2011年12月

2011年12月31日

年末所感

RIMG0865うたかたのごとく一年が過ぎようとしています。

ただ今年は、年の初めと今とでは明らかに大きな異なりがあり、あの日以前のことは、遥か昔の出来事のようにさえ思えます。

小店にとっても、それまでは存在した天井までの棚が一つ消え、丈の低い棚に入れ替わりましたし、お子さんが真っ先に目を留めた、あの地球儀もどきも姿を消しました。

見えていたものが見えなくなり、見えなかったものが見えてくる。まるで何かの比喩のようです。

見えてきたものは、政治の世界に於いては行政の無策であり、経済の世界では金(カネ)本位制のあからさまな露呈であり、学問、科学の世界においてはその無力さでした。

一方で見えなくなったのは、それまで続いてきた営業の下降が、辛うじて下げ止まったかに見えていた、景気の「底」です。

この春以降、底割れしたような営業の落ち込みは、ひとり小店のみのことではありません。神戸の目抜き商店街の古書店店主から、「この夏、真剣に閉店を考えた」と打ち明けられた時には、強い衝撃をうけました。

小店も、移転以来8年を経て、当初考えていた一区切りの時期が近づいてきました。この先を、どういう形で続けていくか。正月の三日間、ゆっくり考える機会としたいと思います。

なお店にこだわりたい気持ちはありますが、はたして必要とされているのか。そうだとして、その必要に応じ続けられるのか。

重苦しい話題になりましたが、この一年も、多くの方々に支えていただいたことに変りはありません。改めて感謝申し上げ、来る年のご多幸を、心よりお祈り申し上げます。

どうぞ皆様、良いお年を


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2011年12月30日

年賀状書き

RIMG0857朝まず店を開け、郵便局へ行ったり、銀行のATMへ走ったりして月末の支払い関係を済ませたあと、店に戻ってからは、ひたすら年賀状書き。

はかどりました。何しろお客様が殆どお出でにならない。その上、一昨日あたりから『日本の古本屋』の注文も、パッタリ途絶えています。

山とある片付け仕事に目をつぶれば、あとは帳場に腰をすえて、一枚、また一枚と宛名を書いていくばかりです。

大した枚数ではありません。殆どが同業者宛て。それに個人的な知人友人が加わり、ほんの僅かにお客様宛てが。合わせて、せいぜい200枚程度。

商売のやり方を根本的に間違ってきたのではないかと思うのは、こんな時です。同業からいただく年賀状の多くは、明らかにお客様宛てのもの。

特に大店ほどそうで、一種のDMとして、相当な枚数を送っているようです。

その序でに送られたような印刷だけの賀状に義理立てして、律儀に毎年返すこともないような気もしますが、いざとなるとなかなか区分も難しい。

もっと妙なのは、付き合いが比較的深く、いつも顔を合わせるような同業ほど欠かしにくいということ。

今頃から書いて出せば、着くのは何日かしてから。正月の6日からは、もう市場が始まります。下手をすると、挨拶を交わした後で賀状を見るようなことにもなりかねません。

まあそれでも、年に一度のこと。日頃のあれこれを振り返りながら、何かしらコメントを添えるように頭をひねって見るのです。

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2011年12月29日

余地が残されている

やり残していたことをひとつかたづけました。散髪です。

店を開けるのを家人に頼み、朝一番でいつもの理髪店に行きました。年末でライバルがいそうでしたから、15分ほど早めに行ってみると、幸い他に待っている人もいず、今来たところというご主人が、気づいてすぐに中へ入れてくれました。

最近では昔のように忙しいことはなく、それでもこの数日は途切れずにお客様が入ってくれる。鋏を使いながら、そんな話をしてくれている最中、その言葉通り、お一人、入ってこられました。

むしろ理想的な形ではないですか、と言うと、年中こういうわけには行きませんから、という返事。

確かに、掻き入れ時という言葉には少し遠いですが、好調なのは喜ばしい。たとえ他人事でも。

翻って小店。昨日、まとめ買いが一件ありました。年に一、二度お出でいただけるT美大の先生。おかげで昨日は、この12月一番の売上。以前なら普段でも月に何度か、これくらいの売上はありました。しかし、それだけに有り難さはひとしおです。

理髪店での話。ご主人の茨城の親戚が農家で、風評被害を受けて苦しんでいるとか。店主も自分の福島の先輩は、ついに農を捨てざるを得ないようだと話しました。話しながら、古本屋にはまだ努力の余地がある筈だと考えました。
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今日は、一段と町に人気がありません。一週間ほど前から表に出していた吉川英治の『宮本武蔵』文庫版全8冊が売れました。もとよりお正月狙い。お客様も800円でゆっくり楽しめると、お喜びでした。

年の瀬の一日が静かに暮れて行きます。

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2011年12月28日

3年分のお詫び

RIMG0856朝からお父さんが、小さなお子さん連れで絵本を買っていかれました。世間では、すっかり年末休みに入っているようです。

今日が仕事納めというところも多いのでしょう。ともかく、この界隈も、日に日に人の気配が薄くなっています。

「30年探していた本を見つけた」と、ファックスで注文が入りました。それ以前にお電話で、お問い合わせをいただいた様子。

小店では書籍を先にお送りしますので、ご注文に際しては、メールかファックス(もちろんハガキでも)で、発注書をいただくようにしています。

そのファックスの文面に、感激のお言葉が書かれてありました。お探しだった本は、東亜学芸協会編『ヘーゲル哲学総論』(潮書房、昭和6年刊)。

実は、この本は3年前に一度ネットに上げ、じきにご注文をいただいたものの見つからず、正直に事情を伝えてお詫びしたといういわくのある本です。

それが、つい最近ひょっこり出てきたのですが、すでに以前にご注文いただいた方のお名前は失念し、書名で古いメールを検索しても出てきません。やむなく再出品したわけです。

ファックスを元に伝票を作っていると、顧客名簿に、この方のお名前が載っていることが分かりました。探求書とともに。まさに今回ご注文いただいた方です。

前回もきっとお電話でご注文をいただいていて、こちらで名簿データに登録してあったのでしょう。ほっとすると同時に、改めて申し訳なく思いました。

小店の管理さえ良ければ、もう3年は早く、お届けできたはずなのですから。

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2011年12月27日

年越しの準備

さて、古書会館の市場は今日が本年最終市。4階で洋書会、3階で古典会が開催されました。

どちらも先週の特選市の後を受けてのことで、静かな落ち着いた市になりました。

店主は午前中に会館へ出かけましたが、これは明治古典会の幹事に集合が掛かったため。半期の残務を処理しながら、序でに昼食でも一緒にしようということで。

食事したのは『いるさ』。先週、洋書会の打ち上げに行ったばかりですが、別に不服はありません。11時半頃に予約を入れて、10人の席を取ることができました。

ただしお昼の予約は、1500円ランチにメニューが限定されるそうです。出前やデリバリー弁当などよりは、遥かに満足が得られますが、実はランチなら1000円から、もっとオススメのメニューがあります。少人数なら予約などせず行くほうが、お得。

ともあれ、食後に明古は散会。洋書会に戻り、入札して二点を落札。量は多くありません、ロッカーに入る程度。明日からは、まず店の片づけを優先しようと、セーブした結果です。

その後、6階に上がり、職員さんたちが半期末の事務処理や、会館の整理に大童の様子を見ながら、来年1月の支部長会に出すお弁当の手配などを済ませ、午後5時近く、後を託して会館を出ました。見かける人ごとに「良いお年を」を交わして。

RIMG0852ところで小店の年末年始は、次の通りです。

年内 12月31日(土)
      午後5時まで営業
年初 1月4日(水)より平常営業

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2011年12月26日

トーダイもと暗し

一直線に棚の前に進み、さっと一冊抜き出すと中を改め、そのまま帳場にお持ちになりました。最近棚に差したばかりの数学書。

「素早いですね」と、本を受け取りながら話しかけると「ビックリしました。新刊では手に入らないと分かって、ネットで検索してみたら、あんまり近くにあったので」

駒場の学生さんのようです。目に付くところに、お探しの本があってよかった。さんざん探したあとで、こちらに聞きに来られる方も多いのですから。

もしかしたら、見つけられずにそのまま帰られた方も、これまでにおいでになったかも知れません。

ご来店になる前に、まず在庫をお問い合わせいただくよう、ホームページなどではお知らせしているのですが、来てしまったら、とにかく聞いていただきたい。

ネットに掲載している書籍の多くは、店の裏か、倉庫などに保管しています。店頭で見つけられるほうが、むしろ珍しいこと。

ともあれ今日は、学生さんにとっても、むろん小店にとっても幸いなことでした。

「この春から本郷に行きます。もっと前から、ここにこんな本屋さんがあることを知っていれば良かった」
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そんなことをおっしゃいますので、「これからだって、機会はあるでしょうから、どうぞまたお立ち寄りください」と申し上げ、カレンダーを差し上げたのでした。

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2011年12月25日

今年最後の日曜日

人っ子一人いない、と言いたくなるような朝でした。

店に着いてから、開店の準備を済ませた9時半頃までは、表を通る人影もなし。その後も、殆どゴーストタウン(この言葉で飛ばされた大臣がいましたっけ)。

RIMG0822寒さが厳しいとはいえ、晴れて穏やかな日差しが、余計に静けさを増幅させるようでした。

昼前、店にやってきた家人によると渋谷も人少な。井の頭線では、車両にただ一人だったとか。

欧米などでは、クリスマスの日は静かに家で過ごすものだと、子供の頃、訳知り顔の大人が話してくれたことを思い出しました。

もしかしたら、日本もすっかり欧米化されたのでしょうか。一日、家族と心静かな時を過ごしているのでしょうか。

午後になって、ようやく初めてのお客様。それからあともポツリポツリ。皆さん、当座読む本を求めておいでの風情。文庫を一冊二冊と、お買上げです。

日曜日を定休日にすると、この方たちにご不便をお掛けするわけです。それに、これくらい暇なら、開けておいて、いくらでも他の仕事が出来そうなものです。

7割方決まった腹の、残り3割を固めるのに、依然として迷っています。今日が、今年最後の日曜日だったというのに。

夕方、古いお馴染みが、義理堅く訪ねてくださいました。近頃では、年に一度、年末だけとなりましたが、いつものように小さなダンボール一箱ほどのまとめ買い。

その総額が、年々低下しているのは、彼のせいではありません。

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2011年12月24日

本を見ていない

RIMG0828同業が、ある道具屋さん(古美術商)の市であった話を聞かせてくれました。

つい最近、知り合いの業者が出品した石仏が、発句(最初の競り声)1万円から始まって、最後には1500万円になったとか。

もちろん、ザラにあることではありません。だからこそ、後々まで記憶されて、何かの折に話題になったりします。

古本屋にも似たような例はありますが、ここまでスケールが大きくはない。1000万円を超えるような本が、まるでその価値の分からない人の手に入るということは、殆どありえないと思います。

でも100万円ならあるかもしれない。10万円なら、一生に一度くらいはありそうです。そういうチャンスを見逃さないために、古本屋はせっせと市場に通って目を養います。

しかし、そこにジレンマがあります。目が利くようになると、良い本を安く買うわけには行きません。薄汚れた雑誌一冊、それが何十万円の価値があると知って、ただ同然で引き取れる本屋は、まずいない筈です。

そうは言っても長い目で見れば、やはり知らないことのトクより、知っていることの利益の方が大きい。

市場に行けば、店だけでは何十年掛かっても見知ることのない本に出合えます。さらにそれが取引される現場を見られます。

本を知ること。それが古本屋のAであり、Zです。市場へ行きながら本を見ている間がない、最近の自身への警鐘をこめてそう言いたい。

それが役に立つとは思えなくなるほど、ご来客の少ない一日でしたが。

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2011年12月23日

クリスマス特選―寒波

クリスマス寒波とか。しかも祝日。閑散とした神保町の朝を見ながら、古書会館へ向かいました。

昨日心配した割には、品物も集まってきて、会場は三階四階、それに二階の一部まで埋め、まずまず盛況です。

お昼の食事は普段より張り込んで、人形町今半の「折詰すき焼き弁当」。幹事ばかりでなく、お手伝いの人も一緒に、賑やかに頂きました。

それから午後しばらく、札改めのお手伝い。こんなに長く市会会場にいられるのは、久しぶりのこと。

大勢の同業が熱心に入札する様を眺めながら、自分がいかに本を知らないかを、改めて感じておりました。

午後3時頃からは、6階に上がって理事の仕事。来年四月のイベントに関する打ち合わせで、6時近くまでかかってしまいました。結局終盤の市場の様子は見られず終い。

それでも終ってからの打ち上げには参加しました。会場は『トラットリア パパミラノ神保町店』、岩波ビルの地下一階、神保町駅はすぐその下です。

場所の便利さと、30〜40名が比較的低予算で飲食できるということから、この何年か同じ場所。メニューも殆ど変らず。

RIMG0823しかし食事のボリュームはたっぷりで、若い人には向いているかもしれません。飲み放題コース2時間の終了を前に、一足お先に失礼させてもらい、店に戻ってきました。

戻ってみると、レジの中にも寒波の襲来があったようです。

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2011年12月22日

来年のこと

明日から三連休。それを過ぎるともう残り僅か。まだ片付けておくべきことが沢山あったようで、毎年今頃になると気が急きます。

市場の方は、明日が祝日開催の明古クリスマス特選市。今日は午後から、その準備に出かけました。

来週火曜日の洋書会が、本年最後の市。来年は6日の金曜日、つまり明治古典会が口開けとなります。曜日のめぐり合わせとはいえ、図らずも年納めと、初市とに関わるわけです。

店主自身の年末年始は、一向に変わり映えがしません。大晦日に名古屋へ帰り、元旦に墓参り。古い友人と新年会をやって、三が日過ぎたら戻るつもり。

しかし、一寸先は闇。それをしたたかに思い知らされたこの一年でした。無事に年が越せるかどうかは、神のみぞ知ることです。

ところで、目下真剣に悩んでいるのは、来年から定休日を設けるかどうかということ。あれこれ検討した結果、現在の時点では7割方、日曜日を定休とする方向に傾いています。

7割というのがミソ。かなりその気なのですが、まだ覆る可能性も少なくない。

なにより、余裕が出来たから休日を設けるわけではありません。休日のないことが余裕を奪っているのではないかと、疑い始めたのがきっかけです。

休まないことのメリットとデメリットを、もう一度秤にかけて、今年中に腹を決めたいと思います。

写真は「いるさ」〆のお蕎麦。七味が好評でした。
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