2013年02月

2013年02月28日

満30年

午後のお茶の時間に、近所の開店してまだ一月ほどというシュークリーム屋さんのシュークリームをいただきました。

お店の名前は Il Bigne。イタリア語で、そのまま「シュークリーム屋」という意味のようです。

去年の暮れにも開店するのかと思っていたら、年が明けても一向に営業している様子がなく、どうなっているのだろうと時々気になっていましたが、どうやら今月の初めからオープンしていたらしいことを、今日始めて知りました。

営業品目はシュークリームとエクレア。皮とクリームが別々になっていて、自分で詰めて食べる方式。。クリームがごく軽く、上品な味。皮は厚めでしっかりしています。Il Bigne で検索すると、すぐにこのお店が出てきますから、詳しい情報はそちらでどうぞ。

自分で買いに行ったわけではないので、40歳前後(違っていたらごめんなさい)のご夫婦でやっておられるらしい、そのお店の様子について詳しくは分かりません。ただ小さなお店だということは知っています。

その場所は、30年ほど前に出来た建物で、当初、コーヒー専門店が入っていて、よく飲みに行ったことがあるからです。数年で閉じられましたが le bateau ivre というその名とともに、マスターの風貌もかすかに記憶に残っています。

さて、そののんびりした開業ぶりといい、おっとり構えた商品構成といい、傍から見ると心配になるほど(もちろん人のことなど言えた義理ではありません)ですが、きっとそのお二人の人柄が、クリームのふんわりした味に現れているのでしょう。長く続く店になってもらいたいと思います。

イメージ (113)とそんな話をしている間に、2月も終わり。つまり、満30年。先日、開業当時に撒いたチラシが出てきました。

この30年の間に何が変わって、何が変わらないか。はたまた、30年というのは長いのか短いのか。このチラシを見ながら、そんなことを、もう一度考えてみることにいたします。

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2013年02月27日

もっと市場へ

「ちょっと自慢じゃないの」と家人から指摘を受けて、昨日のブログを読み直してみました。

手柄話をしたつもりは毛頭ありませんので、仮にもそう聞こえたとしたら、それはひとえに店主の表現の拙さによるものです。まるで手品でもあるかのように語ったでしょうか。

しかし、株式の投資家が見込みで買った株を右から左へ、高値で売り抜けるというようなこととは、ワケも桁も違います。

喩えるなら、魚屋さんが一本買い込んだ魚を、下ろして売ったら元値より高くなったという程度の話。仮に20年、30年というキャリアの魚屋さんが、魚一尾下ろしたからといって、それが自慢話になる筈もありません。

昨日の話の眼目は、あくまで市場という仕組みの面白さにありました。そしてもう一つは、自分で仕分けられないような量や内容の本を出品する時は、やはり市場を選んだほうが良いという、同業者だけに通じるメッセージでした。

現在、東京古書会館では日替わりで6つの市場(本部交換会)が開かれていて、それぞれに特色を持っています。とりわけ分かり易いのが和本など古典籍を扱う東京古典会と、洋書を専門とする東京洋書会。

少なくとも、これらの分野の本については、この二つの市会に任せるのが、一番無難だろうと思います。その意味では、自慢はありませんが、自負はあります。

CA3K0633本屋は市場で出会った古本に、各々独自の価値判断をして入札するわけですが、その結果が、売る人にも買う人にも利益となるような、そんな魔術が普通のこととしておきている、市場というのはそんな不思議な場所です。

こんな話をしていると、市場の魔力に取り付かれて、毎日のように通う同業がいることに比べ、自分の日頃の不熱心さを、今更のように反省せざるをえません。

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2013年02月26日

Good Deal

今日は洋書会の二月最終市。今年になってからでは、一、二を争う量の多さで、金融史関係の英独書の一口、フランス文学の一口、その他にもいくつかの口が出て、会場のテーブルがほぼ埋まりました。

CA3K0637店主も、先日の中央市会で落札した、雑多な8本口を、仕分けなおして5点に分け、出品しました。

そもそも、初めから自分で欲しいと思って入札したというより、このところ品薄が続く洋書会に出すことで、少しでも賑やかしになればと思って札を入れた本でした。

ご参考までにその顛末をご披露いたします。

8本口の仕入れ価格は約1万円。雑多と申しましたが、いろいろな種類の、傷んだ本も多く混じる、つかみ所のない口で、一番下札で落ちました。

それを次のように仕分けました。_莉1冊、∧未硫莉限哨咼献絅▲觸6冊、N鮖亡愀現11冊、た棲愨臍潅舎椶魎泙犖鼎そんだ革装本11冊、セ弔蠅離皀蹈皀躾十冊。

その結果は、5点に分けたうち、3点が売れて約1万4千円。残り2点は店主が6千円ほどで買い引きました。

つまり店主は、中央市会の大市で仕入れた本の代金1万円を払った上で、4千円(正確には手数料などを引いて3千円)のお釣りと、2点の本が手に入ったことになります。

もちろん、いつもこんな具合に上手くいくとは限りません。現に、大市で店主の入れた札が、もし突き上げられて上札の2万円になっていたら、儲けは出ず、単に労力をかけ手数料を二重に払うだけに終わったでしょう。

この結果が、店主にとっては Good Deal であったことは言うまでもありません。また、3点を買った書店さんにとっても、余計なものを買わずに済んで、納得の取引であるはずです。

では、誰かが損をしているのでしょうか。出品者?あるいは、その出品者にお売りになったお客様?しかし、決してそうではないところにこそ、市場の面白さと、その存在理由があるのです。

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2013年02月25日

季節の足取り

午後4時半過ぎ、夕刻の気配はあっても、まだ外は明るく、改めて日脚が伸びてきたと感じました。

CA3K0636思わず時計を見たのは、表を大勢の若者が群れをなして通り過ぎて行ったから。そうして気がつきました、今日が東京大学の入学試験日だったことに。

彼らが一日目の試験を終えた一団であったことは、まず間違いありません。しかし、どこへ向かおうというのでしょう。

井の頭線に乗るにはもちろん、淡島通りに出てバスに乗るとしても、その先へ足を伸ばし新玉川線の駅に向かうにしても、小店の前は通り道ではありません。

だからこそ二年間の駒場通いを、小店の存在すら知らずに過ごす学生さんが多いのですが。

いずれにせよ、一瞬生まれた人波は、あっという間に消えて、元の静寂に立ち返るのにたいした時間は要しませんでした。これが明日になれば、彼らのうちの何人かは、小店に興味を示し、立ち寄ってくれるでしょうか。

それにしても、今日も寒い一日でした。陽射しは(そして日脚も)明らかに季節が進んでいることを示しているのに、風は身を切るように冷たく、そんな中で作業をしたためか、店主の腰は、レッドゾーン寸前。

午前中に一件、宅買いに出かけました。下見のつもりだったのですが、先様は、すぐにでも引き取ってほしいというご様子。

しかし今の小店の車では、一度で運ぶのは無理。といって運送屋さんを頼むほどの量でもありません。そこで今日と、次回に分けて運ぶことに決め、200冊ばかりを高台のお宅の玄関から運び出したのです。道路まで、優に一階分はある階段を何度か上下して。

今夜は腰をよく暖めて眠ることにいたします。

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2013年02月24日

正しい免許証写真

つまらないことが、妙に心に引っかかる場合があります。

免許の更新に行った時のこと。顔写真を撮ってもらうために、置いてある椅子に座って、前方の鏡の中のカメラと思しき辺りを睨んでいると「アゴを引いてください」と声がかかりました。

心持ちアゴを下げて、再度身構えておりますと、またしても「もう少しアゴを引いてください」。

結局もう一回ダメだしをされて、都合三回目でようやくシャッターを押してもらえました。

手間取らせて申し訳なかったと思う気持ちと同時に、普段から、そんなにアゴが上がっていたのだろうかと、それが気になってきたのです。

アゴを前に出すような姿勢を続けていると、首や肩に負担がかかり、凝りや痛みが生じる原因になる――という話しを、以前、首が痛くて回らなくなった時に、どこかで聞いた覚えがあります。

それも思い出して、今度の一件以来、気がつけばアゴを引くことを心掛けるようになりました。

しかし、免許証写真の撮影係が、店主の体を気遣って、そう言ってくれたのでないことは言うまでもありません。

すると、なぜあれほど執拗にアゴを下げさせたのでしょうか。自分で鏡を見ているのですから、不自然なほど上を向いていたわけでないことは分かっています。

仮に多少アゴが出ていたとしても、それがその人の自然な姿勢なら、その方が良いのではないかという気さえします。

新しい免許証の写真は、較べてみると確かに、前よりアゴが引けています。前回はそれほどうるさくなかったのかもしれません。表情も穏やか。

CA3K0632しかし、免許証の提示を求められるような場合、あまり機嫌の良い顔でいることは少なく、しかも大抵は上から見られると思えば、今回の撮影法は、実に理に叶っていたのかもしれません。

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2013年02月23日

哲学人気

昨日、店主が留守の間においでになったお客様が、「この辺りにあったヘーゲル関係の洋書はどこにいったんですか」と、店番の者にやや強い口調で尋ねられたといいます。

「しばらく来なかったこともいけないけど」と、ご自分を責められるような風でもあったとか。

今日は今日で、別のお客様から「ここの哲学関係の洋書は、もうどこかへ処分されたのですか」というご質問を受けました。

特に目当ての本があったわけではないが、どんな本があるか、見てみたかったということです。

整理が進めば、やがてまたご覧いただけるようになると思いますが、しばらくはホームページなどでご覧くださいと、お詫び、並びに、お願いを申し上げました。

それでも表の棚から数冊の本をお選び下さって、公費購入の要領で送って欲しいと、置いていかれました。

CA3K0630その書類作りにとりかかったところ、今度は「洋書はここにあるだけですか?ネットで Wittgenstein の On Certainty が有ると知って来たのですが」というお客様。やはり哲学書の棚に並べてあった本で、今や裏に積み上げられた中に埋もれているはずです。

「もしかしたら、すぐにはお出しできないかも知れません」とお断りを申し上げながら、裏の積み上がった山を崩しにかかると、なんとも間の良いことに、程なく目指す本が見つかりました。

今日は他にも、哲学、思想系にご関心のありそうなお客様が多かったような気がします。

というより、なんだか来るお客様、来るお客様が、どなたも哲学書をお探しのように見受けられて、いささか気が咎める思いのした一日でした。

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2013年02月22日

明古の2月尽

何の説明もなくケーキの写真などを載せたので、いささか誤解を招いたとしたら申し訳ないことです。

昨日のケーキ、店主の誕生日を祝ってくれたものには違いありませんが、手作りではなく、我が家お気に入りのケーキ屋さんで、娘の一人が買ってきたものです。

麗しき誤解のままにしておくということも考えましたが、人間正直が第一。ただ娘たちの名誉のために申し上げれば、クッキーや簡単な焼き菓子の類は、時おり作っておるようです。

CA3K0615それはともかく、今日は明治古典会。いつものように午前11時頃に市場へ。

まず会館となりの郵便局で、先日の放置駐車違反金15000円也を納付いたしました。

ついで、先日の千葉への宅買いの売上金を、お客様にお支払いいたしました。と申しますのは、お客様が今日の古書会館地下即売展においでになると伺い、時間を打ち合わせて、玄関ホールでお手渡ししたのです。

その売上金は、6階事務局の窓口へ行き受け取ったもの。そこから運送会社に支払う分と、若干の手数料を差し引いた金額をお支払いし、些少なものであったにも拘らず、お客様からは感謝の言葉をいただけたことに、まずは一安堵いたしました。

明古は、今日が月の最終で特選市でした。品物の量は相変わらず少なく、出来高は、何とか踏みとどまっているというレベル。なかなか上向く気配が見えません。

一層の危機感が募る中で、市会終了後に総会。来る七夕大入札会へ向けて、実施要綱を定めるための会議です。大筋は承認され、各部が動き始めることになりました。

会議後、いつものメンバーと、いつものうどん屋で会食。今日は地下即売展メンバーの一部も、同じ店の別テーブルで賑やかに語らっておりました。


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2013年02月21日

退け時を思う

午後から「日本の古本屋」事業部(本当に上手い略称を見つけて欲しい)の定例会議。

どうしたら一軒、一軒の売上を伸ばすことができるか。煎じ詰めれば、それが最大の議題。

もちろんそれぞれの努力が何より肝心で、いわゆる自助努力がなければ始まらないことは言うまでもありません。

しかしそれを助けるもの、そのしくみ、それがどうあるべきかについて、毎回のように議論を交わしながら、様々な立場の調整を図りながら進んできました。

今回、新しい機能を一つ付け加わえることが決まりました。古書店を検索した際に現れる書店情報の頁に、その書店の在庫だけから検索できる、検索窓を設けるというものです。

早ければ、来月の中旬にはご利用いただけるはずです。もちろん、それが直ちに売り上げ増に大きく寄与するなどと楽観してはおりませんが、購入者には利便を、出品者には意欲をもたらしてくれるとは期待しています。

これについても長い議論がありました。組合員の意識の変化と、デジタル環境の進歩普及が、ようやくこの地点にまで辿りつくことを許したといえるでしょう。

これからも決して先頭を走ることは出来ないでしょうが、確かな存在感を持って、常に必要とされるサイトでありたいと思います。

30分ほども延びた会議を終えると、夜になって寒さが一段と厳しい街を地下鉄へ急いだわけですが、ふと、会議のメンバーでは小店主が最年長であることに気づきました。

CA3K0629折りしも昨日は、店主の(ここで一瞬数えなおしてしまうのですが)63回目の誕生日でありました。

会議でも、推進派であるより、慎重派である場合が増えたことにも、思い至りました。強いてそうしている面もありますが。間もなくそれもお役ご免になる。そうであるべきだと思います。

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2013年02月20日

電話する人しない人

「ちくま学芸文庫の×××という本の第二巻はありますか?」というお尋ねに、反応するのに少し時間がかかりました。

「ネットか何かでお調べになったのですか?」「そうです」

いつも申し上げているとおり、概ね1000円以上をネット販売の基準としております。品切れの文庫でも同様。端本の場合など、ただ棚に差しても、そうそう売れませんから、ネットに上げるに限ります。

ところが、保管場所のどこをどう探しても、この本が見つかりません。お客様(女の方)は「このためにわざわざ来たのに」と、ややご機嫌斜めです。

しかし店を放っておいて、いつまでも探し回ることもできませんので、申しわけありませんと、お引取りいただきました。

ただせっかくですのでネットを検索して、小店より安く売っているところを見つけてお知らせすると、先刻ご承知で、送料を考えれば同じことだからと、お越しいただいたということでした。

CA3K0620重ね重ね面目のないことでありましたが、小店の「注文品売り切れ」によくあるパターンの一つが、この方のように直接お尋ねいただいてのお買上げで、ついデータベースから削除し忘れてしまう場合です。

もうひとつは在庫場所を動かしたのに、記録しておかなかったという場合もあるのですが、そうなると、とてもお待ちいただいている間に探し出すことなどできません。

いずれにせよ、小店の不始末には違いありませんが、そんな具合ですので、どうかお越しになる前に、メールなりお電話なりいただきますようにと、改めてお願い申し上げる次第です。

と書く間に、電話が一本ありました。

「そちらに『蟹工船』はありますか」

初版本とか、ある特定の版をお探しというわけではないようです。席を立って文庫棚の前に行き、あればこの辺りというところを確かめてから「残念ですが」とお返事いたしました。

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2013年02月19日

同時代の人々

CA3K0625またか、と思われるかも知れませんが、NHKラジオ・アーカイブスの話題から。

現在の語り手は宇野千代。昨日が三回目らしいのですが、第二回を聞き逃しました。さらに、第三回についても、後半を聞かない前に家に着いてしまい、そのまま車のエンジンを切ってラジオの方もお終い。文字通りの聞き齧りです。

昨日、店主が聞いた部分は、北海道時代から始って、東京へ出るまでの経緯と、尾崎士郎との運命的な出会いに至るまで。

既に文章としても書かれているはずで、目新しいことはないのでしょうが、本人のなんともあけすけな語り口で聞かされると、その奔放さが一層際立ちます。

しかし驚いたのは、ご当人の話よりも、大村彦次郎さんの解説されたなかで、互いに惹かれあっていたらしい梶井基次郎が、宇野より4歳年下であったという事実を知らされたとき。

ついこの間(といっても平成8年、もう17年も前のことになりますが)まで生きていた女性が、いま調べてみると昭和7年に亡くなった男性より、4歳年長だったというのは、すぐには実感しにくい話です。

単にこちらの知識が不足しているというだけのことでしょうが、似たようなビックリは幾らもあります。例えば中原中也などは、その梶井より6歳も年下です。宮沢賢治が、ようやく宇野の1歳年長。

こんなことは、近代文学に関心を持つ人々にとっては常識の範疇に属することかもしれません。しかし、夭折と長命とは、歴史の遠近感に錯視をもたらすものであることは確かでしょう。

これとは別に、ある文章を読んでいて、樋口一葉が上田敏の2歳年上であることを知りました。

この二人に島崎藤村、柳田国男、西田幾多郎あたりを加えて、これをすぐさま年の順に並べることが出来るとしたら、あなたは明治古典会の七夕大入札会の目録編集において、文学作品部門を担当することができます。

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