2013年03月

2013年03月21日

異を唱える

原発は試算に入れぬ被害額

正確にこのとおりであったかどうか自信はありませんが、こんな川柳を新聞で見て、思わずひざを打ちました。

先日発表された、「最悪を想定した」巨大地震の被害額220兆円という発表について、新聞などにざっと目を通した限りで店主が持った疑念を、端的に表現していたからです。

「最悪」を標榜しながら、そのような事態になっても原発に何の影響も無いと考えるのは、あまりにも楽天的ではないか。というよりそこに恣意的なものすら感じてしまいます。

福島以上の被害に見舞われることはないと、一体どのような根拠で考えるのでしょうか。あるいは初めから考えないことにしているのか。今の状態で1000年に一度の災害起きれば、それはその後の1000年を考える必要のないものになるはずです。

いずれにせよ原発再稼動を急ぐ政府・経済界に対して警鐘を鳴らそうとしない、「最悪」災害予測に、虚しさを感じたのは店主だけではなかったということでしょう。

CA3K0659さて今日は「日本の古本屋」事業部定例会議。午後2時から6時まで、のところ30分延長となって6時半まで。相変わらず議題は尽きません。

宣伝、広告戦略を進める前段階として、新規加入登録の際、年齢、性別、職業を情報として頂こうということになりました。これを必須項目とするかどうかで意見が分かれましたが、昨今それほど抵抗はなかろうと、どうやら必須項目になりそう。

この問題について店主は、古い人間の代表として、いささか異論を述べたにとどまりました。

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2013年03月20日

風の三月

毎年今ごろになると思い浮かぶ、英国の諺。

March winds and April showers bring forth May flowers.

今日また、18号館の研究室へ本の引き取りに伺いました。先日の続き、外国語教師のお部屋です。

結局引き取って来たのは600冊ほど。1200冊というのは、どうやら研究室全体の冊数のようでした。部屋の両壁面に作りつけられた棚の、一方の側は、次の勤め先にお運びになるらしい。

RIMG0094ですから片面の、一部を残して、あらかた持ち帰ってきたことになります。出来るだけ持っていってほしいという、ご希望でもありましたので。

土、日、祝日は研究棟の出入り口はロックされていて、勝手に入ることが出来ません。出ることは出来ます。台車満載で二往復して一階まで降ろした本を、うっかり締め出されないよう注意しながら、外へ運び出しました。

そして積み込み。普段でも18号館前の通路はビル風の強い場所です。今日も時おりゴーゴーと音を立てて、砂混じりの風が吹き抜けるなかでの作業となりました。

あちこちで工事をしていて、いつもは通り抜けられるところが行き止まりになっていたり、さっき通ってきたところが塞がれていたりして、まごつきながら退出。途中の構内で、桜見物の人々を多く見かけました。

さて店に戻って、いよいよ困ったのは本の置き場所です。ひとまず車から降ろして、店の前に積み上げたのですが。

目ざといお客様から「これはいつ頃出るの?」と尋ねられ「まあ、おいおい」とお答えはしたものの、まったくめどは立っておりません。素早く片付く良い方法はないものでしょうか。

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2013年03月19日

一期二会

穏やかな天気に恵まれた、今日の洋書会ではなく、数週間前の洋書会のこと。かつて小店からもいろいろお買い上げいただいたM先生の、研究室蔵書が出たことがありました。店主も仕分けに参加したことなど、このブログでも紹介しております。

その時、学校印が押されているとして別にまとめられていた本の中に、ふと眼に留まった本が二冊ありました。

抜き出してみると、地に校名のゴム印と除籍印が押されているものの、扉や見返しなどにはどんな印も押されていません。そこで他の数冊と一緒にして一点とし、入札封筒をつけました。

他の人の興味は惹かなかったらしく、下札で小店が落札したのですが、後日店に届いた本を値付けしているうちに、この二冊の本が、ずっと以前に小店がお売りした本であることに、ようやく気付きました。

一冊はConstant Mic, La Commedia dell'Arte. (1927) もう一冊は Virginia Scott, The Commedia dell'Arte in Paris, 1644-1697. (1990)。

RIMG0099一時期、コメディア・デラルテ関係の本を集めていたことがありました。Performing Arts の専門店を目指していた頃です。山口昌男さんの著書などに触発された部分が、少なからずあったと思います。ご本人に直接申し上げた覚えもあります。「先生に唆されたようなものです」などと。

「もう向こうでも高くなりすぎて、僕らには買えなくなったよ」というのが、その時のお返事でした。

今回、自ら販売した本であることが分かったのは、データベースに記録が残っていたからです。売り先としてM先生の名が記されておりました。販売時期はどちらも1997年12月。さらにこの年には、他にも何点かお買い上げいただいております。

こんなことを書くと、ずいぶんきちんと記録をとっているように思われるかもしれませんが、この頃の記録が残っているのは例外的なことです。

ついでにその当時の販売価格を見ると、今からは考えられないほど良い値段。でも、仕入れ値も高かったのです、山口さんが嘆かれたとおり。

ネットで現在の売価を調べてみて、今昔の感に堪えません。

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2013年03月18日

活かせるだろうか

RIMG0030駒場の研究室へ買い取り2件。

毎年今ごろは、退任の先生方からお声が掛かります。今日は先に1件の約束があったところへ、後からお電話いただいた先生も同じ日をご希望。たまたま同じ建物でもあり、時間を調整して「はしご」をいたしました。

その最初の先生は、以前お宅にも伺った外国人英語教師。予めお伝えいただいたところでは、今回ご処分される量は1200冊ほどとか。

といっても、ほとんどがペーパーバックの読み物で、いわば文庫本。これが実際に日本の文庫本であれば、現在小店では品薄状態でもあり、大変有り難いところですが、英語となると多少事情が違います。

何が違うかと申しますと、売れるスピードが違う。一度にこれだけ抱え込むと、置き場に困ります。かといって、市場に出してもさしたる値はつきません。なぜならば、手間と効率を考えると、競って買いたいというものではないからです。

もとより、先生はお値段に拘ってはおられません。活かせるものを活かして欲しいということがお望みです。そこで小店としても、欲しいものだけを、選んでお引取りする腹づもりで伺いました。

研究室に入り、ざっと棚を拝見すると、ヤケくすんだ状態の本が多く、値踏みできるのはせいぜい半分程度と思われ、ここまでは予測どおり。ところが作業を始めると、難しいことになってきました。いざ棚から出して一冊ずつ目を通していくと、捨てがたいものばかりなのです。

もちろん売値はせいぜい100円、200円というところ。だからといって、このまま資源ゴミでは忍びない、そういう本。

もう1件のお約束もあり、300冊ばかり縛ったところで一旦打ち切り、明後日、改めて伺うことにいたしましたが、さて今日お引取りした分だけでも、一体どこへ置いたものやら。

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2013年03月17日

必要経費

「こういう本は買ってもらえますか?」と見本を2、3冊、店に預けて行かれたお客様がいらっしゃいました。

昨日、店主がいる時間に再度お越しになり、「幾らくらいになります?ざっとで構いません」。そこで、お話いただいた範囲の本から判断して「まあ○万円くらいですか」と回答したところ、「そこまでは望みません」と仰います。

それほどの量ではありませんし、車で15分ほどの場所ですので「じゃあ明日の朝、伺います」と申し上げ、今朝、引き取って参りました。

実は昨日、お客様が帰られてから、改めて、見本として持ってこられた本の現在の価格を、「日本の古本屋」で調べてみました。

するとその一つ「岩崎文庫貴重本叢刊近世編」外函入全8冊、これを店主は過去の記憶から1万円と値踏みしたのですが、検索結果によれば、既に売値が1万円を割り始めています。

なるほどお客様の仰った言葉の意味が分かりました。小店においでになる前に、リサイクル系の店を含め、何店かにお尋ねになったそうですから、おそらくはどこでも同じように調べた挙句、渋い評価が付けられたのでしょう。

今朝お引き取りするときに、正直にその評価違いをお伝えし、その代わり、他の本を精一杯良い値でお引取りいたしますのでと、昨日申し上げたよりは何割か少ない金額を申し上げたところ、気持ちよくご了解いただき、無事に取引は終了したしました。

CA3K0646ただ、このお引取りでは、思わぬ損害が発生しております。マンションの狭い駐車場に車をバックで入れようとして、脇を植栽基部のレンガにこすってしまったのです。

どうも低い障害物は鬼門です。何度も同じような失敗をしております。まあ必要経費のようなものですが、認めてもらうのは難しいでしょうね。

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2013年03月16日

ヒッピー風

直接的には僅かなご縁でしかなかった、山口昌男先生の告別式が今日。行ってお線香を上げてこようか、などと考えておりましたのに、うっかり午後に約束を作ってしまいました。

東京大学を退官されたあと、1年余りロンドンへ行っておられた、Paul Rossiter先生が、本を売りたいと、昨日お電話を掛けてこられたのです。「興味ありますか?」と聞かれると、本屋である以上、「ない」とはなかなか答えられません。英語だというせいもありますが。

しかしRossiter先生はModern First Editionのコレクターでいらして、以前、研究室に伺ったときには、一冊ずつネットで検索して見せて、いくらで買うかとお尋ねになったこともありました。

今回は、20冊ほどを持って店に行くと仰います。ということはやはり一点物をお持ちになるのでしょうか。であれば、今度はしっかりこちらの買値をご提示して、あとのご判断は先生にお任せしよう――などと、いささか身構えるような気分でおりました。

RIMG0029やってこられた先生は、伸びた髪を後で結び、ジーンズ姿の思い切りカジュアルな格好。「いつお帰りに?」「今年の1月です。Wifeは4月までロンドンにおりますが」――挨拶もそこそこに、ナップザックから本を取り出されました。

確かに20冊ほどでしょう、しかしそのうちHardcoverは6冊だけ、あとはPaperbackの、それも現代詩人の詩集がほとんど。冷静に考えれば、さほど値のつくものはありません。

ところが、身構えていた分、肩透かしを食わされたように、張っていた気が緩んでしまったのでしょうか、つい高い値をつけてしまいました。一瞬、先生の顔が輝き、Thank you の連発です。

とはいえ、それほど大仰に喜んでいただくほどの金額では、もちろんありません。わざわざお越しいただいた時間と労力を、やや多めに勘定に入れた、と考えれば済む程度。

それにしても、この英国人(元)教授。Quaint Design さんのイメージとは、おそらく随分かけ離れた出で立ちでのご登場でした。

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2013年03月15日

うまく行かない日

朝、駒場東大前の駅で、やってきた電車に乗ろうとしたその時、携帯が鳴りました。店からです。一瞬、乗ってしまおうかと迷いましたが思いとどまり、受話ボタンを押して耳に当てると「財布を忘れてますよ」。

「すみません、忘れ物です」と改札を出て、店に戻りました。

財布をカバンに入れ、思いのほか寒かったので、ついでにコートを着重ねて、再び駅に向かいました。

ホームに立ち、やがて電車が近づくアナウンスを聞きながら、はたと気づきました。メガネがありません。

RIMG0018近頃の老眼の進み具合は、メガネなしではほとんど仕事にならないほどの状態です。やむを得ず、もう一度店に引き返しました。「すみません、もうひとつ忘れてました」と声を掛けて。

そんな具合で、会館に着いたのはもう午前11時半近く。急いで市会会場に向かいました。

少し焦っていたのは、昨日店からダンボール二箱を送っていて、それを開梱して出品するための作業があったからです。あまり遅れると、開場準備の妨げとなるおそれがあります。

しかし、目指す荷物は4階にも、3階にもありません。経営員に尋ねてみると、どうやらまだ届いていない様子。2階に降りて担当職員さんに聞くと、やはりまだ届いていない。

午前中の配達を指定してあります。もしや日付指定を間違えたかしらと不安になりましたが、届かぬものは仕方ありません。やがて昼食の中華弁当が届き、他の幹事と一緒に7階へ上がって食事を始めました。

一口二口食べた頃、職員さんが来られて「今届きました」。12時を15分ほど回っていて、すでに会場では多くの同業が入札を始めています。やむを得ず、出品は来週廻しといたしました。

本日の明治古典会、ある文化施設が所蔵していたという、美術カタログ類の大量出品が注目を集めておりました。

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2013年03月14日

『春と修羅』

先週の明治古典会。幹事一同で昼食を取りながら、軽いミーティングをしておりまして、話題が『春と修羅』に及びました。「やっぱりテレビの影響は大きい」という話からです。

本ブログでも先日、テレビ番組で高倉健が「愛読書」と紹介した本が、ネットでは高値となっていることをお伝えしましたが、今回の話は例の『ビブリア古書堂』。

まず組合広報部にお詫びしなければなりませんが、小店主は未だにこの番組を見ておりません。見まいとしているわけではなく、たまたま機会がないだけです。ご寛恕を。

さてその何回目かの放送で、この『春と修羅』が取り上げられて以来、同書がヤフオクやら、Amazonやらで高値を呼んでいるというのです。オリジナルがではありません、復刻本がです。

もっともオリジナルの方は、かつてほどではないにせよ、近代文学書の中でもトップクラスの古書価が付く本です。普通の人が、ちょっと買ってみようか、という金額ではありません。

しかし近代文学館が作った復刻本は、ついこの間まで他の作品同様、1000円前後で売られていました。まあ話題になったから、その2、3倍の値で売れるようになった、というくらいなら理解できます。

ところが、一人の同業が披露してくれた話は「ヤフオクで3万円くらいになったという話を聞いて、倉庫を探してみたら2冊出てきたので、すぐにアップしたら1万3千円で、2冊ともあっという間に売れた」。

RIMG0017「良く2冊も持ってたね」と、話を聞いていた同業の驚きは、その抜け目なさにではなく(それは誰にもあるものですから)、その幸運に向けられたものでした。

本と思うから驚いたり、あきれたりしますが、冷静に考えればありふれた話に過ぎません。ちなみに現在Amazonには1万円〜2万3千円で数冊出ています。

しかし、だからといって古本屋がもし持っていたとして、店で『春と修羅』復刻本に、1万円の値を付けて売ることはないはず。「日本の古本屋」でも同じこと。

そんなことをして、仮にもお客様が売りに来られたら、一体いくらで買えばよいのでしょう。

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2013年03月13日

強風の一日

日曜日からこっち、あきれるほど店が売れません。

今日はまた特に風が強く、まるでお客様を追い払うかのように、一日吹き荒れておりました。

そんな中で確定申告書類を作っておりますと、ひたすら気が滅入ってまいります。去年売れなかったことは、日々実感していたわけですが、数字として改めて目にしますと、やはり愕然とせざるを得ませんでした。

RIMG0026日頃冗談めかして「駒場の奇蹟」と自称しているのですが、この地で、このような売上で(昔の方が多少良かったとはいえ)、よくも30年を生き延びてこられたものです。

ともあれ、本年も確定申告書類の作成は完了。あとは投函するだけ。商売は少しも楽になりませんが、申告方法は、国税庁ホームページの開設により、近年、飛躍的に楽になりました。

でもどちらかといえば、申告に苦労しても、商売が楽になるほうが有り難いですね。

話は変わって、こんな風の日に、民藝館の帰り道とかで、「本で見た」店を探しながら歩いているうち、小店を目にしてお寄り下さった二人連れのご婦人。

表の雑誌を一冊お買上げいただき、「シュークリームの店」は近くにあるかとお尋ねになりました。

「ツケ麺」と、そのシュークリームが、「本」には載っていたようです。「他にこの辺りにいい店はあるの?」「何のですか」「何でも、っていうのもおかしいわね」。町歩きというわけでしょう。

お二人で言葉を交わされているうち、「主人が亡くなったらどうしよう、というほど本がある」とお一人が言い出されました。

失礼ながら、そのご婦人自身は、あまり本にご関心がありそうには、お見受けできませんでした。しかし研究室の本を処分した時の話などをされ、どうやらご主人は元大学の先生のようです。

「その折は…」などとはもちろん申し上げず、お帰りになるのを、ただお見送りいたしました。

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2013年03月12日

久々の一口

RIMG0021洋書会。今朝は自分の出品の仕分けをするつもりで、カーゴ半台ほどを、先週のうちにルート便で送ってありました。

しかし、いつものように午前11時頃に市場に着くと、既に会場一面、本で埋まっています。ここしばらく途絶えていた、京都の買取専門業者からの一口です。

この業者さんは、京都の学校関係を中心に精力的に買取を続けておられ、毎月のようにコンテナ便で東京の市場まで送ってくれています。もちろん洋書会だけにではありません。それが今年に入って出品がなく、市会の関係者間では、心配する声も出ていたところでした。

途絶えていた分、溜まっていたのかもしれません。洋書会出品分だけでもたいした量ですが、明日の資料会には、その何倍もの量が出品されます。

この方の出品は、今回に限らず、何件もの買取の口をまとめて送ってこられます。ですから、全体ではかなりの量になっても、必ずしもまとまった一口でないことも多く、そういう場合はやはりそれほどの値にはなりません。

しかし今日は、運び込まれた量の半分ほどが、18、19世紀英文学関係の一口でした。しかも Pope, Richardson, Sterne, Scott, Stevenson といった、いわば文学史の本流ともいうべき作家の全集、研究書が中心。

洋書会にとっても英文学は、元来その本流といえます。専門店も三店、守備範囲という店まで含めるともっと多数。しっかり仕分けをすることで、さらに盛り上がりが期待できるはずです。

そこで、既に仕分けを始めていた当番さんに混じって、店主もこの一口の仕分けに取り掛かりました。今日の出来高は、この口にかかっているという意気込みで。

午後1時半までかかった仕分けの結果は、狙いに違わず、どの封筒にも洋書会の通常市としては珍しいほどの札が入り、久々に手ごたえのある会となりました。

そんなわけで、店主の出品は次週までお預けとなったのでした。

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