2013年01月

2013年01月31日

Today's Japanという雑誌

CA3K0599よく素性のつかめない雑誌です。Cross Continent という会社が発行元になっていますが、国会図書館の蔵書を見ても、Webcat を調べても、この雑誌以外には数点の刊行物の記録しかありません。

雑誌自体も、1955年から1961年までの間、月刊だったり隔月刊だったりして、そもそも何号出たのかも分かりません。察するに会社そのものも、短い期間しか存在しなかったのでしょう。

ちなみに、その後 Orient/West という名に変わって、1969年まで発行されていたようです。本書はその5周年記念号(1960年)。

この記念号の主な内容をご紹介すると、次の通り。
The "Real" Japan: R.H.Blyth. Three Japanese Poems of the Eighth Century: Earl Miner, Robert Browner. The Big Family: Donald Richie. Psalmanazar: Edmund Blunden.
The Environs of Seiganji Temple: Ayako Sono. The Poems by Chuya Nakahara: Donald Keene. Swaddling Clothes:
Yukio Mishima; Ivan Morris, translator...

全部で149頁ですから、一本ずつは短いものですが、結構錚々たるメンバーが並んでいます。これから見ても、決してただの泡沫雑誌ではないように思いますが、しっかりした足跡を残せなかったのは何故でしょう。

記念号ということもあるでしょうが、広告もしっかり取れています。別立てで58頁、ただし、なんとなく「お付き合い広告」という感じがしないでもありません。

Maurice Schneps という編集者は、発行人である Marvin Meyer がわざわざ日本に連れてきた人のようです。しかし、発行された時代を考慮に入れても、さほど垢抜けた編集とは見えません。何かが足りなかった、ということでしょうか。

キーンさんは中也の詩、二作を訳しています。その冒頭に付けられた Editor's Note なる短文の中で、中也の生没年が1907-1931となっているのに気が付きました。実際は1937年。brief life には違いありませんが。

ちなみに、訳した詩のタイトルは Spring will come again と
Bones。さて原題は?ちょっと簡単すぎますかね。

さて、1月も終ってしまいました。

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2013年01月30日

ワケがあることもある

CA3K0590ネット商売で「控えめ」というのは美徳でないばかりか、欠点でさえあるかもしれません。

小店では本の状態を説明する際、欠点についてはなるべく詳しく書こうと思いますが、特に問題のない、きれいな本について、美本だとか、新本同様だとか言うようなことは、書かないようにしてきました。

これは、目録販売などでは比較的普通のお約束です。紙面を節約して、一点でも多くのタイトルを載せようとすれば、削れる情報は削るというのは当然のことだからです。決まった言葉は短い略語にするのも、同じ理由です。

必要から始まった慣習ではありますが、店主はそれ以上に、床しさとか、主客の信頼関係といったものを大切に感じて、ネット販売においても、つい言葉を節約してしまうのです。

しかしネットでは、それは不親切ということで片付けられてしまいます。きれいならきれいといって欲しい、なぜ言葉を惜しむのか、というわけでしょう。

ご注文を受けた際に、確認のメールの中では、いちおう「良い状態」であることは申し上げます。しかし、時にそれだけでは足りず「詳しい状態」を知らせて欲しいと求められることがあります。

そんな時、一番悩むのは、どの程度の説明をお客様が求められているのかが分からない点です。新本同様の場合でも、そうお答えして、僅かな擦れキズを指摘されないとも限りません。

だから新刊が出ている本の場合などは、つい「どうぞ新刊をお求めください」と答えたくなります。

ただ、以前こんな例がありました。

人から借りた本を失くしてしまった。それを返すのに、少なくとも借りた本より良い状態のものを探したい――と。ですから、ストレスを感じながらも、できる限り丁寧にお返事を差し上げるようにしているのです。

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2013年01月29日

続けたいこと

洋書会の一月当番が、今日でお終い。最終回ですから、お昼は恒例の「うなぎ」。4回のお勤めを果たしていただく「うな重」は、いつもながら格別のものです。

4回というのは、ほぼフル出動。月に同一曜日は4回から5回あるわけですが、そして今月の火曜日は5回あったわけですが、一回目は新年元旦で市場がお休み。ですから計4回。

恥ずかしながら、その4回とも少しずつ遅刻してしまいました。今朝も出がけに、受注メールの返信などに手間取ったりいたしまして。途中でお詫びのメールを仲間に送り、15分ほど遅れて着いた時は、もう作業が始っておりました。

先週のゲーテ関係の続きがあり、他にも何件か出品があって、ほぼ前回と同様、いわば「並」の出品量。小店も、カーゴ一台を出品。

こちらは少しばかり誇って良いと思うのですが、今月の4回、量の多少はあっても、毎回欠かさず出品することが出来ました。誤解なさらないように。他に対して誇るつもりは毛頭ありません、自分自身に、よく頑張ったと、まあ単なる自己満足です。

市会に貢献できたというほどの売上高でもなく、単に自らに課した、在庫の整理という作業が、いくらか進んだというばかり。しかも、少しは減ったはずの在庫は、相変わらず店の通路や、バックヤードにうずたかく積みあがったまま、その景色を少しも変えていません。

CA3K0594あの雪の日から二週間、腰の不調はなかなか治まらず、片付けなどという楽しくない仕事に取り掛かるには、常に倍する気力を奮い起こす必要があります。

それでも、折角続けてきた出品を、この際、出来る限り継続していきたい。継続は力なり――赤尾の豆単を思い出しますね。

継続出来ずに挫折した経験なら、それこそ枚挙にいとまがないほどあります。その成れの果てが、いまさらそんな言葉を口にするのも、考えてみればおかしな話ですが。

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2013年01月28日

現在なお進行形

前にも申しましたが、今回の模様替えについて、お客様から表立ってご不満を聞かされることは、今日までのところありません。

皆様、礼儀正しい方ばかりなので、面と向かってご感想を言われることは控えておられるのでしょう。だとすれば有り難い限りですが、一方で、もともと大してご関心がないのかも知れないという疑念も、捨て切れません。

CA3K0588そんな矢先、人づてに、どなたかがtwitterで、「河野書店から現代思想関係の棚がきれいになくなった」と、嘆いておられるということを聞きました。

やはり残念に思っておられる方もおいでなのだと、ホッとしたような、うれしいような気分になりました。

しかし、自身で文面を確認もせず申し上げるのも憚られますが、どうもご認識が正確ではない。確かに現代思想関係は、もとあった場所から完全に撤去されましたが、別の場所に移動して、並べてあります。

もちろん全部というわけには参りません、分量にして6割程度でしょうか。ただし需要の高いものを優先して残したつもりです。社会学関係も、心理学、言語学関係も同様に、場所が変わって、セレクトされたものが並んでおります。

目下、完全に撤収されている分野は、日本、東洋関係の洋書くらいのものでしょうか。和書については、棚を遣り繰りし、並べる本を選びながら出来る限り押し込めています。

また、これまでほとんど活かされていなかった、裏のスペースを少しずつ片付けております。これはまだ何時頃とお約束の出来るような段階ではありませんが、やがてはお客様にご覧いただけるような状態に整理したいと思っています。

その過程で、余剰在庫を思い切って値下げし、サービス品としてどんどん表に並べる予定ですので、こちらの方も、是非ご期待いただきたいと存じます。

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2013年01月27日

ルーチンの罠

本当は、簡単に書誌データを作れないような本を扱うのが、古本屋の王道なのだと思います。

小店も日々、在庫をデータ登録するために、ネット上の書誌データベースを検索して書誌情報を呼び出し、それを取り込んで多少の修正を加え、自分のデータベースを作っています。

仕事の能率から言えば、ISBNが付いている本が一番簡単。バーコードが付いていればさらに楽です。バーコードリーダーという便利な機器がありますから。

たとえISBNがないような古い本でも、国会図書館をはじめとする各種の検索サイトで、まず大方の本のデータを見つけることが出来ます。

見つけたらそれを取り込んで、自分の持っている本との異同を確かめ、修正確認して独自の書誌データとする。多少手間は増えますが、面倒というほどのことはありません。ほぼルーチン化した作業です。

しかし、こんなことを繰り返しているだけでは、既に世間に溢れている本の一冊を自分も在庫している、ということを表明するだけのことに過ぎません。

CA3K0585天下一本などという大それたことは望みませんが、他ではあまり見かけない、手に入りにくい本というのが、古本屋にとってあらまほしきものであることは、昔からの理です。

ということは、ちょっと調べたくらいではデータが見つからないような本、つまり自分の手で本をひっくり返して、その書誌情報を作り出さなければならないような本こそが、本来私たちの扱いたい本である筈です。

とはいうものの、いざ現実となると、手間のかかる本より、簡単にデータ化してネットにアップできるような本、それでいてすぐに売れる本(ちょっと虫が良すぎますか)に、関心が向かいがちです。ために新刊に近い本の相場は、昔より全般に高くなっているのじゃないでしょうか。

結果として自分たちの利を薄くし、ひたすら数をこなすことが求められ、ますます手っ取り早くデータが取れる本へと、集中していくことになるというわけです。

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2013年01月26日

バイクの使者

出来る限り正確に再現したいと思いますが、ちょっとは違っているかもしれません。しかしこんな具合でした――

「××社のWさんの、お金を払いに来ました」

CA3K0587突然入ってこられたブルゾン姿の中年男性が、そんな風に仰って胸元から封筒を取り出されます。いささか面食らって「どちらへご用ですか」と思わず伺ってしまいました。

すると「お話が通ってませんか」と、気分を害されたご様子で「ちょっと確かめてみます」と、携帯を操作され、出た相手に「事情が分からないようですから、そちらから電話してください」。気が付けば、ヘッドセットを着けておられるようで、どうやらバイクに乗ってこられたらしい。

××社はwikipediaによれば、「映画製作・配給、海外テレビ映画の輸入配給、テレビ番組制作、CM制作、セールスプロモーション・イベント制作事業、衛星放送事業などをおこなう企業」――もちろん、名は存じておりました。Wさんというのは、ごくありふれたお名前。

やがて小店の電話が鳴り、受話器をとると「お昼頃にお電話したWと申します」――それでようやく事情が飲み込めました。

このWさんは『異色の江戸絵画 : アメリカ・プライスコレクション』の在庫確認のお電話をいただき、あれば今日中に取りに行くと言われた方。つまりその本の引き取りに、バイク便を使われたという次第でした。

話が見えなかった大きな理由は、ご本人がそもそも会社名を名乗っておられなかったことですが、もう一つは、バイク便の方が、本を引き取りにきたということを一つも言われず、ただ「お金を預かってきた」の一点張りだったこと。てっきり未払い代金のご清算かと、納品データを繰り返し調べました。

もちろん、バイク便で引き取りに行くと予めお話があれば、何ということもなかったのですが、これは途中で事情が変わられたのかもしれません。

やっとのことで解決し、本をお渡しするとこの方、「××社の人はちょっと非常識ですから」と、ようやく機嫌が直ったように仰って、帰っていかれました。

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2013年01月25日

淋しい中にも救い

CA3K0580夜になって冷え込みが厳しくなってきました。明治古典会終了後、いつもの仲間と、近頃定番の「うどん屋」へ。一杯飲るのにウーロン茶で付き合って、「力うどんハーフサイズ」で締めて、戻ってきたところです。

今日の明古は特選市。量より質、が狙いではありますが、ちょっと寂しい出品量でした。市会が終ってから、来年の七夕大入札会へのスタートともいえる会議。

厳しい経済、業界環境の中、背水の陣で臨むことを確認。今出来る努力はすべて行った上で、その結果次第では、来期以降、全く新しいイベントに取り組む。それくらいの気構えが必要、ということ。

今日の明古に較べ、昨日の一新会は、大量出品で賑わったようです。噂が先行して、一時はその話で持ちきりでした。何しろダンボール2000箱の出品というのです。

直前になって、実際に詰めたところ1000箱で納まったと分かり、さらにそれを500箱ずつ、二回に分けて出品することとなり、その一回目が昨日の木曜日だったのです。

それでも大変な量です。延べ60人を動員して、何とか市会を開催、片づけまでを通常の市会で済ませたのですから、関係者はお疲れになったことでしょう。

この出品は、数年前にご店主の逝去に伴い廃業された、ある地方の古書店の在庫だとのことでした。嬉しい話ではありません。

しかし、10坪程度の小さなお店だったということですが、そこにそれだけの本が詰まっていたというのは、同業の目から見ても、ちょっと驚きです。

一般書が中心の、いわゆる「町の古本屋」さんだったらしいのですが、その在庫処分は、案外良い出来高になりました。

小店主は不熱心で、一新会に足を運びませんでしたから、この目でその出品物を見たわけではありませんが、その金額を聞いて、おそらくは、しっかりした見識を持った、良いお店だったのだろうと、ひそかに敬意を感じた次第です。

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2013年01月24日

本という表現

昨日に続いて、19世紀に出されたゲーテ文献をネットで検索して調べています。

本当は専門の書誌に当たるべきでしょうが、ある程度はWEB上の情報で間に合います。というより、本屋が一番知りたいのは本の相場ですから、世界中の販売サイトをクロス検索するのが、もっとも手っ取り早い方法です。

今更のようにわかったことは、ドイツ語の本でさえ、オンデマンドや、デジタル出版の波に、あらかた覆いつくされようとしているということです。

書名を入れて検索をかけると、殆どの本に「新刊あり」の表示が出ます。それは「ご注文があればいつでも作ります」という意味なのでした。

新刊しかないという例もあります。オリジナルが見つからないということで、だから貴重なのかと思うと、研究書などの場合は、それほど高い値がつくわけでもなさそうです。そうそう「化け」ません。

しかし100年を超えて生き延びてきた本です。何とかして、新たな受け入れ先を見つけてやりたい。

イメージ (110)一方で文学作品、とりわけ詩集などの場合は、本の形も味わいの重要な一部分ですから、まだ古書の生き残る余地はありそうです。

例えばこの小さな詩集。横9.2cm、縦12.8cm、本文袋綴じ12葉、中には短詩が16篇。これをデジタル化したところで、何の意味もありません。Cid Corman 自身の手による、Origin Pressの1962年刊。

日本とアメリカとを何度も行き来して、最後(2004年)は京都で亡くなったこの詩人、その名前に懐かしい響きを感じる人には、この片々たる冊子も、それ自体が詩人の表現として貴重である筈です。であって欲しい。

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2013年01月23日

「化ける」

昨日の洋書会で買った本が、ルート便で運ばれてきました。

正確に言うと、「コショタン」が描かれた、いつものルート便のトラックではなく、ピンチヒッターとかで、別の運転手さんが通常のトラックで運んでくれました。

運送日時を決めて、割安料金で運ぶというルート便は、古書組合の流通サービスとして、少しずつ定着してきています。しかし依然、専用に使える車両は一台だけ。

その一台に「コショタン」、並びに「日本の古本屋」の宣伝文句が貼り付けられているのです。

どこやらの黄色いトラックとは違って、殆ど目にされる機会はないでしょうが、何しろ古書業界のこと、「レアもの」は貴重なのだと言っておきましょう。

減らず口は措いて、今日届いた昨日の成果は、面白いものですが手間のかかりそうなものばかり。

ゲーテ研究者の一口から、仕分けの一つの切り口として、19世紀に刊行されたものばかりを集めたら、20冊ほどになりました。自分で仕分けた責任上、適当な札を入れておいたら、一番上札で落ちてしまったのです。

同じく、比較的最近の研究書をまとめて、やはり20冊ほどになったものにも札を入れておいたのですが、こちらは手に入れることが出来ませんでした。

売り安さで言えば、後者でしょう。値付けも簡単ですし、本がきれいですから、そのままネットにあげるなり、棚に差すなりしておけます。

CA3K0583片や、小店が仕入れた古い本は、まずその価値を調べるのに時間がかかる。さらにネットにあげるにしても、状態の説明に苦労する。店に並べるとなると、壊れそうなところを保護しておく必要がある、などなど簡単ではありません。

しかし、新しいほうを買った業者に「そっちが欲しかった」と悔しがると、「化けるのはそっちでしょう」と返されました。

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2013年01月22日

さすがはゲーテ

朝まだ暗いうちに目が覚め、思わず外から聞こえる音に耳を澄ましました。雨が夜のうちに雪に変わっているのではないかと。

そんなときに限って、なかなか車が通りません。もしや大雪ではと、一瞬不安になりましたが、やがて濡れた路面を走るタイヤの音。どうやら、チェーンをつけて走っている車はいないようです。

ほっと安心して、もう一度目をつむり、布団の中でぐずぐずしておりました。

CA3K0581いつも通りの時間に車で店に。雨で濡れないよう、ぐっとコンパクトに表の棚を並べて、古書会館に向かったのは午前9時半過ぎ。

もう少し早く出ないと、午前10時までには着きません。分かっていても、いつも出がけに何やかやと細かい用事が見つかって、今朝も若干の遅刻となってしまいました。

洋書会は、久しぶりにカーゴ複数台の出品がありました。それも二口、フランス語の口とドイツ語の口。お昼まで仕分け作業に追われたのは、今年初めてです。

フランス語の口はBernanos、Julien Green、Saint-Exupery、といったあたりの文学研究書が中心で、どちらかといえば地味な作家たちですから、仕分けが難しい。幸い田村書店さんが来てくださいましたので、当番でもないのに、お任せしてしまいました。

ドイツ語のほうは、これはほぼGoethe一辺倒。全集が何種類かと、数百冊の研究書。僅かに辞書、語学書が混じるほかは、同時代の文学者の本さえ、殆ど見当たりません。

これはこれで仕分けが難しいのですが、ともかく入札しやすい程度の山に仕分けて、何とか札を入れてもらいました。小店も、数点落札。

このドイツ語の口は、来週また続きが出ることになっています。今回と同じ程度の分量とか。やはりゲーテなのでしょうか。シェイクスピア同様、専門店が一軒作れそうです。売れるかどうかは別として。

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