2013年12月

2013年12月31日

年の終わりに

今年も一喜一憂(一苦一憂かも)しながら、日々を過ごしてまいりました。いつ店を畳んでもおかしくない状況で、何とかまた一年、食いつないできたというところでしょうか。

自分の話でお恥ずかしいのですが、2001年に『古本屋サバイバル』(編書房)という鼎談本に参加させていただきました。

いまとなって振り返ると、まだ本当の危機が見えていなかったような気がします。

当時はインターネットで本が売れるようになり始めた時代で、やがてそのインターネットが本をデジタル情報としてそのまま届けるようになることについて、それほどはっきりした危機意識は、少なくとも店主にはありませんでした。

知識としてなかったわけではありません。インターネット自身が本にとって代わりうるという、その構造変化のスピード予測がつかなかったということです。

なんにせよ、サバイバルはさらに過酷な状況となって今日に至っています。

それでも、鼎談のもう一人の参加者、浜松の時代舎さんも、小店も、どうにかこうにか13年を生き延びてこられました。もっとも時代舎さんは、小店あたりと比べては申し訳ないほど、しっかり地元に根付いておられますが。

一方で、この本を出していただいた編書房さんは、数年前に引退されました。わが身とて明日をも知れぬ、という現状に変わりはありません。

しかしながら13年といわず、開業以来の30年、商いを続けてこられたのは、申すまでもなく多くのお客様の支えによるものです。改めて心より感謝申し上げます。

来年以降も、店舗営業の可能性を探る日々が続くことになりそうです。どのような方向に進むか予測は付きませRIMG0773んが、まだしばらくは苦闘ぶりを、ここで書き綴ることにもなろうかと存じます。

どうぞ今後とも変わらぬご支援をお願い申し上げますとともに、皆様にとって、2014年が良い年でありますよう、お祈り申し上げます。

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2013年12月30日

辛うじて古本屋

年末年始の営業について、このブログでは何のお知らせもしないまま、今日になってしまいました。

明日31日の午後3時頃まで、店を開けているつもりです。

本当は、今日あたり午後6時で閉めても良いくらいでしたが、事前にアナウンスできませんでしたので、通常どおり午後8時まで営業といたしました。

店を閉めて家に帰っても、やることは同じ年賀状書き。それなら店番をしながら、時間まで帳場で書けばよいと考えたのです。

さすがに押し詰まって、道行く人も忙しげです。それでも表の雑貨には目が留まるらしく、お昼過ぎまで、売れたのはコインパースが数個と、ミニカー、怪獣それぞれ数個。

RIMG0752ようやく文庫が一冊売れたのは、午後もかなり回ってからでした。

それでも夕方になって、年に二、三度ご来店の折には、いつもまとめ買いしていただけるお客様がお見えになり、ようやく雑貨以上の売り上げを、本で立てることができました。

どうにか古本屋としての、面目を保ったというところでしょうか。

そのお得意様ですが、いつもに比べて量は多く、一度「休憩」に出られて再び戻って来られてお買い上げいただいたほどでしたが、合計してみるとお客様ご自身が驚くような低い金額。

お買い得で喜んでいただけるのは良いとして、本の価格が全体に、いかに安くなっているか、再認識させられる思いでした。

これでは売上を伸ばすのも並大抵のことではないと、改めて暗然といたしますが、しかしこのお得意様のようなお客様を一人でも増やしていくよう努力するしか、店売りに明日はなさそうです。

年明けは正月3日、正午開店、午後6時閉店。以降は平常通りとなります。

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2013年12月29日

髪を刈る話

子どもの頃、父親がいつも自転車に乗って、わざわざ遠くの床屋さんに行くのが不思議に思えたものでした。

あれ?この話は前にもしたような気がします。

ともかく現在では、店主自身、住まい近くにある行きつけの床屋さん以外に行く気になれず、この年末はとうとう今日まで、散髪する機会がありませんでした。

背水の陣で今朝は午前8時半に家を出、その理髪店を目指したのですが、店近くまで来ると、その前にある自販機に向かってたたずむ、店主と同年配の男性の姿が見えてきました。

こちらに背を向ける形のまま、そこから動く様子がありません。自販機で何かを買おうとしているのではなさそうです。

道一つ隔てたところまで近づく間に、どうやら先客らしいと確信しました。年恰好も似通っていれば、白髪がかなり伸びたところも店主と同じ。

9時の開店に、近頃は15分ばかり早く到着するマスターですが、お客の方はさらに早めに待つようになったようです。

いずれにせよ店主は尻尾を巻いて引き返し、ひとまず店に向かうことにしました。

店に着いてから、改めて近くの床屋さんに行こうと意を決し、10数年ぶりに新しい店の客となったのです。

RIMG0816行くまでの逡巡に比べれば、入ってからは何のストレスも感じず、ごく自然に散髪していただいたのは、ご主人の年季によるものでしょう。

古くからあるお店ですから、30年来の駒場の移り変わりなどを話しているうちに、あっという間に刈ってくださいました。

年越しの準備が、ようやくひとつ片付いたというわけです。

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2013年12月28日

気分は雑貨屋

朝から雑貨が良く売れました。

特に1個250円のミニコインパースは、お一人で3個、4個とまとめてお買い上げの女性が何名かいらっしゃって、今日一日で果たして何個出たでしょう。

今日に限れば、他の何より――1個100円のミニカーより、沢山の数が出たはずです。

RIMG0777午前中からお昼頃までにかけて、買い物にお出かけか、あるいは買い物からお帰りかという親子連れや、ご婦人方が目立ちました。

そのついでに立ち寄られたという感じで、本などより、雑貨ばかりが売れた印象があります。

とは言っても、ほとんどが数百円の、コイン何枚かというお買い物ですので、小店あたりで「売れた」という程度の数では、大した金額にはなりません。

ただ改めて気が付いたのは、モノには自分のために買うものと、他人のために買うものがあるということです。

本は、まず圧倒的に自分のために買うものであるのに対し、雑貨小物は誰かにあげようとしてお求めになることも多い。

そして年の瀬も押し詰まり、仕事や学校も休みに入った今頃のシーズンは、たとえクリスマスが過ぎたといっても、まだ誰かのために、何かを買いたいという気分が強い時期なのでしょう。

本のなかでは、絵本などは、ご自分のお子様にという場合も含めて、誰かのために買う比率の高い商品です。

雑貨屋さんとタイアップしたり、フェアトレード商品を置いてみたりと、そんなことを通じて本という商品の特性と、その売り方を、また一から学び直しているといったところです。

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2013年12月27日

来年の話

今日の明治古典会が、一年、納めの市となりました。

組合事務も今日で終わりですので、売り買いの清算は年が明けてのことになります。そんな事情ですから、出品はさぞ少ないだろうと予想しておりました。

ところが、朝、市場についてみると、4階の会場は仕分け途中の本で一杯。さすがに3階の方は空いておりましたが、時間とともに4階から降りてくる荷や、続々持ち込まれる荷で、開場前にはほとんど埋まってしまいました。

4階で仕分けをしていたのは、この10年以内に刊行されたとみられる、しかも新刊といっても通りそうにきれいな現代思想、芸術、文学関係など、売れ筋を中心とする一口、優に二千冊以上。

組合事務方には無理を言って開催させてもらった今日の市でしたから、それなりの本が集まり、先ずはホッといたしました。

RIMG0774その一口ものには、想像通り多数の札が入り、これで儲かるのだろうかと、余計な心配をしたくなるような値で落札されておりました。

市場が終わったあとの、恒例の食事会も、今日が本年最後。先々週、参加しなかったメンバーの希望を入れる形で、「うなぎのかねいち」へ。記憶に残る食べ物といった、他愛もない話題で盛り上がって、9時過ぎにお開き。

その勘定を払って、店を出てから駅まで、今度は昨日の忘年会の話になりました。その勘定の高さについてです。

これで4年ほど連続となった、同じ神保町の「ぶたしゃぶ」を食べさせるお店で、今日のメンバー5人のうち3人が参加した忘年会は、9000円の割り勘。

もともとやや高めの店ではありましたが、例年7000円ほどだった気がしていたので、昨日はちょっと驚きました。11人の参加者のうち酒を飲む人は6人。それも芋焼酎が中心で、特別高い酒を頼んだわけでもありません。

ちょっと釈然としなかったのが、今夜の割り勘が4000円であったことで、改めて話題にのぼり、来年の忘年会は別の店にしようという結論に達しました。

鬼が笑うとはこのことでしょうか。

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2013年12月26日

よほど危うい?

長いこと商売をやっていて、初めて商工会議所を名乗る方の訪問を受けました。

「消費税は転嫁できそうですか?」とお尋ねになり、一冊のパンフレットを差し出しました。『消費税率引き上げ対策 早わかりハンドブック』と題されたA5判30pばかりのものです。

RIMG0768「できません」ときっぱりお答えいたしました。威張るようなことでもないのに。

そもそも製品などを仕入れるのと違い、古物は原価というものがあいまいです。というより、原価に一定の経費をかけて販売価格にするという仕組みがとりにくいのです。

「消費税率引き上げ対策チェックリスト」というページを目で追って、そのことを改めて痛感しました。

「消費税を転嫁しないと、売上や利益が下がることを把握していますか?」という項目があります。

「消費税率が5%から8%に引上げられても、売価を据え置くと売上や利益が減少します。」と教えてくれています。それくらいは分かります。ではどうすれば良いのか。

「事業全体で売上と利益を確保するということを認識していますか?」という項目があり、「個別の商品で考えるのではなく事業全体で収益確保策を考えましょう。」とあります。

まさにそれこそ、日々心がけていること。儲かる商品もあれば、損が出る商品だってある。何をいまさらという感じもします。

「原価を把握し、コスト削減を図っていますか?」では「原価を見直すためには、まず原価や経費を正確に把握する必要があります。その上で、競争力を維持するためにはコスト削減を図る必要があります。」

いちいちもっともなことばかり。一番分からないのは、小店あたりにまでこういうものを配って歩く商工会議所の意図です。日本商工業の未来に、大きな危機を感じてのことでしょうか。

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2013年12月25日

泣かされる本

良い本だと思うのに、その割にネットで調べると安い値段で沢山出ている。そういう古本屋泣かせの本があります。

出版社で言うと例えば晶文社、青土社といったあたりの本。なぜそれが古本屋泣かせかと申しますと、何となく買い叩くのに気が引けて、それなりの評価を付けてしまう。

いざ買い取ってから、値付けの参考にとネットで調べると、大抵は予想していたより、さらに安い価格が付いているのです。

もっともみすず書房や、法政大学出版会の本だって、少し時間のたったものはかなり値崩れしています。絶版、品切れだからといって、高くなるとは限りません。古書市場にはまだ在庫が十分残っているからです。

RIMG0779岩波、東大出版会、数え上げたらきりはありませんが、学術系の本の場合は、改訂版、新版が出たりすれば、もうどんなに値下げしてもお客様に見向きもされません。

最後のケースについては如何ともしがたいですが、自分でも読んでみたいと思うほどの本については、あまり投げ売りのような真似はしたくない。

そう思って大事に棚に挿していくうち、次第に動きの少ない、澱んだような棚になりがちです。

本当は、そんな澱みの静けさも古本屋の魅力だとは思うのですが、それで食べて行けるような時代ではありません。つい頻繁に浚って、流れを良くすることを目指すことになります。

その結果、ますます落ち着いて読者を待てず、値崩れが加速するわけです。安くしたからといって、売れるとは限らないのに。

昨日、若い女性がお売りくださった中にあった『装幀時代』(臼田捷治 1999年)『読書欲・編集欲』(津野海太郎 2001年、いずれも晶文社)の2冊。そこからこんなことを思ったのでした。

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2013年12月24日

年納めのうなぎ

洋書会の2014年が終わりました。

とは言っても、わが組合の交換会は7月-6月という事業年度制をとっていますから、これで区切りがつくわけではありません。前半戦終了、ハーフタイムというところでしょうか。

それでも「良いお年を」という挨拶には、また一年が過ぎたという感慨を覚えます。

毎年、気心の知れた幾人かの同業には、市場で顔を合わせた時に、小店のカレンダーを差し上げているのですが、それをお渡しすると、一様に「もう一年たちましたか、早いものですね」という感想をいただきます。

紋切型とは分かっていても、言わずにはいられない言葉というものがあり、これなどはさしずめその代表格。立場が変われば店主だって、始終口にしております。そして実際、しみじみとそういう気分になっているのです。

RIMG0780さて今日の洋書会は、荷の量はなかなかのものでした。どこの会も出品が減る、年末最終週であったにもかかわらず。

しかし、点数の方はそれに比べると少ない。つまり大きな山で出品されるものが多かったということです。

それなのに今日は、そんな時に頼りになるディスプレイ本取り扱い店が、揃って市場をお休みしました。したがって、いつにもまして大山が安い価格で、というよりほとんど最低価格で落札されておりました。

それでもおかげで、ボー(売買不成立)となって返品されたり、ツブされたりするものを、かなり減らすことができたわけです。

そんな中にあって、一点の出品が、今日の市場の出来高の殆どを稼いでくれました。ケンペル『日本誌』フランス語版初版(1729)のとても状態の良い二冊本です。

開札した会員が思わず「ウナギ代が出た!」と、声をあげました。当番会員のお昼は恒例のうな重。年末は、当然ながらまた月末でもあったのでした。

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2013年12月23日

古本のない国

RIMG0772古本屋さんがいつまでも栄える国には、人間が快く住めるであろう。古本のない国には人間は住めないだろう。(原文は正字・新かな)

『僕の手帖』(渡邊一夫 河出書房市民文庫 昭和27年)に見つけた一文です。

「僕の手帖/僕の願い/読書と僕」と三部に分けられた、その第三部には四本の短文がまとめられ、その中でも特に短い「古本」と題された僅か3頁の文章。

もう一か所引いてしまいましょう。

暇を作って、古本屋に這入り、ぼんやり書棚を眺めているうちに、昨夜考えたことや、昔興味を持ちながら忘れてしまったことなどに関するぼろぼろな古本を発見したときのたとえようもないうれしさは、こうした経験のない方々には全く判らないだろう。(同前)

じつはこの裸本で紙もヤケ、今にも壊れそうな文庫本を開いて、最初の To the unhappy few を読んだときに感じた気分が、二行目以下の、まさにこのとおりだったのです。

……ですから、僕は君から、またかい!と笑われても、人間が自分の作ったものの機械になるのは困ると繰返し繰返し言っているつもりなのですよ。

これが本書の出だし。冒頭の三点リーダは原文のままです。内容はユマニストの面目躍如といったところ。大江健三郎の随筆に似たような文体を見るのは、師への心酔の表れでしょう。

この本、講談社学術文庫で昭和52年に再刊されましたから、手に入れるのはさほど難しくありません。

でもせっかくなら、この河出版の黄ばんだ紙で読むほうが、味わいが深そうな気がします。

なんでもオンデマンドやダウンロードで手に入ってしまうというのは、「古本のない国」への道なのではないでしょうか。

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2013年12月22日

返品を受ける

「盆と正月が一緒に来たよう」というのは賑やかなことの喩えですが、小店にとってはお盆とかお正月という期間は、閑散の極みです。その意味で、先日冷たい雨が続いた三日間ほどは、まさに盆と正月が一緒に来たような有り様でした。

「弱り目に祟り目」という言葉もあるとおり、そういう時に限って、たまたま注文を受けて送った比較的高い本が、「思った本と違っていたので」と返品の申し入れを受けたりします。

もちろんご返品はお受けするのですが、こんな時、先払いは清算をつけやすい利点があります。お客様都合のご返品の場合、送料はご負担いただくのが通例で、その分を差し引いてご返金することになります。

RIMG0712これが後払いだったりすると、お送りした送料だけお支払いくださいとは、なかなか申し上げにくいからです。

ともあれ、返送されるのを待って、早速ご返金するつもりでおります。嬉しいことではありませんが、通販の宿命として、受け入れざるを得ません。

しかし時には、とても受け入れられないようなお申し出を受けたりすることもあります。

Amazonで販売をしているある業者から聞いた話では、発送後3週間ほどたって、「使いづらいから返品したい」という申し出を受けたそうです。送ったのは中学生向けの数学参考書。

確かに同サイトの返品条件の中に、書籍等も30日以内なら返品できるように書いてあります。とても分かりにくい文章ですが、お客様はそう解釈されるでしょう。

しかし本屋の常識とは大きく異なります。これでは一ヶ月たって、面白くなかったからといって返すことも可能になってしまいます。

開封、使用したものは50%の返金という条項もあるので、やむを得ずその旨を伝えると、先方では商品欠陥による全額返金を考えておられたらしく、それなら結構ですという返事。

そして、しっかり最低評価が付けられていたとか。

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