2012年03月

2012年03月21日

閉店後の出来事

昨日、春分の日は祝日営業で、閉店時間は午後6時。間際にまとめ買いのお客様がいらして、何とか売上が立ちました。

それから片づけを初め、ブログもアップして、帰るばかりとなった6時半頃、店の前をパトカーが一台、サイレンを鳴らして通り過ぎていきます。

嫌な予感はしましたが、ともかく車を出そうと表に出ると、またサイレンが聞こえ、今度は大きな消防車です。まだ続きが来そうで待機していると、来ました次々に。

三台目からは小店の隣、セブンイレブンの前で止まり、その後に並んでいるようです。つまり、道は前にも後にも、完全に塞がってしまったということになります。

火元は100mと離れていない郵政宿舎(今は呼び名が変わったはずですが)の一室。近くまで様子を見に行ったところ、ボヤのうちに消し止められたようで、もう煙も目に付かないほどでした。

近所の食堂のご主人が、いつの間に見てきたのか「すごい数の消防車だよ、11台は出てる」と教えてくれました。確かに大勢の消防隊員が行き交い、中には背にボンベを背負った人たちも数名。まるでタワーリング・インフェルノ。

しかしボヤですんだから、そんな冗談口も叩けるわけで、一つ間違えばこの密集地域、どんな大火災になってもおかしくありません。だからもちろん、どの消防士さんも真剣な表情でした。

RIMG1018足止めを食うこと40分、消防車が動き始めました。車を出す準備をし、流れが途切れた頃合いを見計らってスタートさせるとまだ後からも消防車。

狭い道を、前後を消防車に挟まれながら通り抜け、最初の辻で彼らと別れて家路に着きました。

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2012年03月20日

リンカーン伝

CA3K0110写真を見ただけでは何の本だかお分かりにならないでしょうが、J. G. Holland :
The life of Abraham Lincoln,
G. Bill, 1866.

死後に出たものとしては、最も早いと思われるリンカーン伝です。かなりポピュラーな本のようですが、日本語訳はなさそう。

webで調べてみると、初版も結構残っていて、だから古書価格も高くありません。というより、極めて安い。一番高い本でも2万円ほど、安いものは千円台から、いくらも見つかりました。

もちろん状態の良し悪しもあるのでしょう。非常に良い保存状態のものがあれば、高い値がつくかもしれません。

茶のクロス装が普通らしく、革に空押しで装飾を施したこの装丁は豪華装でしょうか。webで最高値をつけていた本が、同じ装丁のようでした。しかし、いかんせんこの状態の悪さ。

外見ばかりでなく、中にも水シミがあり、一部にヨゴレもあり、およそあらゆる欠点を備えているといえます。しっかりしているのはただ一つ、綴じだけ。

それでも、前の持ち主は、おそらくこの状態で買い求められたのでしょう。そう、先日お伺いした英学者です。だから店主も、むげに置き去りにできず、お引取りしてきたのでした。

さてしかし、この先、この本は余命をつなぐことができるのでしょうか。中身を読むだけなら後版がいくらも出ていますし、電子化もされていてオンデマンドでも手に入ります。

改めて刊年をみれば、明治が始まる前。古ければ貴重というのでないことは上記の通りですが、ここで果てさせるのも不憫。しばらく店に置いておくとしましょう。

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2012年03月19日

floating world

CA3K0109お勘定を済ませたお客様が、おもむろに「去年、地震のあった日、このお店の前を通ったんですよ」とおっしゃいました。

電車が止まり、家まで歩いて帰る途中のことだったようです。「地震がなければ、ここに本屋さんがあることも知らなかったでしょう」

だからといって地震に礼を言う気にはなれませんが、お客様はどうやら一年ぶりにご来店のようで、しみじみあの時を思い出しておられるご様子。

「この本棚のある辺りは、大変なことになってましたね」こちらもつられて当時を振り返り「怪我人が出なくて本当によかったです」

あれ以来、いつも不安がスタンバイ状態で、少しのきっかけでそれが湧き上がってくるようです。「浮世」を英語にすると、今の気分にぴったり。

日本人の私たちでさえそうですから、外国人が心細い思いを抱くのは当然かもしれません。

この間の金曜日、最近良く利用する中華料理店で、接客上手な上海人の娘さんが、隣のテーブルの客と話しているのが聞こえてきました。

それによると店員さんが次々に辞めて、中には給料日も待たず中国へ帰ってしまった人もいたとか。今残っている人も間もなく辞める予定で、そうなると「自分たち家族三人」しか残らなくなってしまうらしい。

その娘さんがこちらのテーブルに来た時、連れの一人が「自分たちには逃げるところがない」というと、「大丈夫、中国なら日本語の先生の仕事があるから」と、妙な励まされ方をしたのでした。

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2012年03月18日

暇で忙しい

CA3K0107この一週間ほど、店がひどく暇な気がします。去年の今頃は、それも当然と、言い訳できたのですが。

そのくせ、何やかやと忙しい一日でした。午前中に一件宅買い。お近くで、以前に一度伺ったことがある、元大学教授のお宅。

最初のお話では、200冊ほどということでしたが、今朝お電話をすると、500冊ほどありそうだとのこと。実際には縛った結果、40本近くになりましたから、もう少し多かった筈です。何とか車に積んで、店に戻りました。

昼食後、東急ハンズへ。一つ拵え物があるので、木ネジや、蝶番や、留め具を買いに。それで何が出来上がるかは、無事完成した後、機会があればということで。

それより、いざ勘定をと思ったとき、お財布を忘れたことに気がついて愕然。手元にあるのはオートチャージ方式のpasmoカードだけ。もう一度、出直す気にはとてもなれません。

このカードは使えないだろうなと、暗澹たる思いでpasmoをパスケースから引き抜くと、何とその裏に五千円札が一枚、折り畳んで入っていました。非常用に入れておいたことを、忘れていたのです。ともあれ窮地は脱することができました。

店に戻ると、あとは店番。しかし朝から後回しにしてきた仕事が一つ。ebay経由のメールに、返事をしなければなりません。これがなかなか厄介。

二週間ほど前、頼まれて落とした本は、フランスから出品されたもので、手続きを済ませたつもりでいたところ、行き違いがあったらしく、どうなっているのかという問い合わせです。

それがフランス語。英語だって苦労するのに。やむを得ず英語でこちらの考えと希望を、簡単に返しました。さてどうなることやら。

そんなこんなで、曇り一時雨、店は閑散なれど店主はバタバタ、という一日でした。

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2012年03月17日

あるドイツ文学者の試み

agaton緑色のビニール装。ハンドブックか辞典の類かと見ると、ドイツ文学の翻訳書。不思議に思って奥付を見ました。

下段の刊記部分には『アガトン物語』というタイトルと、発行年月日2002年5月1日、発行所ty-libraryなど。上段に「訳者略歴」と、「デジタルページ案内」が記されています。

これによれば訳者自身が入力し、ファイルを作成したようです。ちなみに2000年3月10日が初版作成日。

ますます興味を感じて、案内にある「デジタルページ」を見てみました(発行所名で検索できます)。トップページの文言をそのまま紹介しましょう。

ドイツ語・ドイツ文学の研究と教育に長年たずさわってきました。
その間に生まれた業績のいくつかを、この書庫 "ty-library"
に収めてあります。また、新しく書き加えたものもあります。

これからは万事デジタルの時代になるでしょう。学術情報もその
例外ではありません。情報の自由化、共有性は、飛躍的に促進
されるでしょう。


そう考えた訳者、義則孝夫先生は、ご自身の訳業を、ご自身のHPから提供しようという試みに踏み切りました。A5判703頁という長篇です。ちなみに先生1926年のお生まれ。

「あとがき」によれば本書は、先生のライフワークともいえるお仕事で、記念として目に見える形に残しておくため、私家版として小部数(120部)発行されたものだとか。

本のあり方について、改めて考えさせられました。

朝から雨の土曜日、店の方は、あがったりです。

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2012年03月16日

市場は競争入札

明治古典会が、お昼前に同業者に送った案内メールには、次のような文句が並んでいました。

「ゴジラ関係の一口入荷!!怪獣ゴジラ 香山滋 献呈署名入 初版 カバー 帯 昭29/ゴジラの逆襲 ラドン 液体人間と美女 宇宙大戦争/地球防衛軍 続液体人間 など/さらに映画スチール ポスター 人形 パネル ビデオ大量です!!」

店主はその頃には既に市場にいて、その一口物の中でも目玉となる数点が、赤毛氈の最終台に乗せられているのを目にしていました。

終ってみれば、最終発声はそのゴジラ本数冊。一冊あたりの金額にすれば、戦後の本としては、文学書初版本のトップクラスと並ぶ金額。

誰かが「初版本、サブカル、映画、それぞれ(を専門とする業者)が競い合うことになる」と予測した通りの結末でした。ただし落札したのは、明古の古参会員。専門度より、嗅覚の鋭さで激戦を制したようです。

今日の市は、他にも、売れ筋の現代思想関係大量出品(トラック二台!)があり、こちらはこちらで大変な活気を呼びました。

どの封筒も入札用紙で膨らみ、札改めの場で調べてみると、最高26枚。つまり一点の品(といっても何十冊という山ですが)に、20人以上の業者が札を入れたわけです。

いずれも新刊同様の状態で、売り易いには違いありませんが、品切れででもない限り、新刊定価以上には売れません。目一杯の価格で買った人は、利益を出すのに苦労するはず。

RIMG1017店主を含め、買えなかったその他大勢(何しろ買えるのはただ一人)は、そんなやっかみの言葉でお互いを慰めあうのでした。

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2012年03月15日

書くように話す作家

先日『日本敵討ち異相』(長谷川伸傑作選、国書刊行会、2008)という本が、ネットからの注文で売れました。

新刊でも手に入る本ですから、値段が安く、お買い得だったということに過ぎませんが、このタイトルを最近、他で耳にしたばかりだったので、おやっと思ったのです。

店からの帰りの車中、時々聞いているラジオ番組に、午後8時半からのNHK第二放送「カルチャーラジオ」があります。その月曜日は「ラジオアーカイヴス」と称して、古い講演、インタビューなどの録音を聞かせてくれます。

最近、四週ほど続けて取り上げられたのが、長谷川伸その人でした。最終回に解説者が、この本を彼の代表作として推していたのです。果たしてご注文者が、同じラジオを聞いておられたかどうかは定かではありませんが。

この「アーカイヴス」なかなかの拾い物です。帰りの時間の関係で、いつも聞けるとは限りませんが、これまでに谷崎潤一郎、内田百痢∋峅貭昇函武者小路実篤、久保田万太郎などの肉声を聞くことができました。

話の上手な人も居れば、聞き取りにくい人も居る。想像通りの声音の人も居れば、思いもかけぬ甲高い声の人も居る。内容以前に、それだけでも面白い。さらに40年、50年前の話し言葉を聞くのも興味深いことです。

さて長谷川伸ですが、これまで聞いた中では、出色の語り上手でした。例えば志賀あたりですと、お喋りと文体が重なるとはあまり思えませんが、長谷川の場合は、その語り口がそのまま彼の小説のよう。

IMG_0005有名な、自身の「瞼の母」との再会譚は、人情話を語る噺家はだしで、おそらくこれを聞いて、改めて彼の作品を読もうと思ったリスナーは、少なからず居たのではないでしょうか。

小店へのご注文も、やはりそのお一人だったかも。

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2012年03月14日

デジタル市会リハーサル

IMG_0006普段出かけない水曜日、東京資料会に、お昼から出かけました。

会場の一角を区切って、小規模にデジタル入札市を実施してみることになったからです。出品点数約130点、昨日と、一部は今朝までに、出品登録完了。細工は流々、というところでした。

午後1時に開場。店主が着いたのもその頃で、通常の来会者に加え、このために来てくれた業者もいて、なかなかの賑わい。端末のiPod貸し出し、操作説明、ここの手順確認がまず第一の目的です。

そこまでは順調に行きました。そして実際に端末を使って入札する業者の反応も、「案外簡単」「面白い」などと、思った以上に好意的。使ってみて、安心した面もあるのでしょう。

さて次の課題は、開札から片づけまでの手順と、仕事量を確認することです。その開札時刻は午後4時。

ところが、ここからが大誤算。システム会社を急かして、ギリギリ今日納品させた開札部分のシステムが、作動しません。

出来上がりが遅れていることは聞いていましたから、安全策をとって、リハーサルを来週に伸ばすという道もあったのですが、当日の人員確保のためには、少しでも早くシミュレーションしておく必要があったのです。

結果的には5時になってもトラブルは解決せず、担当は善後策に追われました。協力していただいた資料会さんには、申し訳ないことでした。

しっかりと総括し、本番に向けてこの禍いを、福と転じさせなくてはなりません。

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2012年03月13日

本番前テスト

RIMG1020火曜日で洋書会。

お昼に会館に着いて、先ずは5階のロッカー室へ。バッグとコートを仕舞い、入館証を首から下げ、ペンと携帯と、必要なものだけ持って4階に降ります。

会場は6割程度の埋まり。ちょっと少なめ。後に述べる事情もあって、入札に熱が入りません。結局一点も入れず。開札後、入れておけばよかったと、悔やんだものが何点かありました。

終わると、明日の資料会で行うデジタル入札テストの準備。本番を前に、一度シミュレートしておきたいとの意見から実施することになったものです。

関係者がそれぞれ数点ずつ持ち寄って、コンピュータに入力するところから体験していきます。デジカメで書影を撮り、書籍データと一緒にしてアップ。

当日どれくらいの作業量が発生するのか、また、それに要する時間は、といったあたりを早急に割り出さなければなりません。もちろん、明日の開札、それに続く片付け作業まで含めての話。

作業過程の全てが、本番に向けての貴重なデータとなります。立ち働く、その殆どは店主より年若い同業たちの姿を見ながら、良くここまで漕ぎつけたものだと思いました。

あるいは世間からすれば、これしきのことで何を大仰なと、思われるかもしれません。しかし70歳代、80歳代が現役で、影響力も持つ業界です。

その良さも残しながら、時代に適合する道を、探って行かなければならないのです。

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2012年03月12日

不思議なお持込み

確定申告の書類を作り終えました。悲惨な数字。それでも面倒な仕事を一つ終えて、ほっと一息。

土曜日に本のお持込みがあり、N先生の名刺が付いていて、メモに「連絡はメールでお願いします」とありました。昨日、評価額をメールしておいたところ、今朝、お電話がありました。

「メールをいただいたが、まったく心当たりがない」とおっしゃいます。狐につままれたようだといった風情。「どんな本ですか?」「どんな人でしたか?」と次々お尋ねになります。

そういえば、受け取った店番のミセスCが、妙なことを言っておりました。お越しになる前に電話があったそうですが、その時聞いたお名前と、名刺のお名前が違うので、不思議な気がしたと。

その話をお伝えすると、「ああ!」と気づかれた様子。金曜日に会った駒場の先生と名刺交換をしたので、その方が、ご自分の名刺と間違って出されたのじゃないだろうか、というのがその推理。

「お電話ではOと名乗っておられたようです」「じゃあ間違いありません」

というわけでN先生にO先生のメールアドレスを教えていただき、改めてメールをいたしました。もちろん、その間の経緯については何も触れずに。

午後、18号館の研究室へ。朝方、突然ご来店になり、今日か明日でというご希望。前にも二度ほど伺っていて、小店好みの本をお出しいただける先生です。幸い遣り繰りがついて、午後、引きRIMG1014取ってまいりました。

今回も、すぐにも店に並べられる本が約50冊、ほかに全集が数点。早速片付けたかったのですが、申告が優先。また積み上げました。

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