2013年12月

2013年12月21日

蜜柑の値打ち

「千両蜜柑」という落語、ずいぶん昔に、TVかラジオで一度聞いたきりですが、忘れがたい話としてずっと記憶に残っています。誰の噺で聞いたかは、覚えておりませんが。

大店の若旦那が病に伏し、その原因が季節外れの蜜柑食べたさのあまり、という出だしのナンセンスさがまず落語的。

命を受けて奔走する番頭が、ようやく見つけた蜜柑が一つ千両、というところが話しのミソ。

筋立てや人物造形は、噺家によって差異があるそうですが、最後、若旦那が食べ残した蜜柑を持って番頭が逐電するオチは、共通しているようです。

聞いたのは、この商売を始める前のはず。古本屋となって、市場で高額な落札を目にするようになると、一層この噺が身近に感じられるようになりました。

実際、一冊の本や一枚の版画が、何十万、何百万円という価格で取引されるのを見ると、それを欲しがっている若旦那の姿を想像してしまいます。

RIMG0743ところで、先日の洋書会の歳末市では、Nゲージ鉄道模型が大量に出品されました。

一見同じようなパッケージが幾つもあり、メーカーの在庫かと思いましたが、見るとひとつずつ車両番号の異なるものです。

聞くところによれば、40代で亡くなったあるマニアの持ち物だったそうで、その収集ぶりに、感心しつつ半ば呆れてしまいました。

しかし考えるまでもなく、読み切れない蔵書を山と残して世を去ることと、あまり違いはないわけです。

いずれにせよ、不思議な情熱が人間にはある。千両の蜜柑を欲しがる人が、居てもおかしくありません。

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2013年12月20日

クリスマス市を終えて

来週一週間、市場はあるのですが、気分的には今日でほぼ一年を終えたという感じです。

クリスマス特選市は、明治古典会にとっては大市に次いで大きなイベントです。しかし使うスペースや、準備の期間などは通常市会と同じ枠しか与えられていませんので、ある意味、一番ハードな市であるかもしれません。

今朝も8時半過ぎには店を出て、戻ってきたのが午後11時過ぎ。もっとも最後の2時間は、打ち上げ兼忘年会ではありましたが。

それでも最終発声が午後7時近くになったというのは、久しくなかったことです。出品点数も多かったのですが、途中でイベント的にフリ市(口競りの市)を挟んだことが、遅くなった原因です。

しかし今年の春ごろから始めた、このフリ方式は、市場に多少なりとも活気をもたらしていると思います。

振り手を務める経営員が、次第に慣れてきたこともあり、運営もかなりスムーズになってきました。さらに経験を積めば、もっと会を盛り上げるのに貢献できるような気がします。

以前も書きましたが、入札方式、フリ方式、それぞれに一長一短があり、商品の性質によっても向き不向きがあります。

それだけに、一つの方式として洗練され、出品物に応じてうまく併用できるようになれば、市会として大きなセールスポイントを持つことになるはずです。

他の交換会では、ネット入札が、現状打開策として試みられています。もちろんこれにも利点はありますが、いまのところ明古で取り扱う商品には、あまり向いている方法には思われません。

RIMG0741それぞれの会で、いろいろな方法を講じて、取引をより活発にする方法を考えていくしかありません。

ともあれ、驚くほど保存の良い『百万塔』が話題となった、今年のクリスマスでした。

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2013年12月19日

次世代への動き

朝の10時から『日本の古本屋』の次世代サイト構築jにむけて、応募業者さんのプレゼンが行われました。

現在のサイトの構築から保守まで、面倒を見ていただいてきたシステム会社も、これに参加しています。アドバンテージは大きいと思いますが、それにひるむことなく、他に4社が手を上げてくださいました。

都合5社から、次世代システムをお願いする業者さんを選ぶことになります。今日2社、明日3社という振り分け。

RIMG0748そんな大事な会議だというのに、店主は明治古典会クリスマス特選市と重なって、明日のプレゼンを聞くことは出来ません。

本当は今日も準備作業で、仕分けやら会場設営やら、お手伝いしなければならなかったのですが、そちらはまだ他に有能な手が多くあります。そう考えて、プレゼンを聞く事にしたのでした。

ところが、選定ルールを知らされて、いささかがっかり。二日間、5業者を聴き比べた人にだけ、投票権があると言うのです。それは確かに正論ですが、それなら今日、無理して参加せず、初めから他のメンバーにお任せした方が良かったかもしれません。

逆に言えば、気楽な立場になったともいえます。いずれにせよ、サイトも次世代となるなら、それに関わるメンバーも、次世代に移行すべき時期ではあります。静かに見守ることにいたしましょう。

定例会議の日でもありましたので、全てが終わったのが午後6時過ぎ。そのあと階下に降りると、まだ明古のクリスマス市準備は続いておりました。

形ばかりお手伝いをして、結局一日降り続いた冷たい雨の中を店に戻ると、午後8時、閉店の時間です。

そこに今日一番のビッグニュースが待ち受けておりました。昨日に続く、売り上げの低さです。このペースでは、いよいよ家賃にさえ事欠きます。

アベノミクスというのは、一体何なんだ、と改めて怒りを覚えましたが、前言訂正。売り上げの低さは、いまさらニュースでさえありませんでした。

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2013年12月18日

仕入れても

昨日、洋書会で手に入れた日本書50冊ばかりが、ルート便で届きました。

早速荷をほどいて、本の状態を確かめ、一冊ずつ埃をふきながら値段付けを始めました。

この一口は著名な英文学者の蔵書で、もちろん英文の本が中心を占めておりますが、ミルトンがご専門という先生で、キリスト教関係の本も多く、日本書も半ば以上はそういった本でした。

小店が落札したのは、全体からすれば僅かな量ですが、売れそうなところを自分で仕分けたもので、まずまず満足のいく結果といえます。

ただ不安は、線引き、印ありという注意があらかじめ封筒に書かれているため、そうした理由による値引きや返品はできないことです。

仕分けの最中は、一々中まで確かめる暇もないほど時間に追われておりましたし、入札の際も同様で、ざっと見て判断するしかありませんでした。

いざ値段付けを始めてみると、思った以上に線引き本が多いようです。しかしほとんどが鉛筆で、部分的なもの。特に熱心に読みこんだらしい数冊以外は、何とか売り物になりそうで、一安心いたしました。

そんな具合に今日の午後は過ぎて行きましたが、ふとまだ、店内の単行本は一冊も売れていないことに気が付きました。

雪になるかもしれないというお天気に、外に出るのを控えられたのでしょうか。

売れるのは、100円のミニカーばかり。

RIMG0740買ってもらえずグズる子や、買ってもらったのに、まだ欲しいと泣き叫ぶ子を、毎日一人二人、必ず目に、いや耳にします。

小さなお子さんをお連れのお母さんにとって、小店の前は鬼門になりつつあるかもしれません。

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2013年12月17日

洋書会忘年会

洋書会歳末特選市、終わって打ち上げ、兼忘年会。それが今日一日の出来事でした。

まず市場のお話から。RIMG0725

先週に続き、荷が多かったため、二週連続で地階会場での市開催となりました。

先週のように、全体の過半を占めるほどの大口はありませんでしたが、段ボール箱にして70箱の哲学書関係、カーゴ台車7台の英文学関係書、そして今回一番の話題となった鉄道模型関係の口など、いくつかの一口物で賑やかな会場となりました。

傾向の違う一口物がいくつもあったおかげで、ご来場の同業には何かしら自分の興味あるものを見つけていただくことが出来、楽しんでいただけたと思います。

事前に広報もしておりましたので、普段より、随分多くの業者さんがご来場くださったようです。

一番の話題が、鉄道模型(の本ではなく、模型そのもの)というのは、ちょっと淋しい気もいたしますが、「Nゲージ」という言葉が、洋書会でも市民権を得ることになりました。

そんじょそこらの本より、遥かに良い価格で落札されたのです。このNゲージ、最近になって、何故かあちこちの市場を賑わすようになりました。値になると分ると出てくる、それが古書、古物の不思議な習性です。

一方で、英文学書の一口は、その量に比して、厳しい出来高でした。哲学書の方は、まだいくらか良かったでしょうか。Nゲージの前にかすんだ感はありますが。

大量の荷物も無事に片付き、午後6時半から神田淡路町の割烹「季(とき)の庭 別亭」で、恒例の忘年会。

会員の誰かが見つけてきた会場で、初めてのところではありましたが、和室ながらテーブルと椅子というしつらえは、一日立ち通しだった身には、体の休まるありがたいものでした。

店主も今日は久々に、ビールと芋焼酎で、鍋料理を楽しませていただきました。

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2013年12月16日

続・宝の持ち腐れ

毎日書きなぐっておりますと、つい言葉足らずの文章になっていることがあるようです。

ある方からご質問を受けて気が付いたのは、先日のISBNコードの話。『日本の古本屋』にはISBNが付いた本はまだ数%しかない、というくだりを、ISBNの付いた本を扱っている比率であると受け取られたようでした。

我が国の出版物にISBNが付けられるようになったのは1980年代からのことですから、さすがに昨今では、古書市場で流通する本も、半ば以上はコードが付いていると思われます。

同様に『日本の古本屋』に登録されている書籍に占める、1980年代以降の本の量も、どう少な目に見積もっても数%ということはありません。しかし、ではどの程度かとなると、見当が付きません。今度、機会があれば調べてもらうことにいたしましょう。

先日の数%というのは、詳しく申し上げるとこういうことです。

『日本の古本屋』に出品登録するのは各古書店ですが、その際、書名のほかに、どんな情報を付け加えるかは、それぞれの判断に任されています。

一覧表示される項目として用意されているのは、著者名、出版社、刊行年、冊数、解説。これらは書かなくても登録できますが、検索され、さらにお買い上げいただくためには、少しでも詳しく書こうとするのが心情でしょう。

このほかに、詳細画面に移ると表示される欄があり、ここには送料その他の細かな情報も記載できます。そしてここに、数か月前からISBN欄が加えられたのです。

RIMG0712もちろん表示されるためには、入力しておかなければなりません。その欄に入力された点数が、最近の調べで、まだ十数万点のレベル。それを、全体のデータ量である約600万点のうち、本来ISBNが付いている書籍だけに限って考えても、数%に過ぎないだろうと申し上げた次第です。

今のところ、このコードで検索はできません。できるようになれば登録する書店も増えるはず、とも申し上げました。それで何が便利になるかは、また別の話として。

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2013年12月15日

本気が足りない

昨日の南部地区入札会で落札したものを引き取りに、朝のうちに五反田の地区会館まで行ってまいりました。

落札があったことは、電話で確かめてあります。何が落ちたかまでは、忙しい中、受話器を取ってくれた事業部員の人に、調べてもらうわけにはいきませんでした。

それだから着くまでは、ちょっと楽しみでもありました。といったところで、入札したのは数点です。それ以外のものが落ちるはずもありません。

会館に着くと、清掃業者さんが入っていて、荷捌き場のシャッターは空いておりました。一台分の駐車スペースも空いておりましたから、中に入れ、早速一階から探しにかかると、すぐに見つかりました。

ヌキ(伝票)もついておりましたので、そこにあるものが落札品のすべてであることも確認できました。

落ちていたのは二点。こんなことを言っては荷主さんに申し訳ないのですが、本当はどちらでも良かったものばかり。

一旦入れた札を、もう一度さらに安く改めて入れた(これを「ゲソる」といいますが)ペーパーバック15本口と、よく見もしないで、目見当で安札を入れた、謡曲一番本300冊ほどの口。

どちらも落札価格は大したことはありませんが、量だけはありました。戻って早速整理。

一番本はどこかで稽古に使ったもののようで、汚れやイタミが強く、売り物にできそうなのは一割程度。甘くはありませんでした。

RIMG0744ペーパーバックはこのところ、表の棚がさびしくなっていたので、札を入れてみたのです。手間を考えると効率は良くありませんが、毎日のように覗いてくださるお客様もおいでです。たまには手を入れなくてはと。

それにしても、落ちなかった数点。本気度が足りなかったのでしょうが、取れなかったとなると、惜しくなってくるもの。誰にいくらで落ちたのか、気に掛かります。

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2013年12月14日

宝の持ち腐れ

「ISBNを言えば良いですか」というお電話がありました。『日本の古本屋』をご覧になってのお尋ね、とのことです。

小店では以前から自店のデータベースには、ISBNのついている本については、必ずそれを入れるようにしておりました。

ある時期から、我らがサイトでも、ISBNを登録できるようになり、表示もされるようになっております。そこで、今日のお尋ねとなったわけです。

残念ながら、『日本の古本屋』はISBNコードで検索することはできません。現時点ではそれが登録されている冊数が、まだ微々たるものだからです。そこで自店のデータベースを開き、お客様の仰る数字を入力して検索いたしました。

フランス語の書籍がヒットいたしました。在庫がある旨、お返事いたしましたところ「これだけでは自分の欲しい本かどうか分かりませんから、表紙の色とか伺ってよろしいですか」とのこと。

手元に本を持ってきてお返事しますと申し上げ、一旦切って、折返しこちらからお掛けしました。

「どんなことをお知りになりたいですか」「表紙の色は何色でしょうか」「表紙は写真です。分厚いペーパーバックです」「画集とかではないのですか」「作家の伝記ですが」「どうも私の欲しい本とは違うようです」

ということで、本件は不成立で終わりました。

書名はもちろん、叢書名、著者名、刊年、頁数、寸法、それに装丁まで表記してありましたが、この中のどれをご覧になって、ご自身のお探しの本かもしれないと思われたのか、もう一つよくわかりません。

RIMG0726元来、ISBNというのは、一番確実な判別情報であるはずですから、それで分からないという時点で、不思議な気はいたしました。コードをそのままグーグル検索しても、本の画像にたどり着くのは、難しいことではありませんから。

今回の件では、結果的に役に立たなかったのですが、折角登録しているのですから、『日本の古本屋』でもISBNコードで書籍を検索できるように、早くした方が良いと思います。

そうすることで、今は数パーセントに過ぎないコードの登録も、一気に進むはずです。

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2013年12月13日

忘年会たけなわ

ピークは来週ということのようですが、今夜の神保町はすでに充分、忘年会モードでした。

RIMG0729明治古典会の市場が終わったのは午後5時過ぎと、比較的早い時間だったのですが、後片付けやら来週のクリスマス特選市に備えての打ち合わせやらしているうちに、6時半を回ってしまいました。

いつものメンバーで、案じながら会館を出て、行きつけの居酒屋に電話を入れると、やはり満席。

それならばと立てたのは、三件ほどの候補店が一並びになったルートを、順に覗きながら歩くという策です。

その一軒目は、うなぎの「かねいち」。小さな店ですから、あまり期待していなかったのですが、間の良いことに一階のテーブル席が空いておりました。

おかげで久しぶりに、シメはうな重という豪華版になりました。といっても、いつものように二人で一人前。おつまみなどもいただくのですから、それでちょうど良い分量なのです。

したがってお勘定の方も、実に程の良いもの。若手会員と経営員たちは、仲間の誕生会を名目に、銀座の1万円で飲み放題というレストランへ繰り出したようですが、我らシニアグループは、その半分にも満たない割り勘で済みました。

ところで今夜は、組合の職員さんも忘年会。初めそう聞いたときは一瞬、嬉しい驚きだったのですが、良く聞くと理事会との合同忘年会。つまり理事会から誘いを受けての参加ということです。

そういう形なら、数年に一度くらいのペースで、開かれています。しかし店主はかねてから、職員さんたちだけで忘年会をやってもらいたいと願っておりました。

ずっと以前には、今より人数は少なかったのですが、確かに行われていたのです。

どこが違うのかといわれそうですが、雇っている側抜き、雇われている者同士の、一体感を高める機会は必要だと思うのです。

牧歌的に過ぎるかもしれません。何より、一組合員の口出しするような話ではありませんけれど。

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2013年12月12日

稀なケース

お電話で『日本の古本屋』に出品している本について、お問い合わせをいただきました。

ちょっと急いでいるので、在庫を確認してもらいたい、とのことです。否やはありません、折り返しご連絡しますと申し上げ、すぐ調べました。そして、ちょっと困ったことが判明しました。

同じ本が二冊出品されているのですが、在庫は一冊。両者の価格に開きがあり、安い方は過去に売り切れたものです。手違いで古いデータを、アップしてしまっていたようです。

RIMG0732何とご説明しようか一瞬悩みましたが、事実をそのままお伝えすることにいたしました。

お客様としては、もちろん安い方をお望みでしたので、当然の疑問を発せられます。「どうして値段の違いがあるのですか」

実はこの二冊の間に、別に二冊、売れておりまして、少しずつ売値は上がっています。「仕入れ値も上がっておりますので」とご説明したところ、「もう一度考えてみます」と、いったんお電話が切られました。

後刻、結局ご注文をいただけたのですが、いささか申し訳ない気分ではあります。

仕入れれば売れるという、こんな類の本が、ほかにいくらもあれば古本屋稼業も、もう少し楽しいものになるでしょう。過去には、そういう時代が確かにあったとも聞きます。

しかし現在では、今回のようなケースは極めて稀。現に、今日は一日、在庫整理をしたのですが、調べる本、調べる本、ことごとく大きく値崩れしていて、値段の付け替え作業に追われました。

もちろん値下げです。こうした本なら、間違って古いデータを上げたからといって、なぜ値が違うのかと、お咎めを受けることはありません。

それはそれで悲しいことですが。

konoinfo at 19:30|PermalinkComments(0)TrackBack(0)
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