2011年07月

2011年07月31日

7月尽

RIMG3783「ずーっと前に、この先の向こう側に本屋さんがありませんでしたか」「ありました」「あれはどうなりました」「あれがこれです」「ああ、ここへ移られたのですか」

昨日に続いて、また同じようなご質問を受けました。申し訳ないことですが、今日のお客様には、お見覚えがありません。久しぶりに当地へお出でになられたのでしょう。

しかし以前の場所をご記憶だというのは、大したものです。店主自身よく経験することですが、ある場所が空き地になっていると、それまでそこに何があったか、思い出せないことが多い。

同様に、ある店がなくなったことは分かっても、それがどこにあったのか、定かには覚えていないものです。

「前からここにありましたっけ」というご質問を受けることもあります。このあたりが、だいたい店主と同程度の記憶力ではないでしょうか。

いずれにせよ少なくとも8年以上の年月を経て、またご来店いただけることは幸せなことです。とにもかくにもそれだけの間、商売を続けてこられたということですから。

この店に移るとき、あと10年は頑張ってみようと思ったのでした。いつの間にか、もうあと2年で、その一区切り(二区切り目というべきでしょうか)が来ます。

果たしてその日まで持ちこたえられるか、そんな心配が、かつてなく現実味を帯びて、明日から8月。夏休み本番です。

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2011年07月30日

今日の出来事

 朝、表の棚を整理しておりますと「場所、変わったんですね!」と文字通り眼を丸くしたお客様から声を掛けられました。
 じっと見つめ返すと、一瞬ばつの悪そうな表情になり「10年前くらいですか?」。「8年目です」と申し上げると、「そうですか、すみません」。
 こちらとしては、ごく最近までお見かけしていたようなお顔ですので、それが意外で、つい見つめてしまっただけでしたのに。

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RIMG3662 良くご利用いただくお客様が、昨日、留守中に洋書を一袋、店にお持ちくださいました。今朝お電話をしますと「かえってお邪魔でしたでしょうか」とおっしゃいます。
 お値段を申し上げると、「全部で?」と確かめられ、「そう、可哀想な本たち」とつぶやかれました。「可哀想な古本屋さん」と言われているようで、ちょっと腹にこたえました。

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 今日は午後から、南部支部の総会。役目柄もあって出席しました。自慢ではありませんが、少なくともこの20年、支部、本部とも総会を欠席したことはありません。
 発表によると、本日の出席者は47名。支部員総数の3分の1強です。本部の総会で、2割の出席者を集めることが殆どないのに比べれば、優秀だといえます。他支部に比べても、良い出席率のはずです。
 真摯な中にも和やかに会は進み、終了後は懇親会。改めて見回すと、随分と顔ぶれは変わりました。新しい人が増えて、その分、見なくなった顔があるわけです。
 いつも見慣れている顔が、妙に懐かしく感じるひと時でした。例によって一足お先に退席。この後、遅くまで飲み歩く連中は、今では殆どいないということです。

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2011年07月29日

現金を扱う

今日は明治古典会七夕大入札会の清算日。通常の交換会は、翌日以降、一週間以内に清算することとされています。しかもそれは組合職員さんの仕事。

しかし大市については、二週間以上おいて、清算日が設けられます。そして多くの場合、主催者たる市会のメンバーがその仕事を受け持ちます。

間をおくのは、高額品も多く、また遠隔地の業者が利用することも多いため、クレーム期間を長めに取るからです。

会が清算業務を担当するのは、昔はそれなりの理由があったのですが、今ではほぼ、慣例でそうしているようなものです。

RIMG3604その、半ば行事と化している、会による清算業務を行うために、朝から組合に出かけました。今回の大市で、店主の担当部署は会計部であるからです。

何億円という取引高を、売り手、買い手が清算するのですから、大きな金額が動きます。近頃は銀行送金を利用する比率が高まりましたが、中には今でも何百万円という現金持参の方も。

一方、こちらからのお支払いは小切手です。昔は現金で支払いました。今でも現金の魅力は高いらしく、その足で振出銀行に向かわれ、現金化される方が大勢います。

しかし今日は月末。銀行窓口は混雑して、随分待たされることになったのではないでしょうか。

受払いだけの単純な出納業務ですが、多額の現金を扱うのは、それだけで随分と疲れるものです。取り分け現金は、ひとたび違算が出ると、その追跡に多くの時間を割かれます。

銀行員さんの苦労が、少しは分かるような気がした一日でした。帳尻がぴたりと合ったときは、奇跡的にさえ思えました。当たり前のことなのですが。

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2011年07月28日

新着情報というしくみ

「蒐書散書」ということばを、店主は『古本通』(樽見博、平凡社新書、2006年)で知りました。

樽見さんのこの本については、また改めて取り上げたいと思いますが、この「散書」の場こそが市場であるといえます。もちろん専門書店が「蒐書」に努める場でもあるわけですが、お客様の立場から言えば、ここはやはり散っていく場。

その市場から仕入れてきた本は、今時は大抵、数冊から数十冊というまとまりです。それを一点ずつ値付けして、店や、ネットや、即売展や、目録で、更に散らしていくのが我々の生業なのです。

専門店の目録は、蒐書の代行をしていると、言えなくもありません。日本には少ないのですが、外国にはコレクションを売り込む業者も、大小さまざまいるようです。

そんな大袈裟なことでなく、市場でまとまってある傾向の本が入ったとき、まとめて売れないまでも、そのまとまりとしてお客様に見ていただきたい、と思うことはしばしばあります。

しかし自店のHPならばともかく、「日本の古本屋」では、その方法がありません。そこで何か手段はないかと考えて、しばらく前に加えられたのが、「新着情報」のしくみでした。

今日からデザインが変った「日本の古本屋」のトップページを見ると、中央やや下に三つ並んだオレンジのボタン、その真ん中に「古書店検索」とあり脇に「新着情報」の文字があります。

ここから進んで書店名で検索をし、それぞれの店の新着300点の表示にたどり着けるようになっています。なんRIMG3668ともまだるっこしい方法ですが、今のところここまで。

それでも、時系列でそれぞれの書店が入力したものが見られる点は、これはこれで臨場感もあり、面白いと思います。

いずれは、まとめ買いも出来るようになるでしょうか。

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2011年07月27日

解けない謎

水曜日はルート便が来る日。昨日の洋書会と、先週の明治古典会で買った本が、合わせるとカーゴにちょうど半分ほど。午前中に届きました。

空いたカーゴと取り替えて、置いていくだけ。この点については、運送屋さんも楽になったはずです。

小店も荷降ろしの手間が減りはしましたが、一週間して漸くいくらか片付いたところへ、新たな本が入ってきたので、またネジを巻きなおして整理を続けることになります。

なんだか追いかけられる感じ、と言っても今までと変らないのですが。

その今日の荷の整理で、手が止まった本。
F. M. Norman, "Martello Tower" in China and the Pacific.
London: G. Allen, 1902.

martello英国の学校図書館旧蔵本で、背の角が擦り切れて割れています。本文頁にもシミが浮き出ているところがあり、お世辞にも状態が良いとはいえません。

それでも綴じがしっかりしているのは、糸でかがり綴じされているからです。良く見ると、色褪せてはいますが天金、小口と地はアンカット。元はオリーヴ色のクロスの、立派な本だったに違いありません。

手を止めさせたのはタイトルのMartello Tower。何だろうとWEBで調べると、マーテロー塔として、日本語の解説頁がありました。しかしそれがどうChinaと繋がるのかは依然、謎です。

あちこち拾い読みして分かったのは、Tribune号という船で世界一周した航海記であるということ。1858年、開国前の長崎にも寄港しているということ。

それでも結局、なぜマーテロー塔なのかは分かりませんでした。それを解明するためには、時間も読解力も不足しております。

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2011年07月26日

市場の不思議

7月の洋書会当番も、今日が最後。先週に続いて荷が多く、なかなか楽をさせてもらえません。しかし会にとっては有難いこと。文句を言っては罰が当たります。

ましてや今日、最終回のお昼は恒例のうな重。出来高が上がらなければ、足が出てしまいます。店主もがんばって二口の仕分けをいたしました。

市場を運営していて不思議に思うことのひとつに、同じ傾向の出品がしばしば重なるということがあります。

今日の場合は店主の担当した二口。どちらもそれぞれ、平台三台分程度と似たような分量で、ひとつは第一次大戦後にドイツで出版された軍人政治家評伝や、戦史などを中心とした口。もうひとつは日本海軍の図書館旧蔵書を中心とした口。

じつはこの他にも、先週の続きの中世神学、哲学関係の口に対して、会員が「似たような口ですが」という持込がありました。

店主の仕分けた口について言いますと、海軍関係のほうは、ほぼ狙い通りに札が入り、まずは荷主にも納得してもらえる結果となったと思います。しかし戦間期ドイツ書のほうは、思ったような札が入りませんでした。

RIMG3667一枚も札が入らないことを「ボー」というのですが、何点かこのボーを出してしまいました。カール・フォン・ビューロウとか、ヒンデンブルクとか、モルトケとか、店主は面白いと思って仕分けたのですが、興味を持つ同業がいなかったというわけです。

荷主さんに了解をもらい、ボーになった本は来週、もう一度出品することにいたしました。他に荷が多すぎて、見落とした人もいたかもしれませんし、改めて見ると気分も違って、札を入れてみようということになるかもしれません。

今日なら無競争、2千円で買えた本が、次に出たときは何枚も札が入り、4千円でも買えない。そういうこともまた実際にしばしばあって、これもまた市場の不思議のひとつなのです。

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2011年07月25日

悠々自適

暑さがぶり返し、強い日差しの昼時、道を行く人影も途絶えがち。

そんななか、長いこと表の棚を丹念にご覧になっている、高齢の男性がおられます。半ズボンに、デッキシューズの踵を潰して履いた軽装で、暑さも特に苦にしておられないご様子。時折伺い見ると、少しずつお選びの本が増えているようです。

小一時間、あるいはもっと経ったかもしれません、ようやく10冊ばかりの本を抱えて、店内に入ってこられました。それを帳場の前に積むと、「あと少し、店の中も見せてください」。

こちらは相も変わらず、滞留している本の入力作業。しばらくして更に四、五冊追加され、「じゃ、これで」となりました。

RIMG3669「お持ちになれますか」「大丈夫だと思います」お会計が済み、二重にした紙袋に本をお入れしようとすると、「ちょっと」と制止され、ご持参の布製の手提げ袋を空にして、それにご自身で詰め始めます。

無理かと思った本が、すべて納まり、更には袋から取り出した細々したものも、押し込むようにして入れ戻してしまわれました。

感心していると「いつもお宅に来ると、ちょうどこれくらいの量になるのです」とおっしゃいます。「前に自転車を置いたままですが、ちょっとマクドナルドで一服してきます。一休みして、帰る元気を付けてきます」

日が翳り少し涼しくなるまで、そこで本でも読まれるおつもりらしい。暑さが苦にならないわけではなかったようです。

源氏物語を読もうか、プルーストを読もうか、迷っているところだと言っておられました。ゆっくりとした時間のなかに、身を置かれているのでしょう。

夕刻気がつくと、いつの間にか自転車は消えていました。

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2011年07月24日

能力不足

今朝、用があって246を川崎方面へ向かうと、多摩川を越えるあたり、広々とした空に羊雲が浮かび、まさに夏空。

それでも今日はまだ、店のエアコンをつけないでいても、どうにか過ごせる気温でした。

RIMG3661このところ、買い込んだまま手がつけられずにいる洋書の口が溜まっています。スペイン語文学の口、ギリシア・ラテン語学の口、中世哲学の口、ワグナーなど音楽関係の口、などなど。

昨日も今日も、せっせと値付けして、データに入れているのですが、保管場所を見つけるのに苦労して、まだWEBにはあげられません。在庫管理がいかに大切か、日々の商いで、イヤと言うほど思い知らされていますから、きちんと収納するまでアップしないつもりです。

それほど気をつけていても、折角いただいた注文の本が見つからなかったり、すでに売り切れたはずの本に注文が入ったりで、慌てることがしばしば。散々探して見つからず、お断りのメールを入れた途端に見つかったことも、二度や三度ではありません。

ネット販売を始めて、もう10年近くになるのですが、われながら進歩のなさに呆れます。思えば、それ以前、即売展に参加していた時分、目録に掲載した本のご注文についても、同じような失敗を繰り返しておりました。

もちろん古本屋がすべてそうだというわけではありません。それどころか、目録販売を主力とするような本屋さんは、在庫管理が生命線ともいえますから、几帳面な方が多い。WEBに重点が移っても、きちんとこなしておられることでしょう。

あくまで個人の資質の問題です。それでも、多少の緩さを大目に見てもらえなければ、古本屋なんぞ続けられないと、開き直りたい気分もあります。

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2011年07月23日

タイムリー

朝一番に、文庫が一冊売れました。『東電OL症候群』(佐野眞一・新潮文庫)です。

今朝の朝日新聞に、この事件に関する記事が出ていました。きっと興味を持つ人がいるだろうと、読んだ時に思いました。しかし小店に在庫があるとは思っていなかったので、若い男性が帳場に持ってきたときには、ちょっと驚きました。

事件は1997年、渋谷というより神泉、いわば眼と鼻の先で起きた殺人事件ですから、新聞が大きく取り上げていたことをよく覚えています。

初めは、単に商売女性が被害にあった事件と思われました。やがて身元が分かるとセンセーショナルな話題となりました。後に容疑者が逮捕され、裁判で刑も確定し服役中ですが、現在に至るまで、ずっと冤罪説が燻っています。

事件の内容が内容だけに、当時の記事の表現にも苦心が感じられました。分かりやすく書こうとすると、きわどい用語を使わざるを得ません。今回の記事もそうです。それでもWEBなどに比べて、かなり抑制された言い回しになっているように思われました。

今度の記事は、最新のDNA鑑定技術により、冤罪説に勢いをつける証拠が現れたというものです。真犯人は別にいる。佐野さんの著作に関心が向かうのは当然のことでしょう。

RIMG3664新刊屋さんの中には、これらの本を面出し陳列したところもあるかも知れません。古本屋の哀しいところは、たまたま有っても、殆どの場合、たった一冊の在庫に過ぎないことです。

古本屋で欲しい本に出会うことがどんなに幸運なことか、この点をもう少しアピールしたほうがいいかもしれません。

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2011年07月22日

元気な本屋

この涼しさも今朝までだろうと、上着を持たずに出かけたら、夜になるとひんやり。

金曜夜、明古仲間との今夜の食事は、ごく近間、「静邨」というお蕎麦屋さん。なかなか人気の店で、30席ほどの店内は午後6時半、我々5人が席を占めると、ほぼ満席となりました。

お勤め帰りのサラリーマンが殆どで、途中気がつくとすべてが男性客。後から来られた一組に、ようやく女性がお一人。要するに気軽で、経済的なお店ということでしょう。

ここの特長は腰の強い太麺のせいろそば。しかし今夜、私達が頼んだのは、5人が5人、暖かい汁物のそば、うどん。それというのも、こんな涼しい日に、それに輪をかけたように強い冷房が入っていて、すっかり体が冷え切ってしまったからです。

食事を終えて外に出ると、まるで秋風が吹いているような涼しさ。一人が「うちの店もここんとこ涼しかったなあ」と洩らしました。もちろん気温のことでなく、売上のことです。

表通りに一軒、古本屋が開店しました。一年前まで別の古本屋が営業していた店です。駅へ向かう道すがら覗いてみると午後9時とあって、さすがに閉めた後でした。営業時間中に前を通った仲間の言によると、一杯のお客様で、本を抱えている人も目立ったとのこと。

店主は業界ではまだ若手ながら、なかなかのやり手で、RIMG3665前のオーナーが亡くなり閉店した後、家賃が高いとか、同業には貸さないとか噂が飛び交う中、いつの間にか話をつけて開店に漕ぎつけていました。

神田の表通りで今時の家賃を払い、果たして古本屋が続けていけるか。期待と懸念とを持って、業界が注目しています。

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