2010年03月

2010年03月21日

体にムチ打って

お客様のご都合に合わせるのは、当たり前といえば当たり前。ですが、出来ればもう少し先にしていただきたかった。

午後から駒場の研究室へ車で引き取りに。二往復して、約60本。先日の車一台分もまだ店内に積んだままで、今日はとうとう通路を塞ぐようにして、店の中に運び込むだけで精一杯。なんとか店を閉めることは出来ました。

もっと辛いのは体の方。このところ腰が不調で、前回のときも先生に延期を申し出たのですが、逆に何としてもと懇願され、押し切られたのでした。

今日はもう腹を括って出かけたのですが、どうにか引取りまでは済ませることが出来たものの、明日からの片付け作業が思いやられます。

しかし物は考えよう。昨日の夜から吹きすさぶ風と、未明の激しい雷雨を寝床で聞きながら、どうなることかと案じたお天気は、朝にはきれいに晴れて、雨中の荷物運びだけは免れることができました。

引き取った本も、科学史、哲学といった小店向き。少しでも早く整理して、どんどん店の棚に並べていこうと、前向きな決意を固めたところです。

明日の朝、腰に来ていなければですが。

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2010年03月20日

墓参り

朝、開店の準備をしてから、連れ合いと二人で旧友の墓参りに出かけました。

折りしもお彼岸、昨日がその友の祥月命日。さらに今年がちょうど十三回忌にあたります。そこで京都時代からの仲間と共に墓参しようと、以前から計画していたのでした。

墓は葉山にあります。同じ葉山といっても、彼らが20年近く前に家族で移り住んだ海近くからは山一つ隔たっていますが、山あいの景色の良い霊園でした。

墓前に集まったのは総勢6人。12年前の葬儀も無宗教でした。今日も思い思いにただ瞑目し、それぞれに友を偲んだのです。

平成18年に子らによって建てられたまだ新しい墓石には、墓誌として平成10年3月19日という日付がありました。そして隣には平成17年9月13日という日付。我らにとって同じくかけがえのないもう一人の友、旧友の連れ合いの名もそこにありました。

二人の愛した土地に敬意を表し、その後、電車とバスを乗りついて横須賀美術館へ。海を正面に見る美術館で、ゆっくり昼食を取り、思い出話を沢山しました。

風は強かったものの、暖かで日差しに恵まれ、何度もの乗り継ぎやレストランでの席待ちまで、とても間がよくスムーズだった一日は、亡き二人の心づくしの接待であったのかもしれません。


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2010年03月19日

大きさをもてあます

今日の明古は先週に続いて3Fワンフロアー。どうも出品の量に波があります。そんな中で目を惹いたのは、特大の額。初めベニヤ板二枚分ほどにも見えました。実際はその二周りほど小さかったのですが。

午前中、二人がかりでエレベータから運び出してきたときは、一体何を持ち込んだのだろうと、作業している一同の手が止まりました。覆われていた布袋を取ると、現れたのはコクトーの映画『美女と野獣』の巨大なポスター。額は特別に誂えたもの。

立て掛け台の上に乗せると、天井近くまで見上げるようになり、いっそう大きく感じます。

ポスター自体に折り跡はありますが、まず保存状態は良い方。というより、この大きさを考えると、折り目くらいは仕方ないでしょう。しかもタイトルは申し分ありません。何枚もの札が入りました。

結果から言うと、荷主さんの落札希望価格に届く札はなく「出来ず」。希望価格が高かったのは、分からないでもありません。珍しいものだという思い入れもあるでしょうし、掛けた手間もあるはずです。

一方、入札する側は、欲しいには欲しいがそれを運ぶ手間、置く場所、売れたら売れたで、またそれを送る手間、それらを考え合わせると、つい「げそる」つまり実際の評価より安い札を入れることになってしまいます。

そんなわけで、今日一番の注目品は、取引不成立に終わったのでした。

早めに市が終了したので、久しぶりに「松翁」へ。今日は三人。都合よく席が空いていて、相変わらず素人くさいお上さんの接客振りも肴に、楽しい食事でした。

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2010年03月18日

我、気づけり

お世話になっている先生に出したメール。正確に言うとその奥様から来たメールへの返信メール、そこへ先生のご様子を伺う文言を入れました。昨日の朝のことです。

夜遅く、風呂に入っている時、突然先生のお名前を間違ったことに気がつきました。風呂というのはいろいろと思い浮かぶ場所のようです。

間違ったといっても、まるで違うお名前ということではもちろんありません。要するに変換ミス。

音にすると、失礼ながらごく一般的なお名前で、それだけに変換して最初に現れた二文字の、初めの文字を見て、それで良いと思ってしまったのです。

幾通りもある同音の表記の中で、いの一番に出たのは、最新の文字入力の記憶に違いない、それならば余人ではありえないと思い込んだのですね。

風呂でそれを思い出したのも不思議です。文字が頭に浮かび、妙な違和感を感じ、そうだ「男」ではなくて「夫」だと、とても明白に誤りに気づいたのです。

風呂から上がって、早速お詫びのメールを出しました。

で、何の関連もないのですが今日は午後からTKIの会議。昼間は暖かかったのですが、コートなしで出かけ、帰りはちょっと寒かった。今夜は、また雨になるようです。

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2010年03月17日

twitterは苦手

どうも良く理解できなくて、というのは仕組みとかやり方とかではなく、こういうものを使う気持ちが理解できなくて、敬して遠ざけてきたのですが、娘に「見てごらん」といわれて店のPCでその画面を見ました。

「これから河野書店に本を売りに行く」というようなことが書いてあります。初めて twitter なるものを目にしたのでした。昨日のことです。

娘も何か別の情報を探していて偶然みつけたようです。そのつぶやきの主は、こちらが市場に出かけていて留守の間にお持込みになっていました。

全部で1000円にもなれば、とも書いてあったのですが、割り合いきれいな教科書でしたので2800円と値踏み。本日お電話をし、先ほど受け取りに来られました。

「いくらでも良いです」でも「なるべく高く」でも評価の結果にそう違いは出ないものです。ただこちらとしては、言い値をすんなり受け入れていただけると分かっていれば気が楽ですけどね。

というわけで、この売主もつぶやいて損をされたということはありませんので、念のため。

しかしやはり店主は、この手のものを覗く気はしません。2ちゃんねるとやらも、一度も見たことがありません。並べると叱られるかもしれませんが、その程度の認識レベルですのでご勘弁を。

要するに他人が話しているところに顔を突っ込むような、あるいは耳をそばだてるような行儀の悪さを覚えてしまうのです。話があるなら、ちゃんと話しかけて欲しいと思うのです。

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2010年03月16日

市場から世情を知る

いきなり初夏だといわれましてもねえ。天気予報で、今日は5月の陽気になると。お昼、神保町駅のいつもの寒暖計は24度。

今日の洋書会は出品しただけ、買いはなし。店が満腹で、それでも欲しいというものが、幸いなことに見当たりませんでした。しかし早くお腹を空かせなければ、何時までも食べられません。

今日の話題は東京古典会。その名の通り、明治以前の書物を中心に扱う市で、歴史の古さは洋書会と双璧。同じ火曜日に異なる階で開いています。市場の規模は残念ながら、現在はかなりの差があるのですが。

その古典会に、ある文学館の旧蔵品がまとめて出品されました。もちろん古典籍もあるにはあったのですが、殆どは近代文学、美術関連、つまり明治古典会の守備範囲のもの。

明古の幹事の一員としてはいささか悔しい思いもあります。しかし、すべては荷主さんの意向次第。いろいろ都合や事情がお有りになったのでしょう。どこの市に出ようと、売った人も買った人も喜べる結果であれば文句はありません。業界としては、良い品が流通することが何より大事です。

さてしかし、その品が出てきた経緯は、決して喜ばしいものとはいえません。当の文学館が何らかの事情で閉鎖されたのが契機らしいからです。

ひところ急速に増えていった文学館、記念館の類は、現在明らかに減少傾向にあります。そのことは、統計資料に頼るまでもなく、私たちの交換会の現況から夙に明らかです。

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2010年03月15日

もう一度盗撮を考える

先日の盗撮事件は、内輪では大いに盛り上がりました。

ことに店番のミセスCは、絶対に許せないという立場。なにしろ、よその新刊書店でこれを目撃し、正義感に駆られて自ら注意に及んだという経験の持ち主ですから。

その時も相手は、なぜ悪いのかという態度だったといいます。

腹に据えかねる人は多いらしく、「デジタル万引き」という言葉さえあることを知りました。そこで改めて、何故悪いのか考えてみることにしました。

すぐに思い浮かぶのは著作権の問題。無断コピー、違法コピーと同列に論じる立場です。しかしその点では古本屋は余り大きなことは言えません。売れたからといって、著作権者に利益が還元されることはないからです。

ただ(無料)で取(撮)っていくのだから窃盗だ、という意見もありました。これもしかし「減るもんじゃなし」という反論があります。しかも話がそのレベルになると、何だかとてもみみっちい議論になります。

撮る側にしてみると、今時何の抵抗もないのでしょう。日記代わりに何でも写すのが習慣になっている人もいます。「カワイイ」で撮るくらいのことなら大目に見てもいいか、とオジサンなどは思うのです。

しかし先日の例は、どうやら自分の仕事にかかわるものらしい。となると話は変わってきます。うら若い女性に、プロの心得などを説いて(もちろん自分のことはさておいて)煙たがられるくらいのことは、古本屋のオヤジの役回りだったのかな、と少し反省しています。

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2010年03月14日

根雪も解ける

穏やかな日曜日。昨日ほどではないですが日差しが暖かで、店の前で本の整理をするには良い気候です。

先日の洋書会で買ったフランス書の大山、明治古典会で買った大判本の7本口、それが昨日届きました。昨日はまた、駒場の研究室からの引取りが車に一杯。

昨夜店を閉める時にとりあえず通路に積み上げて、今朝店を開けるときにまた店の前へ積み上げて。今日のうちにできる限り整理をして、しきれない分は、また今夜通路に積み上げることになります。

このところ店の近所にビルの新築が続き、夜間に道路を掘り返す工事のお知らせの紙が良く届きます。いちいち埋め戻し、また掘り返す作業に大いに同情を感ずるのですが、考えてみればあちらはその作業自体に雇用が発生していて、それで食べている人もいるわけです。

古本屋は運んで積みなおしているだけでは一文にもなりません。かといって、どこかに空きを見つけてそこへ押し込んでしまうと、とりあえずは片付きますが、今度はそれが根雪のように残ってしまいます。

既に充分な万年雪が積もっているのですから、あまり押し込むと、隠れて見えないところは何時までもそのままです。ある程度整理が付くまでは、出し入れ作業を続けようと思います。

そういえば昨日は暖かいを通り越して日向は汗ばむほど。早くも蚊が一匹迷い込んできました。雪ならどんどん溶けていく時候なのですが。


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2010年03月13日

何時になってもいいですから

昨日、市場で仕事をしていると携帯が鳴りました。

「お店に電話したら携帯の番号を教えてくれたので掛けました。昨日来ていただいたものです。あと少しあるのですが来てもらえませんか」

「今日は夜まで店に戻れません」「何時になってもいいですから」「そう言われましても」「じゃ明日午前中はどうですか。明日の朝、引越し業者が来ますので」

という訳で今朝、店を開ける前にお寄りして、段ボール二箱を引き取ってきました。一昨日の三箱でも分かっていましたが、この方、良い本をお読みなのです。ただ本の扱いに無頓着。カバーが取ってあったり、ページが折ってあったり、線が引いてあったり、シミがついていたり。

ですからこちらの評価額にも頓着はありません。お金にしようというのが目的ではないのです。それでも捨てるなどとは思いもつかないのでしょう。どうしても引き取って欲しいと、二日にわたってご連絡を頂いたのでした。

高い評価額は付けられませんが、手間と時間をかけて店で売ってみることで、お気持ちに報いようと思います。

ところで「何時でもいい」というのは、案外しばしば耳にするフレーズですが、若い時分に比べて、こういう言葉に簡単に対応できなくなっている自分に気がつきます。

寄る年波といえばそれまででしょう。でも年中無休で営業しているのですから、せめて時間外は減らしたいという気持ちもあるのです。危うい腰や肩と折り合いをつけ、まだしばらくは仕事を続けるためにも。

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2010年03月12日

本を見る、本を知る

このところ荷の多い市が続きましたが、今日の明古は出品が少なめ。陳列は3Fワンフロアだけ。そのため開札間際になると、入札の人で溢れ返り、かえって賑やかな感じがありました。

点数が少なかった分、早くに終了。せっかく時間ができたので、ABAJの『2010年国際稀覯本フェア』、例の『ピーター・ラビット』を見に、六本木まで出向くことにしました。

明古の若い会員、経営員たちも一緒に行くことになりました。着いたのは午後6時の閉場間際、会場は駆け足で見て回るだけでしたが、若手のお目当てはその後の食事だったかも。西麻布の焼肉店、先週に続いての焼肉。

そうとは知らずついていった店主は最年長、まあ世間的には普通の形ですけれど。後からフェアに参加している店の若い後継者たちも参加。総勢20人という大所帯になりました。

これからの古書業界を背負うべき次世代の元気な様子を見ながら、ちょっと足も痛くなってきたロートルは、一足早く途中で退席。彼らはまだまだ、恐らく次なる店へも繰り出したことでしょう。

『ピータ・ラビット』はシンプルな小さな本でした。しかし付けられた価格のおかげもあるかも知れませんが、背後にある文化史的な意義の大きさが伝わってくるような、きれいな本でした。

ところで明古の『ジョンソン伝』、こちらは紛れもなく初版、それも初刷りとされるもの。有名なトリヴィアである誤植もちゃんと見つかりました。しかし、知識だけでは本は買えません。店主が二番札ではあったのですが。

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12月31日から1月3日まで
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