2011年08月

2011年08月21日

古い顔見知り

二、三日前、NHKのニュースで「事件記者」の「キャップ」が亡くなられたことを報じていました。ちょっと注意して画面を見つめたのは、きっと昔の画像が出てくるだろうと思ったからです。

現れたのはスチルが二枚ほど。フィルムなどは残っていないかもしれませんし、残っていてもかなり不鮮明なものなのでしょう。

しかしお目当ての顔は見つけました。「キャップ」と一緒に若い記者が数人、その中でもとりわけ若い、確か番組の中でも新人記者の役だった記憶がありますが、その人。

初めて小店にご来店いただいたのは、もう20年、あるいはもっと前のこと。それ以来、今に至るまで、時々ではありますがお立ち寄りになり、軽い読み物の文庫を何冊か買っていかれます。

当時は、まだ良くあちこちの舞台を務めておられ、TVの仕事もされていました。最近は、あまりその名をお見かけしませんが、そういうお仕事ですから引退というわけではないでしょう。

つまり今だって現役のはず。しかしさすがに多くの声は掛からないことは想像に難くありません。

20数年来のお客様なのですが、特に言葉を交わしたことはありません。それでも、こちらとしては更にその20年以上前から見知っていたのですから、勝手に親しみを感じているわけです。

RIMG3986そのことを、話しかけて見たい気になることもあります。しかし素顔の役者さんに声をかけるのは、売れていれば売れているで、そうでなければ猶更に、野暮なことだと自戒するのです。

曇って暗い空から時々雨のぐずついた一日でした。

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2011年08月20日

事情不明

涼しくなって、確かに空模様ははっきりしませんが、土曜日でもあり、大学では何やら催しがあるらしく、お昼時マクドナルドには列が出来ていて、全体にざわついた雰囲気なのに、我が店は忘れられたような静かさ。

RIMG3959朝、五反田で南部支部役員会。15の地区の班長さんから、各地区合計132軒のお店の動向について、報告があります。ほとんどは「特に変ったことはありません」。でもそれが何より。

今日は一軒、ちょっと気になるお店が報告されました。一人暮らしの書店主と、しばらく連絡が取れません。普通そういう場合は、その地区の班長さんが様子を見に行きます。しかし今回連絡が取れないのは、当の班長さん。

出席すべき役員会も、3回ほど続けてお休みです。先月、支部総会があった関係で、支部の役員さんも放置できず、様子を見に行ったそうです。ですからこれは、その役員さんからの報告。

ご近所の商店に尋ねたところ、お店はほとんど閉まったまま。時折、本で塞がった店の奥から、文字通り這い出すように出入りしているところは見かけるとのこと。

しかし世間との交渉は一切なく、町内会の連絡なども出来ず、困っておられるといいます。

ともかく無事であることの確認は取れたのですが、店の電話にも携帯電話にも相変わらず出ないまま。本の山の下に埋もれてしまって、取り出せないのではないかというのが、その役員さんの披露した珍説。

普通に呼び出し音が鳴る以上、料金の滞納はないはずで、差し迫った事態ではないかもしれませんが、一度地区の民生委員さんに相談してみるよう、提案いたしました。

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2011年08月19日

本だけじゃない

店を開ける前から降り始めた雨が、降ったり止んだりで一日。

特に朝方は強い降りになり、道路一面に花が咲いたようにしぶきがあがって、明古へ出かける足を止められました。

少し小止みになってから出かけたので、着いたのはもうお昼。7階へ上がり、幹事一同と昼食。市場に下りてしばし入札。

先日買い入れた本を今日、出品しています。札の入り具合などを伺うと、どうも低調。終ってから成果を確かめると、案の定、売上だけでは儲けが出ません。

思いもかけず高く売れて、お客様を欺くような結果となるよりは良いかと、自分を慰めました。

RIMG3958今朝、まだ降り始める前、大型のダンボール5箱が店に届きました。その中身はドイツ語の歴史が中心。

お馴染み様でもあり、わざわざお送りくださったお礼もこめて、市場の相場より高めの値段をご提示。もちろん余計な言い訳などを加えずに。

返ってきたお言葉は「あまりに安いのに驚きました」。それでも、ご了承いただけたました。

本が売れなくなったと嘆くことは簡単です。しかし正確には、売れる本が限られてきたというべきではないでしょうか。その中で的確に売れるものを見分けていく眼があれば、自信を持った評価が出来るはずです。

でもこんなことは、商売であれば、何にでも共通すること。厳しいのは本の世界だけではありません。

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2011年08月18日

失われた機会

小尾俊人さんの訃を、今朝の新聞で知りました。ご高齢とはいえ世の無常を感じざるを得ません。

伝説的な編集者、出版人として、いまさら店主が取り上げるまでもない方ですが、小さな後悔とともに、書き留めておきたいことがあります。

古書会館で行われる即売展のご常連でした。ごく最近まで、ステッキを持って会場へ向かう姿をお見かけしました。

ある時、そのステッキにしがみつくようにして、信号待ちの歩道にしゃがみこんでおられる姿を眼にし、思わず声をお掛けしたところ撥ね付けるようにして「大丈夫です」と返ってきたことがあります。

RIMG3960それから少し後、やはり会館近くの道ですれ違ったとき、あるお願いをいたしました。その頃作成に掛かっていた「東京洋書会100年史」という内輪の記念誌の補強資料として、昔書かれたもののコピーを頂けないかというお願いです。

小尾さんが書かれた、本郷の原書房さんへのオマージュを以前に読んだ記憶がありましたが、その出典が辿れなかったので、直接ご本人に頼んでみようと思っていたのでした。

路上での不躾な申し出にも快くご了解いただき、程なく、コピーが送られてきました。すぐにお礼状は出しましたが、結局、その資料を生かすことは出来ず、その後のご報告も、ついに出さずじまいになってしまいました。

そんなお願いが出来たのも、小尾さんの、古本屋に注ぐ眼差しの優しさに甘えたからに他なりません。それだけに、礼を尽くすことが出来なかったのが、ずっと心に掛かっておりました。

お返しをする機会は、永遠になくなりました。

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2011年08月17日

眠れぬ夜もあった

人に自慢できるようなことはほとんどないのですが、一つだけあるとすれば、それは寝つきの良さです。

この夏も、クーラーはおろか、つい10日ほど前までは、扇風機さえかけずに眠りに入っておりました。そして一旦眠れば、大概はそのまま朝まで眼を覚ましません。

さすがに年のせいか、目覚めの時間は大分早くなりましたが。

自分では、一日の疲れが溜まって、ほとんど倒れこむようにして寝入るのだろうと思っておりますが、格別体を動かすでもなく、日がな座って店番をしていたような日でもパタリと眠れますので、そういう体質なのでしょう。

といっても、そこは生身の人間ですから、年に何度か、イヤもっと稀かもしれませんが、輾転反側寝つけないこともあります。昨夜から今朝に掛けてがそうでした。

その理由は暑さもさることながら、蚊の襲来です。あの「ぶんぶというて」というやつ。耐え切れず起き出して、蚊取り線香に火をつけ、キンカンを塗りたくって、再び眠り、おかげでいつもより寝過ごしてしまいました。

RIMG3961そんな散文的な話ではなく、色々と思い悩んで寝られないことはないのかといいますと、まず商売のことは、ほんとに思い悩むと寝られないどころではなくなりますから、考えないことにしております。

それでは、遥か昔の人恋うる頃なら、心乱れて寝もやらずということがあったかどうか。あったと言ったところで、とても家人らには信じてもらえそうもない、今の有様です。

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2011年08月16日

暑い日の宅買い

RIMG3892「古い本が沢山あるので」というお電話に、日時を打ち合わせて今日の午後、伺いました。まずは下見というつもりで。

そのお電話で、リストされたらしい本の名を、いくつか挙げて下さったのですが、おかげで傾向はつかめました。要するに研究者でも、収集家でもない、(おそらく)裕福な実業人のご蔵書。

ご住所を伺うと案の定、高級住宅地です。どれくらい引き取る本の量があるかを確かめるため、暑い中を出かけました。念のため運送屋さんにも予め連絡。いざとなれば明日にでも運んでもらおうという算段です。

その一方で、もしかしたら案外量が少ないのではないかという予感もありました。そこで念のため、車の荷台を空にしてから向かいました。

着くと玄関に招じ入れられました。その畳敷き6畳ほどの間に、幾山か本が積み上げてあります。

「この家は取り壊しますので、ここに出した本はとにかく全部お引取りいただきたいのです」と告げられ、改めて見回しました。

まず運送屋さんの手配は必要なさそうです。といって、すべてを車に乗せるには決意が必要です。第一にこの暑さ、第二に玄関から表までの距離と石段。

しかし折角お伺いしたことですから、覚悟を決めて、評価額を申し上げました。柄の大きい、定価も高い本が多くあり、もう少し良い評価を期待されてもいたようですが、ご説明の上、納得していただきました。

さて大汗を掻いて車に積み込んだところ、ちょうど満載。本屋としては「沢山」とは言い難い量ですが、体の方は「充分に沢山」と言っておりました。

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2011年08月15日

そういえばお風呂屋さんが

RIMG3570朝の道の空き具合に、曜日の感覚がおかしくなりました。今日は月曜日、れっきとしたウィークデイ。しかし数えるほどしかない駒場界隈の商店も、ほとんどがシャッターを下ろしてお休みです。

こんな日がヒマなのは当たり前。そしてヒマな時ほど仕事がはかどらず、つい手元の本などを開いて読んでしまいます。まさに絵に描いたような古本屋の親父。

読んだのは『自伝から始まる70章』(詩の森文庫、思潮社、2005年)。田村隆一が「大切なことはすべて酒場から学んだ」というタイトルで、ビジネス誌に連載したエッセイをまとめたもの。

一章が原稿用紙3枚程度の短さ。思い出の人、酒、旅について、力みのない自在な文章で綴られています。銭湯も幾度か出てくる話題ですが、中に神田ゆかりの二軒が登場、興味を惹かれました。

一軒は「すみれ湯」といって昭和32年頃、スズラン通り、東京堂の向かいにあったと言います。

その銭湯について、店主はまったく知りませんが、もう一軒出てくる小川町の「稲川楼」、こちらには二、三度、行ったことがあります。店主が市場の経営員をしていた、20年以上前のことになるでしょうか。

詩人は、この珍しい名にまつわるエピソードを軽妙に語っていますが、当方の記憶は、そういえばそんな名だったかもしれない、という程度。

当時すでに市場の汗を流しに風呂屋へ行くなど、ほとんど稀有なことになっていましたから、今でも同業との昔話になると、話題になることがあります。

しかしいつの間になくなったのかについては、誰もなかなか思い出せないのでした。

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2011年08月14日

ひたすらアタリを待つ商売

RIMG3895お隣がセブンイレブンで、当たり前のように店を開けていますから、あまり特別なことには見えませんが、この夏休みでお盆で日曜日、どんなお客様が来るというのでしょう。

いえ、小店のことではありません。セブンとは反対側のお隣、分譲中の幟を立てたマンションで、ひたすら訪れる人を待つ販売員のことです。

数ヶ月前に二戸を売り出して、暫く販売活動が続き、一旦見かけなくなったので売れたのかと思いきや、最近になって、またセールスの動きが目立つようになりました。

土曜、日曜になると若い女性が駅前で声を出してチラシを配ったりもしていましたが、このところは連日、中年男性や若い男性が路上で、張り番のようにして立っています。

確かに売れればン千万円の物件ですから、エイハブ船長がクジラを追うようなものかもしれません。いやむしろ、毎日船を出しては戻ってくるサンチアゴの趣きを感じます。店主より若い方を、老人呼ばわりは気の毒ですが。

同じく物を売るといっても、一冊百円からある古本屋と、どんなに安くても数百万円からするマンションとでは、まったく違った心性が必要とされるのでしょうね。

毎日レジの数字を気にしているようでは、やっていけないことは確かです。

しかし気になるのは、こうして毎日立ちん坊をしている販売員さん達の給料は、どの程度、販売価格に組み込まれているものかということ。実に余計なことではありますが。


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2011年08月13日

盆の入り

炎天下、という言葉がまさに相応しいような、お昼前の日差しの中を、五反田駅から南部古書会館へ向かいました。

駅前の通りから一つ角を曲がると、ほとんど人気がありません。暫くしてふと、二人の同業が別々に、少し先を歩いている姿が頭をよぎりました。そのどちらも、この一、二年の間に世を去った人です。

一人は麦藁帽子と首に巻いたタオル。もう一人はアロハシャツに半ズボン。そのいでたちまで、くっきりと浮かびます。幾度となくこの道で出会った二人です。お一人は大先輩、もう一人は同輩。

他にも大勢の本屋さんとすれ違う道なのに、なぜこの二人かと訝しく思ったのですが、今日からお盆。気配となって訪れたのかもしれません。

ざっと入札会場を見て周り、数点に札を入れただけで、早々に会館を後にしました。

帰路、今度は三人の業者とすれ違いましたが、もちろんこちらは皆さん現し身。中のお一人は、久しぶりにお目にかかる先輩で、どちらからともなく握手。まるで、お互いの実在を確かめ合うようでした。

RIMG3894お盆といえば、大文字の送り火騒動は、二転三転、何やら恥の上塗りをする結末となったようです。

しかしものは考えよう。それほどに人々が放射線を恐れるなら、脱原発は議論の余地もなく進むはず。

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2011年08月12日

遅まきながら

今頃になって、と自分でも思います。ホームページのカタログに、写真を増やそうと、一念発起いたしました。

何度もやろうとして、そのたびに面倒になって、という繰り返しで折角、画像を入れられる仕組みがあるのに、今日までほとんど文字だけのカタログでした。

いざ書影を入れようと思うと、ざっと次のようなことが必要になります。まず写真を撮る。次にコンピュータに取り込む。画像のサイズや種類を整える。ファイル名をつける。書籍データとリンクさせる。

どれ一つとして難しいことではありませんが、店主のような初心者にはいちいち面倒なのです。

たとえば写真を撮るとなると、まず撮影場所をしつらえなければなりません。そこらに置いて、さっと撮って、後でトリミングすれば良いようなものですが、光の加減などで結構失敗をします。

画像ファイルの処理についても、小店のホームページの場合.gifに変換しなければなりません。ファイル名しかり、リンクしかり。一括処理の方法を早くマスターしなくては。

RIMG3893本日入れたものはカタログトップページ、新着の「もっと…」を押していただくと、ご覧になれます。

店の売上げを回復させるために、何でもやってみようということですが、実はFace Bookも始めてみました。といってもこれは、自店の宣伝が目的ではありません。

毎年10月に開催する「洋書まつり」という洋古書即売展の宣伝ツールとして有効ではないかと考え、まずは手始めにその仕組みを知ろうと手を染めたのです。

まだ初めて三日ほど。見知らぬ人ばかりのパーティーに迷い込んだような、落ち着かない気分でおります。そのご報告は、また改めて。

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