2011年09月

2011年09月30日

虫の良い願い

明日から10月。古書月間です。

10月4日を「古書の日」と決めたときに、10月を「古書月間」とすることも決めました。まあ勝手に決めたわけですが。

それでも「古書の日」よりは、よほど理解していただきやすいでしょう。読書の秋を当て込んで、各地で古書展や関連催事が開かれますから。

「日本の古本屋」の即売展情報や「東京の古本屋」をごらんになれば、常にもまして沢山の即売展が目白押しなのが、お分かりいただけると思います。

とりわけ、年一回の大型催事が集まっているのが特徴的。月末に控えている「神田古本まつり」は今更言うまでもありませんが、「早稲田青空古本まつり」が1日から、大阪では「四天王寺秋の大古本祭り」と「天神さんの古本祭り」が6日、7日と相次いで。

大型であると同時に、野外で開かれることも共通しています。それだけにお天気は心配。主催者は、神にも仏にも祈りたい心境の筈。だからというわけではないでしょうが、上記4催事のうち、神田以外はいずれも社寺の境内が会場です。

今年はどこの会場が、もっともご利益を受けるでしょうか。

さて年に一回といえば、小店主も参加する「洋書まつり」も10月。こちらは古書会館の地階が会場ですから、雨の心配はありません。しかしやはり、降られると出足に大きく響きます。
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会期は21日と22日、「神田古本祭り」の一週間前です。こうなると不公平の無いように、10月の間はずっと晴れていてもらうことを、本屋としては祈りたくなってきます。

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2011年09月29日

デジタル店員さん

送料が馬鹿にならない、とお考えのお客様は多いでしょう。とりわけ、さほど高くない書籍を購入される場合などに。

例えば千円の本に340円の送料、と言うことは珍しくありません。

そこで、ご注文のメールに「出来るだけ送料の安い方法で」、などと指定される方がいらっしゃいます。クロネコメール便あたりを想定されているのでしょう。直截にそう名指される場合もあります。

RIMG0270もちろん、ご意向に沿うようにしていますが、メール便は厚さ2cmまでという制限があります。昨日のご注文は、分厚い展覧会カタログ。普通に梱包すると、制限を越えてしまいます。

といって、ゆうメール(冊子小包)で送ると、重量が1kgを超えるため450円かかります。メール便なら240円(B4サイズ)。

幸い、厚紙封筒がありましたので、それで送ることにしました。封筒自体の厚みは1mmそこそこ、何とか2cm以内で納まったはずです。

ところが店番のミセスCに、隣のセブンイレブンに出しに言ってもらうと、受け付けてもらえなかったと、持ち帰ってきました。

そんな馬鹿なと、改めて店主が出向くと、女性の店員さんが専用のスケールを当てて、この通り、この隙間を通りませんと仰る。

ご存知でしょうか、1cm幅と、2cm幅が開けられているプラスチック製のスケール。ちょっと貸してみてくださいと、それを受け取って、2cmの隙間にぐいと封筒を押し込みました。

さしたる抵抗もなく奥まで入ります。無理に押し込んだのではないかと言う疑いを制して、受け付けてもらいました。アナログの勝利ですね。

午前中、一新会大市へ顔を出してきましたが、その話は改めて。

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2011年09月28日

独自の信念

RIMG0268ご近所に住む本好きの女性客が、午後ご来店になり、しばらく話していかれました。その昔、神田の某店での経験談。

ある棚で一冊の詩集を見つけた。少し離れたところに、もう一冊、同じ詩集を見つけた。どう見ても二つは同じ詩集、版にも違いはなさそう。

しかし値段は違っていて、それも状態の良い方に安い値がついている。不思議に思って、ご店主に尋ねたそうです、これは逆ではないかと。

ご店主答えていわく、当店では仕入れ値を元に、ある程度の利を乗せて売値をつけます。ですから、安い本を見つけた方が「ラッキー」。古本を探す楽しみは、そこにあるのじゃないですか。

それじゃ、高い本をつかまされるほうは「アンラッキー」で済まされるのかと、割り切れない方もおられましょうが、確かに古本に運不運はつき物。何が公平で、公正か、悩みだしたらキリがありません。こんな割り切りも一法ではあります。

もちろんそれぞれの古本屋には、それぞれの考え方があり、きれいな方を高く売るのが当然と考え、価格を調整する店もあるでしょう。どちらが正しいと決めることも出来ません。

ただしこの答え、お客あしらいに、適当に答えた可能性も考えられます。商売人のセールストークの一つとも。

しかし今回話題となったこのお店に限っては、日頃の評判から、これが確固たる信念に基づくものであったろうと、容易に信じられます。

そこまで言うと、もうどこの店の話か、分かる方もおられるかも。


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2011年09月27日

きれいでも買えない

ざっと20年以上前の教科書、15、6冊もあったでしょうか。驚いたのはどれもとてもきれいなこと、まるで新品同様。

40代の男性がお持込になりました。ご自身で使われた(というより使われなかった)もののようです。

残念ながら、評価をつけられません。殆どがいわゆる一般教養の教科書、参考書、その当時は「指定」とされていて、履修生は必ず購入するべき本でした。古本としてもドル箱商品。

たとえば『国際関係論』、あるいは『西洋哲学史』。その初版は更に20年ほど前に出て、何版も重ね、改版も出て、このころが使われた最後の時期ではなかったでしょうか。

しかし今では、いかにきれいな本でも、棚に差しておいて誰かが買っていくとは思えません。一応買い取り価格は申し上げましたが、ほとんど捨て値、ご売却いただけませんでした。

説明の主旨がうまく伝わらなかったようで「神田の専門店に持っていけば、買ってもらえるでしょうか」とお尋ねになります。しかしこれらは学術書というより学習書、まず期待できません。

むしろそれなら大型チェーン店にお持ちになってはどうかと、お勧めしました。そのきれいさで、もしかしたら小店より高い評価をされるかもしれませんから。

「すぐに売ればよかった」と述懐されていましたが、確かにあれくらいの美本が当時持ち込まれたら、高価お買いRIMG0265入れしていたはずです。

普段は逆のケース――売れる本なのに、状態が良くない――で頭を悩ますことの方が多いのですけれど。

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2011年09月26日

恐るべき女子大生

RIMG0271若い女性が二人、洋書の均一を取っ替え引っ替えしながら、話をしています。

「小説とか、物語ならどんな短くてもいいの。とにかく六冊、今度の金曜日までに読んで感想文をレポート一枚に書くの」
「英語で?」「そう英語で」

先ほどから、薄いパンフレット類を、しきりと選んでいるのは、その「短い」お話を探してのようです。

やがて「絵本でもいいの?」「いい筈。何だって六冊読めばいいんだから」

見かねて助け舟を出しました。「短い話なら、薄い本を探すんじゃなくて、短編集を探したら?」そう言って、ペーパーバックを二冊ほど見繕って手渡したのです。

本当はNorton社あたりの文学テキスト集のようなものが良かったのでしょうが、あいにく今はありません。

その後もしばらく探していましたが、やがて律儀に六冊の本を持ってきて帳場に広げました。

小型の絵本が三冊、パンフレットが二冊、店主の奨めた二冊のうちヘミングウェイの短編集一冊。

ただし絵本の一冊はオランダ語です。そう伝えると、それは取り止め。薄い二冊はソロー研究の講演録。これも取り止め。

残ったのは絵本二冊と、店主のオススメした一冊。それで間に合わせることに決めたようです。都合三冊お買上いただきました。

聞けば大学(!)の宿題で、「先生が、古本屋さんに行けば何か見つかると言ったから」来たのだとか。

もしかして、夏休みの宿題だったのでしょうか。

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2011年09月25日

Serendipity再び

「これだけ、まだ読んでなかった」50代の男性が嬉しそうに表から帳場までお持ちになったのは『翔ぶが如く』。文春文庫の全10冊セット、状態もまずまずで、1000円。

昨日、店番のミセスBがOPPの袋に詰めていたものです。値付けも彼女に任せてありました。なかなか思い切った値段。すぐに売れるだろうとは思いましたが、昨日の今日とは。

その男性、他にも店内の本を二冊お買上いただき、「ちょっと尋ねますが」と切り出されました。

「大昔に、と言うのはもちろん大袈裟ですが、芥川賞を取った、李良枝という作家の、全集が出ていますが、ご存知ですか」

ご存知も何も、今も一冊在庫しています。そのようにお答えすると、ひどく驚かれて、是非見せて欲しいと仰います。店の裏から出してきて、お目にかけました。

『李良枝全集』(講談社、1993)定価は5800円ですが、しばらく前から品切れで、小店の売価は8000円。自店ホームページには載せていましたが、『日本の古本屋』には出していませんでした。おそらく小店より安く出品していた店があったからでしょう。

今日改めて調べてみると、すでに売れてしまったらしく一点も出ていません。念のため、某サイトをチェックすると、4点出ていて最安値が9750円。

「本名は田中淑枝というんです。実は彼女とは同級生で、机を並べていたこともあります。とても手に入れたい本でした」

なるほど「大昔」というのは、ご自身の思い出が言わせた言葉だと納得しました。
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それにしても、巡り会わせというのは不思議なものです。ひと声お掛けいただかなければ、小店の本もまだしばらくは棚の肥やしになっていたかもしれません。

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2011年09月24日

台風余聞

RIMG0237台風15号が通過した夜、淡島通りを塞いだものが分かりました。筑駒の校庭に生えていた大きな木だったそうです。

情報提供者は、時々ご来店くださる筑駒の先生。何の木であったかまで説明がなかったのは、英語の先生だからでしょうか。

木が倒れたのは同日、午後6時頃。撤去して道路が開通したのは午後10時頃だったらしい。先生はたまたま残業で、午後11時近くまで仕事をしておられ、帰る頃は騒ぎが収まった後。詳しい事情を知ったのは、翌日になってからとのことでした。

翌朝の新聞に、渋谷でタクシーが木の下敷きになっている写真が載っていましたが、こちらも同様に、押しつぶされたタクシーがあったようです。道玄坂が採用されたのは、土地の知名度の差でしょうか。

学校としては、ニュースにならずホッとしているかもしれません。天災とはいえ、自校の庭木が他者に被害を及ぼしたというのは、聞こえのよいものである筈がないからです。

先生も気になるようで、「天災の場合、保険がおりないらしい」と、タクシーの損害を案じておられました。

ところで我が家にも台風の被害がありました。ガレージの電動シャッターのアンテナが飛んでしまったのです。古くなって接続部分が劣化していたのが原因。

自分で簡単に修理できそうもなく、といって下手に業者を頼むと、全部取替えを奨められそう。しばらくは我慢してみます。

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2011年09月23日

休日開催

秋分の日。祝日は原則として、本部交換会は休会。しかし今日は明治古典会が開催されました。

その理由は、来週金曜日の9月30日が一新会の大市週間に当たり、休会となるためです。それでも、普通なら二週連続お休みとしてしまうところですが、月末恒例の特選市を、16日まで前倒しすることも難しく、本日を9月の特選市とした次第です。

RIMG0241懸念されたとおり、荷の集まりはもう一つ。点数で見る限り3〜4割は少なかったようです。それでもお客様(つまり入札の同業者)の数は、思ったほど少なくありません。

珍しい本には多くの札が入り、結局いつもの市会と同じような活況を呈しておりました。

市場の中にいるとそんな具合で、今日が休日だと言うことを忘れてしまいそうでしたが、一歩外へ出ると、明らかに普段とは様子が違います。

食事しようにも、いつもの店はお休み。帰りの電車の中も、すこぶる閑散としていました。

明後日の日曜日まで三連休という方も多いことでしょう。明ければ9月も最終週。一年の4分の3が過ぎるわけです。

仲間との夕食でも、台風から震災まで遡って、どうしても沈みがちな話題で終始してしまいました。

来週の一新会大市には、和本の一口など、大きな一口物が何口か出ると聞いています。ここらで少しは、景気の良い話が聞けることを期待したいものです。

konoinfo at 21:21|PermalinkComments(0)TrackBack(0)

2011年09月22日

予測の困難

台風一過。ただし午前中まで。午後からは曇って、やがて雨。

昨夜、車で帰宅するとき、淡島通りの筑駒前あたりで通行止となり、迂回路の指示もないまま脇道へ誘導され、狭い路地に車の列が続き、渋滞して時間を取られました。

しかし店主にとっては勝手知ったる地域ですから、裏道を抜けていくらか早めに脱出完了。通行止区間の先へ出ると、あとはまた通いなれた道。

両側の歩道には、何時になく歩行者が目立ちました。バスを降りて歩いている帰宅者たちです。

淡島通りは、山手通りから環七までの短い通りですが、渋谷からその環七手前で折り返す所まで、頻繁にバスが出ています。そのバスが、通行止めのところを先頭に、10台近く並んで止まっていました。

既に台風も過ぎ去り、風は残っているものの、雨が上がっていたのが、歩く方達にはせめてものことでした。

今朝、来がけにそのあたりを注意してみると、筑駒の塀に大きな穴が開いています。何があったのかは定かではありませんが、これが通行止と関係していることは間違いなさそう。

さて、昨日中止となった事業部会が今日に変更され、夕方から古書会館へ。雨はザッと降ったあと一旦上がったので、天気予報の「通り雨」をつい信じたのが間違いでした。

神保町へ着いて駅から出てみると、また降りだしています。傘を持たずに出たおかげで、会館に着くまでにしっかRIMG0239り濡れてしまいました。

結局、夜遅くになっても、シトシト降り続いています。お天気の予測すらこの程度なのです。

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2011年09月21日

嵐に仏

RIMG0240朝のうちは、まだ穏やかでした。時折り強い雨は降るものの。

台風15号(ロウキーと言うらしい)の来襲は夕方以降という予報でしたから、まず店を開けて、一旦は棚も外へ並べました。

ルート便の集荷を頼み、急いで出品の準備。明後日の明治古典会に出すものです。幸い、お昼前に来てくれたので、無事にトラックに積み込めました。

問題は、夕方に予定されていた事業部会です。午後6時から、つまり予報ではもっとも荒れる時間帯。

会議の主催者である事業部長に電話をして、中止したほうが良いのではないかと言うと、彼もそう考えていたようで、早速、事務局から中止の連絡を入れてもらうことにしました。

次第に風が強まり、雨が吹き付けるようになったので、表の棚を店内にしまいます。これで本日は開店休業と定まりました。

朝、一人二人、表の本をお買上いただきましたので、売上ゼロではありませんが、極めてゼロに近い状態。気分を切り替えて、入力作業にいそしもうと思っている矢先、お一人ご来店。

先日お出でになって、買い残した本があったとのこと。しまいこんだ均一棚を喜んで引っ張り出し、通路を開けてご覧いただきますと、数冊抜いてお勘定。締めて6000円なり。

一日の売上としては、もちろんまったく不足ですが、ついにゼロデーかとさえ覚悟していた当方としては、有り難い限り。最敬礼してお見送りいたしました。

そのあとは、ひたすら嵐の行過ぎるのを待つばかり。入力は、多少はかどりましたけれど。

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12月31日から1月3日まで
休業いたします
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