2010年09月

2010年09月30日

明日から「古書月間」

RIMG1344今年も「萬巻」をお送りいただきました。目録部分は121頁、その内写真版が70頁。写真版は全てカラー印刷という、力の入ったものです。

参加店は23店。良く存じ上げている店も、この目録でしか存じ上げない店も、それぞれ思う存分個性を発揮されているご様子に、同業として励まされる思いです。

巻頭の会長ごあいさつは、「余程自分たちの積み上げてきた文化や歴史に自信が持てないのか」便利と人間らしさの交換を進歩と思っているのかと、世間をたしなめつつ書籍の魅力を説いています。

共感できるご意見です。またその言葉に応えるように、魅力ある本が並んでいます。しかしその魅力を見るものに伝えるについては、カラー写真版の力が預かって大きいでしょう。

このようなカラー版目録を古本屋が出せるまでになったのは、印刷技術の進化による製作コストの低下のおかげであるのは皮肉なことです。出版産業に限っても、こうした「進歩」は恩恵と共に大きなダメージももたらした筈です。

ともあれ、10月は「古書月間」。各地で古本市などのイベントも盛りだくさん。「萬巻」メンバーが参加の「天神さんの古本まつり」は8日〜13日とか。

そうした「場」で売り上げが伸びることが、業界をもっとも活気付けてくれます。天神さんも、穴八幡も、神田も、お天気に恵まれ沢山売れますように。

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2010年09月29日

大市会下見日

RIMG12619月も明日まで。

秋の今頃は、お天気に恵まれないことが多いようです。毎年10月初めに行われる早稲田穴八幡の青空古本市は、その名に反してしばしば雨にたたられていることを思い出しました。

今日は束の間の好天という予報に違わず、気持ちの良い一日。昼から古書会館へ。毎週木曜日に開かれる「一新会」の、年に一度の大市会、その下見日です。

どこの大市会についても、運営する側からは、年々、苦労の割に成果が上がらなくなっているという嘆きを聞きますが、普段目にすることの少ない善本、貴書に触れられる機会としては貴重であることに変りありません。

店主も、会館の4階から地階までゆっくり降りながら、各階に並んだ本を見て回りました。

とりわけ地階は、緋毛氈の敷かれた台に、数10万円から数100万円で取引されるであろう本たちが鎮座ましまして、あたかも主役を競うよう。

中に一点、飛び抜けた逸品かもと話題の品が出ておりましたが、委細は明日の本番で顛末がはっきりしてから、お知らせいたしましょう。

ところで本日の主用は下見ではなく会議。午後1時から3時半まで、IT委員会に出席したのでした。

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2010年09月28日

またM先生から

M先生から、また一箱、本が送られてきました。もうこれで何度目になるのか、指折り数えてみても、見当がつきません。

退官されたのが7、8年前。その時、かなりまとめてご処分いただきました。それからしばらく後、家の本をぼつぼつ整理したいが、送って良いかとのお問い合わせをいただき、それ以来、思い出したように一箱、二箱とお送りいただいています。

雑本ばかりだから代金は要らない、その代り着払いで送らせて欲しい。素直にそのお言葉に従って、今日に至ります。

ご専門は西洋古典。ひところ「ギリシャ・ローマ」とつくものは何でも買った、とおっしゃった言葉通り、今日も面白い本が入っていました。

アースキン『トロイのヘレン』(新鋭社・昭31)、佐々木静一『ギリシャの島々』(日本経済新聞社・昭40)、網本義弘『ギリシャ讃歌』(原書房・昭45)、南条範夫『エーゲ海に死す』(光文社・昭47)などなど。

専門の眼で、どのように読まれたのかと、改めてそれぞれの本に興味が沸き、つい拾い読みをしてしまいました。

RIMG1265もちろん、送料が出るようにと、ご専門の原書、研究書もきちんと混ぜてくださっています。しかしこちらは、おいそれと拾い読み出来ません。文字通り It's greek to me. なのですから。

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2010年09月27日

大陸的

冷たい雨の一日になりました。予報だと午後には上がりそうだったのに。

おかげで朝からお客様は数えるほど。しかしその中のお一人が、開店間もなくから午後4時近くまで、静かに本をお選びになっておられたので、店内無人となることはありませんでした。

このお客様、結局、文庫本ばかり15冊ほどお買い上げいただいたのですが、ご本人自ら「思わぬ時間がたちました」と驚いたご様子。

こちらも本の持込みがあったり、近所に用足しに出たり、市場に出品する本を整理したりしていたので、格別気にならなかったのですが、改めて時計を見ると、短針が半周したことになります。

お仕事先の中国から、しばらくぶりに帰国されたところとか。よほど本に飢えておられたのかもしれません。

「向こうにいるクセで、つい値切りたくなってしまいますね」とおっしゃいながら、合計が3950円と申し上げると、「それじゃ無理か。逆に切り上げて4000円ですか」

RIMG1266無論冗談。気持ちだけお引きして、お会計いたしました。考えてみれば、その間、お食事も取られていないはず。悠々とした大陸的な時間が、体に滲みこんでおられるのでしょうか。

いや、うっかり使ってしまいましたが、この「大陸的」、昨今では、まるで逆の形容に用いるべき言葉かも。

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2010年09月26日

中古本

RIMG1264今朝の朝日新聞に「TSUTAYA、中古本に参入」と、大きな記事で取り上げられていました。

競争がますます激化する、という話をしたいのではありません。リユース、二次流通にビジネスチャンスを求めようという動きは、まだ当分は続くでしょう。世の中には新刊より古本の方が、ずっと沢山存在しているのですから。

店主が気になったのは「中古本」という言葉。いつから市民権を得たのでしょう。

かつて「新古本」という言葉がありました。特価書籍などを指していたようです。これはこれで、意味するところがはっきりしていました。最近あまり使われないようですが。

これに対して「中古本」には、何か新しい意味付けがあるのでしょうか。単なるセコハン、リユース本というようなことでしょうか。良く解釈すれば、「古本」あるいは「古書」に対する敬意、遠慮から使われた言葉かもしれません。

つまりは、町の古本屋が日々のたつきのために、格別の意を用いず扱って来たような本、それが「中古本」ということでしょうか。

だとすれば、心ならずも「中古本」で飯を食わせてもらっていますが、志は更に高いところにあるのです。と、そういう使い方をすることも出来そうです。

これを潮に、そういう志を持たないリユース専業店を「中古本店」と呼ぶことにしますか。

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2010年09月25日

子はあやまたない

昼から晴れて、ようやく今の時期らしい、気持ちのいいお天気になりました。休日とて、親子連れが目立ちます。そんな一組、三歳くらいのお子さんとお父さんの会話。

「お、本屋さんだよ、ちょっと見ていこう。絵本いろいろあるね、好きな本を選んでいいよ。一冊買ってあげよう」
「じゃ、これ」
「お、いいねえ。でも他にもあるから、よく見てから決めようね。これは一度戻しておいてと。お、こっちにもあるよ、こっちも見てからにしたら」
「じゃ、もういい」
「そんなこと言わないで、いろいろ見てからにしよう。これなんかどう、これ面白そうだよ」
「もう帰ろうよ」
「お父さんの本もちょっと見せてよ」
「だーめ、もう行こうよ」
「ほら、中にもあるんだ」
「お父さん、早く、早く。井の頭線の声がするよ」
「ちょっと待って」
「お父さん、早く帰ろうよ。お家帰りたい」

見かねた店番のミセスCが、お子さんの気を紛らわすため、話し相手に。その間にお父さんも一冊選ぶことができました。お子さんには結局、最初に選んだ一冊を。

RIMG1263これは正解。選ばせた以上、選んだものを与えるべきです。大抵の場合、良い本を選びます。親が選んで与えるのなら、お子さんを連れてくる必要はありません。

何よりも、こと絵本に関しては、お子達に読ませたいものだけを選んで置いてあるのですから。


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2010年09月24日

今日の明古

明治古典会は特選市。いつもながら華やかな感じ。明古らしい本が並びました。ということは、店主にはやや縁遠いものばかり。

もっとも、稀覯文芸書、古典籍、サブカル、版画刷物、近代文献資料、そうした全てに通暁する業者は殆どいません。守備範囲が広いか狭いかの違いはあっても。

ツボにはまれば小店にも落札のチャンスはある筈。そう思って、あきらめず毎回、会場を見て回るのです。

今日は、先日急逝した、先輩会員の蔵品の一部が出品されました。地図という独自のジャンルで一時代を築いた方です。

しかしながら近年、このジャンル自体に昔日の勢いが失われてきています。それだけに、一番の買い手を欠いた入札は、故人が見たら歯噛みするような悔しい結果だったかもしれません。

しかし、これを奇貨として新たな追随者が現われ、またこのジャンルに活気をもたらすことになる可能性もあります。いわば古書業界の倒木更新と言うこともできるでしょう。

RIMG1262この大先輩には、不思議なご縁がありました。何より誕生日が同じ。先輩は知っておられたかどうか。また七夕大入札会では、ずっと地図部門で先輩のお手伝いをしてきました。

急なことで、まだ実感はありません。折々に、その不在を思うことになりそうです。強力なツボを持った先輩でした。

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2010年09月23日

『神保町公式ガイド』

RIMG1260素敵な本に仕上がりました。10月末に開かれる「神田古本まつり」に時期を合わせて作られた『JIMBOCHO:神保町公式ガイド』(発行:神田古書店連盟)です。

今年から、従来発行されていた目録形式の『古本』に替えて、各店舗の案内を主にしたビジュアルブックを作るという話は聞いておりました。

確かにコアな顧客層にとっては物足りず、新規顧客層にはアピールしなかったこれまでの目録形式よりは、ターゲットがはっきりしていて、面白いものになっています。これを古本屋自身が中心になって作ったという意味は、小さくありません。

この本の最大の効果は、見開きの店舗紹介に載せられた各店の秘蔵本を見ていくだけで、古書の世界の概容がなんとなく分かってくるように思えるところです。

第一号として出された以上、次号以降の展開も当然、構想されているとは思います。入門編と割り切れた今回とは、また違う難しさが出てくることでしょう。しかし神田の持つ人的、歴史的資産を生かせば、更に良いものへ発展していくことは充分に可能ですし、それを期待します。

そこで店主のアイデアを一つ。今回が全編入門編だとしたら、次回からは中級編、上級編を交えていくことで、より幅広い読者を狙うのはいかが。

そんなことは考慮済み、と言うならばもうひとつ。「東京組合」「日本の古本屋」を合わせて紹介するほどの度量も、是非見せていただきたい。それでこそ神田。

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2010年09月22日

本屋で涼む

「いやあ暑いですね。今日までとは言ってますけど」そういって入ってこられた、おそらく初めてのお客様。エアコンの下でしばらく涼んだ後、店内を一回り。

時々何かに眼を留めると、それについてお尋ねがあります。いわく「この古い聖書は珍しいものですか?」「研究社の羅和辞典は、現在絶版ですか?」「この『1Q84』は、今は手に入らないのですか?」さらには「洋書が沢山ありますが、売れますか?」

お答えできる質問にはお答えし、お答えしづらいものは適当にはぐらかしながらお相手をしているうち、「専門家の意見を伺いたいのですが」ときました。

はて何事かと居住まいを正すと、「あの大学書林という出版社が続いているのは、何か秘密があるのでしょうか。とても売れそうもないような珍しい言語の本ばかり出していますが」

残念ながら、お答えできるだけの知識はありません。「もっと不思議な出版社はいくらもありますよ」と、お答えするのが精一杯。すると「例えばどこですか?」と突っ込まれ、また言葉を濁します。

RIMG1218そのうち、お客様は暑気も取れたのか、『天皇と東大』を目にして「立花隆はお好きですか?」と問いを投げかけ、答えも待たず「私は嫌いです」と言い放つと、さっさとお帰りになりました。

予報では、明日からは気温も下がりそう。


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2010年09月21日

カミの救い

RIMG1219洋書会に少しだけ出品があったので、昼前に会館へ。

先日の宅買いの残りです。2階の出品準備室から4階の交換会場へカーゴテナーを運び上げ、本を平台に並べました。

特に仕分けるほどのものもなく、全部で3点。思うような値にはなりませんでしたが、売れてくれただけで良しとしなければ。

一方、ついに買い手が見つからなかった『演劇界』約600冊は、あきらめてツブすことにしました。

市場で本をツブすときは、廃棄切符を購入して、束ねた本に貼り付けることになっています。12本に束ねました。5枚綴りの切符を3シート購入。捨てるために1500円の出費です。

号によっては、1冊千円以上出しても手に入れたいという人もいるでしょう。また、100円均一にすれば、何割かは売れるかもしれません。しかしそれらすべてを計算の上で、なお、2000円の最低価格ですら、買おうという同業が現れなかったのですから、やむをえざる結末です。

さて、いよいよツブすために1階の置き場まで運ぶと、たまたま居合わせた同業が、捨てるくらいなら引き取ると言ってくれました。

捨てたくない気持ちは業者とて同じ、いやむしろ強いかもしれません。見かねて声をかけてくれたのでしょう。切符を貼る前だったので、有り難く引き取って頂きました。

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