2014年04月

2014年04月20日

No Piece

Good Housekeeping 誌(UK版)を30冊以上、目立つ形で約3週間店頭に並べ、たったの一冊しか売れなかった、というお話はすでに申し上げました。

実はそのあと、さらに1冊売れまして、これで計2冊。しかし1冊が100円ですから、毎朝並べ、毎夕しまいこむ手間を考えると、いかに回転率無視の古本屋といえども、そろそろ見切り時であるかと思わざるをえません。

ところが、上には上があるもので、もっと上手がおりました。

今日まで、さすがに気恥ずかしくて、取り上げずに参りましたが、数週間前のある日、店に帰ると帳場の横の、目に着くテーブルが模様替えされ、なにやら怪体(けったい)なフィギュアで埋め尽くされているのです。

聞くところによれば『ワン・ピース』という、モンスター的にブレイクしている(らしい)コミックのフィギュアなのでした。

時代に取り残されている店主としては、その名くらいは聞いたことがあるものの、それがどのような層に、どの程度広まっているものか、全く知識がありません。

「ものすごく売れているコミック」のフィギュアであれば、「多少は売れる」かも知れないというくらいの甘い考えで、その場を占拠することを受け入れたわけです。

以来、一月近く経ちます。「わっ」と言って近づいてくるお子さん達や、「おっ」と言って近寄ってくるお父さんたちは確かに数多いのですが、ただの一体もお買い上げいただいたことはありません。

すでに在庫僅少となったNゲージは、いまだにその少ない残りを漁るように、ポツリポツリとお買い上げいただきます。怪獣のフィギュアも然り。

つまるところNゲージのコレクション性も、怪獣の造形的ファンキーさも、この人気コミックフィギュアには欠けているのかもしれません。RIMG1184

そろそろ退場願おうかと思っておりますので、その前に一度だけ、その雄姿を皆様にご覧いただくことにいたします。

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2014年04月19日

どこでご覧に

古本屋にとって、お買い上げいただく方も、お売りくださる方も、どちらも有難いお客様であることは申すまでもありません。

ですから、お売りに来ていただいたついでに、店の本を買って行って下さるとなると、何倍も有難いお客様ということになります。

このところ何度か本をお売りいただいているお客様が、今日も語学関係の洋書を一抱えお持ちになり、こちらが値踏みをしている間に、棚から一冊抜いていらっしゃいました。

レヴィ=ストロースの『野生の思考』(みすず書房)です。

ネットで見て小店に在庫があることが分かり、しかもそれが最安値であったので、この機会に買おうと思ってきたということでした。

ただ、どうも不思議なことをおっしゃいます。「アマゾンで見た」と言われるのです。小店はamazonに出品はしておりません。そこでそのように申し上げると、お客様も首を傾げられます。

確かに小店の名を見たのだがと、お客様も不思議そうです。しかも値段まで、そこで見た通りなのだと。

小店と同じ店名の別業者かもしれません。知る限りでも九州に河野書房さんがいらっしゃいます。組合内でも昔は数軒、同名の店がありました。最近、残っていた一軒が廃業され、現在、東京組合には小店だけとなりましたが。

しかしいずれにせよ、そうした方々がamazonに出品されているとは、聞いたこともありません。

念のため、お客様が帰られてから、amazonでその本を検索してみましたが、やはり小店、もしくは似通った店名は、出てきませんでした。

RIMG1177他の検索サイトで見つけられたのではないかと、帳場前においてある『日本の古本屋』のチラシをお見せして尋ねても、確かにamazonであったと揺るぎません。なにより『日本の古本屋』自体をご存じなかったようです。

そこで、謎は謎として、ともかくもこの際、我等が『日本の古本屋』を、しっかりと宣伝しておきました。

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2014年04月18日

貼り紙作戦

同業何人かで雑談をしていた時、ある一人が「店の目立つところに『税込み価格です』と貼り出した方が良いのではないか」と言い出しました。

今までは、総額表示が義務付けられていて、大きく表示される価格は税込価格でなければならない建前でした。

ところが消費税アップに合わせ、本体価格を大きく表示することが許されたのか、そうしたケースが増えました。もちろんその場合は、税額も明示することが必要なはずですが。

一方、われわれ古本屋は、在庫一点一点の値札を張り替えるわけにもいかず、いろいろと苦労しております。

一番多いのは、値札はそのままで、税額増分は店側が泣くというパターン。値札に税額が併記してある店は稀だからです。

にもかかわらず、お客様の方は、表示価格に、さらに上乗せされると思っておられるかもしれない。それならはっきりと、増税分は店が負担していると、分かるようにした方がいいというわけです。

また別の話で、あるお客様から、古本屋でも公費、科研費に対応している店は、その旨を目につくように張り出した方が良い、という提案を受けました。

研究生、学生の多くは、古本屋が必要書類を整えてくれるという知識がないために、研究費の使い道に困っているというのです。

ちなみに新しい『日本の古本屋』では、公費注文の利便性を高める方法を、検討してはおります。

しかし店に紙を貼り出すくらいは、すぐにもできることですから、RIMG1148一つやってみることにいたしましょうか。

市場が休みの金曜日。降ったりやんだりのお天気で、お客様も少なく、店の棚の入れ替えなど、ふだんなかなかできないことができました。と言っても哲学、現代思想の洋書棚が少し入れ替わった程度ですが。

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2014年04月17日

ある草稿

全古書連大市会の、お手伝いに行ってきました。

CA3K0792仕事の分担表をよく見直したら、店主の担当は午後遅い時間帯の「発声」だけと分かり、それならばということで午前中は店番。

昼食も済ませ、ゆっくり古書会館に出かけると、すでに会場は2階まで開札が進んで、残すは地階のみ。(4階→地階という順に開札するのが通例です)

担当時間まで間があるので、地階会場の出品を丁寧に見て回ることにしました。

この階には一点ものや、値の張りそうなものが集められていますから、おいそれと札が入れられるものではありません。ただ見るだけ――のつもりで見ていくと、目に留まるものがありました。

ある草稿です。作家ではなく、学者さん、それも小店にまんざら縁がないわけではない方のもの。沢山の著作がある方ですが、疾うに手書きはされていないはず。

こんな字を書かれるのか、という興味から、面白半分に札を入れてみました。

やがて受け持ち時間が来てしばらく発声をし、その後は次の発声担当のお手伝いなどをしておりますと、当の草稿につけられていた封筒が回ってきて、そこには小店の名と、落札金額とが書かれてありました。

結局、今回の大市会における小店の売買は、この買い一件。何もないよりは良かったかと、引き取ってきたその草稿を眺めつつ思っております。

先ほど来、名を伏せてご紹介しているのは、この草稿の書き手がまだご存命であるからです。取引されることに、もちろん違法性はありませんが、ご本人の耳に届けば、必ずしも喜ばれるとは限りません。

村上春樹氏の例もあります。昔に比べ、肉筆物の取り扱いには、とても気を使うようになりました。そういう方ではないだろうと、思ってはおりますが。

以前、手に入れた由良先生の草稿同様、当分は店主自身の楽しみに取っておくつもりです。

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2014年04月16日

Twiggy

RIMG1163この写真を見ただけで、これが誰だかわかるという方は、相当の情報通。

ちょうど左手の指が示すあたりにある赤い書き文字、これを見ても、まだこの文字と写っている女性が結びつかない方も多いことでしょう。

というより、この6つのアルファベット文字に、固有の意味を読み取れるのは、ある年代以上の方に限られます。

逆に、ある年代以上であれば、この名前を知らない方はほとんどいないはず。誌面では「元祖スーパーモデル」とか「60年代のアイコン」というような紹介がされておりました。

そうと知った上で改めて眺めてみても、やはりもう一度呻らざるをえません。

先日送られてきた英国婦人雑誌の表紙です。始めは、ごく普通のご婦人たちが、表紙を飾っているのかと思いました。いうところの「オーラのない」写真ばかりに見えたからです。

しかしふと気づいて見ていくと、他にも Jane Fonda がいました。 Judy Dench も Helen Mirren もいます。なつかしい Lulu という名も見えました。何のことはない、有名人ばかりのようです。

それにしては、こう申しては失礼ながら、何とも垢抜けない感じが全体を覆っているように思います。表紙のデザインから、モデルのファッション、写真の調子にいたるまで。

とは言っても長く続いている雑誌のようですから、これが国民センスというものなのかも知れません。ちなみに、同じタイトルで米国版もあるようですが、どこがどう異なるのか、詳しいことは存じません。

いずれにせよ確かなことは、約30冊をかなり目立つ形で陳列して10日余り、お客様の反応がまったくなかったこと。

諦めて撤収しようと考えていたところ、一昨日に初めて1冊売れました。おかげでもう数日、飾っておこうとなりました。

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2014年04月15日

労働奉仕

今週は、木曜日に全古書連の大市会があるため、通常の市会はお休み。店主の日程も変則になっております。

今日も普段なら洋書会に出かけているところですが、昨日に引き続き、朝から一日、たまった新入荷本を整理して、値段付け、データ登録に励みました。

明日は朝から『日本の古本屋』リニューアル会議。これも、通常なら木曜日のところ、同じ理由で一日前にずらしております。そして木曜日は大市会の本番。

この本番ですが、何しろ東京組合上げて(本来は全国組合上げて)のイベントですので、協力の要請があれば出来るだけのことをしないわけには参りません。

一番に欲しい協力は大市に相応しい出品でしょうが、それはできる人とできない人があり、小店は後者。こういうことになると力のなさを痛感します。

たださえ乏しいところに、すぐ後5月に洋書会大市会が控え、そのあとには七夕大入札会が待っておりますし。

というわけで、次に求められる人的な協力、これには快くお応えせざるをえません。市場というのは実に労働集約型で、とにかく人手が必要なのです。

今回は、明治古典会幹事としてお手伝いすることになり、「札改め」と、ある時間帯の「発声」が割り当てられました。

「札改め」というのは、開札された封筒を一点一点、誤りがないか確かめる仕事。明古でも洋書会でも、ふだん市場で行っている作業です。

「発声」というのは、その「札改め」が済んだ封筒に書かれている落札者と、落札価格を読み上げる役目。この時RIMG1148点で、晴れて商品は落札者のものとなります。

結局この日は、一日おつきあいすることになりそうですが、残されたもう一つの協力方法、沢山入札して落札するという協力についても、いささか自信がありませんから、ひたすら労働力として貢献するしかないのです。

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2014年04月14日

小さな一人旅

CA3K0801京都で一泊した日曜日の朝、誰からの誘いもなく、こちらからも敢えて誘わず、これだけは自分で決めていた「進々堂」へ一人で朝食を食べに行きました。

1970年代初めから6年間ほど、この近くのアパートに住み、友が泊まりに来れば朝は必ずここというように、何かにつけては通った思い出の店です。

近頃では、京に行くことも間遠になりましたが、その度に義理でも果たすようにして、詣でております。

この「進々堂」は、京都市内に何店も展開しているパン屋さんとは、別のお店とかで、どこか観光客嫌いの、頑なな雰囲気を感じさせるのも、独自の営業姿勢なのでしょう。

そのため、一時期は存続を危ぶんだこともありました。店主あたりの心配することではありませんが。

例えば中庭の席などは、しばらく閉鎖されていたように記憶します。今回見ると「二名様以上」には開放されておりました。

若いマスターがカウンターの中に入っていました。ご夫婦で、アルバイトを使い、切り盛りされている様子です。天井の高い室内の壁も、新しいクロスが貼られていました。

残念なのは「店内での撮影はお断りします」の張り紙があり、折角の空間を携帯カメラに収めることが出来なかったこと。

ラメールもホットドッグも懐かしいものですが、食べ物飲み物に惹かれて訪れるわけではありません。

このお店の最大の魅力は、黒田辰秋の机と寄木市松張りの床、そして高い天井と一枚ガラスの大きな窓。つまり空間そのものにあります。

席に着いて店内を見渡すと、照明の暗さに改めて驚きました。ここで本を読んだり、ノートを取ったりした日々があったのです。

店主にとっては、その空間が遥かな時間を呼び起こしてくれることへの期待が、この店へ足を運ばせるのでした。

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2014年04月13日

遠い昨夜

昨日の五反田で、不足気味の文庫を補充しようと入札したら、大量に落ちてきました。エクストラネットで調べると4口、44本。冊数にすればおそらく1000冊超。

今朝、京都を発って、昼過ぎに店に戻ったところですが、少しでも早く市場が片付くように、午後、早速車で引き取りに行きました。

RIMG1141 (2)おかげで昨夜の出来事が、ずいぶん遠いことのよう。

大学の4年間、最も長い時間をともに過ごした仲間たちが総勢20名、京都四条烏丸に近い居酒屋「太郎屋」に集まって、一夜の宴を持ったのです。

一番遠くは単身赴任先の大連から。北海道2名、東京1名(店主です)、四国2名、九州2名。その他は地元および近県。男性13名、女性7名。

もっとも久しぶりだったのは、京都府北部から参加したほぼ30年ぶりの1名。他にもお互い同士では、それに近い再会も数多かったはずです。

ではさて、何の集まりかと改めて問われると、一言では説明が難しい。母体となったのは、大学の二つのサークルの二期にわたるグループ。

その二つのサークルは活動を通じて交流し、そこに新たなメンバーも加わったりと、流動的ながら妙に気の合う仲間として、共通の思い出をたくさん作りました。

午後6時から、二階の座敷を貸切にして、午後9時過ぎまで。そのあと、ほとんどのメンバーが二次会に木屋町まで繰り出して、静かなクラブ「FLAMBEAU」でお尻を付けあうように座り、さらに2時間。

三次会はさすがに小人数に分かれ、店主は同泊組と昔懐かしい「王将」(Δ呂垢任吠津垢靴討い燭里如砲悄

都合で今回出席できなかった仲間が、特別に手配して取ってくれたホテルに帰り着くと、あとはもう眠るだけでした。

皆、体力を使い果たしたのか、今朝は早々に解散。店主も昼前の新幹線で店に戻り、日常に復帰したというわけです。

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2014年04月12日

むしろ専門店

RIMG1149受話器を取るとご婦人の声。

「お宅は高齢者向の本を扱っていらっしゃいますか」

成人向というのはありますが、高齢者向というのは初耳です。大活字本でもお探しなのかと思いました。

しかし、お探しなのではなく、どうやらお売りになりたいらしい。処分しようと思っている本が、高齢者向だというわけです。

一体どんな本のことを仰っているのか、具体的に書名を上げていただくようにお願いすると、「本の本とか、カケイの本とか」。

「カケイ?家計簿の家計ですか?」「イエそうじゃなく家の系統の家系です」「ああ家系図の家系ですね」

取りに来てもらえるのかというお尋ねに、場所と量によりますがとお答えすると、ご住所を仰ったあと、「そちらは祐天寺ですよね」と確かめられました。

「イエ、うちは駒場ですが」「ああ駒場。じゃあ学生さんばっかりですかね。学生さんは漫画しか読まれないでしょうね」

なぜか急に控えめになられ「よほどおついでがあれば、電話をかけてみてください。無駄足になるかもしれませんが。自転車で来られるといいのですけど」

ご近所だったら、すぐにもお伺いしてみたいところですが、ちょっと自転車では辛い距離です。車で出向く機会があれば、お電話してみることにいたしましょう。

どうやらこの方の区分によれば、小店に置いてあるような本は、ほとんどが高齢者向のようですから。

今朝、五反田の南部会館へ。今月も大量の出品。またどこか店じまいだろうかと案じて見ていくうち、よく知ったお店の整理だと分かりました。嗚呼。

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2014年04月11日

荷風のセールストーク

磯田光一『思想としての東京』(講談社文芸文庫)を、例によってチビチビと地下鉄の中で読み継いで、ようやく最後の頁へたどり着きました。

約30年ぶりに読み返したと言っても、冒頭付近の、東京地図を読み解く部分が僅かに記憶に残っていた程度ですから、初めて読むのも同じです。

この本が偶然目に留まり、すぐ手に取って読み進めることになったのは、その前に読み終えていた『荷風随筆(上)』(岩波文庫)によって、「東京」という土地についての関心を、かき立てられたからかも知れません。

ですから本書の「あとがき」に、「荷風論を「群像」に連載しはじめたころ、たまたま「月刊エコノミスト」から短期連載評論を求められて書いたのが、この本の原型にあたるもの」とあるのを読み、実に得心が行ったのでした。

さて今日の明治古典会に、その荷風のハガキが出品され、たった一枚ですが、最終台の緋毛氈の上に並べられました。

RIMG1142 (2)折も折ですから、とっくりとそのハガキを検分させていただきました。

宛先は「丸の内/東京日日新聞社/文芸部」最後の字句は自信がありません、住所表記の簡便さにばかり気を取られておりましたので。

差出人は永井壮吉、麻布のいわゆる偏奇館から出されたものです。消印の日付は頭の数字「9」だけ見えて、大正9年と思われます。まさに、転居した年。

ひっくり返すと、毛筆の細かな文字がぎっしり。崩し字も多く、読めない部分も多かったのですが、どうやら「小説家永井荷風」の売り込みを兼ねた料金通知書のようです。

不思議な点が一つありました。末尾に「月」「日」の文字があり、それぞれの上が空欄になっているのです。つまり日付が入っておりません。

思うに、同じ文面で何枚か書き上げておいたのではないでしょうか。あとから宛名を書いて送る際、つい日付を入れ忘れたとか。

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