2009年09月

2009年09月30日

古本まつり

9月も今日でお終い。10月に入ると、各地で古本まつりと銘打った即売展が盛んに開かれます。

いよいよ読書の秋というわけですが、その嚆矢はいうまでもなく神田の「青空古本まつり」。街ぐるみ、行政まで巻き込んで、いまや千代田区のイベントとしても重要なものになっています。

青空という名の通り、頼みはお天気。昨年は好天に恵まれ、一昨年は逆に連日の雨に泣かされました。果たして今年は?

他にも池袋、早稲田などで大きな催しがあります。また東京古書会館でも「古書の日」にイベントを行うなど、古書ファンには大忙しの月になりそうです。詳しくは右欄の「東京の古本屋」で。

さてそのなかで、小粒ながらユニークさでは負けない催しがひとつ。それが10月23日(金)、24日(土)の二日間、古書会館地階で開かれる「洋書まつり」です。

この日は日本語の本は一切なし。その代わり、それ以外の言語であればなんでも。といっても殆どは英語ですが、独、仏、露、中国語などもあり、内容もビジュアル本から学術書まで多種多様。歴史の古さでも青展に負けません。

かつては輸入書籍の見切りバーゲンという色彩が強かったのですが、最近は古書、古本の比率が高くなりました。それでも、お買い得品が中心というコンセプトはそのままです。

小店も出展します。近くなったらまたご案内いたしますが、ぜひ一度、ご来場下さい。


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2009年09月29日

留学生の前途を祝す

昨夕、青梅の留学生が代金を受け取りに来ました。ついでがあるから寄りますとのことで。

話が弾んで一時間。帳場を挟んでお互い立ったまま、いろいろな事を話しました。

まず大きな勘違い(というより聞き違い)から。次なる留学先は、ソウル大学ではなくオックスフォード大学。なぜそんな風に聞いたのでしょう。「ぼくは外来語の発音が悪くて、食べ物屋さんでも頼んだものと違うものが出てきます」とご当人。

台湾のある少数民族と、その失われゆく言語についての研究をするのだとか。蔵書にも東南アジアなどの珍しい言語に関する本が、多数ありました。

一番やりたいことを尋ねると、「本当は音楽がやりたい。けどそれでは食べていけないから」。

今度入る予定の学生寮にはピアノが三台あるので嬉しい。それと一番大きな図書館が歩いて15分のところ。希望は膨らむのですが、何やら手違いでビザの発行が遅れているといいます。

本当なら今月末で出発できるところ、ただいま待機中。アパートの方は頼み込んで一月延長。不運は重なって、購入一年未満のパソコンが故障、メーカー保証範囲外と言われたとか。

留学開始にトラブルは付きものと慰めると、過ぎてみれば笑って思い出せるかもと、ポジティブにまとめて帰って行きました。

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2009年09月28日

ある決断

この間の金曜日、古書会館の6階で作業をしていると、職員さんが呼びに来ました。廃業の手続きにこられた方が、ぜひ挨拶したいとおっしゃっていると。

応接室に行ってみると、田園書庫の谷島さんが座っておられます。「姿をお見かけしたので、一言ご挨拶したいと思いまして」

10年ばかり前のことでしょうか。店近くにお住まいだった谷島さんは、何度か本を売りに来られました。やがてある時、古本屋を開きたいので、その折りには相談に乗って欲しいと言われます。

単なる気紛れだろうと、適当な返事をしたような覚えがあります。するとしばらくして、「物件を見つけたので一度見てもらえませんか」と言ってこられました。

はっきりしない意見を言ったような気がします。結局その武蔵小山駅近くの割合大きな店舗で、営業を始められました。

当初は好調だったようです。しかしやがて五反田にBook Offが出店、目に見えて売上げが下がり、次いで武蔵小山にも同店が出来て、殆ど壊滅的な状態になったと言います。

5年程で店を閉め、ネット販売に活路を見出そうと、しばらく努力されたようですが、ついに展望が見出せなかったのでしょう。何か新しい事業を始めるらしいのですが、詳しくは伺いませんでした。

「始めた時は、これでずっと一生やっていくと思ってました。でも、この業界で過ごした年月は、とても楽しかったです。そのお礼を言いたいと思いまして」

今度もありきたりの言葉で、お送りするばかりでした。

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2009年09月27日

アレになっちゃう

青山通りの一等地に昔、一軒の古本屋さんが有りました。バブル前でもすでに、営業しているのかどうか分からないようなお店でしたが。

角地にある古びたビル(3、4階建てだったでしょうか)の一階の引き戸がたまに開いていると、床から天井まで本が積み上げられて、人一人通れるかどうかの隙間が奥へ通じているらしい様子が、車で通り過ぎる時などに見て取れました。

バブルが過ぎ去ってもしばらくの間、取り残されたようにその建物は残っておりましたが、やがてある時、その店の本が市場に出てきました。聞けば跡継ぎがなく、当主の没後、施設に入っていた夫人も亡くなったことで、縁者が相続することになったとか。

いまでは建物の跡形もなくなっていますが、あの本の壁と薄暗い通路は、まるで古本屋の白色矮星とでも言うべき、終末の姿として時折り思い出すことが有ります。

うっかりしていると、そんなことになってしまうのではないか。次第に通路の隅、本棚の前に積まれていく本を見ていて、密かに恐れるのです。

今日も二軒宅買い。この一週間ほどで、店にはざっと見積もっても2000冊以上の本が入ってきた勘定です。処理能力をフル稼働して、何とかあの姿だけは避けなくては。

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2009年09月26日

宅買い:青梅編

行楽日和、青梅までドライブ。

数日前、ある留学生(随分前から顔を見かけてはいたものの、どこに籍をおいて、何を学んでいるのかも知らなかったのですが)から、言語学大辞典を買ってもらえますかと切り出されました。

揃いだと7冊。しかしその内5冊、いわば本編の揃い。定価は一冊4万円前後します。本の状態にもよりますが、買取り価格はその一冊分でも難しいかもしれないとお答えしました。

近くソウル大学へ留学することになり、荷物をまとめてみたが、本を全部持っていくと何十万円も運賃が掛かるといわれ、どうしても必要なもの以外は処分することにしたとのことです。

つまり良く聞いてみれば、そのほかの本もこの際一緒に引き取って欲しいということでした。それも出来れば今月中に。しかも場所は青梅。

一晩考え、結局行くと告げて、それが今日です。アパートを開けると、プラスチックのコンテナが高く積んであります。とても全部は無理。語学関係が全体の三分の一というのでそれだけを選んでもらい、積み込みました。残りは近くの同業にワケを話し、後を託しました。

決して裕福な留学生活ではなかった筈ですが、書籍には相当の金額をつぎ込んだようです。出来る限りの査定をしようと、さきほどから店に積みあげた本を眺めております。

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2009年09月25日

今日の明古

明治古典会は月末で特選市。点数は普段の市より少な目でしたが、なかなか面白い本や肉筆類が見られました。

例えばチャップリンのサインが入った画幅。昭和七年とありますから、初めて来日した時のものでしょうか。来歴を調べると面白そうですが、ちょっと面白そう、くらいで買える値段(小店主にとってはですが)では有りませんでした。

小川国夫の限定本数種。一時は限定本といえば何でも高かった時代がありましたが、その反動で、特にこの著者などは売れない限定本の代名詞ともなりました。

しかし今日の出品はいずれも10部から20部という、限定の中でも特別な限定。本もさすがに美しく凝った造り。こういうものばかりが出されていれば、簡単にブームになり、すぐ下火になるということもなかったでしょう。

限定本では他に吉岡実の私家版8部本というものもありました。ただ、こういう極少部数の限定版が市場に出てくるということは、それを手放す人がいるということでもあります。

何故か、ということを考え始めると、なかなか複雑な問題がありそうです。

小店の戦果は洋書二点。それについてはまた後日機会がありましたら。

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2009年09月24日

親類に古本屋

先日宅買いに伺ったあるお宅。じつは、その場では何もお引取りしないで、日を改めてもう一度伺うことにしました。

始めから下見のつもりではあったのですが、拝見してみて、やはり全部をお引取りすることは出来ないし、かといってすぐに引き取れるほど僅かな量でもない。それで他日改めてとなったのです。

全体の8割くらいは古い経済書、全集、講座類。運送賃をかけて運んでも、残念ながら市場でも値がつかない類のものです。亡くなられた蔵書主の奥様とお嬢様らしい先様も、その辺りは良くご承知で、こちらの申し出を了解してくださいました。

そんな中で色々お話しするうち「親類に、昔、本郷で古書店をしていたものがいる。もう今はないだろうけど」と言われます。中国の本ばかり扱っていたというので、屋号を尋ねますと、屋号は忘れたが名は斎藤と。

「もしかして琳琅閣さんでは」と申し上げると、驚いたように「そうそう。まあ何十年ぶりにその名前を聞きましたよ」とおっしゃいますので、その店が現在いかに盛名を得ているかなど、一頻りお話してお暇しましたが、とても喜んでおられました。

知り合いの知り合いの…と五件も辿れば日本中の人は皆知り合いだと、何かで読んだことがあります。そうは言っても、不思議を覚えますね。

今日は木曜日。やっぱり木曜は、とミセスCのボヤキが聞こえてきます。

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2009年09月23日

連休に片付ける

連休ということにばかり気を取られていましたが、今日はお彼岸。

今年は、昨日までにお墓参りなどは済ませてしまったところが多い様子です。やるべきことは早めに済ませて、ゆっくり休みたいというのが人情なのでしょう。それを裏付けるような情報を家人が聞き込んできました。

東急東横店にある愛用の和菓子店へ出向いたところ、混雑を予想していたのに空いていて、店員さんから「この連休で今日が一番ヒマ」と嘆かれたというのです。

原材料は国産無農薬、生菓子の賞味期限はその日限り、一番のウリは牡丹餅という店で、昨日などは三重に列が出来ていて、買うのを諦めて帰ってきたほどでした。

生ものを扱う店は、仕入れの読みが生命線。見込み外れに同情を禁じえません。翻って古本屋の仕入れに、それだけの真剣さはあるでしょうか。

もちろん、いつもご紹介している明治古典会などの市場では、良い仕入れをしようと毎回のように互いがしのぎを削り合っているわけですし、およそ楽な仕入れなどというものはありません。

それでもここは、ひとつ謙虚に、生もの商売に較べれば、まだまだ甘いものだと反省しておきましょう。

連休中、宅買いが三件。お持込みも普段より多く、片付けようと思ったのは店主ばかりでなく、お客様方もそうだったのでした。

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2009年09月22日

休日格差

休み疲れで本当にお休みになっているらしく、いつにまして人通りがありません。一方通行の先が工事のため通行止めになっていて、車も通りません。静かなものです。

でもいったいなぜ今日はお休みなのでしょう。

「国民の祝日に関する法律」というのがあって、平成17年に改正され平成19年から施行された第3条の3に「その前日及び翌日が「国民の祝日」である日(「国民の祝日」でない日に限る。)は、休日とする」とあります。

何でこんな分かりにくい言い方をするのかと思うのですが、ようするに祝日に挟まれた日は休日であると、国が定めたのでした。

祝日と休日は違いますよね。皆で祝おう、というのは賛否あるにせよ何らかの意味があります。しかし皆で休もうといわれても、余計なお世話だと言いたくなるではありませんか。

そもそもどうして休みを連続させたがるのか。「はかが行かないから間の日は思い切って休もう」というのは、それぞれが判断することではないか。押し付けられるいわれはない。お役人が自分たちの休みを増やすために弄した策としか思えない。

連休があるたびに自営業者である古本屋のおやじ達は、茶飲み話でこんな気焔を上げています。もちろん休日が掻き入れという店もありますが、そうでない店の方が遥かに多数派だからです。

それ以上に、休みたくとも休めないほど、売り上げが低下しているという現実があります。休日格差も拡大しているようです。

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2009年09月21日

違いが分かる父子

ボールを抱えた体格の良い小学生の坊やと、お父さんの二人連れ。公園でサッカーでもしてきたのでしょう。店内に入るなり「だめだ、ここはお前には無理だよ。難しい本ばかりだ」

その坊やは、しかしすぐには承服しかねるように、あちらの棚、こちらの棚と覗き込んだあと、吐き捨てるように「古い、古すぎ」。表へ出てからも「古そうな臭いがした」とダメを押しています。

この二人に、店主としては最近の父子連れ部門、好感度ナンバーワンを与えたい。まるで本に興味がなければ、はじめから入っては来ないでしょう。むしろ本好きな坊やなのだと思います。

もちろんお父さんだってそうでしょう。子供向きかそうでないか、すぐ分かるのですから。もう一つこのお父さんのエライところは、もしかしたらご自分には興味のある本もあったかもしれないけれど、連れを従えて棚を見て回ろうとしなかったこと。

「臭い」と「匂い」。この時の坊やは顔をしかめながら、明らかに前者の意味を込めて言い、それは自分の立ち入れない世界があることへの悔しさを、正直にあらわしていました。

しかし店主はそれを、以前あるお母さんが「お爺ちゃまのお部屋と同じ匂いね」と、十分好意をこめて我が子に話しかけていた時より、ずっと嬉しく聞いたのです。

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