2010年05月

2010年05月31日

スロービジネス

このタイトルから昨日の続きと思われるかも知れません。

実はこんなコトバが既に使われているというのは、さっき検索してみて始めて知ったのでした。昨日麗々しく掲げなくて良かった。

そればっかりじゃないというお話です。

「今、神田にいるのですが、ネットで調べてもらったら『露和辞典机上版』が、お宅にあるというのですが」というお電話が二日前にあり、昨日それを取りにいらっしゃいました。

取りに来られたのは店主と同年輩の男性。その父上のためにお求めになるのだそうです。本に顔をくっつけるようにして読んでいるのでと。

結構高価なものです、定価は25000円。現在は版元品切れ、重版の予定もありません。かなり割安に値付けしたので、状態が不安だったのでしょう。きれいなのに驚いていらっしゃいました。

神田の書店で尋ねると「まずネットにはないでしょうけれど」といいながら『日本の古本屋』を調べてくれて、すると一件だけ見つかった。それですぐに電話した、ということでした。

この本を手に入れたのは二週前の宅買い。データ登録して、ネットに上げたのが5月27日。お電話をいただいたのは29日。めぐり合いですねと、大層お喜びでした。

RIMG0125何年も眠り続けた本も、つい今しがた棚に差した本も、買われていく時は一瞬です。

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2010年05月30日

嬉しくてちょっと寂しい

34225「この本は始めて見ました」と嬉しそうにお勘定を済まされたお客様。もちろんこちらも売れて嬉しい、しかしちょっと寂しい。

本は翻訳も二種類出ている
Mario Prazの"Mnemosyne"
ただし、仏訳版(Gérard-Julien Salvy, 1986)。写真はたまたま以前撮ってあったもの。

プラーツはイタリア人ですが、本書の原著は英語。わざわざフランス語訳で読む人がいるだろうかと、入手した時には訝しんだものです。

データ登録日時を調べると2000年6月。冒頭の感慨をご理解いただけるでしょうか。

ところが今日はもう一冊、さらに長きにわたって棚の肥やしになってきた本が売れました。Smith, Patrick J.:The Tenth Muse.
(Alfred A.Knopf,1970)というオペラの研究書。こちらの登録日時は1996年6月。

ネットでご覧になり、状態を確かめてからと、ご来店。ご自身で見つけ出し、やはりご満悦で帳場にお持ちになりました。

その昔、仲間と行ったアメリカへのセドリ旅行、その時に買い込んできた中の一冊だったことを思い出したのは、お客様がお帰りになった後。

原価とか利益とかいった観点からは決して生まれない、古本商売の喜びです。

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2010年05月29日

「先送り」にまた難題

曇って、時々霧雨。肌寒い。

昨日、実はまた一件、組合で「日本の古本屋」のトラブルを報告され、対応に当たりました。

今度の場合は、別人を名乗って注文するというケース。送られた本人は全く身に覚えがなく、しかも何軒もから届いたので驚いて警察に届け、同時に組合の方にも連絡が入ったという次第。

「○○ですがラーメン30人前」という、昔から良くあるイタズラのパターンですが、もちろん悪質な嫌がらせです。届けられた先は教育関係者、本の内容はもっぱら成人向け図書。なかに『人間失格』が混じっていたというあたり、とても陰湿なものを感じます。

着払いで、組合に一括ご返送をお願いしましたので、金銭的な被害はお掛けしないで済みますが、この方にとっては先送り方式があだとなったわけです。

もちろん書店側は、送った送料、戻してもらう送料、どちらも請求するすべはありません。

RIMG0047さらに問題は、このようなケースでは、送り先の情報を公開するわけにも行かないことです。同名、同住所では発注ができないように、制限をかけるのが精一杯。見えない犯人への対処法は見えてきません。

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2010年05月28日

継ぐ店継がぬ店

今日が五月の特選市。幾つか一口物が入って、賑やかな市になりました。

明古幹事の任期はあと一月、四回。他の幹事の半分ほども働いていませんが、二年続けるとさすがに疲れます。

今夜の食事は、行きつけのうなぎ屋さん。メンバーは八人。そのうち若い方から三人は、神保町の地元っ子で同世代、いわば竹馬の友。二人は三代目、四代目としてあとを継いでいますが、もう一人の三代目は別の世界で活躍中。

その彼の父君、つまり二代目が先日亡くなられ、今日はその折り世話になった同業仲間への、お礼の挨拶に顔を出したのでした。

彼の店は長く療養を続けていた父に代わって、彼の叔父さんが切り盛りして来ましたが、この先続けるかどうかは微妙なところ。かつて隆盛を誇った店の名が、また一つ消えるかもしれません。

その一方、神田の跡継ぎは、二人を含め三十代から四十代初めという年代が中心。大きなポテンシャルを溜め込みつつあるという気がします。近年急増した新規開業組とうまく連携し、協調していけば、業界の新たな展望を切り開いていけるのではないか。

厳しい状況の中で、店を継ぐ選択をした何人もの跡取りたちを見ていると、そんな気もしてくるのです。RIMG0053

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2010年05月27日

不可解な出来事

昼頃、通り雨があって、もう一週間になるのに気がつきました。

先週の木曜日、手帳にメモを取りながら一冊ずつ本を抜き出し、日本中世史関係を14、5冊積み上げたお客様。幾らになるでしょうかといわれ、ミセスCが計算し4万円ほどの金額を申し上げると、小首を傾げます。自分の計算と少し違うと。

もう一度計算しますというと、雨も降っているから、車を取ってきますといって出て行かれました。

再計算してみると千円増。しばらくして電話がかかってきました。車の手配がつかないから、明日の午前中にうかがいますとのこと。訂正金額を申し上げると「そうですね」。

翌金曜日は店主不在となるため、すぐに応対できるよう、二枚重ねの手提げ袋二つに納め、計算書をつけておきました。

それから一週間。その後は電話一本ありません。

RIMG0140お名前も伺わず、かかってきた電話も公衆電話。車の件も後で考えるとなんだか不自然。それでも念のため今日までは待ちました。雨をしおに、取ってあった本を元の棚に。雨はすぐ上がったのですが。

こんな眼にあうことを表現する、下品な言葉がありますが、差し控えましょう。損害を受けたわけでもありませんし。


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2010年05月26日

バブルは遠く

夕方から雨で肌寒い。

一週間ほど前の、やはり雨の夕方、車で雑誌各種のお持込みがありました。以前にも大量にお持ちいただいた方で、今回は積み上げて1mほど。

バックナンバーの需要があるような類はなく、そのまま処分するもの、表で安く売るものと仕分けをして、何とか片付けました。

そんな中に「スーパー・スノッブ・マガジン」と自称する本誌『スタイリング』が一冊(1989年1-2月号)。表紙にはクロソウスキーの絵が使われ、アート、デザイン、ファッション、写真とバブルテイスト満載です。

何本かある読み物の一つに「藤島泰輔」の名があり、懐かしさから開いて読みました。

松村書店の先代に、宅買いの助っ人として何度か誘われたことがあり、その中の一軒に藤島氏宅があったのです。お二人は親しかったようですが、こちらは二度ほどお目にかかっただけ。そもそもまるで別世界の人です。

styling2松村さんからは、宅買いより遥かに数多く、夜のお誘いを受けました。そんな席で、豊富な話題の一つとしてしばしば氏の様子を伺った、むしろ懐かしさの淵源はそちらかもしれません。

松村さんとも藤島氏とも、固い言葉で言えば思想信条は異なります。しかし、人の好き嫌いは、それとはまた別のこと。今でも思い出すたびに懐かしい方々です。

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2010年05月25日

生涯に一枚

maruyama本文189頁の小ぶりな本の冒頭に、写真版8頁。その中の一枚に付けられた「生涯に二人で写した、唯一の写真(1939年)」というキャプションに、心を動かされました。

著者、というより話者は昭和59年に亡くなられた仏文の先生。一瞬、和服姿で写るご婦人は、若くして亡くなった、昔の恋人でもあるのかと思いました。しかし他の写真と見比べると、それは紛れもなく昭和61年に本書を刊行した丸山夫人ご本人。

つまりその解説どおりとすれば、50年近い夫婦生活で、ツーショットがたった一枚ということ。俄然、どんな人物だったのか興味が沸いてきました。

没後残されていたテープを起こし、それを編集したという、いわゆる「饅頭本」で非売品。しかし小店では数年前にも一度この本を手に入れ、売っています。

その時も、少しは気になったのですが、ネットに上げるとすぐに売れてしまいました。今回は、まずお先に拾い読みさせていただいています。

販売記録によれば、前の本は河盛好蔵氏の旧蔵で、赤線アリ。今となると河盛氏がどこに線を引いていたのか、それも併せて読んでおきたかったですね。

本日の洋書会は大量出品ながら、何も買わずじまいでした。

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2010年05月24日

たぶんあの方

「ご無沙汰しております」
品の良い老婦人から声をかけられました。店を閉める準備に、表に出してあった箱を持ち上げたところで。数日前のことです。

どこか見覚えがあるような、しかし思い出せません。以前、人違いされた(と思う)体験を書いたことがありますが、今度は店の前です。先方が人違いをされているとは考えにくい。

「美容院の帰りなの。いつの間にか90歳になりましたのよ」
にこやかにお話になります。箱を抱えたまま、精一杯愛想よく「お丈夫そうで」などど応えます。

「食事も自分で作るんです。一人で住んでますので」
重い箱ではなかったのが幸いでした。さらに二言三言言葉を交わし、「ごきげんよう」と去っていかれました。

その夜、家人に話すと、住まいの近所には誰彼構わず親しげに話しかけるご老人がいて、有名だといいます。

いやしかし、なんとなく心当たりの名が思い浮かびました。昔、宅買いに伺った、著書もある教育者。お顔の印象が違うのですが、いつの間にか、別の方とすり替わっていたかも知れません。

そのお名前をwebcatで検索し、確かめてみました。生年のみが表記されていて、それによると御年93歳のはず。しかしそれくらいはサバを読んでる可能性も大。

心の平安のために、ひとまずその方だと決めました。

RIMG0010

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2010年05月23日

踏み倒し

小店の向かいには、4階建てのコジャレたビルが二つ並んで建っています。幾つもの会社が入っているようですが、出入りもあるようで、いつの間にかいなくなっていたりします。

そんな一つに『remix』という音楽雑誌の出版社がありました。過去形なのは、どうやら既に出て行ってしまったらしいからです。

その出て行くに際して、二週間ほど前「給料を払え!」と路上で抗議行動があったとか。残念なことに、店主は出かけていて見逃してしまいましたが。

置いていったビラなどによれば、この社長はかなりの悪党。既に会社は整理していて、別会社で同誌の刊行は続けているとか、これが初めてではなく、過去にも同じようなことをしているとか。

以前、バックナンバーを置いてくれないかと持ってきた人物は、もしかしたら当人だったかも。

そういえばしばらく前から、荷物を運び出す様子を見かけましたが、昨日も車二台にいろいろ積み込んで、急いで出て行く車がありました。経営者側でしょうか、被害者側でしょうか。分かったところで、何もできませんけれど。

世にかくも悪者がはびこってるとなれば、本屋の取りっぱぐれ程度を、警察や世間がまともに取り合ってくれないのも、当然かもしれません。

馬

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2010年05月22日

宅買い、店買い

午前中、調布まで宅買い。途中でひどい渋滞区間があり、着くまで1時間半かかってしまいました。帰りは道を変えて、それでも1時間弱。

あらかじめ、お譲り頂く本については分かっていましたので、状態を確かめ、評価をつけ、ご了解いただき、お代を支払い、車に本を積み込む。その総てで30分ほど。

朝10時過ぎに出かけて、戻ると午後1時を回っていました。

土日は午後6時までの営業ですから、ぼんやりしていると何もしないうちに閉店の時間になります。そして、大抵はぼんやりと過ごしてしまいます。

今日はちょっと頭が重く、余計仕事に身が入りません。買ってきた本はまだ車に入ったまま。行く前に車から降ろした本も、外に積み上げたまま。

一週間前にお持込みいただいた四箱が、昨日ようやくご連絡がついたので、箱から出して整理しようと積み上げただけ。

夕刻、車で大きな段ボール一箱のお持込みです。しかしそのうちお引取りできるのは絵本三冊と文庫本四冊。そう申し上げると、有難いことに残りはお持ち帰りくださいました。

そういえば朝一番『徳川家康』や吉川英治の文庫一箱のお持込みがあり、ご辞退すると、そのまま置いていかれた、それも表にそのままでした。

明日へ持ち越す仕事ばかりです。

時計

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