2013年07月

2013年07月31日

イラストレーター

イメージ (131)『あなたの見方を変える・入門の入門コンピュータ』(日本経営出版会・昭和44年)というこの本。

当時、おそらく数多く出ていた入門書の一つに過ぎないのでしょうが、たまたま手にして、その装丁に目が留まりました。今も人気の高い、真鍋博(1932-2000)が手がけています。

それにつられてパラパラと中を覗いてみました。おおよそはコンピュータの歴史、現在の姿、未来の予測という基本的なつくりで、今となっては、この本自体が、コンピュータ受容史の一資料ということになるのでしょう。

もとより門外漢ですから、企画・制作に名を連ねるお三方のうち、真鍋氏を除いて、それぞれがどのような方であるか全く存じません。奥付に簡単な肩書きは表示されておりますが。

従って、この本がどれほどの意味を持ったかについても、判断の下しようがないのですが、店主としては、このイラストレーターによって、いくらか値がつくのではと、淡い期待を抱きました。

そこで『日本の古本屋』を検索してみたところ、たった二点しか登録されていなかったにもかかわらず、いずれも価格は315円。アテがはずれてがっかりしたことも事実ですが、同時に、常識的かつ良心的なご同業たちに対し、敬意を感じました。

そんなわけで、小店では折を見て、店の前の棚にでも差すことになりそうです。片付ける前にもう一度、未練がましくページを繰って、二色刷りのイラストや淡色のカットをじっくりと眺めました。

そういえばしばらく前に、明治古典会で同氏の旧蔵書が市場に出たこともあります。氏の仕事に直接かかわるものは、ご遺族がしかるべきところに寄付されたようですから、それ以外の残った書籍類だったのでしょう。

参考資料として使われたらしく、保存状態は決して良くはありませんでしたが、大量の美術、デザイン書の中には珍しいものも含まれていて、良い値段になったと記憶しています。

いずれにせよ、店主らの世代には懐かしい人で、イラストレーションという言葉を知ったのも、彼の仕事を通じてだったような気がします。

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2013年07月30日

うな重で当番終了

洋書会7月当番、最後の日。長かったような気がします。確かに今月の火曜日は5回。しかし最初の週は明古の大市(七夕大入札会)で休会でしたから、都合4回。普通の月と変わりないといえば変わりないのですが。

それはともかく、ご褒美(?)のうな重で、当番一同、ひと月の疲れを癒されたようです。またまた値段が上がって、正直なところ、今日の出品状況では、いささか経費オーバー。若干の心苦しさも覚えつつ、しかし美味しくいただきました。

その少ない出品の中で、珍しい本も数点出ていて、出品量の割には、出来高が上がったようです。

一点はケルムスコットプレスの『シェイクスピア詩集』。紐が切れていたのが残念でしたが、ベラム装の状態の良いもので、二店が競り合って一番の上札、店主の予測を遥かに超える落札価格となりました。

他には Histoire des Mongols de la Perse (1836) という大判の、これも状態の良い本。CiNiiから引用させていただくと、ecrite en persan par Raschid-Eldin ; publiee, traduite en francais accompagnee de notes et d'un memoire sur la vie et les
ouvrages de l'auteur par M. Quatremere.

つまりペルシャ語で書かれた蒙古史で、第一巻と表記がありましたですが、結局出版されたのはこの巻だけだったようです。

ペルシャ文字とフランス訳が、見開きに印刷された美しい版面。ちょっと手に入れたい気もしましたが、仮に入札しても、落札者の下札に絡むことも出来なかったでしょう。こちらも二業者が競り合ったため、一番の上札になりました。

この二点で、今日の全体の出来高の半ば以上。つまり、この二冊がなければ、本日の洋書会出来高は、半減しRIMG0456ていたことになります。うな重の消化をぐっと良くしてくれた二冊でした。

市会終了後、臨時総会。7階の会議室で約一時間半。白熱した会議となりましたがそれは大方にはご関心のないことでしょうから、ここにそのいちいちを記すことは控えさせていただきます。

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2013年07月29日

ネットで買いました

我が家のオーブントースターが感電するようになりました。使い始めて2年ほどでしょうか。毎朝のように使うものとはいえ、手入れの悪さが故障を早めたかも。

近年、ずっと香典返しの「選べるギフト」で選んだ製品を使ってきました。いつも丁度具合が悪くなる頃に、新たな機種を選ぶ機会があったものでした。

そう言えばこのところ、葬儀が減っているような気がします。同業の訃報が入っても、すでに身内で済ませましたという報告が増えています。理由は様々ながら、商売の形態が変化してきたことも原因のひとつであることは確かです。

店と住まいが一緒、家族が交替で店番、という家業型は、次第に少数派になりつつあります。家族がまったく商売に関知しない例も増えていて、そんな場合、同業が大勢押しかけるような葬儀は避けたいかもしれません。

組合の文化厚生業務の主要なものであった、葬儀の取り仕切りまたはお手伝い、すなわち仲間を送るという伝統も、今後はどう変わっていくでしょうか。

CA3K0691 - コピーさてそんなわけで、新しいオーブントースターを求めようと、昨夜店から帰る途中にある、某家電量販店に寄りました。

日曜日といっても、もう午後7時近いからか、駐車場に随分余裕があります。店内も静かで、落ち着いて見て回れそう。とはいえ帰宅途中ですから、それほどゆっくりも出来ません。すぐに店員さんに、陳列場所を尋ねました。

何台も並んだオーブントースターの中に、昼間、ネットで調べて気に入った商品があります。迷わず手を伸ばしかけて、その手が止まってしまいました。

値札に書かれているのは、5000円台の数字。ネットに出ていたものは、3000円台だったはずです。その差が1000円以内であったら、折角足を運んだことでもあるし、買ってしまっていたかもしれません。

しかし2000円の差は大きい。しかも、ネットショップに頼めば、翌日には届きます。結局この量販店では買わずに、家に戻ってパソコンから発注したのです。

いろいろと考えさせられる体験ではありました。

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2013年07月28日

支部総会

RIMG0446今年も、炎天下を歩くことになりました。午後2時から南部支部総会。

五反田駅から南部地区会館までは、歩いて10分ほどの距離ですが、この時間帯では日陰らしい日陰もない道を、汗を掻き掻き歩くしかありません。

歩きながら、去年も、その前の年も、つまりはもう30年近く、年に一度のこの行事のために、こうして暑い中を歩いている自分を、思い出しておりました。これもまた例年のことです。

定刻10分前に会館に到着して、一番後ろの席に座り、開会を待ちました。こうして聞き手に回ったのは、何年ぶりのことでしょう。少なくともこの10年ほどは、ほぼ毎年何かの役目があって、発表者側の席に着いていたような気がします。

およそ1時間半の総会の間、ひと言の発言も求められることなく、静かに最後まで座っておられたのは久しぶりで、新鮮な気分。実に気の楽な総会でした。それだけに、開催側のご苦労を、つい察してしまいます。

改めて前方に居並ぶ支部役員の面々を見渡すと、顔ぶれが随分若返っていることに気がつきました。店主と同年以上なのは、支部長ただ一人。あとは軒並み年下。何のことはない、ただこちらが歳をとっただけと言うこともできますが。

しかし若手が増え、さらに代替わりの跡継ぎも育ってきたことは確かです。むしろ心配なのは、観客席(?)の側。こちらには、まだ店主より先輩に当たる方々が多い。

これには二つの理由が考えられます。ひとつには、若手は支部の仕事につかまる(発表側に座る)確率が高いということ。もう一つは、そうでない若手は総会出席率が低いということ。

総会を終え、懇親会に入る前に、今日は失礼して店に戻りましたが、会館を出て駅に向かう途中、大先輩が杖をつき、休みながら歩いてこられる姿を見つけました。毎年欠かさず出席されていた方です。

病後間もないはずで、この暑さがお辛そうでした。ようやくここまで来たというご様子です。誰彼の顔を見に、無理を押して出てこられたのでしょうか。ご挨拶だけして分かれたあと、頼りになる仲間に携帯で連絡すると、すぐ迎えに出ると答えてくれました。

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2013年07月27日

売れて思い出す

CA3K0059今の店になって以来、入り口から正面に見える棚の、ほぼ同じ場所で動かずにきた本が、本日売れました。ちょっと寂しい気がしないでもありません。

新開店時に棚に並べたということは、入荷したのはそれ以前のはずです。データを調べてみて、ちょっとした驚きがありました。登録日時が2002年7月27日となっていたのです。11年前の今日。単なる偶然に過ぎないといえばそれまでですが。

Theatre complet de Eugene Labiche/ 1-10. Calmann-Levy, 1897. というのがその本で、写真で見るほどにはキズやイタミが気にならない、背革装の、見返しは美しいマーブル紙。

本自体は酸性紙の普及版ですから、ヤケて黄ばんでおりますがまだ脆くはなっていません。なにより、革の状態がこれほど良いのは珍しく、それで麗々しく棚に並べておりました。中身より見かけというわけです。

正直なところ、あまり知られていないフランスの劇作家の作品集を、読もうとしてお求めになる方が居られるとは、殆ど想像しておりませんでした。それで、知らない作家のまま、あえて知ろうともせず、ただ在庫してきたのです。

お買い上げいただいたのは、ある音楽系出版社にお勤めになっているという男性。時折ご来店になり、店主も忘れていたような本を店内のどこからか探し出しては、お買い上げ下さる方です。

本日お買い上げの本についても、前回おいでになった折りに興味をもたれ、「これはどんな人ですか」とお尋ねになりました。店主が前述の通りの不勉強を白状したところ、「ちょっと調べてみます」とお帰りになり、今日がそれ以来のご来店でした。

あつかましくも、「どんな人でしたか」と伺うと、お調べになった結果を詳しくお話くださいました。日本では殆ど知られていない作家ながら、10巻もの作品集が出るほどですから、フランスの大衆文化にそれなりの足跡を残した人物だったようです。

その知られていない日本で、ただ一人、この作家について書いていたのが梅田晴夫であったとのこと。そう聞いて、一時期、氏の蔵書が市場に出たこと、そのいくらかを落札したことを思い出すとともに、これがそのうちの一点であったことに、今頃になって気が付きました。

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2013年07月26日

明古の長い一日

RIMG0451午後10時半、店に帰着。長い一日でした。

午前9時に店を出て、古書会館まで約30分。いつものように、すでに明古の準備は始まっています。月末の特選市で、荷物の量は多そう。出来ることを手伝って、やがて昼になる頃には、出品点数が久々に1000点を超える感じになりました。

今期から特選市では、開札を終えた後、優品を振りに掛けることになり、今日はその第一回目。幸いなことに、振りの品物も面白いものが集まりました。

しかし、今日はまた、七夕大入札会の清算日。数名の人手がそちらに取られます。そんなときに限って、よんどころなく欠席という若手会員もいて、運営に携われる人員がいつもより少ない。

おかげで最近の平均からすると、1時間半ほど開札終了時間が遅くなりました。振り市が始ったのは午後5時。

戦前漫画、絵本の口。草双紙の一口。駒井哲郎など人気版画家の作品。明治初期文献など、約80点が振りに掛けられ、なかなか熱気がありました。終ったのが午後6時。

その後、10分ほどの休憩を挟んで、七夕実行委員会の反省会が持たれました。今年の会を振り返り、来年への備えにしようと、毎年恒例の会議です。

こちらも熱のこもった話し合いとなり、気がつくと午後8時。もちろんすべてが出尽くしたわけでも、何らかの結論が出たわけでもありませんが、ひとまず打ち切り。

ようやく解散して、いつもの仲間で遅い食事をとりました。比較的新しく出来た中華料理店、四川料理の『府川』。前々から一度行ってみようと話していた店です。

5人で食事をして、うち3人はビール、紹興酒も飲み、会計は1万円を僅かに出た程度。特筆すべき味とは申せませんが、個室で2時間過ごして、この料金。払う身としては有り難いことながら、これは果たして良いことなのだろうかと、つい日本経済の先行きを憂えたりしてしまうのでした。

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2013年07月25日

表徴の帝国

Guy Debord の本があると聞いてお電話したのですが」

というお電話をいただいて、その本を自店データベースから見つけ出すのに、いささか苦労いたしました。なにより、無知をさらすようですが「ギー・ドゥボール」という名前に、全く聞き覚えがなかったのです。

RIMG0447さらに、携帯らしい電話の音声が、もう一つ聞き取りにくく、ドゥだかルだか、スペルを伺えば今度は、dかbかも何度も聞きなおす始末。それでも辛抱強く、繰り返していただき、ついに目指す本が見つかりました。

Considerations sur l'assassinat de Gerard Lebovici.
Gallimard, 2004(c1993) という一冊。

B6判より少し小さいくらいで96pという薄いこの本を、1000円という値をつけてネットに上げたのは、著者ではなく、そのタイトルが気になり、Lebovici という映画人に、かすかな聞き覚えが有ったからでした。

後になってネットで調べると、ドゥボールのほうはWikipediaの日本語版でも紹介されています。一方のルボヴィッシは英語版しか見つかりませんでした。それを読んでも、一体、それ以前にどこでその名を聞いたのか、思い出すことは出来ません。

いずれにせよ、当のお客様は、その日のうちにご来店になり、その一冊をお買い上げくださいました。折角だからと店内をご覧になり、他にも数冊お買い上げいただきましたが、その際のこと、 『表徴の帝国』はありませんかと、お尋ねになりました。

洋書にせよ、日本書にせよ、「目下、小店にははありません」とお答えして、今は文庫で手に入るはずだということ、新潮社版の創造の小径シリーズも、今なら昔のように高くないこと、その装丁がフランスの原書を基にしていることなど、余計なおしゃべりをいたしました。

そのあげく、洋書でもポケット判がでていて、それは確かこの
champs flammarion シリーズに入っているはずですと、小型本の棚まで行ってご説明しました。

すると、指差した本の一段上に、それと同じ装丁の Rolland
Barthes: L'Empire des signes
が一冊、刺さっているではありませんか。いい加減さがばれてしまいましたが、ともかく喜んでいただき、その一冊もお買い上げくださったのでした。

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2013年07月24日

一瞬の海

昨日の午後、殆ど雨に濡れず市場から店まで帰りついたということは、すでにお伝えしたとおりです。

昼過ぎから、何度か強い降りに見舞われた神保町界隈は、午後4時頃には、ほぼ小止みとなっておりました。

置き傘もあったのですが、あえて手にせず帰路に着いて、渋谷駅で井の頭線に乗り換えようと渋東シネタワービルから地上に出ると、雷鳴がとどろき、地面は雨のしぶきで白くなっております。

そこからビルの裏手に出て、狭い道路をひとつ渡れば、あとは駒場東大前駅までの間、濡れることはありません。しかし、その僅か数メートルを走る気も失せさせるような降りでした。

そこで、バッグに入れていた文庫本を読みながら、ビルの中で降りがおさまるのを待つことにしたのです。

CA3K0693 - コピー10分、もう少し経ったでしょうか、急速に雨脚は弱まり、歩いて数歩の道を渡り、井の頭線の電車に乗って店に帰ることが出来ました。駒場に着くと、傘もいらないほどに、上がっておりました。

しかし店の前は、本棚がずっと奥まで押し込められていて、店内にも何台か入れてあります。普段はおっとりした店番のΧ君が、やや興奮気味に、降りの凄さを語ってくれました。

それによると、店主が会館を出た午後4時頃から、まるで夜になったかと思うほど空が暗くなり、やがて表が真っ白に見えるような雨が降ってきたというのです。

雨に備えて一応は引っ込めてあった本棚にも、たちまち水しぶきがかかり始め、慌ててさらに奥へしまいこんだというわけでした。

当然のように売上は最低の一日でしたが、被害が出なかっただけ、まだましだと思わなければなりません。

夜、家に帰ると家人から、お隣と筋向いの二つのビルの地下に水が入り、大変な騒ぎだったと聞かされました。今は人工河川となっている近くの呑川が氾濫し、やや低くなっている我が家の周り一帯は「まるで海のよう」になったと言います。

そんな目黒、世田谷のゲリラ豪雨も、さしたるニュースとして取り上げられることはありませんでした。それは、もちろん幸いなことでありました。

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2013年07月23日

珍しいジャケット

昨日の蔵書表について、コメントをいただきました。もったいないので、ここでご紹介し、お返事もこちらでさせていただきます。

じつに店主も感じた疑問でした。なぜアフロディテなのか。しかしとりあえず考える糸口もないので、そのままご覧いただいた次第です。早速ご教示いただいた画像を見てみました。元の絵もなかなか素敵ですね。しかもレダでなく、ちゃんとアフロディテ。

ところで、お知らせいただいた二つの写真は、割れの補修を見ても、どうやら同じものを撮っているようです。同じものが大英にもアテネにもあるのでしょうか。ちょっと不思議な気がします。

RIMG0455さて、今日も洋書会にでかけました。朝からうだるような暑さ。神保町駅出口の寒暖計は、午前10時で35度を超えていて、今朝の天気予報より、かなり気温が上がりそうです。

市場も、この暑さのせいか、荷物の量が今ひとつ。しかし、だからこそ普段よりずっと丁寧に仕分けをされて、今日の出品者はラッキーだったかもしれません。

そんな中で注目を集めたのは、ヘボンの和英語林集成。1886年刊の第3版で、状態もさほど良くありませんでしたが、洋書会員の誰も見たことがない、布製のジャケットが付いていました。

袖の部分はマーブル様のボードで、表紙を差し込むようになっています。表面にはタイトルやMaruzenの文字も印刷されていて、誂え表紙とは思えません。

しかし、傷みやすい紙ジャケットならともかく、こうした布のジャケットが、元来付いていたのだとすると、これまで見かけなかったのは何故でしょう。ひとしきり話題となりましたが、専門店が、なかなかよい値段で落札いたしました。

暑さは、やはり豪雨の前触れでした。あちこちでゲリラ型に発生した雷雨については、明日になればもう少し詳しい様子が分かることでしょう。とりあえず店主は、うまく雨間を縫って店に帰りつくことが出来たのですが。

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2013年07月22日

三本の鍵

今朝店に着いて車を止めると、一緒に乗ってきた娘が「鍵を」と手を出します。店の鍵です。

本人も一本持っているはずですが、忘れてきたらしい。「そこのバッグの中にあるから」と告げて先に車を降り、店の前のラティスを移動させていたところ、何時までも探っております。

「ちょっとかして」と自分で改めてみたところ、確かにありません。そういえば昨日店を閉めるとき、たまたま家人が一緒で、鍵を渡して閉めてもらったことを思い出しました。

そしてそのまま受け取らなかった。ということは、つまりは家人が持ったままということです。

携帯をかけて見ると、まだ家におりました。これからすぐ自転車で出てくれると言います。仕方なく、そのまま30分余、店の前で片付け仕事を見つけて時間を潰しました。

実はこういう時のために、もう一本、いつも車の中に鍵を置いてあるのですが、それがまた、前日たまたま店を開けるのに使って、机の中に入れたままだったのです。

偶然が重なったには違いありませんが、なんとも締まらない(閉まったまま開かないのですが)話でありました。

     *   *   *   *   *   *

話題を変えましょう。Lang の本の一冊に付いていた、素敵な蔵書票。本自体は、ありふれたMacmillan版の The Odyssey of
Homer, 1906(1879初版)で、しかも紺色の表紙がところどころ虫にやられて剥げていたりして、殆ど値打ちはありません。

RIMG0457かといって、この蔵書票だけ剥ぎ取る気にはなれません。これはこのまま、気の済むまで手元に置いておくつもりです。

ちなみに Vivian de Sola Pinto という人は、研究社『英米文学辞典第二版』によれば、17世紀を専門とする英文学者。しかしWikipedia によれば、詩人でもあり、ロレンス研究の第一人者との紹介もあって、こちらの方が、この蔵書票の持ち主らしい感じがします。

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