2009年12月

2009年12月31日

良いお年を

このところ毎朝8時になると、判で押したように聞こえてきた右翼の街宣車の声も、さすがに今朝はお休みのようです。彼らも正月はゆっくり過ごすのでしょう。

一方、警備する側は、そうは行きません。中国要人の天皇会見以来、ご近所の与党大物政治家の屋敷周りは厳戒態勢が続き、今朝も何人もの警察官の姿がありました。

警察に限らず、近代文明社会は、盆も正月もない職業によって支えられています。

ことに近年では、より多くの人々が盆暮れなしに働いていて、その最たるものが介護士さんやヘルパーさんたちでしょう。

わが身内でも二人の高齢者が、毎日のようにお世話になっています。夜間の巡回ケアサービスもお願いするようになり、老人二人の家は、おかげさまでほぼ、一日中、誰かの目が届きます。

介護制度にはさまざまな不備があると思いますが、現場で働く方々には、ただ頭が下がるばかりです。

小店が年中無休(正確には一休)で営業できるのも、ヘルパーさんたちのおかげです。あまつさえ店主は今日からしばし里帰り。申し訳ないような気がしないでもありません。

この感謝を、来年からはまた商売の中でお返しして行きたい。などどしおらしい気分にもなっております。

それでは皆様、良いお年をお迎えください。

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2009年12月30日

師匠、おみそれしました

昨日に比べると、いくらか人の出が良いよう。休みに入って、落ち着いて、本屋にでも言ってみようという気分でしょうか。

そんなお一人かと思っておりました。暫く店内をご覧になったあと、数冊の本を帳場までお持ちになります。お会計2900円。

カレンダーを差し上げたものかどうか迷いながら本を袋に入れていると「すいません領収書をください」。金額、日付と書いていくと「カタカナでエビナとお願いします」。

どうもその声に聞き覚えがあります。カジュアルな服装で、ご近所の方かと思いましたが、ニットの帽子のかぶり方がちょっと深すぎる。

カレンダーを差し上げることにいたしました。自然にお顔を拝見できます。恐縮したように「いやー有難うございます」というお声と眼鏡で、今度ははっきりと、どなたであるかが分かりました。

数年前に大看板を襲名して話題になった噺家さんです。

本好き、読書家とは伺っていましたが、暮れのこんな時期に、お昼前とはいえ、ふと見つけた本屋に立ち寄るとは、有難いお心がけ。世間が休みの今頃が、芸人さんたちには却って忙しい掻き入れ時なのですから。

お年は店主のちょうど一回り下のおはず。お若く見えますね、などとはもちろん声もかけず、ただ「有難うございます」と頭を下げてお見送りいたしました。

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2009年12月29日

新たなる伝説

一点で100万円を超えるような古書は、古美術品と同じように、ほぼその来歴がつかめるものです。

では来歴がはっきりしない古書は100万円を超えるようなことはないかというと、そこが古美術品などと異なるところです。

例えば、幻といわれていた著作が発見されたとき、必ずしも出所がはっきりしている必要はありません。古くは北村透谷の『楚囚の歌』、近くは萩原朔太郎の『月に吠える』無削除版発見などがその例です。

とはいえ、書物自体の稀少性でそれほどまでに高価になるものは限られます。多くの場合、特殊な限定版であったり、署名や識語があることによって値が跳ね上がります。そしてそれらのものは、大方来歴がはっきりしています。

その意味でも先日、西部会館の市に出た一口は、特殊な例かもしれません。

段ボール二箱で約一千万円になった、といわれる稀覯本類は、ほぼ元の持ち主が判明しています。しかしその持ち主はかなり個性的なコレクターで、業界でもさまざまな評判(それも必ずしも良いものではない)があった方でした。

それぞれが本自体の稀覯性と、旧蔵者の特異性を秤にかけながら入札した模様です。結果としては稀覯性に軍配が上がり、かなり高い評価となりました。

同業として一番気になるのは、それが何故、どのようにして一古書店主の手に入ったかですが、問い質したものとてなく、さまざまな憶測が業界を駆け巡っています。

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2009年12月28日

付き合いが狭い

久しぶりに車で古書会館へ。金曜日の荷物を引き取り、そのまま家までもどり、車を置いて、バスで店に。

都心部は空いていたとはいえ、ところどころ混雑した場所もあり、そんなことで都合4時間近く費やしてしまいました。

しかしこのあと今夜は忘年会。おかげで心置きなく年忘れのお酒がいただけるというわけです。

この年末は、いわゆる忘年会と称するものは22日の洋書会と、今夜だけ。ひところに比べ、ずいぶん減りました。かえって子どもたちなどが、いろいろなグループの友達と相手を替え出かけておりました。

その代わり、新年会の予定が、顔を出すだけでよいものを入れると既に5件あります。忙しい年末を避けて、年が改まってから集まろうという傾向でしょうか。

昨日来、店主は年賀状書きに追われております。今年は例年になく早く出来上がり、この分では年内にすべて出し終えることができそう。近年の快挙といわねばなりません。

宛名を書きながら、あらためて感じるのは、相手は同業者ばかりということ。昔の友人関係は減ることはあっても増えることはありません。お客様には殆どお出ししていません。いきおい同業宛の割合が年毎に増えていきます。

自分の付合いの狭さを知らされる年の瀬です。

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2009年12月27日

まっとうな暮らし

ふだん25分程度かかる車での通勤が、先日、25日の朝には45分。それが今朝は10分!正月三が日並みの道路の空き具合でした。

いよいよ年末年始休暇。今年は暦の具合で休みが短めといわれていますが、明けてからが早いだけで、その分、前倒しに休むところも多いはず。

仕事があって、お休みがある。確かにそれが一番まっとうなことではあります。

ワークライフバランスなどという言葉もありますが、その前段となる仕事につけない人が増えていると、連日報じられています。休みが多少短いくらいで、文句は言えないかもしれません。

店番のミセスCが、正月元旦、ブックオフのいくつかの店舗でセールがあるらしいという情報を聞きつけてきました。

コンビニといい、各種チェーン店といい、年中無休の店が今や数多くあります。それが成り立つのは、働き手に困らないという事情があるからでしょう。

店主らの学生時代、正月に実家を離れてすごす学生は、食糧の確保を最重要の課題と心得ていました。それくらい、あらゆるお店が、お正月の間はどこも閉まっていました。

けれどいったい世の中は、その頃に比べ、住み良くなったのでしょうか。

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2009年12月26日

世間は仕事納め

店の向かいには小さなビルが二つ並んでいて、デザイン系の会社がいくつか入っています。

どこも事務所の大きさに比して人数が多く、それも若い人たちばかりで、初めのうちはなかなか挨拶も交わしませんでした。それでもさすがに6年もたつと、見知った顔も増えて、ずいぶん打ち解けてきています。

昨日、今日でそれぞれどこの事務所も仕事納めらしく、掃除をしたり車を洗ったり、立ち働く姿を見かけました。

世間も大方はそんなペースで動いているのでしょう。通りを歩いている人を殆ど見かけないほど閑散としています。明日からは、さらに静かになりそうです。

店のほうは、言うまでもありません。たまに思い出したようにお客様が入って来られるくらいで、殆どの時間は人気なし。それでも昨日、今日とお一人ずつまとめ買いの方がいらして、何とか売り上げがたちました。

明日からも、毎日、たとえお一人ずつでもそういう方においでいただけると、店を開けている甲斐もあるのですが。

同業の友人の携帯に、しばしば「飲み屋のおねーさん」からメールが入るのを、見せてもらったことがあります。営業努力に感じ入ってものです。なぜ古本屋にはできないのでしょうかね。

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2009年12月25日

今日の市と明日の予測

クリスマス市も無事終わり、残務を片付けてから、お手伝いの方を合わせ総勢30名ほどで打ち上げ。明古にとっては、今年の仕事納めでもあります。

若い人が多いので、カジュアルなイタリアンで飲み放題コース。それぞれに塊りとなって盛り上がっていました。しかしどうしても話題は今日の市会のことが中心。

昨日もお話しした『伝嵯峨本源氏物語』が、予想を超えた落札価格となったおかげもあって、全体の出来高は近年にない好成績でした。

『源氏』自体も一点の落札価格としては、クリスマス市史上最高値。書物に限れば、過去すべての取引の中でもトップテンに入ろうというもの。話題にならざるを得ません。

けれども却ってそのおかげで、今年のクリスマス市を例年と比較して分析するのは難しくなりました。

この本が出なければどうだったでしょう。市場にいて感じたのは、むしろ低調さでした。終盤まで、一点100万円を超える発声を聞かなかったように思います。札の入りも少なかったような。

しかし出品点数1700点。特別の本を除いた出来高で昨年と比べても、やや増加といったところ。点数は減っていて、すると一点単価はむしろ上がっています。

良い本と駄目な本、値のつく本とつかない本の差が、これからはますます広がるのではないか、というのが、その場での一致する結論でした。

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2009年12月24日

嵯峨本源氏物語

明日の明治古典会クリスマス特選市の準備のため、昼から古書会館へ。

地方から届いた出品物の梱包を解いたり、持ち込まれた品物を会場に並べたりして午後7時まで。ほぼ目処がついたところで、ロートルは一足お先に放免されました。

経営員と若手はもう少し残って片付け。彼らは明日、また早くから出て仕事です。終わったあとで食事でも行こうと誘い合っていました。

クリスマス・イヴ、本当はもう少し違う相手と食事をしたかったことでしょう。

駒場に帰り着いて、店までにある数件の飲食店は、どこも閑散としていました。デート向きでないお店は、今夜は暇かもしれません。彼らも歓迎されるはずです。

さて、明日の市場の一番の目玉は、『伝嵯峨本源氏物語』54帖の揃い。伝とつけたのは、嵯峨本であるという学問的な保証はついていないからです。

しかし版面に見る限り、国内で唯一所蔵を公開している大阪樟蔭女子大学の蔵本と同じもの。さらにその来歴も、かなり確かなものです。

どんな評価がつくのか、誰が手に入れるのか、まさに興味津々。その結果は明日、このブログで、というわけに行かないのは残念ですが、どこからか風評は伝わるもの。

いずれ皆様のお耳にも届くかもしれません。

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2009年12月23日

親切と見識

本当に静かな年の瀬。駒場がこれだけ静かだということは、例によって渋谷あたりは、さぞや賑やかなことでしょう。

学生さんらしいお客様から「日本古典文学関係の本はどのあたりでしょうか」と尋ねられ、答えに窮しました。

国文学関係といえないこともない本も、店の中に何冊かはありますが、とてもこのあたりがそうですと申し上げられるほど、集まっているわけではありません。

しかし、緊張したような話し方から、もしかすると単に何か古典作品を探しているだけかもしれないと思いました。

それで「どんな本をお探しですか」とお尋ねすると、「特に何というわけではありません」と、ますます固くなってお答えになります。

それ以上、立ち入って「研究書ですか、作品ですか」と聞くのもためらわれ、結局「ウチには古典文学関係を集めたところはありません」というつれない返事になってしまいました。

古本屋に慣れていない人にとって、どこに何があるか分かりにくいのは、確かに不便だと思います。その点ではブックオフなどが棚に細かく表示しているのは、親切なことだとはいえるでしょう。

とはいっても、むやみな表示で見識を疑われることのほうを、どうしても気にしてしまうのです。

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2009年12月22日

今年最後の洋書会

先日、今年の会議はお終い、と書いた時には忘れていましたが、今朝は南部の役員会。

10時からの開始に少し遅れて到着。すでに始まっていて、ちょうど報告のお鉢がまわてきたところでした。とくに何事もなく、30分ほどで終了、「みなさん良いお年を」でお開きとなりました。

その足で洋書会へ。英文学ロマン派関係60箱出品という触れ込みだったので、少しでもお手伝いできればと思ってです。

その60箱ですが、確かにかなりの量。しかし殆どは、いわゆる店頭の均一本。それでもこのくらいの量があると、掘り出し物を手に入れていることもありますから、一応丹念に目を通します。

ですが今回の本の旧蔵者には独特の習慣がありました。タイトルページに太い赤のフェルトペンで、大きく自分の名を記すことです。

結果として、細かく仕分けるようなものは見出せず、大半が大きな山で出品されました。

その評価はともかく、丹念に古本屋巡りをして、楽しみながら集められた本だということは分かります。問題はこのようにして本を買っていただけるような、古本好きのお客様が、明らかに減っているという事実です。

その点に話が至り、会員一同、溜息となりました。

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