2010年08月

2010年08月11日

『ビール学』

何と律儀に皆さんお休みを取られるのでしょう。本格的にお盆休みというわけか、今日はレジの開くことが殆どありません。

今朝寄ったパン屋さん、明日から26日まで二週間お休み。どうも良く流行っているパン屋さんは、長いお休みを取るようです。食べ物という、なくては困るものを扱っているにもかかわらず。いや、それだからという考え方もありますが。

一方で、なくても特に困らない商売なのに、小店は今年も休みなし。休まないのか、休めないのか、時々自分でも分からなくなります。

さてそんな次第で片付け仕事に励もうと、手近の山から手をつけ始めたら、面白そうな本に遭遇。

それほど手の込んだとはいえない、はっきりいえば安っぽいリプリント版なのですが。タイトルは Bierstudien まあ『ビール学』とでもしますか。副題の Ernst und Scherz は、以前「面白まじめ」という言葉が何かで使われていた気がしますが、そんなところ。

RIMG0531元版は1872年刊、ドイツ語で、しかも亀甲文字ときては、内容をご紹介することなど出来ません。ただ目次や挿絵から、歴史、小話、歌など、ビールにまつわる雑学集らしいと分かる程度。

しかし、この本で最初に興味を惹いたのは、1978年、東ドイツで復刻されたということと、すでにISBNコードが付いているということです。思わずISBNが何時から使われ始めたのか調べてしまいました。

32年前。遥かな昔のようでもあり、つい昨日のようでもありますね。


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2010年08月10日

忘れても忘れても

RIMG0527同業から『日本の古本屋』を通じて注文を受け、今日、古書会館へその本を持っていくと約束していました。お互い、手間と送料の節約になると思ったからです。

お昼過ぎ、店を出てすぐに来た電車に乗り神泉駅を過ぎた頃、携帯がバイブレーション。店からの電話です。渋谷について折り返し掛けると、忘れものの知らせ。もって行くつもりで準備しておいた注文の本。

あれだけ忘れないようにと、机の上の目に付くところに乗せておいたのに。次の電車で駒場まで戻りました。駅まで届けに来てくれた本を受け取り、再び渋谷へ。駅から出ることはなかったので電車賃は掛かりませんでしたが、時間は15分ほどを無駄にした勘定です。

実はこれが初めてではありません。同業から頼まれることはたまにあり、市場をよく利用する同業なら、同じように市場へ持っていくことがしばしば。しかし、そのつもりで忘れてしまい、結局あとから郵送したということが、二度や三度はあります。

そのたびに反省し、これからは送料自己負担で送ってしまおう、と思うのですが、その思ったことも忘れてしまっているのですね。

忘れ物の話なら種はつきません。最近一番の忘れ物は、店主ではなく家人の一件ですが、今ここでお話しすると家庭争議のおそれもあります。相身互いということで、これは我が家の秘密にしておきましょう。

何しろ暑い中、駅まで走って本を届けてくれたのは、ほかならぬ家人ですから。

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2010年08月09日

いずこも同じ

「朝雨女の腕まくり」という諺を覚えたのは、大人になってからのことです。

子どもの頃、聞いていたかもしれません、でも記憶には残らなかった。それは全体にさほど切実なものではなかったからでしょう、お天気が、子供達にとっては。

覚えてからは、折につけ思い出し、案外良く当たっていることに感心しています。

では、今日はどうかというと、夜半の雨は確かに朝のうちに上がり、日も差しましたが、昼前突然降り出し、すぐ上がってまた日が差し、午後にも一度俄か雨という、めまぐるしい天気。

まあいずれもホンのお湿り程度でしたから、諺通りだということにしておきましょう。それで、似たような諺が英国にもあるというのが今日のお話です。

前にも一度ご紹介した The Oxford Nursery Rhyme Book のなかに、「お天気の知恵」という頁があり、そこに Rain before seven, Fine before eleven とあるのがそれ。

ほかの諺も日本と同工異曲のものが多く、当たり前といえば当たり前、不思議といRIMG0528えば不思議。

ここは、日英の自然環境の類似性を探るより、人間の営みの普遍性に、その答えを見出すのが正解ではないでしょうか。

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2010年08月08日

晴れときどき子猫

三週間ばかり前のことです。ある朝、娘の一人が、見知らぬおばさんから三匹の猫を貰う夢を見た、と話しました。

十日前、それが正夢になりました。店番のミセスBの知り合いの方から、生まれて間もない捨て猫を三匹、家人が貰い受けてきました。念願の猫宝に恵まれたというわけです。

RIMG0420幸い三匹とも元気でしたから、今日まで順調に育ち、都合、五つの眼が開きました。もうお知らせしても大丈夫だろうと、ご披露に及ぶ次第です。

以前、貰い損ねたときに、励ましの言葉をいただいた「シアトルの古本屋さん」にも、これをご報告に代えさせていただきます。その節はありがとうございました。

今のところ、ほぼ三時間おきにミルクを与えるので、家族総出で面倒を見ていますが、やはり一番熱心に世話を焼いているのは夢を見た当の娘。生活サイクルも、ほとんど子猫と同じようになっています。

さて、この調子では当ブログが猫に乗っ取られかねません。そこで、猫ブログを別に立ち上げてもらいました。もしご興味があれば、konEKoshotenの日記をご覧いただければ幸いです。

ところで、このブログでぼやいたおかげでしょうか、Die Fackel 全12冊、本日、ご来店のお客様にお買い上げいただきました。まさに拾う神有り、有り難いことです。


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2010年08月07日

一次資料

RIMG0436ある日の市場で同業が「一次資料じゃないから興味ない」と話すのを耳にしました。

たまに聞く言葉ですが、この一次資料、二次資料という言い方、どの程度一般的なものでしょうか。手近の辞典類には、見出し語としてはもちろん、熟語としても見当たりません。

Wikipediaには、博物館での用例、図書館での用例、調査・統計における用例などと分けて、説明が加えてありました。

孫引きすると、博物館法では収集する資料のうち「実物又は現象に関する資料」が一次資料。それらに関する図書、文献類を二次資料と呼ぶらしい。一方、図書館では一般的な書籍・論文を一次資料、索引・書誌等を二次資料と呼ぶとのこと。

もともと「資料」とは「研究・判断の基礎にする材料」(岩波国語辞典第五版)ですから、生の材料を一次資料と呼ぶわけでしょう。だから収集目的により、意味するところがまったく違ってきます。

例えば文学研究者にとっては、テキストそのものが一次資料。大事なのは中身。しかし古本屋はといえば、同じ中身でもリプリント本を、一次資料とは呼びたくありません。

要するに出版物としてオリジナルなもの、それが古本屋にとっての一次資料だということになりそうです。

かくして冒頭の言を煎じ詰めれば「私の集めたい本じゃないから興味ない」という、ごく当然なことになるのでした。

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2010年08月06日

夏本番

この数日に比べいくらか夜風が涼しい。店の冷房が控えめだったからばかりではなさそう。夜7時半の猿楽町。

明古が早めに終わり、残務を終えても6時に間がある、こんな時は、「松翁」へ行くチャンス。同行メンバーも6名、これ以上多くても入りづらいところ。大きな店ではありませんから。

そんなわけで今日は夜8時、店を閉めるのに間に合いました。

8月に入って、さすがにひと気がなくなったと感じます。あれほどいつも閑散としているのに、さらに一段の閑散ぶり。

それでも毎日お一人、お二人、少し遠方から足を伸ばされ、腰をすえて店内をご覧になり、いくらかまとまったお買い上げを頂くのも、この時期の特長です。

ですから日々の売り上げは、そうした方々次第。今日は、小さなダンボール一箱ほどのまとめ買いがあったようです。店番のΧ君によれば、良くおいでいただく方らしい。

ここまでのところ、こと8月に限れば例年以上の健闘。旧店舗時代は、月の家賃が出るかどうかということもありました。といって、休めばその家賃も出ない。貧乏暇なしとはよく言ったもの。まあその頃に比べれば、多少はマシになったのでしょRIMG0046うか。

近くのパン屋さんは、来週から2週間ほど夏休みを取ると、貼り紙が出ていました。夜風が多少涼しくなっても、本当の夏はこれからです

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2010年08月05日

泣き別れ

『現代日本戯曲大系』(三一書房)という戯曲集があります。第一巻の刊行は1971年、店主がまだ学生の頃。

戦後の1946年(昭和21年)から刊行時、つまり70年代初頭までを8巻に収め、一旦完結しましたが、その後、第二期として80年代末までを更に6巻加え、全14巻が揃いです。

菊判、貼函入りのしっかりした造本で、現代戯曲集としてはもっとも大部のものでしょう。しかしその内容の話ではありません。

数ヶ月前、この戯曲集12冊を市場で買いました。近年重版したとてもきれいな本でしたが、揃いには2巻足りないということで、思いのほか安く買えました。

いずれ『日本の古本屋』あたりで欠本を探そうと、仕舞いこんでおきました。ただ、同じようにきれいな本で揃えるのは難しいだろう、とは覚悟していました。

二週前の宅買いで引き取ってきた本の中に、この戯曲集が2冊含まれていましたが、巻数を記憶していたわけでなく、その時は単なる端本としか感じませんでした。

この間、ふと思いついて調べてみると、何と、まさに欠けていた2巻です。しかもRIMG0433新本のようにきれいなところも同じ。完璧な揃いとなりました。

こうなると、出所も同じだろうとしか考えられません。旧蔵者が処分する際、泣き別れとなったのでしょう。それが偶然に再びめぐり合うことが出来た。目出度し目出度しのお話でした。

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2010年08月04日

ドイツ語の口

RIMG0432朝一番で昨日の荷物が届きました。店は開け終えたものの、まだ開店時間前。少し前に通り雨があったのですが、もう大丈夫そう。また表に積み上げました。

量で9割を占めるのはドイツ語の一口。ポケットからハードカバーまで400冊ほどもあるでしょうか。しかし文学とも思想とも、はたまた社会学ともいいがたい、その全てが混ざったような掴みどころのない口。

落札後に調べて分かったのですが、駒場の某研究室から出たものらしい。もし小店に声がかかって、自分で引き取りに伺ったとしたら、とても今回落札した価格を申し上げる勇気はなかったでしょう。

引き取ってきた書店さんには、お気の毒なようです。しかし改めて見ても、確実に値を付けられる本のない、売るのに手間のかかりそうな、つまり市場で札の入りにくい口で、致し方ないところ。小店以上に値をつける人が、いなかったわけですし。

この口の中で一番目立っていた Die Fackel という雑誌(1899-1936年、通巻922号)のリプリント合本版全12冊、これをネットで調べてみました。

幾らリプリントとはいえ余りに安い。更によくよく調べてみると、DVD-ROM版というのが出されていて、こちらは千円ちょっとで手に入ることが分かりました。やんぬるかな。

ポケット判が200冊ほどあって、こちらは小店のお客様が喜びそうな基本図書系。これを細かく値付けして、地道に捌いていくことにいたします。

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2010年08月03日

困った落とし物

朝、店について車を止める。止める直前に何かが目に入り、いつもより少し手前に止める。降りて前へ回り、いま目に入ったものを確かめる。やっぱり!

あの有名なフランス語の悪態が思い浮かびました。Merde!

一部が車に引かれたようにつぶれ、一つ二つスタンプで押したようにその跡が続いています。乾いてから片付けることにして、二次被害を防ぐため、パイプ足の丸椅子を置きました。

そのまま店を開け、メールチェックなどをしてから洋書会へ。今月は当番ではないのでお昼は自前。同業と二人、古書会館のすぐ隣にあるイタリアン「Maggio」でパスタランチ。

開札は3時。終わって落札品を片づけると4時。カーゴ1台という分量になってしまいました。明日また、これが店に運ばれてくることになります。

帰り道、柏水堂でシャーベットを買い、店に持ち帰り、裏のソファにどっかりと腰掛けて頂きました。ほど良く溶けて食べごろ、暑さと疲れが心地よく癒されていくRIMG0430ようでした。

もう動きたくない気分。でもまだ一仕事、道路の落とし物を片づけなければなりません。

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2010年08月02日

先のある商売

ちょっと昔の洋書を検索サイトで調べていて、近頃気になることがあります。それは、「新刊在庫有り」と表示される本が、とても多くなっていることです。

しかも、大抵はその刊行年が2009年とか2010年。ごく最近出版されていることになっています。

よくよく解説を見てみると、それらは殆どが print on demand、すなわちオンデマンド本です。つまりかつて猖獗を極めたリプリント本や、 UMI Microfilm の21世紀型という訳でしょう。

しかしこのPOD本、いわゆる電子本が普及するまでの駆け込み商法にも見えます。すでにデジタル情報の形で販売されているものもありますし、フリーのアーカイブも続々と生まれていて、お金を払わずともWEB上からダウンロードできるものも増えていますから。

今日たまたま調べていたのは Grandval: De la Comédie Française aux boulevards (Paris, 1886) という一冊。きれいに彩色が施された戯画集です。検索してみると在庫はたった三件。grandval

ところが、カナダの某大学図書館のサイトで、この本を一冊丸ごと鮮明な画像で公開していました。

問題は、こうした動きは古書の値打ちを下げるのか上げるのか、です。上がるものだってある筈だ、と思わなければ、我々はやっていけません。

konoinfo at 19:04|PermalinkComments(0)TrackBack(0)
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