2012年12月

2012年12月31日

理想の本屋を目指して

ついに大晦日、夕方5時過ぎまで営業。

開けてすぐ、本を1冊手にした男性が「今日もやってるんですか」と店に入ってこられました。その1冊は、お売りになりたいと、持ってこられた本です。

「開けているとこうして、売りに来られますからね」

その場では、半ば冗談のようにお答えしたのですが、実際今日一日、売れた本は数冊。一方で買取りが数件。

そのうち1件は大量の料理本。品薄が続いておりましたので、新年からしっかり補充できそうです。

もう1件は、井の頭線沿線にお住まいの昭和一桁世代の男性。いつも紙袋を2つほど、「年寄りには本は重い」などと言いながらお持ちくださいます。

たまに耳を折ったり、線を引いたりということがありますが、鮮度の高い本が多く、店で売るには重宝しております。

今日に限らず、押し詰まってからは、買い入れた本の整理など、「ヒマなのに忙しい」という状態が続き、結局のところ、店内はいつも以上に、取り散らかったまま年を越すということになりました。

CA3K0516考えてみれば例年のことです。

きれいに片付き、掃き清められた店で、新年のお客様をお迎えしたい、という気持ちがないわけではありません。どころか、それを理想としております。

しかし思うだけでは叶わない、何事も努力が肝心。ということで、またしても来年こそはと、性懲りもなく心に期する次第です。

どうぞ皆さま、良いお年をお迎えください。

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2012年12月30日

切迫した気配

昨日店を閉めた後のこと、一本の電話がありました。

「今『日本の古本屋』を見ているのですが、『抽象絵画の誕生』という本は在庫していらっしゃるでしょうか」若い女性の声です。

データベースを検索すると、幸い在庫場所は店の棚。受話器を持ったまま探し、すぐに見つかりましたので、有るとお答えしました。すると「そうですか、じゃあこれから伺います」と仰います。

「今日はもう閉店したのですが」と申しますと「えー、そうなんですか。わかりました…」それで一旦、電話が切れました。

CA3K0520ふと気になって着信履歴に掛けなおし、「どこからお掛けだったのですか」とお尋ねすると、「渋谷にいるのです」とのこと。

渋谷のどこ、とまではお尋ねしませんでしたが、15分もあれば来られるだろうと「それならおいでください、待っていますから」と申し上げたところ、弾んだ声で、「すぐ行きます」とのお返事。

やろうと思えばいくらでも仕事はあります。伝票の整理などして待っているうち、30分が過ぎました。

ちょっと時間がかかりすぎているのでは、と思ったところへ電話です。「いま△△の近くにいるのですが」と名を上げた建物は、まるで方向違い。「そこから歩いてくると10分くらい掛かりますよ」「走っていきます」

本当に走ってこられたのか、5分もかからずにご来店。見ればマスクをしておられます。大丈夫だったでしょうか。

無事、本をお渡しし、締める前のレジに2000円が納まりました。

「ほんとにすいません。課題図書なんです」まあそんなことだとは思いましたが、いつまでに読まなければならなかったのでしょう。

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2012年12月29日

飲酒率50%の忘年会

昨夜は、冷たい雨の中を神保町まで出かけ、「くろぶた きよし」で忘年会。同じ会場で何年続いているのでしょうか。

出席者に小店のカレンダーを配っているのですが、ある年、一部だけ余り、それを知った仲居さんからねだられて、差し上げたことがあります。

昨日も同じ仲居さんがおられたので、余った一部を差し上げたところ「ゴッホからいただいてます」とのこと。つまり少なくとも三年。その一年や二年は前から続いていると思います。

昨日余ったのは一部だけではありません。参加者が、思いのほか少なかったからです。総勢で15名のところ、今回の出席者は10名。それぞれやむを得ない事情があるとはいえ、ちょっと寂しいことでした。

ところでこの10人のうち、「お飲み物は何になさいます?」と訊かれて、5人までが「ウーロン茶」。何と半数が、お酒を飲まない人たちでした。もともと飲めない人が2人、車で来ていた人が1人、あとの2人は飲めなくなった人。

「飲んで飲めなくはないけど、飲むと苦しくなるんだよ肺気腫だから」と言って、皆から「そういうのは飲めるとは言わない」と突っ込まれたのは、仲間内での最長老。

この御仁はタバコもかなり吸っておられたのが、もちろんドクターストップ。そういえば昨夜は、10人のうちで喫煙者は2人だけでした。

しかし店主の知る限り、もともと喫煙の習慣がなかったというのは逆に2人だけ。一緒に理事会の仕事をしていた時でさえ、まだ半数以上がスモーカーであったと思います。

CA3K0517そんな時代の流れに、残る2人が肩身の狭い思いをしているかと言うと、すでに慣れっこ。それに臆するようでは、今日まで吸い続けていることはできないでしょう。ちなみに欠席者の少なくとも3人は喫煙者、ほぼ全員がお酒好き。

かくして半数しかお酒を飲まない会ではありましたが、話は楽しく盛り上がり、午後9時過ぎ、「また来年」と言って気持ちよく解散したのでした。

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2012年12月28日

今夜は忘年会

さすがに町が静かです。

今日が仕事納め、というところが多いことでしょう。今年の場合、銀行も今日で営業が終わるわけですから、支払い関係も今日中に済ませなければなりませんでした。明日からは、さらにひっそりとすること疑いなし。

CA3K0511小店も、店賃の振込みを済ませ、どうやらその他も、支払うべきは全て、払い終えることができたようです。その代わり、通帳残高は惨めなものになりましたが。

年内に残された仕事で一番大きなものは、年賀状作りです。今年も相変わらず、クロスワードパズル形式となる予定。自己満足(あるいは不満足)の極致ではありますが、いまさら別のパターンを考えるのも、それはそれで面倒ですので。

今日中に作り終えるつもりでおりましたところ、なんだかんだと時間をとられ、ようやく原案がまとまったという段階。版面の製作と印刷は、明日に持ち越しとなりました。

今夜は、これから忘年会に出かけることになっております。今から8〜10年前、一緒に理事を務めた仲間の忘年会です。

店主は都合5回の理事会を経験しているのですが、そのうち毎年忘年会を開くのはこの会だけ。もう一つ、新年会を定例としている会があります。

あとの3つの会は、世話役不在のため、開く機会がありません。なかには店主が、その世話役を引き受けるべき会もあるのですけれど、店主に限らず複数の理事会を経験している仲間も多く、つい遠慮をしてしまうことになります。

店主にとっても、仮に全ての会が忘年会なり、新年会なりを開くとすると、ずいぶんと忙しいことになってしまいます。ただ、普段顔を合わす機会のない仲間もいるので、たまには声をかけるべきかとも考えているのですが。

今夜はともかく、神保町の「くろぶた きよし」。会場も毎年恒例。ご報告は改めて。

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2012年12月27日

ヘンリ・ライクロフトの嘆き

紙袋一つ、二つといったペースで、まだ刊行後、比較的日の浅い本をお持ちくださる先生がいらっしゃいます。多くは寄贈本として送られてきたものでしょうが、本もきれいで売り易く、いつも助かっております。

今日も久々にご来店になり、また10数冊をお売りくださいました。例によって、値をつけて棚に差し、あるいはネットにあげれば、すぐに売れそうな本ばかり。

こういう先生が、あと何人かおられたら、小店の仕入れは随分楽になるのですが、そうは問屋がおろしません。

今日お持ちいただいた中に、洋書が一冊混じっておりました。ご専門からして、洋書があること自体には何の不思議もないのですが、ただ一冊、他の本とは不釣合いで、思わずしげしげと眺めてしまったのです。

高さが23.5cm、幅が19cm、ソフトカバー。初めは教科書か、サブテキストだろうかと思いました。しかしすぐにこれこそが、かの悪名高き「出版スパム」、Kessinger社のPOD本であると分かりました。刊年もなければ、原本についての表記もありません。いわば「あおぞら文庫」をダウンロードして印刷製本しただけのようなもの。

イメージ (107)この本が『ヘンリ・ライクロフトの私記』であるというのは、大いなる皮肉かもしれません。というのも、経済的に恵まれなかった愛書家の、まさに心を打つ文章が、そこには書かれているはずだからです。

店主はその文章を、中学生になって通い始めた、小さな英語塾で読まされた記憶があります。もちろんその当時は、戦前アメリカに暮らしたという老先生が、口を極めて絶賛するギッシングの文章に、全く感じるところはなかったのですが。

さいわい店の棚に岩波文庫の一冊を見つけました。日本語のありがたさ、中を開いて、すぐに該当の箇所を探し当てました。

第45頁から始まる第12章。いつの間にか、読んだことすら忘れておりましたが、この一章を含め、本書は今こそ読むべき本なのかもしれません。

この難解な文章を、半世紀近い昔、中学生相手に講じた老先生の面影が、俄かにはっきりと浮かんでまいりました。

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2012年12月26日

椅子は座るために有る

朝の冷え込みは昨日ほどではありませんでしたが、日中は昨日の方が暖かかったような気がします。表の本をご覧になるのも、さぞ寒いことでしょう。

CA3K0512そう案じておりましたら、お昼時、一人のお客様が、表の正面にある洋書棚から本を数冊ずつ抜いては店内に入り、入口横の机の上にスペースを作って、そこに本を乗せておられます。

何度か繰り返し、14〜5冊にはなったでしょうか。すると今度は、やおら机に押し込んである椅子を引き出しました。

この椅子は、まあ飾りのようなもので、普段から座面には本が置いてあります。この時もそうでした。しかしお客様は悠揚迫らぬ態度でその本を取り除け、腰を掛けられました。

そうして次に、本の山を選り分け始めました。ざっと2対1の比率で分け終えると、その小さく積みあがった方を、さらに一冊ずつ、ためつすがめつ吟味されておられます。

一通り吟味を終えると、立ち上がって、今度はお金を数えておられるようです。千円札を1枚、それに硬貨を何枚か、出したり引っ込めたり。

申し遅れましたが、このお客様は年配の外国人男性。始めのうちは随分ご老人にお見受けしたのですが、こうしてご様子をうかがううち、店主といくらも違わないように見えてきました。

さて、ようやく決心がつかれたようで、5冊の本をこちらに差し出されました。それまでずっと固い表情でしたが、その一瞬だけ、僅かに顔をほころばせて。

昨日の外国人とはうって変わって無口な方でした。値段を訊かれたのと、帰り際のひと言くらい。それにしても、このペースで本を選ばられるなら、今日のような寒さでは、確かに店内でなければ無理でしょう。

椅子は戻していかれましたが、選り除けた本は、食べ残した料理のように机の上に残っておりました。

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2012年12月25日

市場納めの日

寒い朝でした。我が家で初霜柱と、初氷を観測。もちろん、今日まで見逃していただけかもしれませんが。

店を開けてから、古書会館へ。本年最後の洋書会、明古は既に終わっていますので、これが店主にとって本年納めの市となるわけです。

出品量は少なめ、しかしよく見ていくと、案外面白いものも出ていて、何点か札を入れてみたのですが、ちゃんと見ている人はいるもので、そう上手くは落とせませんでした。

少々出品、少々落札、差し引きで若干の売り越し、というのが店主の最終市。午後4時前には会場も片付き、会員相互に「良いお年を」と声を掛け合って、市場の一年が終わりました。

交換会は明後日、木曜日の一新会まで続きます。28日の金曜日は組合の清算日、半期の経理が、ここで一旦締められます。しかし今年の夏で組合役員を退いたので、もう様子を見に出かける必要はありません。例年になく早々と「冬休み」に入りました。

市場が休みになっても、店がお休みになるわけではありません。小店の営業は、例年通り年内30日までは通常営業(土、日の営業時間にご注意ください)。31日は、片付けなどしながら昼過ぎくらいまでは営業する予定です。年明けも昨年同様、1月3日から営業開始の予定。

CA3K0507ただし、この年末から年始にかけては、店内を大幅に片付けることにしております。ご来店の際、ちょっと落ち着かないことがあるかもしれませんが、ご容赦ください。

今日市場で何人かの同業と簡単な挨拶を交わした折、一様に口をついて出たのは商売の不振と、将来への不安。新しい年へむけて、明るい話題は聞かれませんでした。

しかし、この年の瀬、テレビ番組などでも貧困問題が良く取り上げられていて、たまたまそうした番組を見たりすると、やりきれない思いと同時に、まだまだ自分たちは甘いと思わされます。

来年は、小店も、わが業界も、生き残るために更なる努力が求められそうです。

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2012年12月24日

日々の神様

クリスマスというのは、キリスト教がヨーロッパで布教を進めるにあたり、土着信仰を取り込む形で成立した――という話を、毎度お馴染み「カルチャーラジオ」で最近聞いたばかりです。

正確には「カルチャーラジオ:文学の世界 グリム童話の深層をよむ〜ドイツ・メルヘンへの誘い」という木曜日の番組。講師は高橋義人氏。もう少しお歳かと、勝手に声から判断しておりましたら1945年生まれ。店主より5歳年長なだけ。

芝居気たっぷりに童話を読み上げたり、時おり聴衆に質問を投げかけられたりと、表情豊かな講義。あと、1、2回でお終いです。これまで聞いた中の、ベスト10には入れられそう。

ちなみにベスト1はというと、火曜日の「歴史再発見」シリーズで何回か前になる「アメリカ先住民から学ぶ―その歴史と思想 」でしょうか。講師は阿部珠理さん、立教大学の先生です。

イメージ (106)さて、この三連休、いつにもましてお客様が少なく、ただ毎日お一人ずつ、救いの神のように、まとまったお買い上げがありました。

土曜日は、午後6時の閉店間際に入ってこられ、今年もカレンダーはありますかとお尋ねのお客様。毎年今ごろに来られるのだとか。もう少し頻繁にお越しいただきたいところです。

日曜日は夕刻、ネットで見たと仰って Karl E. Beckson, Oscar Wilde Encyclopedia. をお買上げのお客様。12,000円の値がつけてありました。

今日はお昼過ぎ、フランス人らしきお客様が、1時間ほども店内を見回って、紙袋1杯のお買上げ。他に大きな荷物もあり、これから文化村へ行きたいということでしたので、タクシーを呼んで差し上げました。

それが来るまでの数分間、強いフランス語訛りの英語でいろいろと話しかけられたのですが、はっきり聞き取れたのは「カルチェラタンに来たようだ」などというお世辞(?)くらい。

あるいはそれも、勝手な思い込みだったかもしれません。

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2012年12月23日

便利の果て

時々ebayで本を買うことがあって、その送金にPayPalを利用しています。というよりPayPalが利用できるようになって、ebayで本を買うようになったというのが正確です。

小店程度の頻度と金額の場合は、特にビジネス用の仕組みを必要としません。とても簡便で、国内のものを購入するのと特に違いがなく、助かっています。

ところが、最近になって、支払い累計金額が10万円を超える場合は、本人確認手続きが必要であるというメールが入りました。

以前に、似たようなメールで本人確認を求められ、手続きをした覚えがあります。その時は、サイトの中で簡単に手続きが出来、制限解除の知らせが届きました。

イメージ (105)疑問に思って問い合わせメールを出したところ、直に返事が届き、どうやら前回とは別に、PayPalが「資金代行業者」から「資金移動業者」になったための法令上の要請だということでした。

もう一つよく理解は出来ませんが、届いたメールに懇切丁寧な手順案内が書いてあったので、ともかくあらためて手続きをいたしました。

そのなかで本人確認書類を送れとあります。これは確かに前回にはありませんでした。しかもその書類の送り方は、画像ファイルにしてそれをアップロードするというもの。

免許書をスキャンしながら、自分がひどく時代から取り残された人間のように思えてきました。こんなことは、あるいはすでに常識なのかもしれないのに、おっかなびっくり、手順案内を読みながら、ファイルを送ったのです。

今日になって、こちらの届けた住所と、免許書の住所に僅かな違いがあるので、それを修正して再度送信せよとの指示が届きました。そうした一連のメールの文面が、何だか機械的に生成されたよう。ほとんどの部分がパターン化されているのでしょう。

ハルから指令を受けているような気分になってきたのでした。

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2012年12月22日

恥の上書き

ご覧になった方がどれほどいらっしゃるかは存じませんが、昨日のブログは、最後の文章がひどいことになっておりました。一読、いや何度読んでも意味不明、ほとんどシュールな文面、ジョイスも真っ青。

今朝、家人のチェックが入り、急いで修正いたしましたので、現在は一応意味の通る文になっているはずです。内容が「ひどい」というのは、もちろん別問題。

原因は、書き直しを繰り返しているうちに、文字変換の誤りが生じてそれを見過ごし、その上に入れ替え、挿入といった切り貼りでのミスも加わって、渾然となったためです。

然るに、日付が変わる時間が迫り、結局ろくに確認もせずにアップしてしまったようでした。従いまして、正味8時間ほど、小店のフィネガンズ・ウェイクがネット上に漂っていたことになります。

今になってみれば、大慌てで修正せずに、あるいは原形をどこかに残してもよかったかと、ちょっと残念な気もいたします。万一にもお読みになった方がおられましたら、以上のような理由であり、決して酔っていたわけではないことを、申し上げておきます。

何しろその後、家まで車で戻ったわけですから、この点は釈明しておかなければなりません。

CA3K0506三連休は雨で明けました。午後には上がってきましたが、このあと強い寒気がやってくるとか。

N先生が久々ご来店。何ヶ月か前に研究室から本をお引取りして、「今度店に行ったときに」と言われ、そのまま未清算になっていました。

思い出してみると、まだ9月の暑いころ。随分お見限りであったわけですが、本日その代金一万円をお支払い。すると、店内を一巡りして、およそ半分にあたる額を、お買上げくださいました。

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