2010年06月

2010年06月30日

嬉しいおまけ

昼前に届いた郵便物のなかに、冊子小包が二通。一つは注文品だとすぐに分かりましたが、もうひとつの方は宛名だけで差出人がない。

と思ったのは早とちりで、差出人は書かれています。気がつかなかったのも無理はない、版元から直接送られてきたものでした。「新潮社」という文字を見ても、それが送り主とはすぐに判断がつかなかったのです。

RIMG0220しかし心当たりがありません。何が送られてきたのか、早速封を開けてみました。出てきたのがこれです。表紙をめくると謹呈箋、奥付を見ると平成22年7月1日発行。

四方田さんが、思い出して送ってくださったのかと思いました。しかしそれなら単行本が出たときに、お送りいただいているはずです。新しい「あとがき」でも付けたのかと頁を繰ると、解説が加えられていて、この筆者が稲賀繁美さん。

改めて封筒を見ると「冊子小包」の印字とならんで「解説者代送」という文字が印字されています。ようやく、稲賀さんからだと気がつきました。早速その14頁を読ませていただいたことは、言うまでもありません。

文庫化は、古本屋にとってはあまり歓迎できることではありません。しかも、いまやこうしたおまけ付きが普通。ますます親本が売れなくなって困ります。

でも、今回ばかりは、おまけに大感謝。

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2010年06月29日

トンデモ乗客

昨日に続いて古書会館へ。朝の電車の遅延は慢性的。事故につながらなければいいけれど。

そう言えば今朝の「天声人語」には、5分遅れたバスの中で、運転手さんに怒鳴り散らした乗客の話が。小学生が投書し、当の女性運転手も続けて投書したという。

それで店主も、自ら遭遇した体験を思い出しました。何年か前、珍しくバスで店に向かった時のことです。

ある停留所で、停まろうとするバスの直前にタクシーが止まりました。続いて止まったバスに、そのタクシーから降りてきた男性が乗り込んできて、運転手さんに頭ごなし。

「時間前に通過したでしょう、タクシー代を払いなさい」

要するに、幾つか前のバス停を、時刻表の時間より早く通り過ぎたため乗り遅れた。許されないはずだ。被った損害を弁償しろという要求です。当然運転手さんは応じられるはずもなく、押し問答がしばらく続きました。

ネクタイを締めて、身なりだけはまともなその男性、乗り合わせた十人前後の乗客は全く視野に入っていない様子。やがて、おばさんが声を上げ、店主も何かモRIMG0191グモグ言ったような気がします。

しかしそこが人の記憶の曖昧さ。その男性の顔は妙に印象に残っているのに、この一件がどう決着したのだったか、まるで思いだせないのです。


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2010年06月28日

七夕がスタート

立ち昇った水蒸気が飽和状態になり、雨粒となって落ちてくるような、なんとも蒸し暑いお天気。

今日から明治古典会七夕大入札会の準備がスタート。来週の月曜日まで、ほぼ毎朝、古書会館へ出勤しなければなりません。今日と明日は「荷受」といって、届けられた出品物を点検し、入札用の封筒を付ける作業。

間違いなく届いているか、それぞれの数量、状態などに問題はないか。それを今回の場合なら約2300点、いちいち確認します。

明後日は会場設営。この日は業者さんに任せるため、数名の担当者以外はお休み。翌木曜日に陳列し、プレス関係の内覧など。金曜、土曜日が一般のお客様にご覧いただく公開下見日となります。

日曜日の入札会、月曜日の後片付けまで、殆ど店を留守にする一週間。そこから得られるものと、費やす労力との、帳尻が合っているのか、自問自答も毎年のことです。

RIMG0200しかし、そんなことはともかく、ご興味がおありでしたら、ぜひご来場ください。ご覧になるだけでも楽しいと思います。お呼び出しいただければ、喜んでご案内いたします。詳しくは『日本の古本屋』トップページのリンクから。

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2010年06月27日

『アメリカ技術文化史』

RIMG0201昨日の宅買いの中にあった一冊。補修の仕方も比較的おとなしく、印も見返しに一つあるだけ。書き入れや線引きもなさそう。

というわけでダンボール4箱ほど持ち帰った中から、これが唯一、データを取ってネットに上げらる本でした。

20年ほど前に即売展で2500円で購入されたらしい。同じ値段をつけることにしました。本の内容というよりは、昭和19年という年に、このような本が出ていたという、出版史、社会史的な資料としての価値。それにしては安い気もしますが。

この年、タイトルに「アメリカ」とか「米国」とか入った本の出版点数は約60点。戦前、一番多く出たのは昭和16年で倍の約120点。次が17年で、やはり100点以上。一番少ないのは昭和20年で25点前後。もっともこの年は、出版点数自体が少ない。

ちなみに昨年一年間で同じように調べると約440点。もう少し詳しく調べてみると、「出版に見る日米文化交流史」の手がかりくらいはできるかもしれません。

以上は、日頃お世話になっているNACSIS Webcatを使って調べました。このサイトから進化したWebcat Plusと、古書組合が連携へ向けて準備中。先日短い記事が出ましたが、気がついた方は少ないでしょうね。

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2010年06月26日

漱石の本

ご近所へ宅買い。何度か伺ったことのあるマンション。なぜ何度も伺ったかというと、その管理人さんが時折連絡してこられたからです。

引越しのときなどに、不用品と一緒に本を置いていかれることがあり、もったいないからと、ある時電話を貰ったのが始まり。住人から処分を頼まれて、ということもあったようです。

その他にも直接、お客様から呼ばれて伺ったことも一、二度。今回も、先日ご来店のご婦人から要請を受けての宅買いです。

しばらくぶりのその勝手知ったるマンションへ車を入れ、管理人室を覗くと、そこには見知らぬ方が。確かにリタイヤしても不思議ではない年輩だったと、思い起こしました。

肝心の宅買いは、有り体に言うと管理人さんに呼ばれた何回かより、淋しい内容。「漱石のことを書いた本がダンボールに二箱」という言葉に、腰を上げる気になったのでしたが、そして確かにそれらしいものは有ったのですが。

旧蔵者(ご婦人の父君、10年前に94歳で逝去、建築家)の名誉のために申し上げますが、読書のご趣味はなかなかですRIMG0188しかし書き入れ、付箋、コーティング、更には自作補修。老後の趣味として、本を格好の遊び相手とされていたようです。

良い均一本の材料ができました。


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2010年06月25日

明古、打ち上げ

駅を出て店に戻る道すがら、見上げると月が朧。明日は雨か。

明治古典会の今期最終市は、先週に続き近代文学の珍しい本を中心に、棹尾を飾るに相応しい、明古らしい市になりました。

ただ市場であくびをする人を何人か見かけたのは、深夜というか早朝というか、デンマーク戦の余波でしょう。

市が終わってから、一年の慰労と、次期への引継ぎをかねて20数名で会食。ところがこの会場が、近来まれに見るミスチョイス。

御茶ノ水駅近くの和風居酒屋と称するチェーン店。飲み放題5千円というコースだったのですが、なにかちゃんとしたものを食べたという記憶がないうちに、最後のお蕎麦。

店主でさえそう感じたのですから、若い連中にはまったく物足りなかった筈です。飲み放題の方は、ウーロン茶の店主には判定できませんが、出てくるのが遅かったのは確か。

唯一、店主にとってありがたかったのは、制限時間で早々に切り上げられたこと。他の連中は、きっとどこかへ呑み直しに行ったと思います。おかげでRIMG0197金曜日としては、早めに店に戻れました。

しかしレジを締めてガッカリ。サッカー観戦疲れで、皆さん、お休みになっていたのかもしれません。

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2010年06月24日

『量子力学の進歩』

初めに手にしたのは「第2輯」です。「2」とある以上「1」があるはずだと、軽い気持ちで除けておきました。この春、大量に買い入れた口を整理していたときの話です。

この口の整理には随分時間がかかり、実を言うと未だ完全には整理が終わっていません。しかしある日、「第1輯」が顔を出しました。

その二冊だけしか出版されなかったことは、すでに調べてあります。これでデータに取れると勇んで辺りを見回すと、今度は「第2輯」がどこかへ雲隠れ。あちこち探したのですが見つかりません。日が経つにつれ、次第に自信もなくなってきました。別々の本だったのではないかなどと。

ところが今日、他の本を探すため、積み上げた山を移動している最中に、ひょっこり「2」が出てきました。晴れて夫婦に。

RIMG0192第1輯が昭和19年、第2輯が昭和22年。どちらにも短い序文が着いていますが、この激動の時代に至極淡々としたもの。毎年出す予定が、諸般の事情で遅れました、という程度。

世に学者の浮世離れということがありますが、その学問内容は、むしろ時局に最も深く関わっていたはず。なにしろあの仁科さんの監修です。だからこそ続けられもしたのでしょう。

それだけに、この二冊の佇まいの静けさに、かえって戦時下の科学者の複雑な境遇を推し量ったりしてしまうのでした。

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2010年06月23日

サヨナラダケガ人生ダ

一週間くらい前のことでしょうか。例の双子二組のお母さん(もう一人お兄ちゃんがいて5児の母)が、下の二人をベビーカーに乗せてご来店。

昼下がり、たまたま二人ともぐっすりと眠ったまま。深く降ろしたシェードが作る日陰にカートを置いて「今日は静かネ」と、本選びにかかりました。

やがて表のリアカーからアイルランド民謡の楽譜本を見つけ出し「この本は珍しいです。アイルランド語も載ってます。私はアイルランドで生まれました。旦那さんはフランス人」

その本を入れたのはしばらく前。何度もご来店になっているはずですが、ゆっくりした気分で、いつもと違うところに目が向いたのでしょうか。

今日、たまたま Irish History for Dummies (M.Cronin. 2006)という薀蓄本が出てきて、そうだこれをあの、と思いついたところで、お名前も知らないことに気づきました。

ブログがあると聞いたことがあったので「駒場」「アイルランド」で検索し、Dana Killalea さんの「駒場インターナショナル・プレイグループ」を発見。今更のように、その活動を読み進めました。

RIMG0185すると6月14日が最新の日付となっているブログに、「東京を離れることになって悲しい」と書いてあるではないですか。どうやら既にあの家族は駒場にいないらしい。なんとも唐突なお別れです。

Daniel と Etienne は自分達が生まれた東京を、どのように記憶して育つのでしょう。

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2010年06月22日

入札も一種の博打

洋書会は今日が今期最後の市。といっても格別のセレモニーもなく、淡々と終了。全体の量は多くなかったのですが、西洋中世史の一口物があって、これはそれなりの分量。

一点が100冊前後に仕分けられた山が6、7点。10冊前後に細かく仕分けられたものがさらに数点あって、山の中に魅力的な本を何冊か発見。しかし全体を踏む(評価する)となると、ちょっと小店には筋違いで荷が重い。

というのも旧蔵者のご専門は中世経済史であったようで、そちらを得意とする書店がちゃんといるからです。案の定、ダントツに強い札で、その店が大かたを独り占め。小さく分けられたビジュアル系の歴史書一点が、当方、本日の成果でした。

市の合間の四方山話、今日はもっぱら相撲協会の賭博問題。不祥事に対する危機管理能力について、好き勝手に論評を加え合っていました。

RIMG0172古本屋が市場で入札するのも一種の賭け。しかしそれでは飽き足らず、馬券を買ったり、パチンコをしたり、内輪で小さな賭けごとを楽しむ人はいます。

でも結局は品性の問題でしょうね、どこで留まるかは。

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2010年06月21日

拭けばきれいに

久しぶりに聞きました。ベビーカーを押しているのは、たぶんお祖母ちゃん。絵本の棚に向かいながら「古本だからきれいかどうかね、でもまあ拭けばね」と連れの、たぶん乳児のお母さんに。

「あ、懐かしい、これ家にあった。これも」などと一渡り見て、「はいはい、じゃまた今度ゆっくり来ましょうね」と、お帰りになりました。「割合きれいね」という声を残して。

失礼ながらお祖母ちゃん、店主より上とは言わなくとも同じような世代。あなたの子ども時代を思い出してください。今から比べれば随分と不衛生な環境でしたが、お互いこうして、無事今日まで生きてきたではありませんか。

最近では、過度の無菌化が、人体の耐性を低下させているという警鐘も、しばしば耳にするところです。雑菌とも適度にお付き合いさせるべきですよ。

RIMG0178もっとも、それほど神経質とは伺えませんでしたから、心配するには及ばないでしょう。本当に神経質な方であれば、そんな言葉を口にする前に、遠巻きにして通り過ぎて行かれるはずですからね。

むしろ神経がないのかもしれません、とりわけ口の辺りに。



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