日

どんな会社だろう

表紙はアジサイが描かれて地味な小冊子。Taiyoと左上にタイトル、右下に1980・No.116.と文字はそれだけ。新書判より一回り大きく頁数は38。太陽工業という会社が社員向けに発行していたもののようです。

そんなものがなぜ気になったかというと、地味な表紙を開くといきなり「ヌード歳時記」とあって、三流週刊誌などでしか見られないような女性のヌード写真。この表紙は折り込みになっていて、開くと「陰間茶屋の風俗を描いた情景」なる浮世絵のカラー印刷。

記事も一貫してお色気路線。ちなみに筆者には木下華声、邱永漢、福田和彦、西沢爽など知られた名もならんでいます。

一体どんな会社か気になりませんか。WEBで判る範囲では、後楽園ドームなども手がけたテント業界の優良企業のようです。

年間の発行回数は不明ながら、号数からすると創刊はかなり以前のようですが、いつからいつまで出ていたのか(今も出ているのか)知るすべはありません(問い合わせる勇気も)。もちろん毎号、このような内容であったかも定かではありませんが、連載もあり、少なくともある期間はこうした形で出ていたようです。

巻末には「社中日記」なる頁があって、3名の社員さんのプロフィルが写真入りで紹介されていて、紛れもない社内誌の尻尾がそこにありました。面白い会社もあるものです。

konoinfo at 20:02|PermalinkComments(0)TrackBack(0)
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