2012年02月

2012年02月19日

今読みたい

CA3K0063「クレジットは無理ですよね?」

ベビーカーを押し、もう一人小さな女の子をお連れのお母さんが、絵本を3冊お持ちになって、店主がレジを打ったところで、そう仰います。

お財布の中に現金がないことに、気がつかれたのでした。「残念ですが」とお返事すると、「取っておいていただけるでしょうか、なるべく早く出直します」。

そう仰ってから、ものの5分もしないうちに戻って来られて、「探したら小銭が700円ありましたので、これで買える分だけいただきます。子供が納得しないので」

見ると、手を引かれたお嬢さんの目が、いくらか潤んでいます。

さて、お持ちになった絵本は3冊、750円、400円、400円。「どれがいいの?」と尋ねると、迷いなく指差したのは750円の一冊。

「それだとお金が足りないの」とお母さん。店主も迷わず、50円をおまけいたしました。

残りの二冊は、「他の欲しい方に申し訳ないので、一旦戻しておいてください。また参ります」

夕方のその一時、本を処分しようという大学の先生から、ご相談を受けたり、明日引越しというご近所の方が、車でまとまった量の本を持ち込まれたり、妙に取り込みました。

朝からずっと、のんびりした日曜日だったのですが。

お持込の中には、もちろん良い本もありますが、多くを明日の資源回収に出すことになりそうです。俄かに仕事ができました。


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2012年02月18日

本屋のブログ

寒い朝。夜の間に降った雪が、あちこち塩を撒いたように残っていました。

店の蛍光灯一基は、切れたまま。業者さんから何の連絡も入りません。明日も日曜日なので、まず来て貰えないでしょう。

本が見えない、というほど暗くはないのですが、やはりなんだか不景気な感じがします。明る過ぎる必要はないにしても。

こんなブログでも続けていると読んでくださる方もいて、同業からハガキが一通。デジタル入札会の「布教」に苦労している様子を見て、励ましの便りです。

また今日は、先日ご紹介した Face to Face という写真集、「まだありますか」と、ご常連がお出でになりました。

ついどこかに置いてしまったので、しばらく探した末に見つけて、ご覧に入れ、お買上げいただきました。

入荷案内を主力にするブログは多いのですが、小店ではとてもそこまではできません。時々思い出したように、ご紹介するだけ。それだから、反応もよいのでしょう。

しかし本屋のオヤジから聞きたいのは、やはり本の話、もしくは本に関わる話。せいぜいが本屋の楽屋話と承知しております。

あまり無関係な話は、なるべく書かないようにと心がけておりますCA3K0071が、かの断腸亭でも、実際に読んでみると、退屈なところが大部分。

たまには面白いことも言う、という程度でご勘弁ください。

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2012年02月17日

日本のアートが好き

CA3K0061裏で仕事をしていると、店番のχ君が「お客様が、この本の値段をお聞きですが」といって、大きな本を抱えてきました。

棚の上に横積みされた本の、さらに一番上に横たわっていたビュッフェ画『キリストの受難』(求龍堂、昭45)で、確かに値段が付いていません。

どんな人がこれを降ろしたのだろうと、店に顔を出すと、多少たどたどしいところのある日本語を話す、外国の方でした。

値段を申し上げると、お買い上げくださるとのこと。さらに「能面の本はありませんか」とのお尋ねです。

店には出していなかったのですが、森田拾史郎『能のおもて』(芳賀書店、昭51)がありましたので、ご覧に入れると、とても気に入られて、これもお買い上げ。

そして「これ今日作ったところです」といって、携帯を開き、ちょっと下からあおるような角度で撮られた、「小面」の写真を見せてくださいました。

「作った」という意味を一瞬測りかねましたが、「ご自身で打たれたのですか」と聞くと、嬉しそうに「はい」と答えます。驚いて質問を重ねると、老能面師のもとで、三ヶ月かけて作った最初の作品だとか。

それ以前から創作浮世絵の彫りと刷りも、学んでいるそうで、小店に飾っている銅版画、木版画にも興味を示されました。

特に賢治は英訳もされたとかで、伊藤卓美さんの木版画「鹿踊りのはじまり」を一枚お買い上げ。見る人が見れば、その良さが分かるのですね。

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2012年02月16日

海外送料無料!

そのせいばかりではないと思うのですが、お客様が、時折思い出したようにしか入ってこられない。

何のせいかというと、蛍光灯が一基、点かなくなって、一番奥の通路がすっかり薄暗くなっているせい。

40w直管二本で一基、それが店内に計10基。この蛍光灯器具の中に入っている「安定器」が寿命らしく、つい半年ばかり前にも一基取り替えたところです。

前回頼んだ同じ業者さんに、すぐ連絡して、取替えを依頼しました。一年以上前に替えた分を含め、これが三基目。この先、次々に交換していくことになりそうです。

ご来客が少ないのは、お天気のせいも大きい。時折風花も舞う、厳しい寒さ。昨日少し暖かかったので、余計、身に応えます。

そんな具合ですから店はヒマ。先日お客様から尋ねられた本をネットで探してみると、ドイツ書ながら、アメリカに最安値のものが見つかりました。

それでもこれに送料を加えると、ご予算をオーバーするかもと、目を凝らして見たところ、何と「海外でも送料無料!」と謳っています。日本もその対象。

CA3K0057早速注文してみました。クレジットの決済金額は、確かに表示されていた書籍の価格と同じ。あとは入荷まで何日かかるか。実際に手にするまで、お客様にはお知らせしないほうが無難でしょう。

蛍光灯は、器具が手に入り次第、取り付けに来てくれることになっています。何日もかからないことを祈ります。

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2012年02月15日

意を通ずる

誤読の権利、あるいは誤読の自由、という言葉があったような気がする――。

昔ならそんな言い方ですましていられたのですが、今はまずネットで検索。すると色々出てきましたが、あまり確実な出典には辿り着けませんでした。

そこで改めて、あったような気がする――、ということで話を進めます。

最近、この誤読に関して、一番驚いたのは、寺山の「マッチ擦るつかのま海に霧ふかし身捨つるほどの祖国はありや」。店主らの世代には鮮烈な印象を残している歌です。

これを、何で読んだのか忘れてしまいましたが、防衛省の元高官が、「愛国心を持てるような国にしなければ」という文脈に、引用していたのでした。

つまり「身を捨てるに足るだけの国にしなくてはならない」、というわけです。

もし寺山が世にあってこれを読んだら、どんな反応を示したでしょう。いっそ、膝を打って喜んだかもしれません。

文学的表現というものは、つねにそうした誤読に晒される運命にあります。しかし文学ならざる、一遍の趣旨説明は、誤読されては困ったことになります。

そう意を砕いて書いた文章が、誤読以前、全く届かないことだってある。昨日の蒸し返しになりますが、いささか落胆は強いものがあります。

ところで昨日、「耳を震わせて」と書いたあとで、この表現が果たして受け入れられるだろうかと、気に掛かりました。

震わせるのは、「唇」だったり、「身」だったりが普通です。でも余りにも、それが印象的だったので、あえて「耳」と書いてしまったのでした。

CA3K0059午後会館へ。TKIから事業部会まで、会議の連続で、店に戻ったのは閉店後。家へ帰って食事を済ませると、10時を回っておりました。

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2012年02月14日

重鎮たちへの説明会

昨日、一昨日と、夜なにやら熱心に作っていた末娘が、今朝それを携えて学校へ。今日は2月14日でした。

店番のミセスAも、手作りのチョコレートケーキをご持参。こちらは普段から、色々とお作りで、よくご相伴に預かり、味の方は保障付き。安心していただけます。

娘の作るものが不安という訳ではありません。半分以上は材料のおかげでしょうが、毎年、及第点を付けられるものを作ります。この熱意が、他に活かせないかとは思いますが。

CA3K0056さて、火曜日。小雨降る中を古書会館に。洋書会は、会場7分の埋まり。質は良かったので、量に比して、出来高は上がったのではないでしょうか。店主は収穫ゼロ。

市会が終わる頃、東京古典会の幹事さんが、店主を呼びに来られました。同会の総会のあと、時間をいただいて、デジタル入札会の説明をすることになっていたのです。

7階の会議室には、30名を超える会員さんが、腕組みをして待ち構えておられます。歴史と実績のある会で、会員さんも老舗、大店揃い。デジタル入札をどこまでご理解いただけるか、一つの正念場でした。

2時間近くかけ、大枠で、趣旨はご了解いただけたと思います。最期は拍手でねぎらっていただきました。ただ、尊敬する業者のお一人から、耳を震わせてお怒りの言葉を頂戴したのには、悲しくなりました。

用意した資料を長々読み上げた、その一語でもお耳に届いていたのでしょうか。

実施へ向けて、まず一山。まだまだ多くの峰がありそうです。

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2012年02月13日

まだございます

突然、観光地の土産物屋さんにでもなったよう。店主と同世代のご婦人方が、4名でご来店です。民藝館のお帰りでしょうか。

そのうちのお二方は、先日一度、お見えになりました。

お一人がFolio叢書のJane Austen作品集に目を留められ、別の方が「お幾らですか」とお尋ねに。「7000円です」とお答えすると、その方に「7000円ですって」。

「えー!安ーい!」「安いわよね!」しばらくご覧になっていましたが、やがて「少し安くなりません?」「入荷して、出したばかりですから(これは本当です)」

結局、値段を尋ねられたご婦人が、他の本を何冊かお買い上げになり、Austenのご婦人は、決心がつかないようで、そのままお帰りになりました。

CA3K0031「こんにちは」では、すぐに気づかず「まだありますか、あれ?」と仰ったので思い出したのですが、先日はお2人、今日は4名様。賑やかさは倍以上です。

「ございます」「まだあるんですって」「どれどれ?」「あ、これよ」
「へー、きれいな本ね」「でしょ」代わるがわる、Austenを検分されました。

前回と同じ方が、お料理本など二冊お買上げ。「もう買ったの?」「まだいいのよ、今日は予定ないから。ゆっくりご覧になって」

今日のご新規様お一人が「ターシャ・チューダーの本、他にありません?」「今はそれだけです」と申し上げると、しばらくお探しになった上で、その一冊をお買上げ。

帰り際、「良かったです」とお言葉をいただきました。先に出ていたほかのメンバーに合流すると、なにやらご報告。「あらー」とひとしきり明るい話し声がして、やがて去っていかれました。

後に残ったのは、いつもの静けさと、FolioのAusten。

夜から雨になるという予報です。

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2012年02月12日

Face to Face (1996)

faceたとえばコンセントなどをぼんやり眺めていると、それが人の顔に見えてきたりする。そんな経験は、誰にでもあるのではないでしょうか。

そんな「あるある」を写真にした本。白黒写真で、シックな作り。カバーを除く128頁のうち、文字があるのはタイトルページと、末尾の4頁だけ。

そのうちの1頁は簡単なあとがき。次の見開き2頁に2人の著者の略歴。それによれば、一つ違いの兄弟らしい。グラフィックデザイナーとして似通った経歴の後、一人は教師に、一人は作家に。

スイスで出版されていますが、表記は英語。しかしこの本を楽しむのに言葉は無用です。

何に使うのか分からないような工具類はともかく、封を切った封筒、ワインオープナー、折ナイフ、かばん等々、見知ったものも次々現れ、呻らされることも。

触発されて、いざ自分で改めて探してみると、これが案外見つからないことにも気づかされます。

路上観察学会ではありませんが、常にその気になって目を光らせていないと、簡単には出会えないのでしょう。

そんなワケでか、この本の後に、Faces(2000)、Find a Face(2004)と、二匹目、三匹目の泥鰌が出版されています。この二作はカラー印刷(残念ながら小店には在庫しておりません)。

ご覧に入れたほうが早いのに、長々と説明しているのは、背を糊付けしたソフトカバー本だから。もう少し開きの良い本でしたら、中の写真もお見せするのですが。

決して出し惜しみしているわけではございません、ご了承を。静かな日曜日、本の紹介などしてみました。

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2012年02月11日

高く買ったら安く売る

土曜日で祝日。損した気分の方も多いことでしょう。

小店にとっては同じこと――でもないかもしれません。普通の土曜日より、人の出が少ないような気がします。つまりそれだけ、お客様も少ない。

たまに売れるのは、絵本、お料理本、文庫…。

今朝は南部の入札市。一点だけ入札しましたが、どうも勘違いで高く入れ過ぎたらしい。ほぼ間違いなく落札している筈。明日の朝、取りに行かなくては。せめて下札で落ちていてくれることを願うばかりです。

昨日の明古と今日の五反田と、何人かの同業と言葉を交わす中で、近頃の景気を尋ねました。

「表の本を見るだけで、中へ入って来ない」と嘆いていたのは、固い本が棚の多くを占めている祐天寺の本屋さん。「売れるのは文庫、新書ばかり。単行本が売れると、珍しくて記憶に残ります」と答えてくれたのは、板橋の若い本屋さん。

その言葉を裏付けるように、売れ筋文庫は市場でも高値。昨日の明古に出た講談社文芸文庫数百冊という口は、沢山の札が入り、かなり高額で落札されていました。

一方で、同じくまとまって出た古典文庫のほうは、かつての高値が嘘のよう。栄枯盛衰は本の世界にもあります。

CA3K0058そうした世の趨勢を見逃していると、今日の店主のように、うっかりと高いものを掴んでしまうことになるわけで す。

そんな場合の鉄則は、出来る限り安くして売ってしまうこと。明日、本当に落ちていたら、早速そうするつもり。それが何かは言わぬが花でしょう。

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2012年02月10日

古本屋の時間

CA3K0054明古。いつものように午前11時頃、市場に。風呂敷に包んで持っていった預かり品、二点を出品。

何やかや、所用を片付けているうちにお昼。7階の会議室へ上がると、珍しく近所のそば屋さんからの出前。天丼とカツ丼の二種類。

ボリューム満点、見るだけで満腹という感じ。カツ丼を選び、ご飯を半分ほど残しましたが、カツも残せばよかったと、夕刻になって思いました。

午後からは明古の札改めなどを手伝い、最終発声まで現場に。久々のことです。近代文学研究者の大量の一口物が話題。終って、業者の感想戦を耳にするのも、しばらくぶり。

今日は鑑定団で知られるF書房さんが、取り逃した一冊についてそれがいかに珍本であるか、たまたま近くにいた店主に説明してくれました。

市場は、多くのトリヴィアに溢れた場所です。そしてFさんのように、惜しげもなくそれを披露してくれる人もいる。もっとも、それが直接役立つことは稀で、だからこそトリヴィアでもあるのですが、良い刺激になることは確かです。

本屋らしい気分に浸れたのはそこまで。市場終了後は明古の総会。議題は次の七夕大市会について。そしてもう一つ、4月の全古書連入札会について。ここで理事として、会員に説明することになりました。

誤解が反感に育つ前に、丁寧に説明を繰り返していくしかありません。この先、あちこちで説明することになりそうです。

午後6時からは支部長会。ここでも定例報告を済ませた後、改めて説明を行いました。

終ってから、いつものメンバーの待つ「三幸園」へ。僅かの食事で満腹に。店に戻った今も、まだ胃の中では、カツ丼が優勢な気がします。

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