2015年01月
2015年01月21日
障害対応
昨夜、帰るために車を出すと、何かハンドルに違和感を感じました。少し重いのです。急に腕の力がなくなったような感じ。
しかし気のせいかも知れないと、ともかく発進して家に向かいました。パワーステアリングのない時代も経験しておりますが、それに比べればそれほどではない。
しばらく走って、豁然、気付きました。パンクではないかと。40年を超える運転歴で、数度、パンクを経験しております。一番気がつかなかったのは、後輪がパンクしたとき。
前輪は、かなりハンドルを取られるという意識がありましたので、走りながら時々ハンドルから手を放して様子を見るのですが、それほど取られる気配はありません。
停車時にでも降りて、確かめてみればよいのですが、それで分かったからと言ってどうすることもできません。ちょうどガソリンを入れるつもりにしておりましたので、家の近くのガソリンスタンドまで、ともかく向かうことにしました。
午後9時閉店の、10分ほど前にスタンドに着くと、早速降りて確かめてみました。やはり右の前輪が、かなりひしゃげています。とりあえずエアーを入れてくださいと頼んで、さらにタイヤを良く見ると、見つかりました。ネジ釘の頭だけが飛び出しています。
時間も時間だし、ひとまず空気だけ入れてもらって出直そうかと思っていたら、折よく顔見知りの店長さんが居合わせて、「5分もあれば直しますよ」と、早速修理してくださいました。
その手早さに寒さも忘れ、ほれぼれと見つめていたのですが、我らの新サイトも、今後生じるであろう障害に、すべからくこのように素早く対処したいものだと思った次第です。
しかしパンクでも、原因の釘がすぐに見つかったればこそ。目下一番厄介な障害は、一部の機種、ブラウザーで「日本の古本屋」からシステムで飛ぶメールが、文字化けすることです。現時点で原因すらつかめていません。
機能の改善とは違い、障害は、一刻も早い解決が必須です。
しかし気のせいかも知れないと、ともかく発進して家に向かいました。パワーステアリングのない時代も経験しておりますが、それに比べればそれほどではない。
しばらく走って、豁然、気付きました。パンクではないかと。40年を超える運転歴で、数度、パンクを経験しております。一番気がつかなかったのは、後輪がパンクしたとき。
前輪は、かなりハンドルを取られるという意識がありましたので、走りながら時々ハンドルから手を放して様子を見るのですが、それほど取られる気配はありません。
停車時にでも降りて、確かめてみればよいのですが、それで分かったからと言ってどうすることもできません。ちょうどガソリンを入れるつもりにしておりましたので、家の近くのガソリンスタンドまで、ともかく向かうことにしました。
午後9時閉店の、10分ほど前にスタンドに着くと、早速降りて確かめてみました。やはり右の前輪が、かなりひしゃげています。とりあえずエアーを入れてくださいと頼んで、さらにタイヤを良く見ると、見つかりました。ネジ釘の頭だけが飛び出しています。
時間も時間だし、ひとまず空気だけ入れてもらって出直そうかと思っていたら、折よく顔見知りの店長さんが居合わせて、「5分もあれば直しますよ」と、早速修理してくださいました。
その手早さに寒さも忘れ、ほれぼれと見つめていたのですが、我らの新サイトも、今後生じるであろう障害に、すべからくこのように素早く対処したいものだと思った次第です。
しかしパンクでも、原因の釘がすぐに見つかったればこそ。目下一番厄介な障害は、一部の機種、ブラウザーで「日本の古本屋」からシステムで飛ぶメールが、文字化けすることです。現時点で原因すらつかめていません。
機能の改善とは違い、障害は、一刻も早い解決が必須です。
2015年01月20日
動き始めた――ネットも市場も
古書会館の7階は会議室フロアです。先日二度にわたって、リニューアル説明会を開いたのもこのフロア。三つの会議室の可動壁を取り払い、大きく一室で使いました。
これと廊下を挟んだ向かいに、もう一室、役員会議室と名付けられた部屋があります。特別な者しか使えない部屋というわけではなく、組合の仕事であればだれでも使えるのですが、椅子などは多少高級なものが置いてあります。
その役員会議室の扉に、今日、「総合対策本部」と、仰々しく貼り紙がしてありました。半ばジョークではありますが、中へ入ると組合の担当職員、システム会社の方々、それに当番のTKI部員がそれぞれPCを前に電話の応対に追われています。
全国の組合員――もしかしたら一般の利用者もおられたかもしれません――からの、さまざまな問い合わせに、テキパキと、時には長々と、返答しているのでした。
この「本部室」は、サーバー移行に取り掛かった先週末から用意されたようで、このあと今週一杯は、この態勢が敷かれる予定です。
とりあえずはシステム面のQ&Aに限られるでしょうから、知識の乏しい店主は当番の員数には入っておりません。今日は洋書会でしたので、それが終わってから陣中見舞いのつもりで、(しかし手ぶらで)覗いただけのことです。皆さんに、ただねぎらいの言葉だけかけて、失礼してきました。
さて今日の洋書会ですが、今年に入ってこれまで2回の不振を挽回するに足る、質と量の出品があり、ようやく新しい年が始動したという感じです。店主も、思えば今年初めての落札。特にOxford の古典叢書は、しばらく品薄となっていたものだけに、明日の到着が楽しみ。
ただし店内はまだ未整理本の山。加えてリニューアルで、すぐに手が付けられる状態ではありません。出来るだけ早く、棚に並べたいとは思っていますが。
これと廊下を挟んだ向かいに、もう一室、役員会議室と名付けられた部屋があります。特別な者しか使えない部屋というわけではなく、組合の仕事であればだれでも使えるのですが、椅子などは多少高級なものが置いてあります。
その役員会議室の扉に、今日、「総合対策本部」と、仰々しく貼り紙がしてありました。半ばジョークではありますが、中へ入ると組合の担当職員、システム会社の方々、それに当番のTKI部員がそれぞれPCを前に電話の応対に追われています。
全国の組合員――もしかしたら一般の利用者もおられたかもしれません――からの、さまざまな問い合わせに、テキパキと、時には長々と、返答しているのでした。
この「本部室」は、サーバー移行に取り掛かった先週末から用意されたようで、このあと今週一杯は、この態勢が敷かれる予定です。
とりあえずはシステム面のQ&Aに限られるでしょうから、知識の乏しい店主は当番の員数には入っておりません。今日は洋書会でしたので、それが終わってから陣中見舞いのつもりで、(しかし手ぶらで)覗いただけのことです。皆さんに、ただねぎらいの言葉だけかけて、失礼してきました。
さて今日の洋書会ですが、今年に入ってこれまで2回の不振を挽回するに足る、質と量の出品があり、ようやく新しい年が始動したという感じです。店主も、思えば今年初めての落札。特にOxford の古典叢書は、しばらく品薄となっていたものだけに、明日の到着が楽しみ。
ただし店内はまだ未整理本の山。加えてリニューアルで、すぐに手が付けられる状態ではありません。出来るだけ早く、棚に並べたいとは思っていますが。
2015年01月19日
新「日本の古本屋」オープン
待ちに待った新サイトオープン。
当初の計画では、午前11時頃に新サイトへDNSの切り替えを行い、1時間ほどそれが浸透するのを待って正午にサイトオープンという予定でした。
予定通り正午にオープンはしたのですが、切り替えが出来て、サイトが見られるようになったのは、小店の場合午後1時。多くは大同小異、そんな頃だったようです。仲間内で喜びのメッセージが飛び交いました。
しかしそこからが、悪戦苦闘の始まりです。ほんの10分ほどで動きが悪くなり、やがてダウン。暫くして復旧したかと思うと、またすぐにダウン。
システム会社の人たちが、つきっきりで対応しているのですが、午後3時過ぎ、何度目かのダウンで、ついにカンフル剤の投入を決意したようです。
状況の把握は進み、原因も見えてきましたが、とりあえずはスペックの増強をすることで、午後5時を回ったあたりから、ようやく安定してきたということです。
要するに予測していなかったところで交通渋滞が起き、ひとつ解決するとまた別のところ、といういたちごっこ。新しいプログラムでは、ある程度避けられないことではあるのでしょう。
しかしだからといって、むやみに広い道路を初めから作っておくこともできません。今日はいわば、お正月三が日の神社のようなものです。
普段なら十分すぎる参道も、この時ばかりは混み合って動かない。そういう事態だと考えれば、いくらか納得もしていただけるのではないでしょうか。
改めて感じるのは、これで一層「日本の古本屋」の安定稼働が必要を増したということです。サーバーが動かなければ、まったく仕事にならない、という書店も増えることでしょう。
今日半日、動かないサーバーにイライラしながら、ことの重大さをかみしめておりました。
当初の計画では、午前11時頃に新サイトへDNSの切り替えを行い、1時間ほどそれが浸透するのを待って正午にサイトオープンという予定でした。
予定通り正午にオープンはしたのですが、切り替えが出来て、サイトが見られるようになったのは、小店の場合午後1時。多くは大同小異、そんな頃だったようです。仲間内で喜びのメッセージが飛び交いました。
しかしそこからが、悪戦苦闘の始まりです。ほんの10分ほどで動きが悪くなり、やがてダウン。暫くして復旧したかと思うと、またすぐにダウン。
システム会社の人たちが、つきっきりで対応しているのですが、午後3時過ぎ、何度目かのダウンで、ついにカンフル剤の投入を決意したようです。
状況の把握は進み、原因も見えてきましたが、とりあえずはスペックの増強をすることで、午後5時を回ったあたりから、ようやく安定してきたということです。
要するに予測していなかったところで交通渋滞が起き、ひとつ解決するとまた別のところ、といういたちごっこ。新しいプログラムでは、ある程度避けられないことではあるのでしょう。
しかしだからといって、むやみに広い道路を初めから作っておくこともできません。今日はいわば、お正月三が日の神社のようなものです。
普段なら十分すぎる参道も、この時ばかりは混み合って動かない。そういう事態だと考えれば、いくらか納得もしていただけるのではないでしょうか。
改めて感じるのは、これで一層「日本の古本屋」の安定稼働が必要を増したということです。サーバーが動かなければ、まったく仕事にならない、という書店も増えることでしょう。
今日半日、動かないサーバーにイライラしながら、ことの重大さをかみしめておりました。
2015年01月18日
俎板の鯉
おだやかな晴れの日曜日。気温だって、「今日は暖かいですね」と、毎日集荷に来られる郵便局員さん――ではなく郵便事業会社員さんが言っておられたくらいですから、まず良いお天気。
しかし店の方は、その集荷係の方が来られた午後2時過ぎ頃まで、売上らしい売り上げはありませんでした。表のオモチャすら売れない。
ではその後から売れたのかといえば、そういうことでもありません。要するに一日、レジの音が立つことも少なく、静かに過ぎたのでした。
小店の特殊事情としては、昨日今日がセンター試験であった、という言い訳が出来るかもしれません。駒場キャンパスへの出入りが出来ませんから、学生さんはもとより、教職員、研究者の方々もお越しにならないでしょうし。
そんな理由があったところで、売れなかったことに違いはなく、何の慰めにもなりませんが。
それで今日は一日、時間を持て余したかと言えば、まったく逆。なにしろ明日からオープンする新「日本の古本屋」の、いわば開店準備に追われたからです。
やるべき作業の量としては、それほど多いわけではないのですが、明日からいよいよ本番だと思うと、必要以上にナーバスになり、やり忘れていることがないか、何度も確認してしまいます。
実際は、データの殆どはそのまま移行されていますし、開店と同時に注文が殺到するわけでもありませんから、何もかも用意が整っていなければ困る、ということにはならないはずです。
しかし何か、ヨーイドンの号令でもかかったかのように、気が焦ることも確か。ここまで関わってきた店主でさえそうですから、ほかの古書店会員の方々は、さぞや追い立てられるような思いで一日過ごされたことでしょう。
いまのTKI部員の心境は、俎板の鯉。ここまでくれば、あとはなるようにしかなりません。人事を尽くして天命を待つ、などという古めかしい言葉が思い浮かびます。
古書店会員の方たちにも、ここは「習うより慣れろ」と申し上げておきたいところです。
しかし店の方は、その集荷係の方が来られた午後2時過ぎ頃まで、売上らしい売り上げはありませんでした。表のオモチャすら売れない。
ではその後から売れたのかといえば、そういうことでもありません。要するに一日、レジの音が立つことも少なく、静かに過ぎたのでした。
小店の特殊事情としては、昨日今日がセンター試験であった、という言い訳が出来るかもしれません。駒場キャンパスへの出入りが出来ませんから、学生さんはもとより、教職員、研究者の方々もお越しにならないでしょうし。
そんな理由があったところで、売れなかったことに違いはなく、何の慰めにもなりませんが。
それで今日は一日、時間を持て余したかと言えば、まったく逆。なにしろ明日からオープンする新「日本の古本屋」の、いわば開店準備に追われたからです。
やるべき作業の量としては、それほど多いわけではないのですが、明日からいよいよ本番だと思うと、必要以上にナーバスになり、やり忘れていることがないか、何度も確認してしまいます。
実際は、データの殆どはそのまま移行されていますし、開店と同時に注文が殺到するわけでもありませんから、何もかも用意が整っていなければ困る、ということにはならないはずです。
しかし何か、ヨーイドンの号令でもかかったかのように、気が焦ることも確か。ここまで関わってきた店主でさえそうですから、ほかの古書店会員の方々は、さぞや追い立てられるような思いで一日過ごされたことでしょう。
いまのTKI部員の心境は、俎板の鯉。ここまでくれば、あとはなるようにしかなりません。人事を尽くして天命を待つ、などという古めかしい言葉が思い浮かびます。
古書店会員の方たちにも、ここは「習うより慣れろ」と申し上げておきたいところです。
2015年01月17日
「新たな一歩」
ひさしぶりに金井書店さんからPR紙「えぽっく(通刊89号)」が届きました。
冒頭の「新たな一歩」と題した文章で、「三十余年在籍してきました八重洲地下街の営業を、この3月に卒業」するとあります。すでに小耳には挟んでいたのですが、改めて目にすると、やはり感慨はひとしおでした。
金井書店の花井敏夫さんは、店主にとって、一番最初に出来た古本屋の友人なのです。知り合ったのは、まだ五十嵐書店で見習い修業の時代、お互い30歳になる前のことでした。
もっとも先方は老舗の三代目、こちらは業界のことは右も左もわからない駆け出し。たまたま年が近いというだけで、親しく付き合っていただいたのかもしれません。しかし、以来何かにつけてお世話になっています。
今さら気がついたのですが、花井さんが華々しく八重洲地下街に大店舗(当時の感覚からすれば)を構えたのは、店主が独立したのと同じ年なのでした。
高い家賃を払ってでも、それに見合う発信効果さえ上げれば、古本は十分ビジネスになる。それは、確かにニューウェーブとでもいうべき新戦略だったでしょう。
それ以降、ブックオフに代表されるように、さまざまな方法で古書店のビジネス化が図られるようになりましたが、その嚆矢と言えるかもしれません。同じような方法を踏襲する者こそ、現れませんでしたが。
現在の古本ビジネスは、本を大量消費材ととらえ、その二次流通を効率化することに商機を見出そうというのが主流です。腐るほどある商材を、いかに手早く売り買いするかが鍵だというわけです。
そこに踏み出すには、花井さんは古書および古書業界への敬意がありすぎます。「若い方たちに古書、書物全般の魅力を伝えられず、裾野を広げることができなかった」ことを、「一番の目的」が果たせなかったとして悔やんでおられることでも明らかです。
ただしそれは過小評価でしょう。少なくとも古書店を目指すものには、さまざまな刺激を与えてきたはずです。
「New古書店」への「新たな一歩」に、期待したいと思います。
冒頭の「新たな一歩」と題した文章で、「三十余年在籍してきました八重洲地下街の営業を、この3月に卒業」するとあります。すでに小耳には挟んでいたのですが、改めて目にすると、やはり感慨はひとしおでした。
金井書店の花井敏夫さんは、店主にとって、一番最初に出来た古本屋の友人なのです。知り合ったのは、まだ五十嵐書店で見習い修業の時代、お互い30歳になる前のことでした。
もっとも先方は老舗の三代目、こちらは業界のことは右も左もわからない駆け出し。たまたま年が近いというだけで、親しく付き合っていただいたのかもしれません。しかし、以来何かにつけてお世話になっています。
今さら気がついたのですが、花井さんが華々しく八重洲地下街に大店舗(当時の感覚からすれば)を構えたのは、店主が独立したのと同じ年なのでした。
高い家賃を払ってでも、それに見合う発信効果さえ上げれば、古本は十分ビジネスになる。それは、確かにニューウェーブとでもいうべき新戦略だったでしょう。
それ以降、ブックオフに代表されるように、さまざまな方法で古書店のビジネス化が図られるようになりましたが、その嚆矢と言えるかもしれません。同じような方法を踏襲する者こそ、現れませんでしたが。
現在の古本ビジネスは、本を大量消費材ととらえ、その二次流通を効率化することに商機を見出そうというのが主流です。腐るほどある商材を、いかに手早く売り買いするかが鍵だというわけです。
そこに踏み出すには、花井さんは古書および古書業界への敬意がありすぎます。「若い方たちに古書、書物全般の魅力を伝えられず、裾野を広げることができなかった」ことを、「一番の目的」が果たせなかったとして悔やんでおられることでも明らかです。
ただしそれは過小評価でしょう。少なくとも古書店を目指すものには、さまざまな刺激を与えてきたはずです。
「New古書店」への「新たな一歩」に、期待したいと思います。
2015年01月16日
拙速というより鈍足
昨日の午後、古書会館で、第二回目の、そしてオープン前としては最後となるはずの、「日本の古本屋」リニューアル説明会が開かれました。
本降りの冷たい雨が降るなか、7階会議室に詰めかけた組合員は、記帳した人の数だけで106名。第一回目を超える数です。二度とも出席という熱心な方も3割ほどおられたようですが、ようやく利用者の皆さんにとっても、現実問題として受け止められ始めたようです。
午後3時から5時までの予定が、30分ほど伸びて終了。説明会では、何人もの出席者から質問が出ましたが、それぞれに気になる点が全く異なっていて、あらためてこの業界の、多様さ、不均質さを認識させられました。
たとえば、新しい古書検索画面には、各店がどのような注文に対応できるかがアイコンで表示されます。海外発送が可能であるとか、代引きが可能であるとか。
その一つに公費注文のアイコンもあります。小店なども、よく公費支払は可能かと問い合わせを受けますから、こうしたアイコンがあらかじめ表示されていれば便利だと考えるのですが、これに不安を覚える同業もいるのでした。
その点を訴えていたのは公費を扱わない書店ではなく、むしろそれが主力と思われるような書店です。詐称される危険が増すのでは、というのがその理由です。良く知らない相手から、公費だからと先送りを求められても断り辛くなると。
いまなお先送りを主としている書店が結構多数おられる一方、今回採用される即決注文システム(クレジット支払による注文のボタンを押すだけで完了)に、期待する書店も大勢おられます。
業態の面から見ても、生鮮食料品店と、不動産屋さんと、その双方から使いやすい電子商取引システムを求められているようなものです。
説明会で、ある組合員から、テストサイトを公開して日も浅く、情報も不十分であり、オープンは拙速に過ぎるのではないかという意見が出ました。しかし、むしろここまで、慎重に過ぎたと店主などは思います。
いつまで捏ね回していても、始めて見なければ分からないこともあります。この先は皆さんにも、一緒に捏ねていただくことにしようというのが、この半年、延期に延期を重ねてきた、つまり捏ね回し続けてきた事業部の、ようやくたどり着いた決断だったのです。
本降りの冷たい雨が降るなか、7階会議室に詰めかけた組合員は、記帳した人の数だけで106名。第一回目を超える数です。二度とも出席という熱心な方も3割ほどおられたようですが、ようやく利用者の皆さんにとっても、現実問題として受け止められ始めたようです。
午後3時から5時までの予定が、30分ほど伸びて終了。説明会では、何人もの出席者から質問が出ましたが、それぞれに気になる点が全く異なっていて、あらためてこの業界の、多様さ、不均質さを認識させられました。
たとえば、新しい古書検索画面には、各店がどのような注文に対応できるかがアイコンで表示されます。海外発送が可能であるとか、代引きが可能であるとか。
その一つに公費注文のアイコンもあります。小店なども、よく公費支払は可能かと問い合わせを受けますから、こうしたアイコンがあらかじめ表示されていれば便利だと考えるのですが、これに不安を覚える同業もいるのでした。
その点を訴えていたのは公費を扱わない書店ではなく、むしろそれが主力と思われるような書店です。詐称される危険が増すのでは、というのがその理由です。良く知らない相手から、公費だからと先送りを求められても断り辛くなると。
いまなお先送りを主としている書店が結構多数おられる一方、今回採用される即決注文システム(クレジット支払による注文のボタンを押すだけで完了)に、期待する書店も大勢おられます。
業態の面から見ても、生鮮食料品店と、不動産屋さんと、その双方から使いやすい電子商取引システムを求められているようなものです。
説明会で、ある組合員から、テストサイトを公開して日も浅く、情報も不十分であり、オープンは拙速に過ぎるのではないかという意見が出ました。しかし、むしろここまで、慎重に過ぎたと店主などは思います。
いつまで捏ね回していても、始めて見なければ分からないこともあります。この先は皆さんにも、一緒に捏ねていただくことにしようというのが、この半年、延期に延期を重ねてきた、つまり捏ね回し続けてきた事業部の、ようやくたどり着いた決断だったのです。
2015年01月15日
なぜ小店に?
受話器を取ると、ためらいがちな女性の声が「あの…」と言って、しばらく間ができました。
「なんでしょうか」と促すと、ようやく「30年ほど前の…、ロック雑誌なんですが…、値打ちがないでしょうか?」。
なぜ小店にかけてこられたのかは分かりませんが、とりあえず「神田にそういうものを専門にしている店がありますから、そちらにお尋ねになってはいかがでしょうか」とお答えしました。
またしばらく沈黙が続きましたので「どれくらいあるのですか」とお尋ねすると、「7冊くらいです」とのお返事。
その程度の量なら、やはり専門店に一度お持ちいただいて、と申し上げようとした矢先、「東京じゃないんです」と地方都市の名前を挙げられました。さらに「10円って言われたんです。田舎ですから。欲しい人もいると思うんです」。
どうやら、お近くの店で、つれない回答をされたようです。
「1万円出しても欲しいという人だっていると思うんです。こういう雑誌って、つい切り取ったり、捨てたりして、今になって取っておけばよかったと思っている人がいるはずです」
静かな声で、切々と訴えてこられます。お話の調子から、別段、高価に買い取ってもらいたいというのではなく、その値打ちを認めて欲しいのだというお気持ちが伝わってきます。
しかしいかんせん、雑誌のタイトルももちろん伺ったのですが、店主としてはその方面に皆目知識がありませんから、それはお値打ちものだなどと、無責任に相槌も打てません。
そこで「ヤフオクにでも出してみてはいかがですか」と、お勧めいたしました。この方の思い入れを満足させるのには、それが一番良いように思われたのです。
「そうですねえ」と気乗りしない声でお電話を切られたあと、肝心なことをお尋ねし忘れていたと気が付きました。
一体どこで、どんなふうに小店をお知りになったのでしょう。
「なんでしょうか」と促すと、ようやく「30年ほど前の…、ロック雑誌なんですが…、値打ちがないでしょうか?」。
なぜ小店にかけてこられたのかは分かりませんが、とりあえず「神田にそういうものを専門にしている店がありますから、そちらにお尋ねになってはいかがでしょうか」とお答えしました。
またしばらく沈黙が続きましたので「どれくらいあるのですか」とお尋ねすると、「7冊くらいです」とのお返事。
その程度の量なら、やはり専門店に一度お持ちいただいて、と申し上げようとした矢先、「東京じゃないんです」と地方都市の名前を挙げられました。さらに「10円って言われたんです。田舎ですから。欲しい人もいると思うんです」。
どうやら、お近くの店で、つれない回答をされたようです。
「1万円出しても欲しいという人だっていると思うんです。こういう雑誌って、つい切り取ったり、捨てたりして、今になって取っておけばよかったと思っている人がいるはずです」
静かな声で、切々と訴えてこられます。お話の調子から、別段、高価に買い取ってもらいたいというのではなく、その値打ちを認めて欲しいのだというお気持ちが伝わってきます。
しかしいかんせん、雑誌のタイトルももちろん伺ったのですが、店主としてはその方面に皆目知識がありませんから、それはお値打ちものだなどと、無責任に相槌も打てません。
そこで「ヤフオクにでも出してみてはいかがですか」と、お勧めいたしました。この方の思い入れを満足させるのには、それが一番良いように思われたのです。
「そうですねえ」と気乗りしない声でお電話を切られたあと、肝心なことをお尋ねし忘れていたと気が付きました。
一体どこで、どんなふうに小店をお知りになったのでしょう。
2015年01月14日
組合新年会
昨日は、古書組合の新年会でした。
正確に言うと、「役員合同新年会」。理事、正副支部長、交換会会長、正副事業部長、管理部長などなど、総勢60名ほど。これに組合職員も加わって、70名を超える賑やかな会になりました。
会場は古書会館のすぐお隣、明治大学紫紺館6階「ラウンジ明治」。5階のレストランとともに、椿山荘が経営していますから、お料理のレベルはまず安心できます。
70名が入るとなると着席は無理で、ビュッフェ形式の立食になりますが、だだっ広い会場で立食をするのと違い、多少混み合うくらいのほうが、かえってお互いの交流もしやすいと思い、ここに決めました。何しろ近い。
唯一心配なのは、その量でした。事前にその点を問い合わせてもらったところ、「今までに足りないと言われたことはありません」という返事だったとか。
それでも、過去の立食パーティーで、あっという間に料理がなくなり、一同手持無沙汰に時を過ごしたという経験があり、主催者側のトラウマとなって残っています。念の為、人数分の料理を用意していただきました。
ご承知の方も多いでしょうが、通常、立食の場合は、出席数の7掛けというのが相場らしく、パーティープランとして表示されている予算は、およそその程度のようです。
ですから、今回は相当の量の食べ残しが出ても不思議ではないところ、終わってみれば、ほぼ見事に食べ物は片付いておりました。古本屋の胃袋、おそるべし。
飲み物も飲み放題でしたが、これは立食が幸いしてか、皆さんほどほど。ビンゴ大会で盛り上がったことも、多少は飲食への要求を押さえたかもしれません。
とても日頃のご協力に報いるとまではいきませんが、出席者にとっては、いまや希少な役得です。ともかくは、満腹、満足していただけたようで、もてなした側としては一安心でした。
写真は明治大学ホームページから借用いたしました。
正確に言うと、「役員合同新年会」。理事、正副支部長、交換会会長、正副事業部長、管理部長などなど、総勢60名ほど。これに組合職員も加わって、70名を超える賑やかな会になりました。
会場は古書会館のすぐお隣、明治大学紫紺館6階「ラウンジ明治」。5階のレストランとともに、椿山荘が経営していますから、お料理のレベルはまず安心できます。
70名が入るとなると着席は無理で、ビュッフェ形式の立食になりますが、だだっ広い会場で立食をするのと違い、多少混み合うくらいのほうが、かえってお互いの交流もしやすいと思い、ここに決めました。何しろ近い。
唯一心配なのは、その量でした。事前にその点を問い合わせてもらったところ、「今までに足りないと言われたことはありません」という返事だったとか。
それでも、過去の立食パーティーで、あっという間に料理がなくなり、一同手持無沙汰に時を過ごしたという経験があり、主催者側のトラウマとなって残っています。念の為、人数分の料理を用意していただきました。
ご承知の方も多いでしょうが、通常、立食の場合は、出席数の7掛けというのが相場らしく、パーティープランとして表示されている予算は、およそその程度のようです。
ですから、今回は相当の量の食べ残しが出ても不思議ではないところ、終わってみれば、ほぼ見事に食べ物は片付いておりました。古本屋の胃袋、おそるべし。
飲み物も飲み放題でしたが、これは立食が幸いしてか、皆さんほどほど。ビンゴ大会で盛り上がったことも、多少は飲食への要求を押さえたかもしれません。
とても日頃のご協力に報いるとまではいきませんが、出席者にとっては、いまや希少な役得です。ともかくは、満腹、満足していただけたようで、もてなした側としては一安心でした。
写真は明治大学ホームページから借用いたしました。
2015年01月13日
「ただ今準備中」
さて新年から、平日は正午開店と、熟慮の上、断行しているのですが、ご来店のお客様の中に、その事実をご存知の方が果たしておられるかどうか。
と言いますのも、もともと午前中のご来客は数えるほどであるのに加え、そうした方々がお越しの際には、すでに開店の準備が出来ていて、特にこれまでと変わりなくご利用いただいているからです。
実際には、まだ先週一週間、そのうち平日は5日間、それだけの期間しか経っていないのですが、なんとなく一つの方式が定着しつつあります。それは、午前10時を開店準備の開始時刻とすることです。
なにしろ、年末にお配りしたカレンダーには、従来通りの営業時間が表記されています。ネットなどの表示はいつでも直せるのですが、他にも印刷された情報が、どこにどの程度出回っているか分かりません。
それで、午前10時には何かしら動きを見せていれば、開店時間が変わったことを知らずにおいでになったお客様にも、ご不便をおかけしないで済みます。
ようするに、正午までは長い「準備中」と思っていただこう、というわけです。勝手な決め事に過ぎませんが。
ということで、今朝もそのつもりでおりましたら、9時半を回ったころ、表にお一人、キャリーバッグを引いた初老の男性が、店内をじっと伺うようにして、立っておられます。
まだ勝手に決めた開店準備始動時刻までには、30分ほど間がありましたが、そのご様子から、きっと開店をお待ちであろうと判断し、店を開けることにいたしました。
初めに外に出すのはジャンクおもちゃ類です。まずそれらを並べますと、案の定近づいてこられて、プラレールやミニカーを手にしておられます。お待たせするのもお気の毒だと、急いで本棚も外にだし始めました。
するとまだ最後の一台を移動中、その男性が一台の特大ミニカー(妙な言葉ですが)をお持ちになり、「これ」と言って100円硬貨二枚を店主に手渡されました。そしてそれをバッグにしまいこむと、そのまま去って行かれたのです。
だから今朝は、いつもより30分も「準備中」が長くなりました。
と言いますのも、もともと午前中のご来客は数えるほどであるのに加え、そうした方々がお越しの際には、すでに開店の準備が出来ていて、特にこれまでと変わりなくご利用いただいているからです。
実際には、まだ先週一週間、そのうち平日は5日間、それだけの期間しか経っていないのですが、なんとなく一つの方式が定着しつつあります。それは、午前10時を開店準備の開始時刻とすることです。
なにしろ、年末にお配りしたカレンダーには、従来通りの営業時間が表記されています。ネットなどの表示はいつでも直せるのですが、他にも印刷された情報が、どこにどの程度出回っているか分かりません。
それで、午前10時には何かしら動きを見せていれば、開店時間が変わったことを知らずにおいでになったお客様にも、ご不便をおかけしないで済みます。
ようするに、正午までは長い「準備中」と思っていただこう、というわけです。勝手な決め事に過ぎませんが。
ということで、今朝もそのつもりでおりましたら、9時半を回ったころ、表にお一人、キャリーバッグを引いた初老の男性が、店内をじっと伺うようにして、立っておられます。
まだ勝手に決めた開店準備始動時刻までには、30分ほど間がありましたが、そのご様子から、きっと開店をお待ちであろうと判断し、店を開けることにいたしました。
初めに外に出すのはジャンクおもちゃ類です。まずそれらを並べますと、案の定近づいてこられて、プラレールやミニカーを手にしておられます。お待たせするのもお気の毒だと、急いで本棚も外にだし始めました。
するとまだ最後の一台を移動中、その男性が一台の特大ミニカー(妙な言葉ですが)をお持ちになり、「これ」と言って100円硬貨二枚を店主に手渡されました。そしてそれをバッグにしまいこむと、そのまま去って行かれたのです。
だから今朝は、いつもより30分も「準備中」が長くなりました。
2015年01月12日
『書を捨てよ、町へ出よう』
どこで見つけてきたのか家人が、「これ1冊300円ずつだった!」と、今どきの言葉でいえば「どや顔」で、2冊の本を店主に見せてくれました。
ネットで検索してみたらしく、「高いところだと何万円もついてる」と、いささか興奮気味。もちろん、この手の本の価格が、その保存状態で大きく左右されることは家人も重々承知ですから、「安いところだと数千円」と、忘れず付け加えました。
公平に見て保存状態は、格別良いとは言えません。イタミは少ないのですが、ヤケが強め。研究書ならともかく、初版本など、コレクション対象としては、並、つまりB級品と見なさざるを得ません。
それよりなにより、今、初版本と申しましたが、また家人も初版本と思えばこそ喜んだのですが、奥付を見ると刊行年は2冊とも昭和47年となっています。
それ以外、版次表記はないので、この版での初版であるという言い方もできます。しかし、正編が初めて刊行されたのは昭和42年。続編の場合は昭和46年刊という書誌が国会図書館などにあり、現に「日本の古本屋」でも販売されています(ちなみに正編は国会図書館にもCiNiiにも登録されていません)。
つまり残念ながら、本書は正しい意味での初版本ではなく、ある同業の表記を真似れば異相版初版ということになります。どうやら昭和46年に映画が制作されたことが、新装出版の契機となったようです。
確かに思い起こしてみれば、店主が寺山の本書を目にしたのは高校3年の時。当時の地方高校生にはいささか刺激的な本であり、だからこそ鮮烈な印象を受けたのでした。それより5年後、多少ともヒネてからでは、インパクトも小さかったかもしれません。
いずれにせよ、今から見ると児戯に類したものに見えてしまいます。もちろん寺山だって若かったのだし、そこでとどまっていたわけではありませんが。
家人のために付言すれば、それでも1冊300円というのは充分掘り出し物。適正な値を付けて、売らせていただきます。
ネットで検索してみたらしく、「高いところだと何万円もついてる」と、いささか興奮気味。もちろん、この手の本の価格が、その保存状態で大きく左右されることは家人も重々承知ですから、「安いところだと数千円」と、忘れず付け加えました。
公平に見て保存状態は、格別良いとは言えません。イタミは少ないのですが、ヤケが強め。研究書ならともかく、初版本など、コレクション対象としては、並、つまりB級品と見なさざるを得ません。
それよりなにより、今、初版本と申しましたが、また家人も初版本と思えばこそ喜んだのですが、奥付を見ると刊行年は2冊とも昭和47年となっています。
それ以外、版次表記はないので、この版での初版であるという言い方もできます。しかし、正編が初めて刊行されたのは昭和42年。続編の場合は昭和46年刊という書誌が国会図書館などにあり、現に「日本の古本屋」でも販売されています(ちなみに正編は国会図書館にもCiNiiにも登録されていません)。
つまり残念ながら、本書は正しい意味での初版本ではなく、ある同業の表記を真似れば異相版初版ということになります。どうやら昭和46年に映画が制作されたことが、新装出版の契機となったようです。
確かに思い起こしてみれば、店主が寺山の本書を目にしたのは高校3年の時。当時の地方高校生にはいささか刺激的な本であり、だからこそ鮮烈な印象を受けたのでした。それより5年後、多少ともヒネてからでは、インパクトも小さかったかもしれません。
いずれにせよ、今から見ると児戯に類したものに見えてしまいます。もちろん寺山だって若かったのだし、そこでとどまっていたわけではありませんが。
家人のために付言すれば、それでも1冊300円というのは充分掘り出し物。適正な値を付けて、売らせていただきます。