2011年06月

2011年06月20日

イノセント

お客様も、本屋も、その本当の価値を知らずに安く引き取った本が、市場で思わぬ高値になることがあります。

もちろん知らなかったということが重要で、知って安く買ったのでは詐欺と変わりません。

でも、だから不勉強の方が良い、ということにはなりません。なぜなら、そんなケースは稀なことで、知らないがために、みすみす良い本を買い逃すということの方が、ずっと多いからです。

買い逃すだけならまだしも、知らずに安く売り払ってしまって、後で地団太を踏んだという話も、たくさん残っています。

だから本屋さんは市場の情報に敏感です。どんな本がどれくらいで取引されるのか、熱心に相場を追うのです。

しかし全ての本を知ることは出来ません。つい最近も、ベテランの本屋さんが仕入れて市場に持ち込んだ本の、当て紙代わりに使われていた古い雑誌が貴重なもので、何十万円にもなったことがあります。

喜びと同時に恥ずかしさも覚えたことでしょうが、こんな恥なら掻いて見たいと思うのも、本屋の本音ではないでしょうか。もちろん店主だって。

RIMG3495さて今朝、宅買いのご要請を一件受けました。先も短いので整理しておきたいと、穏やかなご老人です。近くにも古本屋はあるが、気に入らないそうです。

司馬遼太郎を中心に、文庫も単行本も「本当に沢山ある」ので、まず見に来て欲しいとおっしゃいます。恥を掻くチャンスはなさそうですが、近いうちに伺うつもりです。


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2011年06月19日

楽しい図鑑

『日本産魚類生態大図鑑』(益田一/小林安雅、東海大学出版会、1994年)という本を、丹念に一頁ずつ繰ることになってしまいました。

B5版465頁の内、434頁までがカラー図版。ところがその図版頁が、おそらく湿気で、くっついてしまっていたからです。

読まずに置いてあるからそうなるわけで、見たところ保存状態がとても良く、実はお客様から買い受ける際、この一冊を一番高く評価したのでした。

それだけに何とか生かしたい一心。ペーパーナイフを使って、慎重に剥がしにかかりました。

三方の余白部分が少しずつ、かなりの頁にわたってくっついていて、大抵は簡単に剥がれても、中にはしっかり貼り付いているところがあります。

そんなところは格別気をつけて剥がしたのですが、やはり跡は残ってしまいました。しかし穴が開いたり、図版が消えたりという、最悪の事態は免れました。

ところで1916種、3084枚という魚の写真を眼で追うのは、なかなかに楽しい作業でもありました。鮮やかな色、珍妙な形、その千変万化をみるにつけ撮影の大変さが伝わってきます。

和名の面白さも突っ込みどころ満載。「オジサン」という名の魚がいることを知りました。

定価9750円。6000円につけたかったけれど、4000円に下げようと思います。まあ楽しませてもらったので、良しとしましょう。

RIMG3489


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2011年06月18日

一事が万事

RIMG3487私事にわたりますが、一昨年、義父が亡くなり、この春、義母が老人ホームに移って、主のいなくなった母屋に、生活の一部を移しています。

ところがその玄関の引き戸の鍵が、見つからないままになっていました。出かけるときには内から錠を下ろし、勝手口から出るのですが、やはり不便です。

ついに決心して、現在とまったく同形式の新たな錠前を誂えることにしました。近所の金物店で頼むと一式で15000円。金目のものとてない陋屋です。防犯のためというより、猫の脱走防止が主目的ですから、充分に高額です。

昨日、付け替え用が届いて、今朝それを開け、三本付いているその鍵の形を見たとき、思わず声を上げてしまいました。

古い鍵をまとめて放り込んである容器があるのですが、それを何度もひっくり返しては、玄関の錠に合いそうな鍵を一つ一つ試した中で、一つだけ、何の鍵だろうと思いながら、一度として試さなかった鍵と同じ形です。

その大きさと形状を見て、はなから合う筈がないと思い込み、差し込んで見ようともしませんでした。まったく意表を突かれた思いです。

もちろん、それこそが玄関の鍵で、試してみると何の問題もなく施錠できました。自らの愚かさを呪いながら、折角届いた新しい錠前を、今までのものと取り替えたのでした。

お金が惜しいのはもちろんですが、見事に目をくらまされたことの方が悔しい。錠前破りには、なれそうもありません。何より、思い込みは物事を過つという教訓を得ました。


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2011年06月17日

他人事とばかりは

神奈川組合からメールが届きました。

このところ増えているらしい、深夜営業の書籍類販売店での強盗事件が、また連続して起きたことに、注意を呼び掛けるメールです。お隣の県で起きていることですが、東京で起きないという保証はありません。同業のよしみで、連絡をいただいたというわけです。

今回は二件たて続け、横須賀と藤沢の午前3時前と5時前。どちらも男三人が刃物を持って、閉店準備中の店内に押し入り、金庫やレジの現金を奪って逃走したというもの。その手口や人数などから、同一のグループのようですが、最近起きている一連の事件が全て同じかどうかは、まだ分かっていません。

警察からの次のような呼びかけも、一緒に付いてきました。
□ 店舗周辺における警戒活動の強化
定期的に店舗周辺の巡回を行い、不審者(車両)発見の際は、警察に即時通報する。
□ 防犯カメラ等防犯機器の保守・点検
設置がない場合には、早期設置に向けて検討をお願いします。管轄警察署生活安全課で御相談をお受けします。
□ 従業員に対する防犯指導等
◆ レジ内現金の少額化、現金の保管・管理の徹底
◆ 有事の際の即時通報等、従業員に対する具体的な指導の実施

この中で、すでに実施出来ていることが一つだけあります。「レジ内現金の小額化」というところです。その辺りは、気の利いた強盗犯なら一目で見抜けるはず。

しかし世の中には様々な人がおられます。僅かな小遣い銭欲しさにという事もあり得ますから、茶化さず真剣に聞いておくことにいたしましょう。

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2011年06月16日

抜本的改革

店番のミセスCが、暗い顔で「本当にお客様が来ない」と、ため息をつきました。午後からTKIの会議に出かけ、閉店間際、店に戻ったときのことです。

つい何か責任のようなものを感じてしまうのでしょうか。如何ともしがたいことですのに。

確かに今週に入って店の売上は低調で、今日はまた雨のせいもあるのか、一際淋しいレジの打ち数です。余りこんな話をしたくはありませんが。お聞きになりたくもないでしょうし。

しかし今朝、来がけに感じたのは、道路の空き具合です。途中、環七をしばらく走るのですが、昔のことを思うと実にスムーズです。渋滞に会うことがめったにありません。

経済活動がそれだけ落ち込んでいるということでしょう。そのくせ近頃、妙に道路工事が目立つと感じるのは店主だけでしょうか。

何にせよ、世間の景気が悪いことは確か。もちろん、それが確かめられたからといって救いにはなりません。

RIMG3438TKIの会議では、5月の「日本の古本屋」全体の受注金額が、不思議と良かったことについて、皆で頭を悩ませました。前月より良かったのは分かるとして、前年比でもプラス。

個々の店に、その実感はありません。どこか特別に売上の伸びた店があるのだろうかと、揣摩臆測、疑心暗鬼。何より、これが先につながるのかという見通しもつきません。

そんな中で、そろそろ耐用年数と思われる今の仕組みを、根本的に見直そうという議論が白熱しました。

要するに、どこも活路を求めているのです。

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2011年06月15日

お取り置き

お電話で本の注文をいただくことが、たまにあります。自家目録も出しておらず、即売展にも参加していませんから、ネットをご覧になってのご注文です。

実際に「『日本の古本屋』で見ました」とか、「ホームページにありましたが」といって、掛けてお出でです。中には「人から教えてもらった」という方もいらっしゃいます。

どこでどのように見つけられたにせよ、ご注文の際は、ファックスかメールで、ご住所とお名前を頂くようにしています。いわば発注書代わりです。

ごく稀に、メールはもちろん、ファックスもないという方がいらっしゃいます。その場合は、葉書をお出し願うのも申し訳ないような気がして、先にご送金下さるようお願いしています。

銀行振込でとおっしゃれば、ご住所氏名を伺っておき、入金確認後、発送します。郵便振替にするとおっしゃれば、振替用紙にご住所を書き入れていただくよう、お願いします。

そんな具合で実は今、ご住所も伺わないまま、お取り置きしている本が一冊あります。お電話を頂いたのが、先々週の土曜日。

ちょっと時間がかかっても、取っておいて下さいと頼まれましたので、まだそのままにしてありますが、ふと思い出しました。

ごく稀だと申しましたが、以前にも一度、確か同じようなケースがありました。よくよく記憶を辿ってみると、同じ方RIMG3459だったような気がしてきたのです。あの時も、待てど暮らせど、ついにご入金は無かったはずです。

前回も今回も、宗教関係のまじめな研究書。いたずらとは考えられないのですが。

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2011年06月14日

袖のボタン

RIMG3482ジャケットの、袖のボタンが一つ取れて、紛失してしまいました。金色のメタルボタンです。

あいにくスペアは有りません。昔も一度そんなことがあって、その時はメーカーがデパートに出している売り場で問合せ、同じものを手に入れるのは無理だと言われ、丸々一組、新たに買い求めました。結構いい値段だった気がします。

いわばロングテール商品、こんな時こそネットが役に立つのではと、試みに探してみました。驚くほど多様なボタンの画像が現れます。幾つかのキーワードで絞り込み、似たようなものは見つけました。しかし、同じものは見つかりません。

やむを得ず、一番似ていると思われるボタンを、ひとまず袖ボタンの数だけ購入しました。古い三つボタンのジャケットで、袖には各二個、計四個。今時の、片袖四つもあるようなものでなくて助かりました。

手始めに、取れた一つだけ、新しいボタンを付けてみようと思いますが、まだ手を付けていません。

ボタンをネットで探しながら、本を探すのと比べていました。代わりが利かないという点では同じです。そうかといって、出せる費用に限りがある点も、似ているかもしれません。

もちろん違いは山ほどありますが、さらに似た点を探してみるのも面白いかも。

このボタン屋さん、キャッチは「コスプレ用品の店」で、受注確認のメールが届いたとき、家人たちから随分怪しまれました。そういうことは、本の注文ではあまり起きないかな。

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2011年06月13日

おてもやん

七夕目録再校のため、朝、店を出ました。渋谷で地下鉄に乗り換え。折りよくホームに止まっている電車の、最後尾車両に飛び乗って、周りを見ると女性ばかり。

ドアが閉まります。焦ってホームの時計を見ると、9時32分。もう一度周りを見回すと、他にも男性がちらほら。ほっと一安心。

ラッシュはピークを過ぎ、体が触れない程度の混み具合。それでも様々な化粧品の混じった匂いに、落ち着かない気分が、一駅、二駅、次第に空いて、男性がいくらか増えるまで続きました。

RIMG3485化粧の匂いといえば、昨日店番をしていると、若い女性が帳場まで来られ「この辺りでこういう感じの古本屋さんは、他にありますか?」と訊かれました。

面と向かったその顔色が、とってもピンク。上気しているわけではなく、塗っていらっしゃる。かわいらしいお顔立ちだったと思うのですが、その色ばかりに眼を奪われました。

「ウチだけですね」とお答えすると、がっかりしたように踵を返し、外へ出てから日傘を差して、ご退場。曇り空、日は差していません。もしかして、日光に弱い方だったのでしょうか。

娘らから教わったところでは、ドールメークという、流行りの化粧法があるそうです。おてもやんを連想するようでは、店主、すでに過去の人ですね。女性専用車両に紛れ込んだところで、男性だと意識される気遣いもないかもしれません。

それはそれとして、くだんのドールの質問は、どういう意味だったのでしょうか。

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2011年06月12日

買ってから、あらためる

曇り、時に薄日。気温はそれほど高くなくとも、湿度が高いのでしょう。店内が、ちょっと蒸し暑い。しかしまだエアコンは入れません。特に節電というわけではありませんが。

先日、明古で買った30冊ほどの洋書の口の、値付けを始めました。Books on Books、書誌学関係の本が中心の口です。

市場では、二本に縛って積んであり、背中だけをざっと見て、目に付く本だけを踏んで(評価して)入札しました。

結果は下札で落札できたのですが、すぐに一人の同業がやってきて、中の一冊を分けてもらえないかと、持ちかけてきました。

特に珍しいことではありませんし、お互いが得になることなら、商売人として断る理由もありません。

しかし今回の場合、店主は、その申し出をお断りしました。もちろん、どの本が欲しいかを聞く前に。その理由は、一通り全部に目を通したかったからです。

買う前に良く見ておかないのかと、疑問に思われるかもしれません。もちろん一点ものや、特に値を踏む本はしっかり見ておきますが、限られた入札時間ですから、あとは目見当という場合も多いのです。

その代わり、見なかったものについては自己責任。思わぬおまけが見つかることもあれば、見当はずれで元もRIMG3445取れないということもあります。

今度だって、話に乗って、言われるままにお分けしたほうが、自分で売るより良い値になったかもしれません。それもこれも、性分ですね。

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2011年06月11日

新たな伝説

朝方は強い降り。売り上げ下降の中、近頃は土曜日だけが比較的好調。RIMG3461それだけに、ちょっと恨めしい天気です。

店を開け、10時に到着のミセスBに後を託し、南部地区大市会に出掛けました。

入札は小一時間。といっても札を入れたのは、ごく僅か。会場ぎっしりの本を一通り見て回るだけで、それだけ時間が掛かったというわけです。

今日はむしろお手伝いが主目的。南部支部事業部を中心に、大勢の支部員や、他支部、さらには他組合員まで狩り出されています。その一人として、午後からは開札のお手伝いをしました。

今回は南部大市始まって以来という「第二会場」が設けられていて、店主が手伝いに回されたのはそちらの会場。主として和本、地図、刷り物などが、陳列されています。

小店の商売には、まるで縁のないものばかりですが、洋装本のように重くない。その点を配慮して、割り振っていただいたのだと思います。

全体で約2200点の出品があり、内400点ほどが第二会場に。今回話題となった一口物、実は一口ではなく、二口だったと分りましたが、その殆どがこちらの会場に並べられました。つまりこの会場の主要な部分は、二人の業者の一口物です。

店主の印象では、二つの会場の出来高は、ほぼ拮抗。具体的な数字を申し上げるのは差し控えますが、この推測、かなりいい線を行っている筈です。

ところで、高額本を扱えるのは、限られた一部の本屋ですが、それをお客様から仕入れるチャンスは、どの本屋にもあります。事実かどうかはともかく、そう信じる業者は多いでしょう。

今回の第二会場で、そんな古本屋ドリームを裏付ける伝説が、また二つほど生まれたのでした。

konoinfo at 21:34|PermalinkComments(0)TrackBack(0)
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