2010年12月

2010年12月31日

本を売るという営為

大晦日。東京は良く晴れましたが、関東以外は雪のところも多いらしい。

朝、車で店に行き、申し訳程度に表の片付けと掃除。ネットの注文が幾つか有ったので、返事を出したり荷造りをしたり。その他こまごまとした仕事を済ませて、お昼には家に戻りました。

今年最後の週となった12月27日以降、店の売り上げは微々たるもの。代ってネットの注文がいつもより多く、単価も高めのものがあったりして、売り上げ比率が逆転。さながらネット書店のような様相でした。

というのは大袈裟。聞くところ、ネット書店として食べていこうと思ったら、日がな一日、本を荷造り梱包するほどでなければといいます。いや、こちらの方が大袈裟ですか。

しかしアマゾンなどで大量に販売している書店は、一日何百という数の古書を荷造りしていると思われますが、その単価と利益を推測すると、それほど多くの人手はかけられないはず。

ひたすら梱包を続ける、荷造りマシーンと化したバイトさんの姿を思い描いてしまうのは、古い本屋の僻目でしょうか。

例のチェーン店の店員さんたちのマニュアル化された働き振りとあわせ、本を売るという営為は、もっと人間臭いものではなかったかなあと、疑問に思えてなりません。

今夜からは名古屋です。

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2010年12月30日

字が下手

朝から数えるほどのお客様。それも表の文庫本や、均一本を一冊、二冊とお買い上げ。今、これから読む本をお探しの様子。

しかし、おかげでこちらの仕事ははかどりました。と言っても年賀状書き。例年の如く、押しつまってからの突貫作業です。それでも去年に続いて、年内にほぼ出し終えることが出来そうなのは、昔に比べて進歩改善の見られる点でしょうか。

その宛名書きをしながら、だんだん憂鬱になってきました。あまりに拙い字だからです。

表も裏も印刷では味気ない、という周りの意見に動かされ、せめて宛名くらい自分で書こうと、去年も書きました。そして去年も同じ思いを抱いたのを思い出しました。

確かに手書きの年賀状も多く届きます。しかしそれらは大抵達筆か、少なくとも個性のある書き慣れた字です。店主のような字なら、むしろ宛名ラベルの方がマシかもしれない。それが今年もやはり書いている最中に、湧いてきた思いです。

それにしても日頃字を書く機会が減ったこと、老眼が進んだことなどが相まって、昔よりさらに下手になっているようです。

しかしこれこそが自分である、それを見ていただくしかない、という開き直りで、書き通しました。そんな中にもさらに出来不出来はあって、本当に恥ずかしいようなものもあるのですが、それも目をつぶって生かしました。

届いた方が、たまたま旨く書けなかったのだろうと解釈していただけることを祈って。

さて本年の営業は本日限りです。明日から正月二日までお店は休み。お間違えのありませんよう、念のため。

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2010年12月29日

ご満足いただけましたか?

WEBのある大きな販売サイトで、思うように表示が進まないトラブルがあり、サポートを求めることにしました。

ヘルプから近そうな症例を選び、お問い合わせのフォームを開いてこちらの事象を伝えました。やがて何通かのメールが立て続けに返ってきます。

まずは受け取ったという自動メール。続いて担当らしき人の、ご回答メール。聞いてみれば、ごく簡単なことでしたので、あっさり解決。すぐ後に、解決報告メール。

「お問い合わせに対する対応には、ご満足いただけましたでしょうか」と問いかけ、満足した場合としなかった場合、それぞれにクリックするリンクが表示してあります。

満足の方をクリックすると、挨拶文が出て、特に意見や感想が述べたい場合のフォームも用意されていました。

要するに、殆どの過程で、こちらはどこかをクリックするだけ。また、先方の肉声らしきものが聞こえるのは真ん中のメールだけ。なるほどWEB商法とは、こういうものかと感心しました。

でもそうした販売サイトも、近頃は覗いただけで、いらっしゃいませとか、こちらがお似合いですよとか、まるでデパートに踏み込んだような具合になってきています。

欲しいモノを揃えるのではなく、揃えている物を欲しくさせる、それが商売の要諦だと聞いたことがあります。その点ではリアルもWEBも変わりはないのでしょう。

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2010年12月28日

彼我の差

お向かいのデザイン事務所は、今日が仕事納めで大掃除。朝から総出で、一日がかりのお片づけです。

一年の間に溜まった不用品を、表に並べてプチ・バザーも。ある年、大きなキャリーバッグを買ったことがあります。しっかりしたキャスターが付いた外国製、たしか1000円。すぐ、子に取られましたが。

去年は手づくり感のあるガラス瓶。インテリア装飾に使った、あるいは使えなかった小物類の一部だったようです。

今年は、しっかりした白木の椅子がドンと置かれていました。付いていた値段は1500円。背の部分と座面にベージュのレザー張りクッション。なかなかしっかりした作りです。

ちょっと気を惹かれましたが、手を出さずに見ていると、間もなく売れていきました。後で聞くと、ブライダル用に中国で拵えたものだとか。なるほど花嫁の椅子かと得心。買わないで良かった。

店番のミセスAが、籐で編んだような、ちょっと深めのトレーを600円で購入していました。結局店主は何も買わず。

しかし、溜まった雑誌類を引き取って欲しいと頼まれ、casa brutus などを大量に引き受けることになりました。もちろん些少ながらお代を支払って。

お向かいは片付いてサッパリ。その分こちらは、また山積み。それでなくとも年末というと、お持込みが増えるというのに。

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2010年12月27日

今年の飲み納め

本年最後の忘年会。

前回、二期前の理事会メンバーの同窓会でもあります。神保町の「黒ぶたきよし」で午後7時から。

二年間の理事会を共に運営した仲間は、後々まで同期として身内意識が残ります。それでも毎年忘年会や、新年会で顔を合わせることは、誰か世話役を買って出てくれる人がいない限り続けられません。

それはチームワークの問題というより、個人の熱意に負う部分のほうがずっと大きいことは、経験に照らして確実に言えます。

店主が務めた、現在を除いて4期の理事会のうち、毎年集まるのは半分の2期。残る2期の理事会が、まとまりのない会だったかと言うと、決してそんなことはないのです。

しかし店主にとっては、毎期の理事会に、そうした世話焼きがいたとしたら、年末年始は今以上に酒席が増えることになります。そうなると身が持たない。という以上にお財布が持たない。

とはいえ、久しぶりに会う同業と、他愛ない話に声を上げて笑いながら飲む酒は、美味しいものです。そうして食べる料理もまた。

今年の飲み会はこれで打ち止め。お正月には今のところ、4件の新年会に出席する予定。ただし、断りきれずあと一、二件増えることもありそうです。

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2010年12月26日

自己啓発本

明日からまだ一週間あるのに、もう、すっかり今年は終ってしまったような、そんな静かな日曜日。

ご来店のお客様の数ももちろん少ないのですが、中にまとめ買いの方もいらして、売り上げは、それほど悲惨なことにはなっていないようです。

持ち込みのお客様、40代男性(そのご本からも確か)。バッグから20冊ほど本をお出しになりました。全てに新刊書店のブックカバーがかけられています。

一冊ずつ剥いていくと、どれもきれいな本。しかし全部剥き終えて改めて本を見て、さて困りました。なんとも値の付けようがありません。正直に申し上げました。

「うちはこういう本は苦手で、良いお値段は付けられないと思いますよ」

すると「そうですか、こちらでは『自己啓発本』はあまり扱われませんか」。

なるほど、そういう本だったのかと、まさに目からウロコ。目の前に積んだ本を、何と称してよいのか、今の今まで形容する語彙を持っていなかったのです。一つ賢くなった気分。

ところで、そのお客様、店主の付けた値段であっさりとご了承いただき、本を置いていかれました。お値段にこだわる方は、昔に比べて本当に少なくなりました。

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2010年12月25日

本より必要なもの

昨日の夕方あたりから、ぐんと冷え込んできました。今朝も明るく晴れたのに、時折吹く強い風は身を切るよう。いつもの土曜日に比べて、お散歩の人出も終日まばら。

顔艶の良い、小奇麗な身なりをした(おそらく)70代のご婦人―などというよりオバチャンと言うほうが似合う人、ご来店。

「あのさあ、法律の本なあい?」
「何のためにお入用なんですか」
「土地の売買。それ法律でしょ?土地の売買の仕方について書いてあるような本」
「そういう本だと、うちにはありませんねえ」
「ないの?小六法とかも?」
「小六法ではそういうことは分からないと思いますよ」
「あそう。小六法じゃ駄目なの」

するとお連れの男性。丸刈りの、料理人さん風、たまにお見かけする方が「言ったでしょ。難しい本だから、こういう所にゃ置いてないって」

「渋谷の大きな本屋さんへ行って、尋ねてみるのがいいと思いますよ」と店主。「そうですか、分かりました。いろいろどうも有り難うございました」

お見送りして、ふと思いました。必要なのは本ではなく、適切な助言者ではないだろうかと。書店を紹介するより、専門家に相談することを進めるべきではなかっただろうかと。

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2010年12月24日

クリスマス特選市

夜の十時を回って、神保町から乗った地下鉄の空き具合に、改めて今夜はクリスマス・イヴだと思い出しました。

明治古典会は本年最後の市、その名もクリスマス特選市。暦の巡り会わせでドンピシャリの日になったわけです。

七夕大市に次ぐビッグイベント。例年、前日の準備から二日がかりのお手伝いになるのですが、今回はお役ご免。今日、開札が始まってから短い時間、札改めのお手伝いをしただけ。

随分と楽をさせていただきました。それでも市場が終ってからの打ち上げにはお誘いが掛かり、遠慮なく参加いたしました。神保町駅の「パパ・ミラノ」、ここ何年もお決まりとなっている店です。

ある程度人数が入れて、低予算飲み放題。去年と同じコース料理を食べながら、去年と同じような顔ぶれで話していると、この一年が、まるで無かったように思えてきます。

でも確実に一年が過ぎました。そしてふと気づくと来年、また同じところで同じ思いに浸っているのかもしれません。

今年の七夕は、昨年より出来高が上昇。秋以降、各会の大きな市の出来高は、いずれも前年比で増加しています。単なる偶然か、いわゆる底を打ったのか。

考えてみれば一年先、同じところに立っていられるという保証はどこにもありません。定点を確保するだけでも、困難な時代だと思います。変らぬことをひとまずは喜びとして、この一年を打ち上げました。

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2010年12月23日

ノマド(nomad)

古い友人が訪ねてきました。大学時代の一年先輩、女性です。

気のおけない人で、当初から、あまり異性と意識せずに付き合える人でした。といって、魅力が無いという意味では、もちろんありません。

卒業後、商社マンと結婚。正確には、学生時代から付き合っていた相手が卒業後、商社マンになった。以来、40年に近い転住生活が始まります。国内はもとより、米国各地、そして今住むのは何度目かの中国。

三人のお子のうち、娘さん二人は米国生まれ。末の男子は日本生まれですが、殆ど米国暮らし。今回戻ってきたのは、その末っ子が米国で自分と良く似た境遇の伴侶を得、そのご実家へ挨拶に行くためとか。

何しろ、上二人はそれぞれアイルランド系、中国系の米国人と結婚。既にお孫さんにも恵まれていますが、今度、初めて日本人のお孫さんを持つ可能性が出来たわけです。

もちろん、そんなことに頓着するようでは、長い外国暮らしなど出来ません。近年日本に戻るたびに、そろそろ定住したいと洩らすこともありましたが、来年春からは再び米国勤務が決まったと、普通のことのように話していました。

飾らない性格で、各地に様々な友達を作ってきたようです。その人脈こそが最大の財産でしょう。

昼食を共にしたあと、「それじゃあ行きます」と、バックパッカーのような出で立ちで去っていきました。

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2010年12月22日

押し詰まる

世間様にとって、今週はあと金曜日しかなく、来週の月曜、火曜日くらいで今年もお終い。つまり年内の営業日はあと3、4日というわけです。

今日、用あって車で古書会館に行き、戻る道がいつもより混んでいました。昔のことを思えば大したことはないのですが、2時半に神保町を出て、店に着いたのが3時半。

押し詰まったという感じはしないのに、一般社会は、もうすっかり押し詰まっているのです。小店のように毎日営業しているものにとっては、まだ1週間以上も残っているというのに。

今日は冬至。しかし日中は随分暖かくなりました。夕方、店内から外を見ると敷石が濡れているようです。慌てて出てみると、別段雨が降ったわけではなさそう。湿気が降りてきたのでしょうか。

昨日の忘年会にはオーストラリア出身の青年が一名。れっきとした洋書会員です。彼は今日から国へ帰るとか。毎年お正月は向こうで過ごすといいます。

「お正月が暑いんだ」というと「別に、外でビール飲んでパーティーして、普通だよ」

暑いときに暑いのも、寒いときに寒いのも、それは普通のこと。その普通が、どうも普通でないような昨今です。

konoinfo at 18:56|PermalinkComments(0)TrackBack(0)
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