2013年06月

2013年06月20日

ちょっとやせ我慢

「日本の古本屋」事業部の定例会議は、定例の名に恥じず時間延長。終わったのは午後7時の少し前。毎度のこととはいえ、これほど延びたのはしばらくぶりのことです。

その原因については、ここで軽々に申し上げるわけには参りません。ある議題が白熱したとだけお伝えしておきましょう。などと勿体ぶるほどのことではないのですが。

そんなことより、今日はどうした風の吹き回しか、事業部長が皆にと、差し入れを持参しました。持参というのは正確ではありません。宅配便にして会館へ送りつけたのです。

ダンボールが二箱。その一つに、見覚えのある名が印刷されておりました。書かれていた文字は「甑州」。思わず「この箱の中身は、この文字のもの?」と聞いてしまいました。

RIMG0322もう何年前のことになるか、義母に付き添って串木野を訪れたことがあります。そのとき、義母の甥に当たるというひとから、この名のラベルが貼られた一升瓶を一本いただいたのでした。

「自分達も滅多に手に入らない美味しい芋焼酎を送りますから、是非飲んでみてください」といわれ、帰京後届いたその一本を空けて飲んだのですが、確かに驚くほど美味かったのです。

そんなわけで「どうしてこれを?」とさらに部長に問うと、「飲んでみたらあまり美味しいので、皆にも飲んでもらおうと思って」買ったのだといいます。

店主も何度か、買ってみようとネットで検索したことがありましたが、そのときには見つかりませんでした。しかし今回、楽天で「ポスト森伊蔵」と銘打って販売していたとか。早速、ありったけ注文したところ、4合瓶が7本だけ手に入ったとのこと。

店主とのやり取りを聞いて、仲間も興味を持ち、それぞれに受け取りました。ところがその場に居た部員は9名。部長当人を除いても8名。一本足りません。そこで店主は、すでに飲んだこともあるのでと辞退いたしました。ちゃんと他の銘柄は用意されておりましたけれど。

「今度またお送りします」と言う部長に、「いや自分で探して買いますから」とし、いただいたお酒の礼を申し上げたのでした。ちなみに部長の店の近くの酒屋では、ふだんでも手に入るそうです。

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2013年06月19日

返送さまざま

RIMG0324「日本の古本屋」などで注文を受け、お送りした本が届かずに戻ってくることが、たまにあります。

その理由はマチマチでも、殆どはありふれたものです。例えばこちらの記載ミス。番地が少し違っていても届きません。当たり前といえば当たり前ですが、ベテランの配達員が少なくなったこともあるでしょう。

あるいは引越しなどによる住所変更。登録住所が古いままである場合、転送サービス期間を過ぎると配達されません。

戻ってくると、まず気になるのはこちらにミスがあったかどうかという点です。もしミスがあれば、ひたすら謝って、すぐに正しい住所にお送りいたします。

気の短い方であれば、もう要らないと仰るかもしれません。けれどもそれをお尋ねしていては、さらに遅くなりますから、再発送の手配を済ませてから、もし不要であれば「受取拒否」としていただくようにお願いするわけです。

たとえ先方のミスであった場合でも、正しい住所が分かり次第、送料の加算などせずに再送しております。金額訂正と、それの了承を得る手間の方が大変だからです。

最近も、ゆうメールが一個、戻ってまいりました。確かめてみたところ、こちらに問題はありません。お客様にメールでお問い合わせいたしました。やがて来た返事によれば、やはり古い住所が登録されたままになっていたとのこと。

しかしその先に、「実は昨日そちらの店に伺ったところです」とありました。ちょくちょくご来店いただいている方のようです。「ご連絡いただいて気がつきました」とも。

駒場の研究室からご注文いただくこともあります。「駒下」の本屋だと気がついて、取りに来られる方もおいでですが、気がついても、足を運ぶ面倒より、送料を払うことを選ぶ方の方が多い気がいたします。

くだんのお客様は、後日、引き取りにご来店くださいました。

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2013年06月18日

期末の恒例

洋書会、今期は今日と、来週の二回を残すのみ。つまり今日はラス前です。そこで恒例の慰労会が、市場が終わったあと開かれました。

会場は四谷荒木町の光楽亭。串揚げのお店ですが、かつては料亭であったという建物は、なかなか風情のあるものでした。

前から予定されていたことですので、本来なら朝、車ではなくバスで店に出掛けるところですが、ちょっと朝寝坊をして、その余裕がなくなり、いつも通り車で店へ。

夜はもちろん、四谷三丁目から地下鉄を乗り継いで家に戻ってまいりました。ですから今夜は久しぶりに車は店で一泊。明日の朝は、否応なくバス通勤となるわけです。

それはともかく、今日も洋書会の出品は多目。このところ、どの市会も量には恵まれているようです。問題は質、出来高。しかし昨年末から年初にかけての、質量ともに恵まれなかった時期を思えば、贅沢は言っておられません。

先日来、ある出版社の資料図書の整理が進められていて、洋書も結構な量が出てくるのですが、図書館並みに背にべったりとラベルが貼られています。なかなか値を付けにくいところです。

そんななかでTour de mondeの合本が、かなりの年数まとまって出ていました。19世紀後半からフランスで出ている紀行雑誌です。初めの頃は挿絵に木口木版か、鋼版か、版画の挿絵が豊富に入っていて、見るだけでも楽しめます。その挿絵だけを切り取って、売り物にすることも出来そう。

RIMG0291ちょっと気を惹かれましたが、問題はその量。大判の合本が何十冊あるでしょうか。まず置き場に困ります。さらに挿絵を切り取るなりして売ろうと思っても、いざ落札して自分の本となると、なかなか本を壊して一枚ずつ商品にすることにためらいを感じるのは、過去の経験から明らか。

考えた末、入札を見合わせましたが、みな同様に考えたのでしょう、安い価格で落札されておりました。

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2013年06月17日

古典は急がない

電話でお問い合わせをいただきました。

「ヨハネス・スコトゥス・エリウゲナの本を検索していて見つけたのですが、どんな本ですか?」

いきなり「どんな?」と尋ねられても、即座にお応えできる筈もありません。まあできるものもありますが、洋書の場合は、データを取る時に見ただけという本も多いので、まず無理。

「調べて折り返しお電話いたします」と申し上げると、「すぐに分かるのでしたら、こちらからもう一度掛けます」。携帯からかけておられるようです。

「では5分ほど後にお願いします」とお答えしておいて、早速、在庫を調べにかかりました。

Iohannis Scotti Eriugenae Periphyseon. Dublin Institute for Advanced Studies, 1968. [Scriptores Latini Hiberniae ; v. 7,9,11,13] というのがお尋ねの本だと確認、めでたく在庫記録どおりの場所に見つかりました。RIMG0327

お問い合わせの内容は、羅英対訳なのか、羅語だけなのかというものです。開いてみますと、紛れもなく左右ページにそれぞれラテン語と英語。まもなく電話がかかってまいりました。

「対訳になっております」「緑色の本でしょうか」「そうです」「価格はこのとおりですか」「そうです、4冊で16000円です」「え!4冊でですか」

あきらかに、思いがけなさに驚いたという口調。しかしその後に続く言葉に、今度はこちらが驚くことになりました。

「それでは、年内にはいただこうと思いますので…」「年内というのは12月までということですか」「はい」「お取り置きというわけには参りませんが、よろしいですか」

というわけで、本書、いまも「日本の古本屋」で販売中です。

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2013年06月16日

蚤の市

先日QuaintDesingさんから「今度の日曜日に、お店の前で『蚤の市』をやらせてもらっていいですか」とのお申し出があって、その日曜日というのが今日。

昨日の天気予報では、今日は雨。順延した方が良いのではと問い合わせたところ、すでにHPなどで告知しているからと、決行されることになりました。

RIMG0325幸いなことに雨はお昼過ぎには上がり、次第に日も差してきて、徐々に客足も伸びてきました。

店主は裏に籠って作業をしておりましたが、何となく賑やかになってきた様子は分かるものです。

一番の目的は、ここで店をやっていることを、お客様に知っていただくことですから、その点ではお天気に救われて、まずまずの成果だったのではないでしょうか。

来週の日曜日は都議選投票日。普段よりずっと多くの人が店の前を通るはず。この機会を逃す手はないと、再度、開催を考えておられるようです。ただし今回の教訓をもとに、お天気次第とする予定。

詳しくはQuaintDesignさんのHPをご覧ください。

小店も今回の教訓を活かし、今度、表で『蚤の市』が開かれる時は、「本屋も普段どおり営業しております」という看板でも出しておこうと思います。

留学生なのか、昨日店に来られて本を見ていかれたアジア系の若い女性が、夕方、店主のいるのを確かめるようにして中に入ってこられました。

日本語がまだ良く分からないようです。おずおずとした口調で、パートタイムで働かせてもらえないかというようなことを英語で話されました。

残念ながら今のところその予定はないとお応えしたのですが、苦学生なのでしょうか。気にかかります。

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2013年06月15日

イザベラ・バード

イメージ (126)懸案をひとつ果たすことが出来ました。

東京大学駒場博物館で開かれている特別展「ツイン・タイム・トラベル イザベラ・バードの旅の世界」(6月30日まで)を見に行ったのです。

梅雨の晴れ間となった土曜日の午後、店から一歩出ると、駅の周りは様々なグループが集い、何となく賑やか。正門の辺りにも、いつもより人出が多いようです。

目指す博物館まで来ると、静かで落ち着いた雰囲気に変わりました。早速館内へ入り、展示されている写真を見て回ることに。

五つに分けられたセクションの、一つ目を見終わろうという頃、後ろから「こんにちは」という声。振り返ると、他ならぬこの写真展の出展者、金坂清則先生です。

そもそも、開催前ですから3月の初めでしたか、先生ご自身でチラシとポスターを持って小店にお出でくださいました。「是非見に来てください」と仰るのに「必ず」とお応えし、それが今日になったのです。

歩いて10分とかからぬところへ出向くのに、3ヶ月を要したことになりますが、よりによってその日に、偶然お目にかかれるとは、なんとも間の良いことでした。

先生にとっても予定されていなかった、突然のお立ち寄りだったとのこと。いくつかの展示について、直々にご説明をいただくこともできました。

以前、金坂先生について本ブログで少し触れたことがあります。実は最近になって、それがご本人に知れ、メールをいただいたばかりでした。

今日もまたその件で、寛容なお言葉をいただいたのですが、イタズラを見つかったような気分になりました。

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2013年06月14日

いつまで続く

店の売場部分に10基ある天井の蛍光灯のうち、9基目の入れ替えが本日完了。この2、3年の間に次々と寿命が来て、その都度1基ずつ入れ替えてきました。残るはあと1基。

一度に交換するのに比べ、何倍の費用がかかったか知れません。しかし総合的に判断すれば、まあやむを得ない選択であったと思います。

ところが現在、バックヤードの蛍光灯が1基、すでに一月ほど、直そうにも直せず、切れたままの状態になっています。その床には、本が山のように積み上げられていて、脚立を置くこともできないからです。

積み上げた本を照らしていただけですから、すぐにも取り替えなければ困るというわけでもありません。しかし、まずはそこを片付けて、生きたスペースにしようようというのが、年初来掲げてきた大きな目標ではあります。気持ちばかりは急いでおりますが、いつになったら手がつけられるやら。

RIMG0308それにしても、バックヤードの蛍光灯を点灯する時間は、表の半分とは言わないまでも、何割かは短いはず。機器の寿命にも、大きなバラつきがあるものだと知りました。

さて明治古典会ですが、今期は今日を入れてあと三回。ここへ来て毎週やっている、入札終了後の振り市は、大分サマになってきました。

習うより慣れろとはよく言ったもので、振り手を務める二人の経営員にも、次第に流暢さが生まれてきて、初めの頃とは雲泥の差。テンポ良く続くようになりました。

今度の七夕大入札会で実施するために、その練習の意味を兼ねて始めた「振り」ですが、来期以降も何らかの形で、普段の市場に取り入れたいと思っています。

今日は市会が終ってから、来期幹事の打ち合わせ。その席で、そうした意見が出たのでした。

そう。来期も、幹事を仰せつかることになりました。

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2013年06月13日

網野善彦著作集

東京は雨で気温も低め。関東以外は全国的に真夏日だとか。

午後、その雨の中を五反田まで車で出かけ、先週土曜日に開かれた南部地区大市会の落札品を引き取りに。

いつもの事ながら、落札結果が、本部会館の市のように楽に分かる方法があればと思います。それが分かればもう少しはやく、引き取りにいくことも出来るのにと。

落札品は二点。正確に言うと買い引き品です。自分で出品して自分で買う。なぜそんなことをするかというには、いくつか理由があるのですが、今回を例に、その一つをご説明いたしましょう。

最近、お客様から良い全集を買い入れました。網野善彦著作集全18巻に別巻のついた19冊。ネットに上げ、店に置いて自分で売りたいところですが、現在どこにも揃いが出ておりません。幾らで売るか、およその腹づもりはありましたが、それが相場かどうかちょっと不安もありました。

例の大森荘蔵著作集のように、とんでもない値になるケースもあります。みすみす儲け損なうのは、商売人として面白くありません。そこで一度、市場に出品して、およその相場を把握しようというわけです。

とはいっても、まるで売る気のない値で買い引くのでは、欲の皮が突っ張っているようでみっともない。そこで自分の考える売値の、2〜3割安い辺りの札を入れておきました。売れたら売れたでまあ良いか、とも思ってです。

RIMG0303結果は、先に申し上げたとおり買い引き。つまり店主が始めに考えた売値が、「安すぎることはない」と証明されました。妙な言い方に聞こえるでしょうか。

一方、落札価格に2〜3割乗せて売値をつけるのですから、決して高すぎるともいえないでしょう。まずは適正な価格で、販売できるというわけです。翻って、お客様からの買い取り価格も、妥当なものであったと安心いたしました。

さりながら、売れるかどうかは、神のみぞ知る、です。

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2013年06月12日

トンビに油揚げ

RIMG0299自分の恥をさらすようですが、昨日の洋書会でのお話。

カーゴ一台のフランス書をお客様からお預かりし、市場に出品いたしました。引き取りは運送屋さんにおまかせし、現物を目にするのは昨日が初めて。

まずその量が、事前に伺っていたより少なかったことに焦りました。お電話でご説明を受けた限りでは、その倍、二台分はあると思っていたのです。運送代金は、作業に要する時間と、走る距離に応じます。つまり一台でも、二台でも、ほぼ同じ料金。

もちろん量が少なくとも、高く売れるものであれば何の問題もありません。しかしこのお客様は、お年こそ召しておられますが、まだまだ現役の読書家。つまり、ご自身で不要となったものから整理を始めておられます。

しかも日本書ならともかく、洋書。それも英語でなくフランス語の文学、美術系研究書。需要層が極めて限られる、こういう類の本が、市場で高値になるということはまずありません。

というわけで、そのカーゴの本を目にしたとき、これは運送賃を出すのが精一杯だと諦めました。小店の手間賃はもとより、お客様へのお支払いも出来そうもないと。

それでも、精一杯仕分けをして、何とか同業に買ってもらえるように努力しました。しかし7点に仕分けたうち、売れたのはただ1点。その1点というのは、1000冊近い本の中から、割合足の速そうな本ばかりを100冊ほど選り出したもの。

実はこれだけは、自分で買い引くつもりでおりました。だから他の6点よりは、多少割高な札を入れておいたのです。もう少ししっかりした札を入れておくべきだったと悔やんでも後の祭り。残りの、捌くのが難しい本ばかり、大量に買い引いて手元に残りました。

自分で買い引いた額が、ほぼ運送代金。つまり運送代を払って、難しい本を大量に抱え込む、という結果になったわけです。

とはいえ結果を嘆いても仕方ありません。店主がトンビになることだってあり、それが市場です。しかし頭が痛いのは、お客様へのご報告が、まだこれからであることです。

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2013年06月11日

知るまでは知らない

Yuki Yoshidaって名前、文学のほうで聞いたことある?」社会科学を得意とする本屋さんが、英文学を専門とする同業にたずねました。

「ない」。きっぱりと答えた同業に、「これあげるよ、調べてみたら」といって、小さな一冊の本を手渡しました。

今日の洋書会、市場が終わってそれぞれが、自分の買い上げた本を整理したり、会場の片づけをしたりしている時のことです。

本のタイトルはWhispering Leaves in Grosvenor Square.四六判ほどの大きさ、約80頁の薄いハードカバーで銀紙がまだらにはがれたような表紙。元からそうだったのか、経年による劣化かは不明。

どことなく趣のある本ですから、つい周りの同業も集まって(かく申す店主もそのひとりですが)、いろいろと詮議が始りました。

まず出版社がLongmans Greenという一流どころ。無名の日本人が簡単に本を出せるとも思えません。それ以前に一体、男なのか女なのか、初めはそれすら不明でした。

RIMG0304序文を読めば分かるのではと、その2頁足らずの文を読んでみたところ、最後の最後に手がかりがみつかりました。Statesman's daughter で wife of the ambassadorとあります。

ここにしてようやく、これが吉田茂の夫人ではないかと思い至り、一人が携帯端末で検索。その名が雪子であることが確かめられたのでした。

こんな騒ぎの後、店に帰って改めて検索してみると、この本1997年に別の出版社から復刊され、今も入手可能なようです。そのうえ解説も書かれておりました。当時英国大使、後に戦後日本の総理大臣となった吉田茂の妻によるチャーミングな回想録と。

しかし見返しに自筆と思われる献辞があり、その宛先はmy dearest family。さらに最後の署名のYukiのあと、Yoshidaとあったはずのところが消されておりました。これがまた新たな謎ですが、無用の詮索かもしれません。

この本を譲り受けた書店は、吉田健一の母の本であることに意味があると言って、喜んで持って帰りました。

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