2013年08月

2013年08月31日

30年前の顔

RIMG047330年、この町で商売をしてきて、親しいご近所付き合いというものがありません。暮らしの場所は別ですし、10年以上前に商店会というものもなくなりましたから。

もっとも旧駒場西口商店会は、店主が加入した当時から、殆ど活動らしいものはありませんでした。新年会に2、3度出席した記憶があるくらいです。

商店主の高齢化、店舗そのものの減少が、すでにその当時から顕著でした。気がつけば、コンビニ、ファストフード、外食などのチェーン店ばかりが目立つようになり、ますますご近所付き合いなどは、縁のないものとなってきています。

そんなことを考えたのは、久しぶりに近くのパン屋さんまで歩く途中、昔からのお顔見知りに出会ったからでした。

お一方は、ご近所の奥様で、開業当初、良く店に来られて、あれこれと本の探究をご用命いただいた方。もうお一人は、商店会仲間であった、電気屋さんのご店主。

もちろん、30年ぶりにお目にかかったわけではありません。しかし、しばらくお会いしないうちに、すっかりお年を召された様子に、つい30年前のお姿を、思い浮かべてしまったのです。

翻ってこの長い年月、どれほどこの町に根付いてきたのか。はなはだ心もとない思いに囚われました。

同じことは、住まいについても言えます。もっと長く住んでいると言うのに、ご近所付き合いは、殆どありません。望んでそうしないのではなく、そうする機会がないという点でも、同じです。

とはいえ、「コミュニティー作り」などという言葉で、これを奨励されても、なんだか違うなあと感じてしまう、へそ曲がりな店主ではあります。

8月が終っても、夏は続きそうです。

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2013年08月30日

非専門書店

明治古典会の会場で、一人の同業から話しかけられました。

近く、ある公共図書館で小さな講演会を頼まれて、古本屋の魅力について話さなければならない。そこで、自分の考えはともかく、皆がどう考えているのかを聞いて回っている。

つまり小店主は、何が魅力で古本屋を続けているのか、という質問です。ちょっと考えてから、次のように答えました。

自分は元来飽きっぽい性分である。それなのに30年以上この商売を続けてこられたのは、飽きさせない何かがあるからだろう。

例えば、これまでに30万冊の本を売ったとして、同じタイトルのものを10冊以上売った例は殆どない。つまり、何万種類という本を売ったわけだ。これでは飽きている暇がない。

これは一方で、なぜ小店が専門書店になれなかったか、ということの説明にもなるかもしれません。思いつきのように答えながら、案外の発見であると、自分自身で驚いた次第です。

ついでに注釈しておきますと、小店の主力商品は和洋学術系専門書ですが、専門書を扱うのが専門書店ではありません。一般書だろうが、専門書だろうが、特定のジャンルを、体系づけて品揃えしていくのが専門書店です。

ところで明治古典会は、専門書店を対象とした市会といえます。そんな市会に店主が所属しているというのは、やっぱり不思議なことです。

RIMG0529さて本日の明古は、最終週なので特選フリ併用市。おかげさまで出来高はまずまず。しかし現代版画の良い一口が出て盛り上がり、それが金額面では大きな割合を占めました。

本に限ってみれば、決して喜ぶような、集まり具合でも、落札価格でもありませんでした。

来月以降も会の運営は、不安要素一杯です。

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2013年08月29日

古式サッカー

この間、TVを見ていて、何の番組だったか忘れましたが、フィレンツェで行われるという「古式サッカー」の紹介をしていました。

思い出しました、BS1の「サッカープラネット」です。サッカーにまつわる様々な話題を取り上げるという、見ておいて何ですが、さほど面白い番組ではありませんでした。100の薀蓄より、1つの試合の方が、ずっと面白いのは、言うまでもないことです。

それでも、その時の、その画面はなかなか興味深いものでした。何しろ一チーム27人だか、つまり双方で50人以上がグラウンドの中でくんずほぐれつ。

ひとつのボールを奪い合ってゴールに入れることを競うという点では、確かにサッカーと似ていますが、手を使ってもよし、不意打ちと顔面攻撃以外は、如何なるボディーコンタクトもOKとかで、むしろラグビーやアメフトに近いような気がします。

しかし、サッカーの話がしたいわけではありません。その一日か二日後、神保町へ向かう電車の中で文庫本を拡げて読み始めた時のことです。じきに次のような文章にぶつかりました。

RIMG0528しかし、もっと私を楽しくさせてくれたことは、その数日後に起った。フィレンツェでは、夏の初めに、歴史的サッカー試合という年中行事を行う。街を四つの区域に分け、それぞれの区域から選手が出て、中世から続いているサッカーをするのだ。この時、試合場まで、当時の服装をした行列が練り歩く。その行列の通る道筋には、群衆がむらがって、観光客などはぱちぱち写真を撮ったりする。

まさに、TVで見たとおりの描写です。この文庫本は塩野七生さんの『イタリアからの手紙』(新潮社、平9)。ちなみに親本は、同社から昭和47年に出版されたとあります。

出かけるとき、車中での読物にと、そこいらに積んであった本から適当に抜き出した一冊でした。取るに足りぬ出来事ながら、一人でその偶然に驚いていたというお話です。

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2013年08月28日

組合定時総会

一年の中のたった二時間。遣り繰りがつかないはずはありません。古書組合の定時総会のことです。

その二時間のために、はるかに多くの時間を割いて準備する人たちがいます。直接の準備ばかりでなく、一年間の様々な活動があった上で、それを集約してこの二時間で報告するわけです。それを思えば。

もちろん、報告だけなら、今は便利な手段が種々あります。しかし議案として承認する、あるいは承認しないという重要な行為は、そのために組合員の出席を求めるに足るものでしょう。

しかも無償で、時には自分の仕事を後回しにして、こうした活動を行っているのは、理事と名が付くだけの同じ組合員です。相変わらず無関心な組合員が多いのは、嘆かわしい限りです。

今日の出席者は90余名とのこと。減少傾向にあるとはいえ、現在の組合員数は約620名。委任状が300通以上集まって、総会は成立しましたが、喜ばしい状況とはいえません。

久しぶりに、一般組合員として出席して、今まで以上にその感を強く持ちました。

議事は、すべての議案が異議無く承認され、形の上ではシャンシャン総会でした。二ヶ月先からの席料(買上に応じて組合に支払う手数料のようなもの)の値上げすら、驚くほどあっけなく決まりました。

もちろんそれは、出席するほどの組合員なら共有している、危機意識によるものです。別の見方をすれば、無関心な組合員が、驚いて出席し、反対したくなるほどの、過激な案ではなかったともいえます。

それほどに組合の将来は安泰だと思われているのでしょうか。RIMG0530

総会後、懇親の場が設けられていましたが、そちらは失礼して、一路店に帰りました。帰ってみると今度は、店の将来を案じざるをえないような状況が待っておりました。

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2013年08月27日

一仕事終える

今日は、またまた午前中から洋書会へ。当番でもないのに。

出品があったからです。先週の明古に出した口の片割れ。全部でカーゴ6台のうち、2台が洋書でした。

先週の洋書会のように荷が少なければ、当番の会員さんたちが手分けして荷を降ろし、台に並べ、仕分けまでお手伝いいただけるはずでした。

RIMG0515ところが市場についてみると、すでに作業台は全部、本で埋まっている状態。うっかりしておりましたが、今日は年に何度か引き受けている、某大学図書館整理品が入ることになっていた日。その量も、いつもより多いくらいです。

もちろん、事前に気が付いたからといって小店の出品を取りやめるわけにも行かなかったのですから、めぐり合わせと諦めるしかありません。

そんなわけで、カーゴ2台に詰まれたままの大型ダンボール17箱を、一人で降ろして本を取り出し、台に拡げ、仕分けをして紐を掛け、本数の多いものは積み上げました。

なんとか通常の開場時間までに準備を終えることが出来ましたが、おかげで大学図書館の口に関しては、全く目を通すことも出来ませんでした。

仕分けの段階で目を通すことができるかどうかは、入札する意欲に大きく影響してきます。もっともこれは、店主程度の、本への執着心が低い人間にしか当てはまらないかもしれませんが。

ともかく、良い本も沢山あったはずの図書館放出本(何度も申しておりますように、ここの放出本は蔵印が押されておりません)には、結局入札せず仕舞い。自分の出品を、僅かに買い引くくらいしか出来ませんでした。

しかし、これでカーゴ6台は、無事に整理が付きました。沢山のツブシも出しましたが。それが何より、ほっとしているところです。

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2013年08月26日

宅買い二題

午後遅くに電話。

「買取りはしていただけますか?」
「はい、承っております」
「××(近くの地名)ですが、医学関係が多いです、養老さんなんかの。専門書ではなく、一般書ですね。ダンボール10箱くらい」
「引き取りをご希望ということですね」
「そうです、査定してもらえますか。ただちょっと急いでますから、時間が合わなければ…」
「今日、明日はちょっと時間が取れませんので、明後日の…、いや明後日もちょっと難しいかもしれません…」
「じゃあ結構です」

あっさり切れてしまいました。逃して惜しい、という思いはありませんが、ただちょっと気のない対応であったかも知れないと、切れた後、反省しました。

しかし後から考えると、何となく他人の本を処分するような感じです。誰かが残していって、片付けなければならない。そんな雰囲気。などと思い巡らすのは、やはり少しは惜しい気があるのかもしれません。

今朝、別の宅買いに行ってまいりました。昨日お電話をいただいたとき、すぐには思い出せませんでしたが、言葉を交わしているうちに、独特の口癖から気がつきました。以前にも二度、お引取りに伺っている方。

前回は一年と少し前、車に満載の分量でした。現在の車では、ずっと少い量しか積めません。ただ、お話から、見当がついていましたので、安心して出かけました。

「とにかく積んで、値段は後から」とお客様。もとよりそのつもりでした。何しろ、良い本を出していただけるのですが、書入れが多い。勉強家です。

店に持ち帰り、早速調べました。案の定、半数以上に線引き、書き込み。それもこちらが欲しいと思うような本に限って。きれいな本は、まるで読む必要がなかったか、読み飛ばして済む本とでもいうよう。

RIMG0511それでも前回に比べると、量の割に良い値になりました。一日二日のうちに、受け取りに来られるはずです。はたして、喜んでいただけるでしょうか。

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2013年08月25日

挙動不審

RIMG0487自動ドアの調子がおかしい。不思議な挙動をするようになりました。いよいよ寿命かもしれません。

もしやタッチ部分の電池が切れたのかと隣のコンビニへ走り、単4乾電池を買って、入れ替えてみました。さてその成果はと試したところ、やはり、はかばかしくありません。

開くのは開くのです。閉まる時に、何度かフェイントをかけるような動作をします。しかも必ずというわけではなく、一度で閉まることもあるのです。なんとも不可思議。

しばらく前、表側のタッチセンサーを押しても、開きにくい時がありました。これは中のネジが緩んでいたのが原因だったようで、締めたら直りました。

それより前から、開閉に要する時間に、バラつきが出るようになった気がしておりました。開いてから閉まるまでのテンポが一様ではないのです。始めは、気のせいかもしれないと思っていたのですが。

この店舗で、小店が営業を始めてからでも10年になります。自動ドアは、当初からあった設備でした。つまり、それよりさらに2年くらいは古い。

ネットなどで調べてみても、10年を過ぎればそろそろ耐用年数が疑われるようです。そうなると取替え費用は、驚くほど高い、という話も聞こえてきます。

しかし一概に10年と言っても、小店のドアの開閉頻度は、例えば隣のコンビニに比べれば10分の1以下でしょう。こちらが10年なら、向うは1年、毎年のように寿命が来るはず。だからでしょうか、お隣は自動ドアではありません。

とりあえず、この暑さが続く間は、持ちこたえてもらいたいものです。やがていずれは、ドアを開けたまま営業できる季節になります。そこで充分に休養してもらえば、また寒い季節には、まともに動くようになっているかも…などというわけはありませんね。

気のせいか、いつもよりお客様の出入りが多いような感じがいたしました。

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2013年08月24日

もうひとつの「本離れ」

昨夜は雨で、最低気温も久々25℃を下回り、気持ちよく眠ることができました。今日はまた暑くなるという予報でしたが、曇りがちで、温度の上昇が多少は抑えられたようです。

そのおかげでしょうか、今日は、ネットで見つけた本を、店まで取りに来られた方がお二人。

お一人は一週間ほど前にお電話をいただき、10日以内に取りに行くと仰った方で、早目にお越しいただいたことになります。取り置き一冊の他に、店でお尋ねになった、ある著者の本がたまたま二冊有りましたので、それも併せてお買上げくださいました。

もうお一方は昨夜メールでご注文いただいた方。小店からの確認メールをご覧になり、今朝お電話をくださいました。神奈川県の方で、新宿まで出る用があるから、帰りに寄りたいが良いかと。

午後早くにご来店いただき、今度またゆっくり来ますと、時間がないのを残念そうにお帰りになりました。

RIMG0510この他に今日はもう一件、お電話でドイツ語の本を注文されてきたお客様がおられます。メールもファックスもないと仰るので、そのままやり取りを続けたのですが、岩手県の方で、ご注文の書名が聞き取りづらく、何度も聞き返しました。

ついにはアルファベットでスペルを教えていただいたのですが、小店のDBを幾ら検索しても見つかりません。母音の聞き取り違いかと、いろいろ試しているうちに、偶然見つかりました。どうやらご記憶違いだったようです。

かくしてお求めの本の題名が分かり、在庫も確認でき、こちらから改めてお電話。無事、発送にこぎつけることができました。

さてこのお三方に共通する点は、どなたも、ご自身でネットを検索して、本を見つけられたわけではないということ。こうした方々にとっては、本の方が離れていくという意味での「本離れ」が起きているのかもしれません。

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2013年08月23日

喜びと嘆き

開店準備をしただけで、古書会館へ。間に一回休みがあり、二週間ぶりの明治古典会です。

出品量はまずまずでした。出品点数としても900点弱、悪くはない数字です。問題は質ですが、これも二口ほど、粒の揃った口がありました。

小店もカーゴ6台という宅買品を出品したのですが、そしてその仕分けのために今朝も早目に出たのでしたが、こちらは質的には、かなり見劣りするものでした。

ある程度覚悟はしておりましたが、結果は厳しいものに。経営員に手間ひまをかけさせて、殆ど出来高に貢献できRIMG0509なかった点、申し訳ない気分です。

しかし、当たり外れは時の運、いつか良い口にめぐり合うこともあるだろうと、自らを慰め、会にもご容赦を願うばかり。枯れ木も山の賑わい、物量としての貢献というものもあるはずですので。

さて本日の明古、一番の目玉は、最終台に置かれた明治期の工場や社屋の、建築設計図、あるいは参考図という資料。

全紙大からB3くらいまで、大小おそらく100枚を超える図面が、時代物の書類袋幾つかに分けて納められています。そのうちの一、二枚を拡げ、あとは袋のまま展示いたしました。

大きく広げられた図面が目を惹くこともあって、大勢の業者さんが、入れ替り立ち替り、興味深そうに見て行きます。中には何枚かを袋から取り出して、広げてみる人も。

しかし唯一人、逐一丹念に拡げては畳みして、おそらく全点を30分以上かけて見通した同業がいました。建築関係を専門に目録販売している、店主などよりは10歳以上若い本屋さんです。

会の仕事をしながら、間近でその様子を見ていて、その熱心さにほとほと感心してしまいました。店主には到底真似のできないこと。これくらいの努力家でないと、目録販売で成功はできないのかもしれません。

結果として、一番の上札で、その専門店が落札しました。その場に居合わせなかった本人に、友人業者が連絡を入れたところ、嬉しさより、泣き言が帰ってきたと言います。

確かに、驚くような高値となりました。

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2013年08月22日

転嫁できない

RIMG0520福島第一原発で、汚染水の漏水が、とどまるところを知らないらしい。その原因を作った人類の愚行は、かくも明らかであると店主などは思うのですが、そう考えない人も世の中にはおられるようです。

地下鉄の吊り広告で先日から見かけるある雑誌の特集は、原発再稼動推進を訴えるものです。思想信条、もしくは表現の自由などという以前に、販売戦略の自由、とでもいうものを感じて、鼻白む思いがするのは店主だけでしょうか。

あるいはそろそろ、あの震災直後にバッシングを受けた「放射能も微量なら体に良い」という発言が、市民権を獲得しようとしているのでしょうか。

ところで、わが家でもこのところ、漏水に悩まされておりました。と言っても汚水ではなく、上水道のほう。

疑いが生じたのは、数ヶ月も前のことですが、当初は使用量変動の範囲内だと考えておりました。やがて、どこかで水道管の水漏れが起きていることが明白となります。

そうなってもしばらく対策に踏み切れなかったのは、聞き及んでいる工事費用の高さに、恐れを抱いていたからです。

多少の水道料を支払っても、修理を頼むよりは安上がりかもしれない。そんな安易な想定は、しかし直に破綻します。請求される水道料は、おそろしい勢いで増加しました。

さすがに焦りを覚え、業者を頼み、漏水箇所を調べてもらったところ、すぐに判明。幸いにも地中ではなく、今は亡き義父が依頼して、わが家としては比較的新しく作り足したお風呂、洗面所の配管部分の手抜き工事が原因でした。

最悪の事態は免れたものの、大いなる出費であったことは間違いありません。しかも当の施行業者がどこの誰かも分からず、そのツケを持って行きようもありません。

だからといって、これを商品代金に上乗せして、回収を図るなどということは、たとえしたくとも、できよう筈もありません。どこかの電力会社と違って。

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