2011年08月

2011年08月31日

無事に終りました

出席者75名、委任状約340通。

組合員数が643名ですので、総会は無事成立し、かつ提出議題は格別の異議もなく、すべて承認されました。めでたしめでたし。

と言いたいところですが、75名というのは、やはり淋しい数字です。この中には、理事、監事など組合役員の20名が含まれますから、それ以外の組合員で見れば出席率は1割以下。

RIMG0063せめてもの慰めは、委任状が思ったより良く集まったことでしょうか。しかしそれで済むなら、わざわざ総会を開くのは、時間と労力の大いなる無駄です。

いよいよ真剣に、「総代制」を取り入れることを考える時かもしれません。

総会終了後の懇親会のために用意した、『新世界』の豪華な出張料理も余る結果となり、持ち帰りの出来るものはパックして、希望者にお持ち帰り願いました。

理事会のメンバーと、お手伝いいただいた方々とで、その後、界隈の「洋風料理とワインの店」へ席を移して慰労会。一仕事終えた開放感も手伝って、更に二時間ばかり、雑談に興じました。

懇親会で『新世界』の支配人と話す機会がありました。神保町中華街の歴史を尋ねたところ、明治大学がこの秋の130周年記念イベントに合わせ、資料を集めているとのこと。

本にでもなれば読んで見たいものです。

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2011年08月30日

ご報告は明日

朝から良い天気。総会日和?

バスで店へ来て、店を開けて、午前中に済ませる仕事を片付けて。ネットを開いてメールをチェック。

相変わらず山のようなジャンクメール。今ではその殆どは、自動的に迷惑フォルダーに振り分けられるようになり、かなり楽になりました。

本の査定を申し入れるメール一通。原則としてお断りしていますと返信。

一冊ずつの値段であれば、ネット上で販売価格を確かめられます。となると、後はいくらで買ってもらえるかという本屋定め。どうしても手に入れたいという本以外は、応じる気にはなれません。要するにオークション不参加というわけです。

銀行から、引き落としの事前通知二点。都民税、健康保険料。今年度からぐっと高くなった保険料に、改めて嘆息。今月の売上高を思い、ますます先行きに暗然。

特に懸案事項のない総会だと昨日書いたのですが、それは語り合って解決の付く問題がないというだけのこと。組合、業界の抱える課題は山積しています。なによりこの売上不振。小店だけのことなら努力不足で片付けられますが、もっと根は深い。

RIMG3959全体で考え、対処しなければならない問題ですが、二時間、三時間話し合って見通しが付くものではありません。せめて危機意識を共有し、持続的な取り組みをすることを合意するくらいでしょうか。

さて、出席者はどれくらい?

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2011年08月29日

お天気頼み

南の海に台風12号があって、ゆっくりゆっくり北上しています。ことさらその動きが気になったのは、組合総会の開かれる明日が、どんな空模様になるか心配だったから。

年に一度の組合総会は、今度が数えて第66回。幸い今までは毎年無事に開催されてきました。

しかし、内輪の恥をさらすようですが、危うく流会になりかけた年もありました。委任状の集まりが悪く、予想される出席者数では、定数に満たない恐れが生じたのです。

その時は、当日になって、慌てて神田支部など近くの書店を中心に委任状をかき集め、どうにか成立したのでした。

二年に一度役員の改選がある年はまだしも、今年のようにそれのない年で、格別な懸案事項もないと、つい関心も低くなります。その上お天気が怪しいとなると、出席も減るはずで、主催側の不安はいよいよ増すわけです。

幸い、台風の接近は今週後半というのが、最新の予想です。明日はどうやら無事に持つらしい。委任状も何とか最低数はクリアしたようで、まずは一安心というところ。

とはいえ週の後半にせよ、台風の襲来があるとなると、店の売上への影響は必至です。

RIMG3774総会は無事成立しても、商売が成立しないのでは何の意味もありません。願わくば窮状を察して、どこかへ逸れていってもらいたいものです。

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2011年08月28日

理解できない本

不思議な本でした。『314 : あなたが9+1=10倍輝く 三島由紀夫の仇討ちが始まる』(本多 清、毎日ワンズ、2004年)

タイトルからして意味不明、ただ著者が元楯の会会員とあるのに惹かれて、パラパラと目を通してみたのです。

初めの部分、三島の思い出を語ったところでは、興味深いエピソードが披露されています。しかし途中から、ほとんど「トンデモ本」の世界。

一種の数秘術でしょうか、森羅万象を数字に置き換え、宇宙の秘密を読み解くといった趣き。とても付いていけません。200円のラベルを貼って、表の均一台に出しました。

出したのは一週間ほど前で、昨日、それが売れました。お買い上げになったのは、ご家族に見つからないように本を運び込むという、例の男性。

ワケの分からない本ではありますが、三島が大の蟹嫌いということが分かるだけでも、200円分の値打ちはあります。ちなみに定価1500円で新刊があり、ネット最安値は150円(ただし送料別)。

それにしてもこの著者、昭和22年生まれで早稲田大学政経学部卒。何が彼をこのようなトンデモ世界(と店主には見える)へ導いたのでしょうか。

RIMG0033著者は三島が残した7通の遺書のうちの1通が、自分宛だったことに付いて、何度も自問しています。その答えを求めて踏み込んだ、彼なりの安心立命の世界なのかもしれません。

8月最後の日曜日、駒場恒例のご近所神輿が二度三度、夕方の日差しを浴びながら店の前を通り過ぎました。

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2011年08月27日

秋の気配?

RIMG4003売上はともかくとして、久々にお客様が来られた印象。昨日の雨も何とか上がり、やや気温が下がったおかげでしょうか。

朝一番には、いつもご持参の布袋一杯を目安にお買上の男性。今日はこれから出かける予定があるとかで、大部分をお預かりすることになりました。

「ちょっと間が空きますが、お願いします。見つからないように持ち帰るので、結構難しいんです」

ご家族には申し訳ないような気もしますが、小店としては協力せざるを得ません。

次には先日、店主の留守中、まだ値の付いていない山の一冊に目をつけられた男性。その後メールでお値段をお知らせし、近日中にとお返事のあったその方が、お昼前にご来店。

午後には、元祖帰国子女、戦後外相を勤めた政治家の令嬢。近くの歯医者さんの帰りでしょうか、久々のご来店です。

相変わらずお元気な声で「Schillerの著作は何かあります?」。古い全集などをご覧に入れましたが、「ヒゲ文字は苦にならないけど」と、今ひとつお気に召さないご様子。

ちょうどこの間送られてきたドイツ書を整理していたところで、興味深そうに何冊か手に取られたあと「Also sprach Zarathustra はありますか?」。

棚からKroner版の一冊を抜き出してお持ちすると「女学校時分、これを暗唱させられたものです。ナチの時代です」そう仰って、一節を口にされます。

お買上いただいて、お帰りになるときも、まだ何やら唱えておられました。

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2011年08月26日

いつもの8月でも

日が差して暑い中、大きめの傘を持って古書会館に向かいました。明治古典会、今日は月末の特選市です。

3階、4階にゆったりと本が並び、その分ボリューム感にはかけましたが、ある意味では特選市らしい雰囲気。出品点数は800点に満たない、といってもそれが多いのか少ないのか、普通の方には分かりませんね。

明古の場合、千点を超えるとまず多いほう。しかし一冊で一点のものもあれば、一点で100冊を超える大山もありますから、見ただけでは点数を読むことは難しい。

今日の場合、点数がやや少なめの上に、一冊ものが多く、余計ゆったりした感じに見えたわけです。しかし一点単価が高く、出来高としては予想以上の好成績でした。良いものには良い値がつきます。

神田の辺りは午後3時から激しい雷雨。その後は降ったり止んだり。市場が終ってから幹事、経営員揃っての会食に出向く道すがら、本屋の前を通るとどこも雨じまいに懸命。商売上がったりという様子でした。

食事場所は中華の徳萬殿。安くてボリュームがあって、若い経営員たちにはうってつけ。ユニークなメニューもあって、味もまずまずのお店。

RIMG4007盛り上がり始めた頃、一足お先に退席。店に帰り着くと、神田を心配している場合ではない、小店も午後の雨以降、人っ子一人ご来店がなかったようです。

8月だけ見れば、小店としてはいつもと同じような売上かもしれませんが、ここに至るまでの毎月が悪すぎただけに、ダメージは例年以上です。

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2011年08月25日

編纂事業

古書組合も創立90年を超えて、そろそろ『百年史』の準備を始めたらどうかという組合員も現れました。

その中には『東京古書組合五十年史』の編集に関わった人たちもいて、というより専らその世代。今なお現役、つまり40年以上業界で活躍している元気な先輩方の声です。

そういえば「社史」というのが、古本の分野として幅を利かせた時代がありました。もともと非売品であったり、定価がついていても高額であったりして、古書としても良い値になっていたのです。

今では僅かな例外を除いて、見る影もありません。それは学校史なども同じこと。もっと言えば地方史なども同じ。

RIMG0027その僅かな例外のうちに入るかどうか『森永五十五年史』(森永製菓、昭29)が手に入り、中を眺めて楽しみました。

とりわけ第二部の写真録。ポスターや各種広告、そして商品そのものの図版を見ているだけで飽きません。身近な企業であるだけに、立派な風俗資料となっているからでしょう。

同社は2000年に『森永製菓100年史』を出していますが、本としての趣は、初めの方が数等上のような気がするのは、古本屋の勝手な思い入れでしょうか。

翻って我が『組合五十年史』もなかなか重厚な本です。内容、形態ともに、あれ以上のものを作るのは大変なこと。同じ思いからでしょう、近頃、新たな社史を出すところは、少なくなっているといいます。

どうする古書組合。

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2011年08月24日

稀少種族

時々表を、傘を差して通る方がいて、その度に慌てて表へ出て確かめます。日を避けるご婦人方の傘に、黒いものが多くて紛らわしい。雲行きの怪しい時刻もありましたが、どうやら今日は降らなさそうです。

  *  *  *  *  *  *

ある人のブログで、この本を知った。ネットで検索すると『日本の古本屋』に一軒だけ在庫している本屋が見つかった――そう仰って西野嘉章『装釘考』(玄風舎、平12)をお求めのお客様がご来店になったのは、昨日のことでした。

たまたま今朝、新聞で平凡社ライブラリー版の同書の広告が眼に入りました。もちろん、昨日のお客様は、同版が出ていることもご存知。しかしお目当ては、あくまで元版です。

さらに、後から調べてみると、他のサイトで本書が二点出ていることが分かりました。どうやらこのお客様は、ご自身の目で確かめた上でお求めになりたかったようです。

そのサイトでは、出品者がどこの誰か、必ずしも分明ではありません。その上に、二点とも縷々状態説明があります。お客様がそれをご覧になったかどうかは分かりませんが。

幸い小店の本は、状態の良いものでしたから、手にとってご覧になり、すぐご決断くださいました。

お話を伺うと、最近『二十億光年の孤独』の初版美本を手に入れられたとか。本以上に、近頃では稀少な方かもしれません。

RIMG4001  *  *  *  *  *  *

また一人、今度は明らかに折り畳み傘を広げています。表に出てみると細かな雨が少し。忙しいお天気です。

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2011年08月23日

いろいろな思惑

肌寒さを覚えるくらいの日が、しばらく続きました。また気温が上がって、ほっとするやらうんざりするやら。

汗を掻き掻き古書会館へ。お盆休みで一週間空いて、しばらくぶりの気分。

着いてみると、会場一杯に本が並んでいます。その三分の一ほどが、新刊かと見紛うような英語の本の一口。

旧蔵者は外国人とのこと。いわゆる専門書は少ない代わり、辞典類、文学書、歴史書など、比較的程度の高い本が揃っています。つまり読み物としては良質。

しかし良質ということは、読者が多い本ではないということでもあります。新しくてきれいな本ばかりですが、今時のことですからどれくらいの札が入るのか。

余り安く同業に落札されるのも悔しいし、かといって買い気の札を入れて、いざ落ちてきたら置き場に困るし、という逡巡の札を数点入れました。

10月にある「洋書まつり」で売れば、飛ぶように売れるのではないか、という幻想も抱いたのですが、それまで保管しておく場所の工面を考えているうちに、どんどん札が弱くなります。

結果は、小店主が気に病むまでもなく、ある程度の価格で落札されていました。

RIMG4005そうなればなったで、あれくらいの価格なら頑張れたのではないか、などという思いが湧いてくるのが、身勝手なところ。まあ、他に収穫はあったことですし、欲をいうとキリがありません。

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2011年08月22日

達人の域

先日ご紹介した田村隆一のエッセイ集、読み残したところを読んで、改めてその自在さに感心しました。

例えて言えば志ん生。そういえば酒好きのところも似ています。詩人ですから連想の飛躍はお手の物。散文として読むと意味の通じにくいところも、味わいで読ませてしまいます。

つまり文の向こうに田村さんがいるからこそ。下手に真似たところで読めた代物にはなりません。

RIMG3669そんな、あるいはほろ酔いで書いたかと思われるような章の一つで、「ぼくは誕生日を海外で三度祝ってもらったことがある」と書かれています。

そのうちの一度。「1971年はニューヨークの化石的ホテル。谷川俊太郎、アイオワから飛んできた吉増剛造、ダブリン帰りのジョイス研究家の大沢正佳など、ホテルのツイン・ルームで乾杯を受ける。酒はジャック・ダニエル」

ここを読んだとき、すぐ吉本隆明さんの言葉を思い出しました。どこかの対談(を本にしたもの)で、今の日本で詩人といえるのは田村、谷川、吉増の三人だけだと断言しておられたのです。

その三詩人が、1971年のニューヨークで打ち揃っている様子を想像してみるのは、なかなか面白いことです。

ところで、この章は三度の誕生日を一筆書きした後、話はいきなりロスのリトル・トーキョーに掛かっていた大きな「赤玉ポートワイン」の壁面広告に移り、その町の思い出で終ります。

最晩年、その軽やかな筆致。

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