2012年10月

2012年10月21日

本の残る場所

昨日、一昨日、会場の方に来ていただいた常連さんのうち数人が、今日は店の方にお寄りくださいました。

CA3K0389会場で店番をしていてつくづく感じたのは、本好きのお客様というのは、本のあるところに行かずにいられないのだろうということです。

小店でしばしばお見かけするくらいの方は、まず決まってあちこちの本屋さんを回っておられ、だから大概の店のオヤジから、顔を知られているようでした。

お客様からすれば、会場に見知った本屋が顔を揃えているというのは、どんな心持ちなのでしょう。居心地悪く感じられる方もおられるかもしれません。もちろん逆に、寛げる方もおいでかも。

あるお客様から、「まだやってたの?店はどこに移ったの?」と驚いたように尋ねられました。確かにしばらくお目にかかっていないお顔でしたが、そんなにご無沙汰とは思いませんでした。

「前の店のホンの先です」とご説明しましたから、いずれまた、ご来店いただけることでしょう。

ところで今年も、ディスプレイ用の本を買い求める業者さんらしき姿が何人か見受けられました。脈絡なく買って積み上げていかれる様子で、すぐにそれと分かります。

ただ昨年のように、露骨な買いっぷりの業者さんはおられなかったので、周りから顰蹙を買うこともありませんでした。本屋の側からすれば、大歓迎とまではいわなくとも、お買上げいただく有り難さに変りはありません。

それにしても、世の中から本が姿を消すかもしれないという時代になって、たとえ装飾用にせよ、これほどまでに本が必要とされるのは、不思議な気がします。

近い将来、本のある空間は、仮構の世界の中でしか、お目にかかれなくなるのでしょうか。


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2012年10月20日

訂正してご報告

何はともあれ今年も無事に「洋書まつり」が終りました。まずは、ご来場いただいた皆様にお礼申し上げます。

昨日の報告で、事実誤認がありました。訂正しておきたいと思います。昨年と、一昨年の記憶がゴッチャになっていたことにもよりますが、全体の売上は前年に比べ随分伸びました。というより、昨年は天候にも祟られて、悪すぎたのですが。

全体売上は一昨年を100とすると、昨年は80、今年は105。それに対し、その比例で換算してみると、小店の一昨年の売上は5、昨年は10、今年は8という具合。

小店に関していえば、数字の上では対前年比2割減ですが、全体の伸びを勘定に入れると、実質は4、5割減の感覚です。その原因については、これから分析して行かなければなりません。

会場の片づけを終えて、売上集計と、売上金の分配をして解散。会館を出ると7時近くになっています。誰からともなく誘い合わせて有志5名、食事でも、となりました。

行き先は、古書会館からすぐ近くの中華料理店「漢陽楼」。店主にとっては久しぶり。以前はよく利用していましたが、最近行きつけの店に比べると、少し高めで足が遠のいていたようです。これもひとつのデフレでしょうか。

今夜の5人は洋書会の仲間でもあります。いつもの調子で会話が弾み、やがてお開きという時「俺たち二人で払うよ」と一人が言い出しました。三人が一様に「そんな」と声を上げると、「まあ、売れた二人ということで」。

確かに、その二人は今回好調でした。「負け組」にされた格好の三人は「礼を言う気にならない」などと、減らず口をたたきながらも、有り難くご馳走になったのでした。

RIMG1447疲れもし、反省点も残った催事ですが、いろいろと勉強になったことも事実。そんな殊勝な気分になって店に戻り、レジを見てもう一度、肩を落とすことになりました。

確かに何人ものお客様が、「洋書まつり」においで下さっていましたから、仕方ないのでしょうけれど。

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2012年10月19日

良かったこと二つ

RIMG3600ありがたいことにお天気の回復が予想より早まって、朝から「洋書まつり」日和でした。それが良かったことの一つ目。

そのおかげで、ご来客の出足も昨年より良く、一日中、会場は賑わいました。どうやら本の売れ行きも、好調らしい。実際、帳場も忙しく、手荷物預かりの窓口も途絶えることがありませんでした。これが良かったことの二つ目。

それ以上、何を望むかと言われそうですが、各店の売上を出すための伝票計算が始まると、何となく沈んだ気分が漂い始めました。伝票枚数の割りに、売上が伸びないのです。

最終的に、全体では昨年とトントンというところまで漕ぎ付けたようですが、一軒、対前年比で大きく伸ばした店があり、ということは、その他の店は、ほぼ軒並み対前年比売上減。

もちろん自助努力の結果ですから、お互い恨みっこ無し。しかもまだ一日済んだばかりで、もう一日チャンスが残されています。閉店後、棚の整理をしながら、まだ充分売れるはずの本が沢山残っていることに、明日への期待をかけるのでした。

それにしても今日一日、大勢の熱心なお客様に接して、以前、大先輩から聞いた話を思い出しました。即売展を主要な売り場とされていた方です。

その方によれば、即売展のお客様は、本を買おうという意思を持って、わざわざお越しになる方々だから、大切にしなければならない、というのです。

そんなご常連のお一人が、いみじくも洩らされました。「本が安く買えるのは嬉しいのだけれど、そろそろ処分しようかとも考えている身としては、複雑な心境です」と。

買い手と売り手のバランスが、次第に一方に傾きかけているのではないかという危惧は、我々も同様に持っています。返す言葉に窮しました。

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2012年10月18日

明日からの本番を待つばかり

昔はこんなことを年に何回もやっていたのだと思い返すと、つくづく若かったのだなと分かります。

「洋書まつり」の搬入と陳列。午後1時頃にトラックが着いて、縛った荷物を積み込み、小休止してからすぐに会館に。

午後2時を少し回ってから仕事を開始。カーゴから本を降ろし、自店に割り当てられた棚に並べていきます。ちょっと休憩も挟み、午後5時を15分ほど過ぎて、どうやら形が出来ました。

正味三時間。大した長さではないのですが、店に帰り着くと、どっと疲れが出てきました。考えてみれば、朝の9時から準備をしていたのですから、その時間も加えれば丸一日です。

かつて城南展に参加していた頃は、並べが済むと前夜祭。いつも決まった店で、決まったメンバーが軽く飲んで食事をしたものです。そして初日の夜は、即売展同人がほぼ揃って会食。二日目、撤収が済んだ後にも一杯やりに行く豪傑もいました。

最近ではどの会も、すぐに帰る人が増え、仲間で飲みに行く機会は減っていると聞きます。年に一度の同人旅行となると、今でも実施している会は数えるほど。昔だってそれほど楽だったわけではありませんが、比べてみると随分余裕がなくなったものです。

店主が即売展に参加していた10年、20年前にだって、ずっと年上の先輩方はおられたわけで、その方々のお顔を思い浮かべながら、お疲れだっただろうなと想像すると、もう一度一緒にゆっくり飲みたくなりました。

RIMG3604それはともかく、明日は本番。お天気の方は、あまり芳しい予報ではありません。しかし、会場は想像したとおり、各店が随分豊富に持ち込んだおかげで、賑やかな景色となっています。

何万冊あっても、殆どが一冊限り。それが古本の強みでもあり、弱みでもあるのですが、ゆっくりとご覧いただけば、きっとあなたを待っていた一冊にめぐり合えると思います。

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2012年10月17日

暗い話と変な話

CA3K0385明日の準備で、店の中がいつにも増して取り散らかっているから――というワケではないと思うのです。今日のこのお客様の少なさは。

夕方から雨になって暗く、その上、表の天井灯が一基切れて、ますます暗いから――というワケでもないと思います。

一日中、本を縛ったり、値札を付けたり(今ごろ)していて、ようやく一息ついてレジを見て、愕然としてしまいました。午後6時近くになるというのに、客数は4、つまり4名様のお買い上げがあっただけというわけです。

メールを開いても、入っているのはジャンクメールばかり。忙しいだろうと、気を使っていただいているのでしょうか。

ともあれ明日は陳列、明後日からいよいよ「洋書まつり」です。ついに「東京の古本屋」に、案内が出ました。

店主が自分で書いたのではなく、こっそり職員さんにお願いしたもの。公式ブログの案内もしていただいたので、そちらには自分で何か書いておかなくてはなりません。結局自分の出品準備が忙しくて、なかなか更新できませんでした。何しろ用意が悪いものですから。

フェイスブックの「洋書まつり」ページにも一言書いただけ。久しぶりに開いたら、様子が変わっていて戸惑ってしまったのも一因です。言い訳にしかなりませんが。

そのフェイスブックで変な話がありました。たった二人の「友達」の内の一人である、旧友からの電話で知りました。

店主からある方に友達リクエストして、それに答えていただいたことで、その方と旧友とにつながりが出来たようなのですが、店主はリクエストした覚えなどまるでなかったのです。

そんなことってあるのでしょうかね。しかし今は、余計なことに頭を使っている時ではありません。

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2012年10月16日

『千夜一夜物語』

お客様から、Burton編訳のThe Book of the Thousand Nights and a Nightを手に入れたいと言われ、しばらく気をつけて交換会や、ネット上に目を凝らしているのですが、探すほどに難しさが増してきます。

RIMG0872見つからないのではありません、むしろ有り過ぎるのです。このところ、市場でこそあまり見かけなくなりましたが、ネットを検索すれば、実に多様な版がヒットします。

『千夜一夜物語』原典の成立について、さまざまな研究があることは勿論ですが、バートン版が生まれるについても、多くの考証がなされています。それはともかく、この版が世界各国の言葉で翻訳され、最も普及している版であることは確かでしょう。

ところで今日の洋書会に、そのバートン訳『千夜一夜物語』が出品されたのです。中扉にBaroda Editionとありました。補巻が6冊で全16冊。この版はこれで揃いなのですが、他に補巻7冊、全17冊という版もあります。Shammar Editionなどがそうです。

この巻数の違いが何によるのか、双方を比較してみないことには分かりません。おそらくは詳しい研究書があるはずですが、まだそこまで調べる機会はないままです。

バートン版は、Burton Clubという名の下に、会員制で何度も部数を限定して出版を重ねており、そのたびにこうして何々Editionと表記したもののようですが、これらがいわば普及版。しかしそれが果たして何種類あるかも、寡聞にして存じません。

小店のお客様のご興味は、いわばその受容史にあります。わが国に、どのように入ってきて、どんな影響を与えたか。ですから、過去、この国に最も普及した版を、お望みである筈です。

というわけで、その点では目的にかないそうですが、色々と考えた末に入札はしませんでした。なぜなら今日の一組は、総革箔押しの綺麗な装丁で、お客様の趣旨にも、またおそらくはご予算にも合わないのではないかと考えたからです。

実際、強い札が入っておりました。

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2012年10月15日

「洋書まつり」に出す本

今日は大分、準備が進みました。何度も雑巾を絞って本を拭いたため指先が荒れてきて、ハンドクリームでもつけたいところ。

これからのシーズン、どうせ必要になるので、今夜にでも買っておくことにしましょう。

ところで、出品する本には、折々に取り溜めておいたものもあり、それらはそれぞれ、まとまった傾向を持っています。

例えばトーマス・マン関係の本。これは確か20本近い大山を買って、それを整理したものの片割れです。全集なども持っていこうか、検討中。他の本が、どれくらいの量になるかによります。

セルバンテス関係も、多少まとまって出る予定。文学書を続ければ、カミュの研究書も、いくらかまとまってあります。

音楽関係では、オペラ、オペレッタの案内書。変ったところでは聖歌合唱楽譜集が何種類も。オルガン、パイプオルガンの本もそこそこ。シャンソンはビジュアル書が数点。

演劇書は研究書もありますが、ビジュアル的な本も多数。中世演劇の口を仕入れたことがあり、その片割れも出します。

中世といえば美術、歴史ビジュアル書が、大判ですから目立ちそう。これは別々に複数回、仕入れています。

CA3K0376こんな具合にダラダラと書き連ねたのは、何もキーワードで検索にかかることを狙ったわけではありません。

いざ並べる段になって、何とかお客様の見やすいように陳列しようと努めるのですが、時間も限られていて、いつも結局、ゴチャゴチャになってしまうからです。

ここに書き出すことで、少しでも自分の頭を整理しておいて、その日に臨もうという目論見なのです。つまり、自分の頭にインデックスを貼り付けているわけですね。

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2012年10月14日

チョンマゲ

CA3K0380ネットで本を売るのに、状態表記が大切であることは良く分かります。しかしことさらに微細な点まで説明するのは、今でも抵抗があるのです。

目録販売の場合、本をよくご存知のお客様が多いですから、また買い慣れている方も多いですから、あまり余計な説明はうるさがられます。

稀覯本や初版本といった、コレクター向けの本でもない限り、針で突いたような傷があることを、わざわざ記載しません。刊年が書いてあって、特に説明がなければ、その年代なりの古びは当然のものと了解されます。

もちろん印刷物にするための制約も、字句を惜しむ理由でした。「初版カバー帯つき」を「初カ帯」とするなどがその例です。「きれいな本です」という代わりに「美」とひとこと。

しかしネットでは、始めて古本を買うというお客様も大勢いらっしゃいます。そして世間には、新刊書店とブックオフの区別が付かない方だっておいでだと、人から実見譚として聞きました。

従って今では、ネットで売ろうとする本が、新刊とどのように違うかということを、丁寧に記す必要があるのです。

そう理解していても、一冊一冊に、この本は「普通にきれい」ですとか、「新刊並にきれいです」とか書き入れるのには、どうも抵抗を感じます。というわけで今でも、特に欠点がある場合だけ表記するようにしています。もちろんご注文いただいたときは、さらに詳しくご説明しているのですが。

ふと考えてみると、世の中の動きについていこうとしない「チョンマゲ頭の親爺」のようなものかも知れません。本人は「コダワリ」などと思っていても、周りから見ると滑稽なだけかも。いや、言葉の元来の意味での「拘り」から抜け出せないのですね。

さらに考えれば、こんな「チョンマゲ」状態が、生活のあらゆる部分に蔓延っているような気がします。

などというまでもなく、本自体が、もしかしたら既に立派な「チョンマゲ」なのかもしれません。

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2012年10月13日

ギリシャ語もあります

普段は何という暇な店だろうと思っているのに、いざ仕事を始めようとすると、不思議と用事が生じます。

ポツリポツリのお客様でも、その度に対応しなくてはならないのですから、作業を中断することになります。そもそも一人で店番しながら「洋書まつり」の値札付けをしよう、というのが不届きなことなのですが。

お買い上げのお客様だけではありません、本をお持ちこみくださる方もいらっしゃいます。値踏みをして、評価額を申し上げて、お支払いする。たとえ少量でも、お買い上げの場合より、時間がかかります。

売り買いどちらにせよ、お客様との応対は言うまでもなく一番大切な仕事ですから、疎かにはできません。一旦気持ちをそちらに集中させます。

そこでさて、作業を再開しようとすると、その度に手元に置いたはずの雑巾が見つからない。そんなことを今日は、二度三度と繰り返しておりました。

一冊ずつ本を拭きながら値札をつけていきますので、雑巾は必須アイテム。固めに絞ってあるとはいえ、変なところに置きっぱなしにしては、下が濡れてしまいます。焦って探し回り、余計に見つかりません。

同じところを何度も探し、ついには見つけるのですが、作業以上に疲れてしまいます。

今日手をつけたのは、数ヶ月前の洋書会で仕入れたギリシャ語の一口。60冊ほどの中に、中世ギリシャ語辞典一組(15冊)が揃っていて、それを目当てに買いました。だから残りはすべて一冊300円均一。

といっても店主にはギリシャ語は文字通りGreek。何とかタイトルを判読、CA3K0381ならばまだ聞こえは良いのですが、ほとんど当て推量。それだけに、きっとお買い得品が混じっていると思います。

その中にこんな本も一冊混じっていました。奥付に英文表記があり、『ホテル・アイリス』であることが分かりました。それだけのことですが。

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2012年10月12日

明古の作法

交換会それぞれに特色はありますが、明古の場合はごく大づかみに言うと、一冊単価の低いものから高いものへと開札が進むように、出品物を陳列します。

開札されたものは発声といって、逐次落札金額と落札者が場内にアナウンスされます。その発声によって、次第に会場が盛り上がるようにという演出を考えているわけです。

「最終台」には、特に高く競り上がりそうなものが選んで置かれます。そしてこの「最終台」だけは、発声順にも決め事があって、落札価格の低いほうから、高いほうへと読み上げられます。

つまり「最終発声」はその日一番の落札価格品――、となるはずなのですが、必ずしもいつもそう、うまく行くとは限りません。途中に、思わぬ高値となった一山があって、逆に最終台の本に思ったような札が入らなかった場合などです。

CA3K0379そういう日は、何だか盛り上がりに欠けたような気になるのですが、実際に出来高としても、それほど伸びないことになります。

今日の市会では、それがうまく行きました。最終台に、いかにも珍しい、人気を呼びそうな本が並んだからです。つまり盛り上がり、出来高ともまずまずの結果となりました。

ちなみに、本日の最終発声はマヤコフスキー詩集『声のために』(1923年刊)。リシツキー装丁によるロシア・アヴァンギャルドを代表する一冊。

この本については、あれこれ説明するより百聞は一見にしかず。ネットで画像を見つけましたので、そのページをご紹介しておきます。(http://www.diy-jp.net/avant-garde-dog/)

今日は、このほかにも最終台に洋書が数点並びました。しかし、いずれも本というより美術的な面で価値がありそうなもの。旧蔵者も本のコレクターではなく、美術品のコレクターであるとか。

入札者も、洋書を扱う本屋に限らず、美術書、挿絵本を取り扱う業者も参加して、熱い闘いとなったわけでした。

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