2010年11月

2010年11月20日

分売不可

二冊で二千円と付いている本を、一冊だけ帳場へお持ちになったお客様。「一緒じゃないとダメですか」とお尋ねになります。

確かに内容は独立していますが、1、2と番号が振られ統一タイトルも付き、二巻で揃い。

揃い物は出来るだけ揃えてから売りたいというのが、古本屋の心性です。ましてや揃っているものをバラすというのは、よほどの場合でなければ、どの店でも応じないでしょう。

それでも近頃は、たとえばブックオフなら当たり前のようにバラ売りをしています。さらにネット書店は、端本をどんどん一冊ずつで登録しています。

念のため「日本の古本屋」とアマゾンで、検索をかけてみました。すると、お客様がご希望の巻は、最低価格がそれぞれ1500円、1690円で出ています。その通りをお伝えしました。

このお客様の場合は、片方の一冊を持っていらっしゃるというわけではなかったようですが、分売ご希望のよくあるパターンは、すでに他の巻は持っているからというもの。

そして大抵は、欲しい巻というのは手に入れ難い、見つけても高い値が付いている巻であるものです。

RIMG1785別の一冊を棚から取ってこられ、もう一度じっくりご覧になり、それではということで二冊併せて、お買い上げくださいました。

小春日和とまではいきませんが、まずは穏やかな週末です。

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2010年11月19日

明古に出品

RIMG1942身寄りのない友人が亡くなって、遺品に本が沢山ある。引き取ってもらえないだろうか。

そんな相談を受けたのは、数ヶ月も前でした。今は別のお仕事に就いておられますが、以前はこの業界に縁があり、面識のある方からの電話です。

その後しばらく間が空いて、実際に引き取りに西麻布のマンションまで伺ったのは一昨日のこと。引っ越し用の段ボールMサイズ(本を入れるにはちょっと大き過ぎる)で40箱。そのまま運送屋さんに市場まで運んでもらい、今日の明治古典会に出品しました。

蔵書主は美術系の出版社にお勤めだった、ひょっとすると店主などより年若い方。面白い本も多いのですが、取りとめのない、まとめ難い口だったと思います。

明古の幹事さん、経営員の方たちが、丁寧に仕分けをして下さって、思っていたより良い値段になりました。

故人の財産整理をめぐって、色々と難しいことがあるようで、その点からも、市場に出して処分するのが最も望ましい方法だったと思います。

さて市場も終わって帰り際、ある同業が本を運びこみながら、こんな話を聞かせてくれたました。

「お金を払うどころか、ポチ袋を頂いて、中に二万円も入ってました。まあ、車も入らず、石段を登ってさらに裏手の、大変なところだったですけど。ピアノを処分した時は三十万円も取られたのだから、これくらい受け取ってもらわなければ困ると言われて」


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2010年11月18日

新感覚派

お客様からお電話で二冊の本のお問い合わせ。在庫があれば近く東京へ出るので、その際に寄りたいとのこと。

2000円と5000円、後者はすぐに見つかりましたが、前者がなかなか見つかりません。ふと、販売データを調べると、3週間前に売れていました。

何かの手違いで在庫状況に反映されていなかったようです。すぐにその旨、折り返しお電話を入れました。

すると、実はその売り切れた本こそがお目当てで、それがなければまた別の機会にすると言うことになりました。よくあるお話で、またご丁寧なお話しぶりで、こちらとしても恐縮するだけでした。

さて、その売切れていた本、気になって「日本の古本屋」で検索してみると、2万円ほどで1冊出ています。同じ書店が、アマゾンにも同様の金額で出しています。それを見て思い出しました。

この本の値付けをするときに、このことは調べ済みでした。その上で、自分なりの判断で2000円として「日本の古本屋」と小店のHPカタログに載せたのです。

それでも登録してから売れるまでに、半年かかっていました。それにしてもこれに2万円をつける感覚は、従来の古本屋にはないものです。アマゾンの素人書店さんならともかく。

というより、素人さんが組合員になって、まだ素人感覚を維持しておられると考えるべきでしょうか。
RIMG1943
だいいち、もし同じ本をお持ちのお客様が売りに来られたら、一体幾らで買うのだろうと、古い感覚の持ち主である店主などは、つい心配してしまうのですが。

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2010年11月17日

電話三題

暗い空から細かい雨。すでに初冬の風情です。

1)静かな店内に、突然話し声。と見ると、どうやら携帯をかけながら店に入ってこられたお客様。しきりに相槌を打っておられ、時折返すお言葉が、いやでも耳に届きます。

立ち止まっては相槌、歩きながらお話。そんなことを繰り返しながら店内を一巡。片手で本をご覧になるようなら、ご注意を申し上げようと思っていると、程なく出て行かれました。

2)「もしもし」
RIMG1941「はい河野書店です」
「予約をお願いしたいのですが」
「はい」
「11月28日ですが」
「どちらへお掛けですか」
「カラオケボックス」
「お掛け違いのようです」

3)日を置いて、二、三度お電話をしてもお出にならない未入金のお客様に、ふと携帯から電話してみました。やはりお出になりません。ところがしばらくすると、折り返し掛かってきました。

「はい河野です」「電話を貰ったようですが」「河野書店です、本屋ですが」「あ」「お心当たりはありますか?」「あ、すいません、遅れてます、すぐ払います」

ちなみに送本は9月末。メールで二度ほどご請求してもお返事がなかったので、登録されていた携帯の番号にお掛けしました。

電話は携帯、メールはWEBメールという登録先に、先に商品をお送りする時はちょっと不安です。それらは便利な連絡手段である一方、連絡を絶つのも簡単な道具だからです。

しかし、取りはぐれはあくまでごく一部の例外。この方の場合も、悪意があったとは思いません。やはり基本は信頼ですね。

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2010年11月16日

うわさばなし

RIMG1916昨日あんな話をしたばかりで、今日になって新たな情報が入ってきました。

ブックオフは引き取った古い本や高額書籍を、アマゾンに送っているらしい、というのです。まだ詳しい内容までは伝わってこないのですが、そういう流れがあるのは確かのよう。

どういう仕組みで、どんな仕掛けになっているのか、大いに関心はありますが、そもそものきっかけは、やはり古紙相場の値上がりだろうと思います。

古紙の価格が上がることによって、処分費用が要らなくなり、むしろ処分益さえ見込めるようになったからこそ、そこから次の一手を考え付いたのであるはずです。

さてそうなると、従来の買い取り体系にない本を、おそらくはサービスとして無料で引き取りながら、それを商品として売ろうとしているわけで、いつかどこかで、顧客に対するきちんとした説明が迫られることになるでしょう。

いくらで買ったものをいくらで売る、これを明確にシステム化し、場合によっては公表さえすることで、チェーン化に成功したブックオフが、この古い本の取り扱いについて、どのように明快な説明をするのか。一番興味深いのはその点です。

本が生き伸びる道が一つ増えたと考えれば、喜ばしいことともいえましょう。今までは、やみくもにツブしていたようですから。

しかしこれで、チリ交さん復活の日は遠のいたかもしれません。


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2010年11月15日

毎度おなじみ

古紙が値上がりしていると聞きます。

30年ほど前は、チリ交(チリ紙交換)さんが、いつも街中を流していました。交換品の質や量で競い合っていた時期さえあります。20年前くらいから古紙相場が低落を続け、それと共にその姿も次第に見かけなくなりました。

古書組合でもその昔は、ツブシ(不用本)が現場作業の副収入になっていました。それが何時頃からか、お金を払って引き取ってもらうようになり、ツブシを出す本人がその費用を負担する仕組みとなって、もう15、6年は経ちます。

ところが最近、払う側と貰う側が、また逆転しそうだと言うのです。いや、すでに本を処分して現金を貰っているという業者もいます。

近頃、資源ゴミの日に、自転車に箱を括りつけて走る、拾い屋さんを見かけなくなりました。民間回収業者が、区の回収の前に根こそぎ持っていくからでしょう。

中国での古紙需要が、高騰の原因だといわれます。そうだとすれば人口14億人の国、まだ当分は需要が続くかもしれません。

それでもう一つ気がつきました。以前は「きれいな本だけ引き取ります」と言っていたブックオフが、近頃は宅買いでも、どんな本でも引き取っていくと言う話についてです。

RIMG1837同社の年間のツブシ処理代が1千万円、と聞いた覚えがあります。それが出費から収入に変るとしたら、こんな旨い話はありません。

もう少しすると、また懐かしいチリ紙交換の声が、聞こえてくるようになるかもしれません。

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2010年11月14日

晩秋の休日

RIMG1918早めに店に着いたので、早めに開店。すると早速、お客様がお店に入ってこられました。

店の掃除をしたり、細々とした片づけをしたりする間も、ご熱心に本をご覧になっています。表の均一棚にも、一人、二人とお客様が。まだ10時には大分間があるというのに。

開店時間を早めてみるのも手かな、などと考えていると、携帯の着信音。待っていたかのように話し始めたのは、店内のお客様。お話を続けながら表に出られ、そのまま何方かへ去っていかれました。

日曜の朝は、まばらながら普段とは違う人通りがあります。道を尋ねられることが多いのも特徴。

今朝のお一人目は、日本民藝館。「こちらですか」と指差すのは真反対。正しい道順をお教えして、念のため「駅の前に地図がありますから、そこでお確かめください」

次においでの方は、北の訛りのある初老の男性。「テレビでやってた、東大出のラーメン屋さんというのはどこですか」

店主、初耳でしたが店名を聞く限り学校の裏側。そのようにお答えして、東大構内を通り抜ける道をお教えしました。

昼過ぎになると、散歩の途中という雰囲気の方々。リラックス気分で、飲み食いしながら歩かれる姿も目に付きます。中には、そのままふとお立ち寄りになる方も。

「飲み物、食べ物はお済ませになってから本をご覧ください」と、いちいちお声をかけるようにしていますが、幸いなことに、皆さんすぐにご理解くださいます。

やがて、お出かけ帰りのお子様連れが目立つようになり、秋の日は足早に暮れるのでした。

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2010年11月13日

続・身元確認義務

昨日の続き。法律とは変るものだということについて。

時代の変化に即した改定は、もちろん望ましいことです。しかし、うっかりしていると、妙な方向へ向かってしまうことがあります。

先の規制緩和で、一万円以下の確認義務が免除されたとき、私達の業界が一番気がかりだったのは「古物台帳記載義務免除」が、どうなるかということでした。

古物を買い入れる際、古物商は取引の年月日、古物の品目及び数量、古物の特徴、相手方の住所、氏名、職業及び年齢、そして確認の方法を帳簿に記載しておかなければなりません。

この帳簿が古物台帳で、そこには古物の特徴を一点ずつ書き入れるようになっています。しかし一時に何百冊、何千冊と買い取ることだってあるのですから、それを一点ずつ記録せよというのは、無理な話です。

そこで、書籍については、主なものを何点か記載すればよいこととする。それが戦後、この法律が施行されるにあたり、業界上げて勝ち取った免除特例です。

規制緩和で、この特例がうやむやになり、一万円以上については全点記載せよなどと言われることがないよう、平成17年の改定の際に、念押しをしたつもりでした。

ところが今回の改定の話を詰めていく中で、戦後にせよ前回改定時にせよ、この免除特例について、明文化されたものが見つからないと、RIMG1835警察庁の担当官は言います。

曖昧なまま改定がなされると、非現実的な義務が生じかねません。しばらく注目が必要です。

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2010年11月12日

身元確認義務

RIMG1914古本屋は古物営業法という法律に基づいて、営業を認められています。本を買取る際に、お名前を書いていただいたり、免許証を見せていただいたりするのもそのためです。

しかし今の法律(正確には施行規則、もっと正確には国家公安委員会規則)によれば、金額一万円以下の場合、必ずしも身元を確認する必要はありません。

平成7年に実施された、このいわゆる規制緩和では、小額商品の売払いは犯罪性が低いとみなされたわけです。それでも用心深い古本屋さんは、金額に関わらず、お客様にお名前を書いていただいてきましたが。

風向きが変わったのは、平成17年、東京都に「万引防止協議会」が発足した頃からでしょうか。子どもが換金目的で本を万引きする事例が多発していると言われ、一方で、新刊書店が万引被害により廃業に追い込まれるケースも目立つと言われました。

この二つが結び付き、本をお金に換えることに、もっと厳しいチェックが必要だという主張が強まってきたのです。その底流に、出版流通業界の、新古書店パラサイト論があることは疑うべくもありません。

しかしその影響は、古書業界全体にも及んできました。今、改めて現行規則を改定しようという動きがあります。対岸の火事では済まなくなっているのです。

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2010年11月11日

神戸に一泊

神戸に行ってまいりました。昨日から今日にかけて。

全国の古本屋さんの作る組合から、年に二度、春と秋に代表者が集まって会議をします。それが今回は昨日、神戸であったというわけです。

秋の方は正確には理事会といって、全組合の中の主だった12組合による会議。それでも京都、大阪、そして主催の兵庫組合からは数名が参加。東京組合は12名が参加しましたので、総勢51名という大人数となりました。

定例の報告事項、各地の概況報告などのあと、幾つかの問題提起と、それについての意見交換があって、およそ二時間半。これをまた持ち帰り、次回、春の総会で更に論議を深める予定です。

終わると懇親会。主催組合の趣向が問われるところです。今回は、町と海の夜景が眼下にパノラマのごとく広がるパーティー会場で、ジャズヴォーカルを聞きながらの食事と言う、いかにも神戸らしい洒落たもの。

そんな中にベリーダンスという異質な一幕も挟まれ、参加者に強い印象を残したようです。

宴果てたあと町へ繰り出して、英国パブ風の店でさらに歓談。どこまでもお洒落に、神戸の夜は更けていくのでした。

RIMG1834今日は東京からのメンバーで、束の間の旅行気分。布引ハーブ園を巡り、昼食に神戸牛を食べ、フロインドリーブのパンを土産に、帰途につきました。明日からまた日常に戻ります。

konoinfo at 19:45|PermalinkComments(0)TrackBack(0)
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