2012年07月

2012年07月31日

火曜のうなぎ

昨日のブログに早速コメントをお寄せいただきました。大変ありがたいことです。と同時に、どんな方が見ておられるか分からない怖さを、改めて感じました。

あわせて申すなら、店のほうにだって、どんな方がおいでになっているか分からない。そちらの怖さは十分に承知しているつもりですが、つい棚作りに手入れの足りないまま、日々を過ごしてしまいます。

さて今日は洋書会7月当番の最終日。というわけで頑なに、うなぎです。

このまま高騰が続くと、月に一度の楽しみも、考え直さなくてはならない――お昼前、真剣にそんな会話を当番内で交わしましたが、まあ今回のところは現状確認の意味でも、という理屈をつけて出前を頼みました。

CA3K0342「一番安いやつ」といって頼んだのがこの画像。お代は2600円。覚悟して蓋をあけると、案外まともな大きさの蒲焼が乗っておりました。

当番ではない、すなわちこのうな重にありつけない会員も、わざわざ寄ってきて中身を確認し、「これならまあ合格」などと感想を残していきました。

ところで今日の出品状況は、先週とは打って変わって少なめ。午前10時の時点では、作業しようにも殆ど本がなく、どうなることかと案じられましたが、やがてカーゴ2台半のお持込みなどがあり、少ないながら、どうにか形だけは付けられました。

しかもその口の中に、一冊、珍しい写真集が混じっていましたので、荷主さんの許可を得て、ご自身で仕分けてこられた束からその本を抜き出し、単独で出品させていただくことに。

結果は、10万円を超える落札価格。6人分の、肝吸い代くらいは稼ぐことが出来たようです。

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2012年07月30日

塚本哲三 who?

額に汗をにじませて、新米の後期高齢者といったご年輩のお客様が、店に入ってこられました。

ふた月に一度くらいの頻度でお越しになる、お馴染みさんです。たしか電車でも一時間以上はかかる、他県にお住まいのはず。この暑いのに、ご熱心なことです。

毎回じっくりと棚をご覧になり、必ず一冊、二冊は、お買上げくださいます。語学にご興味がおありのようで、ラテン語の古い学習書などにご興味をお持ちです。

今日は、最近置き場所を変えたばかりの聖書コーナーに積んである本の中から、オランダ語聖書を一冊抜き出して、お買上げくださいました。色々な言語の聖書を集めたいお気持ちがあるようですが、この本のように500円くらいの値段ならという条件付き。

急がずゆっくり探して回るのが愉しみ、ということのようです。予算に大小はあっても、こうしたブックハンターとも言うべき方が、昨今ますます稀少になっています。

古書会館で毎週開かれる即売展などは、そうした方々のメッカであるわけですが、そこでも来客数の減少が嘆かれています。総本山にしてそれですから、翩々たる末寺に閑古鳥が鳴くのも、当然なのでしょうか。

もっともお客様側からすれば、減ったのは狩人ではなく獲物の方だと仰るかもしれません。

CA3K0339このお客様、うずたかく積まれた未整理の山に『新訂漢文解釈法』(有朋堂書店、昭和2年)を見つけられると、それを手にかざして「この著者の経歴について、何かご存知?どうしたら調べられますかね」。

「塚本哲三」というその名に見覚えくらいはありますが、もとより何者であるかは存じません。昭和前期に漢文を学んだ人の多くが、この著者のお世話になったはず。「だけど、どこにも何も書いてないんです」

早速ネットで検索して見ましたが、分かったのは膨大な著編書があることくらい。webcat に出ていた生没年(1881-1958)をお教えすると、「いや、それだけでも有り難い」と、礼を言ってお帰りになりました。

どなたかご存知ありませんか?

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2012年07月29日

南部支部総会

CA3K0338今日は、正真正銘、南部支部総会。昨日より気温は低いと言われても、炎暑であることに違いはありません。五反田駅から、南部会館まで歩くあいだに、すっかり汗まみれ。

午後2時から4時近くまで、定められた議事が淡々と進みます。小さな組合の、さらに小さな支部の年次報告ですが、各役員さんのまじめな仕事ぶりが伺われました。

店主も本部理事として、若干の報告。今回は、全体を通して格別な質問もなく、予定していたより早く終ったようです。引き続いて、役員交代のセレモニー。

退任する支部長の挨拶があって、役員一同退席。新支部長が挨拶をしたあと、新役員を紹介します。読み上げられる名前と顔ぶれが、いつの間にか随分変わっていると、隣にいる同僚理事がつぶやきました。

その同僚自身、店主などよりずっと若い世代ですから、店主からみれば、さらに馴染みの薄い面々。世代交代、新陳代謝が、知らぬ間に着々と進んでいるのでしょう。

すべての式次第が終ると懇親会。会場の机と椅子を並べ替え、例年のごとく近くの中華料理店から、山盛りの料理が運び込まれ、ビール、お酒もふんだんに配られます。

出席者約50名が、思い思いの席につくと、新支部長が、先刻の訥々とした就任演説とはうって変わって、賑やかに開宴の挨拶。乾杯を合図に、気のあった仲間や、日頃あまり話す機会のない同業との、楽しげな会話があちこちから聞こえてきました。

飲むほどに音量が増し、笑顔も増える中、ころあいを見て、素面の店主は歓談の輪から抜け出し、お先に失礼したのでした。

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2012年07月28日

あやうく無駄アセ

暑い盛り、いざ出かけるばかりとなったとき、ミセスCが「今日じゃないよ」と、声を上げました。

机の上に広げてあった、「平成24年(第67回)南部支部総会開催通知」を見て「ここに行くのでしょ」と言うのです。ヒゲを剃って、着替えてと、外出の段取りを始めたところでありました。

改めて通知に目をやると、「日時 平成24年7月29日(日)午後2時開会」とあります。確かに今日ではなく、明日の日付。

お昼前にこの書類を広げて、確認したのは開会時間だけ。午後2時、いつも通り。日にちの方は、例年通り7月の最後の土曜日だと思い込んでおりましたので、何の疑いも持ちませんでした。

思い込みと言うのは怖いものです。指摘されなければ、大汗を掻きながら、無人の五反田南部地区会館まで、ノコノコ出かけるところでした。

思い込みと言えば、岩波書店『図書』6月号で、面白い論考を読みました。「からごころ」の文学――『枕草子』を読み直す、という一編です。

秋は夕ぐれ。夕日のさして山の端いと近うなりたるに、からすの寝どころへ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど飛び急ぐさへあはれなり。

この有名な段落の「山の端いと近うなりたるに」が、夕日の位置を言うものだという通説に対し、夕日に照り映えて、山が近く見えることをいうのだという異説の存在を紹介し、もう一度見直しても良い説ではないかというのが、同稿の主旨です。

CA3K0284言われてみると、確かにそんな気もしてきます。どちらでもいいような話といえばそれまでですが、山が照っているのか、陰っているのか、カラスは逆光か順光か、まるで違う映像になります。

日本美の定型にもつながる話。先の議論を、聞きたいものです。

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2012年07月27日

お金を扱って疲れる

店に戻ると午後10時過ぎ。明古は特選市でしたが、遅くなった理由はそれではありません。何しろ今日は、一瞬も市場を覗くヒマがありませんでした。

もちろん厳密に言えば、それくらいのヒマは作れます。しかしその気分になれなかったのです。今日一日の仕事は、七夕大入札会の清算。売りに買いに、市会に参加した組合員が、代金を支払い売上金を受け取る日。

一応その会計責任者ということになっていますので、朝からずっと清算窓口に座って、応対に追われていたのでした。

清算対象者はざっと250名ほど。入金も支払いも、銀行利用が多数派になってきましたが、まだまだ小切手や現金を持参で払い込みに来られたり、あるいは売上を受け取りに来られたりという方も、大勢いらっしゃいます。なかなかに忙しいわけです。

なかには小店なら一年分の売上に匹敵するような売買を、一回の市会でなさる同業もおられ、意味のない卑小感に苛まれたりすることも、ないといえば嘘になります。

結局、すべてが片付いたのは午後7時近く。それから一緒に働いた仲間と、外へ出て食事をいたしました。

久しぶりに、すずらん通りの中華「三幸園」。以前は、いつ行っても入れる店として重宝していたのですが、最近は人気が出てきたようで、何度か満員御礼ということがありました。店の構えや雰囲気に比して安価なところが、受ける時代になってきたのかもしれません。

イメージ (69)といった次第で、大して体力を使う仕事でもなかったのですが、人様のお金を扱うということに、結構気疲れのした一日でした。

画像は、19世紀末の、時間性労働を推進する運動の本。またこんな気分の時代に、なりつつあるのかもしれません。
無刊年、280頁、18cm。

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2012年07月26日

一冊足りない!

「萬国工業会議」というものがあったらしい。昭和4年のことです。さすがにネットというのは便利なもので、関連記事をいくつか見つけることが出来ました。ご興味のある方は、この言葉で検索を掛けてみてください。

イメージ (76)ここにご紹介したのは、その折に企画された、国内周遊旅行の案内パンフレット集。函入りで、その函には Contents として No.1 Tokyo から No.19 Nagasaki までが印刷されています。

一番厚い「東京」で49頁、「鎌倉・江ノ島」などは9頁。しかし、いずれも写真頁が別刷りで入っており、なかなか趣きがあります。

例によって、倉庫の奥から出てきたものですが、なぜこれが「塩漬け」にされていたのかと言いますと、全部で19冊しかないからです。

函を見る限り19冊で良さそうに思えますが、その19冊の中に、画像左側の「旅程集」が入っておりました。つまり函に書かれていない1冊を加えて、20冊なければ揃いではありません。

他にあったのは「日光」「箱根・熱海」「横浜・横須賀」「秩父」「富士五湖」「足尾銅山」「日立銅山」「仙台・松島」「猪苗代・阿賀野川」「名古屋」「京都」「大阪」「神戸」「瀬戸内海・宮島・別府」「福岡」「長崎・雲仙」。

さて、欠けている1冊はどこでしょう?

そんなに難しくないかもしれません。答えは「奈良」。つまり、この本の持ち主は、その1冊を持って、奈良旅行に参加したと考えられます。ちなみに、奈良は全プランの中で、「大阪」と並んで、受け入れ定員数が最大(500名)。無難な選択をされたようです。

それはともかく、どうにかしてこの欠本が見つからないものでしょうか。このままでは、何だか悔しいじゃないですか。

午後、一瞬雨が降り、かえって蒸し風呂のようになりました。店売りは、もはやあきらめの境地です。

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2012年07月25日

『文化の地平』

いつ頃から縛られたままになっているのか、古い本の一束が倉庫の隅から出てきたので、今日店に持ってきて解いてみました。

一冊ずつ見ていくうち、自費出版らしい小さな詩集に「ご批評を」という紙片が挟まっていて、その宛名から、これらが誰の蔵書であったかが分かりました。

駒場から引っ越すという、詩人のお宅から引き取ってきたものです。かれこれ20年以上も前のこと。

何故この一束が残っていたのかは分かりません。あまり売り物になりそうもない、雑誌類が中心の束だったからでしょうか。

イメージ (75)その中から見つかった一冊が、この『文化の地平』です。ご覧の通り、簡素なステープル綴じ、軽印刷。奥付によれば昭和54年12月1日発行。編集/発行として中上健次の名、非売品の文字。A5判127頁。

中上自身の「あとがき」によれば、本書は、「新宮市の被差別部落春日町で部落青年文化会が開催した連続公開講座『開かれた豊かな文学』のゲスト講師に招いた八人の方の講義録」です。

同じ「あとがき」の末尾には「この講師の方々の講演録を、講師にも断りなく活字化し、部落青年文化会のメンバーの協力も同意もなく私一人の責任で刊行するのは」云々、とあります。

講演会は1978年2月から10月にかけて。第一回が佐木隆三、以下、石原慎太郎、吉増剛造、瀬戸内晴美、森敦、唐十郎、金時鐘、そして吉本隆明。

今この手元にある一冊は、つまりは講演者の一人に、編集発行人から送られてきたものであるわけです。「断りなく活字化」されたお歴々の反応が、どんなであったか知りたいところですね。

ちなみにこのとき、最年長の森敦が66歳、他はすべて50代以下です。中上健次は32歳。みんな若かった。

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2012年07月24日

互いに助けあい

今日の洋書会は、カーゴ20台近くになる大量出品。通常戦力ではとても賄いきれないので、当番以外にも助っ人を呼びかけ、いつもの倍近くの11名で市会の準備をしました。

一番の大口は、フランス啓蒙思想から社会主義思想あたりがご専門らしい研究者の蔵書。よく勉強された先生のようで、本の状態は必ずしも良くありません。しかも仏語が中心で、それに独、露語が続きます。僅かに混じる英語の本を見つけると、何かほっとするのが不思議です。

そんなわけで仕分けには中々時間がかかりましたが、その労の割りに、落札値は伸びませんでした。会も残念ですが、それ以上に荷主さんは落胆されたことでしょう。

会としては、人手をかけた分、経費が嵩み、今日だけで考えれば収支は合いません。しかし、今回の経験によって、ある程度大量の出品にも即応できることが分かった点は、今後の会の運営を考えると大きなプラスになったと思います。

なにより、大勢でいただく食事は楽しいものです。事前に事業部長が手配してくれた、人気ロケ弁店「金兵衛」の昼食弁当を、大きなテーブルを囲んで、全員で賑やかにいただきました。

大量の出品でしたから、片付けも大変です。特に、今日の口は大山(大量一括)が多かったので、落札者にはそれを縛って、カーゴに積んでと、重労働が待っています。

ここでも手の空いている会員が、皆で手伝いました。一人でやっていたら、いつまでかかるか分からない作業も、人手をかければたちまちに片付きます。

RIMG1142まさに相互扶助の精神。一食のお弁当で、ここまで働いていただくのは、申し訳ないほど。そこで今日は、お茶とお茶菓子も、張り込んだのでした。

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2012年07月23日

本だから懐かしい

毎日こんなブログを書いているヒマがあったら、せめて本の一冊も紹介したらどうか。

ひと様から言われたわけではありません、自分でいつもそう思っていながら、なかなか果たせずにいるだけのことです。

そこで、思い出したように今日は本のお話。古い在庫を整理しておりましたところ、イメージ (73)この二冊が、同じような場所から発掘されました。

イメージ (74)どちらも内容は表紙から一目瞭然、説明を要さないでしょう。『天安門』の寸法はB5判、『朝日ソノラマ』は、それより縦が1cmほど短く、横が2cmほど広い。

何故この二つを並べたのかと申しますと、後者の出版年が1969年、それに対して前者が1989年。そして現在は2012年。

そうか、ちょうど20年を隔てて起きたのか、という感慨が一つ。あれからもう23年も経っているのか!という驚きがもう一つ。それらがない交ぜとなって、なんともしみじみとしてしまったからです。

40年以上の昔というのは、さすがにもう「つい昨日」とは思えませんね。何しろ「ソノシート」です。

「ニクソン政権と佐藤外交」「沖縄の歩みと基地問題」「激動の'60年安保と日米首脳の声明」「'60年安保から'70年に向けて」――あまり聞きたいと思わせるタイトルではありませんが、いまや簡単に聞くこともできません。

再生機器を必要とする媒体は、その機器の盛衰と、命運をともにすることになります。電子ブックは、そこをどう乗り越えていくのでしょう。

もう一つ。20年、40年経って再び遭遇した時に、電子情報から、何かの感慨を得ることが出来るでしょうか。

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2012年07月22日

ほとんど僥倖

気温の低い日が二日続いて、明日からはまた暑さが戻りそうです。この数日間で、最高気温の差が15度ほどもあるという変化の激しさですが、店の売上だけは、低いほうに張り付いて、すっかり安定しております。

頼みのネット注文も、ポツリポツリ。しかもそんなときに限って、売り切れを削除し忘れたままのものだったりして、お詫びの文面を出しながら、ため息をつくことになったりします。

すぐに売り切れと分かる場合はまだしも、記録してある保管場所を散々探した末、どうにも見つからず、やむなく「在庫切れ」のお知らせを出す時の情けなさといったら。

昨日もあわやその伝になりそうでした。ご注文いただいたのは、言語学関係の洋書。データ登録は2007年夏で、そのまま更新情報はなく、記録されている保管場所には影も形もありません。

どこかに売れた記録が残っていないかと、過去のメールを調べてみました。すると2008年の初めに、受注メールが入っています。さらに調べると、その方からはその後ご連絡がなく、キャンセル扱いになっていたのです。

RIMG1141かすかに希望が出てきました。ご注文を受けて棚から抜き出し、そのままになっていた可能性があります。その後、棚の配置換えをしたため、取り置き場所は、その頃とは変っていますが、移動の際、まとめてどこかに置いたかもしれない。

果たしてその通り。そこから見当をつけて探したところ、運よく見つかりました。

外国にお住まいの日本人男性が、小店のホームページから見つけられて、丁寧なメールでご注文いただいていたものです。(『日本の古本屋』からは売り切れで消えていましたから)

お客様にも事情をお伝えしてありましたので、事のほか、お喜びくださいました。小店としても、こんな嬉しいことは久々でした。

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