2013年01月
2013年01月21日
虎を譲り渡す
店内の模様替えをして、ご常連さんからは、もっとご批判を受けるかと思ったのですが、皆様、案外穏やかに受け止めてくださっています。
こちらが先回りして、弁解やら、これからの計画(いつになるとも知れませんが)などをお話しているからでもあるでしょう。
逆に「すっきりしましたね」(これは皮肉かもしれません)とか「素敵な雰囲気ですね」などと仰っていただくこともあり、そんなときは、かえって面映い気分になります。
中には、全く気づいておられないのではないかと思うほど、いつも通りに淡々と本を選び、お会計を済ましてお帰りの方もいらっしゃいます。
しかし今日はお一方、店内に入るなり「ハッ」と言って立ちすくまれ、辺りを見回し、もう一度「ハッ」といって、そのままお帰りになられたお客様がおいででした。
不思議なのは、別段、取り払ってしまった棚の本にご用がありそうには、お見受けできなかったことです。
取り払ったといえば、表の絵本棚も移しました。絵本そのものは別の棚に並んでいますが、なくなったものもあります。
「あの虎はどうしましたか?」――二人連れのドイツ人から、尋ねられました。以前に「これは売り物ですか?」と訊かれ「違います」と答えたところ「残念」と、未練たっぷりに棚に戻された方たちです。
時々お見かけしていますが、月に一度、駒場に来られるのだとか。店先の様子が変わって、いの一番に「虎」の不在に気づかれたらしい。
家に仕舞ってあると話すと、できれば譲って欲しいと、依然、ご執心の様子。もともと安く手に入れたものですから、同様に安くお譲りすることにいたしました。
お引渡しは次回ご来店、つまり来月の予定です。
こちらが先回りして、弁解やら、これからの計画(いつになるとも知れませんが)などをお話しているからでもあるでしょう。
逆に「すっきりしましたね」(これは皮肉かもしれません)とか「素敵な雰囲気ですね」などと仰っていただくこともあり、そんなときは、かえって面映い気分になります。
中には、全く気づいておられないのではないかと思うほど、いつも通りに淡々と本を選び、お会計を済ましてお帰りの方もいらっしゃいます。
しかし今日はお一方、店内に入るなり「ハッ」と言って立ちすくまれ、辺りを見回し、もう一度「ハッ」といって、そのままお帰りになられたお客様がおいででした。
不思議なのは、別段、取り払ってしまった棚の本にご用がありそうには、お見受けできなかったことです。
取り払ったといえば、表の絵本棚も移しました。絵本そのものは別の棚に並んでいますが、なくなったものもあります。
「あの虎はどうしましたか?」――二人連れのドイツ人から、尋ねられました。以前に「これは売り物ですか?」と訊かれ「違います」と答えたところ「残念」と、未練たっぷりに棚に戻された方たちです。
時々お見かけしていますが、月に一度、駒場に来られるのだとか。店先の様子が変わって、いの一番に「虎」の不在に気づかれたらしい。
家に仕舞ってあると話すと、できれば譲って欲しいと、依然、ご執心の様子。もともと安く手に入れたものですから、同様に安くお譲りすることにいたしました。
お引渡しは次回ご来店、つまり来月の予定です。
2013年01月20日
ご縁
お昼に一軒宅買い。
数日前にお電話があり、洋書の音楽、演劇、それもクラシックではなくジャズ、ミュージカルといった類をご処分されたいとのこと。何軒か断られた末、小店に辿りつかれたようです。
洋書ということで、神保町あたりの洋古書店に電話をされたらしい。そこでは専門が違うということで、引き受けてもらえませんでした。音楽の専門店に掛けたところ、こちらでは洋書は扱わないとでも言われたのでしょうか。
どちらが先で後だったかは存じませんが、そんな具合でお困りになった末、どこからか洋書の、しかも演劇、音楽関係を扱う店として、小店を紹介していただいたようです。
今回処分をお考えの本について、お電話口でいろいろとご説明くださいました。しかしそれらは、伺っただけでも、あまり値がつかないと判断できるようなものです。
正直にそう申し上げたところ、とにかく片付けてもらえればよいとのこと。お名前を伺うと、その分野では何冊かの著作もあり、名を知られた方です。これもご縁と、今日のお昼前の時間を約束してあったのでした。
ちょうど店主の父親ほどの年齢の方ですが、夜型なので、午前中は避けて欲しいと言われたのを、こちらの都合も汲んでいただき、そんな時間になったのです。
お会いしてお話しするうち、洋書だけでなく、戦前から戦後にかけての大衆芸能の資料をお持ちであり、それも追々処分して行きたいというお考えを伺いました。
こちらは願ってもないお話です。膝を乗り出すようにして、是非にと申し上げると、それでは手始めにと仰って、一部の資料をお預けくださいました。
洋書のほうは、お話になっていたよりずっと量は多かったのですが、想像していたとおりのもので、あまり良い値はつきそうもありません。それでもともかく、まとめてお引取りしてまいりました。
それぞれ来週の明治古典会と、再来週の洋書会とに出品するつもりでおります。
数日前にお電話があり、洋書の音楽、演劇、それもクラシックではなくジャズ、ミュージカルといった類をご処分されたいとのこと。何軒か断られた末、小店に辿りつかれたようです。
洋書ということで、神保町あたりの洋古書店に電話をされたらしい。そこでは専門が違うということで、引き受けてもらえませんでした。音楽の専門店に掛けたところ、こちらでは洋書は扱わないとでも言われたのでしょうか。
どちらが先で後だったかは存じませんが、そんな具合でお困りになった末、どこからか洋書の、しかも演劇、音楽関係を扱う店として、小店を紹介していただいたようです。
今回処分をお考えの本について、お電話口でいろいろとご説明くださいました。しかしそれらは、伺っただけでも、あまり値がつかないと判断できるようなものです。
正直にそう申し上げたところ、とにかく片付けてもらえればよいとのこと。お名前を伺うと、その分野では何冊かの著作もあり、名を知られた方です。これもご縁と、今日のお昼前の時間を約束してあったのでした。
ちょうど店主の父親ほどの年齢の方ですが、夜型なので、午前中は避けて欲しいと言われたのを、こちらの都合も汲んでいただき、そんな時間になったのです。
お会いしてお話しするうち、洋書だけでなく、戦前から戦後にかけての大衆芸能の資料をお持ちであり、それも追々処分して行きたいというお考えを伺いました。
こちらは願ってもないお話です。膝を乗り出すようにして、是非にと申し上げると、それでは手始めにと仰って、一部の資料をお預けくださいました。
洋書のほうは、お話になっていたよりずっと量は多かったのですが、想像していたとおりのもので、あまり良い値はつきそうもありません。それでもともかく、まとめてお引取りしてまいりました。
それぞれ来週の明治古典会と、再来週の洋書会とに出品するつもりでおります。
2013年01月19日
時には振り返る
今朝家を出るとき、車の温度計が示す外気温が0℃。過去に一、二度、そんな数値を見たでしょうか。我が家の辺りでは、めったにない寒さです。
それでも日差しがありましたから、日中は10℃くらいまで上がったようで、風も穏やかでしたから、昨日よりずっと暖かい一日になりました。
今日と、明日と、センター試験の受験生は、良い天気に恵まれそうです。ただし、全国どこでもというわけには行きません。冬の北日本は、厳しい天候に見舞われるのが定めですから。
血液型で性格が異なるなどと信ずることはできませんが、育った風土、とりわけ気候によって、独特な気質が育てられるということは、充分想像できます。
北国の受験生が乗り越えなければならない雪と寒さの日々は、必ず自身に良い実りをもたらしてくれるはず。ついそんなエールを送りたい気分になるのは、先日の雪が、まだそこかしこで不便を残しているからかもしれません。
土曜日、日曜日はQuaint Design さん(の若い女性)が店番をしていただけることになっていますが、インフルエンザに罹られたとかで、本日は、店主が一日店番。
週に一度、近くのフランス語学校に講師としてやってくる某先生、時々その帰りに小店に寄られ、車中で読む文庫本などを買っていかれます。
今日も今日とて、一冊持って帳場まで来られ、お勘定を済まされて、さてお帰りになろうという段になって、「あれ?」。
「ここにあった本棚はどこに行ったの?」――振り向いてようやく店内の様子が変わっていることに気づかれたようです。
それからしばし店内を見回し、踵を返すと「人生、時に振り返ることが大切、ということか」と、シャンソンの一節にでもありそうな独り言をつぶやきながら、退場されたのでした。
それでも日差しがありましたから、日中は10℃くらいまで上がったようで、風も穏やかでしたから、昨日よりずっと暖かい一日になりました。
今日と、明日と、センター試験の受験生は、良い天気に恵まれそうです。ただし、全国どこでもというわけには行きません。冬の北日本は、厳しい天候に見舞われるのが定めですから。
血液型で性格が異なるなどと信ずることはできませんが、育った風土、とりわけ気候によって、独特な気質が育てられるということは、充分想像できます。
北国の受験生が乗り越えなければならない雪と寒さの日々は、必ず自身に良い実りをもたらしてくれるはず。ついそんなエールを送りたい気分になるのは、先日の雪が、まだそこかしこで不便を残しているからかもしれません。
土曜日、日曜日はQuaint Design さん(の若い女性)が店番をしていただけることになっていますが、インフルエンザに罹られたとかで、本日は、店主が一日店番。
週に一度、近くのフランス語学校に講師としてやってくる某先生、時々その帰りに小店に寄られ、車中で読む文庫本などを買っていかれます。
今日も今日とて、一冊持って帳場まで来られ、お勘定を済まされて、さてお帰りになろうという段になって、「あれ?」。
「ここにあった本棚はどこに行ったの?」――振り向いてようやく店内の様子が変わっていることに気づかれたようです。
それからしばし店内を見回し、踵を返すと「人生、時に振り返ることが大切、ということか」と、シャンソンの一節にでもありそうな独り言をつぶやきながら、退場されたのでした。
2013年01月18日
「七條」で新年会
二週続けて、連夜の新年会となりました。
今日は、店主にとって二期目の理事会仲間との同窓会。この理事会がもたれたのは、今から14、5年前のことになります。当時のことは、すでに遠い昔のことになりつつありますが、年に一度、こうして会って話していると、つい昨日のことのよう。
「日本の古本屋」の揺籃期でした。現在の姿は夢想だに出来ませんでしたが、ネット社会への対応が必要だという意識だけは芽生えていました。全国の同業に、その必要を説いて回った時代でした。
また古書会館の再建築が、大きな課題として控えていました。結局この理事会のメンバーが中心となり、建築実行委員会が組織されたのでした。
その新会館が建ってから、すでに10年になろうとしています。ここまで古書をめぐる状況が厳しくなるとは、誰に予測が出来たでしょう。それぞれが古書店主として、それぞれの苦悩を抱えているはずです。
しかしこの一夜は、そうしたことはひとまず措いて、楽しい語らいに費やされました。そのためには「レストラン七條」の美味しいフレンチとワインが、大きな援けとなりました。思えば昨年に続いての、会場です。
出席者は12名。風邪で急遽欠席の元理事長のほか、事情で欠席されたのが3名。しかし何より淋しいのは、二度と出席の叶わぬ仲間が一名生じたことです。天誠書林・和久田誠男さん。昨年の新年会には欠席で、様子を案じていた矢先、ほどなく訃を聞かされたのでした。
この仲間の新年会は、出来る限り長く続けようと、出席中の最年長となった元副理事長が、次回もこの「七條」での開催を告げました。
ただし、ビルの建替えに伴い、現在地での営業は今月限り。3月からは仮店舗で営業を始めるといいます。再建築後に店舗がどうなるかまでは確かめておりませんが、来年は、その移転先での新年会となりそうです。
今日は、店主にとって二期目の理事会仲間との同窓会。この理事会がもたれたのは、今から14、5年前のことになります。当時のことは、すでに遠い昔のことになりつつありますが、年に一度、こうして会って話していると、つい昨日のことのよう。
「日本の古本屋」の揺籃期でした。現在の姿は夢想だに出来ませんでしたが、ネット社会への対応が必要だという意識だけは芽生えていました。全国の同業に、その必要を説いて回った時代でした。
また古書会館の再建築が、大きな課題として控えていました。結局この理事会のメンバーが中心となり、建築実行委員会が組織されたのでした。
その新会館が建ってから、すでに10年になろうとしています。ここまで古書をめぐる状況が厳しくなるとは、誰に予測が出来たでしょう。それぞれが古書店主として、それぞれの苦悩を抱えているはずです。
しかしこの一夜は、そうしたことはひとまず措いて、楽しい語らいに費やされました。そのためには「レストラン七條」の美味しいフレンチとワインが、大きな援けとなりました。思えば昨年に続いての、会場です。
出席者は12名。風邪で急遽欠席の元理事長のほか、事情で欠席されたのが3名。しかし何より淋しいのは、二度と出席の叶わぬ仲間が一名生じたことです。天誠書林・和久田誠男さん。昨年の新年会には欠席で、様子を案じていた矢先、ほどなく訃を聞かされたのでした。
この仲間の新年会は、出来る限り長く続けようと、出席中の最年長となった元副理事長が、次回もこの「七條」での開催を告げました。
ただし、ビルの建替えに伴い、現在地での営業は今月限り。3月からは仮店舗で営業を始めるといいます。再建築後に店舗がどうなるかまでは確かめておりませんが、来年は、その移転先での新年会となりそうです。
2013年01月17日
おわりよければ
水道橋から都営三田線で大岡山経由、自由が丘から東急コーチに乗って家に帰ってまいりました。
それがどんなに間の良いことであったかを知ったのは、自由が丘駅について、東横線との乗り換えの階段まで、隙間なく人で埋め尽くされているのを見たときです。
桜新町駅で人身事故があり、田園都市線が不通になっていることは、車内アナウンスで知らされてはおりましたが。
今夜はTKI改め「『日本の古本屋』事業部」の新年会。会場が、都営地下鉄水道橋駅を上がってすぐの「能登美」だったのです。
売り物は「ぶりしゃぶ」、近頃人気とのこと。お店のほうもなかなかの人気で、二時間飲み放題コースの時間が迫ると、「次のお客様がお待ちですので」と、切り上げを示唆されました。
会場を取ってくれた組合職員のKさんは、しきりと皆の評価を気にしておられましたが、料理も分量も、まずまずでした。お値段の方は、ちょっと確認できませんでしたけれど。そう、今日もまた会費は会もち。
タダ酒ばかり飲んでいるようですが、今日は朝から一日、古書会館でセミナーと会議。まず午前10時半からWEBマーケティングの講習第一回目。マーケティングとは何かといういわば概論を、2時間に亘って聴講いたしました。
ついで午後2時から午後6時までは、定例のNH事業部会議を一部、二部に分けて。それが終わって、ようやく新年会の席へ向かったというわけでした。
実は明日の金曜日も新年会が入っていて、今日はよほど車で店に行き、飲まずに食事だけして店に帰ろうかと考えたのですが、事業部メンバーとは日頃殆ど飲む機会がありません。年に一度の新年会くらいは、ゆっくり飲みながら話をしようと、家に車を置いて出たのです。
それだけに、帰りに事故に巻き込まれずに済んだというのは、幸いなことでした。影響を蒙った方々には申し訳ないことですが、おかげで良い酒となりました。
それがどんなに間の良いことであったかを知ったのは、自由が丘駅について、東横線との乗り換えの階段まで、隙間なく人で埋め尽くされているのを見たときです。
桜新町駅で人身事故があり、田園都市線が不通になっていることは、車内アナウンスで知らされてはおりましたが。
今夜はTKI改め「『日本の古本屋』事業部」の新年会。会場が、都営地下鉄水道橋駅を上がってすぐの「能登美」だったのです。
売り物は「ぶりしゃぶ」、近頃人気とのこと。お店のほうもなかなかの人気で、二時間飲み放題コースの時間が迫ると、「次のお客様がお待ちですので」と、切り上げを示唆されました。
会場を取ってくれた組合職員のKさんは、しきりと皆の評価を気にしておられましたが、料理も分量も、まずまずでした。お値段の方は、ちょっと確認できませんでしたけれど。そう、今日もまた会費は会もち。
タダ酒ばかり飲んでいるようですが、今日は朝から一日、古書会館でセミナーと会議。まず午前10時半からWEBマーケティングの講習第一回目。マーケティングとは何かといういわば概論を、2時間に亘って聴講いたしました。
ついで午後2時から午後6時までは、定例のNH事業部会議を一部、二部に分けて。それが終わって、ようやく新年会の席へ向かったというわけでした。
実は明日の金曜日も新年会が入っていて、今日はよほど車で店に行き、飲まずに食事だけして店に帰ろうかと考えたのですが、事業部メンバーとは日頃殆ど飲む機会がありません。年に一度の新年会くらいは、ゆっくり飲みながら話をしようと、家に車を置いて出たのです。
それだけに、帰りに事故に巻き込まれずに済んだというのは、幸いなことでした。影響を蒙った方々には申し訳ないことですが、おかげで良い酒となりました。
2013年01月16日
報われぬ雪かき
道具というものは、よく出来ているものだと、つくづく感心いたしました。
今朝、店についてから、まず第一番に手をつけたのが、店の前の雪かき。道路の雪が道端に寄せられた結果、雪が土手のごとくに連なって、人の出入りを阻んでいるからです。
今日はルート便の配達もあって、カーゴ台車を出し入れしますから、その通路も確保しなくてはなりません。
お隣のセブンイレブンさんから、スコップをお借りすることができました。そのおかげで、20分ばかりの作業で、除くべき雪を、邪魔にならないところへ、のけることができたのです。
このスコップがなかったら、同じ作業が、どれほど大変なことだったでしょう。
ところで、店主は何となく、土を掘る先のとがったものがシャベルで、雪などをすくう四角い形のものがスコップだと、思っておりました。調べてみるとそうではないようです。
刃先の形状で名が異なるのではなく、JIS規格では、足を掛ける部分があるものがシャベル、ないものがスコップ、と分けられているのだそうです。
となると店主が借りたのはシャベルでしょうか。しかし、この名称はあまり厳密に使い分けられている様子はありません。大小で呼び分けられたり、それも地域によって逆になっていたりすると言います。
何にせよ、比較的軽くて先が四角い、この雪かきシャベルだか、スコップだかは、少し溶けかかった雪をザクザクと掬い取って運ぶのには、うってつけの道具でした。
そんな具合で、張り切って朝のうちに雪を掻いたわけですが、通りやすくなったはずの店内へお入りになるお客様の数は、昨日までと、まるで変わりない少なさです。
ほとんどの時間人気のない店で、ひたすら店番を続けておりますと、明日は腰に来そうな予感がしてまいりました。
今朝、店についてから、まず第一番に手をつけたのが、店の前の雪かき。道路の雪が道端に寄せられた結果、雪が土手のごとくに連なって、人の出入りを阻んでいるからです。
今日はルート便の配達もあって、カーゴ台車を出し入れしますから、その通路も確保しなくてはなりません。
お隣のセブンイレブンさんから、スコップをお借りすることができました。そのおかげで、20分ばかりの作業で、除くべき雪を、邪魔にならないところへ、のけることができたのです。
このスコップがなかったら、同じ作業が、どれほど大変なことだったでしょう。
ところで、店主は何となく、土を掘る先のとがったものがシャベルで、雪などをすくう四角い形のものがスコップだと、思っておりました。調べてみるとそうではないようです。
刃先の形状で名が異なるのではなく、JIS規格では、足を掛ける部分があるものがシャベル、ないものがスコップ、と分けられているのだそうです。
となると店主が借りたのはシャベルでしょうか。しかし、この名称はあまり厳密に使い分けられている様子はありません。大小で呼び分けられたり、それも地域によって逆になっていたりすると言います。
何にせよ、比較的軽くて先が四角い、この雪かきシャベルだか、スコップだかは、少し溶けかかった雪をザクザクと掬い取って運ぶのには、うってつけの道具でした。
そんな具合で、張り切って朝のうちに雪を掻いたわけですが、通りやすくなったはずの店内へお入りになるお客様の数は、昨日までと、まるで変わりない少なさです。
ほとんどの時間人気のない店で、ひたすら店番を続けておりますと、明日は腰に来そうな予感がしてまいりました。
2013年01月15日
雪に泣かされた二日間
まずは昨日から今朝までの顛末。
夕刻、店の表の一方通行を逆走してきたタクシーが、スリップして立ち往生。滑り止めの板を貸したりして10分ほどで抜け出していったのが、その後の苦難を暗示していたかもしれません。
午後6時過ぎ、悠然と帰路に着き、渋谷から等々力行きのバスに乗り込んだまでは極めて順調でした。ところが6時半に出発したバスが、大橋バス停で7時、三軒茶屋で7時45分、駒沢大学駅で8時半、家に着いた時には9時近くになっておりました。
それはしかし、運転手さんのご苦労を思えば、こちらはただ座っていただけ。文句は言えません。
今朝は、家を出てバス停まで行くと長蛇の列。駅まで歩こうと決意し桜新町駅まで、通常20分のところを30分かかってたどり着き、そこから新玉川線、井の頭線と乗り継いで、それでも家を出てから約1時間で店に到着できました。
さて洋書会のお話。今日の市場は、先週以上に出品がありませんでした。この天候では仕方ないことでしょう。
当会だけでなく、3階の東京古典会さんも、荷の少なさから、いつもの「廻し入札」ではなく、「置き入札」に切り替え、3時前には終ってしまわれたようです。
小店としては先週に引き続き、ロッカーから本を引っ張り出し、あれこれ組み合わせて出品し、多少の売上をたてることが出来たのが、本日の成果。
そんな少ない出品の中で、James Joyce の A Portrait of the
Artist as a Young Man が話題になりました。London: Egoist,
1917 という刊記の一冊です。早速、専門店の薀蓄が傾けられたり、ネットで調べたり。
その結果、実際に英国で印刷出版されたものとしては、最初の版ですが、本当の初版(New York: 1916)でないばかりか、Egoist Press としても1916年刊が存在することが分かりました。
そんなわけで出品者の希望値に届かず、「出来申さず」となりました。なかなか難しいものです。ちなみにN.Y.刊の初版、カバーつきは1000万円以上の売り値とか。
夕刻、店の表の一方通行を逆走してきたタクシーが、スリップして立ち往生。滑り止めの板を貸したりして10分ほどで抜け出していったのが、その後の苦難を暗示していたかもしれません。
午後6時過ぎ、悠然と帰路に着き、渋谷から等々力行きのバスに乗り込んだまでは極めて順調でした。ところが6時半に出発したバスが、大橋バス停で7時、三軒茶屋で7時45分、駒沢大学駅で8時半、家に着いた時には9時近くになっておりました。
それはしかし、運転手さんのご苦労を思えば、こちらはただ座っていただけ。文句は言えません。
今朝は、家を出てバス停まで行くと長蛇の列。駅まで歩こうと決意し桜新町駅まで、通常20分のところを30分かかってたどり着き、そこから新玉川線、井の頭線と乗り継いで、それでも家を出てから約1時間で店に到着できました。
さて洋書会のお話。今日の市場は、先週以上に出品がありませんでした。この天候では仕方ないことでしょう。
当会だけでなく、3階の東京古典会さんも、荷の少なさから、いつもの「廻し入札」ではなく、「置き入札」に切り替え、3時前には終ってしまわれたようです。
小店としては先週に引き続き、ロッカーから本を引っ張り出し、あれこれ組み合わせて出品し、多少の売上をたてることが出来たのが、本日の成果。
そんな少ない出品の中で、James Joyce の A Portrait of the
Artist as a Young Man が話題になりました。London: Egoist,
1917 という刊記の一冊です。早速、専門店の薀蓄が傾けられたり、ネットで調べたり。
その結果、実際に英国で印刷出版されたものとしては、最初の版ですが、本当の初版(New York: 1916)でないばかりか、Egoist Press としても1916年刊が存在することが分かりました。
そんなわけで出品者の希望値に届かず、「出来申さず」となりました。なかなか難しいものです。ちなみにN.Y.刊の初版、カバーつきは1000万円以上の売り値とか。
2013年01月14日
ゼロではない
午後になって、風が出てきたのを潮に、店を早じまいしました。午前中に、お一人様1400円のお買い上げがあり、売上ゼロを免れたことも、決断の理由です。
その売上は、昨日宅買いで仕入れたペーパーバックを、今朝の開店前に表の棚にあるものと大幅に入れ替えた成果でした。
しかし、お客様はあとにも先にも、そのお一人だけ。あとは立ち寄る人影もありません。第一、道路にすっかり雪が積もって、足元の悪いことこの上ない。こんな日に、よほどの理由がなければ外へ出ようとは思わないでしょう。
朝のうちは雨でした。次第に雪に変わったのですが、雨より雪は始末が悪く、表に出した均一棚も、雨なら決して降りかからないようなところまで、濡れたり、湿気たりします。
それでもまだ朝方は風はありませんでした。けれども昨日の予報でも低気圧が近づくと、急に風が強まると言っていましたから、店内から見える雪が斜から横殴りになるのを見て、早々に棚を店内に入れてしまったのです。
せっかく早じまいしたのですから、早めに家に帰って、ゆっくり休もうかとも思いました。しかし考えてみれば、やらなくてはならない仕事はいくらでもあります。
それに、今朝は車で来たのですが、ここまで積もると運転して帰るのは危険。夕方には上がるという予報も出ていますので、ゆっくり腰を落ち着けて、時間一杯仕事を続け、バスで帰ることにいたしました。
さてそう心を決めてみると、今度は何から手を付けたらいいか迷います。少し考えるうち、急ぎの仕事を思い出しました。『古書月報』2月号の「洋書会だより」というコラムに入れる原稿。
10日の締め切りを過ぎてしまい、明日までという厳命を受けていたのです。というわけでまずは、これから取り掛かることにいたしました。
その売上は、昨日宅買いで仕入れたペーパーバックを、今朝の開店前に表の棚にあるものと大幅に入れ替えた成果でした。
しかし、お客様はあとにも先にも、そのお一人だけ。あとは立ち寄る人影もありません。第一、道路にすっかり雪が積もって、足元の悪いことこの上ない。こんな日に、よほどの理由がなければ外へ出ようとは思わないでしょう。
朝のうちは雨でした。次第に雪に変わったのですが、雨より雪は始末が悪く、表に出した均一棚も、雨なら決して降りかからないようなところまで、濡れたり、湿気たりします。
それでもまだ朝方は風はありませんでした。けれども昨日の予報でも低気圧が近づくと、急に風が強まると言っていましたから、店内から見える雪が斜から横殴りになるのを見て、早々に棚を店内に入れてしまったのです。
せっかく早じまいしたのですから、早めに家に帰って、ゆっくり休もうかとも思いました。しかし考えてみれば、やらなくてはならない仕事はいくらでもあります。
それに、今朝は車で来たのですが、ここまで積もると運転して帰るのは危険。夕方には上がるという予報も出ていますので、ゆっくり腰を落ち着けて、時間一杯仕事を続け、バスで帰ることにいたしました。
さてそう心を決めてみると、今度は何から手を付けたらいいか迷います。少し考えるうち、急ぎの仕事を思い出しました。『古書月報』2月号の「洋書会だより」というコラムに入れる原稿。
10日の締め切りを過ぎてしまい、明日までという厳命を受けていたのです。というわけでまずは、これから取り掛かることにいたしました。
2013年01月13日
雑貨店2日目
駒場小学校で餅つき大会があったそうです。その人出が少しは流れてくるかと期待しましたが、静かな日曜日でした。
それでも、いつもなら黙って通り過ぎているご家族連れが、物珍しげに足を止め、さらには店に入ってくださって、雑貨をお買い上げいただいた例もあります。
これからは土曜日、日曜日は Quaint Design さんから店番を出していただけることになっていて、それも若い女性ですから、お客様も入りやすくなるのではないでしょうか。
まあ店主もなるべく、店の裏にでも居るようにして、本をお探しのお客様にも、ご不便をおかけしないようにするつもりです。
その店の裏は、とりあえず積み上げた本で埋まり、ゆっくり仕事が出来る環境ではありません。一刻も早くここを片付けて、通常の業務の流れを取り戻すことが急務です。
今朝も一点、ネット注文の本が、どうやら積み上げた本の一番奥の下になってしまっていて、当分取り出せそうもありませんので、泣く泣く品切れのお返事を、お出ししたのでした。
通常業務といえば、今日は一軒、宅買いに出かけました。30年来、小店にお通いいただいたという、駒場で語学を教えていらっしゃる英国人の先生。
ただし、そうとわかった瞬間から、「あまりお値段にはなりませんが」という予防線を張ることになりました。いつもお買い上げいただいていたのは、店頭の読み物系でしたから。
もとより先方では先刻ご承知のことでしたが、昨今は、それでもあまりの安値に驚かれる、というケースに度々遭遇します。ソフトカバーの読み物中心に200冊ほど。ひとまず全部お引取りしてきたものの、やはり申し上げにくい評価額になりそうです。
それでも、いつもなら黙って通り過ぎているご家族連れが、物珍しげに足を止め、さらには店に入ってくださって、雑貨をお買い上げいただいた例もあります。
これからは土曜日、日曜日は Quaint Design さんから店番を出していただけることになっていて、それも若い女性ですから、お客様も入りやすくなるのではないでしょうか。
まあ店主もなるべく、店の裏にでも居るようにして、本をお探しのお客様にも、ご不便をおかけしないようにするつもりです。
その店の裏は、とりあえず積み上げた本で埋まり、ゆっくり仕事が出来る環境ではありません。一刻も早くここを片付けて、通常の業務の流れを取り戻すことが急務です。
今朝も一点、ネット注文の本が、どうやら積み上げた本の一番奥の下になってしまっていて、当分取り出せそうもありませんので、泣く泣く品切れのお返事を、お出ししたのでした。
通常業務といえば、今日は一軒、宅買いに出かけました。30年来、小店にお通いいただいたという、駒場で語学を教えていらっしゃる英国人の先生。
ただし、そうとわかった瞬間から、「あまりお値段にはなりませんが」という予防線を張ることになりました。いつもお買い上げいただいていたのは、店頭の読み物系でしたから。
もとより先方では先刻ご承知のことでしたが、昨今は、それでもあまりの安値に驚かれる、というケースに度々遭遇します。ソフトカバーの読み物中心に200冊ほど。ひとまず全部お引取りしてきたものの、やはり申し上げにくい評価額になりそうです。
2013年01月12日
想定外part2
新しい売り場が、今日からオープンいたしました。名前がついていて Brick Parlor ―― Quaint Design さんが展開するショップ名ということになります。詳しくは、そちらのHPをご覧いただくとして、今朝からいろいろと大変でした。
まず、あと3基残っていた古い蛍光灯のうち、1基が今朝になって切れました。一昨日、大騒ぎしたばかりだというのに。いずれ全部取り替えることになるのですから、初めから潔く全部取り替えていれば、今日までの、その度ごとのドタバタはなくて済んだわけです。
いまさら言っても後の祭り。こうなれば、あと2基も、これまでどおりの都度取替えで参るつもりです。
そのあと、表の本棚や雑誌棚を、やりくり算段して並べてみましたが、どうしてもハミ出るものが出てきます。それを後でゆっくり片付けようと、とりあえず道路に出しておきました。
そのうちの一つの雑誌スタンド、置いた場所が悪かった。止めている車の前面です。道路の端の勾配で、後ろに少し傾いていたのでしょう、ちょっと触れた瞬間、ボンネットの上に倒れ掛かってしまいました。
昨年9月に替えたばかりの車で、今日までなんとか無傷で過ごしてきたのですが、こんなカタチで傷をつけてしまうとは、思いもよりませんでした。もっともこうしたことは、想定外だからこそ起きるのですが、それだって少し注意深くしていれば、避けることは出来たのです。
今日はもっぱら表の棚の整理と、配置替えに腐心しました。この先やることが山積みであることを思えば、寒いなどといっておられません。もう一つ重要な課題、表の絵本棚に蓋をつけるという作業が残っていましたけれども、これはついに、やり残し。
部材は揃え、必要な金具も Hands まで行って買って来たのですが、いざやろうとすると道具が揃いません。結局、明日に持ち越すことになってしまったというわけです。まあ、こんなことは日常茶飯事ですから、これを想定外などとは申しません。
新売り場のお客様と、小店のお客様とで、いつもの土曜日よりは忙しく過ぎた一日でした。
まず、あと3基残っていた古い蛍光灯のうち、1基が今朝になって切れました。一昨日、大騒ぎしたばかりだというのに。いずれ全部取り替えることになるのですから、初めから潔く全部取り替えていれば、今日までの、その度ごとのドタバタはなくて済んだわけです。
いまさら言っても後の祭り。こうなれば、あと2基も、これまでどおりの都度取替えで参るつもりです。
そのあと、表の本棚や雑誌棚を、やりくり算段して並べてみましたが、どうしてもハミ出るものが出てきます。それを後でゆっくり片付けようと、とりあえず道路に出しておきました。
そのうちの一つの雑誌スタンド、置いた場所が悪かった。止めている車の前面です。道路の端の勾配で、後ろに少し傾いていたのでしょう、ちょっと触れた瞬間、ボンネットの上に倒れ掛かってしまいました。
昨年9月に替えたばかりの車で、今日までなんとか無傷で過ごしてきたのですが、こんなカタチで傷をつけてしまうとは、思いもよりませんでした。もっともこうしたことは、想定外だからこそ起きるのですが、それだって少し注意深くしていれば、避けることは出来たのです。
今日はもっぱら表の棚の整理と、配置替えに腐心しました。この先やることが山積みであることを思えば、寒いなどといっておられません。もう一つ重要な課題、表の絵本棚に蓋をつけるという作業が残っていましたけれども、これはついに、やり残し。
部材は揃え、必要な金具も Hands まで行って買って来たのですが、いざやろうとすると道具が揃いません。結局、明日に持ち越すことになってしまったというわけです。まあ、こんなことは日常茶飯事ですから、これを想定外などとは申しません。
新売り場のお客様と、小店のお客様とで、いつもの土曜日よりは忙しく過ぎた一日でした。