2010年04月

2010年04月20日

5月になれば洋書会大市

洋書会の当番で朝から古書会館へ。

ほどほどの出品量。少なくて手持ちぶさたということもなく、多すぎて昼食も取れないということもなく。

そのお昼は、すっかりお気に入りメニューの一つとなった釜飯。今日は8人いたので出前も大変だったでしょう。釜自体の重さがあるうえ、店主などはいつも残してしまうほど大盛りの飯が詰まっています。もっと多い時はどうやって運ぶのかしらん。

いつもより人が多かったのは、今日の市場の準備と並行して、5月に控えた洋書会大市会の、目録用写真撮影を行っていたため。組合で最近購入した、性能のよいデジタルカメラで、撮りながらパソコンに取り込んでいきます。

写真撮りも、随分と楽になったものだと感じ入りました。それでも変わらないのは本を開いて撮る難しさ。美麗な装丁や、壊れやすい古刊本の、標題や挿絵などを撮りたい時に、背やジョイントを痛めないように押さえておく、良い方法はないものでしょうか。

目録は5月11日頃に出来あがり、その翌週が大市会。業者のみが参加できる市会ですから、集まった稀本、珍本を皆様にご覧いただけないのがちょっと残念。折があれば、出来る範囲でご紹介したいと思います。

午後から雨になり、店はさっぱり。「葛西/嘉村」という渋い一冊が売れていました。


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2010年04月19日

ハトにクラクション

久々日中20度を超え、古書会館へ向かう車中、オートエアコンのクーラーが作動するほど。

土曜日に伺ったお宅の、美術趣味系雑誌の引き取り。そのまま明治古典会に出品するつもりで神保町へ。大判で重い本が多く、あまり良い値段は期待できませんが。

しかし自分の店で売るには場所も手間も、日数もかかります。つまりはそれが、良い値にならない理由なのですね。

お昼休みの時間だからでしょうか、道路は空いていて、午後1時には店に戻ることができました。

その往路でのこと。竹橋の広い交差点で信号待ちをしていると、横断歩道にハトが降り立ち、のんびりしています。やがて信号が変り、ゆっくり車を進めるのですが、飛び立つ様子もなく死角に入ってしまいました。

後ろからはクラクションの嵐。さらに恐る恐る進めるうち、どうにかバックミラーに無事な姿を確認でき、ほっとしてスピードを上げた次第です。

それにしても一発目のクラクションの早かったこと。そんなに苛立つような混雑もなかったのに。それとも隣車線の車が、ハトを追い払おうとして鳴らしたのだったか。いずれにせよハトは落ち着いたもの。ドライバーたちの苛立ちとは好対照でした。

「近松秋江」ご高齢男性。「三島」男子学生。「坪内/二葉亭」「井伏」「坂口」三冊を若い女性。

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2010年04月18日

紙辞書

良いお天気の日曜日。気温は言われていたほど上がらず、ドアを開けたままで店番をしていると、足元にはヒーターが必要。

それでも人出は多いほう。お昼時など、店内が混みあう時間があったと、店番のミセスC。といってもそんな時間帯は僅かで、相変わらず静かな駒場です。

教科書らしきものが殆どないため、新入生の来店はまれですが、それでも時折、新学期だなあと思うことがあります。それは辞書を探す学生さんの多さです。

今や電子辞書がすっかり優勢で、ブックオフなども古い辞書は買ってくれないと、聞いたことがあります。しかしこの時期、それほど古くなく、手頃なサイズで値ごろなものを置いておけば、結構売れていきます。

先日、早稲田の同業が面白い話をしてくれました。試験のとき、辞書持込可という場合も、電子辞書の持ち込みは禁止。それで学生さんたちが試験前になると「紙(カミ)辞書ありますか」と探しにくるとか。

電子ブックが普及すると、いずれ私たちの扱うものは「紙本」と呼ばれるようになるかもしれないと、笑えない笑い話になりました。

それでも、これは何でも同じことですが、売れそうな程度の良い辞書というのは、なかなか入ってきませんね。棚を眺めては帰っていく姿ばかりが目に付きます。

本日の全集:「三好/中原/伊東」「中山義秀」お一人で二冊。近代文学館通い系の方。

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2010年04月17日

これもご縁

店の植木鉢に雪(!)の名残り。雨のち晴れ。

「美術全集やら映画スターの写真集やら沢山あるのですが、引き取ってもらえませんか」というご依頼を、数日前、ご来店のご婦人から受けました。

引き取れるものだけでもよいからということで、それではともかく一度拝見に伺いますとなり、今日の午後でかけたのです。

自転車で5分ほどのところ。8畳ほどの部屋の壁面と中央に棚が作られていて、なるほど『原色日本の美術』他、何種類かの大判美術全集。他にも美術系の雑誌、図録。次に眼を引いたのは辞書類。各国語の辞書が何種類も集められて、それだけで棚を何段か占めています。

ふと閃くものがありました。そして次の瞬間には、はっきりと思い出していました。以前、良くご来店になり、革装の辞書があると、決まって買って行かれたご年配のお客様のお名前が、まさに今伺っているお宅のお名前です。

もしやとお尋ねするとその通り。ご本人は10年前にお亡くなりになったとのこと。さすがに、そろそろ片付けようとなったようです。

となると無下にもできません。少しでも生かせそうな本を棚から抜き出してみると、美術、趣味系雑誌を中心に結構な分量。日を改めて、車でお引き取りに伺うことにしました。

全集は「外村繁/川崎長太郎」「中村真一郎/福永武彦」それぞれ中高年男性。「大仏」「舟橋」「佐藤」「伊藤」「里見/久保田」一気に5冊はご近所の男性。


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2010年04月16日

滅亡か、復権か

今日も雨。四月の日照時間が平年に比べて短いらしい。

天候不順は古本屋にだって影響はありますが、農作物などの方が深刻であることは言うまでもありません。雨で本が売れないと言ったって、わが身の問題に過ぎないのですから。

「滅亡か、復権か」という、先日のシンポジウムのタイトルは、そのわが身の問題に、いかに社会性を持たせるかという試みだったと言ってよいでしょう。

終了後の記者会見で「終わって見て結局、どちらだという感触ですか」という質問が、当然ながら出ました。

店主は次のように答えました。「滅亡だの、復権だのというのは本来大きな機構や産業が辿る道で、それに対して我々は小さな個の営みの集合体です。個の営みが途絶えることがない限り、それらを束ねて大きな力にする仕組みは有効だと思います」

うまく伝わったかどうか自信はありませんが、そんなことを言ったつもりです。

二兆円が小さなビジネスだと見る目からは、この業界は虫眼鏡で覗くような世界でしょう。しかしその中にさえ、比較にならないほど規模や実力の違う業者が寄り集まっています。

それを束ねる仕組みが90年続いてきたことに、もっと自信を持って良いのかもしれません。

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2010年04月15日

全古書連大市会

年一回、全古書連の総会が開かれる(今年は昨日)のですが、隔年で東京と、それ以外の組合が、持ち回りで開くことになっています。その際、同時に全国規模の大市会を開催することが、長年のしきたりでした。

ところがこの大市会が負担となり、肝心の総会開催を引き受ける組合の調整に難航するようになったため、一昨年の総会で、大市会開催は、総会引き受け組合の判断に任せる、ということを決めました。

せっかくそう決めたのだから、やるかやらないかについては、組合員の意見をもう少し聞いてから、結論を出して欲しかった。というのは、そう決めた総会に店主も参加していたからです。

しかしやるからには成功させたい。そのためには全員が力を合わせなければならない。その思いは共通のようで、雨と寒さにもかかわらず、今日の入札会も、大量の出品と、全国から集まった大勢の参加者で賑わいました。

店主も朝から出かけ、何点か札を入れましたが、なかで一番力を入れた Buffon: Histoire Naturelle. 1799- 74冊 については、残念ながら二番札。何枚も入札があった中での二番ですから、それなりに頑張ったといえます。

しかし落札者の札には、まだかなり上値があって、実際に買おうと思ったら、それ以上の価格を書かなくてはなりません。それを知って諦めがつきました。

大きなお祭りが終わります。終わったあと冷静にその功罪を検証し、今後の指針とすることが必要でしょう。

店ではこの間も、ぽつぽつと例の全集が売れています。「平林たい子」「火野葦平/田村泰次郎」「横光利一」そして今また「阿部知二/芹沢光治良」

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2010年04月14日

懇親会

今、家に帰ってきました。シンポジウムが終わった後、懇親会があり、それへの出席を求められていたので、今日は始めからその予定で、店へも車を使わずバスで出かけたのでした。

シンポジウムが終わったのは予定していた5時半過ぎ。司会としてはまずまずでしょう。時間に終わらせるのが大きな役割ですから。終わって別室で30分ほど、報道各社から講演者共々、取材を受けました。

懇親会は7時から。赤坂の九州料理店。少し説明が必要かもしれません。このシンポジウムは、もともと全古書連の、年に一度の総会にあわせて組まれたものです。シンポジウムの前には総会が開かれていました。

つまりこの懇親会は、総会出席者のための懇親会であったわけで、シンポジウム関係者は、いわばそのお相伴に預かったというしだい。

各地組合の役員さんたちは、店主が理事を務めていたときから旧知の顔ぶれが多く、要するにいずこの組合も、同じメンバーが続けて引き受けざるを得ないような状況だと思われます。おかげで旧交を温めることも出来ました。

シンポジウムメンバーの席はまとめられていて、高野先生ほか、情報学研究所の方、国会図書館の方など、本屋以外の面々は店主の近く。やがて酔うほどに調子が出てくる古本屋の姿に、興味深げに見入っていました。どんな印象を受けたのでしょう。ちょっと不安が残りました。

皆さん、もちろんまじめな商売人です。それだけに憂さの晴らし方にも長けているということなのですが。


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2010年04月13日

魚影が薄い

昼前、二人連れの学生、一人は外国人。彼が手にしていたのは、またしても「大岡昇平」。しかし店番のミセスAによると、結局それは棚に戻していかれたとのこと。

ところがいつもの奥さまが、今日はお母様らしい老齢のご婦人とお出でになり、ご自身は「岡本かの子」、お連れがその「大岡昇平」。よかったようやく売れました。

その後、学生さんが「安部公房」「埴谷雄高/堀田善衛」を、また別にご年配が「太宰治」をと、都合5冊。「今日は良く売れましたね」とミセスA。本当はもう少し期待していたんですけどね。

この手の揃い物は、魚が餌をつつくように少しずつアタリがあって、やがてぐぐっと、つまりまとめてお買い上げ。というのがふつうのパターンなのです。まだその引きが来ないのか、それともそもそも餌(単なる喩えです、ご容赦)が悪いのか。いやポイントが悪いという説もありますね。

神田あたりなら、もっと勝負が早い。きっと一週間も並べておかないでしょう。糸を垂らしてアタリが来なければ、すぐに別の餌に取り替える。ここ駒場では、そんなに早く諦めるわけにいきません。もう少しだけ様子を見てみようと思います。

お天気回復、ただし長持ちしないという予報。明日は晴れそうでなにより。ネットでライブ中継、ツイッター投稿を場内で披露など、いろいろ仕掛ける動きがあるようで、ちょっと気が重くなってきた店主です。

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2010年04月12日

個の小さな営み

午後四時を回ったというのに、レジの客数はまだ一桁!

朝から雨が降っているし、しかもだんだんと気温が下がってくるし、月曜日だし、店の表は窮屈に棚が並んでいるし、店内にはいたるところに本が積まれているし。お客様が来ないのも不思議ではないと結論するために、いくつもの理由をあげて自分を納得させています。

しかし、それより不思議なのは、どんなに悪天候でも、店を開けている限り、売り上げがゼロということがないことのほう。もちろん限りなくゼロに近いことはありますが。

明後日に迫ったシンポジウム、コーディネーターの方が台本を用意して下さったので、気楽に構えて何の準備もしていません。どんな話になるかはゲスト次第ですから、こちらの役割は時間で終えること。

今回に先立ち、二月に行われた第一回シンポジウムの講演録が、「古書月報」四月号に掲載されています。小田光雄さんのお話、すでに録音でも聞いていたのですが、改めて読み返し、次のくだりが心に残りました。

「私が今思っているのは、出版にせよ文筆にせよ、結局は個人の小さな営みでどれだけやっていけるか。個の作業としていかに成立させることができるかにかかっているということです」

もとより小さな営みでしかない古本屋にとって、そのまま響いてくる言葉です。同時に講演された土屋俊千葉大教授の、理路整然とした明快なるご託宣(図書館に本はなくなる)に比べ、その当事者性に深く共感したのでした。

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2010年04月11日

どろなわ式

即売展に参加していたころは、良く経験していました。深夜の作業。いつも間際まで手を付けないので、ひどい時は殆ど徹夜で準備、などということもありました。

次第に体がついて行かなくなって、大方の即売から撤退したのです。要するに、前もって準備するということが出来ないのですね。

昨日、久々に深夜労働。日付が変わるころには終わりにしたのですが、今朝起きるのが、やはりかなり辛かった。体力もずいぶん落ちているのでしょう。

長く手つかずになっていた物置部屋をほじくり返し、一番意外だったのは、洋書より日本書の方が沢山あったこと。

日頃、洋書はなかなか処分する踏ん切りがつかないので、つい取っておくことになり、残っているのは殆ど洋書だろうとと思っていました。実はさっさと片づけられそうな日本書の方が、むしろ大量に空間を占拠していたのです。

今の一連の仕事が片付いたら、この物置の不良在庫の処分に手を付けようと、昨夜、仕事を終えた後のお風呂で体をほぐしながら、固く決意した次第です。

さて、ディスプレイ用洋書のほじくり出しは、今夜もう少し続ける必要があります。しかしお天気の崩れが早まったようで、思うように進むかどうか。

今朝一番で、先日の奥様、「林芙美子」お買い上げ。


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12月31日から1月3日まで
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